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2007年11月23日
11月22日は皆様ありがとうございました
昨夜は帰宅が遅くなって倒れ伏してしまい、さすがにブログ更新ができなかったことをまずはお詫びいたします(^^)ゞ
とにかく私にとっては久々の舞台とあって、前夜ほとんど眠れず、22日は早朝5時に目覚めて原稿を書き、劇場入りしたのは予定通りのAM!11:00でした。その前に近くの福家書店で、発売したばかりのミシュランガイドブックを買うことも忘れてはいません(笑)。
当日の朝は照明の仕込みがあって、それが済む11:30から舞台で初の通し稽古を行うはずが、大阪の下座チームが電車の遅れで楽屋入りが間に合わず、実際に稽古にかかれたのは12時近くで、本番通りに進行して2時間弱。そこから色んなダメ出しをして解散し、劇場のロビーに出たらもうお客様が並んでいて!私は楽屋でおつな寿司を二つつまんだだけで来客と面会し、そうこうするうち3時開演のマチネになだれこんでしまい、冷や汗もんで本番を見て、少しはほっとした。
とにかく今回の朗読会は大島さんの企画によるもので、当初わたしは原作を提供するだけで 何をするつもりもなかった。というより企画の段階では、超ハードな過密スケジュールに縛られてたので、参加しようにも出来なかったのである。
しかし作品を丸ごと読むわけにはいかず、どこかカットしなくてはならないという段階で当初の台本作りはスラッシュの進藤さんが担当し、ひとまずそれをもとに三林京子さんと立川談春さんに各自で録音してもらったところ、全体で3時間以上!になることが判明し、それだといくらなんでも長すぎるのでさらにカットするという段階で、こちらが乗り出さざるを得なくなった。おまけにプレスや何かでわたしの台本演出が謳われており、これも当初は名前を貸しただけのつもりだったのだが、なまじかつて芝居の演出をしていたからホンキにする人が周りに多いし、だんだんと責任を取らないわけにはいかない気分になり、過密スケジュールの中でスタッフとの打ち合わせや録音段階でのダメ出しはしたものの、全員の顔合わせは公演当日が初めて!という凄まじいドロナワぶりである。通し稽古をした後のわずかの時間で、出演者に対するダメ出し、下座への注文、照明と舞台進行のチェックを一度にするのは本当に大変で、われながらよく神経が保ったものだと思う。
それにしても三林さんと談春さんはさすがにプロで、本番ではちゃんと帳尻を合わせられたからスゴイ!おふたりには多少のダメ出しはしたものの、ふつうの芝居とちがって基本的な役作りはお任せしていた。なぜなら小説は作者ばかりのものではなく、読者ひとりひとりの立ち上げるイメージによって幾通りもの小説が誕生するはずだというのが私の持論であり、今回はかつて演劇人だった私が自らの解釈を押しつける演出家に戻るのではなくて、あくまでも作家として自分の小説が他人にどう読まれるのかを知りたいという気持ちが強かったのである。結果、たとえば談春さんの虎吉や三林さんの袖菊は、原作者のイメージとはまた違った人物像がそこに立ち上がって実に生々しく息づいていることを証明し、さまざまな解釈を容認する文字の世界のふところの深さを私は改めて認識したかっこうだ。そういう意味で今回の企画は私にとって非常に面白く、おふたりの出演者はもちろんのこと大島さんを始め数々のスタッフやお手伝いを戴いた友人の皆様、さらには当日来てくださった大勢のお客様に厚い感謝を捧げたい気持ちでいっぱいです。
正直いって舞台の出来は夜の部でやっと初日が出たという感じで、もっと回を重ねればどんどん練れてくるはずだが、談春さんにそれをいうと「でも、そうなったら、こっちはどんどんアドリブが入りだして、きっとセンセイ怒っちゃいますよ」と笑って仰言るのもまたごもっともで、こういうスリリングな1日公演だからこそ成り立った企画でもある。ともあれなんとか無事に終わってロビーで打ち上げした写真を載せておきます。
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コメント (4)
お疲れさまでした。
夜の部に伺いました。帰りにサインをいただいて、上海蟹のことを申し上げた者です。そのうち、上海蟹に挑戦してみますね。
そんなに舞台裏が大変なことになっていたとは。ときどきあれ?と思うところがあって、稽古が少なかったのかな、でもまあ一人分が長いから噛んじゃうのもしょうがないか、と思いながら聴いていたのですが、一日だけではやはり舞台は練り上がらないものなのですね。
さきほど感想をブログにアップしたばかりです。トラックバックもしましたが、よかったらご覧ください。(投稿者「ぱぐ」をクリックするとトラックバックします)
投稿者 ぱぐ : 2007年11月23日 11:36
昨晩は楽しませていただきました。ありがとうございました。
友人からの勧めもあり、大胆にも松井さんに声をかけさせていただきました「黄表紙」の者であります。風邪をひいてしまっていたため、公演中に何回か咳をしてしまいました。申し訳ありません。。
裏話を読めばなるほど、と思いましたが、そこはさすがプロ。大変間合いもよかったと思います。舞台の趣向もとてもよくすっとあの世界に入っていけました。
ただ、お二人の本の持ち方、めくり方がややぞんざいで、あれは立ち稽古などの癖でしょうが、朗読の舞台ではもっときれいにめくることをよく注意されます。「本」に対するリスペクトとして。
ところどころ間違ったり棒読みになったりと、気になったところもありましたが、さすがだなと思ったのがお二人ともに一息の長さ。立て板に水のごとく話をする江戸っ子の特徴がよくでていました。
休みなしの2時間弱の舞台、後半男女の役が入れ替わったりしてそれがまた聴きごたえがありましたが、一番残念に思ったのは、やはりラストでしょうか。
あれはあれでひとつの結末としていいのかもしれませんが、結局葛城がどんな事件を起こしてどうなったのかがわからず仕舞いの話になってしまい、本を読んでいない方には「?」だったのでは。確かにあまりに長い舞台は敬遠されてしまいますが、後半はお客様がぐいぐい引き付けらていくのが客席にいても感じましたので、もう少し長くても大丈夫だったのかもしれません。
歌舞伎などでは一幕ものなども多いですが、やはり朗読の場合はそれなりの通し狂言になっていたほうがいいように思われ、前半をもう少しカットしてラストを効果的に構成していただいても、と思ったりしました。すみません。
とはいえ、満席の博品館にはびっくり。
時々あそこでする朗読も聴きにいったことがありますが、無惨なほど人が入っていないこともあったので、やはりどんな「本」を舞台にかけるかで、これほど差が出るのだろうか、などと朗読をする者としていろいろと考えさせられました。
今回のお客様は、朗読をいつも聴きにいくという方たちよりも、どちらかというと芝居を見ていらっしゃる方や松井さんの作品のファンの方たちのほうが多かったのでしょうね。ほかの朗読会とは客層が全然違って、ああ、この方達を朗読の世界へとまたお呼びできたら、などと、そんなことまで考えてしまいました。
それにしてもやはり江戸ものは楽しいです。あの作品はいつか自分でも読みたいと思いつつも、舞台にかけるには、まだまだ力不足の者として、ぜひこれから松井さんには、江戸ものの短編をどんどん書いていただけたら、などと思ったりいたします。30分で20ページがせいぜいでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げまする。。
投稿者 春町の恋 : 2007年11月23日 14:46
昼の部に伺いました。どんな終わり方をするのか、本の最後まで語るとすれば、締めの謎解きはどうなるんだろう、と思ってたので、あの結末で満足しました。鳴り物も効果的で、想像力をかき立てられて、お二人の語り口と相まって、江戸吉原の気分が味わえました。
京蔵さんから贈られた葛城花魁の箱提灯は、まるで初めからこの会の為に用意したようで、灯が入ってとても美しく、見事な舞台装置でした。吉原では全て、夜のほの暗さの中で行われていた事が、わずかながら感じられました。仕組みがどうなっているか分かった、と書いていらっしゃいましたが、特別な仕掛けがあるのでしょうか。
京蔵さんは確か、今月「土蜘」で鷹之資くんの後見をなさっているはずですが、昨日の舞台はご覧になれたのでしょうか。
ミシュラン、私も博品館に行く前に福家書店に寄ったら、完売の貼り紙が出てました。緑ミシュランなら観光ガイドとしての役割があるだろうけど、赤ミシュランは、東京のフランス料理店が対象なら分かるものの、レストラン全般が対象なら無理があるのでは、と思って、立ち読みしたかったのですが、これだけ反響が大きければ、出版社の意図は大当たりなのでしょうね。
投稿者 ウサコの母 : 2007年11月23日 16:19
いまごろ書き込むのどうかと思うのですが
とても楽しませていただいたので
ひとこと
目を閉じて聞き入っていたので
台本のめくり方など全然気になりませんでした
吉原の人が行き交う雑踏の中に
お延や虎吉、袖菊がスポットライトを浴びて
語っている姿が浮かんできて
十分堪能できました
できれば全編聞きたかったです
たとえ4時間になろうとも…
投稿者 天 : 2007年11月25日 21:43