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2015年07月16日
野菜ビュッフェ
渋谷パルコで「マクベス」を観る前に恵比寿の「春秋」で食事。
シェイクスピア作「マクベス」の登場人物20人を佐々木蔵之介が一人で演じるという話題の舞台。精神病患者という設定で、それを診る女医と看護師も登場するため、その筋にからむセリフが挿入されるかと思いきや、全セリフが「マクベス」から抽出されて、しかも設定と部分的に噛み合っているところがミソであろう。それによって「マクベス」という劇自体が殺人者の心の揺れと、被殺人者の衝撃をストレートに伝える作品に見えてくる。三台のモニター画像を使った演出はそれなりに功を奏していたし、一瞬ハッとさせられたのは水を張ったバスタブに沈んでマクベス夫人に変身するシーン。蔵之介もマクベスよりむしろマクベス夫人のほうを活き活きと演じているように見えた。ただし 20 人を演じ分けることには高度に使い分けられたエロキューションが必要であり、それには正直相当に苦戦している印象が否めなかった。