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2015年01月27日

鰹の刺身、ブリ大根、鶏唐揚げ、焼売ほか

日本橋公会堂で「中村京蔵舞踊の夕べ」を観た帰りに近所の和食店で松竹の前川さんと食事。客席は知り合いだらけで、なんと「祇園川上」の現店主加藤氏の姿もあって少し話をしたが、隣の席が故川口秀子師の高弟牡丹さんで、神宮外苑で上演された野外オペラ「ローエングリン」や他にも武智先生の前衛劇によく狩りだされて出演なさっていた方だから、幕間に当時の裏話をいろいろと聞かせてもらったのが面白く、前川さんとは食事してこれまた松竹の裏話などが興味深く聞けた。
さて肝腎の会は「豊後道成寺」と「二人椀久」という京蔵の師匠雀右衛門の代表作といってもいいような舞踊二題の上演で、「豊後」はこの人の初演を観ており、当時は本人の熱意ばかりが前面に押しだされて観るほうはいささか食傷気味に終わったのを想い出すが、今回はさすがに巧い具合に力が抜けたのだろう、「恋の分け里〜」のあたりから俄然面白くなるこの作品の魅力が却ってストレートに伝わってきた。「恋の手習い」の件も「娘道成寺」のそれとはひと味違う、いわば熟女のクドキだし、その後いっきに段切れに向かい、一人立ちの舞踊としてダレ場のないコンパクトな曲構成もまた魅力にカウントされてしかるべきだろう。曲構成の点ではさらに成功しているはずの「二人椀久」が今回それほど弾んだ感じにならなかったのは地方のせいもあるのかもしれない。この曲は「お茶の口切り」以降の踊地がいつも滅法弾んで面白いのだけれど、本当はそれまでの連れ舞いをストイックなまでにぐっと絞り込んでおくからこそ、反動でわっと浮き立つような踊りになるわけで、今回前半の絞り込みがいささか物足りなかったのは、大曲二題を続けて演じる体力と気力の問題でもあるのかもしれない。それにしても幕切れに会主の姿が舞台にないという演目の選定はいかがなものか、という気もした。同演目で京蔵が椀久にまわり、松山を京妙で演じるという手もありそうだが、それは体力的にもっときついだろうし、考えてみたら連続して二題を完璧に演じるのはどんな役者をもってしてもなかなか難しいことに違いないのだろう。


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