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2023年11月06日

骨付きカルビと蓮飯のセット

新宿の紀伊國屋ホールでT.ウイリアムズ作・渡辺えり演出の「ガラスの動物園」と別役実作・渡辺演出の「消えなさいローラ」の二本立てを旧友のモリと観た帰りに伊勢丹のレストラン街で食事。
テネシー・ウイリアムズの名作「ガラスの動物園」で彼自身の分身ともいえるトムの役を歌舞伎の尾上松也が演じることに驚いて、ホントに出来るんだろうか?と、いわば一種のコワイモノ見たさで観劇したものの、松也がどうこう言う以前にモリと「お互いに知ってる『ガラスの動物園』とはゼンゼン違う芝居だよねー」という意見で一致した次第。歌舞伎ファンはともかくふつうの演劇ファンならダレでも知ってる不朽不滅の名戯曲だけに、今回ご覧になって戸惑われた観客も多いのではなかろうか?と思われたのはまずヒロインであるローラの役が完全に精神の障害を来した人のような演技になっていたことで、これはテネシーウイリアムズ自身の実在の姉が脳葉手術を受けて廃人となった事実を踏まえた別役作品との連動性を企図したものだとしても、このナイーブでセンシティブな戯曲を活かす方法とは思えないのである。また語り部としてのトムと息子としてのトムとがまるで別人のように演じられると、この作品に通底する「作者の誕生」というテーマが見失われてしまうような気がする。以上の点は演者というより概ね演出の責任だろうし、戯曲自体は戦前の不況や歪な家族の問題を扱って非常に今日性を感じさせるため、とても時宜に適った上演といえるし、二本立ての出演者大奮闘は何だか惜しまれて、中でも別役作品における和田琢磨の女役は意外なほどの健闘を見せていた。
ともあれ久々に会ったモリとは昨今の世界情勢についても話し合い、ワタシが専らイスラモフォビア的な感情について尋ねたのは、モリが以前マレーシアに何年か滞在している際にその手の話をしたからだった。片や反ユダヤ主義の感情も渦巻く世界はカオスに向かう一方なのに、日本は何だか怖いほど平和でノンキだよね〜でも、これって巨大地震を目前にした束の間の安らぎを与えられてるってことなのかしら(@_@;)と話してたのでした。


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