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2013年02月09日

ビーフカレー

資生堂製のレトルトをゲット。急にカレーが食べたくなって手抜きしました。
NHKの團十郎特集で懐かしい映像を見た妹から「もう天国の歌舞伎が見たくなった」というメールが来たが、せめて「冥土の歌舞伎」といってほしいのはともかくも、まあ、そういいたい気持ちはわからないでもない。私なんかホント物心がついてどころか、はっきりと意識して見だしてから半世紀も経つのだから、今の歌舞伎はもう見て文句いうのも気の毒で、見てあげないほうがいいんじゃないかと思っってあまり見ないのだけれど、肉体と共に消え失せる芸術の儚さというものをつくづく感じさせられてしまう昨今である。まだそれでも歌舞伎はましなほうだと思うのは、追善興行があるばかりでなく、襲名すると先代やもっと前の役者まで世間に想い出されるからで、考えてみれば襲名のメリットは本人よりもむしろ故人にあるのかもしれない。
本当に死んだらというか、死ぬ頃には何が何だかわからなくなってるもんなんだなあと去年つくづく思ったのは、春日野八千代と山田五十鈴と森光子の三人がそろって亡くなったからで、はっきり言ってあとの二人の全盛期とは格違いもいいところの存在だった森光子が、亡くなった時に一番騒がれることになるだなんて、一体だれが想像できただろうか!
NHK出版のWEB連載「師父の遺言」で実は一番苦労しているのが註の執筆で、何しろ舞台芸能の演目や演者を次々と紹介しなくてはならず、なるべく簡潔に書こうとしてウィキペディアなどネットを参考に見ても、これが全く恐ろしいほど何の参考にもならない!!!という話は前にも書いた。舞台は同時代に生きている人以外にはそれが持っているエネルギーや意義や雰囲気やその他もろもろのことをかりに同時代に書かれたものを読んでも理解できないので書きようがないにしても、現在舞台によく出演する人気俳優に関してもTVで露出している以上のことはほとんど書かれてなかったりするから、所詮ネットの情報はひょとしたらあらゆる分野でナマのものにちゃんとは触れていない、かすってる程度の人たちによって占拠されているのではないかという気もするのだった。こうして現代はあらゆる点でベンリさとチープさが共存していることの問題が今後の人間をどんなふうにしていくのか、甚だ心もとない感じを抱かざるを得ないのだが、それとはまた別にナマに触れなくて済む人間がどうしようもなく増えていく現実が今後に何をもたらすかの問題もさまざまに心配される。まあ、いずれにしろ先に逝っちゃう人間が心配しても始まらないのであるが。


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コメント (3)


私も、「アラビアのロレンス」の跡を巡ってシリアを旅した時、言葉も不自由で不安でしたが、長距離バスの車内でアイス最中を買ってくれた若者や、アレッポの市場で、はにかんで「マダム!」とキュウリをくれた男の子など、現地の人達が皆親切だったのが強く印象に残っています。報道でシリアの惨状に触れる度、1日でも早く平和が訪れるように、と祈る気持と共に、思い切って行って良かったと思わずにはいられません。
昔から石井好子や沢村貞子の食のエッセイや料理の本を読むのが大好きなので、「江戸の献立」、とてもうれしいです。気に入ってる「宮部みゆきの江戸レシピ」も、同じ福田さんの著作でしたが、今朝子さんの随筆に加えて専門的な解説と美しい写真に、日常のささくれ立った心も穏やかになる気がします。

投稿者 ウサコの母 : 2013年02月09日 23:30

最近は本を読んでいますと、素人でもわかる誤記をよく見つけます。きっちり校正して出版していると信じていたのでびっくりしています。ウィキペディアは参考程度にするには便利なサイトですよね。本当に怖いのはいい加減に書いたもののや、テレビを疑いもせず、鵜呑みにする人がいるということだと思います。

投稿者 tucci : 2013年02月10日 08:07

私が今度の勘三郎と團十郎のお通夜を見て、驚いたのは「近親者」と限られているのに、仕事で会っただけの方が「自分は近親者だ」と思って押し寄せたことです。 東京の山手人は、ある意味で京都風の遠慮があって、「近親者」とされたら、遠慮して、後日別の方法をとります。何回か仕事で会っただけの人が「近親者」と思うのは、江戸ッ子風に言うと、笑止千万。思い上がりなのですが、いまはそうなのでしょうね。

投稿者 東京人 : 2013年02月13日 17:42

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