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2011年07月01日

ハンバーグステーキ

にしすがも創造舎体育館で大規模修繕劇団旗揚げ公演/清水邦夫作・蜷川幸雄演出「血の婚礼」を見る前に池袋ルミネのつばめグリルで食事。
「大規模~」はシアターコクーンが改修工事で休館中にプロデュースされる蜷川幸雄演出の公演を総称するものらしく、旗揚げの今回はやはり盟友清水邦夫の戯曲が選ばれたようだ。
ロルカの同名戯曲にインスパイアされたこの作品は、人間の原初的な営みに対する問いかけがさまざまなモチーフとして清水ならではのリリカルなセリフで綴られており、ビデオショップとコインランドリーに挟まれた路地という舞台設定は、蜷川が文化勲章受章祝いのスピーチで宣言した通りの「猥雑な」昔懐かしのアングラ的な空間として蘇っている。今日の日本で人間の原初的な営みに対する問いかけをすれば、それは必然的に不条理な運命に弄ばれる人間のレクイエムとならざるを得ないだろう。憤りを全身で表現しながら行進する鼓笛隊の少年少女たち。警報と共に凄まじい勢いで通過する何かを呆然と見送る人々の群れ。立ち入り禁止の黄色いテープでふさがれた舞台全体。いずれも震災と原発事故後の日本人が置かれた不条理な状況を視覚や聴覚に強く訴えかけるあたりは蜷川演出ならではだろう。キャストでは中島朋子の生々しいまでのリアルな役作りに、これまでの清水作品の上演にはあまりない新鮮味が感じられた。伊藤蘭は清水らしい観念的かつ詩的に美しいセリフをよく観客の耳に届けさせている。男優陣の中心となるのは窪塚洋介で、存在感には彼独特のものがあって魅力的には映るのだけれど、前回の『血は立ったまま眠っている』に比べると、今回はいささか戯曲の中で自ら位置を掴み損ねていたような気がする。とにもかくにも上演時間の半分以上?に本水(ほんみず)の雨を降らせて、ほぼ全員ずぶ濡れになりながらの舞台だから、観客は涼しそうでいいけれど、役者さんは皆さんお疲れ様でした。


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