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2014年06月02日
桜エビとキャベツのペペロンチーノ
さいたま芸術劇場で村上春樹原作・蜷川幸雄演出『海辺のカフカ』の再演を見る前に与野本町駅ナカで食事。
初演の幕開きは、可動式のアクリルブースで次々とスピーディに切り替わるシーンに眩惑され過ぎて、展開が呑み込みづらいくらいだったが、さすがに再演では最初からセリフの隅々まではっきりと聞き取れて、原作の世界がすっきりと理解しやすいカタチで頭に入ってくる印象だった。大きな変更はキャスティングで、佐伯さんという謎めいた女性を今回演じる宮沢りえは、登場した段階で非日常性が際立つ唐十郎のヒロインみたいなキャラクターを思わせて、小説ならでは人物が持つ日常性の中に非日常性を忍ばせる雰囲気という点では初演の田中裕子に軍配が揚がりそうである。今回カフカ少年を演じる古畑新之は決して滑舌がいいとはいえないわりに、セリフをしっかり伝える力はある。初演と同じ俳優に関しても今回はセリフを丁寧に聞かせてくれているのか、はたまた見る側に余裕があるせいなのか、全体にとてもわかりやすく感じられたのは再演を見た何よりの収穫といえそうである。