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2013年06月18日

ライバルたちの光芒

TBSのBSで毎水曜日夜10時から全国放送の一時間番組「ライバルたちの光芒」の収録のため、今日は午前中に家を出て青山のテレビマンユニオンのスタジオ入り。出演依頼を受けるまで正直いって全く知らなかったのだが、数々の絵画資料や写真及び再現ドラマを含めたVTRでたとえば武田信玄VS上杉謙信といったふうな歴史上のライバルを取りあげ、それぞれの人物に詳しい識者をゲストに迎えてトークさせる番組なのだった。で、今回は九代目團十郎VS五代目菊五郎で、どういうわけか私が菊五郎を応援する立場としてご指名を受け、團十郎は中川右介氏が担当された。これがNHKだと依頼を受けた段階でまず担当者にお会いして事前にいろいろと打ち合わせがあり、担当者がこちらが言うであろうことを汲み取られた上で台本が作成され、その台本をもとにリハーサルがあって本番という段取りになるのだけれど、民放の場合そこまでキメキメにしないのは、ずいぶん前に関西テレビに出演した時になんとなくわかったのだった。今回はそれ以来久々の民放番組で、たぶん結構アバウトな感じのフリートークになるんだろうな〜との予想通り、VTRはすでに作られていて、スタジオ用の完成台本が昨日の夕方メールで来た。台本といっても一応の流れと司会者のセリフは書いてあるものの、中川氏と私の部分はほとんど何も書いてなくて、打ち合わせの段階でもそれを訊かれるわけではなくすぐに本番突入。で、いざ本番スタート直後に中川氏のぶっちぎりトークが続いて、このままだと私はひと言もしゃべらないことになるのかも?と不安になって口をはさんだところ、今度は私が長トークになってしまい、そこから司会者の高橋英樹さんも参入して台本をどんどん逸脱したかたちでの完全フリートーク状態になった。ご存じの方もいらっしゃると思うが、高橋英樹さんはもともと二代目尾上松緑丈に弟子入りして時代劇の所作を習った俳優さんなので、当然ながら松緑さんを始め色んな役者さんから直に話を聞いてらっしゃることもあって、非常に興味深い話を沢山してくださるのであった。たとえば五代目菊五郎が何百本の手拭いを自分で所持して、役によってどの手拭いを使うか常に考えていたというような話を私がすると、「ああ、それ僕よくわかります」と合いの手を入れられて、そこから長谷川一夫の話になり、「長谷川先生も行李二函にぎっしり詰まった手拭いを僕に見せられて、高橋君、この役にはどの手拭いがいいと思う?ってお訊きになたことがあったんですよね」というような調子で台本から逸脱していくのであるが、その逸脱していく部分が聞いていて非常に面白かったし、また放送には使えないようなぶっちゃけトークも炸裂して、こっちは何だかとっても得したような気分だったとはいえ、収録後はスタッフの方に思わず「まとめるのが大変ですよね〜」と心配したほどである。ともあれ相当な部分がカットされるにしても、どんな風にまとめて放送されるのかちょっと想像もつかないし、毎回こうしたスリリングな収録で臨機応変の対応をなさっている高橋英樹さんとTBSの高畑アナやスタッフの方々に敬意を表したいくらいだった。
で、担当プロデューサーの八幡さんはたまたま私の父のことをご存じで、それというのも京都三条の瑞泉寺のご住職でもある画家の中川学氏の従妹に当たられる方で、中川学氏は大徳寺真珠庵の山田住職とわが父親と共によく三人展をなさっているからだった。中川氏の絵は拙著「幕末あどれさん」の幻冬舎文庫版の表紙でご覧戴くことができるが、この時の起用もヒメの判断によるもので、私はまったく与り知らなかったとはいえ、やはり何かと御縁がある方なのだろうという気がしたのだった。それでいてまだ一度もお目にかかったことがないので、今度帰京した折には是非ともお訪ねしなくてはなるまいと、今日つくづく思ったのでした。


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コメント (2)


昨日は、お世話になりました。私は、ちゃんとテレビに出るのは初めてで、いろいろ失礼があったと思います。申し訳ありません。書かれた通り、ぶっつけ本番と言ってよく、何が何やらわからないまま、終わりました。
放送、楽しみなようで、どんなふうになっているやら、不安でもあります。

投稿者 中川右介 : 2013年06月19日 21:37

ぜひ放送日を教えて下さい。
ノーカット版が見たいですが、そこはテレビなのでそうとう編集されていると思います。

投稿者 tucci : 2013年06月20日 14:35

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