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2012年06月12日
薮原検校
「薮原検校」はパルコ初演で観た木村光一演出の印象が頗る強くて、蜷川演出バージョンを観た時にどうも腑に落ちなかったのだが、今回の栗山民也演出は師匠である木村光一の影響を多分にうけながらも、さらにこの戯曲のテーマをくっきり浮きあがらせて感銘深い舞台を創出している。明日は朝が早いので多くは書けないが結構オススメの舞台だ。主演の野村萬斎も近ごろの舞台では出色の出来といってもよく、とにかく変に利口ぶった役作りをせずに、この人ならではのチャーミングさを発揮して思った以上の好演である。脇役陣も揃っており、中でも秀逸なのは塙保己一を演じた小日向文世。彼の好演によって薮原検校の存在が極めて明解になり、二人が共に敵に回すふつうの人びとの「世間」が暴かれてゆくという、極めてブレヒト的なお芝居であるのがよくわかる。
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