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辰巳屋疑獄
たつみやぎごく
2003年 筑摩書房
1600円(税別)
ISBN4-480-80373-4
創業から三代で、大坂の町に数ある炭問屋の先頭に躍り出た辰巳屋。その跡目相続をめぐる争いは、大坂町奉行所の裁きでも治まりがつかず、ついには江戸の評定所に持ち込まれる。評定を担当する寺社奉行は、町奉行としてならした大岡越前守忠相。大岡の日記に「辰巳屋一件」と記された、大疑獄事件の真相とは……。田舎から11歳で辰巳屋に丁稚奉公にあがり、一家の盛衰を見つめることになった元助を主人公に、「金」と「欲」でまわる世の中を描く長編時代小説。
キャラクターガイド
元助 もとすけ
11歳で辰巳屋に奉公。小ぼんさん(末っ子)の茂兵衛(のちの木津屋吉兵衛)に読み書きを習ったことがきっかけで、のちのちまでの吉兵衛と運命をともにすることになる。愛称はガンちゃん。色が黒いところから炭団とも呼ばれる。
木津屋吉兵衛 きづやきちべえ
辰巳屋の三男。幼い頃から利発で学問好きとして知られる。のちに父の実家である炭問屋木津屋を相続。本家を継いだ兄の死後、辰巳屋の支配権を握るべく動き、それが大騒動に発展していく。
伊助 いすけ
辰巳屋の別家の倅で、元助と同期に辰巳屋に奉公にあがったことから、生涯の友となる。商いの道にまっすぐな野心を燃やす。
宗兵衛 そうべえ
田舎から辰巳屋へ奉公にあがった男で、同じ身の上の元助に目をかける。店の支配人にまで出世し、あくまで家の存続のために「忠義」をつくす。