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2016年04月21日
ビーフシチューセットほか
翻訳家の松岡和子さんと青山アンデルセンで食事。
ガラスジュエリー制作の世界で第一人者ともいうべき光島和子さんがシェイクスピアをモチーフにした作品の展示会を青山のギャラリーCOMOで始められてからもう十二年なのだそうで、仕掛け人は文化出版局刊行「銀花」誌の元編集長萩原薫さん。この方は松岡さんの妹さんであり、また展示会場では松岡さんのお嬢さんでもある舞台美術家の松岡泉さんがジュエリーの背景となる道具を設置されるなどしていて、さらに今夜は松岡和子さんによるシェイクスピアレクチャーまで付いているから、「本当に家内工業みたいな感じでゴメンなさい」と萩原さんは仰言るのだけれど、どうしてどうして身内でこんなイベントが出来ちゃうのはステキとしかいいようがありません。で、松岡さんとは結構長いお付き合いながら、聴講するのは今夜が全くの初めてで、今秋豊橋で二人のトークセッションを控えているために一度は聴講しておこうと参加してみたところ、とてもナチュラルでフレンドリーな語り口に終始され、それでいて作品それぞれの成り立ちをきちんと押さえられた上で業界裏話も盛り込まれ、最後は聞いていてうるうる来そうなハートウォーミングな話しぶりにすっかり魅了されてしまった次第。
ところで松岡さんは熊本地震のニュースをルーマニアで知られたそうで、『リチャード二世』のルーマニア公演に随行されており、今夜は現地の話もいろいろと聞かせてもらった。まずルーマニアはEUに加盟しながらもユーロを使用する資格を認められなかったため、レイという独自の通貨利用を余儀なくされているが、そのため非常に物価安なので国民はそれなりに豊かな感じで暮らしていて、ギリシャのような経済破綻に追い込まれることがなかったのは何よりだったというから、本当に何が幸いするかわかったもんじゃないし、経済のグローバル化というもの自体も果たして人類全体に幸せをもたらすのかどうかわからない感じがしたとのこと。この国で何が幸いするかわからないといえそうなのはもう一つ、アンチエイジングのクスリとして日本でも知られるジェロビタールは、かの悪名高き独裁者チャウシェスク夫婦が自らの不老を願って国ぐるみで開発させたもの!という話でした。