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2015年06月10日
メンチカツといとよりのソテー
新国立劇場で『東海道四谷怪談』の初日を観る前に伊勢丹内の西櫻亭で食事。
14日の講演を前にどうしても観ておく必要を感じたのだが、やはり観て正解だった。なるほど南北はこんな風にも演じられるのか!と、いささか意表を突かれた舞台で、こちらが話す内容にも大いに関わってきそうである。直助権兵衛を丸ごとばっさり大胆にカットした外はストーリーもセリフも意外にそのまま活かした台本を、森新太郎は極めて異化した形で演出しており、これについては賛否両論あろうと思うが、良くいえば刺激的な舞台といえるのかもしれない。何しろ髪梳きのメリヤスが「乙女の祈り」には、とっても驚かされた。面白いのは、かつてのアングラが歌舞伎から情念のようなものを抽き出そうとしたのに対し、この演出では全体にコミカルさを強調する分、少しも情念的には見えないのである。一つにはお岩を演じた秋山菜津子が情動性よりも知性を感じさせる女優だからということもあるだろう。一方、伊右衛門を演じる内野聖陽がいわゆる二枚目的な演技を一切排している点が、この上演をありきたりの「四谷怪談」にはしなかったといえそうだ。隠亡堀の場面は舞台機構の使い方がユニークだし、大道具小道具共に従来通りではない仕掛けがいろいろとあって、それなりのスペクタクル性を供している。というわけで14日に話す前には多くを書けませんが悪しからず。
コメント (1)
内野さんの伊右衛門は興味深々です。歌舞伎でしか四谷怪談を見た事が無いので髪梳きに流れるミュージックが乙女の祈り(@_@;)大阪でも公演されるようですが、見ようかな?
投稿者 お : 2015年06月11日 22:12