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2011年03月19日
人さまざま
被災地多賀城の市職員の方から当ブログ宛てに、現地が少しずつ復旧しているとのご投稿を戴いたのは何よりで、これから本当に大変でしょうが、今のところは頑張ってくださいとエールを送るしかありません。
今は個人で何かお送りしてもお手間を取らせるだけかと考え、こちらで義援金に応ずるばかりですが、もし私個人に何かできるようなことがあれば仰言ってください。また宛先をお知らせ下されば幸いです。
明治の三陸大海嘯については、私も「円朝の女」を執筆した際に当時の新聞に目を通して知り、吉村昭氏が何に拠られたのかは存じませんが、今改めて日日新聞を読み直すと、当時直後は実況も原因もわからなかったようで、国民新聞によれば本吉郡の歌津には二丈有余(7メートル)の大高潮があったとされ、最も詳しい数字はハワイでの異常潮位の観測で記録されています。徐々にわかっていった被害の甚大さは敢えて記しませんが、当時の日本は日清戦争が終わった直後で、ほかの土地にも天災が相次いだ未曾有の国難だったにもかかわらず、世界各国から(当時でさえ)同情の声が寄せられ、わずか二ヶ月の間に、各新聞社に寄せられただけでも義援金の総額は40萬(いまだと80億くらいか?)を下らないとあります。本格的な復旧に至るまでの被災地の方々のご苦労を思うと何ともいえない気持ちになりますが、私たちは私たちで平常の暮らしを続ける中で、気持ちを参らせないようにして、できるだけのご支援をするよう頑張って行きたいと考えております。
私は今日やっぱり乗馬クラブに行きました。引っ越したばかりなので、互いに名前を呼び合える人と顔を合わせて話す空間が、今の私には乗馬クラブしかないのです。クラブで会ったオペラ歌手のSさんに、「家族や連れ合いや、職場で同僚と一緒にいながら精神的に参っちゃってる人がいるのは困ったもんだわよ。私なんかこの間ずっと独りで耐えてんだからさあ」と冗談まじりに愚痴ったところ、「いや~一緒にいると却って余計に心の振れ幅が大きくなるのよ。だから私は家族と別れてここに来るようにしてるのよ。ここに来てる人は違うんだよね」とSさん。「確かに乗馬はたった独りで闘わなきゃなんないって感じるときが必ずあるもんね」と私。「そう、いつもキケンを覚悟してやってるからどこかで肚がすわってるのよ」とSさん。
ほかにも来ている会員さんは意外なほど多くて、ソフトウエア制作のMさんや広告関連会社のSさん、人事畑のSさんや私と逆に埼玉から東京に引っ越したばかりのNさんたちから、この間の計画停電による通勤ラッシュの大変さをいろいろと聞かされた。「もう毎日グッタリですよ」と一様に口をそろえながら、やはり皆さんクラブに来ているのである。それも一体いつまで続けられるか、明日のことはだれもわからないから、出来る時に、したいことを精いっぱいしておきたいと考える人たちもいるのだった。
人は本当にさまざまで、私がとても意外だったのは、いわゆる「男を売りたい」と思うような人がなる職業だと考えていた政治家が、この間どうも現地入りを全くしていなかった事実である。物流を自らの選挙区に誘導して選挙民にアピールするということもないようだし、責任の所在不明をタテにとって政府への協力も積極的にしたがらないとなると、一体どうやって自分たちの存在理由を証明するのだろうか?ただただ不思議な気がしている。政治家なんてそんなもんだと最初から見切っている方も多かろうが、なんだか世襲でやってるうちに根本的な職業意識の動機づけの部分が欠落してしまったように思われてならない。
片や名の知られた財界人でリタイアして外国に移住し、帰国して都内のホテルに永住すると決めていた方から電話があって、早々と京都のホテルに移住されたのを聞いたときも、正直いって、人間そんなに長生きしてもまだし足りないんだ~とビックリしたものである。
義援金詐欺メールも出まわっているようだし、そんな法律に触れる犯罪行為でなく、合法的な金儲けをこの間大いに画策している人たちも沢山いるのは明らかで、だからといってそれらを非難するには当たらない。皆それぞれに自らが生きようとする本能に従って行動をし、だから買い占めだって起きるのである。
「武士道といふは、死ぬ事と見つけたり」の一節で有名な『葉隠』には「我人、生きる方が好きなり。多分好きの方に理が付くべし」とあって、要するに人間だれしも生きるほうが好きなのであって、だから、たぶん好きなほうにいくらでも理屈をつけるのだ、というような意味である。そこを超越した「葉隠」的な精神で、被災現場や原発事故現場で実際に奮闘してくださっている方々もあることを、私たちは今ただ感謝するしかない。
この間の私は、本当に人はさまざまであることをわが目でじっくり見ているだけであって、所詮、物書きはそれくらいのことしかできない存在なのです。
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コメント (4)
今日の内容は心に染み入るようでした。しかし、義捐金に関しては、迷いが多々あります。本日外出すると自民党による義援金を駅前で呼びかけていました。少しでもと思う気持ちはあるのですが、これから先の復興や、自宅を失った人への補償等に使われるなら迷いはないのですが、ずるずるべったりに本当に困っている人に使われず、必要でないものに使われるのではないかという不信感がぬぐえずなかなかできません。必要経費に半分くらい使われるのは普通のことだろうと思うので問題ないのですが、個人の家の建替え代金には使われないだろうし国は補償しないし、余って使いようがないということにならないかととても不安です。収支決算を出すわけではないので、わかりませんが、地元に残ろうと決意した人々を本当に支援できる義援金募集があれば少しでも募金するのにと思うのですが、今朝子様は義援金を募金すればそれであとは天のなすままと思われますか?
しょっちゅう疑問をぶつけてすみません・・・。
投稿者 nao : 2011年03月20日 02:39
私も現時点では義援金でしか支援が出来ないと思い、住んでいる市に持って行きました。raoさんのおっしゃる事も解りますが、今は必要な所に義援金全てを使っていただけると信じようと思っております。事態が落ち着いてから衣類などを送るつもりです。
松井様がおっしゃている「男を売りたい」と思う人がなる政治家の事が、殆ど報道されないのに私も殆どの友人も疑問を持っております。一郎選手が個人的に1億円、久米ひろし氏が2億円寄付したり、韓国の支援特別版組で3億6千万円集まったのというニュースは聞きますが、不用意な発言で顰蹙をかった鳩山前首相、麻生下首相など腐るほど資産のある政治家から義援金が送られたというニュースは聞いたことも有りません。
政治家が、個人的に寄付等をするのは難しいという話も聞きますが、(政治活動の一環と見なされるらしいです)未曾有の災害時に、政治活動の為と取らないのは私一人でしょうか? 個人的な寄付がダメなら、全国会議員からとしての義援金を出す方法もあると思うのですが。 雲隠れが好きな小沢一郎さんは、こんな事態になっても地元入りをしていないとはあきれてものも言えません。 的外れなコメントであればお許しください。
投稿者 mso : 2011年03月20日 15:49
昨日コメントした者です。私自身は市職員ではありません。単なるいち市民です。私の昨日の文章が、誤解されやすいものだったこと、お詫びします。今、被災地の公務員はこんな風にネットを覗く余裕はないはずです。
ところで、昨日、多分松井さんの通っていらっしゃる系列の乗馬クラブの馬が救出される映像を見ました。津波に1キロも流されて泥にはまっていたそうで、泥から抜けた途端にへとへと・・って感じで横倒しに寝てしまっていました。よくぞ生きていたものです。こういうニュースは嬉しいです。
投稿者 鈴木 : 2011年03月20日 21:04
フリージャーナリスト上杉隆さんのツイッターによると、
この一週間損得考えずに動いた政治家は原田、川内、河野さん
だそうです。皆政界では異端児といわれ中心からはずされて
きているとか。(私はこういう人こそ応援したいです)
原田一博さんのツイッターでは、確かに色々動いてくれて
います。要望があったら要望するといいと思います。
田中康夫氏も棄民状態の南相馬市に物資を調達して運搬中の
ようです。
以上は私が知っている一部の人たちですが、テレビには出てこない
色々な情報をネットやツイッター、にこにこ動画などで
調べることができます。それを取捨選択するのは各自が
すればいいと思います。
とりあえず情報まで。
投稿者 nana : 2011年03月20日 21:12