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2008年12月01日
そうだ京都、行こう(笑)その一
サントリー宣伝部長の久保田クン、翻訳家の香川さんと一緒に『文藝春秋』の同級生交歓に出たことがきっかけで、久々に京都にあるわが聖母学院小学校の学年同窓会が11月29日の土曜日に開かれることになったが、このシーズンの京都はJR東海のCMみたいに「そうだ、京都行こう」と思ったらすぐに宿が取れるわけもなく、久保田クンのコネクションを頼んでやっとなんとか一部屋押さえてもらったら、ひとりで行くのが勿体なくなり、元ミセス副編集長の福光さんをお誘いして、日曜日に紅葉狩りを楽しんでから帰るつもりが、折しも『週刊現代』からまさしくJR東海キャンペーン企画ページ「古仏巡礼」のゲストを依頼されて、なんと向こうでその仕事も入れることにしたのだった。
土曜日は東京でギリギリまで仕事をして6:30の開宴時間に滑り込みセーフ。隣に座ったMクンが「お互い55歳なったなんて信じられへんよなあ」と言った通り、四十数年ぶりに会う皆さんには小学校時代の面影がハッキリと認められ、全員の顔と名前もわかるのは何しろ1学年120人程度という少人数の私立校だったおかげだろう。中でとんでもない悪ガキだったのが医者や学校の先生や銀行マンになってたのはビックリだったし、小学生当時は全く知らなかったが、学校がなにせ伏見にある関係で「黄桜」や「玉乃光」の娘がいたということも今回わかった。ご主人と死別して社長になった女性もあれば、孫の誕生と自らの再婚が重なった艶福家の女性、息子がNASDA勤務で地球を離れるかもしれないと心配する女性やソロプチミストの会長として活躍する女性、短歌に打ち込む女性などなど、同世代で頑張ってる皆さんの消息が聞けたのはうれしかったし、いずれも年頃の娘や息子を抱えて縁談をよろしくと言い合う姿は微笑ましく、3次会までお付き合いして投宿するホテルに向かい、福光さんと落ち合って寝たのは午前2時過ぎ。翌30日は朝早くにホテルで朝食済ませていよいよ紅葉狩りに向かった。
2008年12月01日
そうだ京都、行こう(笑)その二
去年のちょうど今ごろは東山方面の金福寺や真如堂を見てまわったので、今年は西山方面を目指し、なんと定番中の定番「嵐山&嵯峨野」にチャレンジ。京都生まれの私と女性誌のベテラン編集者だった福光さんが、行くにことかいて初心者コースを辿ることもなかったような気はするが、とにかくシーズンたけなわの日曜ともなればどこに行っても紅葉山より人の山とあきらめて、投宿したグランビアホテルから地下鉄東西線の利用で比較的便利に行ける場所を選んだわけである。
案のじょう桂川沿いの人出は凄まじいものだったけれど、二人して久々に来れば「やっぱり観光地の定番には、それなりの値打ちがあるよね〜」という結論に達したのであった。渡月橋から見た優美な山の形やまさしく錦秋の色合いといい、鬱蒼とした竹林と間隙にちらつく深紅のコントラストといい、ここには人を惹きつけてやまない古典的ともいえる美が確かに存在する。前を通り過ぎただけのスポットも多かったが、これまた定番の天竜寺や大河内山荘、化野念仏寺、常寂光寺などは拝観料をしっかり払って見たところ、紅葉の色が一番鮮やかだったのは化野念仏寺で、常寂光寺は素晴らしい眺望に恵まれながらもこの日はすでにほとんど散っていて残念だった。
晩ご飯は福光さんが「死ぬまでに一度食べてみたいんですが、松井さんはカメ族と一体化してるからダメですよねえ」と言われ「別にいいですよ」とお答えして狂喜乱舞されちゃった『大市』のスッポン鍋である。創業330年の超老舗で志賀直哉の『暗夜行路』にも登場するこの店のスッポン鍋を、私は子供のころに一度食べただけだったので、改めて自腹を切ってその値打ちを確かめてみた。スッポンはあきらかにカメの一種だけれど、そもそも可愛いから食べたくないという発想は、私にはまるで理解できないのである。なら牛は可愛くないのか?なんで牛を食べて、鯨を食べちゃいかんのか、目の前にグリーンピースの人がいたら胸ぐらをつかまえて詰問したいくらいに腹立たしい問題である。ともあれ、ここのスッポンは臭みがまるでなく独特の脂の甘みとコラーゲンたっぷりの表皮のぷりぷり感がとても美味しくて、うちで冬眠してるあの子たちもひょっとしてこんなに美味しいんだろうか?と不埒な想像を逞しうしたほどだ(笑)。スッポン以外に何も加えない鍋というのも潔く、仕上げの雑炊がこれまた絶品で、老舗にしろ観光地の定番スポットにしろやっぱり侮れないよねえ〜という気持ちで今度はライトアップされてる清水寺に向かい、ふたりして「ナニこれ〜!まるで初詣状態じゃない!!! 」と呆れながら夜間撮影に励んだのであります(笑)。
2008年12月01日
そうだ京都、行こう(笑)その三
日曜の夜に福光さんが帰京されたあと、私は京都ホテルオークラに投宿し、朝6時に起床して仕事に備えた。JR東海キャンペーンの企画ページ「古仏巡礼」は色んなお寺の仏像を訪ねて住職とお話をするというものだが、私が訪れることになったのは「目疾地蔵」の通称で知られた四条縄手にある仲源寺だ。比較的知名度の低いこの小さなお寺は編集部サイドがたまたまご提案になったのだけれど、わが実家の近所にあって、子供のころは母親のお供で毎日お詣りをしていた場所だからちょっとビックリしてしまい、喜んでお引き受けしたのだった。掛け持ちでお忙しくて早朝8時の指定で面会できた住職に「これぞまさしくご仏縁ですねえ」と申しあげて色々とお話をお伺いし、その後ホテルに戻って朝食を食べながら記者の増田さんから色々とご質問を受け、編集部の方々と別れたあとは妹と落ち合ってお茶の阪本先生の家にご挨拶に行き、お昼は「川上」のカウンターで点心を食べていたら色々な方が訪ねてこられてご挨拶をしていると思いのほか時間が経ってしまい、なんとか2時半の新幹線に乗り込むと車中で早速PCを広げて原稿の手直しをし、5時半過ぎに帰宅して『吉原十二月』第1回分の入稿を無事に済ませてほっとひと息。ああ、しんど〜の一日でした(笑)。
2008年12月02日
人参とソーセージのピラフ、ブロッコリーのポタージュ
QPで見た料理。ピラフはみじん切りにした人参と玉ネギと米をバターで炒めて輪切りにしたソーセージと水を足し、塩胡椒で味付けしてふつうに炊く。パセリのみじん切りを仕上げに混ぜ合わせる。人参は先に入れてじっくりと炒め、米も透き通るまで炒めること。水は米と同量。弱火で10分炊いて10分蒸らす。スープはブロッコリーと玉ネギとジャガイモとのスライスを少量の水で軟らかく煮て、マッシャーで潰してからミルクで徐々にのばしてゆく。塩胡椒で簡単に味付け。ブロッコリーは芯も皮を剝いて使うといい。2品とも安上がりに出来て栄養のバランスがいいのでオススメ。
昨日の疲れが出たせいか、けさは9時過ぎまで寝てしまい、仕事が思ったより捗らなかったので、このブログにあまり多くの時間は避けません。悪しからず。
コメント(2)
ここにお書きしていいかどうか迷いましたが、「紫扇幕間ばなし」の聞き書きや歌舞伎座の毎月の筋書き等、長年歌舞伎界で役者インタビューをなさり、歌舞伎の素人の私共にも親しみやすい文章を書いていらした土岐迪子さんが7月に天に召されてました。歌右衛門の動物好き、ぬいぐるみ好き、ピーターラビットの絵の中でも一番歌右衛門が好きだったのはベッドにもぐって耳だけ出してるピーターなど、もしや歌右衛門がお好きなお二人同士、接点がおありだったかも知れないと思いました。
投稿者 ウーピー : 2008年12月03日 22:57
土岐迪子さんは勿論お名前とお顔は存じておりましたが、劇場ですれ違って会釈をする程度で、お話するどころかちゃんと口をきいたこともなかったのです。早くお亡くなりなって実に残念です。
投稿者 今朝子 : 2008年12月03日 23:39
2008年12月03日
きつねそば
新国立劇場でコルネイユ作「舞台は夢」を見た帰りに近所で食事。
同じフランス古典劇でも、ラシーヌやモリエールはともかくコルネイユともなれば演劇史の教科書で名前を知ってるくらいだし、これを見逃すとまず目にすることはないように思えたから、正直あまり期待しないで観劇したのだが、その割は意外と面白く感じられたのはひとえにお国ぶりの反映というべきか。コルネイユはシェイクスピアより少しあとの時代の人で、日本の同時代は若衆かぶきが盛んだった頃だけれど、少し下って元禄歌舞伎の戯曲にやや似ている点があり、三者を総括してバロック演劇という観点で眺めると、やはり「アムールの国」ならではの恋愛模様の複雑な描き方に圧倒されるのだった。シェイクスピアと比べたら女心の機微がはるかにアクティブに描かれており、ことに召使いリーズの役は高田聖子の好演と相俟って活き活きと立ちあがっている。芝居全体を劇中劇として締めくくるエンディングも17世紀当時の作品としてはなかなか洒落れたもので、私個人として演劇史的興味を大いに満足させられた。
2008年12月04日
ネギ焼き、キノコの焼きそば、鶏の照り焼き、豆腐サラダ
お茶の稽古の帰りに三村さんと麹町の「文字平」で食事。ここでは必ずネギ焼きとキノコの焼きそばを注文するが、今日初めて食べた伊達鶏の照り焼きもGOOでした。
今日は稽古に行く前にスラッシュの事務所でTBSラジオ制作の谷口さん、キャスターの中村さんと打ち合わせ。「永六輔その新世界」というナマ番組に出演して三軒茶屋をご案内するのだが、収録は明後日の土曜日だったのに、私は来週だと思いこんでいて大慌て!!朝8時半から始まる番組なのでちゃんと声が出るのかしらと心配にもなる。永六輔さんとは前に一度お会いしたことがあったが、あれからもう20年も経つのかと思えば、永さんってお元気だよなあ……と唸ってしまう。何せ私の子供の頃からすでに活躍されている方なので、生涯現役ということの凄みを改めて感じさせられるのだった。
TBSの方に引き続いてお会いしたのはNHKの上村プロデューサーで、こちらは「知るを楽しむ」という番組で連続8回放送の出演依頼だから、いくらなんでも大変なので最初はお断りしようと思ったが、京都の妹にちらっと話したら「あの番組、わたし好きやねん。あれはええ番組やさかい、お姉ちゃんゼッタイ出よし」と非常に強く勧められ、ならば一度お会いしてお話だけでも伺うことにしたのだった。内容は歌舞伎についてで、いわゆる初心者向けの紹介ではなく、私独自の切り口による解説や考察を披露し、事前にテキストも作らなくてはならないから相当なエネルギーが要る。私の今の本業はあくまで小説であって、現在の時点で『道絶えずば、また』の連載はようやく最終回を脱稿したものの、『円朝の女』シリーズはあと1本の連載を残しており、『吉原十二月』に次いで今日からやっと『銀座開化おもかげ草紙』シリーズPART3を書き始めた段階で、3本のストーリーを進行させているだけでもうアップアップ状態である。こちらとしてはせめて『円朝の女』の最終回を脱稿した段階でならという条件を出し、NHK側の放送予定とすり合わせた上で、お引き受けするかどうかはひとまずペンディングとさせて戴いた。
コメント(2)
ホンマニお忙しい事と思いますが、私も「知るを楽しむ」のファンで御座いまして、出来ましたら歌舞伎について松井様のお話しをお聞きしとうございます。しかしNHKは先にテキストを発行ですから御無理かもしれませんね。
投稿者 お : 2008年12月05日 23:05
「知るを楽しむ・歌舞伎」の件、(今、私が一番聞きたい歌舞伎の話は、まさに、この企画!)と少々、興奮してしまいました。どうにか時間をやりくりして、お引き受け頂きたいのですが……。
「知るを楽しむ」は私も好きな番組で、録画保存しているシリーズもいくつかあります。そして、「ぴあ歌舞伎ワンダーランド」や「歌舞伎はともだち」は、読むたびに新たな発見があり、今も手元に置いている身としては、それらの執筆当時とは違った、今の視点での新しい手引書を見せて欲しいのです。小説でもたっぷり楽しませて頂いてますが、NHKが保有する厖大なお宝映像・資料を駆使して、独自の視点、考察を映像化した番組は、考えただけで歌舞伎ファンには素晴らしく魅力的です。以前、G先生から、これ以上、仕事をしてはいけない、とコワい宣告されたお話を思い出すと、これ以上過酷な仕事を受けるよう、お願いするのも大変に気が引けるのですが、かなり先になったとしても、どうか実現させていただきたいのですが……。
投稿者 ウサコの母 : 2008年12月06日 13:15
2008年12月05日
上方寿司、30品目サラダ
整体治療の帰りに東横のれん街でゲット。
昼食のパンを買いに外へたら、時ならぬ冬の嵐で吹き飛ばされそうになった今日の私である。自然が猛威を振るうばかりか不況の嵐も凄まじく、ホンダがF1から撤退するというニュースが流れ、自動車産業のみならずあらゆる企業で人員削減が問題になるなかで、出版業界は大丈夫なんだろうかとそぞろ心配になるが、長らく不況が
続いているので今さら別に…って感じなのだろうか。
私は好不況の波をもろにかぶる水商売の家に生まれたので、もともと安定志向が強いほうではないし、だからこそこれまで興行界だの出版界だのに関わって生きてきたわけで、人も世も浮つ沈みつする習いと心得てはいるのだけれど、今回はただの不況というよりも地球規模で人間社会のパラダイムが大転換する第一歩ではないかというような予感もする。つまり修辞的なポストモダンでなく、人類はこれから本当に「近代」と決別するのだろうし、たぶん漠然とそう感じている人もけっして少なくはないはずだが、転換の帰着点をわかりやすく明示してくれる存在がいまだ出現しないことが徒な不安を生み、刹那的な判断に陥りやすくさせるのだろう。
それにしても日本の政治の場当たり的対応は目に余る感じで、国民の不安を却ってますますかき立てるという、なんとも皮肉な存在と化している昨今であります。
2008年12月06日
スペアリブと白菜のスープ煮
昨日のQPで見た料理。豚のスペアリブをさっと湯通ししてから、水に浸けて1時間ほど煮る。アクをしっかり取って、ネギの青い部分、生姜の皮、粒胡椒を入れて煮るのがポイント。塩で味付けしてざく切りした白菜を入れてさらに30分ほど煮込んだらできあがり。豆板醤や万能ネギ、みじん切りした生姜などを薬味として添える。調理に多少時間はかかるが、手間いらずなので忙しいときにもオススメ。
けさは8時半からTBSのラジオ番組「永六輔その新世界」にゲスト出演し、自宅周辺を歩きながら「燻製屋ヌーベ」や「グッチーナ」や「足立ベーカリー」やふだん行きつけの店を紹介したりなどして、ラジオは非常にパーソナルなメディアとして進化したのだという事実を改めて実感した。こんなに電波をワタクシしちゃっていいんだろうかという気にもなるが、今やそれこそがテレビに負けないラジオの強みなのだろうと思う。ご自宅で聞いてらした近所の方が駆けつけてくださったり、差し入れしてくださったりするのも有り難かった。さらに有り難かったのは永六輔さんと武智先生のお話ができたことで、これは以前に一度お引き合わせくださった女優の中村まり子さんにも感謝申しあげなくてはならない。永さんは昨日たまたまなのだろうとは思うが、まり子さんとお会いになって私の個人情報をしっかりチェックされており、なんとカメの話もたくさん出て、最後に局のほうから伊豆の亀族館「アンディランド」の情報まで流したのはビックリだった!!!な〜んてマニアな放送なんでしょう(笑)。
ところで永六輔さんと以前一度お目にかかったのは武智先生が亡くなられてしばらくしてからで、「僕は武智鉄二に憧れて、あんな人になりたいと思ってたんですよ」という発言をまり子さんが聞いて、私に会わせてくださったのであるが、お会いしたときに「僕はあなたのずっと前に武智さんの演出助手をしていて、『アイーダ』のオペラなんかを手伝ってたんですよ」と聞いて心底ビックリしたものである。武智先生は過去の話をほとんどなさらない方だったので、永六輔氏との関係を聞いたのはそれが初めてだった。
武智演出による二期会のオペラ『アイーダ』は昭和33年に神宮外苑の大競技場で7万人を観衆を集めた上演記録が写真と共に当時の「婦人画報」に掲載されており、有名な凱旋の場面では千人のコーラスが動員され「馬、ラクダ、羊、そして象までが音楽に合わせてグランドをぐるっと一周し、やんやの喝采を拍した」と記されている。当時としては、いや、今でも日本のオペラとしては考えられないスケールの上演だったといえるだろう。永さんはその演出助手を務められたのだった。
ちなみに武智先生はこの『アイーダ』とほぼ同時期に舞踏家の土方巽らを使って「ヌード能」なるめちゃめちゃセンセーショナルなパフォーマンスをぶちあげているが、このときの演出助手は茂山千之丞師と後に『細腕繁盛記』や『どてらい男』で一世を風靡した花登筺氏であった。考えれば考えるほどやっぱり先生はなんだか物凄くヘンな人だったのである。
2008年12月07日
鶏照り焼きと野菜のサラダ
乗馬の帰りに東急フードショーでゲット。今日はクラブ恒例の餅つき大会で、つきたてのお餅をたくさん頂戴したので晩ご飯は炭水化物を避けました(笑)。
先週は京都行きで1回お休みをしたために、昨日TVドラマ『男装の麗人』で黒木メイサ扮する川島芳子が馬に乗るシーンを見ても、ああ〜乗りたい〜という気持ちでイッパイだったから今日の寒さもなんのその、夜になってしんしんと冷え込む馬場でユニクロとホカロンのお助けを借りて、最終レッスンまで受けてしまった私であります。
送迎バスの乗り場で出会った登山が趣味の女性会員Sさんには開口一番「きのうラジオ聞いたわよ」といわれてビックリ。もともとSさんは「永六輔その新世界」という番組の中でも私の出た「乙女探検隊」というコーナーの大ファンでいつも聞いてらっしゃるそうなので、「どこが面白いんですか?」と訊いてみたら、聞いているうちに風景が立ってきて、自分がその町を歩いているような気分になるからだという。なるほど言われてみれば、音声だけだと映像があるよりもむしろ想像力が刺激され、バーチャル感が増すこともあり得そうな気がして、実に興味深いお話だった。Mさんにも「三軒茶屋ガイド聞きましたよ。『燻製屋』というのに一度行ってみたいですねえ」といわれ、どうやらあの番組はファンが多いらしいのであった。で、児童書出版社のTさんには「NHKの『知るを楽しむ』僕もファンなので、是非お仕事受けてください」といわれ、ブログには「お」さんや「ウサコの母」さんからご投稿も頂戴しており、これもやっぱり人気番組らしい。片や私が小説を連載する媒体は一般の目に触れにくいので、一体ナニをしてるんだと思われるかもしれませんが、一応毎日せっせとやってるのは小説を書くことなので、まとまって単行本になったら皆さん読んでくださいね。
ので、
2008年12月08日
筑前煮
レシピは不要でしょうが、醤油を入れるのはかなり遅らしたので写真で見たほど濃い味付けではありません。私は出汁で煮る前に具材をごま油でさっと炒めるようにしています。今日の具材は鶏もも肉、ゴボウ、ニンジン、茹で筍、コンニャクのみ。干し椎茸を加えればもっと美味しくなるし、絹さやを足すと彩りよく仕上がります。
きのう乗馬クラブでオペラ歌手のSさんから頂戴した清水ミチコのライブDVDを見ながら食事。Sさんのお友だちが清水ミチコの元マネージャーで、私が彼女の大ファンだといったので頂戴したようである。ライス長官の物まねに始まって、24時間TV「愛は地球を救う」エンディングのパロディに終わるまで存分に楽しませて戴いたが、中でもユーミンらしい曲をユーミンらしい感じで歌った「リキュールの恋人」や有名女性歌手各人の歌唱法解説入りの歌姫メドレー、「千の風に乗って」の秋川雅史の物まねは非常に面白かった。
ところで最近の彼女のレパートリーにはアソー君の顔まねもあるようだが、そのアソー君の支持率が新聞各紙の調査で20パーセントちょっとにまで急降下したというのが今日一番のニュースであった。これは今さらという感じで、コメントもできないけれど、アソー君の担ぎ手の旗頭だったはずの鳩ぽっぽ弟までが最近はあからさまに批判めいた発言をしてるのがひっかかっていて、彼がアソー君を見限るに至った最大のきっかけはなんだったのか知りたい。もっとも「自然と共生する文明」を理念に掲げた彼がアソー君を担ぎ上げる気になった理由もわからないといえばわからないのであった。もしかしたら、僕らふたりともええとこのボンのわりに、どうしてこんな悪人づらに生まれちゃったんだろう?というような連帯感でもあったんでしょうか。
2008年12月09日
鯛の豆豉蒸し
QPで見た料理。塩でしめた鯛の切り身に酒でふやかしたトウチをまわしかけて蒸し、白髪ネギ、生姜の千切り、香菜をトッピングして食す。蒸すときに白髪ネギを作るとき余った青い部分や生姜の薄切りを加えること。電子レンジ用鍋で簡単にできた。
NHKの『クローズアップ現代』を見ながら食事。今日は例の「田母神論文」の背景や余波を取りあげていて、この問題の不気味さを改めて考えさせられた。
日本国民は政治家をうっかり放っておいたために、気がついたらとんでもない連中がのさばっていて、今さら取り返しがつかないといった感じで悩まされているのだけれど、自衛隊も放っておくとどうなるかわかったもんじゃないと感じさせてくれただけでも、この問題が明るみに出たことはよかったのかもしれない。臭い物にはふた式で自衛隊をずっと日陰の存在にしておくのがいいのかどうかも気になるところで、もうそろそろ実態に釣り合う国民の確固たる共通認識を得る必要があるようにも思われる。そのためにはまず何よりも過去の歴史をアジア諸国の同意も得て、しっかりと認識しなくてはならないはずだ。田母神氏が持論を公にした背景には森→小泉→安倍と清和会系の政権が続いて、ことに小泉、安倍が国民的人気を得たことが大きかったのだろうし、実際にこの間タカ派的発言を堂々とする代議士が急速に増えているという事実もある。
それにしても私がこの問題で一番憂いたのは実のところ田母神氏なる人物の風采と態度と発言の内容よりも仕方であり、私とは5つ違いでほぼ変わらぬ世代の人としては余りにもお粗末で、どこからどう見てもおよそ切れ者といった印象にはほど遠いのに、こんなレベルでトップに立てる軍隊なら、仮にどんな国と戦ったところで勝てっこないからゼッタイ戦争するのはお止しなさいと申しあげたいのであった。
コメント(1)
やっぱり同じ思いの方もおられるんやと安心しましたわ。かの田母神氏、書かれた論文を少し読ませて貰いましたけど、なんや今の国語力の無い大学生の卒論みたいで、息子が卒論書いたのを下読みした主人が「これはどの本とどの本から抜粋してきたんじゃ、アホ」と怒ったのを思い出しましたわ、苦笑。
ただ私は単純に思いますのは、どんな形であれ武器を持つ集団がその武器を訓練だけにしか使えないとなれば、そこに不穏な空気が流れるのはしょうがないのでは?と。今の国会では文民統制できるようなシステムにはなって無いのでは?と思います。このさい、日本全体で自衛隊のありかたを考え直さないといけないのでは?と思いますが、今の国会はそれ処やおまへんしなあ。
投稿者 お : 2008年12月09日 22:32
2008年12月11日
カラスミ雑煮、ヒラメと赤貝の刺身、野菜の吹き寄せ、マナガツオの焼き物、大根と穴子の炊き合わせ、蟹とあんきもの揚げ物ほか
集英社刊「小説すばる」の『道絶えずば、また』連載完了の打ち上げ会で、最初の連載担当だった音田笑さん、現担当の横山氏、単行本担当の八代さん、文庫担当の伊藤さん、スラッシュの進藤さんと一緒に銀座の和食「六雁」で食事。和食は大概少しずつ戴いているうちにいつの間にかお腹いっぱいになってしまうが、ここはデザートにプチフールまで出すサービスぶりで、和食の「イマ」を感じさせられた。
『道絶えずば、また』は『非道、行ずべからず』『家、家にあらず』に続く「花伝書」シリーズ第3弾で、「シリーズの完結編にします」な〜んて大風呂敷を広げたはいいが、
1年連載ではとても広げた風呂敷が閉じられず、さりとてずるずる続けるわけにもいかないので、途中からはエンディングに向けてジェットーコースター的にとにかく連載を終了させ、単行本化に当たって大幅に書き足すことにしたのだけれど、「いや〜松井さんの小説ってキャラがみんな立っちゃってるんで、どの人物も書き足してほしくなるというか、どれでも外伝ができちゃいますよね」と仰言ったのは横山氏。これは嬉しくもあり、痛いところを突かれたようなご注文で、とにかく皆さんそれぞれ思い入れのあるキャラがあって、笑ちゃんは彼女の一番好きなキャラがラストで大化けしたのが大満足のようでした。「わたしはやっぱり理市郎が一番好きかもしれない」と意外な本音を洩らされたのは八代さんで、他社の『今朝子の晩ご飯』もお気に入りの伊藤さんからは「松井さん、いっそ政治家になってくださいよ」とのご要望まで頂戴し(笑)、和気藹々とした会食をして皆さんとお別れしたあと、さあ、これからは単行本化の書き直しと新連載の仕事がもろに重なってでメチャメチャ大変になるぞ!と気を引き締めにかかった私であります(^ ^);
コメント(2)
いよいよ「道絶えずば、叉」が単行本化されるんですね。家族中待ちかねております(^o^)
今日、京都の顔見世見てきました。藤十郎丈の「藤娘」ハァ〜〜溜息がでるほど可愛らしい。全くお年を感じさせませんでした。100歳になられるまで見せていただけるんやないかしら、と思うてます。
投稿者 お : 2008年12月11日 22:27
前から好きな作家で殆んどの作品を読んでいますが、このプログを知ってから、読むのが、寝る前の日課になってしまいました(中毒かな)料理・エッセイ共に楽しんでいますが、
1970年まで、住んだ三軒茶屋の変わりようが、うかがえるのも、楽しみの一つです。
12月11日が二つあり、10日がありません。これは10日の分ですよね。
逗子の71歳のys
投稿者 須田定邦 : 2008年12月12日 22:33
2008年12月11日
野菜のフルコース
『吉原十二月』連載開始祝いで幻冬舎の永島局長、ヒメこと木原さん、スラッシュの進藤さんと麻布十番のフレンチ「ガスパール東京」で会食。ここは京都に本店があるそうで、満を持しての東京進出だとか。野菜のフルコースはフレンチの精進料理といった趣き聖護院カブラのポタージュや九条ネギのミルフィーユなど京野菜がふんだんに使われている。写真はそのミルフィーユのバジルアイスクリーム添え、茸のソテー&ピューレ、野菜のソテービネガーソース。オール野菜といって侮るなかれ、良い気持ちで食べてるうちに最後は苦しいくらい満腹します(^^)
『吉原十二月』は吉原の年中行事をモチーフに同じ妓楼でトップを争う、全く違ったタイプのふたりの花魁を禿の頃から描くストーリーだが、「う〜ん、今はどっちも健気で可愛いいし、まだ僕はどっちが好みになるかわからないけど、できればふたりとも幸せになってほしいなあ」というのが初回の原稿を読まれた永島局長のご要望でした。
ほかにも色んな仕事の話をしていて「松井さんのご予定って、ブログを見たらいつも月初に聞いてた話と全然ちがうんですよね。今月は暇なのかなあと思ってたら、ええっ!それって聞いてないよ〜という話がいっぱい出てくるし」とヒメが心配なさるように、私自身スケジュールが毎月いつの間にか埋まってしまうのに驚いていて、今度の新連載をつつがなく入稿するのもかなりスリリングな状況で、特にこの冬はもし風邪でも引いたらすべての予定がパアだよねと話したところ、「なら私は(整体の)寺門先生に、この1,2月は松井さんがゼッタイ風邪を引かないようにしてくださいとお願いしておきます」と仰言ったヒメであります(笑)。
「ところで誰か身近で裁判員通知が来た人っています?」と言い出したのは進藤さんで、「そういえば周りに誰もいませんよねえ」とヒメ。永島局長は「うちに何人かの作家の方から、お前のんとこ誰か通知こなかったか?という問い合わせの電話がありましたよ」とのお話だから、やっぱりみんな気にしてることは確かなのだろうけれど、意外と当たる確率は低いのかもしれない。
もし来たら進藤さんは「私はこの制度自体に反対してますが、それでもよろしいのでしょうか?」と言って事を揉ませたいので通知が来るのを心待ちにしているそうだし、私は私で「罰金を払って前科がついても、すべてをブログに公表しますが、それでもよろしいでしょうか?」とか「なぜ汚職事件の裁判には参加できないのでしょうか?」という質問をしてみたい気もしている。進藤さんの話だと、そもそもこの制度が生まれた背景には、日本の裁判の迅速化を図りたいという財界の要請がまずあって、それに法曹界の人権擁護派の善意が絡み合って始まったのに、いつの間にか誰も期待していなかった方向に突き進んでいったらしいのだけれど、こんなにわからないことだらけで実際に始まって大丈夫なのかどうか。とにかくこの際制度の正当性をきちんと納得させられる裁判官がいるのかどうかも知りたいので、通知が来たら進んで行きたいのは行きたいものの、今もし来てたら仕事の予定が確実にパアになっただろうから、まずは来なくて無事幸いといったところです。
コメント(3)
裁判員に選ばれたら私は「守秘義務は守れませんが良いですか?」と云うつもりしてます。
投稿者 ともちん : 2008年12月12日 13:12
裁判員に選ばれたら私は「守秘義務は守れませんが良いですか?」と云うつもりしてます。
投稿者 ともちん : 2008年12月12日 17:17
選ばれてしまいました。…といってもこの段階ではまだ候補者名簿に載っただけですが、
私の住む大阪は(犯罪が多いのでしょうか?)召集される可能性が高いのだそうです。
また、ブログなどで裁判内容等をレポートすると罰せられるとか・・・。私の場合、その心配はありませんが、ブログのある人は書きたくなるでしょうね。
私の信念的には、対象への理不尽な悪意でその生命を奪った人間は相応の罰(というか出来れば同等の扱い)を受けるべきと考えておりますが、実際のところ裁判長の意向が最優先で、裁判員が何を決めてもそれは参考にされる程度だとも聞いております。
それじゃ何のために?
とりあえず新制度導入で、裁判への関心が高まったことは否めなく、
後は「国民の意見をちゃんと尊重しています」という、判決への違和感に対するガス抜きでしょうか?
投稿者 KAHO : 2008年12月12日 17:38
2008年12月12日
豚肉と小松菜の焼きそば
一昨日のQPで見た料理。豚肉は酒と醤油で下味し、片栗粉をまぶしてごま油で炒めて取りだしておく。ニンニクのみじん切りを入れた油で小松菜を炒め、上に焼きそばと斜め薄切りにした長ネギを載せ、酒で溶いた鶏ガラスープを注いで蒸し焼きにする。肉をもどして塩胡椒で味付け。
フィギュアスケートのファイナルグランプリを見ながら食事。初出場にして実に落ち着いた滑りでみごとなジャンプを決めてショートのトップに立った小塚崇彦を、この子ちょっと筒井道隆に似てるよなあと思いながら見ていたが、筒井ファンの守部さんはお好きじゃないんだろうか。開催地がキム・ヨナの母国韓国で、もろにアウエーとなる浅田真央はとても慎重を期した安定感のある滑りで2位につけ、ヨナがむしろプレッシャーか大きなミスをして1位になるも、得点差があまりないから、明日のフリー演技は非常に面白くなりそう。楽しみである。
アメリカ自動車メーカー王手ビッグ3の救済法案が上院で否決されていよいよ倒産が現実ののものとなりそうで、株価がまたも暴落、円が一時1ドル88円にまで急騰した今日、アソー君は緊急記者会見を開いて追加景気対策を発表したが、私はそんなこととは関係なく週末の仕事疲れでぐったりしていて、すいません、コメントを加える余力がありません(- -);
2008年12月13日
根菜の胡麻そぼろあんかけ
昨日のQPで見た料理。ゴボウ、ニンジン、レンコン、鶏挽肉の順に炒めて水と酒を入れて柔らかくなるまで煮込んで砂糖、粗塩で味付けし、またしばらく煮てから醤油を加え、片栗粉でとろみをつけ、すりゴマと小ネギを混ぜ合わせて仕上げる。ゴボウは斜め薄切り、レンコンは縦に棒状に切り、水にさらさないで香りを活かすのがのがポイント。いかにもカラダによさそうだと思って作ったが、すりゴマがうまくきいて意外なほど美味しくできました。
昨夜に引き続いてファイナルグランプリのフリー演技を見ながら食事。男子は小塚君が健闘して2位。女子は真央チャンがトリプルアクセルをみごとに2度も決めてアウエーで堂々の優勝おめでとう(^ ^)/キム・ヨナはあきらかにホームプレッシャーとでもいえそうなミスが相次いで結果2位に沈んだのは気の毒だった。スポーツはなんでも精神力がものをいうが、ことにフィギュアの試合は演技中に選手の精神状態がハッキリとあらわれて、それがTVの画面を通して実にドラマチックに見えるのが面白いのだろう、いつの間にかやみつきになってしまった私である。浅田選手は素にもどると相変わらずの真央チャンだけど、演技を見ればもうチャンづけはおかしいくらいに成熟した表現力を身につけている。天才少女だけで終わらずに素晴らしい女性アスリートに成長したのは本当に喜ばしい。
2008年12月14日
上方寿司、30品目サラダ
乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
きょう、赤穂浪士討ち入りの日に乗った2鞍目の馬は浅野内匠頭みたいにキレやすい子で、発進の合図をやや強めに送るとカッとなって暴れたから一瞬ヒヤっとしたが、最近はさすがにちょっとやそっとでは怯えなくなった私でああります。今やキレるのは馬よりも人間のほうが多そうだから、町を歩くにも、ホームで電車を待つにも注意が要りそうである。
ところでクラブに行くには電車で片道1時間半もかかるので、往きは仕事の資料を読んだり、執筆用のメモ書きをしたりして過ごし、帰りは疲れ果てて娯楽用の本を読んだりケータイのIモードでニュースを見たりしてるが、たまたま今日見た目次の中で目を引いたのは、早大の准教授がコンビニの会計で後ろの人に先を越されてカッとなり、ガラス扉をぶち破って逮捕されたという超バカバカしいニュースだった。
そもそも大学教員には、アソー君の言いぐさではないが「社会的常識が欠落してる人」や、人間としてどうなの?と言いたくなる人の出現する割合が他の業種に比べて高いのは別に今に始まったわけではないし、それでも人類に役立つ何かを発見したり、探究したりする能力が高いならまあ良しとしようという感じもある一方、学者としてはともかく教育者としては大いに問題だったりするのだけれど、それにしてもコンビニで暴れて逮捕されるなんて、大学OBとしては嘆かわしいの一語に尽きると思いながらよくよく記事を読んだら、氏名は神津武男(38)とあって、人形浄瑠璃を研究してると書かれていたので、ひょっとしたら内山美樹子先生の弟子に当たる研究者なのかもしれない。もしそうだとすると、さすがにもう私は全然知らない人だけれど、もろ後輩だから、ちょっとどころではないショックであります(- -);
2008年12月15日
インドネシア風卵焼き
QPで見た料理。溶き卵を鶏ガラスープの素と塩で味付けして、厚揚げを崩し入れてフツーに焼くだけ。さっと茹でたモヤシをトッピング。同量の砂糖と醤油を溶かしておろしニンニクを混ぜ込んだタレを煮立ててかければ出来上がり。超カンタン安上がりメニューである。
日銀短観による業況判断指数が過去2番目の下落幅を記録したというニュースが流れたときに、過去最大の下落は昭和50年の第1次オイルショック時だと知って、ある種の感慨があった。私は昭和51年度早大卒で、そのオイルショックに直撃された世代だから、確か何人かの友人と就職課を訪れて、求人募集が極端に減ったという事実を知らされて愕然とした記憶がある。ただし当時は4大卒が今ほど多くなかったせいか、1、2年待てば景気が回復して就職できるというような、わりあい暢気なムードも学生間には漂っていて、就職待ちで留年した人や私のように大学院に進学したケースもある一方で、久々に会えばまともに就職していた同級生も意外と多かったのを知ってビックリさせられたりするものの、いわゆる業界でフリーランスの走りとして仕事をするケースも少なくなかった。私自身も大学院に3年間籍を置き、最後の1年はほとんどバイトで過ごし、3年間会社勤めして、以後はずっとフリーランスで通してなんとか今日まで生き延びられたのは、運もあるが何よりも時代が良かったからにちがいない。NHKスペシャル「非正規雇用者を守れるか」を見ながらつくづくそれを思い、非正規雇用のセーフティーネットがしっかり張りめぐらされたオランダのケースを見るに及んで、改めて政治の責任という問題を感じさせられた。
きのう乗馬クラブでお会いしたMさんともその手の話になり、今コンピュータ業界でも目先の利益につながらない研究開発部門がどんどん切られている一方、若い世代が汲々とした守りに入って冒険を避けたがるという話を聞くに及んで、政治経済のトップが今こそ本当に将来をしっかり見すえた判断力を発揮してくれないと、日本の沈没は避けられないという気がしたものだ。
2008年12月16日
フレッシュトマトとソーセージのスパゲティ
オリジナルレシピで作ったらけっこう美味しくできた(といっても応用編に過ぎませんが)。玉ネギとニンニクのみじん切りをオリーブ油でしっかり炒めてから鷹の爪とひと口大のソーセージを入れてさらに炒めたところで横半分に切ったプチトマトをたっぷり入れて煮崩れるまで火を通し、ワイン少々と塩、胡椒で味付け。このソースを生のルッコラと一緒にパスタに混ぜて出来上がり。フレッシュトマトのほうが缶詰よりも甘く仕上がります。
NHKの「クローズアップ現代」を見ながら食事。今日は輸入減少で翳りがさす中国経済の問題を取りあげていて、生産ラインを維持するために内需の拡大を迫られた結果、電化製品を農村部に購入してもらうべく、政府の援助金が出されているという話だった。で、日本の内需拡大はどういう方策が採られるのだろうか?と考えながらこれを書いていたら、今スラッシュの進藤さんから電話がかかってきて、このただでさえ乗り切れるかどうかという大変な時期に、またとんでもなくお断りするのが厄介なお仕事の話が振って湧いたショックで、さすがにちょっと書き続ける気持ちの余裕がなくなりました(- -);ゴメンナサイ。
コメント(3)
いつも楽しく読ませて頂いております。あっ、勿論著書も全て読み尽し、本棚の一番良い場所に大切に置いております。
今夜の『何事だ?』というブログに、思わず初めてのコメントをした次第です。
ファンとしては沢山の作品に出会いたいところですが、お忙しい松井さんの日々、どうぞお体に気をつけて御活躍下さい。
片田舎の一ファン
投稿者 夜吉 : 2008年12月17日 01:42
いつも楽しく読ませて頂いております。あっ、勿論著書も全て読み尽し、本棚の一番良い場所に大切に置いております。
今夜の『何事だ?』というブログに、思わず初めてのコメントをした次第です。
ファンとしては沢山の作品に出会いたいところですが、お忙しい松井さんの日々、どうぞお体に気をつけて御活躍下さい。
片田舎の一ファン
投稿者 夜吉 : 2008年12月17日 01:42
すいません、2度押ししてしまいました。
初コメント投稿がダサダサになってしまいました。
投稿者 夜吉 : 2008年12月17日 01:48
2008年12月18日
ワカサギのエスカベッシュ、シャコとカブのソテー、鴨のコンフィ、イカと枝豆のパスタほか
一昨日のブログが変な終わり方をしたために、ご心配をいおかけして申しわけありませんm(_ _)m結局その仕事は〆切りを多少延ばしてもらってお引き受けすることにしました。で、昨日17日は、こんな過密スケジュールになる前にご招待に応じた文学座アトリエ公演、ユージン・オニール作「日陰者に照る月」を吉祥寺シアターで文春の内山さんと一緒に見て帰りに近所で食事しました。これまで見たオニールの戯曲の中でも、コンパクトで且つ比較的あと味のいい作品で、抒情的なセリフは素晴らしかったのに……。テネシー・ウイリアムズの作品にもちょっと似た雰囲気だし、最近の映画「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」で見た風景を想いださせるようなところもあって、なるほどオニールはアメリカ戯曲の原点なのだということが認識されて、まあ、いい勉強にはなったのだけれど……というに留めます。演出に関して「エンヤはないよね」と二人で言い合ったのですが、これはご覧になった方にしか通じないでしょう。ウーン、多くは語らないほうがいいと思います。
2008年12月19日
蟹とアボガドのサラダ、白子焼き、野菜焼き盛り合わせ、穴子焼き、ガーリックライス
NYメトロポリタン歌劇場の最新作映像「METライブビューイング」をスラッシュの守部さんからお誘いを受けて東劇でベルリオーズ作曲ルパージュ演出の『ファウストの劫罰』を見た帰りに近所の鉄板焼き「天」で食事。
鬼才ルパージュの演出は世田谷パブリックホールで何度か見てそのつど感嘆させられたが、この作品では一段とスケールアップされた舞台作りの面白さが映像でも十分に伝わってくる。まず舞台に四重の屋体を組んで、数本の柱で仕切り、二重のスクリーンを自在に操るなかで大勢の出演者を動かすというダイナミックな演出で、仕切られた一つ一つのボックスの中でそれぞれのコスチュームを着けて動く出演者たちはバックの映像と相俟ってまさに泰西絵画を見るような美しさである。映像も最新技術によってインタラクティブになり、つまり出演者がスクリーンに触れることで映像の中に溶け込んで一体化してしまうから、幻想的な世界が非常にリアルに表現されて実に面白い。ゲーテの「ファウスト」に拠った作品自体もリブレット(台本)に皮肉な味わいがあって興味深いが、オペラとしては肝腎の歌の部分より間奏部が長いという憾みもあるいっぽう、そこを巧く補ってくれるのは激しいダンスとワイアーを駆使したアクロバットチームによるスタイリッシュなパフォーマンスだろう。ナマで見たらかなり昂奮したに違いないシーンが多々あって、2時間45分に及ぶ上映を存分に楽しませてもらった。
ところできょう18日は夕方からスラッシュの事務所でNHKの方々とお会いし、ついに引き受けることにした「知るを楽しむ」の打ち合わせで歌舞伎の話をいろいろしてから東劇に出かけたのだが、昭和通りの横断歩道を通ってっていたら、元歌舞伎座支配人の大沼さんにバッタリお会いして握手を求められ、そのあと采女橋を渡ろうとしたら、松竹入社同期の奥平さんに声をかけられて、考えてみれば古巣の縄張りなのだから会って別にふしぎはないのだけれど、昔の仲間と師走に二人も遭遇したのは感無量でした。
コメント(4)
いやいや、お久しぶりでした!
ずーーーっと、年賀状だけのつきあいでしたが、昔のまんまだったんで、すぐわかりましたよ!
って、これ褒め言葉ですから。
今度、同期会にぜひご出席を!
今朝子サンがいた頃より皆だいぶたそがれてますが・・・。
投稿者 オクダイラ : 2008年12月19日 10:30
ごぶさたしています。
だいぶくたびれましたが、やっていることは相変わらずですよ。今も変な芝居や音楽に行ってるし。
昔、オンシアター自由劇場の10連続公演で会ったの、覚えてます? 大好きだったんでよあれ。その後、あれに出ていた方々とテレビで仕事することができましたが、それもだいぶ昔のことで・・・
おとといは、某女優さんの事務所の人々と、甲状腺癌から奇蹟の復活をはたした、韓国のテノール歌手のベー・チェチョルさんの復帰コンサートに行ってきました。
ぜひ、またお会いしたいものです。
投稿者 セキネ : 2008年12月19日 11:05
「知るを楽しむ」、お引き受けになったと知り、今日は1日、うれしい気分でした。どうも、ありがとうございます!
歌舞伎にハマって7年、関係書物を読んだり、調べたり、カルチャー講座に出たりしていますが、最近は初見の演目が少なくなって、回を重ねて分る面白さを知った反面、新鮮味に欠ける事もありますが、来春には、この番組で新たな視点を見せて頂けると思うと、とても楽しみです。テキストも充実で、この番組テキストを後日、読み返す事もあるので、読者・視聴者は、映像と活字、ダブルで楽しめる分、制作なさるかたは、ダブルで大変でしょうが、どうか、乗馬と整体で乗り切られますように。
小説を連載なさってる月刊誌(文芸誌と言うのか)、時々立ち読みはしても、単行本になってから買うのが常で、月刊誌を買うのはどういう人かな、と昔から思っていました。私の場合、気が短いので、面白くなった所で「続きは次号。」と中断させられるのが嫌なのと、ケチなので、折角買ったら、全部読まないと勿体ない(笑)けど、そんな時間はない、と言うのが、単行本を買う理由です。
投稿者 ウサコの母 : 2008年12月19日 22:03
お久しぶりです。いつもブログ拝読していますが、ルパージュ演出のオペラの話題につい、メールしてしまいました。ぜひ見たいものとあわてて調べたらなんと、きょうまでなんですね。オペラには暗いもので、上映のことぜんぜん知らなくて残念です。たしかシルヴィー・ギエムもルパージュと組んで新作に取り組んでいる・・・と昨年のギエム来日公演パンフで読んだ記憶があり、いずれこの作品がこないものかとそれ以来気にかかっています。
投稿者 ねこまる : 2008年12月19日 23:49
2008年12月19日
大根の揚げ出し海老あんかけ
前にQPで見た料理。大根は大きな拍子切りにして柔らかくなるまで茹で、熱いうちに醤油と砂糖をまぶして片栗粉をつけて揚げる。粗みじんに叩いた海老を出汁に入れて味醂、塩、醤油で味付けして生姜汁を絞って水溶き片栗でとろみをつけたあんをかけ、万能ネギをトッピングして出来上がり。右の写真よりも薄めの色に仕上げたほうがいい。小料理屋の一品みたいだが、わりと簡単にできて美味しいのでオススメします。
アソー君はハローワークに30分だけ行ってトンチンカンなアドバイスをし、野党は野党で衆議院の否決を織り込み済みで独自の雇用法案を参議院通過させるなど、今そこにある危機はどこ吹く風で、パフォーマンス合戦を繰り広げる日本の政治はさすがに語るのもウンザリした今日、私にはささやかな歓びがふたつあった。
一つは近所でついにカメ型のスリッパを見つけてゲットしたこと(笑)。もう一つはJRAから競馬のカレンダーを頂戴したことで、12月に渡って今年の重賞レースの優勝馬が激写されていて表紙はやっぱり秋の天皇賞を制したウオッカでした。併せてJRA賞授賞式のご招待状も戴き、これって当然武豊とかが来るくるんだよね〜と若干ミーハー心をくすぐられたけれど、今はさすがに仕事がメイッパイで出席する余裕はなさそうです。
ところで年賀状はいつも近所の印刷屋さんにお願いしていて、その方は仕事をしながらよくラジオを聞いてらっしゃるので、今日の夕方引き取りに行ったら、先日のTBSに出た話になり、燻製屋「ヌーベ」の場所を訊かれたりもして、「また何かに出る予定があったら教えてくださいよ」と言われたので、来年の4月頃にNHKに出る予定があると告げたところ、「なんの話するの?料理の話?」と訊かれたのはわれながらおかしくて、「歌舞伎の話なんですよ」とお答えしたら「へえ〜なんでも話せるんだねえ」と目を丸くされたのだった。どうも私の本業はご存知ないまま、たまたまラジオの出演ばかり聞いてらっしゃるようで、「そういえば前に刑務所の話してたよねえ」と言われて、ええっ!さすがにそんな話はしてないと思うけどあ〜と首をかしげていた私である。ともあれ本業は小説書きだが、ときどき余計な仕事をしているようでも、そこから次に書くネタのヒントを見つけたりすることが結構あって、「地頭は転んでも只では起きない」式の商売ともいえるのでした。
コメント(2)
今日の「大根の揚げ出しあんかけ」美味しそう、明日早速試します。
「知るを楽しむ」御引き受けになられたましたようで、有り難うございます。来年の4月が楽しみです。
私も歌舞伎に嵌りまして結構長いのですが、ただ好きで見ているだけで、詳しい事は何も分りませんので、是非松井様の御話しをお聞きしとう御座いました。
JRAのカレンダー、毎年頂きますがどの馬も綺麗ですねえ。
しかし麻生はん、ハローワークでどんなアドバイスしはりましたんやろ?御自分はもとより、御付き合いされて居られる方々の中にも「職を失う」→「住む所が無い」→「生活ができない」なんて方は居られないでしょうから、相談者の抱く不安感は全く分りまへんやろ。
投稿者 お : 2008年12月19日 22:20
昨日PARCO劇場のGood Night Sleep Tightに可愛いケヅメの生えたんだけどリクガメのタローが出て来て感動!ココロ製作の二尺余のリクガメロボットは堪らなく可愛く良くできていて感激!煙草を食べてしまい暝目する最期は泣けてきました。僕の中では完全にケヅメリクガメに喰われた芝居?のような気がしました!三谷サンは亀好きの佐藤浩市サンにアドバイス受け煙草を食べ、亡くなってしまうケヅメリクガメを主要なストーリー転換に使っているのか解りませんが、リクガメは煙草も食べてしまうのですか?
投稿者 DAWN : 2008年12月20日 11:02
2008年12月20日
塩酒、高野豆腐と干し椎茸とスナックえんどうの焚合、めかぶ
たまにはQPを頼らず、ごくフツーの和食にしております(笑)。土曜日は半ドンにしていたが、最近はそれだととても仕事が消化しきれないし、日曜日はゼッタイ乗馬に行くので今日中に家のお片付けをしておきたいし、という理由から料理が手抜きになりました。
ところで調理しながらTBSの「報道特集」をちらちら見ていたら、今や振り込め詐欺は東アジア全域に広がりを見せているとのことでビックリした。それって何か儒教の影響と関係があるのだろうか?とにかく何故そんなに簡単に大勢の人がひっかかってしまうのか、以前からフシギでならなかった問題である。今のところ、周囲にひっかった人はいないのだけれど、私自身一度奇妙な電話を受けたことはあった。夜中にかかった電話でいきなり「警察ですが」といわれて、「お宅にドロボーが入ったんですが、何か盗られたり、変わったことはありませんでしたか?」と訊かれたときは一瞬ドキッとするも、その日は夕方の買い物兼お散歩で1時間ほど留守にしただけだったので、「何かのお間違いじゃないでしょうか。今日は1日うちにおりましたが」と答えたら敵はなおもしつこく「いや、確かにお宅に侵入したと言ってる男がここにいるんですが、本当に何かおかしなことはありませんか?」と訊いてくる。さすがにこれは怪しいとにらんで「警察って、一体どこの署ですか?」と逆質問したらとたんにプツンと切れてしまった。イタズラにしても署の名前くらい設定してかけてこいよ!で、その不用意さ加減にはあきれたのだが、それにしても何が目的だったのかサッパリわからなくて気持ちが悪かった。もし詐欺だとして、私がその話を信じて慌てたら、どんな展開が待っていたのだろうか?今もってフシギでならない。その手の電話を受けた方いらっしゃいますか?
コメント(1)
うちにも振り込め詐欺っぽい電話がかかってきたことがあります。
娘が出たのですが、うちの息子が交通事故を起こしたということでした。しかし、その時、息子はイギリスで仕事をしていたので青梅街道に出現するはずはなく、おまけに運転免許証を持っていないから、事故を起こせるわけもないのです!
それでも、しつこくお母さんかお父さんに代わってくれと言うし、どこで事故を起こしたのかと聞くと、「そこの青梅街道で」なんていい加減なことを言ってきたそうです。
親は今居ないと返事すると、「じゃ、また後で電話します」と言ってきたので、「兄は今日本に居ないので、電話はもう要りません」と答えたら、ブチっと切られたそうです。
娘は、もう少し遊んであげてもよかったかとも思ったらしいのですが、相手はこちらの電話番号など個人情報を知っているので、怖かったと言っておりました。たしかにそうですよね。
しかし、息子が日本に居る時で、私が電話に出たら、どうだったかと思うと、ちょっと冷や汗が出ちゃいます。
投稿者 よび : 2008年12月22日 11:56
2008年12月21日
上方寿司、冬野菜のサラダ
乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
あと十日でお正月とはとても信じられない暖かさの今日、この時期には珍しく馬にとっては蚊のような存在である血を吸うハエが出て、馬はバタバタしていたが、こちらはラクに騎乗できました。
出かける前にTBSの「サンデーモーニング」を見たら、ホノルルマラソンにレッドソックスの岡島が初出場し、完走に6時間以上もかかったというニュースが紹介され、アッと想い出したのはレッスンでよくご一緒するNさんという女性のこと。彼女は冗談半分に「一度ホノルルマラソンに出たいよね」と友人に話したら、相手が真に受けて出場の段取りを取ってしまい、これまで一度もマラソンなんかしたこともないのに参加せざるを得なくなり、「口は災いのもとだよね〜」とクラブで仰言ってたのだった。とにかく完走を目指すものの、何キロか走るごとにタイムアップがあるのでそれも無理かも、まず2時間も走ればいいほうだろうという話だった。で、今日はその結果が聞けると思い、クラブに着くとまず彼女と親しいOさんに、「Nさん来てらっしゃる?」と訊いたら残念ながら今日はお休みで、昨日私へのハワイのお土産をOさんに託されていた。「で、どうだったの?」と私。「それが完走しちゃったんですよ!5時間台で」とOさん。「ええっ!凄ーい。岡島だって6時間以上かかったのに……。彼女マラソンは初めてだったんでしょ?」「そうなの〜。彼女、スポーツは乗馬しかしてないんですよ」てな話だから、改めて乗馬が如何に肉体を鍛えるかに感じ入ってしまった私である。オペラ歌手のSさんにNさん完走の話をしたら、「へえ〜凄いねえ」と仰言るけれど、Sさんはけさ5時台の始発電車に乗って、最寄りの駅から歌いながら40分歩いてクラブに7時着。さんざん乗って夜7時台のバスで帰られたのだからこれまたスゴイ!本業のほうは一体どうなってるのかと思うほどであります(笑)。
2008年12月22日
サモサ、タンドリーチキン、フィッシュチカ、プラウンラージャバーブ、サグパニールほか
新潮社の小林姐さん、ノリオクン、クスノセ氏と一緒に六本木のインド料理店「ラージマハール」で忘年会。選んだメニューのせいもあってか、全体に意外なほど優しい味わいで食べやすかった。中でも超マイルドなサグパニール(ほうれん草とチーズのカレー)は忘れがたい逸品。パイ状に焼けたナンも美味しい。
「小説新潮」で連載を再開する『銀座開化おもかげ草紙』シリーズはいよいよ西南戦争に突入するいっぽうで、「オール読物」連載中の『円朝の女』最終話は時代背景を日清戦争に設定しているために、私は近ごろやたらと近代戦争の資料を読みあさっていて、今日は西南戦争や日清戦争の発端やその背景を語るところから始めたために戦争の話題が相次いだ。小林姐さんが80年代の米国で目撃したベトナム戦争後遺症の話や近年のイラク戦争問題まで、色々とマジに語り合ったのも、戦争は必ず貧困と富の偏在の二極分化が進んだ時期に起こるという過去の歴史を切実に感じられる悪い時代になってしまったからではなかろうか。
ともあれ忘年会なので、そうマジな話ばかりしていたわけでもなく、一昨日このブログに書いたイタズラ電話の話から、姐さんもよく似た被害に遭ったことが判明。警察を名乗る電話で、お宅の家に隠しカメラを設置して、ヘンな写真を撮ったという脅しを受けたそうである。だからどうなの?と思いながら、今その写真を見に行きますから電話番号を教えてくださいといったらプツンと切れたそうである。クスノセ氏の場合はもっとおかしくて、留守中に無言電話が続いたあげく、奥様がとられたときに女性からの電話でまず「ご主人様いらっしゃいますか?」「どなたでしょう?」「友人のYと申しますが、あなたはどなたですか?」と逆質問があって「家内ですが……」と奥様。そしたら向こうでハッと息を呑む気配があってプツンと切れたのだとか。そのあと夫婦でえらく揉めて大変だったというお話でした(笑)。
2008年12月24日
刺身の盛り合わせ、芋まんじゅう、豆腐サラダほか
12/23は翻訳家の松岡和子さん、文春の内山さんと近所の「木村商店」で忘年会。
さいたま芸術劇場で正月に上演されるシェイクスピア作『冬物語』の稽古を終えてから駆けつけられた松岡さんは、蜷川さんと唐沢寿明のステキなエピソードや、翻訳に関するかなり専門的なお話もたくさん伺えて、実に楽しく且つ勉強になる忘年会だった。中でも興味深かったのは「ポルトB」という演劇集団の活動で、街中の風景や施設を使ってまるでオリエンテーリングのような形で進行する観客参加型のパフォーマンス?らしく、これはぜひ一度参加してみたいと思った次第。来年はできれば外乗もご一緒しましょうね、とお約束してお別れしたのだった。
2008年12月24日
蟹鍋、燻製セット
米朝事務所の大島さん、スラッシュの守部さん、進藤さんと忘年会。クリスマスイブにオバさんばかりで「鍋パ」というのもどうかと思いますが(笑)、みんな忙しくてこの日しか集まれなかったのであります。で、口の悪いオバさんたちが一緒にTBSの特番ドラマ「激動の昭和」を見ながらあれこれ文句をつけたりしてたのだけれど、こういう日米開戦に絞りきったドラマの作り方だと、過去の歴史を全く知らない若い子が見たら、日本はやむなく戦争をしちゃった被害者みたいに思わないだろうか?という余計な心配をしてしまった。日米開戦に至る以前に日本が近隣アジア諸国に対して何をしていたかという点をきちんと描かないと、やはり第2次世界大戦の全貌は見えてこないし、今後の危険を回避するために歴史を検証することにもならないと思うのだがどうなんだろう。五味川純平の「人間の条件」とか「戦争と人間」とかを見て育った世代としては、近隣諸国の日本に対する警戒心がなぜ今なお解けないかについてあるていど納得のいくドラマ作りを、今一度どなたかにして戴きたいものだとつくづく思うのであった。
2008年12月25日
ネギと里芋のグラタン、こんにゃくの味噌田楽
昨日進藤さんにもらった下仁田ネギのような秋田のネギと里芋で作る。里芋は薄切りにして、ネギはぶつ切りにしてオリーブ油で焦げ目がつくまで炒めて、ワインを振りかけ、塩胡椒で味付けしてからグラタン皿に盛り、生クリームを注いでチーズをトッピングしてオーブンで焼いた。甘みのあるネギで美味しかったです〜。
昨日は京都新聞のエッセイをメールで送って、これで年内入稿をすべてクリアした!と思ったとたん、気がゆるんだのか、また風邪を引いてしまった(-.-) ;今年2度目の風邪で、症状は前回とほとんど変わらぬ鼻風邪なんだけど、免疫はできてなかったんだろうか?年明け早々の入稿は年内に書き終える予定なので今週いっぱい土曜まで仕事をするつもりだけれど、それからまだ大掃除も残ってるのに、まずい、実にまずい。というわけで今晩はこれでブログをおしまいにします。
2008年12月26日
絶食
風邪がそれほど悪化した様子はないのだけれど、お昼に昨日の晩ご飯と同じものを食べたら胃もたれ感があって、夜に予約していた整体治療に行って寺門先生に風邪だと話したら、「まあ脱皮のようなもんですねえ」と言われてしまった。なるほど野口式整体では風邪はカラダのお掃除だと教わったが、その流れを汲む寺門先生も当然ながら同じような考え方をなさるわけで、正直言って今年は年末もお正月もないゾと思ってた私としては、「風邪、早く抜けますでしょうか?」とお訊きせずにはいられなかった。「とにかく無理して食べなかったら、たぶんすぐに治ります。明日もスープぐらいにしといたほうがいいでしょう」と仰言ったので、幸い食欲もないし今晩は食べないでおきます。このところちょっと食べ過ぎだったのは確かで、こうして風邪で躰がバランスを取ろうとするのは決して悪いことではないというのが整体の基本的な考え方です。経済も似たようなもので、昔からバブルの後に必ずクライシスが訪れるのは長いスパンで見れば、人間社会が自ずとバランスを取ろうとするのだろうと思えるのですが、それにしても今回の経済危機は世界中がかなり悪性のインフルエンザにやられた感じで、日本でも来春3月までにすでに8万人以上の失業者が出ることが確実という事態ですから、そう暢気に構えているわけにもいかないのは言うまでもありません。さりとて目先の対策やバラマキでしかアピールできない政治にも困ったもんで、ここらで先を見すえた根本的な治療をしないと、日本というカラダはどんどん壊れていきそうだし、ああ、どこかにいい先生っていないもんかしらと思うばかりであります。
コメント(1)
松井さん、その後お体の調子は如何ですか?ここ数日の『これでもかっ!』というメニューの嵐の中、【絶食】の文字は妙に新鮮に見えました(笑)
あっ、いやいやファンとして勿論心配しております。
しっかりと治し、より艶やかな“ニュー今朝子”へと存分に脱皮して下さい。
政治ですかぁ…。どれも皆ヤブ医者ばかりですね。患者を見ない、診察も出来ず処方せんも出せないくせに、数年後まで含めた経費だけはしっかり取ろうとする。『たちの悪い大人』の博覧会状態ですね…。
とにもかくにも無事脱皮し終えますよう、お大事になさって下さい。
投稿者 夜吉 : 2008年12月27日 03:34
2008年12月27日
五菜スープ、フランスパン
昨日のアドアイスを聞いて、今晩は寺門先生の本にあったレシピ通り、ネギ、生姜、ニンニク、にら、エシャロットというカラダによさそうな5種の葷菜を入れたスープにした。
年内の執筆はようやく今日でひとまず終えて、あとは資料調べという段階で、ちょっとスッキリしたくて美容院に行ったら、「風邪ひいても今は病院に行かないほうがいいみたいですよ」と美容師さんが仰言った。ふつうの風邪で行った人が、却ってインフルエンザに感染するんじゃないかと気が気じゃなかったそうである。「わたしはあまり流行ってないときに、ちょっと風邪気味だなあと思ったら必ず病院に行って、先生に薬を多めにもらっとくんですよ。これからしばらく海外旅行をしますんでとか言っちゃって。やっぱり処方箋薬は市販の薬よりも効きますもんね」とチャッカリした利用法を打ち明けられたのだった。
「ところでどう?最近、店のほう。不景気を感じる?」と訊いたら「うちの店は今ンとこまだ大丈夫ですけど、来年あたりから、だんだん影響が出てくるのかもしれませんねえ」とやや心配そうないい方で、そこから三茶栄通り商店街を襲った今年の暗いニュース、安売り王セキゼンの倒産とスーパー・マルフジ撤退の話になった。最近になって、セキゼンの店舗があった場所に元従業員のお兄ちゃんたちが集まって、色んな品物を売ってくれててるので、一体どういう組織になってるのかは全くわからないのだけれど、この不況下に頑張ってる姿を見ると、なるだけ長く店を存続させてほしいものだと思わずにはいられない。なんたってセキゼンがなくなってから、色んな買い物が不便になって、こちらも非常に困ってるのである。それにしてもマルフジの広大な跡地は今のところ何も建つ気配がなくて文字通りクラ〜イ感じで、来年には何か店舗が建って、栄通りを明るくしてくれるよう願いたいものです。
2008年12月28日
海老サラダ、五菜スープ、菓子パン
海老サラダは乗馬の帰りに東急フードショウでゲット。
風邪が治りかけた感じだったから、途中で駄目だと思ったらすぐに帰るつもりで、今日もとうとうクラブに行っちゃいました(笑)。思ったより風が強くて寒かったのだけれど、意外と快調に走れたし、気分も却ってスッキリしたから、結局いつも通り夜までいて2鞍騎乗。いつもお話してるメンバーも全員お揃いで、「良いお年を」なんて別れ際に言っても、来週すぐまた会っちゃうわけです。馬に「良いお年を」なんて全く通じないわけで、そう思うと人間はいつからお正月を祝うようになったのか、というよりいつから1年というものを意識するようになったのか、動物は四季を感じるだろうけれど1年という感覚はあるのかどうか、考えてみると非常に不思議な気がします。
さあ私はこれから日清戦争やら歌舞伎やら井原西鶴やらといった支離滅裂な感じで資料を沢山読まなきゃなんないし、その前に去年からぐちゃぐちゃになってる書籍や資料の整理もしないといけないし、むろん大掃除も欠かせないので、今年の年末年始は本当に大変(- -);去年はすごく忙しかったので、まさか今年の年末がもっと大変になろうとは思いもよらず、手抜きした整理整頓が今に祟っております(涙)。
2008年12月29日
おじやうどん
今日は朝からずっと資料及び蔵書の整理をしていて、この間あまりお腹も空かず、気がついたらなんと午後9時過ぎ!だったので近所のうどん屋「杉の子」で食事。
整理を始めたのは、例のNHK番組で話す歌舞伎の元ネタとして、ずいぶん前に一度本にするつもりでまとめた草稿を探すためだったのだけれど、家中ひっくりかえしても無い!!!!ってことは、どうやら今後の仕事には関係あるまいと考えて捨ててしまったらしい。嗚呼……絶望的な気持ちになりつつも後片付けをしなければならず、ついでに整理にとりかかったのであるが、なにせ去年まったく手つかずだったし、この間に本が異常に増殖していて、ようやくなんとか片づいたのが9時過ぎだったというわけ。それにしてもお腹が空かないわりに元気は元気で、昨日の乗馬疲れもあまり感じず、ほとんど休まずに重い荷物をあちこち動かしてたのだから自分でもフシギである。大きな段ボール箱に入れた資料を天井近くまで積み上げるのに、以前はとても一度では持ちあがらなかったのが、今日はひょいと持ちあげられたし、またネットで注文した天井まで届く書棚を独りで簡単に組み立てちゃえたのだから我ながらびっくりしている。これもどうやら週に1度は重い鞍を運んで馬に載っけてるうちに筋力がついたらしい。私の場合、年を取るにつれて知力は衰えても、体力は逆についてきたということのようです(^.^)/
2008年12月30日
サワラの西京漬け、煮染め、イカのサラダ
近所の総菜屋でゲット。恒例の紅白物マネ歌合戦を見ながら食事。
今日は買い出しで三茶の商店街を歩き回ったが、どこもかしこも例年に増さる人出でずいぶん賑わっているように感じられたのは気のせいだったのか、はたまた不況ムードのなか、お正月をわが家で過ごそうとする人が多いせいなのかもしれない。ともあれ北京オリンピックとノーベル賞を除いては、暗いニュースばかりだった気がする2008年もようやく終わりを告げ、経済面では来年からさらに厳しい状況に突入しそうな気配もあるし、経済が回らないときに決まって勃発するパレスチナ紛争や、印パ紛争など心配の種は尽きないけれど、それでも夜明けの前が一番暗いという譬えの通り、世界のどこかで何かしら仄かな光が射すことを期待して新たな年を迎えたいと思う。
明日の大晦日はスラッシュの進藤さんのご自宅に伺って、米寿を迎えられてもなお矍鑠(かくしゃく)としたお母様手作りのおせちをご馳走になる予定ですのでブログはお休みします。新年またお会いしましょう。読者の皆さま、どうぞ良いお年をお迎え下さい(^.^)/
コメント(1)
パレスチナ紛争、アメリカ大統領が変わる寸時を狙ってし掛けたようで、この紛争の火種を消せるのは永遠に無いのでしょうか?オバマさんに期待しても無理ですやろか?
明けない夜は無いと思いたいですが、TVニュースは民間ボランテイアが職を失い、住む所も失った人達に炊き出しされてる模様ばっかり映ります。与党も野党も政治家さんは炊き出しにもそ相談窓口も年末年始には参加されませんねえ。国会で論じていても所詮人事なんですねえ。公務員のグループとか政治家のグループがこのようなボランテイアに参加されると「日本も捨てたもんやない。辛抱してたら国はエエ方に変わる」と思えますねんけど。我々国民は明日は我が身かと戦々恐々としとりますが。
しかし、京都の錦市場も大阪の黒門市場も結構賑わってます。旅先で使っていたお金を始末して地元に落としてはる人が多くなってるのですやろか。
今年一年松井様のお筆で楽しませて頂きました、来年も期待しています。どうぞ宜しくお願いします。
投稿者 お : 2008年12月31日 22:19