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2007年12月19日
バーニャカウダ、鶏のコンフィのリゾットほか
シェイクスピアの翻訳で知られる松岡和子さんとは前にある雑誌の企画でお知り合いになれて、劇場で何度もお会いしているのであるが、家が近所なのでお互い一度ゆっくりお話したいですねといって、今宵ようやく近所のイタ飯屋でそれが実現した。
共通の話題は芝居ばかりではない。なんたって松岡さんは自分の馬をお持ちなのである。ああ、うらやましい〜!御殿場の乗馬クラブに所属なさっていて、これで3代目という自馬の写真を見せてもらったが、これが結構イケメンの馬で、動画も見せてもらったが、とても利口そうな走りをしていて、ああ、うらやまし〜!の連続でした(笑)。
もちろん芝居の話題もあれこれ出て、今年あまり本数が見られなかった私としては、貴重な情報を戴けて有り難かったし、何よりご専門の翻訳についてのお話が拝聴できて有意義だった。中でも非常に面白かったのは「日本語に『未来形』はないんですよ」という話で、翻訳に際して「でしょう」とか「ましょう」とかいうコトバは出来る限り使わないようにしているのだとか。確かにそう言われてみれば意志的な未来を表すのに「でしょう」「ましょう」を使うのはおかしな話であるが、無意識的にそう訳すように刷り込まれているきらいが多分にあるようで、松岡さん自身それに気づいたのは日本版「ハムレット」を英国で上演したときだったという。
たとえばハムレットが死んだあとに親友のホレイショウが、事の顛末をこれから「私が話しましょう」とするか「話します」にするかでニュアンスは全く違ってくる。そのとき舞台ですでに死んだハムレットを演じていた真田広之は、「話します」とホレイショウに言われたことで、死んでも浮かばれるような気がしたらしい。
今日の松岡さんの話によって、翻訳家は日本語の特質に関してある意味で一番敏感にもなり且つ意識的にならざるを得ないという事実を、私は改めて強く認識させられたかっこうだ。
ほかにもキャリル・チャーチルの「クラウドナイン」を翻訳なさったときのエピソードやら、仕事の話のみならず、ステキなご家族の話もいろいろと伺って、4時間があっというまの楽しい忘年会でした(^。^)/
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コメント (1)
はじめまして
松岡さんとの会話、とても楽しそうでしたね。
月に2回程の観劇を楽しみに暮らしている私にっとって、
松岡さんがちくま文庫から出版されている「シェイクスピア全集」は愛読書です。
注釈が多くとてもわかりやすいので、新しい発見も多くお勧めです。
松岡さんに幸運にも劇場でお会いすることができ、失礼にも突然お声をかけてしまいました。
それなのにとても気さくにお話をしていただき、素敵なお人柄に感激致しました。
以前埼玉で松井さんと蜷川さんの対談を拝見して、松井さんのお人柄も存じておりますので、お二人の会話がとっても楽しそうだと想像してしまいました。
いつかお二人の対談が実現できないものかと、勝手に期待しております。
投稿者 小黒 恭子 : 2007年12月19日 13:02