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2007年10月23日

味噌煮込みうどん、天むす、海老チリほか

文春の山口さんと歌舞伎座公演を観た帰りに近所の「舌呑」で食事。今月はなんと演舞場と歌舞伎座の両座を見ることになったが、両方とも仕事がらみである。
今日は「オール読物」で書き下ろす予定の新作に関連して「怪談牡丹灯籠」を観劇。久々に孝玉がガップリ四つに組んだ出し物で、文学座初演の台本を用いているのもあって、玉三郎の演技は杉村春子を彷彿させ、早口の言い立てや声の甲調子はまさにソックリさん並だった。歌右衛門のみならず先代水谷八重子、山本安英、杉村春子といった大女優や舞踊家武原はんまでを射程内に収めて継承するのは彼の芸に対する貪欲さのあらわれだろうし、こうなったら山田五十鈴も継承してもらって「たぬき」なんかをぜひ観たいのだけれど、あちらは東宝系だから無理なんだろうか。
ともあれ今回の「牡丹灯籠」は落語の持ち味に重きを置いた脚本で、お峰役の玉三郎と伴蔵役の仁左衛門、久蔵役の三津五郎とのコミカルなやりとりは非常に面白い見せ場となってはいるが、原作通りに盛り込んだ筋がいささかわかりづらい点と、伴蔵のお峰殺しに至る心理はやや中途半端に描かれている憾みがある。上村吉弥が婀娜っぽい女を演じて意外な儲け役で、萩原新三郎役の片岡愛之助があまりにも若い頃の孝夫とそっくりなので隠し子説が出るのもうなずけた(実際は赤の他人だそうです(笑))。
全体に暗い舞台で、大詰めの殺し場でも歌舞伎色が薄いままに終わるのは如何ともしがたいが、円朝と久蔵役を達者に演じた三津五郎が切幕の「奴道成寺」でぱあっと賑やかに打ち出してくれる。「牡丹灯籠」と「奴道成寺」の幕間は20分で、ロビーに向かう人よりも客席に残っている人ほうが多かったのだけれど、私の横に座った山口さんが「皆さん案外のんびりなさってますね」と仰言るので最初は何のことだかわからなかった。「松井さんも余韻を楽しまれるほうなんですか?」と訊かれてやっと事が呑み込め、「ねえ、もう1幕あるんだけど」「ええっ、これでおしまいじゃなかったんですか!」てなことで、知的なクールビューティのくせして大ボケをかましてくれる山口さんではありました(笑)。


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コメント (4)


この日偶然にも松井先生のすぐ後の席に座った幸運な私。
根っからミーハー体質の私は図々しくもお声を掛けてしまい大変失礼致しました(汗)「吉原手引草」にハマってしまってからネットで先生の著書を全て購入済みですの。
出張の友として当分の間楽しめる量なので嬉しいです。

「舌呑」と言う店は歌舞伎座の近くなんですか?
いつも帰りに寄る店に困ってるんです。
銀座って店じまい早いので・・・・

投稿者 bottarga : 2007年10月25日 13:45

「舌呑」は晴海通りを渡って歌舞伎座の真向かいの細い通りを入ったところにあるカジュアルな店で、遅くまでやってるのでよく利用してます。メニューは無国籍ですが、名古屋の食べ物が結構あります。

投稿者 今朝子 : 2007年10月25日 15:35

早々と情報をありがとうございました。

味噌煮込みうどんと天むす!
次回、是非行ってみます〜。

投稿者 bottarga : 2007年10月25日 17:42

今月の歌舞伎座「牡丹灯篭」大阪で歯軋りしながら歌舞伎連れの観劇記メールを読んでますが、玉三郎丈、去年の「十六夜清心」でもキレイキレイだけでは無い女の業を洒脱に見せて頂けるようになり、益々孝玉コンビが楽しみになってきました。
愛之助丈、仁左衛門丈の隠し子伝説、全くのデマですが、新三郎に扮したお写真を見るとソックリですねえ。

投稿者 おゆき : 2007年10月25日 22:45

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