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2009年12月16日
餃子&ラーメン&チャーハンセット
シアターコクーンでケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の「東京月光魔曲」を見る前に近所の「王将」で食事。
最近ケラの芝居がとてもいいという評判を聞いていて、でも今回の芝居は瑛太と松雪泰子の主演というのがちょっとひかかっていたのだけれど、ふたりとも意外に健闘し、ことに瑛太は夏に見た『怪談牡丹灯籠』とは段違いに演技力がアップしているし、俳優としての魅力も感じさせる。とはいえ、この役を例えば藤原竜也がやればもっと説得力のある舞台になったかもしれない、と見ていて正直思ってしまった。それだけ重要な、難しい役でもあるのだった。
ドラマ自体は昭和4年という時代設定で、昭和大恐慌が起きた年でもあり、エログロナンセンスの時代とも呼ばれた日本の首都「東京」を背景に、当時流行ったカフェーやレビュー、動物園、新興宗教などさまざまな風俗現象が描かれて、連続猟奇的殺人事件や變態性欲者や近親相姦がモチーフとなっているというふうに書けば何だかおどろおどろしい舞台のようだが、実のところはもっと可愛らしい印象であるのはやはり作家の年齢の問題だろう。唐十郎や寺山修司を見馴れた目には、どうしても「魔都」を描き出す迫力がイマイチ不十分なのである。もっともケラのセンスは昭和の「新青年」文学的なセンスと決して相容れないものではないような気がするし、今回はとにかく盛り込みすぎで整理がつかずに尻切れトンボに終わった憾みがあるから、今後少し熟成を待ってもう一度この手の試みに再チャレンジを期待したいものである。ドラマとしてラストシーンのセリフは悪くなかったし、シーンとしては瑛太のと伊藤蘭の近親相姦的なからみが印象に残る。犬山イヌコと大倉孝二は相変わらず笑わせてくれた。
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