トップページ > 京都行4/10〜11
2025年04月12日
京都行4/10〜11
今回の京都行はこの時期ならでは「都をどり」を見がてら祇園町を代表する方々にご挨拶するのが主目的であり、それが短期集中で概ね果たせたのは何よりでした(*^^)v
そもそもは古稀を超えて筆力の衰えを痛感するわたしが今後小説をあと何作書けるかと思いを巡らした上で、やはり書いておいたほうがいいかもしれない気にさせられたのは幼少期を過ごした祇園町である。祇園町を舞台にした小説は数限りなくある中で、何を今さらという気もしつつ、そこで過ごした人間でないとわからない感覚もあるだろうし、また様々な世界が凄まじい変容を遂げている今の時代だからこそ、何らかの特殊な過去を書き留めておく必要があるようにも感じられて、小説執筆のオファーを早くに戴いた集英社の伊藤さん、伊礼さん、眞田さんのお三方にその話をしたところ、お三方とも「都をどり」を未見とあって、まずはそれを見がてら祇園取材の糸口を見つける旅行と相成った次第。
その件をまずは祇園町にお住まいのお茶の阪本先生にご相談をしたところ、祇園甲部歌舞会現総務である一力茶屋女将の杉浦京子氏と井上流家元の井上八千代師のお二方と歌舞練場でお目にかかる段取りをして下さって、その後に「都をどり」の舞台を拝見。京舞のみで1時間のレビューショーに仕立てた舞台は昔とさほど変わらぬものの、超満員の客席は昔と比べてインバウンドの人たちが明らかに多いとはいえ皆さんとても行儀良く鑑賞されていて、終演後に出口へ向かう行列から洩れ聞いた会話では、舞の歌詞内容を意外なほどしっかり理解している方まであったことにいささか驚かされたものである。
歌舞練場を出て烏丸三条のホテルにチェックインしてからまた祇園に戻って「川上」での晩餐後に今や祇園のレジェンド・バーともいえそうな「てる子」へ。オーナーのてる子さんは戦後の祇園町復興期に舞妓デビューし、マーロン・ブランド主演の映画に出演して渡米したり、名だたる経済人文化人を長年の顧客にして、今年米寿を迎えても矍鑠どころかキレッキレの頭脳で祇園の四方山昔話を面白おかしくお聞かせ戴いた。バー「てる子」では一力の女将さんから紹介された宝生紗樹さんともお目にかかって今後の資料のご相談を。宝生さんは大学院生で京舞を研究対象となさりつつ、大昔から今日までの祇園に関するさまざまな資料を整理してデータベース化することに邁進なさっており、資料面で心強い味方となって戴けそうなのが有り難かった。
祇園甲部歌舞会の前総務だった「富美代」の女将太田紀美氏には以前に「都をどり」の歌詞の執筆を依頼された経緯があって、それはご辞退申し上げたものの、今回できればご挨拶しておきたい方だったので、阪本先生から一力女将の杉浦氏を通じてご連絡を取って戴き、11日の昼下がりに歌舞練場の入口でお目にかかれたのも有り難かった。この日は八坂の塔の近くにあるイタリアンの名店「イルギオットーネ」でランチした後、大急ぎで仁和寺の「御室の花」を見物に。ここの桜は低木なので、鼻が低いのを「おむろの鼻」と悪口する習わしが、京都には今でもあるのかどうか、今でも大っぴらに言えたりするのかどうか知りたいものであります(^0^;)
写真の上段は歌舞練場の入口。中断は今年改装した「川上」のカウンター。下段は春らしい料理の一品。下のほうは仁和寺の桜花風景。