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2013年11月29日

八百善

今日は午前中に家を出て、湘南新宿ラインでいっきに鎌倉へ向かい、今年の五月から明王院のそばに開店された「八百善」に伺った。
八百善はもちろんご存じの方も沢山いらっしゃるだろうと思うが、長らく江戸文化牽引役の一端を担ったともいえる名料亭であり、今や自称老舗が氾濫する日本料理界において江戸時代からの存在が数々の有名史料によって客観的に証明される唯一といってもいいくらいのホンモノの老舗である。別に料理は老舗だからいいというわけでは全然ないのだけれど、時代小説を書く人間としては、取材対象にできるこれまた唯一といってもいいような日本料理店であって、中でも酒井抱一や大田蜀山人、葛飾北斎、渡辺崋山といった錚々たる江戸文化の担い手と親交を持ち、彼らにサロンを提供していた四代目栗山善四郎(写真)という人物にはかねてより興味を持っていたのだが、この度は茶道誌「なごみ」で、四代目当時の八百善を舞台にした時代小説の資料集めの過程を一年連載することになり、今日はまず現当主十代目善四郎氏へご挨拶に伺ったのだった。
十代目さんからは大変親切なおもてなしを受け、四代目当時の素晴らしい道具の数々、将軍家御成りの節に使用された屏風、抱一や蜀山人の書画、八百善を描いた錦絵の数々、意外と無雑作に大量に仕舞われている当時の貴重な資料を拝見させて戴いた。いっきに目を通すことは不可能だし、また家伝の教えやお話もいろいろと伺わなくてはならないので、今日は取り敢えず早いめに引き揚げたものの、今後何度か足を運ぶことになりそうである。興味をお持ちの方は「なごみ」の連載か、その後の単行本化をお待ち下さい。小説にするのはさらにそのあとになります。
帰りは久々に整体の寺門先生のところへ行って治療を受け、自覚があった通りに甲状腺の腫れを指摘された。「やはり疲れでしょうか?」と訊いたら「これはもうホルモンが頑張ってカラダを保たせてる感じですよね」と言われたので「要するにランナーズハイ状態なわけですね」と返した私である。今日は帰宅後に三本まとめて100枚超の原稿を仕上げて入稿もしており、このところなんだかそんなに疲れを感じてないのが怖いほどだったが、なるほど甲状腺ホルモンの分泌過多で補っていたというわけだったのである。「がくっと来ないよう、なんとか治療しておきます」と先生にいわれて、年内いっぱい気の抜けない状態が続きそうだけれど、こちらも注意せねば!と思われたのでした。


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