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2015年10月23日
フィガロの結婚
昨夜の「〜庭師は見た!〜という副題が付いた野田秀樹の新演出による「フィガロの結婚」では、へ〜こんなしっちゃかめっちゃかな話だったんだ〜と、この超有名なオペラのストーリーを再認識させられたものだ。もちろん舞台やテレビ中継ですでに何度も見ているはずなのだが、正直いって原語での上演だと歌詞の内容までは追い切れないし、筋はアウトラインを知ってりゃ十分だと思い込んでいたふしもある。今回は原語と日本語を交えた上演で、字幕の訳詞も野田自らが手がけただけに、文字を目で追いながら、ええっ(!_+)となったり、笑いが込みあげてきたりするし、歌手も「アホか」とか歌ったりするわけなので大変だろうけど、その分この原作が本来持っていたのであろう「家政婦は見た!」的なセレブな一家のスキャンダラスな日常を描いた猥雑な雰囲気がストレートに伝わってはくるのだった。時代は日本の幕末か明治の開国期、伯爵夫妻とお小姓のケルビーノは黒船で乗り込んで来た人たちという設定で海外の歌手が、夫妻に仕えるフィガロとスザンナ始め他は全員日本人の歌手が演じている。故に両者の身分差が視覚的にくっきりと浮かびあがって、現代ではもはや理解できない伯爵の理不尽な欲求も意外とリアルに見えてくるのだ。つまりは歌舞伎の扮装をしていると現代人には異常にしか思えない話もそれなりに成り立つようなものだろうか。実際に人形振りのような歌舞伎の演出をやたらに取り込んでいるのを見ると、野田秀樹もそこらあたりをしっかり計算に入れたように思えてくる。それにしても、よくぞ本格的なオペラ歌手を相手にここまでの芝居仕立てを要求したもので、日本人の主演ふたり大山大輔と小林沙羅は若いながらに歌も芝居も結構達者だったし、お誘いを戴いた馬友オペラ歌手のSさんも絶賛して、「海外組の伯爵夫妻を完全に喰っちゃってた感じだよね。わざとそういう配役にしたのかと思うくらいよ」とのこと。演劇寄りの私は相変わらず野田カラー満載の衣裳を含めた舞台美術に多少辟易はしつつも大変面白く観られたし、野球が大リーガーとの距離を短くしてきたように、今や日本のオペラ界も決して捨てたもんじゃないように見えたのだから、今回のような思い切った試みも海外招聘オペラに偏りがちな愛好者の多い日本では決して悪くない取り組みだと思うのだけれど、それは「フィガロ」という私でも口ずさめるような曲がいくつもあるような超有名作品で、しかもドタバタ喜劇風の味わいを持つストーリー内容だからこそ可能だったのかもしれない。とにかく今回はコワイモノ見たさだからB席を取ってもらったのだが、Sさんの歌の先生が出演なさっている関係で3階最前列ド真ん中席で観られたのは超ラッキーでした(*^^)v
写真は今晩食べた「豚肉の玉ネギ醤油焼き」で豚肉を玉ネギ林檎ニンニクのすり下ろしに酒砂糖醤油胡麻油すりゴマを混ぜ込んだタレに漬け込んで胡麻油で焼いたもの。下に敷いた付け野菜は小松菜ともやしの塩胡椒炒め。もちQP料理です。