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2015年07月14日
関西行
いや~暑いですね~が日本全国で聞かれ始めた先週末は、すでに皆さん暑さ馴れしている関西で過ごした私。まず11日の午後は大阪梅田にある大和ハウス本社の大ホールでフォーラムディスカッションにパネリストとして参加。会場を満杯にした聴講者はなんと北海道や鹿児島という遠方からもお越しになっていて、いくら無料でも申し込み多数で抽籤時は10倍もあったというのだから驚いてしまう(!_+)いずれも熱心な方々で、討論の最中には個々のパネリストに対する質問状が沢山回ってきて、各人とても全部にはお答えしきれないほど様々な意見が寄せられた。
パネリストはそれぞれ五分ほど自分の基調意見を述べた上で討論に移ったが、橋本五郎氏はさすがに読売新聞の方らしく、憲法改正や安保法に賛成であり日本の国体は天皇制に維持されている旨を堂々と主張され、これに対して津川雅彦氏は俳優という職業柄政治的な発言はなるべく控えたいとしながらも、日本人のDNAは世界中で最も多種の要素を含んでいて要は単一民族というのは幻想で本来は雑種であることや、今年は皇紀二千六百七十五年に当たるということよりも、縄文土器という文化のほうを大切にしたい旨をやんわりと述べられた。
私は日本人の誰もが今非常に気にしている地震を始めとした天災被害の歴史的な事例を江戸時代の史料に基づいていくつか挙げた上で、災害の多いリスキーな風土が日本人にもたらした気質として、根拠のない楽天性、平等主義、協調性の高さと裏腹の同調圧力の強さ、個々に確信が持ちずらい分だれかが大きな声をあげるとそれがご託宣のようになって、ついふらふらと従ってしまう付和雷同性、異常事態が起きやすい分、当事者が究極の無責任体質に陥りやすく、また指導者に対する責任追及が甘い点などを指摘した。
これだけ書くとお互い相当に噛み合わない議論になっただろうと想像されるだろうが、井上章一氏が大変ソフトなムードで司会役を果たされて結果、さほど破綻することなく話が次々と続けられ、聴講者からは色んな意見が聞けて大変面白い討論でした!という声があがっていたのは主催者として何よりだろう。
この夜は関西グルメ情報誌『あまから手帖』の穴田さんに天満の「なにわ料理 有(ゆう)」でご馳走になり、なにわ割烹ならではの料理をどれも美味しく戴いた。中でも特筆すべきはサエズリ(鯨の舌)と大阪しろ菜の炊合わせと沖鰻の白焼き(写真)で、蛸壺に潜り込んで捕まってしまったという天然の沖鰻は大変に脂がのっていながら、その脂が口中ですっと溶けてしまい全くしつこい感じが残らない逸品といえた。浪花割烹では法善寺横町の「喜川」という名店が今や老舗として知られているが、その系列の「有尾」という店で修業した店主は実に気さくで感じのいい方なので、大阪出張の折は是非また寄らして戴こうと思いつつ、次の晩に訪れた祇園の「川上」でその話を店主の加藤氏にしたら、何と同世代で旧知の親しい間柄だったのがわかって、やっぱり世間は狭い!というか、同じ関西の日本料理業界なのだから知ってるくらいは当たり前なのかもしれない。「有」で敢えて鱧を避けて沖鰻を戴いたのは「川上」でふんだんに出ると読んだからだが、まず目の前で作ってくれる落とし(写真)のほかに珍しいフライや鱧ご飯などを堪能した。何しろ京都は鱧祭という異名まである祇園祭の真っ最中で、12日は17日の山鉾巡行を前に鉾の曳き初めが行われていて、コンコンチキチンの祇園囃子がナマで聞けたのも何よりでした。
13日は亡母の墓参りをした後、この日が手術日となる妹のダンナを日赤にお見舞いし、お茶の阪本先生の祇園宅へご挨拶に伺って、ご推薦戴いた近所のイタリアン「リゴレット」で食事。ここは地の利がいいし、美味しいし、ランチが本当にリーズナブルなので、今後も利用したい店である。ともあれ関西行は何かとグルメ旅になりがちなのが堪りません(^^ゞ