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2016年01月15日

串揚げ各種

三越劇場で新派公演「糸桜」を観た帰りにコレド室町内の串亭で旧友のモリと食事。
「糸桜」は河竹登志夫著『作者の家』を原作にした新作で、河竹先生の奥様からご招待チケットを2枚頂戴したので元ぴあの演劇記者だったモリを誘い、三越劇場も新派公演もお互いン十年ぶりとあって、懐かしさ一杯の観劇と相成った。『作者の家』は別にそれほどドラマチックに書かれた作品というわけではないだけに、一体どんな風にドラマ化するんだろう?と思って見始めたが、斎藤雅文の脚色と演出はさすがに達者なもので、みごと新派らしい舞台に仕上がっている。信州の田舎から出て来た繁俊青年がひょんな成りゆきで江戸歌舞伎最後の大作者河竹黙阿弥の娘お糸の養子となり、狂言作者になるよう仕込まれながら、それを裏切って学者になるまでの二人の葛藤が、イプセンの「人形の家」を一つのモチーフにしながらもさほど深刻にならず終始ほのぼのしたムードで描かれて、往年の新派家庭劇を髣髴とさせる展開だ。下座音楽をからめて賑々しく且つ軽快なテンポで運んだ演出を可としたい。江戸娘がそのまんま老女になったようなお糸は波野久里子がニンにぴったりの適役で好演し、繁俊青年に扮する市川月乃助も、この人は昔の段治郎だよね?こんなコミカルな演技が出来る人だったんだ〜と妙に感心させられた。後に演劇学者の泰斗となる河竹繁俊博士の半生をややコメディタッチで描いたところがこの芝居のミソだろうか。それにしても久里ちゃんはちょっと太めになったとはいえ、声と雰囲気は昔とあんまり変わらないのがいい。


コメント (1)


私も昨日、「糸桜」を観ました。歌舞伎を見始めた頃に読んだ「作者の家」「黙阿弥」がとても面白く、渋谷に行った折に<松濤の家>を見つけた事も思い出しての観劇でした。小説や映画の舞台を歩くのが好きで、たまたま開いていた木戸から中をのぞき見させてもらいましたが、あの家は今も残っているのか。月之助という念願の俳優を得て、新派が活気づいた様ですが、3月国立公演は大劇場でどれだけ席が埋まるのか、気になります。
今週は、語学力の衰えを嘆き、デヴィッド・ボウイの訃報にかつてのコンサートを懐かしむ今朝子さんと痛く共感、シンクロしておりました。

投稿者 ウサコの母 : 2016年01月16日 12:17

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