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2008年01月28日
卵のココット、白インゲンのスープ、フォアグラのソテー、鱸のソテー、牛ヒレ肉のソテーほか
漫画家の萩尾望都さん、マネージャーの城さん、ポプラ社の矢内さんと一緒に四谷のフレンチ「ラノー・ドール」で食事。ここは前菜が盛りだくさんで、まず数種のアペリチフに始まって、次にフォオアグラとトリュフ入りのココットが実に濃厚な味わいだった。さらにフォワグラと海老と貝柱の三点盛りが続き、フィッシュとメインディッシュのあと、デザートの前にチーズの盛り合わせが出て、久々に本格のフルコースを堪能した。プチフールで出てきた貴腐葡萄酒漬けのレーズンチョコは思わず唸るような美味しさだった。
今日はまずポプラ社で当ブログ『今朝子の晩ごはん』が4月に文庫本で上梓されるにあたっての打ち合わせをして、そのあと萩尾さんと対談。これは萩尾さんの「進化論のガラパゴス」と題した紀行マンガを併せて収録するので、ふたりの旅の想い出話を同社のPR誌に載せるためである。ほぼ1年前になる旅を回想しての歓談は弾みに弾んで、ああ、是非またもう一度行きましょう!と大いに盛り上がり、撮影した女性カメラマンには「本当に楽しそうにお話をなさってるので、おふたりとも表情がとってもいいですよ」と褒めてもらった。
ところでブログのゲラを改めて読み直すと、書いた自分でいうのもなんだが、これが実に面白いのである。ちょうど1年前に自分の身の上のみならず、世の中に何が起きていたかもよくわかって、いちいち、へー、このときはそうだったんだ……という気持ちになる。
とにかく一昨年から去年にかけては「美しい国」作りを提唱していた安倍政権をことあるごとにこき下ろして、彼の『美しい国へ』という本や石原慎太郎全集を出版したB社の保守反動体質をボロクソに言ってるから、その後B社が私にN賞をくれたのは、まさか懐柔するつもりだったわけじゃ……てな妙な具合であります(笑)。『美しい国へ』で大儲けした出版社の責任は問われないわけだから、その会社の外郭団体からN賞をもらってしまった私にも責任は問わないでほしいものである。
萩尾望都さんと食事しながらの会話で非常に面白かったのは、マンガの分野で優秀な編集者とはどんな人物かというお話で、聞いてナルホドと納得し、そのことはきっと文芸の編集者にもあてはまるように思われた。マンガの場合は出版社によって相当にタイプが異なるようで、城さんの話によると、そもそもマンガを母体に立ちあがった集英社はさすがに編集者にしろ漫画家にしろ鍛え方が極めてシステマティックに整えられているようだ。少女マンガ誌の巻頭を飾るタイプの漫画家は、若い頃から見るからに別格という雰囲気を自ずと備えているという話も面白く、それを聞くとどうやら漫画家は役者に似たようなところがあるらしい。巻頭を飾るタイプは唯我独尊で突っ走っていけるから問題ないが、そうでもない漫画家は編集者にいろいろと口を出されたあげく、結局は振りまわされて自滅するケースも多いというのが望都さんの見解で、よほど優秀な編集者でない限り意見は聞かないようにしていたことが望都さんを今日にあらしめたのだった。
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