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2010年01月23日
お茶の水図書館文化講演会
小沢氏が都内某所で事情聴取を受けていたころ(?)、私は池の坊お茶の水学院6階講堂で講演をする前に文春の内山さん、スラッシュの進藤さんと一緒にお昼の会席弁当をたっぷり頂戴してお腹がイッパイなので今日は晩ご飯ヌキです。
同図書館は「主婦之友」の創業者石川武美氏によって設立された石川文化事業財団の運営によるもので、女性誌等の専門図書館として有名であるにもかかわらず、まず会場を見渡すと、男性の受講者のほうが多いような感じだったのがちょっと意外で、講演タイトルが「語りと文芸~円朝をめぐって」だったので落語ファンの方が詰めかけてらっしゃったのかもしれない。もっとも話の内容はほとんど落語とは関係なく、もっぱら明治期に西洋文化の影響下に誕生した近代小説の文体に関する考察で、「あの円朝の落語通りに書いてみたらどうか」と坪内逍遙に勧められて二葉亭四迷が、「言文一致」による近代初の小説を『浮雲』を書いたというふうに世間一般では通っていながら、その逍遙が自身では「言文の一致という事は予が主眼とする事にあらず」と明言していることのナゾについて、私なりに思うところを述べたのだけれど、聴講していた進藤さんにいわせると、「相変わらず情報量が多すぎてバクハツしちゃってる感じだけど、まあ、手抜きしてるふうには聞こえなかったから、いいんじゃないの」と実に冷ややかな反応でした(苦笑)。
なにしろ『浮雲』や『当世書生気質』やら、今日ではもう一般にはほとんど読まれていないであろう逍遙の『小説神髄』の話をわりと熱心にしたのは、近世文学の影響下に育った人間の近代小説に対する極めてプリミティブな取り組みに、私自身が妙に共感できるからだろう。そういう点では今どき稀なタイプの作家かもしれません。講演後の控え室に、次の講演をお頼まれしている日本近代文学館の吉原氏がお訪ねになったので、「今日の話こそオタク向きだったですよね(笑)」と申しあげたくらいだが、その講演は「昭和」をテーマにしていて、私には「昭和の歌舞伎」について話してほしいとのこと。これはまだまだ先の7月末に開催される講演で、場所は有楽町の読売ホールだそうです。
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