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2007年03月01日
ヌーヴェル・シノアのコース フカヒレの姿煮ほか
わが家のTVは別に申し込んでもいない「放送大学」を受信するので、食事時につい見てしまうのだが、以前たまたま見た長谷川眞理子先生の「生物学」特別講義は非常に面白かったので、すぐにこの方の本を買って読んでみた。講談社現代新書の「オスとメス=性の不思議」と集英社新書の「生き物をめぐる4つの『なぜ』」は共にとても読みやすく、それでいてハッとさせられることが多々ある刺激的な名著なので、取り立てて生物学に興味がないという方にもオススメである。で、今日はその長谷川さんと萩尾望都さんが対談をなさるというので押しかけて拝聴し、その後お食事をご一緒させて戴いた。
そもそもはポプラ社の矢内さんがSFマンガを手がける望都さんといろいろな科学者との対談連載を企画したもので、第1回が茂木健一郎氏、第2回が養老孟氏、そして今日が第3回目ということで、ガラパゴスから帰国した直後の望都さんと生物進化論がご専門の長谷川さんとの対談だったのだが、私が以前から長谷川さんのファンだという話を矢内さんにしたところ、お引き合わせするのでご一緒にと有り難いお誘いを受けた次第である。思えば望都さんをご紹介戴いたのも矢内さんで、素晴らしい方との出会いを重ね重ね感謝しなくてはなるまい。
とにかく今日お伺いしたお話は何もかも新鮮で、しかもわかりやすく面白くお話し戴けたから、生物好きの私としては至福の時を過ごせたといってもよい。中でもビックリしたのは染色体が性を決定するのは哺乳類と鳥類にほぼ限られているというお話で、哺乳類はXYの♂よりXXの♀のほうが安定した性であって、生まれる直前まではすべて♀だという事実は知っていたが、鳥類はこの全く逆つまり♀より♂のほうが安定した性であり、クジャクの♀は老いて女性ホルモンが減ると♂にしかないと思われたあの美しい羽毛がと生えてくるのだそうである。
そのほか人類は表現型の可塑性が極めて高い生物だから体型や何かが著しく変化を遂げてはいるけれど、遺伝子そのものの変化は全くないので進化したとはいえず、今後も子孫の増え方から推して進化を遂げる可能性は0に近いというお話や、生物の寿命は繁殖と関連するが、ゾウやバンドウイルカと同じく人類はそもそも繁殖後の余命が長い動物であり、且つ共同繁殖をするのが本来の形態で、核家族的繁殖には動物的に無理があるというお話等々、長谷川さんは生物学のみならず文化人類学を踏まえた上で、人類本来のありようや、人類が今後どう変わるべきかという点についてもきちんとした見方を提示される。ただ単に狭い世界で自己満足的な研究発表をしている学者さんとはひと味もふた味も違った本当の意味のインテリであり、且つ私生活では高校からの同級生を夫君になさっている見た目も実にチャーミングな女性である。私とは一つ違いだから世代的にも話が合って本当に楽しくお話をさせて戴き、東大在学時は小田島雄志先生の影響で「演劇も好きだったんですよ」と仰言るので、今後またお芝居をご一緒しましょうといってお別れした。
経済活動としての仕事とは直接に関わりのない人の輪がこうしてどんどんふくらんでいくことは、今後の人類にとって良い方向ではないかと私は思うのであります。
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コメント (1)
以前コロンビアのドラマで、浮気性の男性に「神様は始めにアダム(男性)を作ったのは完璧なイブ(女性)を作る為の試供品よ!」と言う台詞を聞いて「その通り!!」と妙な納得しました。
人の輪は計り知れない輪になって行きますね。我が家も財産は人だと思ってます。
投稿者 ともちん : 2007年03月01日 15:42