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2007年12月26日

ラ・ボンバンス

 今年度最後の会食はなんといっても『吉原手引草』版元の幻冬舎である。見城社長以下、石原氏、永島氏、ヒメこと木原さんとの5人で西麻布の和風創作料理に舌鼓を打った。福田屋で修行したという岡元シェフは欧風の贅沢な素材をふんだんに使いつつ、和のテイストを活かしたきめ細やかな料理を披露。まず焼き白子の入った蕪スープの味わいがみごとだし、虎河豚のリゾットにたっぷり散らしたリゾットや、フォアグラのソテーと揚げ海老芋にそぼろあんをかけたものや、マスカルポーネを使ったイカめし等は意表をつかれつつも、どれも口に入れるとしっくりきて、実に豊潤な味覚を堪能できた。穏やかそうなお人柄にお見受けするが、料理人としてはなかなかの冒険家で且つスタイリッシュである。
見城さんとまともにお話しするのは意外にも今度が初めてだが、業界の色んな話を率直に語られて、「この前ある会合で文春の某さんと会ったら『松井さんはもしかして文春がお嫌いなんでしょうか』と言ってましたよ」との話にびっくりしつつも「まあ、男尊女卑と保守反動の権化みたいな出版社に見えたので嫌ってたのは確かなんですけど」と答えた私も私である(笑)。
面白く聞かせてもらったのは作家にまつわるエピソードの数々で、五木寛之氏が幻冬舎の社名を考案されたときの話や渡辺淳一センセイの女性観、故半村良氏の無頼ぶりや、故中上健次、有吉佐和子のキレまくりぶり、そのほか名だたる作家の、もの凄く面白いけどここでは絶対にバラせない異常さを次々と物語られた上で「作家というのは、やっぱりみんなどこかフツーでは折り合いのつかないものを抱えてる人たちで、付き合うのは大変だけど、だからこそ僕なんかは生きてるのがウレシイんですよね」と仰言ったのは本音だろうと思う。残念ながら私は、だからこそ作家に成りたくなかったわけだし、あんまりお近づきにもなりたくないという、フツーの常識人なのであります(笑)。
写真上段は前菜であん肝のコロッケとヤリイカめし生湯葉と生うにのあんかけ、中段はフォアグラソテーと海老芋のフリットそぼろあんかけ、下段は蟹肉とからすみの盛り合わせ。


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