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2014年11月07日

刺身の盛り合わせ、めひかりの南蛮漬け、がんもどき、じゃこサラダ  

シアターコクーンで『皆既食』を観る前に文春の内山さんと劇場近くの宮崎料理店「魚山亭」で食事。
その昔デュカプリオがランボーを演じた映画『太陽と月に背いて』の原作戯曲を今回は蜷川演出で日本初演した形だが、世界文学史上有名な天才詩人ランボーとヴェルレーヌの同性愛関係を戯曲は史料に忠実に描いており、演出もリアリズムに徹しているにもかかわらず、観ていてイマイチ手づかみのリアル感がなかったのは、主演のふたりが余りにも健全に見えてしまったからかもしれない。同性愛にありがちな、双方によって何度も何度も破綻が繰り返されながら、それでもなかなか別れられない関係性というものが描かれる中で、それぞれのセリフが観念的過ぎて、ふたりが互いの何に惹かれているのかや、何をきっかけにしてその都度どういう心理になっていくのかという、リアリズム戯曲として基本的に重要な描き方ができていない戯曲自体にも問題がありそうである。映画なら表情をとらえる映像でその点をカバーできても、芝居の場合は基本セリフの展開でリアリティーを出すべきはずで、原作者はどうも舞台の劇作家向きではないような気がする。セリフを聞いていると、これならいっそリアリズムでなく装置を含めて象徴的な演出をほどこしたほうがよさそうに思えるし、かといって展開はリアリズムだからそうもならず、天才詩人ふたりに特化したセリフと聞くには凡庸だし、さりとて男女の愛も含めた普遍性のあるセリフでもなく、どちらかといえばふたりの詩からふたりの人生を評論しているみたいな陳腐さがつきまとうのであった。


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