トップページ > プルートウ
2015年01月09日
プルートウ
新年初観劇はシアターコクーンの「プルートウ」。手塚治虫の作品をオマージュした杉浦直樹の同名漫画を舞台化したもので、いわゆる演劇とはいささかテイストを異にするも、結構面白く見られた舞台作品である。演出はコンテンポラリーダンスの気鋭シディ・ラルビ・シェルカウイで、見逃した前回の演出「テヅカ」では森山未來のダンスパフォーマンスが評判だったので、それに対する期待だけで今回の作品を見たわりにはダンス部分の少なかったのが残念だったのだけれど、映像を多用した舞台装置のみごとな転換や、その操作もするダンサーたちの動きには圧倒された。イラク戦争後の憎しみの連鎖を彷彿とさせるストーリー展開や、ロボットから人間存在を逆照射するテーマ性もわかりやすくてビビッドである。和調を取り入れた音楽のせいばかりでなく大変に日本的な作品に感じられたのは、文楽や歌舞伎の人形振りを彷彿とさせるようなパフォーマンスが多かったせいかもしれない。テーマも含めて、外国人から見た、これぞクールジャパン!の真髄といったところだろうか。いっそ文楽もシェイクスピアよりこういうロボット物をやったほうが、本来の人形劇が持つ意味をコンテンポラリーに発揮できるんじゃないんだろうか?なんて思ってしまった。