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2011年03月24日
春野菜の天ぷら
旧友モリと一緒にわが家で食事。外交官夫人のモリは去年の夏、夫が9年ぶりに米国から本国勤務となって帰国した際、機内の収納ボックスから取りだそうとしたトランクが落下して胸を強打し、肋骨を10本以上も折るという災難に見舞われて即時入院。自宅療養にして半年以上たった今も痛みはまだひかないそうで、なんとか外出ができる程度には回復したものの、家族以外と晩ご飯するのは今日が初めてなのだとか。「まだ揚げ物は怖くて自分で出来ないから、どうしても春野菜の天ぷらが食べたいんだよねえ」と聞いて、先日たまたま岡野夫妻から新鮮な野菜を頂戴したし、野菜の天ぷらなら外食するよりも家で揚げたほうがよかろうと思い、タラの芽、レンコン、カボチャ、椎茸、アスパラガス、赤高菜、葉ニンニク、菜花のほかにホタテ貝とイカを揚げて食した。
機内で胸を強打した時は肋骨を10本以上も折る痛みで凄まじい悲鳴をあげたにもかかわらず、周囲の席に座っている多くの日本人がみな見て見ないフリで視線を下に落として固まってるのには心底ビックリしたという。「ふつうアメリカじゃ考えられないのよねえ。恥ずかしいというのもおかしいし、あれは一体なんなんだろう。それでいて隣に座ってた女性は降りるときに私に向かって、本当に何もしてあげられなくてゴメンナサイって泣いてるんだよねえ」と聞いて、確かにその反応は一体なんなんだろう???と思ってしまった。
「今度の震災でも、私たちに何ができるんだろうかってTVでよく問いかけてるでしょ。あれも凄くヘンな感じがするんだよね。何ができるんだろうかって考えるよりも先に何かやっちゃってるのがフツーじゃないかと思うわけよ。有名人が何人か多額の義援金を出して話題になってるけど、それもあんまり少なすぎておかしいって娘が言うのよ。アメリカならもっともっと大勢の、たぶん名前の知られている人たちは全員が出すはずだからね。たぶん日本には日ごろから寄付するという習慣がないせいだとは思うんだけど」とのこと。
「放射能の件では、とにかく日本人は騒ぎ過ぎだってカレ(夫)なんかは言ってるわねえ」と聞けば、「だってそれはアメリカのマスコミが騒がせてる面もあるんじゃないの」と私は反論。「そういえばとても親しいニューヨークタイムズの記者がCNNか何かで話してるのをたまたま聞いてたら、とても真っ当な報道をしてたんで、カレに○○さんが出てたわよって言ったら、どうせまた日本政府はウソをついてるみたいな報道をしてたんだろって言われちゃって、○○さんはちゃんと常識的な報道をしてたわよって、弁解しなくちゃならなかったわねえ」とモリ。要するにアメリカのマスコミにもお騒がせの人がいて、それに日本人が振りまわされているから、外交官であるモリのダンナは相当アタマに来ているらしく、「宮崎にいる妹のところへ娘を一時避難させようかと思ったんだけど、カレに言ったらバカバカしいのひと言だったわよ」とのことでした。
「それにしても、鎮火のさせ方があまりにもまだるっこしいのはちょっとビックリだわよ。アメリカだったら爆撃機で突撃するみたいなカタチでもっとイッキに片づけちゃうだろうなあ。犠牲になっても、やらなきゃいけない時は誰かがやるんだという雰囲気がまるで違うんだよね。たぶんそれは戦争をする軍隊が無いせいなんだわよ。だからといって、無いのがいけないとは決して思わないんだけどね」「う~ん。それは本当になかなか難しい問題だよね~」と私。アメリカンヒーローが待望され出現する背景にあるものを考えると、必ずしもそういう社会が望ましいとは思えないのである。今度のようなことがもしアメリカで起きたらどうなっただろうか?と訊けば、「そりゃんだかんだいっても、アメリカは経済力にしろ教養の度合いにしろ、日本とは比較にならないくらい甚だしい格差があるから、そりゃもっと大変なことになってるでしょうねえ」との答でした。
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コメント (3)
もしお時間ありましたら、ご覧ください。お友だちの外交官ご夫妻にも、ぜひ。
ベラルーシで5年半にわたりチェルブイリ後の子供達の診療に当たった、管谷昭医師(現・松本市長)の会見です。
1/2
http://www.youtube.com/watch?v=GDorB4NBnNg&feature=mfu_in_order&list=UL
2/2
http://www.youtube.com/watch?v=rmtagrqu13o&feature=mfu_in_order&list=UL
武田邦彦中部大学教授
http://takedanet.com/
山内正敏氏(スウェーデン在住の研究者)
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html
投稿者 waysea : 2011年03月25日 03:01
時折松井さんのエッセイにお名前の出る、親友モリさまですが、今日拝読していてアレっ?!って思い当たるのでしたが。
我が80代お姑さまの小学校時代からのお仲間の『超秀才君モリさん』のお嬢様なのだろうと・・・。
「お気の毒なの、お嬢さんが飛行機でトランクが落ちて来て骨折されて、なかなか治らないそうで。」と言っているのを、ふ~んとかテキトーに聞いていた後日ワタクシも。
新幹線の網棚から隣席の男性の荷物(文明堂のカステラの大箱がびっしり入った大袋)が我が肩に落ちて来て、ダウンの衿が幾層かにかたまっている部分に受けてセーフでしたが、ジンワリ痛くて泣きそうでした。しかし、臨席男性は、特に謝らず(??)、周辺も無言でした。「アメリカなら」見解を、我が家でもひとしきりでした。
今回も米企業とその社員からの寄付金額は凄いです。夫が所属している所なども、社員の寄付1ドルに対して会社が1ドル足すという形です。しかし、日本人の良さも多々現れている日々です。アメリカ人の善意の率先、日本人の静かな忍耐、など、幾つもの道筋に希望を繋ぎたいところです。
投稿者 かぶきまま : 2011年03月25日 11:53
初めてコメントします。器用にアメリカのええとこどりが、出来たなら、いくらか日本が進んでいける気がします。
座席の上から落ちてくる荷物事件(名づけて、今そこにある危機on網棚)のはホンマに危ないですね、これから私も気を付けます。
男が降ろすのを、手伝うのが習慣化してたら、ミセスモリが大けがせんで済んだのに。防げた事故ですよね。
投稿者 毎晩晩酌 : 2011年03月25日 19:39