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2013年10月08日

カレーディナー

シアターコクーンで蜷川演出の「唐版・滝の白糸」を見る前に渋谷東急レストラン街の「新宿中村屋」で食事。
唐戯曲の中でもとりわけポエチカルな短編というべきこの作品は、自分でも言ってみたくなるようなセリフが沢山あるからこそ、却って誰が演じてもこれがベストという感じがしにくいのだろうか。とにかく今回はベテランの平幹二朗もヅカ出身の大空祐飛も、唐戯曲に不馴れなためか、ついつい独自のレシテーションに逃げ込んでしまっている感じが否めず、それがいささか興を削いだことも否定できない。もっとも終演後はヅカファンによるスタンディングオベーションが鳴り止まなかったので、唐戯曲そのものと蜷川のダイナミックな演出は不馴れな観客をもある種の感動に導くだけの力をしっかり備えているのであろう。セリフ術もさることながら、祐飛がやたらと正面切った演技をするのは、果たしてヅカ時代のクセなのか、あるいは蜷川演出の指示なのか、それがちょっと気になってしまった。唐戯曲に付きものの彼の分身であるナイーブな少年もしくは青年役アリダを演じる窪田正孝は、共に芸の色が濃い平幹と祐飛の両人にはさまれても、役者ぶりが大きく見えて、今回出色の出来といえそうである。


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