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2014年03月05日
空ヲ刻ム者
Pメデフアの三村さんと新橋演舞場でスーパー歌舞伎Ⅱ「空ヲ刻ム者」の初日を見た帰りに近くの鉄板焼き「天」で食事。
三代目のスーパー歌舞伎を当初は割合マメに見ていて、「スサノオ」なんかはそれなりに感動した覚えもあるので、四代目が後を襲って今回初チャレンジの公演とあっては、ちょっと見逃せない感じがして初日早々に駆けつけた次第だ。で、タイトルからして何やら哲学的ともいえそうなコトバだけに、一体どんなものを見せてくれるんだろう?と興味津々だったのだが、想った以上に観念的なドラマであることには少々驚かされたというか、かなり意表を突かれた思いであった。仏師の才能に恵まれながらその仕事の意味について煩悶する若者と、地方の民衆の声を中央に届けようとして権力に近づく若者の友情を枠組みに、とにかく政治とは何か、宗教とは何か、人間の表現とは何か、さらには人間の生死とは何かといったいずれも壮大なテーマが、こうもストレートに観念的に語られるような芝居はかつて大劇場の商業演劇では存在し得なかったように思う。それでいてまるで役者にハメ書きしたように各主要人物の見せ場がちゃんとこしらえてあるし、場面的にも地味な序幕はやや説明的で退屈なのを我慢しなくてはならないものの、スペクタクル満載の大詰は、なるほど歌舞伎の伝統を踏まえた舞台だ!と納得の面白さである。何よりも「空ヲ刻ム」という観念的なコトバが主人公のセリフできちんと決着がつけられて、なおかつそれがみごとなスペクタクルに転じたところで、この舞台の成功は決まったといえる。その後の二人宙乗りや立ち回りはサービスであり、そうしたサービスで客席を大いに沸かすのもまた澤瀉屋ならではの舞台であろう。
ところで三代目のスーパー歌舞伎でも、ふつうの歌舞伎と一体どこが一番違うのかといえば、私は内容がマジメ過ぎる点だと思っていたのであるが、今回のスーパー歌舞伎Ⅱはそれにいっそう拍車がかかった感じで、四代目のホンキ度というか、この人はこれくらい観念的な芝居で初めて自分が全開できる気がするんだろうなあと感じさせたのだった。それにしても商業演劇の若き主人公に恋バナが全然ナシ!ということにもちょっと驚きで、四代目は「オンナ?僕の芝居に要ります?」てな感じなのだろうか。かくして昔の商業演劇の観客ならちょっと勘弁してよ〜と言いたくなるほど観念的なストーリーに終始するのだけれど、今の若い人なら却ってこれくらい観念的でマジな人生訓がストレートに出てくるような芝居のほうが心に響くのかもしれない。四代目は三代目とはまたちがった彼の世代の客層をみごとにつかまえているといった客席の雰囲気だったし、客層に合わせたゲストの起用も結果的に成功している。佐々木蔵之介は白塗りの違和感がまるでなく「色悪」風のニンで照れずに演じていたし、福士誠治も役柄で得をして浮かずに演じられたし、浅野和之も狂言まわしを達者に務めた。右近以下の澤瀉屋チームも初日にしっかりセリフが入って安心して見ていられるのは当然ながら、それぞれが観念的なセリフをも意外なほどの説得力を持って発していることに感心させられた。
コメント (4)
初日私も観劇しました。
説明的な台詞が多いところは好きではありませんでしたが、色々皮肉話が個人的には気に入りました。もっと荒唐無稽で辻褄が合わないところは歌舞伎の力業でなんとかする方が歌舞伎を観たという気分になるのですが、現代の作品はどうしても論理的に破綻せずうまくまとめてしまうものばかりですね。
投稿者 tucci : 2014年03月06日 13:03
四代目猿之助さんはトークを聞いてもかなり観念的、でもそれを気取らないで分かりやすく話す術を持っている。若くは無い歌舞伎ファンですが、今回のスーパー歌舞伎Ⅱは期待してます(^◇^)
佐々木蔵之助も彼が率いる劇団の舞台はスピーデーで激しい所も見せてくれますが、トークでは「京の作り酒屋」の若旦那そのまま、おっとりとしてますし、顔も色白ですっきりしてるので歌舞伎化粧は合うと思います。松竹座は4月、待ち遠しいですわ。
投稿者 お : 2014年03月06日 22:50
すんません
私には、ただの子供だましだった
本物の歌舞伎が見たい
四代目の望み通りの自己満足な自己顕示欲をみたしてた
松井先生は、恵まれた環境で、いつもうまいもんばっか食べてるから、本物の人間の苦渋とか、辛酸なめたことないから、こんなんで、感動できるんやない?
三代目猿之助が、懐かしい
本物の歌舞伎が見たい
投稿者 金田哲 : 2014年03月09日 02:51
私は、本物の歌舞伎が見たかった
四代目の望み通り自己顕示、自己満足な結果がっかり
三代目猿之助さん、勘三郎さん、団十郎さんの
本物の歌舞伎がみたい
子供だましの歌舞伎はいらないですね
投稿者 金田哲 : 2014年03月09日 03:10