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2007年09月12日

ツブ貝とイカの炒め物、鴨と冬瓜のスープ、海老と冬瓜の味噌煮込みほか

ポプラ社で長谷川真理子さんと対談後に近くの薬膳中華料理店で同社の矢内さん、スラッシュの進藤さんらと会食。
 長谷川真理子さんとの対談は近日発売となるポプラ社の名著誕生シリーズ第2弾ジャネット・ブラウン著「ダーウィンの『種の起源』」に関するもので、ゼンゼン畑違いの私がなぜダーウィンの「進化論」に興味を持ったかについて、ほぼ前日に書いた通りを話し、そこから約2時間に及ぶ長い対談となった。
 長谷川さんは、生物的進化と文化的進化が混同されて「適者生存」という考え方が濫用されていることに対する危惧を述べられて、生物的にいえば今現在生きとし生けるものすべてが「適者」なのだと明言されたのが実に印象的で、人間的に信頼のできる学者さんだと改めて感じた。人類にとっての危機は文化的進化がここわずか百年くらいの間に生物的進化をはるかにうわまわってしまい、生物として適応できなくなっていることであり、少なくとも「経済」という枠組を脱しない限り、人類の未来はない!という考え方において2人は共に完全なる一致をみたのである。
「進化論」のほかにもこの際訊いておきたかったことの一つに、生物界における子殺しと親殺しの問題があったが、この点についてはご自身でも相当な調査と分析をなさっていて、子殺しは生物界に普遍的に見られるとしながらも、人間の子殺しは他の動物にはない非常にユニークな様相を呈していて、その原因は子育てに非常な手間がかかる点だとし、親殺しもまた親子の同居が異常に長く続く動物であるという点が原因だと指摘された。ちょっとびっくりしたのは日本の明治から大正にかけての幼時死亡率の記録を調べた上で、子殺しの実態を看破しておられることで、こうした問題についてもっと詳しくお知りになりたい方は長谷川さんの今後のご著書をお待ち願いたい。
 行動生物学、進化生物学の権威でありながら、一方で文化人類学的アプローチをしっかり身につけておられるだけに、何を伺っても速やかな回答が戴けるし、小説もよく読んでられて且つケンブリッジ留学時代(?)には「ケネス・ブラナーの大ファンで同じ舞台を10回も見たのよ!」と仰言るくらいの演劇好きでもあるので、対談後も実に楽しいお喋りが楽しめた。私よりも小柄で見た目はずっと華奢だけれど、頭脳明晰なばかりでなく、そのパワフルさたるやスゴイ女性で、同世代としては誇りに思える存在だが、「ホントはもう早く引退したいのよ」と仰言る気持ちもまた同世代としては理解できなくもなかったのであります。


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コメント (1)


長谷川真理子さんがブラナーのファンとはうれしいです。
舞台を10回も観ておられるんですか、うらやましい。

映画は最近は演出の方が多いのですが、俳優としてもいいですよ。
わたしがいちばん好きなのはシェイクスピア原作の「から騒ぎ」です(演出兼出演)。デンゼル・ワシントン、キアヌ・リーブス、マイケル・キートンなどをうまく使った喜劇です。
日本ではまだDVDにはなっていないんですが……
ご覧になっていたらごめんなさい。

進化論のお話は興味深いです。今度読んでみましょう。

投稿者 ぱぐ : 2007年09月12日 08:15

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