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2006年05月31日

刺身、鶏ロールほか

 30日の夜は紀伊国屋ホールで桂文我の独演会を聴いて、会場で集英社の八代さんとバッタリ。で、ふたりして出口で桂米朝(事)マネージャー大島さんのお誘いを受けるかっこうで、上方落語家さんの打ち上げに参加した。
 帰りは最近売り出し中のお笑いタレント猫ひろしと一緒で、いきなり「ニャー」と挨拶されて、こっちは、いやー、我ながらなんて芸域が広い!観客なんだろう、と思わずにはいられませんでした(笑)。
  文我は早世した天才落語家桂枝雀の弟子で、師匠のインテリ性を拡大したような芸人だからして、落語界でもかなりマニアックなファンがついている様子だ。私は別にファンというわけではないが、前に「オール読物」の仕事で伊勢旅行をしたときに、伊勢出身のこの方が大島さんを介して現地の人を紹介してくださったことがあり、一度会ってお礼をいわなくてはなるまいと思っていた。
 で、今日の独演会は上方落語ならではの「地獄八景亡者戯」を楽しみに聴かせてもらったのだが、この演題は皮肉な味わいが身上ともいうべきこの人の芸風によくマッチしている。それにしても最近一週間以内に起きた時事ネタを盛り込んで、地獄のありさまとして80分も語り続けるこの演題はそうそう多くの芸人が手がけられるとも思えない。文我は昨日亡くなった岡田真澄までさっそく登場させたから凄い!
 もう一本は「妲妃のお百・峰吉殺し」で、本来は江戸が舞台のはずだがこれをそっくり上方に移し替えたもので、数少ない上方怪談噺の復活上演である。今回は語り下ろしだけにまだ十分に練れていない憾みはあるが、殺して死骸を水に沈めた女(峰吉)の幽霊を駕籠に乗って見るというシチュエーションが絵的に面白く、稀代の悪女お百を妙に淡々と演じる文我の芸も捨てがたいものがあるので今後に練り上げていかれることを期待したい。


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