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2006年06月13日
二枚目 並木拍子郎種取帳
にまいめ
なみきひょうしろう
たねとりちょう
2006年 ハルキ文庫
680円(税別)
ISBN4-7584-3241-4
収録作=「輪廻の家」りんねのいえ/「二枚目」にまいめ/「見出人」みだしにん/「宴のあと始末」うたげのあとしまつ/「恋じまい」こいじまい
狂言作者、並木五瓶に弟子入りした拍子郎は、今日も芝居のネタになりそうな町の噂を集めては、師匠のもとへ報告にやってくる。八丁堀育ちの好奇心が頭をもたげ、事件に深入りしていくこともしばしば。狂言作者ならではの勘の冴えを見せる五瓶とともに、噂の背景に探りをいれていく。とある材木問屋に続く祟りをめぐる「輪廻の家」、人気の出た役者への嫉妬の構図を描く表題作。「見出人」では、水茶屋あがりの女を女房にした男の、意地と情愛が描かれる。芝居小屋から忽然と消えた娘の謎を追う「宴のあと始末」、五瓶が深い間柄にあった女が心中事件を引き起こす「恋じまい」と全5作を収録。
キャラクターガイド
並木拍子郎(筧兵四郎) なみきひょうしろう(かけいひょうしろう)
狂言作者、並木五瓶の弟子。武家の出であり、事件にまつわる武勇伝が評判を呼んで、近頃は、芝居町でのやっかい事の相談をもちこまれたりもする。
並木五瓶 なみきごへい
人気狂言作者。大坂出身ならではの毒舌で、拍子郎の報告に茶々を入れながらも、時折、ズバリと事件の本質を言い当てる。甘いもの好き。
小でん こでん
五瓶の女房。普段はほがらかな気性だが、本作では、本気にもとれる夫の浮気に気をもんで、鬱々とした日を過ごす。
おあさ
料理茶屋和泉屋のひとり娘。化粧っけもなく、恋とは縁のなさそうな娘の心に、初恋の思いが蘇るのが「見出人」という一作。
筧惣一郎(かけいそういちろう)
拍子郎の兄。北町奉行所の定町廻り同心。事件に深入りしそうになる弟の身を案じているが、その活躍が自身の手がける大きな事件の解決につながることも。