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2007年03月01日

ヌーヴェル・シノアのコース フカヒレの姿煮ほか

 わが家のTVは別に申し込んでもいない「放送大学」を受信するので、食事時につい見てしまうのだが、以前たまたま見た長谷川眞理子先生の「生物学」特別講義は非常に面白かったので、すぐにこの方の本を買って読んでみた。講談社現代新書の「オスとメス=性の不思議」と集英社新書の「生き物をめぐる4つの『なぜ』」は共にとても読みやすく、それでいてハッとさせられることが多々ある刺激的な名著なので、取り立てて生物学に興味がないという方にもオススメである。で、今日はその長谷川さんと萩尾望都さんが対談をなさるというので押しかけて拝聴し、その後お食事をご一緒させて戴いた。
 そもそもはポプラ社の矢内さんがSFマンガを手がける望都さんといろいろな科学者との対談連載を企画したもので、第1回が茂木健一郎氏、第2回が養老孟氏、そして今日が第3回目ということで、ガラパゴスから帰国した直後の望都さんと生物進化論がご専門の長谷川さんとの対談だったのだが、私が以前から長谷川さんのファンだという話を矢内さんにしたところ、お引き合わせするのでご一緒にと有り難いお誘いを受けた次第である。思えば望都さんをご紹介戴いたのも矢内さんで、素晴らしい方との出会いを重ね重ね感謝しなくてはなるまい。
 とにかく今日お伺いしたお話は何もかも新鮮で、しかもわかりやすく面白くお話し戴けたから、生物好きの私としては至福の時を過ごせたといってもよい。中でもビックリしたのは染色体が性を決定するのは哺乳類と鳥類にほぼ限られているというお話で、哺乳類はXYの♂よりXXの♀のほうが安定した性であって、生まれる直前まではすべて♀だという事実は知っていたが、鳥類はこの全く逆つまり♀より♂のほうが安定した性であり、クジャクの♀は老いて女性ホルモンが減ると♂にしかないと思われたあの美しい羽毛がと生えてくるのだそうである。
 そのほか人類は表現型の可塑性が極めて高い生物だから体型や何かが著しく変化を遂げてはいるけれど、遺伝子そのものの変化は全くないので進化したとはいえず、今後も子孫の増え方から推して進化を遂げる可能性は0に近いというお話や、生物の寿命は繁殖と関連するが、ゾウやバンドウイルカと同じく人類はそもそも繁殖後の余命が長い動物であり、且つ共同繁殖をするのが本来の形態で、核家族的繁殖には動物的に無理があるというお話等々、長谷川さんは生物学のみならず文化人類学を踏まえた上で、人類本来のありようや、人類が今後どう変わるべきかという点についてもきちんとした見方を提示される。ただ単に狭い世界で自己満足的な研究発表をしている学者さんとはひと味もふた味も違った本当の意味のインテリであり、且つ私生活では高校からの同級生を夫君になさっている見た目も実にチャーミングな女性である。私とは一つ違いだから世代的にも話が合って本当に楽しくお話をさせて戴き、東大在学時は小田島雄志先生の影響で「演劇も好きだったんですよ」と仰言るので、今後またお芝居をご一緒しましょうといってお別れした。
 経済活動としての仕事とは直接に関わりのない人の輪がこうしてどんどんふくらんでいくことは、今後の人類にとって良い方向ではないかと私は思うのであります。


コメント(1)

以前コロンビアのドラマで、浮気性の男性に「神様は始めにアダム(男性)を作ったのは完璧なイブ(女性)を作る為の試供品よ!」と言う台詞を聞いて「その通り!!」と妙な納得しました。
人の輪は計り知れない輪になって行きますね。我が家も財産は人だと思ってます。

投稿者 ともちん : 2007年03月01日 15:42



2007年03月01日

蒸し鶏のゴマだれかけ

 QPで見たゴマだれは練り胡麻、砂糖、酒、醤油を併せてそこに生姜とネギのみじん切りを足して作る。鶏肉は生姜の皮とネギの青い部分を載せて酒をふりかけて蒸し器に12分くらいかける。ゴマだれは少し固めに作って、蒸し汁でのばすのがポイント。私は好みでタレにラー油を少々加えた。
 例年3月になると、ああ、なんだかんだいっても春だ!と少し嬉しくなるのだけれど、今年は正月からずっと暖かいのでそういった歓びは全く感じられません。ただし暦などわかるはずもないカメ♂が今日は朝っぱら発情して廊下をバタバタ走りまわるわ、♀に覆い被さって鳴きまくるわ、あげく人の足をしつこく狙って噛みに来る!何度ひっくり返しても懲りずに騒いで大迷惑でした(笑)。




2007年03月02日

ヒステリア

世田谷シアター・トラムで『ヒステリア』を観る前に近所の中華レストランで食事。
 招待日は旅行中だったから普通ならパスするところを、何かしら匂うものがあって、招待を今日に変更してもらったのだが、まず劇場に入ってビックリしたのは立ち見が出ていたこと!いくら小劇場公演とはいえ、最近この手の翻訳劇で立ち見が出るのは珍しいし、楽日間近で業界人が結構来ていたから(私の横は宮本亜門だった)よほど評判がいいのだろう。で、それなりの期待に応えたユニークでなかなか面白い舞台だったといえる。
  精神分析学の創始者フロイドの晩年に彼の元をシュールリアリズムの大家サルバドール・ダリ夫妻が訪れたという史実を下敷きにした芝居で、ダリ自身も登場するが、すべては死を目前にしたフロイドの生々しい幻覚として展開される。かつてフロイドはある女性の精神分析を通じて彼女が幼児期に父親から性的虐待を受けていた事実を発見しながらも後にそれを否定して、それは彼女の性的願望だったという解釈に帰着した。幻覚にあらわれた女性はそうしたフロイドの変節を追及し、彼の父親や彼自身の内側にも同様に歪んだ性欲が潜んでいることを暴き立てる。いっぽう人間の潜在意識を具現化した絵画を描いたつもりのダリはフロイドに批評を仰いだ結果、その絵画には潜在意識よりむしろ意識的な作意のみが見えると言われて「シュールリアリズムは死んだ」と認めざるを得なくなる。最晩年のフロイドの精神をさらに大きく揺さぶったのはナチによるユダヤ人惨禍の現実でもあった。
 いずれも深刻なテーマであるにもかかわらず、舞台は意外と軽快に運ばれて前半はまるでスラプスティック・コメディのようにも見えるのがこの芝居のユニークなところだろう。串田和美のフロイドは好々爺然として妙に和める感じだし、幻覚にあらわれる女性は荻野目慶子ならではの妖しさとエキセントリックな演技に目を奪われる。中でも奇人ダリを演じた白井晃は実にみごとな怪演で大いに笑わせてくれた。白井は演出もかねており、照明、装置、衣裳等に細やかな配慮を見せ、ラスト近くのもろに幻想的なシーンでも達者な手腕を発揮している。




2007年03月03日

ちらし寿司、蛤のお吸い物

 雛節句の定番メニューであります。すし飯に混ぜ込んだのは酢レンコンのみじん切り、酢生姜のみじん切り、ちりめんじゃこ。具は海老、干し椎茸、菜の花、炒り卵。
  近所を散歩してたらなんと満開の八重桜が目に飛び込んだ!今年はソメイヨシノの開花もさぞかし早いだろうと思いつつ、取材で京都に行くのをいつにしようかと迷っている。せっかくなら久々に桜が見たいが、まず宿が取れるかどうかが大問題。なにせ京都は今やオフシーズンでもすぐには宿が取れないのは困りものだ。
 京都では必ずホテルを取るようにして、ここ何年も実家に寝泊まりしたことはない。そういうとフシギに聞こえるかもしれないが、実家に帰らないほうが親孝行なのである。わが家は客商売で両親共にまだ現役で働いており、高齢となった今ではお客様を迎えるのが精一杯だから、余計な負担はとてもかけられないのだ。ふつうの家庭だとわが子が久々に実家に戻ればお母さんが歓んで世話を焼いてくれそうに思えるのだけれど、私はそもそも子どもの時分から母親に日常的な世話をしてもらった覚えがまるでない。わが母親は料理も裁縫も全くできない!という昔の人にしては珍しい女性であり、自身ですら日常的な世話をだれかにしてもらっていた口だ。父も母も共に所謂ばあや育ちだから自身で子どもを育てるという感覚はないままに、私も妹もほとんど他人の手で育てさせていたのである。
 したがって私たちは別にそれでおかしいとは思っていなかったが、友人がわが家に遊びに来ると、親子でわりあい他人行儀なやりとりをするのにビックリするようである。絶えず他人がいる家の中で家族が暮らすわけだから核家族のようなわけにいかないのは当然で、昔はこうした家がもっともっと多かったのを思うと、人間関係の変わり方にも納得がいこうというものだ。
 近ごろは家族崩壊がさかんに叫ばれるし、子育ての父親不在が問題視されたりするけれど、近代の模範的な家庭に育たなかった私としては、いろいろな家族のあり方があっていいのではないかと思っている。もし共に子どものことばかりを一生懸命に考えている両親に育てられたら、私はそれを重荷に感じて参ってしまっただろうという気がする。幸いわが両親は商売を第一に考えている人たちだったので、私も妹も勝手にわが道を行くという感じで人生を送れるのが有り難いのであります(笑)。




2007年03月04日

海老サラダ、もっちり豆腐、昨日つくったチラシ寿司の残り

乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
今日はもう春うららどころか暑くて顔から汗が噴きだす乗馬であった。今からこれでは夏がコワイ。
2鞍目に乗ったのは去年の夏に落馬して以来ずっと当たらなかった馬で、半年ぶりのリベンジと相成ったが、馬装しているときにこちらの顔を妙にジィッと見つめるので、いくら記憶力が良いといわれる馬でもまさか半年前のことを憶えてるはずはないのだけれど、しばしにらめっこで応じてやったら今度は頭をぐいぐい押しつけてくる。もともと人なつっこい馬で、要は顔が痒いらしいとわかり、掻いてやったら鼻の下を伸ばして実に気持ちよさそうにしていた。
 ところで「黒幕」とか「さしがね」とか「どんでん返し」というコトバはそもそも歌舞伎のタームが一般用語化したものであるが、馬に関する用語で一般化したのも相当たくさんあるように思う。らちがあく、あかないの「らち」はそもそも馬を囲う柵だというのは知っていたが、古語のように思い込んでいたそれが今でもちゃんと乗馬の用語として使われていることに最初は驚いたものだ。で、馬が気持ちよさそうにすると鼻づらの下の部分がビローンと長く伸びるので、これも最初見たときはビックリしつつ、なるほど「鼻の下を伸ばす」というコトバはこれから来たんだ!と思い当たったのであります。


コメント(4)

南座にて花形歌舞伎「霧太郎天狗酒もり」を見て来ました。「並木正三」と言う作家の事がパンフレットに書いて有りましたが、今朝子先生の「並木拍子郎」はこの人の縁の人ですか?
芝居の善し悪しですが、前から上演されてなかった演目の掘り起こしは、上演されて無かった理由が有るのかな・・と思わすぐらい筋書きが面白く無いです。
勘太郎君も「顔見せ」で見せてくれた踊りの力(とっても良かったです)を発揮する場面が無かったのが残念でした。

投稿者 ともちん : 2007年03月05日 12:39

>ともちんさんへ

>「並木拍子郎」はこの人の縁の人ですか?

 並木拍子郎は並木五瓶の弟子という設定ですから正三の孫弟子に当たります。

>前から上演されてなかった演目の掘り起こしは、上演されて無かった理由が有るのかな・・と思わすぐらい筋書きが面白く無いです。

 ああ、それは残念でした。今日に残された戯曲を読む限りにおいて、並木正三はある面では鶴屋南北よりも面白い作品を書いた偉大な作者だと私は思っているのですが、残念ながらこれまでに復活上演されて面白かったためしがありません。凡庸なセンスの脚色では彼の天才的な作風を再現するのは無理だということもあり、また現代の歌舞伎の演技そのものが当時とは全く質が異なるために上演しきれないという問題もあります。とにかく膨大なセリフによる人間同士の巧みな駆け引きと、ストーリーのめくるめく展開が正三作品の身上で、今だと戯曲を読んでいたほうが面白いというのが正直なところかもしれません。もっとも『霧太郎天狗酒醼』は彼の中ではそう面白い作品とはいえず、ただ主人公が縦横無尽の宙乗りで客席の頭上を飛びまわるという趣向が大いに持て囃されてわりあい近代(明治期)まで上演されていたようです。今回の復活上演も恐らくそこを狙ってのことだったと思われます。

投稿者 今朝子 : 2007年03月05日 21:11

あれ、イマドキの乗馬クラブでは埒というコトバは使ってないのですか?
馬術競技でも競馬でも、フツーに埒というと思ってました。馬術部だった頃は、そうでしたから。
少なくとも、私は一度も古語だという印象を持ったことはありませんでした。特殊だなと思ったのは、馬匹管理を「ばしつかんり」と読んだことくらいかなぁ。
歌舞伎のコトバといえば、子供の頃に読んだ本に「幕が切って落とされた」と出てたのを読んだのと前後して、初めて浅葱幕が落ちるのを見たので、「これかぁ!」と妙に感動したことが、今でも記憶に鮮やかです。

投稿者 猫並 : 2007年03月05日 22:27

>猫並さんへ

>少なくとも、私は一度も古語だという印象を持ったことはありませんでした

ああ、馬術をしてらした方にとってはしっかり現代に生きてるタームだったのですね。私は今のクラブで乗馬を始めてからそうだと知ったのでした。馬が鼻の下を伸ばすと非常にマヌケな顔になりますね(笑)。

投稿者 今朝子 : 2007年03月06日 08:21



2007年03月05日

ホタルイカの炊き込みご飯、アスパラガスの胡麻よごし

 QPで見た料理。仕上がりが桜色になる春らしい炊き込みご飯で簡単に作れて美味しい。久々にオススメである。市販の茹でたホタルイカと生姜の千切りを酒、砂糖、塩、醤油を混ぜた付け汁で煮て冷ましておく。煮汁と具をいったん別々にして昆布と一緒にご飯に炊き込む。炊きあがってから彩りと香りづけに芹をトッピングする。食事中にスカパーを見ていたら、時ならぬ春の嵐で画像が受信できなくなってビックリした。台風でもこんなことはなかったのに!




2007年03月06日

橋を渡ったら泣け

シアターコクーンで土田英生作・生瀬勝久演出のストレート・プレイを見る前に「ドウ・マーゴ」で軽く食事。スター級が出ている公演でもないのに立ち見が出ていた!劇場に客がしっかりついてるということもあろうが、土田・生瀬のいわゆる京都演劇人のコラボが期待を持たれたのはたしかである。
 土田英生はあきらかに不条理劇の系譜に立つ作家なのだろうが、私は『悔しい女』でこの人の作品に初めて接したとき、あまりにも小市民的なリアルさを重視している作風のために、一体どんなタイプの劇作家だと解釈すればいいのか迷ったほどである。ただ押しつけがましくないユーモアのセンスがとても魅力的だったので注目はしたものの、そのときはまさかコクーンでひと月公演ができるようなメジャーな作家とは思えなかったし、今回の『橋を渡ったら泣け』もメジャーな舞台を必要とする戯曲とはいえないのである。にもかかわらず今回の上演がけっしてスカスカした感じにもならずにコクーンの舞台にきちんと納まって見えたのは生瀬演出のお手柄でもあろうし、旧来の不条理劇とは一線を画する土田戯曲の「ふくよかさ」とでもいうべき魅力によるものだろうと思う。
 ストーリーは近未来に何かとてつもない災害に見舞われて生き残った人びとの鎖された集団の中で進行する。人びとは皆いずれも意外なほどに平和な小市民的日常を維持し続けているように見えるが、その陰には「秩序」をめぐる「権力」が絶え間なく推移しており、そこに当然ながら「暴力」が絡んでくる。ある日ふいに訪れたストレンジャー(大倉孝二)によってその「権力」構造がしだいに顕在化し、ストレンジャーは自らが「権力」の地位に就いた段階でその恐ろしさに気づいて集団を去らざるを得なくなる。これが旧来の不条理劇なら登場人物が記号化された存在に徹してテーマに沿った劇構造をシャープに浮かびあがらせるところを、土田戯曲の場合はミニマム且つリアルな会話によって各人物に生々しい性格が付与されていく。物事を深く考えることは苦手な男(八島智人)や自意識過剰の女(奥菜恵)、物事の基準の喪失と同時に自身を見失ってしまうインテリの夫(小松和重)と、そうなれば隣りにいる人間を信じるしかないと割り切る妻(戸田恵子)、コンプレックスの強さから権力欲に駆りたてられる男(六角精児)等々いずれも壮大なテーマとは似つかわしくない等身大的な人物がコミカルなやりとりを交わし、時には狂気に至る怖さを感じさせつつも、ラストは実にほんわかとして人間に救いのある幕切れとなる。これまた旧来の不条理劇ならもっとブラックな幕切れになるはずだが、現実の世の中がここまで暗くなってしまった今日では、むしろこうした甘い芝居のほうが受けるのもわかる気がするのだった。




2007年03月08日

鉄板焼き

 7日夜は新潮社の小林姐さん、以前の担当だった佐野氏、現単行本担当の田中氏、新たな文庫本担当の青木氏が大量!の食材と酒ご持参でわが家を訪れ、新刊の相談かたがた会食と相成った。
 「銀座開化事件帖シリーズ」第2弾のまず刊行時期をどうするかの相談で、新潮社サイドは第1弾の文庫本化と連動させてどうしても今秋にしたいという意向だが、今秋は角川事務所が「並木拍子郎シリーズ」第3弾を、講談社が『そろそろ旅に』の単行本を出したいとの話がすでにあって、ただでさえ立て込んでいるから無理だといっても、新潮社サイドは一向に譲らぬ構えである(笑)。こうなるともう私の一存では決めかねると言ったところ、佐野氏が両出版社の担当者と直に話し合って調整をすることになった。というわけでこっちは調整の成りゆきを見守るしかない。
 ところで出版社と作家との関係は部外者の目で見るとけっこうフシギなもので、歌舞伎役者と興行会社「松竹」との関係を長年見てきた私にとって、まず一番大きく違う点は、当たり前だが、出版社が沢山あるということだ(笑)。で、これも当たり前だが、役者は同時に色んな場所にいられないから、以前某狂言役者がヘリコブターに乗ってかけ持ちした事件があったことでもおわかりの通り、ダブルブッキングは絶対に避けなくてはならない。片や作家の場合は本人がそこに居る必要は全くないから、同時に色んな仕事を進行して別にOKだけれど、却ってどういう順番でするかについてはけっこう頭を悩ませる方が多いだろうと思う。
 役者は一応話が来た順番に仕事をするのが鉄則で、あとから来た話がその前に来た話よりはるかに有利であっても、前の話を蹴って有利なあとの仕事を選択するのは非常識として業界から爪弾きされる。たった1日の仕事のために、ひと月働けるチャンスを逃して泣いた役者の話はいくらも聞いた。TVや映画でもこれは同じで、従って自分ではとても調整がつかないから、役者は大概マネージャーを抱えたり、プロダクションに属しているのである。
 いっぽう作家の場合は話の来た順番に仕事をする鉄則というものはどうやらないようで、私は初期のころPHPとお付き合いして、その間に講談社で時代小説大賞なるものを頂戴したときに、講談社サイドの仕事を優先するように言われて面くらい、私の感覚だとそんな非常識な真似はできないので、PHPの仕事を優先した。以来、仕事は来た順番にやるという私なりの原則を通しており、なぜならどの出版社から本を出すほうが有利かなんて考えるのも面倒くさいし、そもそも出版界全体がタイタニック状態の今どきはどこで本を出してもそうたいして変わらないと思えるからであります(笑)。
 で、以前PHPが先か講談社が先かで揉めたときも、最終的にはPHPの担当者と講談社の担当者の話し合いで決着したが、作家不在で出版社同士が話し合うというのもこの業界ならではの仕組みのようで、担当者同士は大概知り合いであることが多いらしい。
 漫画家さんの場合はたいて1社専属のようなかたちで仕事をなさってるようだが、昔はともかく今の作家は大概何社とも付き合いがあるし、担当編集者もある意味ではライバルになるのだけれど、一方ではお互いに手を取り合って大勢の作家を囲うかたちを取っているらしい。以前、某社のとても正直な編集者が「要は編集者同士が手をつないで生け簀を作って、そこで魚を飼ってるようなもんなんですよね」と私に洩らして、なるほど!と大いに納得したのであります(笑)。


コメント(2)

NHKの朝の連続ドラマ(お昼に見てますが)で只今「田辺聖子」さんをモデルに藤山直美さんが主演でやってるのを見てます。作家さんと編集者さんの係わり、駆け引きをチッラと垣間見てます。
仕事の内容は全然違いますが、家業も完全予約制なので楽な部分も有りますが、どうしようも無い時が有ります。因みに舅が亡くなった時は、踊りの会の300人前を聞いててやっさもっさしました。
先約順を守ってます。今朝子先生の御実家もそうだと思いますが、出来るキャパは限られてますから。
一寸無理はしますが、絶対無理は絶対しません。

投稿者 ともちん : 2007年03月08日 16:45

>ともちんさんへ

>一寸無理はしますが、絶対無理は絶対しません。

本当に仰言る通りです。どんな稼業であれ、それが良心的に仕事するための基本だと思います。

投稿者 今朝子 : 2007年03月08日 20:26



2007年03月08日

八宝菜、肉団子、根菜サラダほか

 美容院の帰りに近所の総菜屋でゲット。NHKの「クローズアップ現代」を見ながら食事。今回はアレルギー症の問題を扱っていたが、先日来どうやら私も花粉症を発症しそうな気配だったので、このところ毎日ヨーグルトを食べて甜茶を飲んでおり、なんとかならずにもちこたえている。
 先日お会いした生物学の長谷川真理子教授がやはり花粉症で、毎日ヨーグルトを食べると少しは症状が緩和されるというお話だった。花粉症に乳酸菌がなぜ効くのかについての理由が伺えなかったのはザンネン。もっとも訊いて答えてもらえたかどうかは不明である(笑)。
 甜茶は私が前にTVで見た、どうせ「あるある」ネタか何かなので、気休めに過ぎないとはいえ、こうなればもう「鰯のアタマも信心から」であります。




2007年03月09日

深川丼モドキ、菜の花のお浸し

 なぜモドキなのかというと、中身がアサリじゃなくてアオヤギだからであります。近所のスーパーでアオヤギのむき身を見かけて間に合わせに使ったが、やや堅いし貝の味が濃すぎて失敗。酒のおつまみにするならいいかも。
昼間は幻冬舎のヒメが『吉原手引草』の見本をご持参になり、早くも『週刊現代』のインタビューをお受けして編集部の佐藤氏、ライターの山川徹氏とお目にかかった。
 これは今回初めて知ったのだが、最近の出版界には「バインドプルーフ」というものがあって、作品の内容がほぼ完成し、装幀がまだ出来ていない段階で、ちょうど学校の文集のような形にして書評家の方や新聞雑誌の編集部等にお送りし、店頭に並ぶ前にお読み戴くかたちを取ることがあるらしい。で、山川氏はそのバインドプルーフを何度もお読みになってわが家にお越しになり、いろいろと鋭いご質問を頂戴した。なにせ題材が「吉原」だから、けっこうきわどい話にも触れつつ、私がなぜ現代に敢えて「吉原」を取りあげる気になったのかという話を長時間させて戴いた。
 近々このブログで美しい表紙の写真も載せて紹介しますが、店頭に並ぶのは今からちょうど一週間後の3月16日ですので皆様よろしくお願いします!久々の新刊なので、さすがに今宵は自己宣伝に徹しております(笑)。
 




2007年03月10日

海老チリソース

 新潮社の皆様ごめんなさい。先日の鉄板焼きで大量の肉に目を奪われてうっかり出しそびれた海老が冷凍庫に眠っていました。なので今晩のメニューはコレ。生姜、ニンニク、長ネギのみじん切りと一緒に炒めて豆板醤、酒、ケチャップ、鶏ガラスープ、オイスターソースと醤油少々で味付けし、おしまいにレタスと溶き卵を入れてマイルドに仕上げた。われながら結構おいしくできて満足。
 今日の夕方行きつけのブティックで採寸をしたときに、手の甲が真っ黒に日灼けしてるのを見とがめられたので、ガラパゴスに行った話をしたところ、「ああ、それってたしか石原都知事がいらしたとこですよねえ」と言われてムカッとした私であります(笑)。


コメント(3)

石原慎太郎が都知事になった時「東京都民でなくて良かった」と思いました。でも再選された時に都民は支持したはるんや・・と思ってましたが、今回の選挙にあたって結構不満を持ったはる人が多いのでどうなるのでしょう・・
海老のチリソースは私も自慢料理の一つです。辛口(毒舌なだけ)の娘も「今まで行ったお店より、うちのが一番美味しい」と言ってくれます。

投稿者 ともちん : 2007年03月10日 22:22

>ともちんさんへ

>石原慎太郎が都知事になった時「東京都民でなくて良かった」と思いました。でも再選された時に都民は支持したはるんや・・と思ってましたが、今回の選挙にあたって結構不満を持ったはる人が多いのでどうなるのでしょう・・

私は石原3選を許したら都民の恥だと思いますが、とにかく日本の選挙ではこの人ダメ!と思う人はいても、この人にしたい!と思う人がなかなかいないのは不幸なことですね。

投稿者 今朝子 : 2007年03月11日 21:29

>ともちんさんへ

>石原慎太郎が都知事になった時「東京都民でなくて良かった」と思いました。でも再選された時に都民は支持したはるんや・・と思ってましたが、今回の選挙にあたって結構不満を持ったはる人が多いのでどうなるのでしょう・・

私は石原3選を許したら都民の恥だと思いますが、とにかく日本の選挙ではこの人ダメ!と思う人はいても、この人にしたい!と思う人がなかなかいないのは不幸なことですね。

投稿者 今朝子 : 2007年03月11日 21:29



2007年03月11日

絶食

 昨晩はご飯をたっぷりん食べた上に、こりゃマズイと思いつつ食後の菓子をつまむ手が止まらなかった。で、頭が重く感じたのでめずらしく後かたづけちゃんとせず床に就き、朝までグッスリ眠ったのにどうもイマイチ気分がすぐれない。それどころか吐き気を催して黄色い水を吐いてしまった。
 にもかかわらず!乗馬のしたくをしていったん外に出たものの、風の冷たさに恐れをなして家の中に戻り、クラブにキャンセルの電話を入れて、しばらく昼寝をしたらこんどは吐き気が激しくて水を飲んでも吐く始末。これはいつものパターンなので慌てず騒がずとにかく寝て、今さっき夜8時に目が覚めところだ。さすがに食事する気にはなれず、塩を入れた番茶を飲んだだけ。明日になれば復調してまたガバガバ食べ出すだろうと思う。たまにこの手の絶食がないと容姿をキープしきれない(笑)私であります。
 先日来、鼻がぐすぐすしてたから花粉症だと思い込んでいたが、それがどうやら風邪だったのか、花粉症のなりかけと風邪がごっちゃになって気づかなかったらしい。近所の大島さんに別件で電話して症状を話したら「そりゃ疲れが出たのよ。お互いもう年なんだから」と一蹴された。考えてみれば帰国後ゆっくり家で過ごしたことは1日もない。もっとも私の場合、野口式整体でいう「九種体癖」で、コマのようにクルクル動きまわってるときはいいが、止まった途端にバッタリ倒れてしまうたちだから、今日のように家で気がゆるんでなまじゆっくり休もうとしたら、こんなハメになります。
 ところで昨晩の話から書きだしたのは、すでに私の躰がかなり鈍っていたのを証拠立てるためでもある。整体的にいえば、人の躰はだれでも毎日少しずつ歪んでいるのに、躰が鈍感になってそれをキャッチできずに過ごしていると、大概ひどい病気になったり、高じるとポックリ死にも至る。だとすれば「鈍感力」の強い人がこんなにも大きな顔をしてのさばっている(ことに政治家!)日本の現状はまさに亡国の前兆といえるのかもしれません。


コメント(1)

「回遊魚」ですね。我が主人も「止まったら死ぬ。将来は動いたっきり老人になる」と・・確かにボーっとしてるとこを見たこと有りません。でもお休み3秒と言うぐらい快眠、熟睡で体力を補ってる様です。
先生もたまにはゆっくりして下さい。お大事に!!

投稿者 ともちん : 2007年03月11日 22:01



2007年03月12日

ポトフ

 絶食明けの定番メニュー。明日はきっとカレーだよと言い合う友人の顔が目に見えるようである(笑)。
今朝は6時起きで仕事をして、早々と晩ご飯。胃腸はもう完全に復活して、近所で何を見ても嗅いでも食べたくなったが、肝腎の美味しそうな春キャベツがなかなか見つからなくて、スーパーを2軒ハシゴしても結局ダメ。これも暖冬のせいだろうか。
 一昨日の晩から今朝にかけて通算26時間もぐっすり眠ってしまったが、夢うつつのなかで小説のネタを1本思いつき、起きてから考え直しても何とか使えそうネタなのでラッキー!物書きは転んでもただは起きないのであります(笑)。


コメント(2)

今朝子先生お久しぶりです
なぜコメントする気になったかと言えば、私は2日の夕方から目眩、耳鳴り、吐き気とやられて若い時ならただ眠れば良くなったのにとうとう救急のお世話になったからです。CT MRI その他やったけど結局何も無く、精神的疲労かなのお決まりの診断でした。まだ眠くて眠くて。お大事になさって下さいね。又いつか花の会で楽しいお話を!
70歳は疲れます

投稿者 赤尾雅子 : 2007年03月13日 19:03

>赤尾さんへ

わー、本当に何も無くて良かったですね。くれぐれもお気をつけください。それにしてもお歳を伺ってビックリしましたが、考えてみれば私が30代前半の頃からのお付き合いなのですよね。花の会の方々は皆様少しもお変わりにならないので、人生の後輩としては頼もしい限りです。またお目にかかるのを楽しみに。皆様にもよろしくお伝えください。

投稿者 今朝子 : 2007年03月13日 20:01



2007年03月13日

カレーうどん

ポトフ明けはこれまた定番のカレーであります(笑)。
昼間は税理士さんと電話のやりとりで確定申告の最終調整をした。物書きは源泉徴収で先に1割もさっぴかれてしまうので、還付税で相当のお返しを願わなくてはならない。また年によって収入にばらつきを来すのもフリーランスの哀しさで、去年は収入が少し増えた分、税金が増えるのも当然とはいえ、なんと去年の倍もとられる形になったのはどうにも納得がいかず、なんとかもう少し還付税を上げてもらえないものかと相談したが、必要経費を認めすぎると後で税務署につっこまれてリスキーだという税理士さんの判断に結局は従うしかなかった。
 この時期は確定申告をなさる皆様がこうした格闘をなさっておられることと思う。にもかかわらず、なんとか還元水やペットボトルの水を光熱水費として認める税務署が一体どこにあるってんだ!馬鹿も休み休み言え!と怒鳴りつけたくなるのは菅総務だし、「今、水道水飲む人なんてほとんどいないんじゃないですか」と嘯く当事者、松岡農水相に至っては何をか言わんやである(怒怒怒)。「美しい国」が聞いて呆れる史上サイテーの内閣を擁した今のニッポン国で、果たして真面目に税金を払う必要なんてあるんでしょうか。


コメント(3)

私もフリーランスの端くれなのですが、申告書類を書きながら「文筆業だと旅行や○○展はすべて取材、書籍はすべて資料として経費扱いかな」と羨んでおりました(笑)

今度の内閣、凄いですね。いくら人材豊富?な自民党でも、こんな三連単大当たりみたいなことって珍しいのではないでしょうか。

投稿者 猫並 : 2007年03月14日 08:26

水道の水も飲め無い国が、美しい国なんて笑っちゃいますよね〜ふざけんなです。
「吉原手引草」明日発売ですか?わくわくします。
松井さんは「さくらん」観ましたか?私は「まんが」がおもしろかったので、映画も観たのですが又違った印象で、良かったです。

投稿者 RUGI花 : 2007年03月14日 08:58

「さくらん」は23日に映画を見る予定なので、その日にまた感想を書きます。

投稿者 今朝子 : 2007年03月19日 21:45



2007年03月14日

五穀米弁当

整体治療の帰りに東横のれん街でゲット。
 例によって車内の中吊り広告を物色するも、この時期の週刊誌は昔から相変わらずのお受験合格者ネタでつまらないこと夥しい。中でふと目をひかれたのが、例のメール問題で話題になった永田衆議院議員の妹が「SMの女王様」だった!というネタで、さもありなんという気がしたくらいであります。




2007年03月16日

さわらの南蛮漬け

 QPでは鯖の南蛮漬けを紹介したが、珍しく国産の鰆が手に入ったのでこれになった。ネギのほかに椎茸とアスパラガス素揚げして加えた。南蛮酢には生姜の千切りも加えてわれながら上出来の味。近所の大島さんと一緒に食事。
 桂米朝事務所の大島さんはうちと同じ通りで300歩ほどしか離れていない場所にお住まいなのでよく道でバッタリ出会うが、今日は一度出会って別れたあとに「ねえ、あそこで着物を買ったんだけど見てくれない」という電話がかかってきた。近所にフリースペースがあって、週替わりでさまざまな市が立つが、今週は和服の古着市だった。彼女は私と別れたあとそこに立ち寄って物色していたら例によってぞろぞろと人が集まってきたらしい。このブログに何度も書いた覚えがあるが、大島さんと私には昔から「賑わし神」の運というか才能(?)があって、とにかく自分の居る場所がなぜか妙に賑わってしまうのだ。で、今日もその才能が発揮された結果、「なんだかお客様がいらしてから急にうちが繁盛したような気がいたしますので」と店の人に感謝され、そこそこいい着物2着に帯と袋物までつけてなんと2万円!の出血サービスでゲットした上で、「何せこの才能を他人様に認めてもらえたのは嬉しいわよ」とのこと(笑)。「賑わし神」は周囲に利益をもたらすも、本人はただただ大変なばかりで、彼女は現在落語ブームのまっただ中にあって、事務所にいると電話が次々かかってトイレに行く暇もないくらいなので、今日は思いきって外に出たのだということでした。




2007年03月17日

担々麺ほか

 さいたま芸術劇場でシェイクスピア作・蜷川幸雄演出『恋の骨折り損』を観た帰りに近所で食事。
初日開幕前のロビーで翻訳の松岡和子さんとお会いしたら「とにかくみんなきれいよ。芝居は小父さんたちが健闘なさってるの」と仰言ったが、舞台を見てなるほどと頷けるものがあった。ああ、これこそ望都さんをお誘いすればよかった!と思うことしきりである。
 男優だけの蜷川シェイクスピアではすでに『お気に召すまま』や『間違いの喜劇』を見ているが、今回は「男タカラヅカ」といった雰囲気が極めて濃厚で、ストーリー自体も往年の少女漫画を彷彿させるものだ。王と3人のご学友が禁欲の誓いを立てた直後にフランス王女と3人の貴族の娘があらわれてそれぞれが恋に落ち、駆け引きに熱中し、王女の父が死んだことをきかっけにまたそれぞれが本気モードになって1年後の再会を期して別れるという筋立てで、そこに道化役の風変わりな貴族や庶民の男女がからむ。登場しただけで笑えたのは風変わりな貴族役の藤井びんで、「転位21」で活躍していた頃を知る者にとっては笑撃的な演技だった。これまたビックリしたのが王女の侍従役を演じた青井陽治で、私は彼が『ベント』の本邦初演に出たのを見ているが、多くの人は翻訳家兼演出家だと思っていたのではなかろうか。昔は下手な役者だったこの方が今回達者な演技を披露なさったのも意外で、松岡さんの仰言った「小父さんたち」ってこの人たちだったのねと納得したのである。
 「みんなきれい」のほうは男女8人の貴族を演じる若手俳優だが、実質的に主役をつとめたのは高橋洋で、膨大なセリフを巧みにこなして大健闘ながら、原作に沿った役作りとしてはもう少し皮肉な味わいがほしかったところだ。もっとも同行した内山さんは何せ彼の長年のファンだからよだれを垂らさんばかりに見入っていた(笑)。王役の北村一輝は濃い顔立ちが役ノイメージにはピッタリだけれど、声にまるで品がないのはがっかり。窪塚俊介や月川悠貴といったけっこう達者な若手が今回はあまりしどころがなかったのもザンネンでした。
 


コメント(1)

ラムチョップ、私も放送中に偶然見ました。担当の先生が背高な方だったので、作業台の高さが足りずやりにくそうだな〜と思いつつ。マッシュポテトの材料だけ表示されて作り方は教えてくれなかったので、料理初心者の私にはちょっと物足りなかったです(笑)。

投稿者 ふみ : 2007年03月17日 21:15



2007年03月18日

もんじゃ焼きほか

 昨日3月17日の夜にはQOで見た「ラムチョップの赤ワインソース」を食して、これがオススメだったのでしっかりレシピを書き、併せて近所の三茶シネマで見た映画『王の男』についてコメントを記したにもかかわらず、こちらの操作ミスで一瞬のうちに消してしまった(涙)。申し訳ないが二度書く元気はないのでカット致します。ところで書いてから消すまではほんの10分ほどしかなかったのに、このわずかの間にしっかり読んで投書までなさったのはふみさんだが、これはなんだか宝くじ買っても当たっちゃいそうなレアなケースだという気がします。
 今日18日は例によって乗馬に出かけ、そこで元PHPの熊谷氏ご夫妻にお会いして、帰りに曳舟駅前のもんじゃ焼き屋で食事をご一緒した。おふたりはクラブの無料乗馬チケットを持って試乗にいらして、な、なんとクラブの入会を即決してしまわれた。しかも夫婦揃って!ご入会というから驚きだ。
 私はこれまで乗馬帰りに寄って何度かおふたりとお食事をご一緒したが、断じて乗馬を一緒にやりましょうなどと勧誘した覚えはない。熊谷氏は全く別ルートで試乗券をゲットしていらしたのであった。そもそもはクラブの「インストラクター養成講座」のチラシを見て興味を持ち、出版人として取材する気でアクセスしたところ、無料乗馬券が送られてきたので一度トライしてみたくなった。で、試乗して余りにも気持ちが良かったので入会する気になったのだという。これぞ「ミイラ取りがミイラになる」であります(笑)。
 「乗馬クラブというと最初はもっと近寄りがたい雰囲気かと思ってたけど、全然そんな感じじゃないんで気楽に入れたんですよ」とのご感想は私と同じで、今や乗馬もかなり庶民的な広がりをもつ人気スポーツとなってきたのは確かだろうが、それにしてもわがクラブの雰囲気は意外なほど気さくである。もちろん中には自馬をお持ちの方も当然いらっしゃるわけだけど、金持ち風に気どった感じの人なんて全く見かけないし、とにかく皆さん人当たりがよくて、且つそんなに他人に構いたがらない個人主義的な人がほとんどなのでとても居心地がいい。私が長続きしてる大きな理由でもある。
 かつて陸上競技のアスリートでもともとアウトドア派だったのに、今はデザイナーとしてインドア生活を送っておられる奥さまのほうは大の動物好きでもあるから、「うちだとペットが飼えないので、ここに来ればいいと思って」入会を決められたらしい。ほかの会員の方にも「私はもともと馬という動物が好きで入ったんですよ」と聞かされた覚えがあるが、この動物とのふれあいという点も乗馬を今日に流行らせる大きな
要因だろう。さほどに現代人は人との関係に疲れやすいのだともいえそうだ。


  




2007年03月19日

鶏肉とサヤエンドウの卵とじ

 QPで見た超カンタンな春らしい彩りの逸品。フライパンで出汁、味醂、塩、薄口醤油を併せて煮立て、薄く粉を振ったささみと絹さや(私は好みでスナップエンドウに変更)を入れてさっと熱を通し溶き卵でとじるだけ。卵を入れてから蓋をしてすぐ火を止めるのがポイント。
 一昨日の操作ミスで消したラムチョップの写真とレシピも悔しいので載せてしまいます(笑)。ラムチョップは塩胡椒し粉をつけて表面をこんがり焼いて取りだしておく。同じフライパンでニンニク、玉ねぎ、セロリのみじん切りを炒め、赤ワインをたっぷり注ぎ、酢と砂糖、鶏ガラスープの素、水、隠し味にしては多めの赤味噌を入れてソースを作り(このソースが美味しい)、ラムチョップを戻し入れてしっかり火を通す。マッシュポテトを添えて盛りつけ。手の込んだおもてなし料理に見えて意外に簡単にできるのでオススメだ。
 これを作った日の夕方は近所の三茶シネマで『王の男』を観た。すでにご覧になってる方やこれから見ようと思って方も大勢いらっしゃると思うので詳述は避けるが、なんだかヤオイ系女性客の動員を狙ったとおぼしき邦題とは全然違って、シンプルなストーリーで「芸能」と「権力」の関わりを直截に描いた骨太の映画である。邦画だと野上弥生子原作の『秀吉と利休』などにも共通するテーマだが、扱われているのが高尚な芸術ではなく実にプリミティブ且つ猥雑な芸能であるところが面白かった。それにしても、いかにフィクションとはいえ、大まかな時代設定さえわからないので(日本なら15、6世紀といった雰囲気だが)、改めて隣国の歴史に対していかに無知であるかを痛感した。バリ旅行をしたときも現地の方とお話をして、こちらがインドネシアの歴史に全くといっていいほど無知なのを恥じた次第だが、今の学校ではアジア史をもう少し詳しく教えてるのだろうか。それともいまだに何やら臭い物にはフタ式でアジアとの関わりを封印してるのだろうか。
 




2007年03月20日

リストランテ アモーレ

 今最もホットなエリア東京ミッドタウンがすぐそばで、今夜は大勢の外国人で賑わっていたこのイタ飯店の料理はすべてストレート且つシンプルな味付けと見せかけながら実は奥深いニュアンスがたっぷり込められているので決して飽きない味だ。野菜をふんだんにとか、メインは魚でとか、大まかな素材を指定して調理はお任せといったスタイルのようで、前菜2品、パスタ、魚でもうお腹が一杯になるほどポーションも大きい。どれも美味しかったが、中でもカジキのソテーは絶品!カジキをこんなに美味しく戴いたのは初めてだ。写真は上から野菜のグラタン(これも美味しかった)、菜の花とブロッコリーのパスタ、カジキのソテー。
 集英社の八代さん、栗ちゃんと新連載の打ち合わせをかねての会食だったが、今宵はそれよりも栗ちゃんがなんとオメデタ!ということで大いに盛りあがってしまった。今5ヶ月で最近男の子と判明したそうである。8月の出産を控えて今は何かと大変だろうけれど、少子化時代にあってこうしたニュースが聞けるのは他人の身でも喜ばしい限りである。
 とにかく周りの若い女性で子どものいる人があまりにも少ないのはそれぞれの事情があると思うが、いざ子どもができると女性に負担がかかり過ぎるという点が働く女性にとっては大いなる悩みの種であろう。栗ちゃんの話で面白かったのは、ダンナさんの会社が育休を男女併せて3年も認めているので、最初の1年は栗ちゃんが育休を取り、次の1年はダンナさんが育休を取らせてくれと会社に訴えているらしいということだった。それをいざ実行に移すとなるとまだまだ多少の抵抗はあるだろうけれど、是非とも実現して、男女共同参画社会がかけ声ばかりじゃないんだってところを見せてほしいと思う。




2007年03月22日

とんぶりと山芋&イクラとイカの突出し、アボガドと魚介のサワークリームソース、鯛のマリネ、春山菜の天ぷら、牛肉と大根の煮物、鯛飯ほか

福光邸で旧友の光武さん、百田さんと会食。
 四半世紀以上にわたる友人の福光さんは27年勤めた文化出版局を今年ついに退社なさって、小石川の豪邸で優しいご主人と可愛らしいお嬢さんと共に悠々自適の日々を送ってられるが、なにせ「ミセス」の編集者としてこれまでさんざん美味しいものを食してこられたから料理の腕前はプロ級であり、出てくる量も半端ではない。今日は天然の真鯛をふんだんに用いた和食フルコース全8品を堪能し、デザートの自家製シフォンケーキで〆るまで6時間ほぼ食べっぱなしで、いつもながらにお腹が苦しくて寝られません(笑)。
 今年初めて会った園芸ライターの光武さんは「今日は朝から葉ボタンの花の撮影だったんですよ。今年は何もかも早く咲くから撮影の進行が忙しなくて」と暖冬異変の影響をもろに語られた。
 片やイラストレーターの百田まどかさんは「年末年始はエロ三昧だったんですよ」とのこと。なんと例の騒動で話題になった叶姉妹の本『ラブ&セックス』の挿絵を手がけたのは彼女!だそうで「百田さん、ここまではちょっとやりすぎじゃありませんか」と編集者がボツにしたほどのカゲキな挿絵もあったらしいから出版が待たれます(笑)。で、その彼女が福光さんと見てのけぞったというマニアックな台湾映画『西瓜』の凄まじいエロチシズムを聞いて、これまた機会があれば是非観たいと思ったのであります。




2007年03月22日

そのまんま地鶏、水菜と油揚げのサラダ

 「これが、ほら、例のヒガシコクバル知事が宣伝してたやつよ」といって百田さんにもらった真空パック入りの地鶏を今晩さっそく戴いたが、歯ごたえがしっかりあって、味付けもいい。そのまんまお湯で3分間温めればいいようになっていたが、私はネギと併せてフライパンで炒めた。水菜のサラダは胡麻油と酢、醤油を併せた自家製ドレッシングで食す。
 知事といえば、福光さんは友人に頼まれて浅野史郎氏を推した後援メッセージが実名で全国的に公表されてしまったそうであるが、昨日は光武さんの口からも「桜金造が立候補したのは公明党のさしがねなんですよ」というビックリするような情報が飛びだしていた。公明党票を浅野氏に回さないようにする戦略なのだというが、ええっ、ウッソー、公明党の支持者って桜金造にでも入れてしまうレベルなのかよ〜!と叫びそうになった私である。彼の立候補宣言をたまたまTVで見て、ギャグにもなってないし、ああ、この人はアルコールか何かが脳に来てとうとうコワレてしまったのかと思ったくらいだ。
 コワレてるといえば黒川紀章氏は近ごろの山本寛斎的コワレ方をしているような気がしてならない。立候補者の中であのドクター中松がまだまともに見えるのが怖い!今回の都知事選であります(笑)。
 
 
 


コメント(3)

宮崎地鶏は、店でもも肉焼きくらいしか食べたことがないですが、どこで食べてもかなりスモーキーというか、炭火風味が強くて結構人を選びそうだなあという印象でした。

都知事選、意外と混戦ですよね。出馬数が多い=混戦では決してありませんが、テレビのピックアップしている主な年寄りを含めて14人(すごい!)いる立候補者のバックグラウンドが多様すぎて笑うしかありません(笑)。職業・ディレッタントって!

こんな悪趣味な出馬祭だったら、「羽柴秀吉」(もちろん芸名?です)も立候補すればいいのに。彼は数年前までどこの知事(や市長)選にも神出鬼没だったのに、いつからかパッタリ消えてしまったのです。青森に帰ったのかな?

投稿者 ふみ : 2007年03月22日 22:13

↑秀吉殿は、私財を投じて夕張市を立て直すとかで、あちらの市長に立候補なさってるんじゃなかったでしたっけ?
どっかのニュースで見たんですけど…
もともと市長とか県知事ってそういうもんだよなぁって、妙に感心しちゃいました。
都知事選のニュースで、映像で紹介される候補者とそうでない候補者の境目が、凄くわかりにくくなった気がするんですが。
どこまでが泡沫候補なのか…泡沫って言葉も死語かなぁ。

投稿者 猫並 : 2007年03月23日 09:04

ーふみ様
「羽柴秀吉」氏は夕張市長戦に出馬するみたいですよ。
ー今朝子先生
「桜金造」氏は学会の信者で、多分高い位置にいるみたいですよ。
やっとお彼岸も終わりになって来て仕事が山を越えました。(お客さんがお寺さんが多いので)
後は25日が旧の初午(今年は遅かったですね。去年がうるう年で7月が2回有ったから)に伏見稲荷さんの大きな注文をこなしたら、「吉原手引草」を読む事が出来ます。手元には来てるんですが、仕事を終えた後の今よく言われる自分へのご褒美にと楽しみにしてます。

投稿者 ともちん : 2007年03月23日 15:15



2007年03月24日

鯨の刺身、鯨の竜田揚げ、ハリハリ鍋

幻冬舎のヒメと渋谷のシネクィントで蜷川実花監督の『さくらん』を観たあと「くじら屋」で食事。
 『さくらん』はもう少しマイナーな作りの映画かと思って見たが、どうしてどうして立派なエンターテイメントとして仕上げられた良い意味で予想を裏切る快作だ。前半は原作のマンガをほぼ忠実に再現して、マンガならではのギャグっぽいシーンを織り混ぜながら、押さえるべきところはきっちり押さえた撮り方をしている。とにかく衣裳セット共に赤と青の原色をメイントーンにしてド派手でキッチュな色遣いをして一歩間違えば完全に悪趣味になるところが暗い背景と組み合わせた構図の巧さでみごとに救われており、そこらあたりはさすがに写真家出身監督の腕の冴えというべきだろうか。吉原の花魁をガラス鉢の金魚に見立てた映像はややストレートに過ぎる比喩だが、かつての鈴木清順を彷彿とさせるシーンでもあった。
 主人公の花魁はとにかく男にモテまくってやたらに貢がせてる今どきの女の子と二重写しで描かれていて(花魁の衣裳がシャネル調だったりするのがおかしい!)、そんな女の子にも実は内心とても純なところがあり、最後は純な気持ちを貫いて自分なりの幸せをつかむという、如何にも少女マンガ的なロマンに基づく心地良いハッピーエンドが訪れるが、こうした映画をウソでなく撮れるのはやはり若い女性監督ならではだろう。全体に室内中心の暗い映像が一転パアーと明るくなるラストシーンには生理的快感がある。椎名林檎の曲の入れ方もいいし、キャスティングも隅々まで行き届いている。主役の土屋アンナは相当にバタ臭い顔で、江戸時代にこんな顔をした花魁が実際にいて且つ男にもてたはずは決してないのだけれど、現代女性のある種の典型とそのロマンを体現するという意味ではスタイリッシュな彼女の容貌がぴったりはまっていたし、女性から見て好感が持てる。映画全体として見たとき、これは別に吉原を舞台にした時代劇映画ではないし、ノリとして近いのはニコール・キッドマン主演の『ムーラン・ルージュ』かなあ?という気がした。




2007年03月24日

寒鯖の一夜干し、クレソンのお浸し、メカブ、

 きのう鯨を食べながら、鯨をもっと食べないとほかの魚が捕れなくなるという話になり、鯨も美味しいけどそういえば鯖の干物も美味しいねえなんて話してたせいか、今日スーパーで鯖の一夜干しを見たら無性に食べたくなりました。
 食事を終えてTVでフィギュアスケート女子フリー演技を見ていたら、妹から電話があって、「あんな人が芸〇〇賞を取らはるやなんて、ほんまに日本の文化もたいしたことないなあ」と大いに嘆く。世間的にそれほど有名な役者でもなく、また世間的にそれほど知られている賞でもないのだけれど、古典芸能の世界ではこれまで相当に重きを置かれていた賞だから、「やっぱり親の七光りやちゅうふうに周りはきっと思わはんのちゃう。本人さんもしんどいで」と要らぬ心配までしてみせた上で「ほんま今の日本は政治家でもなんでも親の七光りばっかりや。あの頼んない安倍さんが首相になってから余計にそんな気がする」とえらく憤慨している。「結局は弱者切り捨てで、七光りの金持ち同士でつるんで、『美しい国』の文化を守りましょうやなんて聞いて呆れるわ」と、共産党の人が聞いたら歓びそうなことを、少なくとも私よりは金持ちに違いない(笑)歯医者の妻が言うのだから、今の日本はどこかがおかしいと感じている人が相当あるだろうと思う。
 「だからまあ今はスポーツに人気が集まるんじゃない。やっぱり実力がないと成り立たないからね」と言って電話を切ったあと、腰を痛めて2度も転倒しながらねばり強く滑ったキム・ヨナに心を打たれ、その直後に浅田真央が最初の3回転をみごとに決めてから一瞬怖いような表情で逆転勝ちに挑む決意もあらわに、TVで見ていても息が詰まる気迫のこもった演技で場内を昂奮の渦に巻き込んだときは思わず目頭が熱くなった。演技終了後に珍しくぼろ泣きした真央チャンにもらい泣きしてしまった私であります。対象がなんであれ、日本にもまだ「感動」があったことに感謝いたします。


コメント(2)

>あんな人が○術院○をとらはるなんて

あれは、わたくしも新聞を読んでビックリしました。賞でもあげないと歌舞伎好きにしか知られずに一生が終わっちゃうよ、ということなのかなあ〜と思ったのですが、名前が埋もれたまま死んだ役者なんてたくさんいるわけで・・・。あの賞は梨園の人間にも必ずあげなきゃいけないという縛りでもあるのですか?

投稿者 ふみ : 2007年03月25日 09:44

ウーン、コメントのしようがありません(涙)。

投稿者 今朝子 : 2007年03月27日 21:48



2007年03月25日

わっぱ飯ほか

秋田駅ビル内で食事。
 仕事上のマネージメントをお願いしている進藤さんのお父様が23日に急逝された。朝方急に具合が悪くなり、10時過ぎに入院して12時に亡くなるという慌ただしさだから、当然ながら娘は親の死に目に会えなかったのである。亡くなられたらすぐ荼毘に付す秋田の慣習で、友引の今日がご葬儀となり、私は事務所メイトである守部さんと共に早朝の飛行機で秋田に向かった。
 お父様に初めてお目にかかったのは10年前に竿灯祭りを見に行った折で、当時すでにかなりのご高齢だったが、自らハンドルを握って乳頭温泉や田沢湖にまでドライブしてくださるなどして、大変にお世話になった。たしか秋田が猛暑に見舞われていた年で、ドライブ途中で食事をすると、お父様は必ず先に車にもどって冷房をかけておくといった気づかいをさりげなくなさる方だった。根っからのフェミニストで、NTTの前身旧電々公社で年齢も地位も上であった進藤さんのお母様と職場恋愛で結ばれたという話を伺っている。そうしたかつての筋金入り職業婦人だったお母様は87歳というご高齢にもかかわらずいまだ矍鑠として、ご葬儀でも気丈に振る舞ってみえたが、進藤さんもしばらくは東京と秋田を行ったり来たりしなくてはならないかもしれない。その旨このブログを借りて編集者諸氏にお断り申しあげる。




2007年03月26日

真子鰈のちり造り、春山菜の天ぷら、牛霜降り肉の網焼き、ウニの釜飯ほか

 ポプラ社の芝田さん、矢内さんと西麻布の「茶寮つくし」で会食。生ウニを載せた丼はよくあるが、この店の釜飯は生ウニをお米と一緒に炊き込んで蒸しウニにするというちょっと勿体ないような食べ方で、量もタップリ!ふつうの蒸しウニよりもやさしい食感で、鯛の子を炊いた感じと似ている。根っからウニ好きの私は控え目なおふたりを尻目に二膳目もしっかり頂戴しました(笑)。
 芝田さんと初めてお会いしたのはもう4,5年前になるだろうか。当時は幻冬舎にお勤めで、ヒメこと木原さんの上司としてお目にかかり、吉原を舞台にした時代小説のご提案を戴いた上で、現在のソープランド街と化した吉原にもご案内を戴いた。そのときの記憶は今でも鮮やかに蘇るが、『吉原手引草』を執筆する上でのとても良い体験となった。
 江戸の吉原には「引手茶屋」というものがあって、それが案内所の役割を果たしていたが、現代の吉原でもそれと同じような役割を果たす「喫茶店」が存在するのはビックリだったし、黄昏どきに黒服を着た体格のいい強面のお兄さんたちが「見世番」よろしく各店の前に整列している姿は実に壮観だった。さすがにヒメと女ふたりではあの取材はできなかっただろうと思って、芝田さんには感謝していた。その後幻冬舎をお辞めになって独立されたと伺っていたが、いつの間にかポプラ社に移られて今度はなんと矢内さんの上司になられたというのだから世間は狭い!というか何処も業界は狭すぎるのであります(笑)。


コメント(2)

「さくらん」見て来ました。娘と一緒に行ったんですが、見終わっておもわず
私「どやった?」
娘「綺麗やった」
私「内容は分かったん?」
娘「分かったよ」
一番初めの感想は映像美で在ったのは私も同じでした。監督が何が言いたかったのは理解出来ましたが、物足りなさを感じました。

投稿者 ともちん : 2007年03月27日 11:19

『さくらん』は観る人によって評価が分かれるようですね。私自身は、男ひっかけて、つっぱって、好き放題しても可愛いから許されてしまうし、お金や結婚相手にも恵まれ、取り立てて何も不足はないのだけれど、それでいてどこか満たされない気持ちを抱えて「自分探し」をしたがる消費社会の申し子のような女の子が、花魁の姿を借りてとてもよく表された映画だと思いました。いわゆる時代劇映画だと思ってみると肩すかしを喰いそうです。

投稿者 今朝子 : 2007年03月27日 22:19



2007年03月27日

和風スパゲティ

 進藤さんのお父様のご葬儀の件を近所の大島さんに報告して、何かと話していたら夜の9時近くになってしまい、彼女が慌てて晩ご飯のしたくに帰ったあと、適当に作った超カンタン料理。茄子と豚肉と茗荷とシメジを炒め、生姜汁と醤油、味醂を合わせたもので味付け。急ぎのときはコレが一番。




2007年03月28日

豚肉とキャベツのおろし蒸し

 QPで見た料理。塩、酒、生姜汁、醤油で下味をして片栗粉をまぶした豚肉を春キャベツでサンドイッチ状にして鍋に入れ、上に大根下ろしをのせて蒸し煮にし、胡椒を振ってポン酢で食す。今年はまだ美味しい春キャベツに当たらなくて、このメニューもイマイチでした。料理の味は素材の良し悪しで左右されます。
 食事をする寸前に進藤さんから電話があって、いったん東京に戻ってきたがまたすぐに帰郷するとのこと。まだ当分は大変そうだが、「植木等のことは一生忘れないわよ」と電話口で笑いながらいったのは、お父様と死因が全く同じだったからである。
 私は植木等の絶頂期をライブで見ている最年少の世代だと思うが、30代に突入する寸前にクレージー・キャッツ映画が再ブームして、当時の学生がよく見ていたという記憶があるから、私より10歳くらい年下の人たちの中にも植木ファンは確実にいるはずだ。SMAPの人気が過熱し始めたころ、私はクレージーキャッツを想いだして、キムタク=植木等という説を唱えた。周囲からさほどの賛同は得られなかったが、今でも植木等=キムタク説は堅持している。で、80歳で亡くなればやはり「芸能界の重鎮」という呼ばれ方をしても当然なのだけれど、絶頂期を想いだすと「重鎮」というコトバが彼ほど不似合いな芸能人も珍しいよなあ……とTVのニュースを見ながら思ったのでした。
 写真上段は夕方近所を散歩して見かけた早くも七分咲きの桜だ。いい季節に逝かれたものである。 


コメント(1)

年寄りにお彼岸の間に死ぬ人は寿命を全うした人と聞いた事が有ります。私は西行法師(間違ってますか?)の様に満開の桜の頃がええなぁと・・・

投稿者 ともちん : 2007年03月28日 22:56



2007年03月29日

お好み焼き、焼きそば

 近所で進藤さんと食事をしながらこの間の報告や今後のいろいろを話し合った。
 彼女はなにせ仕事の〆切が迫っているので資料を箱詰めで郵送してから明日また帰郷し、4月4,5日にふたたび上京。仕事が一段落したところでこんどは3週間ほどゆっくり実家で過ごしてさまざまな整理をつけるとのこと。とにかく実家と離れて暮らす身としては他人事ではない。
 京都のわが家は両親ともに健在でしかもまだ現役で働いており、すでに現従業員の加藤君が店の後継者に決まっているのでその点の心配は全くないのだけれど、それでも近ごろ夜中に妹と電話で話す機会が非常に増えているのは、正直申しまして、いざという時に姉妹間のコミュニケーションが巧く取れていないと困るからであります。




2007年03月30日

クライムチャウダー

 QPで見たレシピを参考に作った。まずベーコンと玉ねぎのみじん切りをバターで炒め、薄力粉を加えてルウを作り、アサリのゆで汁を注いで細かくした人参とジャガイモをじっくり煮込む。さらにスープの素と牛乳を加えて塩胡椒で調味し、下ゆでした浅蜊を戻せば出来上がり。私はそこにニョッキを入れてすいとん風の食事にした。
 昨夜電話したばかりの妹から先ほどまたFAXが来て、見れば高齢者医療制度改正に関連した書類である。現在問題になっているらしいこの医療制度改革について、私はこれまで全く無知無関心だったのだが、わが実家には大きな影響がありそうだという事実が今日判明した!
 実家は料理屋なので両親は現在料理飲食業国民保険組合に加入しているが、来年の4月から「国保」「社保」「共済組合」いずれの加入者も75歳以上は全員強制的に「広域連合」の新たな保険に加入が義務づけられるために、これまでの料飲国保は脱退しなくてはならない。で、ビックリしたのは営業主が脱退すると従業員の加入も認められなくなり、それを回避するには営業主の変更を余儀なくされるという点である。
 現在わが家は75歳の母親が社長を務めているが、この際に母親は引退して、多少あわただしくはあっても来年の4月までに後継者の加藤君に経営を譲る正式な手続きを進めたほうがいいのではないかという話になったのである。幸いすでに後継者がハッキリ決まっていたからいいようなものの、もうちょっと前にこんな話がもちあがっていたら、わが家は大騒ぎだったに違いない。
 それにしてもこんなに急に、しかもまるで国から強制されるようなかたちで経営交替を進めるはめになるとは想いも寄らなかったが、各中小零細企業ではこの問題に直面して困惑されている方々も多いのではなかろうか。
 「ほんまに弱者切り捨てやで。やっぱり安倍になってからロクなことがない。(地方選の街頭活動で)共産党の人らが言うてはる通りや」という妹はかつて民主党びいきだったが最近どうやら共産党への傾斜を深めているのか、東京都知事選では足立区長の吉田万三氏に投票するよう私に強く勧めるので、「なんであの人がそんなにええのん?」と私がたずねると「そやかてあの人はもともと歯医者やったみたいやで」と答えたのであります(笑)。


コメント(3)

そんなに阿倍さんあきませんか?確かにたよんないですが小泉、森政権よりましな気がします。今は我が儘小泉の後始末で人気が下がるのを覚悟で立て直しの時期だと思ってます。
京都も府、市議会戦で、たんとの候補者が立候補してます。その顔ぶれを見てると一時代前の「名誉、金儲け」のおっさんと違って「京都、国、政治を良くしたい」と思って立候補してる人が増えた様な気がします。
お商売用の配達のお酢屋さん、お醤油屋さんが「跡継ぎが無くて閉店する店が増えて来てる。市場の中のおかずやさんがやめて行かはる」と嘆いてます。
楽な道を選ぶ、安い物が売れる。教育は確かに間違ってる様な・・・

投稿者 ともちん : 2007年03月31日 14:43

ウーン、京都という町を考えると難しいところですねえ。グローバル化が進む一方で世界各国に民族固有の文化を「保守」しようとする大きなうねりがあるのも事実ですし、京都はさしずめその砦といった意識も地元の方々にはおありになるだろうと思います。ただ長い目、広い視野に立って眺めたとき、人類全体にとって本当に必要なものなら残るし、むりやり箔を付けて残しても意味がないという考え方もあるような気がします。
 本当にいいものを残すには、とにかく底辺をひろげて頂点を高くすることだという非情な側面が逆らいようのない現実としてグローバル化の中にはあります。能力のない人間が世襲で守られているのは底辺を狭くして頂点を低めることだと、日本の政治家や古典芸能伝承者の一部を見ていると私はつくづく思えるのです。

投稿者 今朝子 : 2007年04月02日 10:18

我が家の男性陣はスポーツ好きで、昨今の襲名を聞いて「血で継げるのは楽でええなぁ」と皮肉混じりに言います。
確かに「芸」の世界の跡継ぎさんをたんと見てますが、子供の頃から親が校門で待ってお稽古に連れて行く姿に感服してます。でも才能、センスは人それぞれですから・・・
南座で歌舞伎(踊り)を見て、幕間で「000へたやなぁ」と友達としゃべってたら「稽古不足で申し訳ありません」と言う声が・・振り返ったらその役者さんのお母様でした(汗)家に帰って主人に怒られ&爆笑されました。

投稿者 ともちん : 2007年04月04日 22:18



2007年03月31日

肉団子

sako.

 前にQPか何かでちらっと見た気がして、今日は想いだしながら適当に作ってしまった。肉ダネは豚と牛の挽肉を混ぜ合わせて(合い挽きではない)そこに生姜汁を絞り、塩胡椒で軽く味付けし、もどした干し椎茸と長ネギのみじん切り、水気をきった木綿豆腐と溶き卵を加えてしっかり練りあげ片栗粉をまぶして揚げる。出汁に砂糖、醤油、酢、塩で味付けし煮立ててから水溶き片栗粉でとろみをつけたあんをかけて出来上がり。菜の花の塩茹でを付け野菜にする。油を使うのが面倒だけれど、意外に簡単にできるのでオススメ。
 今日は久々に朝から原稿書きに集中できていっきに1本仕上がった。先週から今週にかけて何かと人様とお会いする機会があり、、またわが家のことや何かで現実に軸足を置かないといけない時間が多すぎたので、土曜日でもいつものような半ドンにせず(笑)朝9時から夜の10時過ぎまで、もちろん何度も休憩や食事を挟みながらだけれど、PCに向き合ってキーボードを叩き続けたのである。一応時代小説をメインに書く作家なのに、今どきは原稿用紙に向かって筆を取るというスタイルにならないのがわれながらおかしい。
 某社の編集者に訊いたら現役の作家では70%の方がもうメール入稿をなさってるそうである。読者のほうは専らダウンロードしてお読みになる方が今や何%くらいなのだろうか。本という形態はそれでも当分はなくならない気がするが、私は現代の活字本よりも江戸時代の木版本のほうをむしろたくさん読んでいた一時期があるために、活字とて決して永遠にメジャーなメディアではないというくらいの冷め方はしているつもりだ。明後日から出版業界にも新入社員がどっと(?)増えるのだろうけれど、この時代に敢えて出版社に入ってくる若い人たちって一体どういうタイプなんだろう?ある程度年を取った社員とは全く質の違う人種なのでは?などと少なからず興味が湧いたのでした(笑)。