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2009年12月08日
海老カレー
お茶の稽古の帰りに麹町の欧風カレー専門店「プティフ・ア・ラ・カンパーニュ」で食事。
今日はこのブログをご覧になっている先生からいきなり昨日わたしが観た芝居の話になって「ほかからもいろいろ噂が耳に入ってるえ~」とのこと。先生が芝居好きのせいもあってか、この稽古場には古典芸能関係者やファンの方も多いので、今日はほかにもなにやかやと歌舞伎の話になった。で、ある方が「勧進帳」の引っ込みの飛び六方でなんと「最近は手拍子が来る舞台もあるそうなんですよ」と仰言ったのはちょっとビックリで、なるほど客層も相当に変化しているらしいのがわかったのだけれど、演じている役者たちの心境や如何に?といったところで、「バカヤロー!てめえら何考えてるんだー!!!」と怒りだすわけにもいかないのだろうし、案外いい気分だったりするのかもしれない。所詮は芸能だから、そのうちそういうことが定着したとしても決しておかしな話ではないし、現在に慣習化されているかけ声だって当初はなんでそんなバカなことをするんだ!と顰蹙を買っていたかもしれないのである。むしろ本当に困ったことは、手拍子までして盛り上がってくれていた観客が、数年も経たないうちに、サーッと潮が引くようにいなくなっちゃうかもしれないという現実のほうであろう。今は鯛焼き屋が大流行りだが、ちょっと前に流行っていたメロンパン屋って一体どこに消えちゃったんだろう?てな現象に、私たちはいつの間にか馴らされていて、今はもうなんだかそれも当たり前のように思っているのだけれど、流行り廃りは昔からある習いとはいえ、近年はそのサイクルがあまりにも短かすぎるからとてもコワイのであった。「歌舞伎の新作もええけど、ちゃんとあとに残る新作をしっかり書いてほしいわ」と先生が仰言ることもよくわかる一方で、本当にその「あと」ってあるんだろうか?という不安が、こと歌舞伎に限らず日本文化全般に及んでいて、まあ地球にだって「あと」があるかどうだかわからないんだから、とにかく目先のことだけなんとかやるっきゃないでしょう、てな風潮がどこもかしこも蔓延している状態が、政治にしろなんにしろ、現在のありとあらゆる分野から活力を奪っているような気もするのでした。
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コメント (4)
勧進帳で手拍子が来たのは実際に見たことがあります。びっくりしました。役者は楽しそうに見えました。
あとが続くのかどうか、ということはもともとの三之助時代にも言われていたことだと思いますが、いまここで行われていることを受け止めるための、基本的かつ積極的な受容のキャパシティが、とくに若い世代で欠けてきていることが非常に気になっています。
それがある程度のレベルで保たれれば、たぶん変わって行くにしてもなんらかの形で「続く」のだろうと思いますが。
投稿者 なみ : 2009年12月09日 00:14
こんにちは。手拍子の件ですが、三津五郎がやんわりとですが、インタヴューの中で苦言を述べていました。
勧進帳での手拍子がはっきりと耳につくようになってきたのは、私の記憶では團十郎が倒れた海老蔵襲名の勧進帳あたりから。もしかしたら、もっと前からかもしれませんが。
投稿者 羊猫 : 2009年12月09日 09:07
勧進帳の手拍子とは直接関係はないのですが、
能の上演後の「拍手」もどうかと思います。
まぁ、観客が来てるだけでもマシなくらいの
ジャンルになりつつあるのかもしれませんが…。
投稿者 西尾 : 2009年12月09日 10:10
あらゆる舞台で、近頃の観客は自分も参加したいという意欲(?)が旺盛だと新聞で読んだ覚えがあります。
投稿者 阪本 : 2009年12月09日 20:04