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2025年02月07日
大阪行2025如月
関東大震災直後の大阪は人口でも東京を抜く日本一の大都市となって「大大阪」と呼ばれていたのは以前に「芙蓉の干城」を書いた時に知ったが、当時のモダン建築が今も市内に遺されていて、去年のNHK新日本紀行「大阪モダン旅する昭和」と題した特集で紹介されたのをたまたま視聴したわたしは、いつか機会があれば観に行きたいと思っていた「大阪倶楽部」から何と講演のオファーがあったのに驚喜してお引き受けした次第。ただ講演日の2/5は今季最強寒波襲来とあって、配信用のLIVE映像も撮るという話だったから、果たしてわざわざ会場にいらっしゃる方なんてあるのかしら(?_?)と案じていたら、思いがけないほど大勢の方が詰めかけられて、総勢200名ほどの会員さんのうち会場に入りきらない方々が2階3階の通路に椅子を並べてモニター画像を視聴なさるという段取りだったのである(!_+) 大阪倶楽部は古くからある大阪財界人の親睦団体で、東京だと銀座にある交詢社と似ているのかもしれない。交詢社は内装が古めかしさを活かしつつも外観は現代化されているが、大阪倶楽部は最初の建物こそ焼失したものの関東大震災直後に再建された建造物を現在に維持した親睦団体として存続し、今なお大手企業の経営に参画された方々が続々と入会されている模様で、そのお一人の目にたまたま拙著「一場の夢と消え」が触れたことによるオファーだったので、講演も「近松の虚と実」と題して、手がかりとなる史料等をパワーポイントで示しつつ彼の生涯をざっと紹介したものである。会員の平均年齢は74歳というから会場には無論わたしよりも年輩の男性が多かったものの、90代の方々までが矍鑠となさっているのみならず、実にクリアでシャープなお話をなさる上に皆さんいわゆる「大阪のおっちゃん」のイメージからは程遠く、むしろ美しい佇まいのモダンな紳士であられることに驚かされたのだった\(◎o◎)/
その90代のお一人に「自分はずっと機械工業の仕事をやってきた人間なんで、小説もあんまり沢山読んだことがないから正直この御本は最初読みづらかったんですが、読んでるうちに自分の若い頃が次々と想い出されて、だんだん自分の人生と重なって読めて、最後は、ああ、自分はきっとこんなふうに死ぬんだろうなあと妙に納得させられて感動しました。それで二回も読んだんですよ。全然関係のない仕事をしてる人間が、自分と同じ人間のように読めるんですから、小説というのはすごいもんですね」と言われたのは作者冥利に尽きるというべきか、90代の男性にそんなふうに読んで戴けたのなら、わたしがこの小説を書いた甲斐もあった!という気がつくづくしたのでした。
講演後は妹の希望により中之島美術館で開催されている「国芳展」を鑑賞し梅田で串カツを食べて交野市にある妹の家に宿泊。翌朝は妹の家からすぐのところにある星田妙見宮にお参りし、ここのパワースポットなるものがアニメ「君の名は。」のモデルにも擬せられたらしい巨大な隕石の跡地であるのを知ってビックリ(!_+)帰りは新大阪駅の「ぼてじゅう」でお好み焼きを食べるなど大阪グルメを堪能して帰宅の途に就きました(^^ゞ
写真は上から「大阪倶楽部」の外観で、屋根の右の丸い石は富の象徴である亀を象ったものだという説明を聞いたので、敢えてこの角度で写しました(^^ゞ下は順にステンでグラスで飾られた階段と、講演会場となった食堂、国芳展が催された中之島美術館のたぶん国芳とは無関係の巨大な猫オブジェ、星田妙見宮のパワースポットといわれる登竜の滝壺=実ハ巨大な隕石の跡地