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2010年07月19日

ハンバーグステーキ

新宿紀伊国屋サザン・シアターで井上ひさし作「黙阿弥オペラ」を見た帰りに高島屋レストラン街のつばめグリルで食事。終演10時なので先に食べておいたほうがよかったかもだが、池袋の東京芸術劇場はもちろんのこと、このサザン・シアターも三茶のときよりも往き帰りがラクになったのは埼玉方面と結ぶ電車のホームが南口に近いせいである。乗りかえもないし、往きも帰りも座れる時間帯だったから、本を読んでいたらアッという間に着いてしまった(^_^)/
「黙阿弥オペラ」は故人が新作の執筆を断念した時点で替えた演目だそうだが、やはり劇作家としての思いをストレートに河竹新七こと黙阿弥(吉田鋼太郎)に代弁させるシーンになかなかの説得力があった。明治新政府からオペラを書けと命じられた黙阿弥が、果たして観客にそれを見たいという欲求があるのだろうかと問いかけ、銀行という新たな金融のシステムなど明治政府の推進する事業の何もかもが、ただ西洋の上っ面を真似て、民衆という観客を置いてけぼりにした「こわいろ」に過ぎないと看破することで、それは近代日本の、ひいては現代の日本に対する痛烈な批判ともなっている。ドラマの前半はやや冗長散漫で、話が転がり損ねてはいるものの、黙阿弥のオペラ論議で盛り上がって、やさしいラストシーンに救われた感じの芝居だ。黙阿弥の「鋳掛け松」を髣髴とさせる五郎蔵役を藤原竜也が達者に演じて「ムサシ」に勝るコミカルな味わいを発揮し、熊谷真実も老け役で健闘している。武士役の北村有起哉も前に見た「小林一茶」のときとは見ちがえるくらい舞台姿がよくなっている。内田慈はユニークなキャラの持ち味が舞台に巧く活かされていた。


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