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2015年04月05日
リチャード二世
昼は女義太夫「はなやぐらの会」、夜はシェイクスピアの「リチャード二世」と、全く接点のない舞台ながら双方共に聴き応え、見応えがあってとても充実した一日でした\(^O^)/ただし連日の疲れもあってヘトヘトで、感想は今日中に書ききれずに寝ちゃう恐れもあるのでその点はご容赦を。
先にたった今見てきたばかりの蜷川演出「リチャード二世」だが、この芝居は日本でほとんど知られていないものの、本国では「リチャード三世」と並んで名優はどちらをやりたいかが分かれるほどの重要な作品であることを元シェイクスピア・カンパニーの主演女優だった中島晴美さんに教わった。で、今回の舞台はそのことが十分に肯ける作品に仕上がっていることがまず驚きといえそうだ。スター級の役者を揃えた大劇場の芝居ではなく、出演者全員さいたまネクストシアターとゴールドシアターのメンバーであるにもかかわらず、大変にメジャー感のある舞台として見られたのはやはり偏に蜷川マジックのなせるわざであろう。とにかくイメージ豊かなビジュアル面の膨らませ方によって、この作品は「リチャード三世」よりも遙かに普遍性を持った、人間社会そのものの真実を映し出した芝居に見えてくる。登場人物全員男は紋付袴、女は黒留袖という日本で親族が祝いの席に集合したような風景に仕立てたオープニングとエンディングは、この作品が一族間の権力抗争であるのを物語ると同時にまた、権力抗争そのものが普遍的にドメスティックであることをも象徴しているかのようである。王と王に臣従する者がタンゴを踊るシーンも印象的で、これも権力は常にエロチックであることをストレートに象徴する恰好だ。タイトルロールを演じる内田健司もまたビジュアル度満点なのがそうした権力抗争に敗れ去る無惨さをよりエロチックに感じさせてくれる。エロキューションのほうはまだやや一本調子になりがちで、この役の珠玉の如き名ゼリフの数々をすべて伝えきっているとは言いがたいけれど、この役の魅力を十分伝えきれただけでも及第点に値する。彼から権力を奪取する大役のボリングブルック後のヘンリー四世を演じた竪山隼太も共にスター性を備えた魅力を発揮し、他の役者たちもゴールドメンバーを含めて大いに健闘して、この作品がいずれ日本でもよく上演される有名シェイクスピア作品となるべき端緒を開いた記念すべき舞台を現出したことに拍手したい。この作品をご存じないシェイクスピア好きの方にはオススメの舞台である。
「はなやぐらの会」に関しては明日の夜に書きます。
コメント (1)
おはようございます。編集など各方面で活躍の松岡正剛(まつおかせいごう)氏が、昨日のツイッターで次のように書かれていたのでご紹介をば↓
【日刊セイゴオ「ひび」】祇園の料亭に育ってやがて作家となった松井今朝子の『師父の遺言』は、武智鉄二の意外な相貌を告げるとともに、人生とは何を遺すものなのかを教えてくれる。15/4/5 http://1000ya.isis.ne.jp
投稿者 ぱぐ : 2015年04月06日 05:59