2006/05/05
幕の内弁当
 幻冬舎のヒメと明治座の「石川さゆり」公演を見て幕間に食事。これにはワケがあります(笑)。
 「叔父が『石川さゆり公演』の演出をしていて招待券を送って来たのですが一緒に如何ですか」というメールをヒメから頂戴したときは?が飛びまくったのであった。なにせヒメの父上はお医者さまで(しかも大学の研究医)小学生のヒメに大江健三郎を読ましたというスゴイ人!のイメージが定着していたから、石川さゆりがどうしても結びつかなかったのであるが、母方の叔父上が商業演劇界でつとに知られた金子良次氏だというのを今回知って、またまた驚いてしまったのであります。
 で、私は正直いうと、やはり石川さゆりのほうに興味があったのでした。この演歌界屈指の歌手が一時事務所の金銭トラブルか何かで表舞台から姿を消していたころは逸材だけに勿体ない気がしていて、一昨年あたりからようやく復帰できたのを喜ばしく思っており、今回せっかくの機会だからあの「天城越え」をナマで聴いてみたくなったのである。「天城越え」の歌がどうしても浮かんでこないという方には是非一度ちゃんと聴いてみられることをオススメしたい。とにかく物凄い歌詞で私は<演歌の純ブンガク>と読んでおります(笑)。
 公演はお定まりの二部構成で、第一部がなかにし礼原作金子良次脚本演出の芝居「長崎ぶらぶら節」。これが意外に良かったのは簡潔スピーディーな脚本演出もさることながら、石川さゆり本人の演技力に拠るところが実に大きい。歌手で演技の巧い人は少なくないし、ことに石川さゆりの演歌は芝居がかった歌なので、そこそこの演技力はあるはずだと思っては見たのだが、想像以上に舞台勘が良くてコミカルな味を発揮するのはオドロキだった。演歌にイメージされるべたついた自己陶酔的な雰囲気は微塵も感じさせない演技であり、本人たぶんとても頭がいい、且つ気性がさっぱりしている人なのだろうという好印象を受けた。熊本出身のこの人が長崎芸者の役を演じたという点も企画の勝利だろう。
 歌のうまい芸者の役だから劇中でもたっぷり喉を披露してくれたが、これが第二部になると長時間独りで歌いっぱなし、おまけにMCまで巧くやってのけるのだからそのパワフルな多才ぶりに圧倒されてしまう。それにしても、この人の演歌は何曲聴いても演歌特有の常套文句の羅列が非常に少なくいことに改めて気づいた。「転がる石」なんて曲も聴いてビックリだったし、MCを聞いていると本人が非常に自覚的に歌詞にこだわりを持っているのがわかるのだった。演歌界でもこの人と坂本冬美は傑出した存在なのかもしれない。
 それでもやはり演歌歌手だからプレゼントコーナーもあって、観客が次々とプレゼントを持って舞台に近づいていくが、これまた定番の花束は皆無!石川さゆり自身が客に訊いて何を持ってきたかを言わせると、図書券!中華饅頭!バナナ!入浴剤!と意表をつかれるものばかりで、石川さゆりファンは相当な変わり者ぞろいであるのか、はたまた演歌ファンのプレゼントってこういうのが主流なのか私にはさっぱりわからないのだった。とにかくオドロキの連続だったとはいえ、ラストは待ってました!「天城越え」の熱唱でめでたく幕を閉じ、私は大満足でヒメに感謝して帰宅したのであります。
 

2006/05/04
麻婆豆腐、レンコンの練り胡麻マヨ和え
 QPで見た麻婆豆腐はトウチを入れるのと、仕上げに酢を少しきかせて味をしめるのがポイント。で、私は花椒をたっぷりきかせるのが好きなのだが、きょうは入れすぎてしまい、舌が痺れて味がわからなくなりました(笑)。
 夕方、仕事が一段落すると必ず散歩に出る私だが、今日は家から数歩のところで「松井さん」と声がかかってびくっとした。見れば金髪の大柄な男性で、確かにお会いした人なのだが、またしても名前が出てこない。幸い向こうから「杉江です」と名乗られてほっとした。そういえば杉江松恋氏は近所にお住まいだと前に伺った気もするが、今日は奥様とお子様がご一緒で、幸せなパパといった感じだから余計にわからなかったのでした。
 それにしても、この近所でバッタリというパターンに私はどうも弱いようである。近所なら薬屋さんのお母さんとか、洋品屋のオジサンの顔はちゃんとインプットされていて、道ですれ違うと互いに会釈もするのだが、仕事上の知り合いに会うと大いに狼狽するのは、まずスッピンでかなり手抜きした恰好で歩いているからでもあった。以前、真夏にノーブラ・タンクトップに短パンで散歩していて、世田谷パブリックシアターの高萩さんに声をかけられたときは、さすがに頭に来て「君は武士の情けってもんを知らんのか!」と怒鳴りたくなったほどであります(笑)。
 ところで新潮社のクスノセ氏からつい先日、ゲラと同封のお手紙によって、民主党小沢党首のスピーチにヴィスコンティの「山猫」が引用されるのは今回に限らず以前からだったという鋭いご指摘を頂戴した。これは大分前に私がこのHPに書いた話を受けてのものだが、近いうちにこのHPも書き込み可能なブログに致しますので、皆様どうぞこうした間違いのご指摘や反論などをドシドシ書き込んでください。

2006/05/03
バーニャ・カウダほか
 急に友人があらわれたので、即席でまずは今日のQPで見たコレ。

2006/05/02
鰆の唐揚げ
 付け野菜はズッキーニの素揚げ。
 昨日は初夏の陽気だと思ってたら、今日の昼間は低気圧の通過で体調がおかしくなった。仕事をしている最中に猛烈な睡魔に襲われてダウンし、ほんの束の間に夢を見た。他人の夢の話とレンアイ話ほど聞いてくだらないものはないというが、個人HPだから強引に書いてしまう。
 夢の中でも私は人に芝居のチケットをゲットするように頼まれており、それが永井愛の新作で「それからの門」という芝居。むろんそんな芝居はないのだけれど、なんだか漱石物のパロディとしてありそうなタイトルなので、目が覚めてからおかしくなった。中途半端にリアルな夢であります(笑)。

2006/05/01
エンドウ豆のポタージュ、トマトとベーコンのスパゲティ
 QPのレシピ通りに作ったスープとベーシックなパスタを合わせてみました。角切りにしたジャガイモ、玉ねぎ、エンドウ豆、レタス(これがなぜ入るのかわからない。発色効果を狙ったものか)をバターでしっかりと炒めてからスープの素と一緒に10分程度煮込む。あら熱を取ってからこれをミキシングして牛乳とさらにスープの素を加えてしばらく煮て、塩、胡椒で調味する。煮込むときにベイリーフを忘れずに。エンドウ豆は調理する直前に殻を取ること。
 昨夜力尽きて書けなかったNHKの歌舞伎放送を想いだしながら、今日ここでもう少しコメントしておきたい。これでも以前は歌舞伎の関係者で、今や「ガメラ」のメイキングしか語れない人間になったと思われると困るからである。
 で、仁左衛門の「熊谷陣屋」はやはり近年わたしが見た中ではベストであった。中村京蔵にこのことを早速メールで書き送ったら、やはり同感で、もちろんナマのほうがもっと良かったとのことであるから、見逃したのは実に残念だった。とにかく大病から復帰後の仁左衛門は何を演じてもいい。どちらかといえば人気先行型で器用な役者とは言い難かったこの人が、これほどの名優になるとは摩訶不思議なくらいで、ことに丸本の時代物に関してはこの人の舞台だけをご覧なさいと皆様にオススメしたい。
 吉右衛門はたしかに巧い役者で、丸本の時代物が一見向いているようだが、実はちっとも向いていない役者であると私は断言して憚らない。ガラは大きいくせに、芝居が小さいのである。故に丸本の時代物になると、如何せん、業界用語でいうところの「芝居が世話」で、つまりは英雄的な主人公を現代人の目で見てわかりやすい等身大的な人間に表現しようとするために、逆に芝居全体が不条理で、観客としては気持ちがついていきにくい話として感じられる。敢えて平たくいうと、子どもを殺したあとでそんなに泣くんだったら、最初から殺さなきゃよかったじゃない!と思わせる演技なのだ。丸本物の主人公を現代人の目から想像した心理でつなげて見せようとするから、そうした間違いが生じる。演じている当人が、とても自分はこうした心理にはならないけど、まあ、昔の人だからこうなんだろうなあ、というような批評的視点を無意識に持ち込んでしまうからおかしくなるのである。吉右衛門に限らず今はこういう役者のほうが多くて、吉右衛門はその中でも一番巧い人だから敢えてここに例として取りあげたのだった。
 昔、某紙の演劇評論をしている記者で、江戸時代の人は主人のためにわが子を殺す覚悟があったなんて書いた大バカ野郎がいるが、いくら江戸時代の人だって日常的にそんな真似をするはずがないのであって、丸本の時代物は当時でも普通の感覚だと不思議な話に感じられる演劇であり、なにせ人形浄瑠璃が元だから、人物はあくまで壮大な物語を運ぶためのキャラとして創造されているのだという点を決して忘れてはいけない。
 仁左衛門の熊谷は、今後そうした丸本時代物の演技はかくあるべしという見本を見せてくれたような気がする。びっくりしたのは劇中で熊谷が敦盛を討った過去を再現する「物語」のくだりにおいて、「逃げ去ったる平山が、後ろの山より声高く」と竹本が語った一瞬、仁左衛門の顔が熊谷からぱっと平山のそれに変わったことで、少しあざといと言えなくはないけれど、なるほどこれが「物語」本来のあり方なのだと今回あらためて気づいた次第である。
 丸本物を演じる基本はあくまで浄瑠璃の言葉を信じて、その言葉をリアルに立ち上げてみせる一瞬一瞬にある。人物のアウトラインを勝手に役者が描いてしまうのではなく、言葉に完全に身を預けて自らの心がそこに運ばれてしまうのが正しい演じ方なのである。こういうことが素直にできないと古典劇を本当に演じられる役者にはなれないのだと思う。この点では西の仁左衛門と東の団十郎が双璧だろう。俳優としてもっと巧い人はほかにいくらもいるが、ただ巧いというだけでは古典劇は演じられないのである。

2006/04/30
天ぷら、刺身ほか
 今月は仕事でヘトヘトになったので、今日は思う存分ハネをのばすつもりで早朝8時に乗馬に出かけ、そのあと柳橋のルーサイトギャラリーで「山本タカト展<月逍遊戯>」を見る。山本氏は知る人ぞ知るお耽美系アーチストで、緊縛されて魔物に犯される美少女やサロメ、聖セバスチャンの殉教、天草四郎といったお馴染みのモチーフを繊細なタッチで描いた絵に集うギャラリーがいずれもまた、ああ、やはりいつの時代にもこの手の愛好者っているんだよね……と思わせる風変わりなファッションの若い男女で、乗馬帰りの場違いなファッションで私がこれに出かけたのは、何を隠そう、主催者が今野裕一&ミルキィ・イソベだったからである。
 元ペヨトル工房の社主且つ「夜想」の編集長として、早くにアンダーグラウンドカルチャーの旗振り役として名を馳せた今野氏と知り合ったのは私が「ぴあ歌舞伎ワンダーランド」を手がけた直後のことで、以来ときどき遊び相手としてお会いしていた。今野氏のベストパートナーがミルキィさんで、彼女はつとに装幀家としても名高い方だが、拙著「非道、行ずべからず」「家、家にあらず」の装幀もミルキィさんにお願いしている。ミルキィさんとは久々の再会で互いに抱き合ってしまった。
 このお二人はこれまでもいろいろと面白い場所でイベントをなさってるが、今回の展示場所はかの市丸姐さん(若い人はご存知ないだろうけど、大昔に一世を風靡した芸者出身の歌手)の住まいを今にそっくり保存した建物 (外観しか撮影できず残念)で、浅草芸者のお点前も付くという凝った演出の個展であった。集まったギャラリーが肝腎の絵画よりも芸者さんのほうに群がってるのはどうよ!という気がしないでもないが、まあ、これもご愛嬌だろう。てなわけで、私も浅草芸者さんと一緒にカメラに収まりました(笑)。
 会場で会った岡野夫妻と共に柳橋から浅草まで歩いて「中清」で夕食を取り、帰宅は9時過ぎ。丸半日しっかり遊んで今夜は早く寝ようと思ったのに、ついテレビを点けたのがマチガイだった。
 NHKで仁左衛門の「熊谷陣屋」をやっていて、これが近年久々に泣ける舞台で思わず最後まで見てしまい、続けて吉右衛門の珍しい「雨の五郎」がまた妙にいいのである。さらに続けて富十郎の「願人坊主」とくれば見逃すわけにはいかず、とうとう日付が変わってしまった。ふつうならさすがにここで寝てしまうところだが、どっこい、このあとの「芸能花舞台」でわが最愛の名優六代目歌右衛門のVTRを見せるとあってはそうもいかない。まあ、なんと盛りだくさんな1日であろう。もうヘトヘトであります。

2006/04/29
中トロの刺身、水菜とお揚げの煮浸し、アスパラガスの胡麻和え
 近所で美味しそうな本マグロの中トロを見つけて思わず買ってしまった。で、あとは適当に。
 世間はいよいよゴールデンウィーク突入だが、私にはあんまり関係ありません。今月は小説だけで3本も入稿をかかえてもうヘトヘトで、2本は入稿、あと1本もなんとかメドがついたので、明日は早朝から乗馬に出かけるという程度である。
 旅行は込むはボラレルはのこの時期に、フリーの仕事をしてる人間がわざわざ出かけるはずもなく、思えば若いころ興行会社に勤めたために、休みだから芝居や映画を見に行くという感覚がまるでない。で、ゴールデンウィーク映画というものにも本来まったく興味はないのだけれど、つい先日JR車両の映像モニターで映画の予告編を流してるのをたまたま見て、コレ行きたい!と思っても、人を誘うと絶対バカにされるし、さすがに独りで見に行く勇気はないのが「ガメラ」だった(笑)。
 これまでのガメラはワニガメがモデルとされているが、予告編を見るかぎり今度はアフリカケヅメリクガメがモデルだと思う。小さいのは本物のケヅメリクガメの子を使って撮ってるようだ。どうしてこんな映画のメイキングを得々と語ってしまうのか、われながらアホである。

2006/04/28
豚肉と筍とスナップエンドウの炒め物
 生姜の千切りをたくさん入れるのがポイント。味付けのベースは酒と塩と胡椒で、隠し味に砂糖、香り付けにほんの少し醤油をきかせる。整体治療から帰って簡単に作った。
 基本的にわが家で仕事をしている私は電車に乗ると眼や耳をめいっぱい開いて現代のいろんな情報を取り入れようとするのだが、最近は他人様をパッと見て何をしてる人なのか、どんな関係にある人たちなのかを一発で見抜くのが非常に難しくなったように思う。で、今宵はヒップホップ系ファッションの若い男性が「うちのお父さんユーミンが大好きなんだよねえ」と連れの同系ファッションの男性に話すのが洩れ聞こえて思わず聞き耳を立ててしまった。ユーミン好きのお父さんは48歳だそうなので、要は私の子どもより若いくらいの男の子だけど、それでも20歳は過ぎてるだろうと思われた。で、そのお父さんがとても優しい人だということを息子が熱心に物語るので、今どきこんな父親好きの男の子もいるんだ!と感心して聞いていたのだが、彼自身もすごくやさしい話し方をする男の子で、とにかくふたりでえらく親密に話し合っている。「ユーミン好きのやさしいお父さんなら、話したらわかってくれるんじゃないの」ともう一方の男性が言うと、「でも、やっぱりこういうことにまでは理解はないと思う」とかグスグス言ってて「だけど今のうちに話しといたほうがいいんじゃないの」と、またもう一方が押し返すので、そのお父さんに打ち明けたほうがいいけど打ち明けられない話というのがえらく気になってしまい、電車を降り際にふたりの様子を見て、突如、あっ、そうか、そういうことだったのかと閃いてしまったのでした。当たってるかどうかまではわかりません。これを読んでわからなくて気持ちが悪いという方は個人的にお尋ねください(笑)。

2006/04/27
鰹のトウチ漬け
 フジテレビでちらっと見てうろ覚えのレシピで作ったが美味しいのでオススメ。ニンニクと生姜のみじん切り、トウチ醤、豆板醤、オイスターソース、醤油、ごま油を混ぜ合わせたタレに鰹の切り身を漬け込む。鰹は漬け込む前に少し塩を振ってキッチンペーパーで水気を拭き取ると生臭みが抜ける。付け野菜は新玉ねぎとルッコラ。
 それにしても初鰹シーズン到来だってのに、なんだってこんなに肌寒いんでしょうか!

2006/04/26
中華弁当
 整体治療の帰りに東横のれん街でゲット。
 渋谷の山の手線ホームに珍しく大きな歌舞伎のポスターが張ってあって、五月興行は例年「団菊祭」のはずなのに、なぜ吉右衛門が座頭なの?と不思議に思ってよく見たら、それは歌舞伎座ではなく新橋演舞場のポスターだった。近ごろ私は歌舞伎に全くご無沙汰してるが、演舞場が五月も歌舞伎をやるようになったということは、同劇場がいかに興行的に苦しくなってきたかを証明してるように思われてならない。ここに来てさすがに旧来の商業演劇はどうにも立ちゆかなくなってきたのだろう。土台あんな大劇場を常に埋めることは今後もう無理である。出版界がいかに不況といえど、私にいわせれば出版社は結局のところ宣伝費も興行ほどにはかけず、印刷代がかかるくらいで当たったらボロ儲け、当たりそうもない場合は極力部数を抑えてリスクを回避できるからいいけど、興行会社はとてもそんな風にはいかないので実に大変だろうと思う。
 けどまあ、いずれにせよ、どんな業界もあと10年の寿命と思ってまちがいない、と私は近ごろ会う人ごとに言うのである。団塊世代が60才から70才の間はまだ元気な消費者でいてくれるだろうから、この10年はきっとどの業界もそこそこ潤うのではないか。で、その10年間にまた何も考えずに浮かれてしまい「失われた10年」に次いで後世に「取り返しのつかない10年」と呼ばれるに違いないと睨んでいる(笑)。その後は世の中がというよりも、人類全体がガラッと変わる気がするので、今はだれしもできれば他人様に迷惑をかけない範囲で、自らの心のままに生きるのが賢明であるように思うのでした。

2006/04/25
二色丼、アスパラガスの練り胡麻和え
 前にもたしかこういう丼を作ったことがある。鮪のヅケと納豆の味噌和えの2種。ご飯には大葉を敷いた。納豆には味噌のほかに万能ネギを混ぜ込んだ。鮪の醤油漬けにはワサビをたっぷりきかせた。

2006/04/24
豚肉とキャベツのさっと煮、汲み取り湯葉
 QPで見た超簡単料理。ニンニクと鷹の爪を入れて味醂、塩、砂糖、醤油で味付けした出汁で豚バラ肉と春キャベツ、ニラを煮込むだけ。最初に肉を入れてさっと火を通したあと、一度取りだしておくのがポイント。ニラは最後に入れて火を通しすぎないこと。要は一時大流行りしたもつ鍋の味である。湯葉は市販のものをゲット。
千葉の補欠選挙で民主党が辛勝したことで別にケチをつけるわけじゃないけど、とにかく選挙に勝つのが最大の目標になってる政治ってどうよ!といいたくなるのは私ばかりでしょうか。地方公演で役者が人力車に乗って挨拶回りする感じ(私は一度それに付き合ったことがあります)によく似ていて、政治家はホント今や地べたを走り回るただの芸人なわけですが、国から支払うギャラとしての歳費に見合うだけの芸達者はどうもいそうにない気が致します。それにしても政治は選挙に勝たないと意味がないという本音論法がこうも当然のごとく前面に出てしまうと、そのうち作家は町をまわって自分の本を売り歩かないといけないということにもなりそうで私はコワイです。社会の建前が崩れたことは一面いいことでもあるのだけれど、建前としての理念をなくせば人間落ちるとこまで落ちても平気になっちゃうわけでして、今や日本中のあらゆる業界が落ちるとこまで落ちてる気がしないでもないのであります。

2006/04/23
海老サラダ、筍御飯
サラダは乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。筍御飯は昨日の残り。

2006/04/22
春野菜の天ぷら、筍御飯
 わが家で友人と食事。

2006/04/21
「弁松」の白二重弁当、アスパラガスのホットサラダ。
 弁当は整体治療の帰りに東横のれん街でゲット。
 代々木にある整体治療院に通い出して半月ほどになるが、顔面の不快症状は頻度が減ってきているが、それより嬉しいのは宿痾ともいうべき肩こり症状がなくなったことである。一見サーファー風のカリスマG先生のおかげだろうと思う。ヒメにも感謝である。それにしても人間は年を取ると原因がわからないさまざまな症状に悩まされるものだと思う。いや、この治療院に通ってる人は私より若い女性が圧倒的に多いので、単に年齢だけの問題ではないのだろう。思えばこうやって私はずっとパソコンに向かって物を書いているわけだが、その昔「テレビには近づいて見ちゃいけません。躰に毒です」とさんざん言われたのに、それと同じことをしてるのだから、躰が悪くなって当然なのである。マイクロソフト社はまたまたウインドウズのニューバージョンを発売するそうだが、大儲けしてるビル・ゲーツよ、ソフトを開発するのもいいが、その前にまず全世界のユーザーに整体治療費を補助しろ!と私はいいたい(笑)。

2006/04/20
田舎そば定食
 新国立劇場で岩松了作・演出の「マテリアル・ママ」を見る前に食事。
 私は観劇から完全に離れていた期間がしばらくあって、その間に演劇界で急浮上した劇作家や演出家も多い。で、その中には名前は伏せるがどう見ても才能があるとは思えないのにえらくメジャーに活躍してるのがとても不思議で「人がちょっと目を離したすきに誰がこんなヤツを持ちあげたんだ!」と怒りの対象となったのが何人かいて、その人たちは別に私が罵ったからではないと思うが、演劇界で急に失速してしまったのはやはり私が見てない隙にいい加減な持ちあげ方をした似非評論家がいた証拠だろうと思う。
 で、この岩松了に関していうと、私が知ってる時代は「東京乾電池」でコントを書いてる人で、結構面白く拝見してたが、いつの間にか劇作家になっていて、しかも非常にメジャーな俳優が沢山出演していたにもかかわらず、これまでなぜか縁がなくて拝見しなかった。その大きな理由は元ぴあ演劇担当の進藤さんがあの蜷川さんの前でボロクソに貶したことだろう。てなわけで今回も見るのを非常にためらいつつも、ご贔屓の仲村トオルが出てるからという超ミーハーな理由で見てしまったのだが、どう見たらよいのかノリがイマイチわからないままに終わってしまい、だからといって再チャレンジすることはたぶん無さそうだ。
 ストーリー的にはそう複雑でもなくて、座敷に車を飾っているちょっとシュールな家の中で兄妹相姦らしき一組の男女と夫と娘を事故で先立たせたらしき女の過去が浮かびあがってくるというような仕掛なのだが、「マテリアル・ママ」というタイトルから想像させて且つ作者自身がチラシに書いている「車という物質文明の象徴のようなものを扱いながらその先にあるものを探って」というような話では全然ない。そもそもこの岩松了は「マテリアルと人間」の関係に踏み込む前に、人間と人間の関係でイッパイイッパイになるほどセリフがねちこくからむ作家だが、その感じは別役実と似てるようでいて非なるもので、もっと湿度の高いからみ方であり、唐十郎のようなシュールな抒情性を感じさせるセリフがありつつも、それがドラマとしては構築されていかないのでる。で、部分的にお笑いギャグが入ったりするので、本当に見ているほうとしては盛りだくさんな割にどう見てたらよいのか混乱するのであった。一見非常に演劇的に見えるのだが、どうもホントは違うのではないか。実にアヤシイ芝居である。このアヤシイ感じはタモリの4カ国語麻雀で、どれもがそれらしい言語に聞こえるのに全くどれも違うというのによく似てて、ひょっとすると岩松了は演劇界のタモリではないかと思った次第。だからむろん才能はある人なのである。

2006/04/19
筍の土佐煮、アスパラガスの練り胡麻和え、キャベツスープ
 食欲はほぼ完全に復活したが、今日は取り敢えず昨日の残りと冷蔵庫にあるものを片づけました。

2006/04/18
キャベツスープ、筍の土佐煮
 今日は朝4時に起きて仕事開始。執筆は快調に進んで夕方にはノルマ終了。昨日のアレは一体何だったの?と言いたくなるが、要はオーバーワークに過食と風邪が重なったのだろう。一日休んだだけでこんなにもラクになるんだから、仕事が躰にいけないことはハッキリしてる。誰でもそうでしょうが(笑)。
 で、絶食明けは定番のキャベツスープだが、昨日差し上げた筍を大家さんが茹でで親切に一本分けてくださったので、明日食べるつもりで土佐煮にして、もう今日食べ始めてしまいました。

2006/04/17
絶食
 昨日電車の中で、今どき風邪?というような女性と隣り合わせてしまい、これが冬場ならとっとと席替えするところだが、油断してそのまま座ってたのがいけなかったのか、今日は朝から頭が痛くて胸がむかむかする。近ごろ仕事によるストレスでちょっと過食症気味だったので、取り敢えず漢方胃腸薬を呑んだら、早速これを吐いてしまい、吐き気が止まらず黄水も全部吐いても収まらない。ちょうど運悪く実家からドッサリ京の朝掘り筍が送られてきて、筍は何せ即日処理しないといけないので大家さんに全部差し上げるはめに(涙)。躰を縦にするのも辛いくらいだが、月曜早々仕事をしないわけにもいかず、パソコンに向かって原稿を二、三行書いては横になるというのを繰り返して、新聞連載1回分のわずか二枚半をようやく書き終わったのが夜の7時。ほかの連載分は全く手つかずのまま、そこからまたしばらく寝て、今、夜の9時過ぎでなんとかお茶を飲めるくらいまでに回復した。いやー、どんな仕事でもそうだろうけど、物書きに一番必要なのは体力であります(笑)。

2006/04/16
スープカレー
 乗馬の帰りに流行りのスープカレーの素を近所のスーパーで見つけて作ったが、簡単にできて(当たり前か)案外イケル。具は新じゃが、人参、鶏肉、玉ねぎ、キャベツ。新じゃがと人参はチンしてから、あとはすべて生のまま一度素揚げしてからカレースープに入れたました。
 クラブ周辺は早や桜が散って今日は梨畑の花が満開でした。馬は抜け毛のシーズンなのか黒いセーターに短めの茶色い毛が一杯くっついてしまったが、どうやらあきらかにストレス脱毛とおぼしきハゲハゲの馬がいて気の毒だった。なにせ今や会員数は2千名を突破したというからオドロキである。馬場が拡張されたばかりでなく設備がぐっと充実して、各馬に専用の洗い場とロッカーができて、鞍も全部新しくなった。馬もインストラクターの人数も増えたとはいえ、私のようなヘタクソな会員がどっと増えたのだろうから、馬のストレスもまた増しているにちがいない。哀れである。

2006/04/15
バジルパスタほか
 今日は14:30から前進座に招かれて深川の江戸資料館で講演し、会場で著書を何冊か販売してくださることになって、講談社文庫編集部の神保さん、スラッシュの進藤さんにお付き合い戴いた。神保さんは休日返上のボランティアだったので、もし一冊も売れなかったらどうしようと心配してたが、案ずるより産むが易しで『奴の小万と呼ばれた女』が意外に売れ行き好調。ひとりで何冊も買ってくださる方がいらして有り難い限りである。もっとも苦手なサイン会をするはめになったのは、右腕を痛めているときだけにちょっと参りました(--);講演後どっとお腹が空いて近所でパスタを食べてしまい、家に帰って適当に果物や乾物を食べて晩ご飯はオシマイ。
 神保さんとは久々にお目にかかって、息子さんがお飼いになってる亀の話をする。息子さんが亀キチでお困りのご様子であるが、私はいっぺん息子さんとサシで話し合いたいものだと思っています(笑)。で、帰ってTVを見たらNHKでガラパゴス特集をやっていて、ゾウガメの映像を盛りだくさんに見て満足いたしました(^ ^)/NHKもこういう番組をやってる分にはいいけど、続けて見てしまった江角主演ドラマは脚本があまりにもひどいので呆れてしまう。所詮トレンディドラマのシナリオライターのレベルなんてこんなものだろうとは思うが、断じて受信料を取って見せるような代物ではない。またこの手のシナリオをなんとかこけおどしで見せる演出テクもNHKには無いのである。大体この局は若年層に媚びる番組作りをしてまず成功することがないのは何故なのか?若い局員だっているだろうにと思うが、私もかつて松竹という老舗の興行会社にいたから、新しい感覚を本当に理解はできていない人たちが、無理に新しがって作ろうとすると恥ずかしい結果になるのを体験的に知っている。永井多恵子さんに、他局に追随するのはやめたほうがいいですよ、と、ご忠告を申しあげたいくらいである。

2006/04/14
鰺の干物、空豆と湯葉の白和え、筍とゴボウのおかか揚げ、きび御飯
 鰺の干物は大家さんから頂戴したもの。あとは整体の帰りに渋谷のデパ地下でゲット。
 デパ地下で総菜を見てるとどれも実に美味しそうで、つい買ってしまうのだけれど、本当に美味しいものはまずないといってもよい。それにしても素材にやたらと冠をつけるようになったのは近年の傾向だろう。ただの豚ではなく「もち豚」だったり「新ゴボウ」だったり「京野菜」だったりと、なんだかやたらニギニギしいのであるが、食のブランド化が進行するにつれて昔本当に美味しかったものは姿を消したり、味が劣化している。今どきの京野菜なんて、肥料が違ってるから京都で食べても昔に比べると明らかに味が落ちているのである。こういうことを私が言うと本当に嫌みだけれど、だんだん言える人が少なくなってきてるから敢えて言うのである。
 食事しながらTVを見てたら近年の就職戦線にまつわる問題が語られていて、とにかく企業でもなんでもブランド信仰が強まっているのであろうが、ブランド名しか信じられない味オンチ的な人間ばかりが寄らば大樹の陰とばかりに入社してきたら、うちの企業は潰れるのではないかと私が社長なら心配するだろうと思う。
 それにしても今の若い人の根本的な自信のなさって何に由来するのか色んな原因があるのだろうけど、ひとつにはお受験や何かで早い時期から選ばれることばっかり覚えてしまうせいではないかと思う。幼稚園から就職までずっと選ばれ続けてる人生だったら、それがかりに超有名ブランドばかりを通過しても、結局本当の自信にはつながらないのじゃなかろうか。あきらかに親の問題なのだけれど、その親たちが一体何を思って子供をそんな風にしたのかといえば、別に自分の子供を特別スゴイものにしたかったのではなくて、なんとか無事に育って、ただ損をしない人生を歩んで欲しいという、ささやかな願望に過ぎなかったのだろう。積極的に得をする人生を選ばせるのではなくて、子供に損をしない人生を考えてやるという親のつまらなさが、子供をどんどんつまらなくさせているのではなかろうかと私は思うのである。私の世代は損か得かでなく面白いか面白くないかを生きる基準にしてきたはずなのに、その子供たちがつまらなくなってしまったのは何故なのか、子供を作った時点で基準を変えた人が大勢いたのだろうと思うしかない。 

2006/04/13
イカ明太子スパ、アスパラサラダ
 今日は仕事が押せ押せで超簡単メニュー。QPで見た明太子スパのポイントはレモン汁をたっぷり入れること。確かに味がひきしまる。

2006/04/12
鰻重
 整体治療の帰りに東横のれん街でゲット。
 職業柄というのが自分ではまだ何だかヘンな気がするのだが、いつしか物書き生活に突入して、おまけに自宅のある三軒茶屋が買い物にとても便利だということもあって外出が極端に減り、近ごろでは観劇と乗馬とこの整体治療以外には三茶の町をほとんど出ない。なので渋谷の駅もそうしょっちゅう通るわけでもないのに、今日はたまたま服を直すためなのか改札口の隅っこでジーンズを脱ぎかけて半ケツ状態になってる若い女性を目撃し、イヤー、ほんと渋谷の街を通るオジサンたちってスリリングだよなあと思いました(笑)。
 で、近所まで帰ってくると、白髪の多いオジサンが私の顔を見て一瞬「あっ」と叫んで何か話しかけようとしながら止めて立ち去ったのが、とても気持ち悪かった(別にオジサンが気持ち悪いのではありません)。顔はねじめ正一さんにとても似てたけど、ねじめさんとは何の面識もない。どこかでお会いした方なのだろとは思うが、全く心あたりがない。
 私は昔からこういうことが多くて、原因はたぶん若いころに色んな業界に身を置いて、しかもそれが妙にヘンな立場で悪目立ちしたからだろうと思う。一例をあげると、劇場でそこそこ年配のご夫人に「先生」と妙に丁寧に挨拶をされ、どうも私の講座を受講なさってる方でもなさそうだし、一体ダレなんだろうとさんざん頭を悩ませ、ほかの人にまで訊いてようやくわかったのだが、それは私が演出助手を務めた歌舞伎の芝居に出ている子役のお母さんだったのである。当時歌舞伎で女性のスタッフはかなり目立ったので、向こうは稽古場でこちらの顔を覚えられたのだろうが、子役が沢山出る芝居だったから、こちらはさすがにお母さんの顔まで覚えてはいなかったというわけである。
 これはどなたでも経験があると思うが、顔はなんとか覚えているのに名前が全然出てこないというのがもっと困る。相手の名前が出ないのはなんとかなっても、少なくともナニ関係の人だったかは想いだせないと話もできない。比較的よく知っていたはずの人でも、会う場所が違うとさっぱりわからなくなることも多い。劇場で会えばまあソレ系だろうと察しがつくが、いつぞやデパ地下で某有名演劇評論家にバッタリ会ったときは一瞬このオジサンよく知ってるけどダレだっけ?と思ったものであります(笑)。

2006/04/11
茹で鶏のニラ醤油かけ
 QPで見た料理。鶏モモ肉は生姜とネギの青い部分を入れたお湯で茹でる。堅くならないように、中火で12,3分かけてじっくり茹であげるのがポイント。細かく小口切りにしたニラにはまずごま油をまぶすのがポイント。それに醤油、オイスターソース、酢をからめて最後にゆで汁でのばす。ゆで汁は調味してワカメスープにする。
 京都にいる妹からメールが来て、昨日は黄砂がひどかったらしい。東京にいるとさほど感じないけれど、関西はやはりそれだけ大陸に近いというわけなのだろう。これは別に今に始まったことではありません。私は拙著「奴の小万と呼ばれた女」のモデルが詠んだ漢詩を見て、江戸時代の大坂にも黄砂の影響がちゃんとあったのを知っております。 

2006/04/10
浅蜊と豚肉のワイン蒸し、ペペロンチーノ
 QPで見た超簡単料理。フライパンにまず浅蜊を、次に豚の細切れ肉をかぶせるように入れて、ニンニクとセロリのみじん切り、ワインと胡椒を加えて蒸し煮にしただけ。浅蜊から塩分が出るので調味の必要は全然なくて、結構おいしく食べられる。TVではパセリのみじん切りも加えたが、パセリはいつも余って結局ムダにするのでカットした。葉野菜の残りは飼ってるリクガメに与えられるのだが、どういうわけかパセリには見向きもしないどころか、近づけると逃げだしてしまうのであります(笑)。
 今日はシアタートラムで「父帰る/屋上の狂人」を観た進藤さんが突然うちに訪ねてきて、草g剛はやっぱ天才役者だよね!という話になった。で、私がこのHPで書いたことでもう一つ彼女に受けたのが3/24に載せたヴィスコンティの「山猫」の話。小沢一郎が民主党の選挙でこの映画を引用して挨拶したのがあまりにもタイムリーでおかしかったそうである。このHPを最初からずっとお読み下さってる方はおわかりだと思うが、私は昔からこういったシンクロニシティーがよく起きるほうで、これも賑わし神運のバリエというべきか。ともあれ小沢氏もたまたまBS放送でちらっと見て昔懐かしの気分になったのでしょう。でなきゃ余りにも唐突でポピュラリティの薄い引用であります。

2006/04/09
ウドの八幡巻き
 スーパーのパンフで見た料理。ウドに粉を振った薄切り牛肉をしっかり巻きつけてフライパンで表面を焼いたあと、菜の花と調味料(酒、砂糖、味醂、醤油すべて同量)を加えて蒸し煮にする。思ったよりも簡単にできて、いかにも春めいた味わいなのでこの時期オススメの一品である。ウドの皮はキンピラにした。今年は突如ウドのおいしさに目覚めてしまいました。
 今日は午前中に乗馬を済ませてお昼ごろに渋谷駅を通過すると、ガタイのでかい学生とおぼしき集団が何か書いたプラカードを持った女性に引率される恰好で改札口付近にかたまっている。ガタイがでかいけれど、いわゆる体育会系というノリとは微妙に違って、皆さんどうもなんだか虚弱そうだし、身なりは今時どうよ!といいたくなるダサイ感じで、これって何の集団だろう?と思ってプラカードを見たら「東京大学ボート部」と書いてあったので爆笑してしまった。東大ボート部OBの編集者を私はお二方存じあげていたのであります。たぶん入部希望の新入生を部の活動場所へ案内しようとしてたのだろうけど、いくら東大とはいえ、体育会に入ろうとする男の子たちの感じもずいぶん変わったものである。で、ハチ公口に出ると、今度はそこに「天皇陛下万歳」の幟を掲げた右翼の街宣車が駐まっていたので、こうした右翼の青年も今時はどうなの?と、このオバサンは冷ややかな目で見て通り過ぎたのでした(笑)。それにしても右翼の街宣車が堂々とハチ公前に駐まって一体どんな演説をしてたんだろう。「国家の品格」について語ったのだろうか、なんて思ってしまったのは電車の中でこの本を読んでる人が今日ふたりも目についてしまったからである。新潮社の方々はさぞかしお喜びであろう。

2006/04/08
筍の黄金揚げ、タラの芽の白仙揚げ
 QPで見た料理。一個の卵を黄身と白身に分け、黄身には練り辛子を混ぜ込んで衣を作る。白身には薄力粉ではなく片栗粉を入れて衣を作る。辛子は大量に入れて香りをきかせるのがポイント。どんなに入れてもからみは抜けるので大丈夫。

2006/04/07
鰺鮨、海老サラダ
 整体治療に行った帰りに東横のれん街でゲット。
 治療をしてもらってる先生は一見サーファー風だが、大変にオーラが強い人で、カリスマの雰囲気がある。整体と鍼治療の混合で、毎回全然やり方が違っていて、ある種の勘だけに頼ってられるのだろうけれど、何をするにも確信があるのが治療を受けていると実によくわかる。カリスマのカリスマたる所以であろうか。で、スタッフにいろいろ指示出しをしながら、わりあい気楽な感じで服の上からブスリと鍼を打たれるのに、ブルっと震えが来るくらい効くのがスゴクて、ちょっとした必殺仕置人といった感じなのだった(笑)。鍼が効き過ぎて少しコワイ気もするほどだが、整体とか鍼治療といったものは本来こうした直感力と確信に満ちた人だけがすべきなのだろう。いや、物事なんでもそうかもしれないのだけれど、そんなことをいってたらほとんどの人が職業に就けないので、そこは自他ともに大目に見てとにかく色んな職業に就いてしまうのである。かくして教師にも医師にも建築士ににも政治家にも、ほかにも色んな職業でろくでもない人が出てしまうのだった。中では役者とか作家なんてまだ罪が少ないほうではないか(笑)。ともあれ小沢一郎には直感力と確信があるのだろうが、小沢一郎に投票した民主党員の多くは何の確信もない人びとにちがいない。田中角栄の弟子と市川房枝の弟子のどっちかを選べといわれて、ふつうなら迷うはずはないのであります。

2006/04/06
鴨せいろ定食
 シアタートラムで「父帰る/屋上の狂人」を見た帰りに近所で食事。
 SMAPの草g剛が主演とあって、キャパ200名の小劇場にキャンセル待ちの行列が4,50人もできるという異常な事態のなか、私みたいなオバさんが招待されていいのだろうかと申し訳なさ一杯で前から4列目の席に着いたところ、演劇評論家を称するおジイさんたちが後ろにどっと詰めかけたので、ナーンダ私なんてまだ可愛いもんジャンと開き直って拝見した次第です(笑)。
 草gは以前つかこうへいの「蒲田行進曲」に主演したときコイツは天才だ!と確信したので、せっかくこの人を押さえながらなんだって今どき菊池寛の「父帰る」なわけ?!と制作者のセンスを疑ってしまったけれど、ドッコイ舞台というものは見てみないとわからない。意外とこれがイイのである。実にシンプル過ぎて、ドラマってこんなものなのよという説明にしか使えない戯曲のように思っていたが、だからこそ誰でもシンプルに感動できるのだろう、ハンカチで目頭を押さえていた観客が大勢いた。で、私も少しはほろっと来そうになったのである。
 草gという人は本当にふしぎなくらいピュアな役者で、小さな舞台だとそれが余計に際立つ。たとえば梅沢昌代は巧い女優さんだけれど、舞台に立つとやはり女優がやっているようにしか見えないのに、草gは舞台でただ座って新聞を読んでいるだけで、逆に明治の青年がそこにいるようにしか見えないのである。これって本当にスゴイことだと思う。役者がだれでもそれを目指してほとんどができないことをすらっと出来てしまう。天才の天才たる所以だろう。というわけで、この人に教科書的ドラマをやらせたのは悪くない。逆に今どき舞台でこんな芝居ができるのは、この人しかいないことを改めて知らしめたようにも思えるのだった。

2006/04/05
水餃子
 フジテレビで見たものを参考に作った。市販の20枚入りの皮を使うと、豚挽肉100グラム、ニラ1輪、卵1個でちょうど適量の餡ができる。肉には塩胡椒でしっかり下味し、ごま油少々加えるのがポイント。パンクさせないコツは茹でる途中で何度か水を差すこと。ニンニクのすり下ろしと砂糖、ごま油を加えた酢醤油で食す。餃子を手作りするのはさほど面倒でもない。決して仕事が暇だから作ったというわけではありません!と編集者の方々に申しあげておきます(笑)

2006/04/04
青梗菜の蟹あんかけ、新じゃがの炒め煮ほか
 整体治療の帰りに近所の総菜屋でゲット。
 操法の前に短時間でどっと汗を出すデトックスをやるが、これがなかなかキモチよくてハマってしまった。デトックスのやり方は他にもいろいろあるのだろうが、この不要物を排泄して浄化するという概念は是非とも社会に適用して、国会議員とか会社の役員とか法人の理事とか、もうどんどんデトックスしちゃってほしいものであります(笑)。

2006/04/03
海老と菜ばなと卵の炒め物
 QPで見た簡単にできて春らしい彩りのいい炒め物。卵は塩胡椒して先にさっと炒めておく。菜ばなは切る前に水につけてシャキッとさせてから炒めるのがポイント。海老は酒、塩、生姜汁で下味して片栗粉とサラダ油をからめてから炒めること。酒とナンプラー少々で味付け。
 三軒茶屋に住み着いてもう四半世紀以上にもなるが、なにせ物価が安くて暮らしやすいので離れがたい土地である。今日は仕事を終えて買い物がてらブラブラ歩きをしていたところ、数あるダンピングショップの一軒が店じまいセールしてるのを発見。ふつうでも安かったのが値札を見るとそれぞれ半額くらいになっていて、超目玉とおぼしき大人用のゴルフセットはなんとオドロキの\999!(3ケタで間違いありません)で、千円以上買い物をすると支払額をさらにその半分にしてくれるというので、エプソンのプリンター用インクをドッと買い込んでしまった(^ 。^)/ で、次にスーパーで見つけたのが苺の「博多あまおう」で、これまたオドロキの\298だから亀にもやれるつもりで買ってしまった。この三茶ではデフレスパイラルがまだ終結していないようである。それとも「格差社会」の反映で、ここはUPPERな人びとが暮らさないことを前提にした街なのだろうか?でも友人の松濤に住む奥サマがわが家に遊びに来ると、食料や日用品を大量に買い込んでお帰りになるのであります(笑)。

2006/04/02
明太子スパ、生ハムとルッコラのサラダ
 乗馬から帰って作ったお手軽メニューである。
 花曇りの中で久々に乗馬して、今日は雨になるからと思って早めに切りあげたにもかかわらず、家にたどり着いたときはドシャ降りで、昨日からベランダに出しっぱなしにして全身ズブ濡れになってた亀を慌てて取り込んだ。きれいに拭いて乾かしてやったにもかかわらず、よほど頭に来てたのか、こちらの顔を近づけた途端いきなりガブリと唇に噛みつかれ、離そうとして立ちあがったが、そのままブランとぶら下がって、もう痛いなんてもんじゃない!ぼろぼろ涙が流れて、私は一瞬ホラーサスペンスなんかによくある凶悪な殺人鬼に唇を喰いちぎられて無惨な顔になるシーンが目に浮かんだ。なんとか離したが、唇にはくっきりと嘴の痕がついて今も腫れています(涙)。
 写真は乗馬クラブとその駐車場付近の景観ですが、昨夜と打って変わった今宵の荒天で、今年の桜も今日で見納めとなりそうな雰囲気です。

2006/04/01
花見
 かつて私自身の年上の友人でもあり、現在の友人である大島やす子さんの御父君、杵屋花叟さんの七回忌に当たる今年は例年この命日にしている花見の宴会を少しゴージャスにしようということで、やす子さんが屋形船を借りて総勢60名で墨堤の花見に繰りだした。花見は本来だともう一週間あとのはずだが、今年は開花が早くてちょうど満開。船宿は品川の「船清」で船はキレイだし、酒類は飲み放題だし、意外に料理が美味しいのでビックリ!ゲストの江戸屋まねき猫さんが動物鳴き真似芸を披露なさったりして、往復3時間をたっぷり楽しませてもらった。花叟さんを全然知らない私の担当編集者の方々もふるってご参加戴き、久々にお目にかかれた筑摩の磯辺さん、集英社の八代さんと栗ちゃん。角川事務所の原重役、幻冬舎のヒメ、文春の内山さんと彼女の大親友で職業はなんと今話題の一級建築士の渡辺さん。さらに現代人形劇センターの塚田さん、CGデザイナーの三村さん、スラッシュの守部さん、進藤さん(あたりになるとだんだん苦しくなるが)いずれも美人揃いだったにもかかわらず、夜に揺れる船上で撮影したために写真は残念ながらこのようにボケボケでした(笑)。

2006/03/31
中華弁当
 整体の帰りに東横のれん街でゲット。
昨日から通い出した整体治療院では施術の前後にデトックス(要は体内の毒出し)をするが、短時間に大量の汗をかいて、これが結構キモチイイ。私はふだん薬物をほとんど口にしないので、体内に蓄積されている毒素は少ないほうだと思うが、近ごろ流行りのこの毒出しをしてもらって、ある種の感慨を覚えた。
 大むかし私がまだ20代の頃、惚れてた男性があるとき「物書きの女は皆なぜああ醜いのかと僕が考えるに、書く中で色んな毒を躰に溜め込んでって、それが顔に出るんだろうなあ」てなことを言ったのをよく憶えていて、私は当時物書きで生活しようなんて全然思ってなかったのだけれど、それを聞いて物書きの女にはゼッタイなるまいと心に誓ったのであります(笑)。今でこそ綿矢さんのような可愛らしい女性でも小説を書いてしまうわけですが、当時はまだ女流作家になるのはブスのルサンチマンだと思われていたふしが多分にあって(逆さまにいうと女は美人にさえ生まれときゃ何の問題もないじゃんと思われたことにもなるのですが)、私は美人でもなければブスで何が悪いのよ!と開き直る勇気も出ない中途半端な人間だったので、物書きは毒がどんどん躰に溜まって顔に出るという彼の表現がなんだかリアルでとても恐ろしく思えたのでした。で、この年になるともうさすがに美醜には頓着しませんが、物書きは躰にどんどん毒を溜めていくというコトバは今も心のどこかに引っかかっていて、やっぱデトックスは欠かせないなあと思うのでした(笑)。

2006/03/30
皿うどん
 整体の帰りに近所で食事。
 例の脳ドックまでするはめになった顔面の痺れが治まらず、脳でなければたぶん頸椎の異常だろうと思い、それをたまたま先日わが家にあらわれた幻冬舎のヒメに話したところ、同じような症例を治した整体の先生がいらっしゃるとのことでご紹介してもらい、今夜さっそく診て戴いた。見かけはちょっと意外なサーファー風の先生なのだが、いきなり打たれた針が実にキクーっ!て感じだったのでしばらく続けて通うことにしました。顔面の症状ってのは本当に嫌なもので、来月は講演の仕事もあるのでなんとか早く治さねば。原稿書きの仕事をやめれば一発で治りそうなのですが……(笑)

2006/03/29
鯖のソテー野菜あんかけ
 QPで見た料理。鯖は塩でしめて水気と臭みをしっかり抜いた上で胡椒を振って粉をまぶして焼くのがポイント。セロリ、人参の千切りと玉ねぎの薄切りをごま油で炒めて、カレー粉で味付けし、だし汁、味醂、醤油で調味して、最後に絹さやの千切りをいれてひと煮立ちさせてから水溶き片栗でまとめる。セロリ、絹さやの香りがきいてなかなかいけます。

2006/03/29
ヂンギスカン
 幻冬舎のヒメこと木原さんと地下の「寅々」で食事。ヒメは最近グーグルアースというソフトをダウンロードしてハマっているそうである。アメリカの衛星カメラが撮影した文字通り地球の画像が見られるソフトだが、住所をローマ字で打ち込むと、な、なんとヒメのマンションや実家の建物まではっきりわかるほどの精密な画像があらわれるという話にビックリ!!「それってコワイよねえ」なんて言いながらも、早速自分もダンロードしてみるつもりの私であった。 

2006/03/27
春野菜と高野豆腐の卵とじ
 QPで見た料理。油でまず茹で筍と、もどして短冊切りにした高野豆腐を炒めて、出汁だけでしばらく煮含め、同じく短冊切りにしたウドを入れて砂糖、塩、醤油で味付けしてから少しまた煮込み、最後に溶き卵を入れて三つ葉をトッピングする。油で炒めた高野豆腐やウドの味がうまいアクセントになって結構おいしく食べられるのでオススメしたい。

2006/03/26
「柿傳」の懐石弁当
 今日は雛の茶会で麹町の稽古所に出かけました。このお家に伝わる雛のお道具を拝見できるというので、私はよくあるお雛様のミニチュアセットのようなものを想像していたら、これが全然違って、茶碗、水指、風炉、茶入れ、台子、懐石膳一式、花生け、衝立の類に至るまで、要はすべてのお茶の道具が通常の3分の2くらいのスケールで拵えられた、この世に七組しか存在しないという非常に貴重な品々。プロデューサーは先々代の表千家家元で、楽吉左衛門、永楽善五郎、中村宗哲、中川浄益などなど千家十職のやはりいずれも先々代が参加して大正九年に製作されたものだといいます。十職が勢ぞろいして、絵柄を柳桜に統一した遊び心満点の逸品をここに写真でご紹介できないのは実に残念です。特に緑がかった鼠色の地に爪紅をきかせた台子はアール・ヌーボーやデコなんて所詮目じゃないといいたい素晴らしいデザインで、日本人の美的センスを再認識させられると同時に、製作年代からみて戦前の日本の豊かさが改めて偲ばれました。現代ニッポンの豊かさは果たして後の世に何を残すのだろう?というようなことも考えずにはいられませんでした。

2006/03/25
豚とネギの味噌マヨグラタン
 昨日のQPで見たときはヘンな料理だと思ったが、食べると意外にイケるし簡単に作れるのでオススメ。豚は酒と醤油で下味して粉を薄くつけてフライパンであらかじめ熱を通しておく。ネギも同様にフライパンで焦げ目をつける。両者をプチトマトと一緒にグラタン皿に盛り、味噌マヨネーズを上にたらして10分くらいオーブントースターで焼く。写真はおわかりの通りちょっと焦げてしまったが、それでも美味しかった。ただネギとプチトマトで口の中をやけどしないようご注意ください。

2006/03/24
菜の花ちらし寿司
 酢飯にはチリメンジャコ、ミョウガ、新生姜の酢漬、茹で海老が加えてある。菜の花と卵の薄焼きをトッピング。昨日からなんだか酸っぱい物を食べたくなってるのは疲れてるせいだろう。おめでたではなさそうである(笑)。
  NHKBS2でヴィスコンティ監督作「山猫」を見ながら食事。ヴィスコンティの中で一番好きな作品だと思っていたが、この歳で見ると、若いときに見ても実感できない点が多々あったことに改めて気づかされた。
 イタリアの統一(明治維新のちょい前)を背景に、時代の変わり目に遭遇して没落していく人びとと、成り上がっていく人びとをくっきりと対比させた名画だが、やはりホンモノの上流社会を肌で知ってるヴィスコンティならではのリアルな映像は見応えがある。鋭い先見性を持つがゆえに自らの滅びを自覚する貴族が主人公(バートランカスター主演)だが、ラストの舞踏会のシーンを今見ると、老舗企業の社長が六本木ヒルズのパーティに参加してすっかりくたびれたふうに感じられるのがおかしい。それでいて成り上がりを目指す若き男女(アラン・ドロンとクラウディア・カルディナーレ)も案外それなりに美しく魅力的に撮られており、つまりは没落する側と成り上がる側双方を均等に描いて、且つそこに若さの魅力と老いの哀しみを重ねたところにこの映画の値打ちがあるのだろう。今回改めて見て、老貴族の目に若い男女が美しく見えたということが妙に切実に感じられたのは、要は私が老いの哀しみをわかる年齢になっちゃったってわけなんでしょうか(^-^;

2006/03/23
アスパラガスと挽肉のコチュジャン炒め、鱸とキュウリの梅酢和え
 炒め物はニンニク、生姜のみじん切りを入れて、コチュジャン、醤油、砂糖、紹興酒、鶏ガラスープで味付け。酢の物は前に角川事務所の原重役にもらった梅干しのエキス(ジュース?)を使って美味しくできた。魚は鰺にするつもりで、手に入らなかったから鱸の刺身を使ったが、コレは失敗。堅くしまって酢の物には不向き。

2006/03/22
天ぷら
 仕事が一段落してから近所の大島さんちに届け物をして、4月1日の花見の件や何かで話してたら、TVで新橋演舞場火事のニュースが流れた。お互い知り合いがいるのでえらく心配して、他のニュースを探すなどしてつい長居をしてしまい、晩ご飯はお手軽にできるタラの芽と椎茸と竹輪の天ぷらになってしまった。天ぷらは慌てて作ると美味しく揚がるのを発見!
 ところで大島さんがネットで演舞場関連のニュースを探しているうちに同劇場が6月に有吉佐和子原作の「和宮様御留」を小川真由美、ピーター、加納幸和というアヤシイ座組で上演するのがわかったのだけれど、公演の謳い文句が有吉佐和子二十三回忌追悼となっているのにビックリ!役者の追善は興行のオハコだが、作家の追善を謳い文句にした興行は私が知る限りなかった気がする(劇作家宇野信夫あたりの追善でも演目に銘打ったくらいだろうと思う)。劇団四季が先ごろ「鹿鳴館」を上演したときは三島由紀夫の遺影をカーテンコールで舞台に飾ったそうだが、この伝でいけば松竹は三島追善興行だってやってもよさそうである。ともあれ有吉さんの追善なら新潮社がやれよ!と私はいいたい(笑)。

2006/03/21
明太子スパ、春キャベツのサラダ
 サラダはキャベツとベーコンを蒸して塩胡椒し、レモン汁を垂らして温泉卵をのせただけ。先日乗馬の帰りの電車の中で携帯のサイトで見たもの。超お手軽な晩ご飯になった理由は、お察しの通り、仕事が押せ押せになったせいです(笑)
 王JAPANありがとう!仕事をサボって見た甲斐がありました。7回あたりは文字通り薄氷を踏む思いで各選手のプレッシャーがひしひしと伝わり、こちらもカラダがかたまってしまうようなゲームでした。
 それにしても初の世界大会でMVPに輝いた松坂大輔だが、高校野球の最終戦以来、この人はもはやドラマチックな状況に置かれないと本気が出せなくなったんだろうし、またしてもそういう状況に置かれてしまったあたり、やっぱり並の人間ではないのである。しかし今後ますますフツーのゲームだと気が抜けたプレーをしそうでコワイ。西武の伊藤監督も今シーズンは頭を抱えるんじゃなかろうか。 

2006/03/20
鶏肉の牛蒡ソース
 久々にQPのレシピ通りに作ってみた。和洋折衷のふしぎな味わいだが、カラダによさそうな料理である。まず下味して薄力粉をまぶした鶏もも肉をニンニクを入れた油でカリッとソテーしておく。その油を少々残してゴボウの千切りを炒め、蜂蜜をカラメル状にしてゴボウにからめ、赤ワインと醤油で味付けし、水を適当に足して鶏ごと煮詰まらないにじっくり炒める。最後にセリを加えてひと煮立ちさせる。付け野菜は長芋をレンジで熱してマッシュにしたもの。ゴボウはまず斜めの薄切りにしてから縦に千切りにするといい。

2006/03/19
イイダコの煮込み、新ジャガのうま煮、レンコンとアボガドのサラダ
 乗馬の帰りに近所の総菜屋でゲット。
いやー、今日はナンジャラホイといいたくなるような一日でした。
 来週の日曜はどうしても乗馬に行けないので、2週あくのはマズイと思って、WBCの日韓戦があるにもかかわらず出かけたところ、クラブハウスでも珍しくTVが点けられてライブ放送を見せてるではないか。で、私は騎乗までまだちょっと時間があったのでTVの前に腰かけてた見たら7回でスコア0:0。多村にバントなんかやらせて失敗に終わるので、ああ、今日もダメかも……おまけにずっとアタリが出てない福留がピンチヒッターに指名されて、こりゃますますダメだと確信したのに、なんとホームランでいきなり2点ゲット。「よくやった、福留!」と叫んだのは私ひとり。もともと見てる人が少なかったし、見てる人もどうやら選手の名前を知らないみたいで、同じスポーツでもジャンルが違うとこうなんだ……と、やや驚き呆れてしまったのでした。
 で、いよいよ騎乗したら、猛烈な風が吹き荒れて馬が大昂奮。立ちあがりそうになるは、横走りするはで、私は馬の首ねっこにかじりついてしまい、落馬する人が相次いでついにレッスンは中止。風で中止になったのはクラブ始まって以来だとか。皆で怖い怖いといいながらハウスに戻ると、こんどはTVのまわりにどっと人が群がって、画面を見たら競馬中継に変わっていた。「阪神大賞典」のディープインパクト優勝の瞬間にはワーと歓声があがって拍手の嵐。まあ、当たり前だけど、乗馬クラブでは野球よりも競馬のほうがはるかに人気が高いのでした(笑)。
 レッスンはすべて中止になり、息ができないほど凄まじい砂嵐の中を文字通りジャリジャリと砂を噛みながら送迎バスの駐車場にたどり着き、なんとか白岡駅まで行ったものの、なんとJRが風でストップして復旧のメドなし。仕方なく東武動物園駅にまわるつもりでタクシーを待っていたら、前に待ってる人たちが東京まで行けるだけのお金があるだろうかと心配そうに話してるので、「あのう……」と思わず話しかけて、東武線の存在を教えてあげた。お彼岸で白岡霊園に墓参りに来ていたその人たちには大いに感謝され、駅まで相乗りをさせてもらい、社交ダンスで大会に出た話などを伺って、本当に世の中には色んな趣味の人がいるもんだなあと、今日はしみじみ感じてしまった次第である。ようやく帰宅して鏡を見たら顔は砂で白くなり、耳の中もさわるとジャリジャリしてる。てなわけで、運が好いんだか、悪いんだかわからないけど、奇妙にイベントフルな一日だったことは確かであります。

2006/03/18
おはぎ、野菜ジュース、鮭チップ
 めちゃめちゃジャンキーな晩ご飯である。大家さんにもらったおはぎが美味しかったので、いっぺんに4つも口にして、晩ご飯が食べられなくなり、適当にカルシウムとビタミン補給をした恰好だ。まあ、たまにはこういうこともあります。
 今日は仕事を済ませてから脳ドックに行った。去年の暮れから片側の顔面と後頭部がときどき痺れるようになって不安を感じ、50代になったのだから取り敢えずMRI検査をしておこうと思ったのである。
 横たわって真っ暗な箱に頭を突っ込むと何だかお棺に入ったような不気味な感じで、不快な音を聞かされること30分。脳の輪切り写真を見せられて「まだ少しも縮んでなくてミッチリ詰まってます。白い影もありません。血管も全く異常ナシ」といわれてひと安心。自分で見ても惚れ惚れするような(笑)まるで生まれたてのようにキレイな脳の映像だったが、てェことは、ひょっとすると私はなんだかんだえらそうなことを言ってても、実は普段まったく頭を使っとらんじゃないのか!という気もしたのであります(笑)。
 

2006/03/17
肉詰め椎茸、アスパラガスのソテー
 近所のスーパーで山形産の立派な椎茸がわりあい安く売られてたのでコレにしました。鶏挽肉に長ネギのみじん切り、塩、味噌少々、胡椒、粉山椒、卵、片栗粉を加えて詰める。大葉でふたをして弱火でじっくり火を通した。
 世の中何が起きるかわからないと皆様がお思いになったであろうWBCの日本準決勝進出!あまりにも意外なアメリカの予選敗退は誤審の罰が当たったのだろうか。

2006/03/16
シーザーサラダ、ゴルゴンゾーラピッツァほか
 パルコ劇場で三谷歌舞伎『決闘!高田馬場』を講談社の国兼ブチョー、堀さん、新潮社の小林姐さん、クスノセ氏、ポプラ社と国立劇場の矢内さんご夫妻、スラッシュの進藤さんと近所で食事。
 イヤー、面白かった!とにかく役者たちの大奮闘に圧倒されて2時間半をいっきに見せられてしまいました。出だしはなんだかNHKの「お江戸でござる」みたいなノリで、こりゃダメかと一瞬思ったのだけれど、それを救ったのはやはり亀治郎である。異常なほどハイテンションな「新作歌舞伎的演技」のパロディ(これによって、新作歌舞伎の演技もすでに型物になっているという事実を改めて知らされた)でくすくす笑いを誘われているうちに、ほかの役者たちの演技が歌舞伎役者にしてはリアルに見えてきて、たぶんそれが三谷幸喜的世界の真実味をうまく醸し出してくれたのだと思う。とにかく亀治郎はとても頭のいい役者である。けっして主役に向く人とは言い難いのだけれど、私は将来意外にこの人がちょうど球界の古田のような存在になって、歌舞伎界を率いていくのではないかと見ている。
 ほかに今回特筆すべきは長屋の婆さん役をやった市村萬次郎で、この人は以前国立劇場でやった「盟三五大切」で非常に面白い演技を見せてくれたが、今回はそれ以上の大ヒットで、たぶん多くの人にはこの役で記憶されるのではないか。無人芝居だけに他の役者たちもみなフル回転で、三谷さんが相変わらずそれぞれの個性をうまく発揮できるように芝居を仕立てている。下座や竹本の連中まで芝居に駆り出されて、しかも良い味を出しているのだから、三谷さんのこの種の手腕はさすがというべきか。
 しかしながらこの芝居の主役はあくまでも染五郎が扮する中山安兵衛後の堀部安兵衛なのだ。世の中で主役を張るべきこの男が、ともすればそこから逃げだしてしまう心の弱さを描くあたりもまた実に三谷さんらしいドラマ作りで、数々の犠牲のうちに最後は主役となるべき男が主役となって幕が閉じる。つまりはメタシアター的でもあるこの芝居の主役を務め果せた染五郎にもむろん拍手を送っておこう。

2006/03/15
豚肉と菜の花の辛子醤油和え、おさしみ湯葉
 QPで見た和え物のポイントは、まず菜の花を茹でる前にしばらく水に浸してシャキッとさせること。茹でてから水で冷まさずに、醤油を少し垂らして自然放置しておくことの2点。豚はしゃぶしゃぶ用の肉を使う。おさしみ湯葉は市販のものをゲット。

2006/03/14
カルボナーラ、生ハムとブロッコリーとアスパラガスとプチトマトのパスタ、鮪とアボガドのワサビ醤油和え
 現代人形劇センターの塚田さんが久々にあらわれての会食。彼女は仕事でほぼ毎年のようにインドを訪れているが、今年もすでに行ったそうである。初めて行ったのは15年前で、当時は国際電話をかけられるポイントがなかなか見つからず泣きそうになったのをふと想いだし、今では町の至るところでかけられること一つを取っても、この間のインフラ整備は素晴らしくて、急成長を遂げつつある国の勢いはまさに肌で感じるという。
 去年の冬はオマーンにも行ったそうで、あそこはインド人が非常に働き者に感じられるほどにゆったりとした国だったとか。一年のうちで最も人が働く冬場でも、人形の展示会は午前中2時間、夜2時間だけの開催で、あとは何もしなくてよいという暮らしぶりに馴れると、日本に帰るのが嫌になったらしい。ごもっともであります(笑)。

2006/03/13
山ウドの豚ロール、山ウドのキンピラ
 QPで見た料理。山ウドの皮を厚めに剥いてキンピラに。中身を千切りにして塩胡椒で下味をした豚の肩ロースに巻く。TVは人参の千切りと一緒に巻いたが、私は好きなアスパラにした。ある程度火を通して、豚から出た脂を拭き取ってから、酒、醤油、味醂で味付け。子どもの頃は何だかよく食べさせられていた記憶があって、あまり好きになれなかったウドだが、今食べると春の悶々とした気分を思わせる独特のえぐみが美味しく感じられる。アクが強いので皮は千切りにしたらあまり時間を置かずに炒めること。
 食事をしながらNHKBs2放送の懐かしの米映画「大いなる西部」を見て、私が乗馬に強い関心を持ったのはやはり子どもの頃に「ララミー牧場」とか「ローハイド」とか日本のTVでやたらに西部劇をやってたせいではないかと思ってしまった。西部劇ではないけど「怪傑ゾロ」なんてのも大好きだった。当時は何せ日本で製作したTVドラマが非常に少なくて、今の若い人よりはるかに日常的にアメリカのドラマを見ていた口である。で、私たち世代の多くにとってアメリカはとても素敵な国だったのだけれど、9.11以降というか、私はそれ以前にブッシュが大統領になった時点で、こんな2世のアホを選ぶようではこの国もオシマイだと思ったのだが、世界中でアメリカが積極的に嫌われだしたのも恐らく同時期だろう。で、今日のニュースでWBC戦における王監督激怒の疑惑の判定というヤツを見て、アチャー!近ごろただでさえBSE牛肉やら米軍基地再編問題で嫌われてるとこにもってきて、なんだってまた嫌われる材料を増やしちまったんだろう!と笑ってしまったくらいであります。

2006/03/12
菜の花ちらし、揚げ鰆の黒酢がけ、筍の磯辺揚げ
 乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
 乗馬クラブは畑のど真ん中にあるので目に見えて季節の推移を感じる。今日は土の色も、草の色もあきらかに春のパステル調と見えるなか、私が乗ったのは白馬だった。白馬は少ないので、一年在籍して当たったのは今日が初めてである。数頭いる白馬の中には完全なアルビノと見られる姿もあるので、ふつうの白馬は要するにただ色が白いというだけなのだろうが、やはり目立つ。で、白馬には自分が白馬だという自覚が果たしてあるのだろうか?というヘンなことを、つい思ってしまった。
 一体全体、動物にとって見てくれとは何なんだろう?大きさとか強さについては動物もむろんそれなりの自覚があるにちがいないが、見てくれも生存に関わる重要な要素だったりするのだろうか。鳥類の♂がきれいだったりするのは♀を惹きつけるためだというけれど、ああいう柄にも微妙にイケメンとブーがあるのだろうか。
 そもそもイケメンだとかブーだとかいってる人間にとって、美醜の判断の根拠って何なんだろう?まあ、基準は時代や環境によっても随分と異なるようだが、やっぱり根拠となるのは生き物のお約束で、卵子や精子をいっぱい持ってそうな人が美形と感じられるようにできてるのだろうか?
 他人を見て、何だかイイひとそうだとか、こいつはゼッタイ悪党だろうなあとか思うのは、統計的な記憶がDNAに蓄えられているからだろうし、あくまで統計だから例外は勿論あるだろうけれど、社会性に富んだ動物にとってそうした勘はけっこう重要だろうと思う。きっと猿には猿柄のよさそうな顔と悪い顔とがあるはずだが、蟻とか蜂レベルになるとどうなんだろう?
 なんて、くだらないことを考えたついでに、先日河津の亀族館に行って一番のイケメンに見えたアルダブラゾウガメの写真をここに載せた。目がとても大きいので「カメ界の団十郎」と私は呼んでいる(笑)。

2006/03/11
ホタテ貝と黄ニラとスナップエンドウの中華風塩炒め
 近所のスーパーで珍しく黄ニラと国産のスナップエンドウを見つけたので作ったオリジナルメニューだが、彩りも味わいもよくて自画自賛である(笑)。生姜のみじん切りを入れた油で炒め、鶏ガラスープ、紹興酒、塩、胡椒、隠し味の砂糖でシンプルに味付け。素材は全て火を通しすぎないのがポイントだろう。

2006/03/10
ボンゴレロッソ&ホワイトアスパラガスのソテー
 要は浅蜊入りのトマトパスタでレシピは不要だろう。近所のスーパーでたまたま生のホワイトアスパラガスを見かけたので付け野菜にした。思えば私は子どもの頃から大のアスパラ好きで、むろん当時は缶詰しかなかったが、毎日食べても飽きなかった。今でもサイドメニューによく選んでしまう。
 NHKBS2でジャック・ニコルソン主演の「恋愛小説家」を見ながら食事。今まで見たくて見損ねていた映画だったが、評判に違わず、実によくできたラブコメディである。チョー偏屈な作家と子持ちのウエートレスという何ともパッとしない組み合わせで、ディテールを丹念に積みあげて、魅力的な映画に仕上げているところがスゴイ。カップルの巧演もさることながら、隣人のゲイの画家と彼が飼っている犬の演技が素晴らしかった!

2006/03/09
鶏レバーとピーマンの甘醤油炒め
 QPで前に見て作りたかった料理。鶏レバーは紹興酒、醤油、砂糖、生姜のすり下ろしに漬け込んで片栗粉と油を混ぜてから焼く。焦げ付かせないよう、また堅くしないように、弱火でじっくり火を通すのがポイント。ピーマン、長ネギと炒め合わせて紹興酒、生姜汁、蜂蜜、醤油で味付け。今日はわざわざ遠くに足を運んで新鮮なレバーを手に入れたので臭みもなくGOOでした。
 私は小児性結核を患って幼児期に全く日光にあたらなかったので全身サメ肌になり、それを治すために4,5歳のころは毎日鶏のレバーを食べさせられていた。毎日であります!それも潰したばかりの鶏の肝で、潰してるところに連れて行かれた記憶もあります。喘息でもあったので毎日「狐の舌の黒焼き」を呑んでいました。これは炭の粉のようなものでした。ハシカにかかったときは、伊勢エビの殻を干して煎じたものを薬として呑まされていました。こんな風に書いていると、われながらとても現代人であるとは思えません(笑)。ヘンな家庭でした。

2006/03/08
甘エビの薫製、イベリコ豚のパンチェッタ、鴨肉の薫製チャーハンほか
 角川事務所の原重役、廣瀬さんと近所の「薫製屋」で会食。並木拍子郎シリーズ第2弾「二枚目」がいよいよ6月に文庫化される予定で、今日はその打ち合わせ。原さんがお連れになった廣瀬さんは以前なんと松竹パフォーマンスに勤めてらした方で、直属上司の寺川さんを始めとして共通の知人の名前がどっと出て、久々に松竹オモシロ話で盛り上がった。それにしても世間は広いようでホント狭い!

2006/03/07
日替わり弁当
 近所の総菜屋でゲット。昨日遊び過ぎたのが祟って原稿がうまく書き進められず、気がついたら夜8時を回っていた。「人間万事塞翁が馬」というのは別にこんなことを指すのではありません(笑)。「禍福は糾える縄の如し」というのも違うと想います(涙)。

2006/03/06
伊勢エビの活け作り、金目鯛の煮付けほか
 朝9時に家を出て、伊豆の河津桜の花見をし、日本で唯一の亀族館で大いに遊び、河津温泉に入湯までしてちょうど夜9時に帰宅。とても充実して楽しい半日でしたが、これの紀行文が即日入稿を控えておりますので詳しくは「オール読物4月号」をご覧ください。

2006/03/05
ブロッコリーとアスパラと豚肉の胡麻ドレ和え柚胡椒風味
 適当に作ったら結構いけた。ブロッコリーとアスパラ、彩りのパブリカ、豚肉はすべて茹で、生のオニオンスライスを加えて手製のドレッシングをかける。ドレッシングは練り胡麻、酢、砂糖、味醂、醤油、柚胡椒をバランスよく混ぜること。
 WBCの日本韓国戦を見ながら食事。今日はさすがになかなかいい試合をしてるじゃないと見てたら、ナント負けてしまった!昨日一昨日とバカ勝ちしたのがまずかったのだろうとは思うが、スポーツでも世界に通用するのは女子だけなぞと言われないようにして戴きたいものである。
 今日は乗馬日和だったがキャンセルして春先の大掃除にあてた。明日は日帰り旅行をするので、ケガをしないまでも筋肉を痛めてはまずいという判断である。河津桜を見に行く予定だが、ただの遊びではなくこれもお仕事である。詳しくはまた明日のことに。

2006/03/04
鶏ささみと空豆と高野豆腐のスープ煮
 スーパーのパンフで見た味も彩りも春らしい優しさがあふれる料理。ささみはそぎ切りにして、空豆は軽く茹でて皮を剥いて使う。高野豆腐はもどして小さく切ってもいいが、私は最初から小さくした市販の製品を使った。酒、塩胡椒でシンプルに味付けし鶏ガラスープで煮るだけ。最後に水溶きカタクリでまとめる。

2006/03/03
ちらし寿司
 雛の節句には毎年ちらし寿司を手作りするが、今夜は市販のものをゲットして、世田パブシアターで野村万作・萬斎親子の「狂言劇場」を見る。
 上手、下手、正面に橋がかりをかけ、ホリゾント全体を黒幕で闇にした空間は、照明をそんなにあざとく用いずに求心力を発揮できるので、野村親子の「あくまで狂言だがそれをできるだけドラマチックにして見せたい」という意図にぴったりだが、今回はことに演目の選定も「闇」が意識されているようだ。今夜のBプロの「瓜盗人」は夜中に畑に侵入した瓜ドロボーが案山子を人と見間違えることに端を発するし、「悪太郎」も酒に酔って道ばたで寝ている間に悪太郎は坊主にされてしまうので、共に夜の話なのだということが能舞台で見るよりも鮮明に伝わってくるのは面白かった。
 萬斎の「悪太郎」を見るのはなんとこれで2回目なので、この人はよほどこの演目が気に入ってるのだろうと思われるが、今回は前回よりはるかに堂に入って、こちらは面白く見せてもらった。最近の萬斎では一番いい出来ではないかと感じさせる舞台だった。萬斎は「悪太郎」という、自身とはおよそ対極にありそうな単純粗暴な若者を、外側から描写して内側に至り実にリアルな存在として立ちあがらせることに成功している。西洋的な意味での演じるとは本来そういうことなので、シェイクスピア劇でもギリシャ劇でも外側から描けばいいのに、なぜか内側から演じるという日本人の役者にありがちな蹉跌をきたしたのは残念でならなかった。誰か彼にそのことを言ってあげてほしいものです。

2006/03/02
鰆の味噌漬け、アスパラガスの胡麻和え、小松菜と油揚げの煮浸し
 きのう買った鰆を石野の白味噌に丸1日漬けて焼いたが、どうもシマリ過ぎた感じでイマイチだった。当たり前だが「川上」の味にはほど遠いものでありました(笑)。 
 昔から同じ姉妹でこうも違うかと思われる八つ年下のわが妹は、子どもの頃から主婦になるのが夢で(わが家は母親が女将だったので仕事をしない女性に憧れがあった模様)、某女子大でゴルフ部に入ってJJを愛読していた関西お譲の典型で、腰かけ就職を1年して数々の恋愛を重ねたあげくに見合い結婚で歯医者の妻となり、今は何不自由ない暮らしのなかで中学校に通う男児を育てている母親なのですが、近ごろは何だか妙に憂国の情(?)に溢れ、電話をしてくるたびに日本はもうオシマイだ!と嘆いています。
  彼女に言わせるとまず情けなくなるような事件が多すぎる上に、TVに出てくる芸能人にしろ、基幹産業の社長(JALばかりじゃなくて)にしろ、日本人にはどうしてこんなに下品な顔の人が増えたのかと!思うそうなのですが、なにせこれまで民主党支持者でもあっただけに、例のメール問題では永田議員に「ほんまに子どもやで」と怒りまくっていて、「そやけどお姉ちゃん、私の周りの若い人見ても、ええ学校出たはる人に限って皆あんな感じやねん。素直というか、世の中に裏があることが考えられへんというのか、社会性がものスゴク幼稚やねん。あんなんでは世界の国を相手にして駆け引きなんか出来へんで」というのであります。そしてまた「ほんまに今の若い男を見てたらロクなんがいてへん。勉強ができてそこそこ見てくれが良うて、あの永田みたいな男やで。あとはオタクか、ホストか、お笑いみたいなんしかいてへんねんで。日本はもうお先真っ暗や!」と嘆くのであります(笑)。

2006/03/01
鰆の山椒焼き、水菜と椎茸のサラダ
 スーパーのパンフを参考に作ってみました。鰆の切り身は塩と山椒をまぶしてこんがり焼く。サラダは白髪ネギ、焼き椎茸、水菜を塩とごま油を合わせただけのシンプルなドレッシングで食す。これは結構オススメ。

2006/02/28
蛸とキャベツのスパゲティ
 スーパーのパンフで見た春らしいパスタ。ニンニクと鷹の爪、アンチョビで味付け。具は蛸とキャベツとパプリカ。パスタをあげる直前にキャベツを入れて一緒に茹でるのがポイント。

2006/02/27
挽肉とアスパラガスのコチュジャン炒め
 スーパーのパンフで見た料理。春先らしい炒め物で彩りもいいのでオススメしたい一品。生姜の薄切りを入れた油でまず豚挽肉を炒め、細めのアスパラと太めの千切りにしたウド、ニンジンを炒め合わせてコチュジャン、酒、醤油で味付け。最後にごま油をまわしかける。ウドは厚めに皮を剥いて、酢水でさらしてしっかりアクを抜くこと。

2006/02/26
大阪寿司ほか
 乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
 土砂降りの中でもクラブハウスは満杯!去年の今ごろは閑散としてたのに、一体どうなってるの?って感じであります。東武動物公園との境をなしてた林がきれいに無くなって、馬場も厩舎もロッカーも拡張され、インストラクターが足りなくて今や養成講座まで出来る始末。
もともとは気晴らしでたまに乗りに行ければいいなあくらいに思っていた私ですが、とにかく新しい人がどんどん入ってきて、前からいる(ったって私はわずか一年前からなのに)会員はより上級のコースを目指さないといけない雰囲気のなか、インストラクターが異様に熱心に面倒をみてくれるので、その熱意にほだされてというよりも気圧されて(笑)、週1で通うはめになりました。前もこのHPに書きましたが、私はいわゆる「賑わし神」で、どこに行っても、何をしても、よくこんな目に遭います。
 水商売ではその人が開店そうそう現れたらあと誰も来なくなるようなお客さんが必ずひとりはいて「貧乏神」と呼んで忌み嫌います。そのちょうど逆さまが「賑わし神」で、うちの母親が若いころそうだったから、娘の私が才能(?)を受け継いだものと思われます。超能力と呼ぶにはおおげさ過ぎますが、これと同じ能力を持つ大島さんという友人がいて、大島さんと私がたとえばゆっくり話そうと思って、わざわざ人が誰もいない喫茶店を選んで入っても、すぐに人がドヤドヤと入ってきて、コーヒー一杯でねばることは不可能となります。
 要するに「賑わし神」は周囲に福運をもたらしても、本人は何も得をすることがありません。もっとも大島さんは「賑わし神」ならどんな業界に行っても必ずそこが繁盛して、喰いっぱぐれはしないはずだといいます。確かに私も自分が関わっている間はそこがなんとか保ちこたえてくれて、関係が切れた途端に潰れたり傾いてしまうケースがこれまで多々ありました。なので今後も転職を大いに視野に入れて生きて参ろうと存じます(笑)。ちなみに彼女は元ヅカジェンヌで当時は第一次「ベルばら」ブームのまっ只中、その後歌舞伎役者のマネージャーをしてたときは歌舞伎ブームが起こり、今は落語家のマネージャーをしています。
 乗馬ブームになったのはどうやら癒しとダイエット効果にあるようで、ひょっとすると「ロデオボーイ」という痩身マシンのTVCMも影響したのかも知れませんが、私の場合はそんなに太ってるわけでもないし、癒しはわが家で飼ってるリクガメで十分なので(笑)、動機は全然別のところにあります。
 とにかく物書き商売は何を見ても聞いても喋っても、頭の使い方がどうしても一定方向に偏りがちで、自身気づかぬうちにだんだん物事の考える範囲が狭まってしまい、多少巧くは書けても誰もが考えそうなつまらないことを書いてしまう恐れがあるので、脳みそを毎週リセットする目的でしてるという、苦しい言い訳をしておきます(笑)。つまりは頭がパアっと白くなって、アドレナリンだかドーパミンだかの脳内ホルモンがドバッと放出される瞬間が欲しいので、昔はスキーをしたらわりと効果的だったし、ジェットコースターでもいいのです。要は乗馬にスリルを求めているというわけです。故に乗り馴れてくると効果が薄まる気配があるので、今日は思いきって速歩から駈足にトライしたところ、これは大いにスリリングで、明日からまた原稿を書く意欲が湧いてきました(^。^)/

2006/02/25
フレッシュトマトとルッコラのパスタ
 結構おいしく出来たのでオリジナルレシピを記す。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油で細切りにしたベーコンと薄切りの玉ねぎをじっくり炒め、フレッシュトマトと白ワインを足して煮込む。モッツァレラチーズを加え、最後にルッコラを入れて塩胡椒で味を調える。
 TVでワールド・ベースボール・クラシックの壮行試合を見ながら食事。イチローが打ち、松坂大輔が投げるというドリームチーム王ジャパンだが、そのイチローは三振にダブルプレー、松坂はホームランを浴びるというさんざんな出来で、だ、大丈夫なの?と思いつつも、まあ、これは本番でなんとかなるでしょうという気がした。それよりも心配なのは和田と松中の打順を3番4番に据えたことで、このふたりはとてもいいバッターだけれど、日本シリーズで全く打てなくなる人たちで、何か責任を感じるとやたらに緊張するところがあるようだから、打線の中軸に据えるのはどうなんだろう……と素人ながらに思ってしまいました。

2006/02/24
石狩鍋
 QPで見た作り方はベースが昆布だし。ジャガイモと人参、玉ねぎの順で味噌を少々を加えて煮たあと、鮭とキャベツ、酒と味噌を足してさらに煮る。バターと胡椒を仕上げに使う。鮭は煮る前に塩でしっかりしめておくのがポイント。私は市販の甘塩鮭を使ったがこれでもOKだと思う。
 けさ目覚めたら外は暗くて時計はまだ6時10分を指していたので、もうひと眠りしようと思ったが、そうだ確かトリノで女子フィギュアの試合をやってるはず!と気づいてTVをつけた。そしたらちょうどサーシャ・コーエンが尻餅をついたところで、その後の試合をライブでばっちり見てしまいました(~。~)/
 フィギュアの技術なんてサッパリわからない素人でも、荒川静香の曲を効果的に使った盛り上げ方には昂奮させられたし、それより何より日本人女性の足がこんなに長く美しく見える!ようになったことに、中年の私としてはある種の感慨を覚えた次第。この前早朝にNHKに行って久々に通勤電車に乗ったが、そのときも若いOLにスラリとした美人があまりにも多いのにびっくりしてしまい、女性の容姿に関する限り、日本は確実に右肩上がり維持し続けているように思えたのだけれど、さて男性は?とその場を見渡して、残念ながら彼女たちとお似合いに見えそうな男性は皆無!でした(笑)。しかしこれって中年のオバサンは笑って済ませられるが、若い女性にとっては様々な点でとても深刻な問題ではなかろうかと思い、少子化の原因の半ば以上は男性にあるような気がしたのでした。

2006/02/23
ポルチーニのクリームパスタほか
 お茶の稽古の帰りに麹町で食事。
 お茶の大きな楽しみはなんといってもお菓子である(笑)。阪本師がお出しになるのは「鶴屋義信」特注の見た目にも美しい和菓子で、それらは言うまでもなく季節に因んだ花鳥風月を象っており、こちらは頂戴する前に必ず菓子銘をおたずねする。で、今日は鮮やかな黄色い煉切(ねりきり)の真ん中に緑色の餡をぽつんときかせた派手な色遣いのお菓子だった。いつもより少し遅めに行ったので、幸い稽古場は空いていて、弟子は私と友人のふたりだけだったが、一応こちらは型通りに「銘は何ですか?」と訊いた。するとセンセイはすかさず「卯の花やねん」と京都弁でお答えになる。「卯の花???卯の花てたしか白いし……それに季節もちょっと早すぎるんちゃいます」と私がぶつぶつ言うと、センセイはしばらくして「あっ、菜の花や」と叫ばれた。「どないしょう、今までのお弟子さんにはみな卯の花て教えてしもた。誰か気ィついて、おかしいて言うてくれはったらええのに!」
 私はもうおかしくておかしくて飲んだお茶を吹きそうになったのでした。

2006/02/22
テンペのソテー
QPで見た料理。テンペって何?と思ったら、近所のスーパーですぐに見つかったので作ってみた。インドネシアの伝統食材で、そういえば一昨年バリ島に旅行したとき食べたような気がする。大豆をペンテ菌で発酵させているのだというが、納豆のような感じでは全然なくて、ただ煮豆をつぶしてぎゅっと固めたようなもの。クセが無い味なので、大豆食品を非常に必要としている更年期の女性にオススメ(笑)
 テンペは酒、醤油でしっかり下味をし、小麦粉をまぶしてソテーする。付け野菜は茹でたほうれん草と空炒りしたシメジ、榎茸を合わせたもの。酒味醂醤油に長ネギのみじん切りと鰹節を混ぜたタレをかけて食す。
 実にタイムリーにインドネシアのクーデターを背景にした名画「危険な年」をNHKBSで放送。私は封切り時に見ているはずだが、改めて見るとすっかり忘れてるシーンが一杯あった。それもそのはずメル・ギブソンがまだ若い二枚目だし、シガニーウイーバーも肩出しドレスが似合うお嬢様である。インドネシア人の小男を演じている名女優リンダ・ハントはこの後どうなったのだろう?

2006/02/21
芙蓉蟹
 近所のスーパーでカニ缶を安売りしてたので今晩はコレにした。レシピは不要だろう、なんてダジャレではありません(^。^)/
 芙蓉蟹といえば昔は最もポピュラーな中華メニューで、私は子どものころ「秀水亭」という近所の店で食べた味が忘れられない。小さな安い中華食堂で、やる気のないオヤジさんがやってて、見た目が実に雑な出来映えだったにもかかわらず、妙に美味しかったのである。
 実家は祇園という花街にあったので、ふだん手軽に入ったり出前が取れたりする洋食屋にしろ、うどん屋にしろ、余所の土地よりも比較的美味しかったのだろうとは思うが、そうした店がここ十年か十五年ほどの間に祇園から姿を消した。きっとほかの多くの町でもそうした地味だけど安くて美味しい食堂の多くは姿を消して、代わりに大量仕入れ大量消費で採算ベースだけを考えるチェーン店がどっと増えたのだろうと思う。そうでなければ雑誌やTVに取りあげられるか何かして、とにかく名前を売らないとラーメン屋でもなんでもやっていけないのだろう。地味に気張らずにただ自分の目の届く範囲内で料理を作って、近所の顧客だけを相手にするというような商売が成り立たなくなった現実と、そこから本当の味覚が失われて外食自体がどんどん荒んでいく感じ、こうしたことは何も外食産業だけにいえる問題ではないように私は思います。

2006/02/20
根菜和風カレー
 QPで見た料理。ネギ、ゴボウ、人参、大根をほぼ同じ大きさに切りそろえて、大根以外をまず炒め、これにカレー粉と醤油で下味した鶏肉を焼き色がつくまで炒め合わせて小麦粉をふり、出汁、味醂、おろし生姜を入れて煮込んだ後、ふたたびカレー粉、醤油で味付けし水溶きカタクリでまとめ、最後にバターを入れる。思ったより美味しいし、何よりカラダに良さそうなのでコレは久々のおすすめ。
 今朝は例の「わくわくラジオ」に出演のためNHKに行った。私の入りの時刻がちょうど出勤ピークと重なってたのか、玄関で通行証を手にした職員がほぼ1メートル間隔でぞろぞろ通過するのを目撃して、ここにはこんなに沢山の人がいるんだ!と改めて実感し、つい例の視聴料問題を想いだしてしまいました(笑)。
 TVは何度か出てるが、ラジオは今回が初めてなので何かと驚かされることが多かった。まずラジオにも料理番組があるのはビックリ!今日は「ホタテ貝と白菜のクリーム煮」で、作り方が大体わかったので今晩さっそくと思ったが、帰ってきてTVを見たらやっぱりいつものQPに負けてしまった(笑)。
 で、料理番組はもちろんスタジオの外で待つあいだに聞いたのだが、放送の内容は全部スタジオの外に聞こえていて、そこには技術系の張り付きスタッフのほかに、何をしてるのかわからない人たちが大勢いて、暇そうに新聞を読んでるかと思ったら突然色めきたって何やら騒ぎだすのがおかしかった。ラジオはもちろん途中でニュースも入れば道路情報も入るし、何しろ即時性が強いので、放送内容がどんどん変更になるらしく、スタジオから村上アナが急に出てきて「何か富士山の曲ないかなあ」といったら若いスタッフが例の「あーたまをくーもーのー」の童謡CDを取りだすといった塩梅である。ひと通りの進行表はあっても台本とかは無いに等しいから、常に遊撃スタッフが何人もスタンバってなくてはならないようだ。
 私のインタビューに関していうと、こちらはただ訊かれることに適当に答えてればいいので実に気が楽だったが、村上アナのほうはこのHPを大量にプリントアウトしたものや、ほかのサイトで私について書かれたものをたっぷりお持ちで、質問内容をびっしり記したぺーパーをもとにインタビューをなさる。それがお仕事とはいえ、毎回これでは大変な労力であろうと思う。おまけに生だから、こちらがたとえばサベツ用語などをうっかりペロっと口にしたら一体どうフォローなさるのかと思うと、なかなかスリリングな現場である。だからこそまた面白いのかもしれない。
 さらに驚いたのは放送の最中に聴取者からの反応がわかることで、なんと私の高校時代の下級生からFAXが届いて村上アナがそれを読み上げられたときは、人間悪いことはできないものだとつくづく思った次第。で、帰ってパソコンを見たら、いつも私が年賀状の印刷をお願いしている近所のハンコ屋さんから「聞きました」というメールが入っていて、私に関する限りは特殊な人しかまず見ないTV番組に出るよりも、不特定多数を相手にしたラジオに出たほうが意外と反響はあったのでした。



2006/02/19
浅蜊炊き込み弁当、地鶏のサラダ
 乗馬クラブの帰りに東横のれん街でゲット。

2006/02/18
あん肝の薫製、海老とアボガドのパスタほか
 友人が来て近所で食事。

2006/02/17
蕪と牛肉の炒め煮
 QPで前に見た料理。下味した牛肉に片栗粉をまぶしてごま油でさっと炒めてから取りだしておき、その油で蕪を葉も一緒に炒めて出汁っで煮る。砂糖、酒、醤油でシンプルに味付けし、蕪がとろとろになるまでじっくり煮込んで水溶きカタクリでさらにとろみをつける。簡単にできるのでオススメ。
 今朝は近所の猫が例のヘンな声で鳴きっぱなし。昼になると部屋の中で俊寛(♂亀)が千鳥(♀亀)を追いかけてドタバタする。いよいよ春到来!

2006/02/16
鯖とブロッコリーの揚げ物
 QPで見た料理。ブロッコリーと塩胡椒して薄力粉をまぶした鯖の切り身を少量の油で揚げて、ピクルスのみじん切りマヨネーズ、マスタードを混ぜ合わせたソースで食す。ブロッコリーは生で揚げると美味しい。

2006/02/15
おでん他
 新国立劇場でイリーナ・ブルック演出の「ガラスの動物園」を見た帰りに近所で食事。
 テネシー・ウイリアムズの自伝的要素が強いといわれるこの作品を、イリーナの意図は明瞭な回想劇と仕立てることにあったようだ。まずふつうなら若い役者が扮するトム役を、白髪頭の中年男である木場勝己が演じて作者の分身であることを強調し、舞台に出てくるほかの登場人物はすべて彼の心象風景として語られていく仕組みだ。従ってトムと母親アマンダのぶつかり合いは生々しさが薄れた一方で、後年物書きになったT.ウイリアムズが若い頃に家族を切り捨ててしまった心の傷みがくっきりと浮かびあがって、ああ、これは彼がどうしても書かなくてはならない作品だったのだ!ということを改めて感じさせた。これはこれで正解かもしれないと思わせた演出である。とにかくT.ウイリアムズ作品をこれほど非リアリズムタッチで見せられたのは初めてだったので、見るこちらに多少の戸惑いがなかったとはいえないが、抽象化されることによって人物それぞれの痛ましさが普遍的に受け取れて、今日の日本社会でも大いにありそうな話に見えた点は可とすべきだろう。母アマンダ役の木内みどり、すぐ壊れそうなガラス細工にも似たピュアで儚げな魂を持つ姉ローラ役の中島朋子は共にいつもよりぎこちない感じが目についたが、それはイリーナの指導によるものだったかもしれない。現実を直視できず生きることに不器用な点において、この母娘は実によく似ていたのだということも、今回の演出はあらためて強く感じさせたのである。

2006/02/14
和風スパゲティ
 具材は毎回替えるが今宵はホタテ貝、ネギ、小松菜、舞茸で味付けはいつもと同じ生姜汁に味醂と醤油。
 今や玄関に日の丸の旗を立ててもよさそうなバレンタインデー。おとといの日曜日、渋谷の駅を通りかかったら、大勢の女性客がチョコ売り場に殺気だって群がってたので、500億円の経済効果説もまんざらウソじゃないようでした。私がOLをしてた頃はまだ無かったはずの義理チョコなるものが、いつ頃から始まって、いかなる経緯で現在のような凄まじい発展を遂げたのか、後に日本文化を語る上で絶好の研究課題となりそうな気もします。今日たまたま整骨院で治療を受けながらラジオを聞いてたら、インタビューに答える人の中に義理チョコのお返しに悩む主婦やら、義理チョコを欠礼したくて親戚の葬式と偽って会社を休んだというOLがいて、いつの間にか世の中えらいことになってるので私はもうただただビックリ!まあ、年賀状にしろ、お中元お歳暮にしろ、したくもないのにしなくてはならないという強迫観念が生まれて自縄自縛に陥るのはどうやら国民性と見てまちがいないでしょう。私はチョコ大好き人間なので、いつもこの季節2/14が済んだとたんにスーパーでチョコの安売りが始まるのを楽しみにしてたのですが、今年はなんとカメラマンの大橋さんから白金エリカのを送って頂いて有り難く頂戴しました。とにかく美味しいチョコが食べられるのは喜ばしいことなので、これは建国記念日なんかよりずっと有り難い日なのであります(笑)。

2006/02/13
ゴボウとシラタキの炒め物
 QPで見た料理。具だくさんのキンピラである。ゴボウは皮を剥かずに千切りして水にさらすこと。ごま油に鷹の爪を入れ、ゴボウ人参の次に、下茹でして余計な水分をなくしたシラタキをさらにしっかり炒めて水気を完全とばすのがポイント。肉は堅くならないように酒をふり片栗粉をまぶして炒める。ほかに椎茸と三つ葉を加え、砂糖、味醂、醤油、オイスターソース
で味付けする。
 今日の夕方は例のNHKラジオのCP辰巳さんとアナウンサーの村上さんがわが家にお越しになって、例のインタビュー番組の打ち合わせと相成った。なるほどラジオの生番組の場合は事前にアナウンサーとあるていど打ち解けておかないと成り立たないからだなあと、ひとまずは納得しながら、尋ねられるままに私の生い立ちから学生時代、松竹時代、ぴあのことや近松座のことやその後小説を書くに至った経緯に至るまでたっぷり2時間お話したのだが、歌舞伎のことはそんなに訊かれないので、途中からアレッ???てな感じでちょっと不思議な気がし始めたのである。ジャーマネの進藤さんの話だと「歌舞伎の日」にちなんでというので、こちらは何人かの人に歌舞伎について語らせる番組なんだろうと勝手に思い込んでいたのだ。ところが最後のほうで「いやーお話聞いてると松井さんの人生も波瀾万丈ですよね」と村上アナにいわれた瞬間、ひょっとしてコレって日曜の昼間に日テレでやってる「波瀾万丈」のラジオ版なわけ……という気がしてきて、ああ、だから私に曲のリクエストもさせたんだとようやく納得した次第(笑)。村上アナのお話だと最近では女優の中島朋子さんや男優の白井晃さんや劇作家の三谷幸喜さんが出られたようで、今回は一体なぜ私が選ばれたんですか?と訊きたいくらいだったが、まあ、毎日やってる番組だから出演者の中にはそれなりに派手な人も地味な人もいるんだろうと思うしかない。で、本番になったらその場の成りゆきで全然別の話になってもいいですから、ということで、要は生放送で村上アナと50分間適当におしゃべりをして過ごすみたいである。NHK第一放送でやってる「きょうも元気で!わくわくラジオ」という早朝から正午までの番組だが、私の出演は20日の10:05から10:55までだそうなので、もしご興味があればどうぞ。まあ、月曜の朝っぱらからラジオなんか聞いてられるか!と仰言るお方ばかりだと思いますが。


2006/02/12
穴子寿司ほか
 乗馬クラブの帰りに東横のれん街でゲット。
 ワタシ的には今日が一番寒い!と感じられた乗馬でした。なにせ冷たい空っ風がびゅんびゅん吹いて、馬場は乾燥してるから砂ぼこりで真っ白。馬耳東風なんてのは大ウソで、馬は風に過敏に反応することもわかりました。
 インストラクターの話だと馬は犬と比べて理解力は劣るが、記憶力は優れているそうです。というわけで、馬にはワイロがききます(笑)。私は今日初めて専用馬に家から持参したワイロをそっと渡しました。ワイロとは言うまでもなく人参です。 

2006/02/11
鶏団子と小松菜の鍋
 前にQPで見てコレはいけそうだと思ったが、本当に美味しいのでオススメしたい。鶏の挽肉には卵と片栗粉のほかに生姜のみじん切り(すり下ろしでないところがミソ)と山芋のすり下ろしを加えて醤油と味醂で少し味付けしておくのがポイント。鍋の出汁も醤油、味醂、塩で味付けしておく。鶏団子と小松菜が煮えたあたりで大根下ろしを加える。3つの味が抜群のハーモニーでどれが欠けてもいけない。
 TVでトリノオリンピック開会式の録画を見ながら食事。氷上でフェラーリを走らせたのとオノ・ヨーコが現れたのにはビックリ!ハバロッティの「トウーランドット」を聴かせてくれるのだから、やっぱりイタリアはステキだ。他国の開会式を見るたびに、日本だと出演させて世界に恥じない芸能人て誰だろう?なんてことを考えてしまうのでした。
 ところで今日は建国記念日だと思ってる人って世間にいるの?ってな感じで、今の学校ではこの日のことを一体どういう風に教えてるのだろうか。私が子どもの頃は、戦前の紀元節を復活させたこの日に抵抗のある人たちが大勢いて、結局何も教わらなかった気がするので、今の親や先生が教えられるとはとても思えないのだが、建国記念の日というご大層なネーミングだけして、こんなにいい加減にしてしまうのは、某歌舞伎役者が最近やった襲名公演に似てる気がしないでもありません。
 2月11日は神武天皇が即位した日といわれても、その神武天皇って本当にいたのかどうかもわからないのに、先日TVを見てたら皇室典範の改正論議をめぐって「神武天皇にまで遡る血を途絶えさせることになるわけですから」なぞと平気で仰言るコメンテーターがいて、これまた初代から十八代までの勘三郎がずっと血でつながっているように報道されてたのと同様に、頗る科学性を欠いた見識といわなくてはなりません。こうしたいい加減な報道を許しておくと、昔から本当につながってることも皆ウソだと受け取られてしまうから、建国記念日が廃れたように、保守的な人びとにとっては却ってマイナスになると思われるのですが、そんなふうにも考えられないくらい、保守的な人びとの脳みそは劣化しているのでしょうか。
 皇室典範論議も結局うやむやにされたように、本当にこの国の人びとは物事を曖昧にしてしまうのがお好きですが、私は曖昧なことが嫌いなので、近ごろ読んだ史料から天皇のことについて少し書いておきます。
 十返舎一九の著作などをいろいろ読むと、案の定というべきか、江戸時代の人は概ね天皇を神主の親玉のように思っていたようです。維新で御輿に担がれたのは確かですが、明治初期の新聞を読むと、意外なことに天皇と皇族は一般庶民と同じようにちゃんと戸籍に載せられています。古墳を曝いてDNA鑑定をすることまではまだ無理としても、せめて天皇にいつから戸籍が無くなったのか、そしていつ頃からどういう連中が神のごとき存在に祭り上げていったのか、歴史学者はその点をちゃんと指摘して戦争責任の所在を明らかにすべきだったはずですし、今後の皇室典範論議にも歴史科学的見地から発言をして戴きたいものなのですが、大体天皇家のことを研究しようとするような歴史学者を輩出する学閥自体がどうも信用がおけそうもないので、この問題はどこまでいっても明らかにならないのかもしれません。嗚呼!

2006/02/10
酒の粕揚げ
 QPで見た料理。要は天ぷらの衣に酒の粕を加えるというだけなのだが、ちょっと味の想像がつかないので結構ワクワクしながら作った。で、たしかにしっかり酒の粕の味わいがきいて、最初のひと口はなかなか乙なものでした。是非一度おためしを。酒の粕は水を加えて電子レンジで柔らかく溶いてから使う。揚げ油の温度は中温に。衣がはがれやすいので注意すること。塩と砂糖と黒ごまを混ぜたものにつけて食べるのだが、この取り合わせがまたなかなかいい。今回は海老と、アスパラと椎茸を揚げた。衣がはげやすいので、火の通りやすい食材がよさそう。

2006/02/09
カツサンド
 シアターコクーンでケラの「労働者M」を見て幕間に食事。なんたって終演が22:30と来てはもちませんでした(^ ^;とにかく3時間半は長すぎで、客席の反応もイマイチだったが、正直言って私はあまり期待しなかったわりに実のところ案外面白く見たのである。
 「革命」というテーマが今けっこう演劇にフィットするんじゃないかと思ったのは去年スカパーでペーター・ヴァイスの「マルキ・ド・サド演出のもと〜」(12/6の項を参照)を見たときにも思ったのだが、それは何も「格差社会」に移行した現実を反映してのことばかりではない。富める者も貧しき者も皆一様に市場原理に絡め取られてしまう現実から抜けだせない状況と、そこを脱しないと個人も全体も崩壊するという危機感は今や地球に住む人類全員が共有してるといってもよさそうで、「革命」は確かに待望されているのだけれど、それはかつての社会主義革命のように単純にはいかないのも皆よく知っているので、多くの人びとが躁状態か鬱状態に極端に振れているのはまぎれもない現実だろう。で、「労働者M」はそうした現実を極めてストレートに衝いた作品で、「認められたい、役に立ちたい、ステキに生きたい、そしてあともう一つの何か」に駆りたてられる人びとのリアルな日常と、それを俯瞰して見せるふたつの世界が同時進行する。一方の世界は「いのちの電話」に絡め取られてマルチ商法の一員となって働く人びとの事務所であり、一方はどうやら土星人(笑)に監視されている収容所であるらしく、シュールな設定がケラらしいディテールにこだわったセリフと仕掛でコミカルに展開する。ケラのセリフはどれもメタフォリックに非常にいいところを衝いていて、役者も大方それをうまくこなしているし、金がかかった大仕掛けも見せてくれるのに、ディテールがふくらみすぎて活き活きしすぎるあまりなのか、個々の場面は実に面白く見ていられても、ラストで膨大な時間を費やして見たという充足感が得られにくいことが観客の反応をイマイチにさせたのかもしれない。私はさらっとしたラストが好きだったが、その直前はもっと盛り上がってもよかったように思う。たとえば近ごろの野田マップのような妙に情緒的に盛り上げて誤魔化すみたいなことをしないのがケラのいいところなのだろうが、この芝居をほかの演出家がやったらどうなるだろうという興味も湧いた。とにかく役者は今回ケラの芝居に欠かせない犬山イヌコのほかも非常にいいメンバーを揃えていて、中でも松尾スズキがとてもいい味を出していた。私はこの人が物書きとしてよりも役者として好きである。堤真一もこの人のワイルドというより雑ぱくな持ち味がうまく活かされているし、キョン2も今まで見た中では一番マシだった。

2006/02/08
ほうれん草のミネストローネ、明太子スパゲティー
 ミネストローネのいい加減なアレンジだろうと思ったら、QPの先生はトマトが取れない北イタリアの料理だと紹介して、半信半疑で作ってみたら実に美味しいのでオススメ。ニンニクを入れた油でベーコン、人参、玉ねぎ、セロリを炒め、スープを足し、そこに湯でもどしたレンズ豆、軽く塩茹でしたほうれん草、最後にジャガイモを入れて煮込み、塩胡椒でシンプルに味付けする。材料を細かくするときにすべてほぼ同じ大きさにそろえるのがポイント。レンズ豆はとろみがつくのでなるべく加えたほうがいいと思います。

2006/02/07
牡蠣とアスパラとパプリカの炒め物
 牡蠣には片栗粉をまぶしておく。ニンニクと生姜のみじん切り鷹の爪を入れた油で炒め、酒、砂糖、醤油、胡椒で味付け。アスパラとパプリカは別々に炒めてあとで合わせたほうがキレイに仕上がる。
 NHKからまた仕事の依頼があった。こんどはラジオの生番組で2/20の「歌舞伎の日」にちなんで40分もインタビューを受けるという話である。そもそも「歌舞伎の日」なんていつ制定されたのかも知らなかったが、小林恭二氏の「カブキの日」と何か関係があるのだろうか? 2/20は阿国が江戸で歌舞妓踊りを披露した日として当時の記録に残されているものの、私が松竹に関係してた頃は「歌舞伎の日」なんて聞いたこともなかったので、恐らく最近ぞろぞろ出来た制定目的がよくわからない記念日(?)のひとつなのだろうと思うしかない。ともあれラジオの生番組ともなれば、言葉が出てこなくて穴があくのが何よりも恐ろしいので引き受けるかどうか迷ったが、ふだんそれだけ隙間恐怖症的おしゃべりをしてるんだから大丈夫じゃない、とジャーマネの進藤さんにいわれて引き受けることにした。で、番組の中でリクエスト曲を流すというので、それは当然リスナーのリクエストだと思っていたら、今日の昼間進藤さんが電話してきて「曲のリクエストはあなたがするんだって」と笑いながらいうではないか。「ええっ!私のリクエストなの……」とこちらは絶句しながらも、なんだかヘンに喜んでしまった。受験生のころによくラジオの深夜放送を聴いていて、リクエストのハガキも出したが当たったためしがなかった。ラジオで自分の好きな曲がリクエストできるなんて、しかも2曲も!と思っただけでにそにそしてしまう。人生ほんとに何が起こるかわからないというよりも、私もホントくだらないことに喜びが見いだせる人間だというべきなのでしょうか。てなわけで、だれかリクエストしたい曲がある方はどうぞ今のうちに仰言って下さい(笑)。

2006/02/06
里芋サラダ
QPで見た料理。ポテトサラダに飽きたらオススメ。
マッシュした里芋をマヨ、塩、レモン汁で和えて、マヨで炒めて醤油で味付けした椎茸、エリンギと混ぜ合わせ、小ネギと干しエビをトッピング。里芋は頭とおしりを落として皮付きのままで水から20分くらいじっくり茹でること。椎茸とエリンギはい1cm角にして炒める。干しエビは炒って香りを出すのがポイント。

2006/02/05
干し大根入り卵焼き、酸辛湯、イカ団子、腸詰め、ビーフン
 三村さんを乗馬に誘って帰りに渋谷の「麗郷」で食事。真昼に月が見えるほど空が澄んで、とにかく寒い日であるにもかかわらずクラブは相変わらずの大盛況でした。
帰ってネットニュースを見て、今日一番の面白ネタはなんたって007シリーズも手がけたリー・タホマリ監督が売春のおとり捜査にひっかかって逮捕された事件。「買春」ではなく「売春」というところがミソで、要するに女装して捜査官に言い寄って御用と相成ったわけです。著名な文化人で女装趣味の人のウワサは私もよく耳にしますが、売春までしてたという話はまだ聞いたことがありません。リー監督の周囲の人は皆ある程度彼の趣味を知ってたはずで、オイオイ捕まるようなドジ踏むなよ!と嘆いてることでしょう。

2006/02/04
鱈チゲ
 物凄く寒い!のでコレ。煎り子だしベース。味噌にコチジャンとニンニクのすり下ろしをたっぷり入れて味付け。ほかの具は白菜、白菜きむち、ニラ、ネギ、舞茸、豆腐。テレビの天気予報が明日は今シーズン寒気の底と伝えるなか、私はまたしても乗馬に出かける予定でおります。

2006/02/03
関西風おでんほか
 翻訳家の松岡和子さんから文春の内山さんを通じてご招待を戴いた『間違いの喜劇』を埼玉芸術劇場に見に行った帰りに近所で食事。
 シェイクスピアの数ある双子物の中でもそれが最もストレートに且つスラプスティックに展開されるこの作品は前に野村萬斎の演出・主演で見た覚えがある。彼がNHKの子ども番組で流行らせた「ややこしや、ややこしや」のフレーズはこの芝居が発信源で、文字通り二組の双子が入り乱れるややこしい展開を狂言ならではの仮面を巧みに使った演出で成功させた。これを萬斎が仮面劇に仕立てたのは中世イタリアのコメディア・デラルテの流れからいっても正解だったのだと思えたのは、今回の蜷川演出もその流れを汲んで、双子のひと組をアレルッキーノ仕立てにしていたからである。蜷川さんお気に入りの高橋洋がそれを演じて大奮闘を見せたが、如何せん、この男優は大ファンの内山さんも言うように、さほどシェイクスピア向きではないのと、何よりもアレルッキーノ(即ちピエロの原型)はかなりアクの強いコメディアンでないとやはり成り立たないという厳然たる事実を突きつけた感じである。もう一組の双子を演じた小栗旬はけっして巧くはないが、それなりに華があって、この人も近ごろは蜷川さんのお気に入りだ。で、私のお気に入りは女形でよく起用される月川悠貴で、近ごろ歌舞伎にあまりコレといった女形を見つけることができない私はこの人にハマっている。完全なニューハーフで、肩出し胸あきドレスを着ても何ら違和感がなく、大昔のピーターを彷彿とさせるアンニュイなセリフまわしがたまらない。もうひとり女役に扮した内田滋もまた、セリフには少々難があるものの、実に美しくて且つ妙に健康的なエロティシズムを発揮し、女形がもはや淫靡と頽廃で語られる存在ではなくなったという時代の流れを強く感じさせた。ほかに今回印象に残るのは宝石商をオカマっぽく演じるたかお鷹で、これは久々の儲け役といったところか。男優だけのシェイクスピア劇をアップテンポの祝祭的な演出でさらりと見せて遠い埼玉の劇場から早く帰してくれた(笑)蜷川さんと、楽しい芝居にご招待してくださった松岡さんに感謝!

2006/02/02
鯖のみそ煮
 レシピは不要だろう。わけぎが美味しい

2006/02/02
鱈豚鍋
 スーパーのパンフで見た料理。鶏ガラスープをべースにするのがポイント。ニンニクのみじん切り、すりゴマ、醤油、ラー油とスープを合わせたタレで食す。野菜は白菜、春菊、万能ネギほか。

2006/02/01
ホタテ貝とアスパラガスの中華風炒め
 わが家の定番メニュー。生姜のニンニクのみじん切りを入れて香り付けした油で炒めて、鶏ガラスープ、紹興酒、塩、胡椒でシンプルに味付けし、水溶きカタクリでまとめる。

2006/01/30
ハンバーグと蟹クリームコロッケの定食
 広尾の中央図書館の食堂で窓から六本木ヒルズを眺めながらの食事。周囲に高い建物が少ないせいか、ヒルズタワーは暗喩でなくバベルの塔っぽい見え方をしてた。で、学生風の男子がケータイで話してるのを何げなく聞いていたら、どうも友だちのカノ女について語ってるらしくて「胸デカイしさあ、まあ(タレントの)ダレかに似てるって言われて会ったらチョイへこむ感じ。でもまあ美人みたいな……」というような不毛な会話が延々と続いて、とにかく胸デカイというフレーズが何度も出てきたのには笑ってしまった。
 しかし私はわざわざ何も現代の若者を観察するために行ったのではなく、時代小説を書き進めている最中にどうしても調べなくてはならないことが出てきて、今日は午後から急きょ予定変更で資料集めをしてたのであります。そういうことは編集者に任せて執筆を早く進めてくれと思われる向きもあるだろうけど、調べ物を人任せにするセンスは持ち合わせていないもんで仕方がない。もっとも小説に使うすべての事柄に関して全部一から古文書に当たってたのでは仕事は一生かかっても終わらないので、さまざまな研究論文で学ぶはめになるのだが、それにしても我が国における人文科学系の研究論文ほど読みづらいものはない。いっそ一から原史料に当たったほうが早いのではないかと思うくらいに、読んでいて頭がちぎれそうになるのは、研究者の多くが整理能力に乏しくて文章がへたくそなのもあるけれど、何よりも内向きに書いてるので、内容の伝わる相手が限定されてしまうのであります。

2006/01/30
ニラ饅頭ほか
 乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
 空はもう完全な春の色とあってクラブはますます賑わいを見せるなか、今日乗ったのはまさしく春風的なのんびり屋の馬でなかなか走ってくれません。で、インストラクターからお腹を踵でもっとガンガン蹴って!もっと笞を使って!とアドバイスされ続けてるうちに、私はある時点で自分がブチッとSモードに切り替わったのがわかりました(笑)。性格の基調はどちらかというとMのほうだと思うのですが、SとMは+と−の違いで、絶対値の高い人は常にどちらにでも転がる可能性を秘めているものと思わなくてはなりません。よく周囲から日ごろおとなしいと思われてた人が突然ブチギレたりするのも、この手のケースではないかという気がします。私はふだんおとなしいとまではいえないものの、コワモテの割には温厚そうに振る舞っているつもりですが、昔から一旦キレると凄いSに転じて他人をびびらせてしまうところがあるので、そうならないよう注意しております。で、長期で見るとM傾向の強いときとSに傾くときとが交互にやってきて、近年はずっとM波だったのが、そろそろS波に切り替わる予兆かも知れないと思わせた今日の乗馬でありました。
 帰ってきてすぐに始めたのが去年の領収書の整理。税理士さんから今週中に来て欲しいといわれてるので、とにかくざっと仕分けだけすると、いつもながらに、ええっ、コレって去年のことだっけ!と驚くことが沢山ありました。こういう感覚はきっと皆さんお持ちになってらっしゃるはずで、一年があっという間にたつにもかかわらず、去年の出来事はなぜだか何年も昔のことのように思われるのですから、これまた裏腹の関係というべきか、人間の感覚とは実に摩訶不思議です。

2006/01/28
かぶら蒸し、えぼ鯛の開き
 かぶら蒸しはすり下ろすのが手間なだけで、案外カンタンにできるので最近よく作るようになった。えぼ鯛の干物は近所のスーパーで今日のサービス商品でした(笑)
 ええっ、もう土曜日なの!と叫びたくなるくらいに一週間のたつのが早い。明日はまた乗馬である。今年になってやたらに気ぜわしいのは毎日曜日に乗馬に出かけて、家でのんびりすることが全くないからだろう。この調子だと一年とてももちそうにないが、乗馬クラブの会員がどんどん増えてるために、早く入った会員にはレッスンのクラスアップをしてほしいようで、インストラクターが熱意をもってこちらに努力を求めるのである。なんだか私は根が怠け者のくせに昔から何をやっても大変になるのだが、まさかこの年でこんなに努力を求められるとは思わなかったのは、小説も同様である。去年の暮れから新聞連載が始まったので、平日は1日に2本の小説を書き進めるようにしており、これじゃまるでホントにプロの小説家みたいじゃない(笑)というようなハードな仕事ぶりなのであります。
 1日に2本の小説を書くと、私が私自身でいられる時間が減ってしまったような不思議な感じで、何本もの連載を抱えてる人はどんなだろうと思うと空恐ろしくなります。で、そこから残された人生で何が大切といって、私は私自身と付き合う時間のような気がしてきました。自分がこの世から完全消滅するのを一番惜しむのはだれあろう、自分でしかないというのは、別にナルシストに限ったことではなく、万人共通の真理であるような気がする今日この頃であります。

2006/01/27
ナシゴレンほか
 歌舞伎座で舞踊公演を見た帰りにお茶の阪本先生らと赤坂のキャピタル東京で食事。
 4題ある舞踊のうちで一番見応えがあると思わせたのは、やはりといううべきか、富十郎の「北州」だった。これは大田蜀山人(南畝)の作詞というだけあって、詞の連ね方の巧みさを今日の踊りで改めて実感させられた。つまりは富十郎は歌詞の内容をそれだけはっきりと伝えることのできる舞踊家だということである。日本舞踊においては実はそのことが最も大切なのだが、舞踊家でさえそれを自覚する人が少ないという嘆かわしい現状で、「北州」のような、歌詞の連ね方が巧みな分シチュエーションが次々変わる舞踊はかえって淡泊にサラサラと舞われてしまうケースが多い。今回はあのくそマズイ!家元延壽太夫の清元でさえ何を語っているのかがわかるくらいに富十郎が丁寧に躍り込んで、この格調高い難曲を非常に面白く見せてくれた。
 井上八千代の「弓流し物語」は当代の五世家元が得意とする二代目八千代振付、つまりは人形ブリに主眼を置いた作品で、このところいささか不振の続いた当代八千代が放った久々のヒットといえそうである。人形身でピタリと決まった姿は極めて鮮やかで且つ大きく見えたものの、この曲は残念ながら「長刀八島」のようなクライマックスのはっきりした作品ではないために、一般の観客にはイマイチ面白さが伝わりにくかっただろうと思う。
 問題は新勘三郎の「鏡獅子」で、これが本公演のいわばメーンエベントであるにもかかわらず、一体どうしちゃったの?と言いたいくらいの不出来。襲名を終えて休養明けでかえって疲れがどっと出ちゃったのだろうか。出てきたときから妙に精彩を欠いていて、白粉のノリも悪そうだと思っていたら、扇を何度も取り落としそうになったり、手が震えていたり、とにかく私は前から三列目のど真ん中で見ていたためにハラハラし通しだった。獅子の毛振りもあっという間に終わらせたから、やはりよほど体調が優れなかったのだろうと思うしかない。まあ、こういうことがあるから舞台は怖いし、また面白いともいえるのだ。
 もう1本は彼の息子たちによる「棒しばり」で、つまりは4題中2題が中村屋一門の演し物だから、客席はほぼ中村屋のお客さんで占められているのだろうが、こんな不出来な「鏡獅子」にもやんやの喝采を浴びせるご贔屓を抱えてしまった勘三郎の将来を思うと、他人事ながらちょっと暗い気持ちになってしまった。当人はもっと落ち込んでるんじゃないだろうか。
 で、子どもたちだが、長男の勘太郎は親父によく似てきたものの、踊りはそう器用なたちではない。まあ、それなりにカタチにはなってるという程度。役者としてもまあ素直な優等生タイプで、もっと弾けるところが欲しい。私は今のところ、例の不祥事を起こした弟の七之助のほうが将来ひょっとしたらバケる可能性があると見ている。

2006/01/26
回鍋肉
QPではこれの牛肉バージョンをやってたので、それと同じ調理法で通常の豚肉を使った。肉には下味をつけとくのがポイント。先にニンニクと肉を炒めて取りだし、その油でネギ、キャベツの順に炒める。キャベツには少し水を振って蒸し炒めのようにすると油をたくさん使わずに済む。味付けは記すまでもないがテンメンジャンと醤油。
 昨日からのニュースでずっと気になってるのは例のおかしな呪文で女性を身のまわりに11人も集めて暮らす一夫多妻男の顔だ。最初映像にモザイクがかかってたときは昔の「イエスの方舟」みたいな貧相なオジサンだろうと思ってたが、モザイクがとれたら意外にも濃い顔が現れた。で、私はその顔をどうしても初めて見たような気がしないのである。いわゆる役者顔なので、誰に似てるんだろう?と、あれこれ考えてはみたのだが、どうしても思い当たらない。私と同じような感想をお持ちの方はいないだろうか。それとも私はあの男にブラウン管を通して呪文をかけられてしまったのか(笑)とにかく気になって仕方がないのであります。

2006/01/25
カサゴと豆腐の煮付け
 この寒さでついにわが家のリクガメが風邪をひいてしまった。丈夫なので割とほったらかしにしてたメスのほうがやられて、朝から大きなくしゃみを何度も繰り返し、切なげな咳をする。笑い事ではない。カメは横隔膜がないから風邪は重病で、下手をすると死に至りかねないのである。前にカメを買ったショップで、ポカリスエットが人間の点滴薬代わりになるから風邪をひいたら飲ませるといいと言われたのを想いだして、なんとか飲ませようとしたが、もともと野菜や果物から水分を摂取して直に水を飲まないので大変に厄介である。温浴をさせるにも湯冷めしてはまずいので、こちらは付きっきりだ。で、暖房をガンガン入れて夜になったらくしゃみが治まってきたので、このまま少し様子を見ようと思う。爬虫類専門の病院がないわけではないが、遠いので一日がかりになるし、寒い外に出すのは余計にキケンだろう。で、これがただの風邪だといいが、亀インフルエンザだったりしたらどうしよう。私は世界初の感染者となって人類滅亡の引き金をひくのだろうか(笑)

2006/01/24
牛肉のサッと焼きレモンしょうゆがけ
 スーパーのパンプで見た料理。肉の上にのってる白いものは大根おろしではありません。玉ねぎをすり下ろしたもので、要は簡単シャリアピン。もも肉をオリーブ油でソテーし、付け野菜のアスパラガスは塩茹でするというヘルシーメニューです。

2006/01/23
牡蠣の味噌鍋、むかご御飯
 八丁味噌で甘めに仕上げた。具材はほかに白菜、春菊、ネギ、舞茸、焼き豆腐。牡蠣は先に入れて出汁をとったあと一度鍋から出してほうが煮え過ぎて硬くならない。いざ食べようとしてTVをつけたら、ホリエモン逮捕の速報がちょうど流れているところだった。
 この人物について、私は自分とあまりにもかけ離れた考え方の人だから、却って嫌な感じは持っていなかったほうで、まあ、ちょっと露悪的で挑発的なところが子どもっぽいなあと見ていたのだけれど、選挙に出たときは賢いように見えてただのアホなのか?と思ったものだ。「僕らは生まれたときから日本にちっともいいことがなかった。それがようやくいい方向に変わり始めてるんだから、改革の風は絶対に止めちゃいけないんだ」というようなことを、わりとマジに言ってたりするんで、ああ、確かにこの世代にとってはそうだったろうなあという同情を覚える反面、なんて世間知らずなんだ!こういう子はきっと親からして日本の国情に無知なノーテンキ世代なんだろうと内心バカにしたのである。で、今回の逮捕劇を見るに及んでもまた、こんなにスレスレのことを自覚的にやってる人間が、なんで選挙に出たんだ!人もあろうに亀井静香なんかを敵にまわして!と思わずにはいられなかった。亀井が警察OBであることを知らなかったとでもいうのだろうか。選挙で亀井にあんな苦渋を呑ませて、ヤバイとは思わなかったのだろうか。権力や富のある人たちはみな多かれ少なかれスレスレを犯してて、それが罪として裁かれていない例が多々あるのは(ここには書けないけど)私のような人間でも何人か数えられる。罪に落とすか落とさないかは昔から権力の胸三寸で、その権力も微妙なバランスで成り立ち、いうなればパワーゲームの所産が数々の疑獄事件なのである。ホリエモンは果たしてそのパワーゲームをマネーゲーム並にちょろいと見てたのだろうか?それともヤバイことを隠蔽するために権力を利用するつもりで、逆に利用されてポイ捨ての憂き目にあったのだろうか。いずれにせよあまり利口な人間のすることとは思えないのであった。

2006/01/22
揚げ豚とごぼうの黒酢和えほか
 乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
 馬場周りの畑が一面まっ白となるなかで今日もクラブは大盛況。世の中には小説好の人、芝居好の人に負けず劣らず馬好きの人が沢山いらっしゃるのであります。で、馬の顔はたしかに可愛いところがあるし、顔にもそれぞれ個性があるのはよくわかったものの、私はまだ馬面の美醜を判別できるところまではいっておりません。この馬はクラブNo1のハンサムボーイなんですよと紹介されても、はあ……てなもんなわけですが、今日乗った馬はクラブ1キュートだと評判の若駒で、乗るための準備をしてたら、若いきれいなお嬢さんが方がドッと群がってきて、その馬に抱きついたり、頬ずりしたり、写真撮ったりと、もう大変な騒ぎで、カレシ(もしくはそうなりたい男性)が見たらヤキモチをやきそうな光景でした。私は馬よりもまだ亀のほうに愛着があるので、たしかに亀の顔に可愛らしいのもあれば、ブサイクなのもいると断言できます(笑)。

2006/01/21
カリフラワーとブロッコリーと蟹の炒め煮
 スーパーのパンフで見た料理。ネギと生姜を入れた油でカリフラワーと蟹を炒め、酒をふり、スープと塩胡椒で味付けして蒸し煮にし、最後に別に下ゆでしておいたブロッコリーを加えて水溶き片栗粉でまとめる。蟹はロシア産の生タラバ蟹がとても安かったのでそれを買った。
 昨年末から蟹が急に安く市場に出まわりだしたのは、鈴木宗男が議員に返り咲いたからだと私はにらんでいます(笑)。これはあながち冗談ではありません。去年の春、旭山動物園に行って、帰りに旭川の鮨屋で食事をしました。北海道ならではの海産物がぞくぞく出てくる中で、なぜか蟹が出てこないので理由を訊いたところ、近年ロシア海域の良質安価な蟹がまったく入って来ないとのことで、「ほら、やっぱり鈴木さんが議員を辞めちゃったから」と言われ、それと蟹にどういう関係があるの?とそのときは思ったものです。で、昨日「あら輝」で北方四島沖で取れた素晴らしい海胆が出て、「プーチンが日本に来てたときは築地でこれ手に入らなかったんですよ」と言われてまた???となったけれど、ロシア海域の密漁品だからだと言われてナルホド!要するに海胆も蟹もいいものはほとんどがロシア海域の密漁品というわけで、鈴木宗男は恐らくロシアの末端の役人と太いパイプを持っていて、密漁を見逃すように働きかけているのだろうと、私は思うのであります。
 今日は丸1日雪が降り続いてさすがに散歩もできず、明日はかならず乗馬に出かけるつもりですが……

2006/01/20
あら輝
 中村京蔵と一緒に世田谷中町の「あら輝」で食事。この店はなかなか予約が取れなくて大変だが、今日はうまくいって久々に美味しい鮨を堪能した。ご主人の大サービスで今日は凝った酒肴をいろいろ出して戴いた。中でも茶で燻蒸した鰤の肝は他にたとえようのない絶妙の味わい。虎河豚の白子の握りももう一度食べたい!で、お腹一杯食べてお酒も呑んで、ええっ、やっぱりこの値段なの?と驚いて、これはご祝儀を置くべきかとは思いつつ、あいにく大きな札しか持ち合わせがなかったので失礼してしまいました(^ ^;
これまでもここで何度か触れた中村京蔵は30年来の親友で、近年は「勘定奉行」のTVCMで知られるようになったが、本業は歌舞伎役者で、師匠は現役最長老の女形、日本俳優協会会長の中村雀右衛門師である。雀右衛門師は御年85歳ながら、筋トレで肉体を鍛え、舞台ではいまだに美しく見える驚異の女形である。お人柄も大変に良い方で、私は以前この方に六本木の「キャンティ」でご馳走になったが、お年の割に食事量が凄いのに驚いて、お元気の秘密を教えられたような気がしたものだ。で、この雀右衛門師を弟子の京蔵は「旦那」と呼んでいて、今日も当然のごとく「旦那」の話が出た。
 先日、京蔵は旦那に衣裳を着せている最中に「おい、京蔵、お前こないだテレビで亀のニュースやってたの見なかったか。どっかの国の亀は百五十年も生きてるらしいぞ」と言われたそうである。京蔵が言うには「わたし思ったのよね。旦那も百五十年くらい生きたいんだろうなあって。で、わたしハッキリ言ってやったのよ。旦那はどうぞ長生きしてください。その代わり私も衣裳さんも他の弟子もみんな先に死んじゃいますから、旦那はこの衣裳を独りで着るんですよって」
 微笑ましい師弟関係を窺わせるエピソードだと思われ(笑)、京蔵の許可を取った上で、ここにご披露する。

2006/01/19
茄子とほうれん草のトマトスパ
 紀伊国屋ホールで井上ひさし作『兄おとうと』を見た帰りに食事。
 私は大昔は井上さんのファンだったのに、メッセージ性があまりにも前面に出過ぎた作品が多くなり過ぎて食傷し、一時少し遠ざかっていたが、近ごろはそれがそんなに嫌にならず、日本版ブレヒトを見てるような感じになるのは、この国がだんだんと右傾化してヤバイ状況になりつつあるのと決して無縁ではあるまいと思う。大体あの岸信介の孫で、しかも本人それがご自慢らしいキケン人物安部晋三(彼の発言をしっかりチェックしてみるがよい!)を総理候補人気No1にしてしまうこの国の人びとに、私はもうすっかり愛想をつかしているのだが、きょうの芝居は皮肉にも戦前において民衆本位の立場を貫き通した吉野作造を主人公にしたものだった。
 吉野作造といえば「大正デモクラシー」を象徴する憲法学者として日本史の教科書に出てきたが、さて実際はどんな人物だったのか、私は己が不明を恥じ入るばかりで、憲法論議がふたたび盛んになってきた今日、彼のことを早わかりで知りたいと思ったのがこの作品を見た一番の動機だと正直に告白する(2003年の初演は未見で今回の再演が初見)。 
 井上戯曲は歴史的人物や事件の周辺にへー、それホント!と叫びたくなるような事実を発見し、そこから物語をスタートさせることが多く、この点だけは毎回素直に感心させられるのだが、この戯曲もまた、吉野作造の弟に官僚から大臣の地位にまで昇りつめた人物がいて、さらにこの兄弟は姉妹を娶っていたという事実の面白さに負うところが大きい。国家を「法律の網」と認識する官僚の弟に対して、その法律をも上回るのが「憲法」だと憲法学者の兄は主張する。そして「国家」を成り立たせるのは民族でも宗教でも言語でもなく「ここに共に居て、皆でよりよい生活を目指したいという人びとの意志」であり、それを明文化したのが「憲法」にほかならないという、極めて明解な吉野作造の思想が本人の文章も交えて易しく語られてゆく。現代にも十分通用しそうなその作造の思想が持て囃された直後に、普通選挙が実施されていたにもかかわらず議会が無視され、昭和の暗黒時代へと突入した歴史の恐ろしさを暗示して幕は閉じる。再演ということもあってか出演陣みな堂に入った演技で安心して見られた。主演の辻萬長もさることながら、弟役の大鷹明良とその妻役の神野三鈴は今やもう井上戯曲には欠かせないといった感じだ。

2006/01/18
ニラ卵、ザーサイ御飯
 フジテレビで見た料理。ニラ卵はニラをたっぷりと長ネギのみじん切りを加えて、トマトケチャップにナンプラーとラー油をきかせたタレで食べる。TVでは卵にたくあんのみじん切りも加えてたけど、私はカット。御飯はザーサイのみじん切りと豆板醤、切り胡麻を混ぜただけだが、簡単にできるのでこれはオススメ。

2006/01/17
カレーうどん
 QPで見たカレースープをアレンジ。豚肉を炒めて白菜と煮込み、長ネギを加えてカレー粉で味付け。カレー粉はあまりたくさん使わずに塩胡椒で味を調えるのがポイント。

2006/01/16
ぶり大根、アスパラの練り胡麻和え
 少し暖かくなったせいか、ニュースで寒くて不漁だと聞いてた鰤カマの天然物とわりあい新鮮そうなアスパラが目に付いたのでこのメニューとなった。レシピは不要だろう。大根は皮を剥かないで作ったが、そのほうが美味しくできるような気がする。

2006/01/15
鯖の粕漬け焼き、ブロッコリーと海老の炒め物、小松菜の胡麻和え、ポテトサラダ
 乗馬クラブの帰りに近所の総菜屋でゲット。
 ほぼひと月ぶりの乗馬だが、「小脳」の記憶は「海馬」のそれより長持ちするらしく、意外とスムースにいった。2鞍連続で騎乗したのでヘトヘトになったものの、久々に晴天の下でいい汗をかいて風邪の菌も吹っ飛んだ感じ。前半生は超インドア派だったのに、後半生でこんなにアウトドアライフが楽しめるようになるなんて、やっぱり人生わからないものであります。
 今日は午前中に家を出て、三軒茶屋のホームで電車を待っていたら、ベンチの隣りに座ったのがなんと津坂匡章。で、そうこうするうちに古田新太がすーっと前を通り過ぎ、それを目で追っていくと名前は知らないけどTVのCMに出ているオジサンを発見。ホームにいる大勢の人たちは彼らに全然気づいてない様子だったが、私はトリプルのおいしさに(笑)顔がにやにやしてしまった。このHPで前にも書いたように思うが、昔から出会うべき場所で会ったり見たりする有名人には別にさほどコーフンもしないのに、ふつうの人があまり気づかないくらいの有名人を町で偶然見かけると、なぜか無性に嬉しくなるというヘンなミーハー根性があります。これは小説を書くための史料を読んでいて、たまたま他人が指摘していない新史実を発見したときの喜びと似ているのかもしれません。

2006/01/14
焼き餅
 お正月用に買ったお餅をなんとか松の内に処理しようと今日のメニューになった。フライパンにベーコンを敷いて、その上にお餅、長ネギ、生椎茸、ニラをのせて酒と醤油とごま油で味付けしただけ。ちなみに多くの地方では正月七日までを松の内とするようだが、私が京都にいたころは十五日までを松の内と呼んでいて、実家は今でもそうだ。で、その実家から今日のTV出演を見たという電話が入ったが、私自身はすっかり忘れてた「芸能花舞台」である。再放送が2度もあると思うので本放送はいつも無視してしまう。で、結局なんだかんだしてるうちに再放送も再々放送も見逃してしまい、妹が送ってくれるVTRでようやく見ることができたりするのでした。
 まだ少し風邪が残っているような気がするものの、明日は何が何でも乗馬に出かけるつもり。元旦以来の運動不足が祟って、鏡を見たら顔がふくらんでいたというのもあるが、この一週間フルに仕事をしたのでちょいと気分を変えたいのである。

2006/01/13
鶏手羽スープ鍋
 寒くてくらーい13日の金曜日にQPで見た温かいスープ料理を作ってみました。鶏手羽は軽く茹でて醤油をつけてから表面に焦げ色がつくまで焼いて鍋に入れるのがポイント。出汁はコンソメを生姜とネギで香り付けして塩胡椒し醤油を薄く垂らしたものを使う。胡椒はたっぷり。ほかの具はキャベツ、キクラゲ、ワケギ、春雨。TVでは焼き豚も加えて七色スープとかいって紹介したが、それは豚足じゃなくて蛇足だろうと思い省略。

2006/01/12
ニシンと根菜の煮物
 風邪もようやく抜けた感じで、今日は久々にQPを見る気に。で、最近よく売られているソフトタイプの身欠きニシンの扱い方を説明したので、それを参考に煮物を作ってみた。まずニシンは酢と鷹の爪を入れた水で下茹でするのがポイント。余分な脂と臭みをしっかり抜き、邪魔な骨も取り除いてから煮ること。酒を多いめにして出汁を入れ、大根と里芋を加え、しばらく煮てから砂糖、醤油、味醂、塩少々で味付け。彩りにインゲンを加えた。ニシンの下ごしらえはちょっと面倒だが、いい味が出てコクのある煮物に仕上がるのでオススメしたい。

2006/01/11
油揚げの味噌焼き、アスパラの胡麻和え、しらす、むかご御飯
 食欲はまだ蘇らず斯様な献立に。「コレだけ食べられたら十分じゃないの」との声アリ。厚めの油揚げを割って中に味噌を塗り、それを焼いて白髪ネギとかつお節をのせて食べるのはオススメしたい。アスパラガスはあまりの高値でさっぱり売れないらしく、しなびてる姿を見て気の毒になり、思わず買ってしまった。ほかの野菜も軒並み高騰して手に取る人が少ない。あげく棄てられたのではナンノコッチャである。食べられてナンボの野菜たちではないか。

2006/01/10
土鍋豚白菜ラーメン、ネギ胡麻ラーメン、水餃子ほか
 世田谷パブリックシアターに野村萬斎のトーク&パフォーマンスを見に来た進藤さん、守部さんと会食。私は体調不良だったために招待状の返信を出さずに欠席しました。ふたりの話ではゲストの川崎徹のトークが面白かったとか。

2006/01/09
鮭雑煮
 キャベツスープやポトフのあとはいつもならカレーにするところだが、いまだ完全復調には至らず、今晩は年末に頂戴した築地直送の甘塩鮭と餅のお雑煮ということに。
 連日TVの報道で日本一の豪雪地域として取りあげられる新潟の津南は、去年の10月秋山郷の取材旅行の際に通過した町だったので気にしていたが、今日のニュースで、やはり秋山郷のルートが通行止めになって、500人もの人びとが雪に鎖されていると知って心配している。絶壁を伝う国道とは信じられないくらいの細い道路だったので、私はタクシーの運転手さんに、「ここは雪が降っても通れるのですか?」と訊いた覚えがある。「大丈夫、通れますよ。降るとまた絶景ですしね」と聞いたので、雪のシーズンにもう一度行ってみようと思っていたが、まさかこんなに降るとは!1月初旬でこれだと先が思いやられて、秋山郷の皆さんはさぞかし不安に違いあるまい。袖振り合うも他生の縁なれば、「平家茶屋」の小母さんや、切明リバーサイドホテルのマスターの無事を祈るばかりだ。

2006/01/08
キャベツスープ
 相変わらずワンパターンの病み上がりメニューながら、スーパーでは異常気象による青果の高騰を実感した。ともあれ、今日はなんとか外出できるまでに回復して、ほっとした次第。薬は飲まない主義だが、ビタミンC錠やらアミノ酸系サプリやら生姜湯やらお茶をやたらに飲みまくり、ひたすら寝て、今のところこじらせずに済んではいるものの、まだ少し悪寒が残るので油断はならない。風邪の初期にはフリーランスの特権を存分に発揮して無理をしないようにしており、こんども歌舞伎座の襲名興行で義理を欠いたが、病気になったら誰にも助けてもらえない仕事なので、まあ勘弁して戴きたいものです。

2006/01/07
お粥
 七草粥ではない。ただのお粥である。これでもまだ食べられるようになっただけマシというべきか。昼間はぐったりしてずっと寝ていた。今ごろ寝正月とはなんともマヌケな話で、新聞連載に早くも暗雲が漂いはじめた感じ(--;

2006/01/06
絶食
 昨夜寒い中を出かけたのが祟ったらしく、朝から頭痛と悪寒と吐き下しが続いて完璧に風邪である。明日は歌舞伎座に出かけるつもりでチケットを買っていたが、この分だとどうやら無理そうなので、同行の大島さんにお断りをした次第。
 暮れに幻冬舎のヒメが同じような風邪に苦しんだ話を聞いていたから早速問い合わせてみたところ、初期症状がよく似ていて、ヒメの場合いまだ完治せずという話にぞっとした。仕事はどうなるの……。

2006/01/05
墨イカの刺身ほか
 日本橋劇場で桂小米朝の独演会を聞いて、帰りに岡本螢と食事。
 去年ひょんなことで岡本螢と連絡を取り、江戸落語には非常に詳しい彼女を上方落語の会に誘ってみた。この会自体は親友の大島さんが仕切っており、岡野夫妻の姿も見えたが、岡本さんとは15年ぶりの再会とあって、ふたりだけで彼女の縄張りに行って食事をした次第。もともと日本橋生まれの彼女は郊外の練馬辺に長く住んでいたが、4年前に古巣に転居したそうである。この15年間お互いどこで何をしてたのかはほとんど知らなかったが、思えばお互い最初の海外旅行をした相手!だということでもわかるように、一時は大の親友だったのである。彼女は知り合った当初からテアトルエコーに江戸物の戯曲を発表していた物書き志望の女性で、こちらは松竹の企画芸文プロデューサーとして物書きを育てたい志向が強く、まさか後年お互い物書き同士で再会するとは夢にも想わなかった。で、今や私より3才年下の彼女は宮崎アニメ『想い出ぽろぽろ』の原作者として悠々自適の印税生活に突入しており、「私はもうラク隠居したけど、あなたはまだまだ頑張らなくちゃダメよ」と発破をかけるのだから(笑)、ホント人生何が起きるかわかりません。
私の作品を勝手にいろいろと読んでいたのにもビックリしたが、去年たまたま私も昔からよく知っている文芸兼演劇評論家のO氏とTさんと、彼女の小学生時代からの親友で現クロワッサン副編の船山さんと会って、私のことが話題になったらしく、Tさんの私に対する批評をなんだかえらく怒っていて、肝腎の批評の内容を完全にすっ飛ばして話をするから私には何がなんだかさっぱりわからないのに、独り合点で話を進めて憤激するあたりが相変わらずの江戸っこで実におかしかった。昔なら当然その話し合いの中には私がいて、むしろO氏やTさんと一緒に岡本さんのことを話題するという形のはずだったから、私としてはこの間の身の変転を改めて思い知らされ、ちょっと不思議な気分になったものである。で、岡本さんはどうやらふたりと話し合った結果「松井さんにとって昔から何より重いのは『事実』なんだよね。だからこそあなたは歌舞伎みたいなばかばかしいフィクションでも愛せる人なのに、それをいまだに誰も理解できてないんだなあって思った」という結論に達したらしいのだが、その評言には私自身ギクッとさせられた。これは自分でも気づかなかったことで、さすがにかつての知己で且つ物書きだけのことはあると思ったのです。

2006/01/04
オイル焼き
友人とわが家で会食。

2006/01/03
かぶら蒸しほか
 三が日で食べるものはまだあるにもかかわらず、この寒さでとにかく温かいものが食べたくなり、早くも料理心が疼いて、かぶら蒸しを作ってしまいました。時間にゆとりがあると蕪が丁寧にすれるので、前に作った時より美味しくできて大満足。中の具はシンプルに鱈と椎茸。

2006/01/02
おせちの残りほか
 アジアンな『里見八犬伝』を見ながら食事。

2006/01/01
「川上」のおせち、白みそのお雑煮
 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

2005/12/31
きりたんぽ鍋、はたはた味噌漬け、筑前煮ほか
 例年通りのメンバーで年越し。

2005/12/30
味噌カツ弁当、ブロッコリーのサラダ
 近所の総菜屋でゲット。
 昨日は久々に中村京蔵に会ったので帰宅が遅くなり、帰ったらこれまた「ミセス」副編の福光さんから久々に電話があって、深夜2時過ぎまでいろいろと話を聞いていて、寝たのは朝の4時だった。年末の忙しいさなかに私もやることがバカである。で、今朝も早から大掃除でヘトヘト。無事に年越しができるかどうかビミョー。

2005/12/29
海老チリソース、おこげほか
 尾上松助さんのお通夜で中村京蔵に会って上野で食事。
 松助さんがこんなに早く亡くなるなんて思いも寄らなかった。脇役として貴重な人材であり、且つ指導者としても優れた方だっただけに歌舞伎界にとっても大打撃だろうと思う。お具合がかなり悪いことは聞いていたので、演舞場の最期の舞台を拝見したが、朗々たる名調子は今も耳に残っている。
 知り合ったのは近松座で、私が『けいせい仏の原』の脚本を書き、それに出演していただいたのが最初だったと思う。武智先生没後に私が演出を兼ねるようになってからは、とても協力的でこちらが助けてもらった役者さんだった。
 『冥途の飛脚』の八右衛門を初役でなさったときは、根が江戸っ子だから馴れない関西イントネーションに大変苦労された。で、稽古が済んでからも私に指導を頼まれ、ベテランの役者さんなのに、せりふを何度も言い直して私に聞かせる真摯な姿勢に胸を打たれ、こちらもとことんお付き合いして、かなり完璧に近く関西イントネーションをマスターなさった時点で初日を迎えた。が、それをあまり気にし過ぎたせいかもしれない、あれだけ完全にせりふを憶えていたはずの方が本番で絶句され、舞台に大きな穴が開いたときは、客席で見ていたこちらも頭が真っ白になった。終演後に楽屋を訪ね、すっかり落ち込んでいる松助さんに、どう声をかけてあげたらいいのか困ったのを想いだす。躰が大きいし、メリハリのある役どころだったから、よくご存知ない方は大ざっぱな人柄だったように思われたかもしれないが、本当は小心なくらいに真面目な方だったのである。
 心よりご冥福を申し上げたい。

2005/12/28
肉まん、海老まん、黒胡麻まん、アスパラとビーンズのサラダ
 福引き第2弾(意味がわからない方は12/22をお読みください)。
 いよいよ大掃除モードに突入だが、何だかついこの間やったばっかりのような気がするのは私だけだろうか。一年たつのが今年は異常に早かった。こう感じるのはどうも歳をとったせいばかりでもないようで、私の娘くらいの年齢とおぼしき美容師さんも、今年はとても早かったと仰言るし、妹の話だと中学生の甥っ子でさえ一年たつのが早いとボヤくそうである。原因はたぶん皆がそれぞれに忙しくなってるからだろうが、とにかく老いも若きも全速力で人類滅亡に向かって突っ走ってるような不気味さを感じてしまう。
 ともあれ今年の私は大殺界で天中殺で0地点という(笑)、東洋系占術だと12年に一度の最悪の年回りだったから、なんとか無事に終えることができそうでホッとしている。
 思えば12年前は歌舞伎のCD-ROMを作る仕事に取りかかって本当にトラブル続きの大変な年となった。それによるトラブルが尾を引いて、徐々に歌舞伎の仕事や人間関係から心が離れてしまい、今日に至っている。それにしても、当時はまさか自分が12年後に小説を書いてメシを喰ってるなんて夢にも想わなかった。次の12年後は生きてるかどうかもわからないけれど、この12年間の心境や身のまわりの激変、さらに激しい世の移ろいを思うにつけ、まあ、何があってもおかしくはないと肚は括っている。

2005/12/27
鮎の甘露煮、レンコンのきんぴら、むかご御飯
 年の瀬は晩ご飯の献立も冷蔵庫整理モードに突入して、なんだか私らしからぬジミーな食卓になってしまった。鮎の甘露煮は某社から頂戴したお歳暮のひとつ。レンコン、むかごは整理品。

2005/12/26
アボガドと海老の春巻、鴨肉チャーハンほか
 幻冬舎のヒメこと木原さんと近所で会食。
 ヒメの郷里は新潟で、例の大停電のためにご両親は家の中で防寒コートを着て過ごされたそうである。山形の列車転覆事故といい、裏日本の天候はこの東京にいると想像もつかない荒れようであるのは確からしい。で、昨日は甥っ子が熱海から京都までの新幹線に乗って、車中から眺めた富士の積雪が少ないことに驚いたそうで、妹のメールに地震が心配だとあった。
 地球がどんどん狂い始めてる感じで、いくら今年から日本の人口が減り始めて大変なことになるなんていわれても、こんな時代に子どもを産む勇気はなかなか持てないというヒメの発言には、こちらとしても「まあ、そうでしょうねえ」というしかない。一方で、こんなに子どもが殺されたニュースばかり耳にした年も今まで無かったような気がするし、なんだか色んなことの悪循環で、子どもを産む不安は増大の一途をたどりつつある。ペットの亀でもメスは環境に少しでも不安があると産卵はしないそうで、それが生物界のオキテというもんだと私は思います。

2005/12/26
鮭とブロッコリーのクリームパスタ
 スーパーのパンフで見た料理。ブロッコリーとしめじをバターとオリーブ油で少し炒めてから白ワインと鮭を入れ、最後にクリームを加えて塩胡椒で調味。鮭は塩胡椒で下味しておくこと。
 いやー悲惨なクリスマスでした(--;
 執筆がわりあい順調に進んで、年末年始は楽勝で迎えられるはずだったのに、シマッタと気づいたのは22日の真夜中で、こういうことがあるから時代小説はコワイとつくづく思った次第。
作品に実在の人物を出すときは事前にかなり詳しい年譜を作って、それを完全に頭に入れて書きだすわけだが、書いている最中はもちろん年譜と首っ引きというわけではなくて、人物が勝手に動いてくれるに任せて筆を進める。で、人物が動きだすと一年くらいはあっという間にたってしまうから、時として年譜と狂いが生じてしまう。フィクションだからそう厳密にならなくてもいい場合と、ここだけは絶対に外せないという場合があって、今回新聞連載を開始した十返舎一九が主人公の『そろそろ旅に』において、その絶対外してはならない齟齬に気づき、大慌てで書き直すはめになったのである。幸い少し書き溜めがしてあるので、入稿にトラブルを来すようなことはないとはいえ、久々にイヤー焦った焦ったの一幕でした。 
 話には聞いていたが、新聞連載は本当に大変である。なにせ一回分が2枚半という短さだから、書き方が根底から違う気がして、それだけでもノイローゼになりそうで、今回のような滅多にないミスを犯しそうになったのだろう。事前に気づいたからよかったようなものの、新聞連載時は出版社で上梓する際のような厳密な校閲も経ないため、この手の伝記物の場合は作者の責任重大で、どっと憂鬱になってしまったクリスマスでした。が、幸いまあ今日でなんとか片が付いたので、無事に大掃除をしてお正月が迎えられそうです。

2005/12/24
カレー
昨日の残りをカレーに。

2005/12/23
ポトフ
中身はジャガイモ、蕪、人参、セロリ、ブロッコリー、玉ねぎ、ベーコン、ソーセージ

2005/12/22
肉まん、海老まん、黒胡麻まん、アスパラとビーンズのサラダ
 前に三茶商店街の福引きで1500円分の商品券が当たった(笑)ので、今晩はそれ使って「包包」でゲット。
 今日の夕方は京都新聞の野瀬さんがこの大雪を押して取材に来られた。新幹線が1時間半遅れたそうである。
 拙作『そろそろ旅に』がいよいよ各地方新聞で連載開始となり、早いところでは年内に始まるが、京都新聞は正月の12日からだという話で、今日はそれについてのインタビューを受けた次第だ。
 こういってはなんだが、地元紙に載るというのは旧い知り合いに見られる恐れが多々あるわけなので、それを思うとぞっとしてしまう。ああ、こんなに長く小説書きを続けるんだったら、なんでペンネームにしとかなかったんだろう……と今さら悔やんでも遅いのである。「他人に知られるのってどうも苦手なんですよね」と野瀬さんに言ったら「今さら何を言うたはるんですか」と笑われてしまった。当たり前か。
 一応は売名の職業に就いているわけだから、もちろん多くの他人様に知られることを望まなくてはいけないわけだし、経済的な観点ではそれを全く望んでいないわけでもないが、自分の書いたものが私個人と結びつけられることにはいまだに抵抗があって、できれば関係ないことにしておきたい気持ちが非常に強い。だから自分の書いた本や、載ってる雑誌や何かは決して中を開けて見ないようにしている。
 よく自分の作品は自分が産んだ子どものようなものだという人がいるが、なら子ども産めよ!と言いたいくらいで、そこまでベタベタした感情は到底持てない。といって別に淡泊に仕事をしてるわけでもなく、書いてるあいだは本人も異常に盛り上がっていて、ゲラのやりとりも熱心だし、装丁や帯にも強い関心を持ってるのだが、見本が刷り上がってわが家に届けられた段階で情熱は尽きてしまうのだった。
 涙を流しながら産卵する海亀の映像はよく母性愛の象徴のようにして紹介されるが、あんなアホな話はないのであって、そもそも海亀は卵を抱えているあいだに全く食事ができないから(甲羅はほかの動物の皮のように広がらないからです)産み終わったとたん餌を探しに物凄い勢いで海に飛び込んでしまう。つまりは完全な産み捨て状態なのである。私もあの感じに近くて、産みの苦しみから介抱されると、それまで読めなかった本や次の仕事の資料などをガツガツと貪って、自分が産んだ亀ならぬ本がその後どこの海で泳いでいようが知ったこっちゃないという気になる。作家の中には私と同じような感覚をお持ちの方が結構たくさんおられるのではないかと思う。
 書いてるあいだはその「世界」で生きる楽しさがあって、RPGに熱中する感覚に近いが、キャラも背景画もアイテムも全部自前なのだから、こんなに骨が折れて、且つ面白くて安上がりなRPGはほかにないだろう。精神的な労働時間を考えれば決して経済的にペイする仕事とは言えないけれど、これほど贅沢な快楽は他にないように思うから、私はこうして長々と作家をやるはめになったわけであります(笑)。
 久々にお会いした野瀬さんの話を聞くと、今の加熱した京都ブームについて、地元の方はやはりそれなりに考えるところがあるのだと改めて思った。「まるでテーマパークですよね」と私が言ったら全くその通り!と応えられ、近ごろ流行りの町家カフェなるものについて眉をひそめられ、「そうだ日本には京都があった」などというコピーを聞くと恥ずかしくてたまらなくなるとのこと。ふつう京都人だったらそうだよなあと私は思うが、観光を全面に押し出して金儲けに走るようになった京都にもう後戻りはできないから、恥ずかしくても地元の方は堪えて頂くしかないのである。
  もともと京都人は大変にプライドが高くて、武士は喰わねど以上に金が無くてケチケチしても(は、どうかと思うが)魂は売らないという職人気質の町だったのに、観光という人にサービスして金をもらう方向に転じた今では、妙にものわかりのいい人が増えて、その分、敷居は低くなったが、面白みは失せたであろうと思う。これはまあ、何についても言えることで、たとえば人間でも、誰から見ても気楽に付き合えるような人が面白かったためしはないのである。ゲームにしろ、人間にしろ、町にしろ、厄介だからこそ、なかなか攻略できないからこそ面白いのであって、それをなんでもかんでも簡単にわかりやすくしたほうが人は幸せになれると考えるのは、人間の本質をどこかで捉えそこなったとしかいいようがない。実はそこにこそ現代人が抱える病の根源があるように、近ごろ私は何を見ても感じるようになった。この点についてはいずれまた日を改めて書こうと思う。

2005/12/21
豆腐と鶏挽肉の香味野菜蒸し
 QPで見た料理。土鍋だけで簡単に作れるので忙しい年末にはオススメ。土鍋に昆布を敷き、水と豆腐を入れて、生姜汁とネギのみじん切りを混ぜ込んで塩味をつけた鶏挽肉を載せ、その上にさらにネギの薄切りとザーサイの千切り、エノキダケ、セリを混ぜ合わせて塩とごま油で味付けしたものをかぶせて火にかける。最初は強火で、沸騰してから弱火にしてじっくりと煮込む。ポン酢をかけて食す。

2005/12/20
鶏手羽元と大根と大豆の煮込み
 QPで見た料理。大根は皮付きのまま乱切りにして大豆と一緒に下茹でする。手羽元は酒と醤油にしっかり漬け込んで、ニンニクを入れたごま油で焦げ目がつくまで火を通してから大根と合わせ、砂糖、醤油を加えてじっくり煮込む。
 乗馬で夏から左腕を痛めてジムのマッサージや整形外科や整体やカイロプラティックやいろいろやったけど完治せずに一進一退を繰り返し、これはもう原点に帰るべきかと考えて、秋が深まったころに近所の整骨院に飛び込んでみた。昭和30年代の建物をそのまま使ってるようなレトロな医院で、最初に入ったときは患者がほかに誰もおらず、先生は綾田俊樹ふうの人物でなんだか怪しげだったが、意外とここの治療が一番効き目があったので、その後も乗馬に行く前後に必ず寄ってテーピングやマッサージをお願いしている。
 患者さんが全くいなかったのは最初の日だけで、その後は何人か見かけるが、近ごろ流行りのマッサージ屋に集まる人たちとは皆さんひと味違っている。若い患者は話を聞いていると今度ラグビーの試合に出るとかなんとかいってて、見るからに躰のゴツイ体育会系の男子ばかりである。地元商店街の中高年層も何人か来ていて、先生と話してる雰囲気がこれまた昭和30年代ふうの実に呑気な感じで、ここに行くと私はなんだか「三丁目の夕日」の世界に浸れて、それで結構気に入ってしまったということもある。
 で、今日もひとりの患者さんの話を聞くともなしに聞いていたのだが、この方は声も話し方も懐かしの東八郎そっくりで、たぶん下町っ子なのだろう。三軒茶屋は戦前戦後を通じて下町から移住してきた人が沢山いる町なのである。
 「あのね、先生、俺の弟はね、一月一日、そう、元旦の生まれなんだよね、いや、ホント」とその三茶の東八郎さんは話し始めた。「でね、病気して入院したらね、担当の看護婦さんがこれまた偶然元旦の生まれだったのよ。で、さあ、ふたり気が合っちゃってね、結婚したのよ」
 ああ、もう、おめでたい、としか申し上げようのない話でありました(^-^)

2005/12/19
メカジキとネギの和風炒め
 QPで見た料理。ぶつ切りしたネギを甘みが出るまでじくりと炒め、これにシメジを加える。酒と醤油で下味したメカジキを炒め合わせて、酒、醤油、味醂、柚の絞り汁を併せたタレで味付けする。最後に柚の皮をすり下ろしてトッピング。

2005/12/18
豚鍋
 日本上空にマイナス40度の寒気団が押し寄せてきたそうで、今朝はさすがに寒かったが、昔の冬は例年大体こんな感じだった。それに底冷えする京都で暗いうちから剣道の寒稽古をしてたし、お正月に比叡山の延暦寺にお詣りしたこともあったではないか。などと自分に言い聞かせて今日もまたクラブに出かけた私です(笑)。文字通り雲ひとつない青天の下、はるか遠くに富士のシルエットを望みながらの乗馬はやはりなかなか気持ちのいいもので、年末だというのにクラブは今日も大盛況でした。


2005/12/17
トマトとソーセージのニョッキ、ツナとアスパラとビーンズのサラダ
 今朝とうとう島崎夫人の訃報を受けた。お亡くなりになったのは十日以上も前だったが、ご遺言により、ごくわずかのお身内だけで荼毘に付されたそうである。生前きわめて社交的な方だったから、報せるとキリがないと思われたのだろう。奥様らしい始末のつけようである。
 私は十月に病院からお電話を戴いたのがお話をした最後となった。膵臓の深いところの癌だから手術ができず、年内もつだろうかと医者に訊いたら、何も答えてくれなかったとのことで「今朝子さんねえ、私も90年生きてきたんだから、もう十分だとは思うのよ。でもねえ、アハハ、やっぱり死ぬのはいやよ」と乾いた口調で淡々と語られたのが実に印象的だ。
 島崎夫人についてはこのHPでも何度か触れているが、思えばお付き合いさせて戴いて30年以上になる。もとは京都祇園の実家「川上」のお客様だったというだけなのに、よく可愛がって戴いて、ホテルオークラで何度もご馳走になった。年齢が四十も違うのに妙に話が合って、カメリアやテラスで何時間も一緒に過ごさせて戴いた。その間、次から次へと有名人が挨拶にあらわれるのに驚いたものだが、それは単にかの名優志村喬のご夫人だからというのではなく、個人としても非常に魅力的な方だったからなのは、私ごときが言うまでもあるまい。
 志村喬氏は意外にも戦前は左翼系の演劇人で、官憲に逮捕された経験がおありになって、そのときの恐怖の体験を一度お聞かせ戴いたことがあったが、やはり腹のすわり方が今どきの女性とは違っていた気がする。
 お生まれが関西なので関西訛りがあって、実にあけっぴろげになんでもズケズケ仰言る方で、拙著『奴の小万と呼ばれた女』の冒頭とラストを飾るお婆さんは島崎夫人がモデルである。夫人もこの作品を気に入ってくださって、私のほかの作品も全部読んでいろいろとご批評を賜ったものだ。
 女性で年を取ってもステキな人はいるが、カッコイイと思わせる人はなかなかいないもので、私にとって島崎夫人はカッコイイと思えた唯一人の女性であった。
 カッコイイの概念にはどこか自己保身を拒むニュアンスがある。本来子どもを産む性であるメスは生物として自己保身が使命だから、なかなかカッコイイにはなれないのだと私は常々思っている。島崎夫人にはお子様がなくて、それがカッコイイにつながっていたのかもしれない。志村喬氏とは絵に描いたようなおしどり夫婦で、先立たれたときは何年か鬱状態にも陥られたほどだが、それでいていわゆる女性らしさは全然なくて、むしろダンディズムとでもいうべき美意識を強く感じさせた方だった。私はいつもそのお姿を見て、ああ、年を取ったらこんなお婆さんになりたいと憧れていた。昔の武士の着流し姿に近い独特の着物の着方をなさっていて、着物道楽で一年に何着も誂えられて色はほぼすべて鼠系で統一をなさっていた。今どきの人は鼠色が地味だと思うかも知れないけれど、江戸時代には鼠系が最も贅沢で派手な色とされていて、そうした古き美学を言葉でなく自身で体現なされた最後の方ともいえる。
 私はこの前NHKの「芸能花舞台」に初めて着物を着て出演したが、それは夫人から頂戴した着物で、ぱっと見には地味だがモニターには派手に映り、スタイリストから「本当にいいお着物ですねえ」と褒められた。思えば形見となった着物である。来年1月の放映をご覧頂きたくて着たのだが、ついに間に合わなかったのが残念である。そして実に淋しい。ふしぎと涙は出ないのに、わーっと声をあげて泣きだしたいような気持ちだ。心よりご冥福をお祈り申し上げたい。

2005/12/16
小籠包ほか
 文春の内山さんにお誘いを受けて東京芸術劇場でロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの『夏の夜の夢』を見た帰りに池袋で食事。
 RSCの『夏の夜の夢』といえば私の世代だとピーター・ブルック演出が真っ先に想い浮かぶが、今回のグレゴリー・ドーラン演出はそれとは180度ちがった。要は「何もない空間」で上演されたP.B.のミニマリズム的演出と趣きを大きく異にして、衣裳や道具、照明を駆使しながらありとあらゆる設定を事細かに盛り込み、部分的にミュージカル仕立てにもして不統一感をを剥きだしにしたドーランの演出はどこか日本の小劇場的でもある。P.B.はやはりモダニズムの掉尾を飾る人であり、こちらは完全なポストモダンとでもいうべきかもしれない。この演出では何よりも妖精たちの世界と人間世界が同一空間にありながらけっして交わらないことが際立っているが、それは戸外と室内という設定をシンボリックな道具で意外とリアルに見せたことが大きいように思う。たとえば例のボトムたちの職人がたむろする空間には小さな電球が点灯されたり、消されたりして、はっきりと室内をイメージさせるが、思えば私は今まで彼らが芝居の稽古に寄り集まる空間がどんなところなのかを考えたこともなく、シェイクスピアの原作自体、特定の場所を設定するようなものではなかったはずだ。
 職人たちはイギリスの労働者階級を想わせる服装で、二組の(ハーミアやライサンダーたち)カップルは中上流階級のそれで、役者も今どきのソープドラマに出てくる若い子といった感じ。そして妖精たちは皆パンクロックのスタイルで現代化されている。空間もまた『キャッツ』を彷彿とさせる廃墟やバッキンガム宮殿の中を想わせる室内、労働者のたむろするダウンステアーを点々とするが、可動式の装置でなくシンボリックな背景と照明だけで表現され、ことにオープニングは月面を想わせる幻想的な光景が実に美しかった。とにかく歌あり踊りあり、宙乗りありのキッチュな演出で飽きさせることなく、これはこれで面白く見ることができた。

2005/12/15
蟹、餃子、牡蠣蟹玉雑炊
 今日は新聞連載の年内入稿分を仕上げるために朝から大変で、とても料理にまで気がまわらず、餃子はスーパーの前で実演販売してたのをゲット。雑炊は昨日の鍋の残りに牡蠣と蟹と卵を入れて作るという超手抜き晩ご飯である。で、無事に入稿を果たして、バンザーイ!明日はちょっとラクができます。しかしどんなに仕事が忙しくても、御飯も食べる暇がないという目には幸いまだ遭ったことがありません。というか、人間はそもそも喰うために仕事をするのであって、本末転倒は許されないのであります(笑)。

2005/12/14
タラちり
 寒いのと、簡単なのでコレ。

2005/12/14
蛸のカルパチョ、虎フグの握りほか
 シアター・コクーンで野田マップの『贋作・罪と罰』を観た帰りに萩尾望都さんとその姪御さんと近所で食事。劇場ではたいてい誰かと出会うが今日は入り口で望都さんとバッタリ。で、終わったらご一緒にとお誘いを受け、姪御さんにもお会いした。姪御さんはお顔がやはり望都さんとよく似ていて、スタイル抜群、見るからに育ちのいい、とても素敵なお嬢さんである。私がたまたまきのう見た『えびボクサー』の話をしたら、「ご存知ですか?日本でそれに便乗して『イカ・レスラー』という映画を作ったの」と言われて大笑い。ご友人が私の行ってる乗馬クラブ会員だったりしたこともあって、何かと歓談しながらの会食を楽しませて戴いた。
 で、肝腎の芝居の話。『贋作・罪と罰』は初演を見た友人間で評判が悪く、あまり期待しなかったせいもあるが、私は意外と面白く見た。で、初演を見た望都さんに話を訊くと、やはり今度の再演のほうがテンポアップされ、話がわかりやすく整理されていて面白いとのこと。また初演の大竹しのぶは松たか子と比べるとやはり巧かったなあとは思うけれど、松たか子のほうが何か心にぐっとくる瞬間はあったという話であった。
 私は初演を見逃しているのでなんともいえないが、今回は何よりもキャスティングが非常によかったのではないかと思う。その分、ごく普通の、つまりはウエルメイドな芝居としてそれぞれの人物がくっきりと立ちあがっていて、今日的な切実さをもってこちらに迫るものがあった。人が殺人を犯すとはどういうことなのか、殺人者の胸のうちはどうなっているのか。現在は初演時と違って、誰しもが日常的にそのことを考えずにはいられない時代である。野田秀樹は恐らく受け取り手の変化を見すえて、戯曲に多少の手直しを加えたのであろう。ラストにいささか人情劇風な傾斜が見られるのは、野田戯曲本来のあり方からいってどうかとは思うけれど、松たか子にしろ古田新太にしろ段田安則にしろ、役者陣がそう演じることによって、この戯曲本来の観念的な甘さは逆に払拭されたのではないか。演出は呆れるほどチャチいのだが、それもまた戯曲のシンプルな構造を見せつけて、よく解釈すればわかりやすさにつながっている。客席に泣いている観客の姿がたくさん目につき、これはこれで芝居の上演としては成功の部類なのだろうと思う。
 ストーリーはなにせドストエフスキーの原作を幕末物に仕立てたものだからある意味で実にわかりやすい。松たか子扮する主人公は「革命」を志す「思想」に殉じて「金」のために殺人を犯すという人間としての一線を踏み越えてしまう女であり、古田新太が演じるのはそうした貧しい「思想」に背を向けて「革命」もまた「金」で買うことが人を豊かにする道だと捉える男である。最後にふたりは対峙して、主人公は戦争や何かでどんどんと人が殺されていく現実の中で自分がしたことはちっとも悪いことだと思わないと絶叫した直後、人間として越えられない壁に突き当たって嘔吐を催したように虚脱する。ヒステリックに絶叫して自己を正当化しようとする松たか子の演技には妙に今日的なリアリティが感じられ、この女優の真骨頂を見せられた気がした。いっぽうの古田新太はとぼけた味わいの中に女を包み込む器の大きさを感じさせたところが魅力的で、望都さんはこれですっかり古田ファンになってしまったということです。

2005/12/12
豆腐とほうれん草の蟹あんかけ
 QPで見た胃にやさしい料理。味醂と塩で味付けしただし汁で豆腐を煮て、茹でたほうれん草と蟹のほぐし身、ネギの薄切りを加え、醤油で香りづけして水溶きカタクリでとろみをつけ、仕上げに生姜汁をしぼる。最初の段階で出汁に薄くとろみをつけておくのが豆腐に巣を立てないようにするコツ。
 スカパーで蟹ならぬ「えびボクサー」という超B級シネマを見ながら食事。この作品をだれかご覧になった方があるだろうか?あまりの珍品で目が離せなくなって見てしまったが、どういう観客を対象に製作されたのかがナゾ。海で巨大なエビをつかまえた男がそのエビをボクサーに仕込んでTVに売り込むまでに、だんだんとエビに愛情を覚えていくというようなストーリーなのだが、なんたってアナタ、相手はエビ!である。結構リアルに作られていて、触覚を動かしたりズルズルボコボコというような音を出したりする生き物に男が保湿クリームを塗り込んで妙にエロチックな場面が展開するのであります(主演男優はたしか「MrレディーMrマダム」の主役をやってたひと)。こういう手のヘンタイっているんだ……と、いささか唖然としてしまった映画でした。

2005/12/11
鶏肉団子鍋
 東武動物公園にある乗馬クラブは都心より確実に気温が1,2度低めで、馬に乗ってるとポカポカしてても、駅で待つ間にすっかり冷えてしまい、今宵は鍋で躰を温めたというわけである。
 電車に乗る時間は小旅行並みにあるから、いつもは本を持参するが、今日は忘れたので車内の人をそれとなく観察。車内は世間の縮図というべきか、いつも本当に色んな人が乗っていて、時にふしぎな光景を目にする。
  今日とても気になったのは、ちょうど目の前のシートに座った中年の女性で、半透明のビニール袋から新聞を取りだして読んでいるのだが、それが1紙や2紙ではない。スポーツ紙も含め駅売りしてるほぼ全紙とおぼしき新聞を次から次へと取りだして、いずれも同じ記事に目を通すのである。その記事は一面と三面の両方に載った昨日の京都女子殺害事件で、女性は一見ごくふつうの主婦に見えた。あるいは教育関係者だったのかもしれない。異常な行動だが別に病的な感じではなくて、あきらかに堅気のひとで、マスコミ人には見えなかった。子どもを持つ女性なのはまちがいないと思えた。年齢的には被害者の少女ではなく、加害者の塾講師の母親の世代である。
 事件の舞台となった塾「京進」の系列校に甥が通っていたので、今朝は妹からも「他人事ではありません。一体誰を信じればいいの……」というメール来ていた。わが子を持つと、他人に殺されないか、他人様を殺さないかの両方が心配になるという妹の愚痴は、世の多くの母親が思うところかもしれない。それにしても、こういう世の中に育つ子どもが今後どうなってゆくのかを想像すると、暗澹とした気持ちになるのはわが子を持たない身とて同様である。

2005/12/10
揚げ肉団子のマヨソース和え、むかご御飯
 QPで前に見た料理。挽肉を使わず、豚の細切れをにんにくのすり下ろし、紹興酒、醤油、ごま油で下味して片栗粉をつなぎに団子に固めて中温の油で揚げる。これをマヨネーズ、ケチャップ、紹興酒、蜂蜜、レモン汁を合わせたソースにからめれば出来上がり。結構いい年をして、よくまあこんな高カロリーの献立を!と誰かサンがまた呆れて文句を言ってきそうだが、人が何を食べようと放っといてほしい(笑)。むかご御飯は前にやったのでレシピ省略。
 スカパーの全チャンネル見放題のお試し期間は昨日の真夜中に団鬼六原作・石井隆監督・杉本彩主演の『花と蛇』を見たのが最後で敢えなく終了してしまい、今日はほかに見るものがないので仕方なく歌舞伎Chで『菅原伝授手習鑑』の「車引」を見ながら食事をした。
 思えば私は自分で小遣いをはたいて歌舞伎を見始めてから早や四十年以上になるので、今の若手が古典演目に挑戦すると、こちらは早や三代に渡って見てしまうことになる。今の勘三郎や三津五郎が若手で売りだしていたときでさえ「この人たちもまだまだお子チャマ歌舞伎だわねえ」なんて生意気を言ってた口だから、イマイマの若手にはもう何をか言わんやの心境で、ここんとこ舞台をロクに見てもいなかったのである。で、今日TVの映像で勘太郎・七之助兄弟の梅王丸・桜丸、海老蔵の松王丸を見て、いずれもカタチはまずまずだが、こんな代表的な型物の演目でありながら、セリフをあまりにもいい加減に、自分勝手に言ってるので、ちょっとビックリしてしまった。勘太郎はまだましだが、七之助はたぶん息継ぎの仕方をまちがえているのだろう、苦しそうな尻下がりのセリフまわしで間(ま)がコケてしまう。海老蔵はたとえば最後のほうの「梅も桜も落花微塵」というセリフで「らあ〜〜〜〜〜〜〜〜か〜〜〜〜〜〜み〜〜〜じ〜〜ん」なんて「勧進帳」まがいの言い方をするが、親父さんは発声に難がある人とはいえ、絶対にこんな風に教えたはずはないと断言できる。
 歌舞伎はそもそも古典主義的な芸能では決してない。代々の役者が古くさい演目の中でむしろ自らの個性を強く発揮し、新たな演技を次々に開発してきたからこそ、今日まで生き延びたのである。しかしそうはいっても、日本語を正しく伝えるという根本がなおざりにされたセリフまわしを認めるわけにはいかない。「落花微塵」というセリフは息の鋭さでまさに花がパッと散るイメージを彷彿とさせてこそニュアンスが伝わるのであって、それを崩したら型物を伝承する意味は全くない。
 あんなむちゃくちゃなセリフまわしをだれも注意しないのだろうか?Mr.タモツはあんなの聞いて黙ってるのか!いや、いくら批判しても当人が耳を貸さなければ所詮ムダなんだろうなあ……。S社のオカザキ氏は歌舞伎の型が急速に崩れていく現状を一体どう見てるのか!まあ、どうせ世の中むちゃくちゃだからどうでもいいわけか……などと、つい余計なことを考えてるうちにだんだん胃が重たくなってきて、ああ、やっぱり食事時に歌舞伎Chなんか見なければよかったと思った次第であります(笑)。

2005/12/9

渋谷で友人と食事。

2005/12/08
中華前菜、黄ニラと鶏肉の炒め物、フカヒレスープ、海老団子ほか
 縁がある人とか、縁の無い人とかいう言い方を日本人は昔よくしたものだが、翻訳するには難しいこの言葉でしか表現できない出会いは確かに存在する。
  私が安部譲二さんのお名前を知ったのは、朝日新聞の鶴見俊輔氏の書評で、すぐに『塀の中の懲りない面々』続けて『塀の中のプレイボール』を読んで、一度この人に会ってみたいなあと、そのときは漠然と思っていた。小説もさることながら麻布中、慶応高、英国のハイスクール、日航のパーサーを経た上に、どういうわけか本物のヤクザとなって長いムショ暮らし、三島由紀夫の『複雑な彼』のモデル(パーサー時代の話)にもなったこの方の経歴はあまりにも面白いという点が心惹かれた大きな理由でもあった。で、早くから人生で一度は会ってみたい人物のひとりに挙げていたのだが、当時は演劇界に身を置いて、まさか自分が小説を書くようになるとは思ってもみなかったので、ご縁が生じる機会はまずないとみていた。ところがどっこい、人生は何が起きるかわからないものです。
 あるとき角川事務所の原重役に「正直いって今の時代に会いたいと思うような作家は皆無に近いけど、唯一の例外が安部さんかなあ」と洩らしたところ、同社の村松さんが安部さんの担当なので「こんど機会があれば村松のほうから松井さんの話を安部さんに伝えてもらいますね」といわれて、そこから今日の素晴らしい会食につながったのだから、人間だれか会いたい人がいればとにかく周囲に「会いたい、会いたい」と叫び続けるべし!と私は皆様に申し上げたい。
 で、実際にお会いして、やはり安部さんとはご縁があって、会うべくしてお会いした方だという気がした。安部さんはなんとご自身が二十代のころ、昭和30年代に武智鉄二師の強い影響下にあった方で、私が全く知らなかった武智師の一面をよくご存知だったのである。逮捕歴41回でベストセラー作家になられたご自身とてもユニークな人生経験の持ち主だし、また多くのスゴイ人物をご存知のはずなのだが、その方をして「あれは驚くべきオヤジだった」と言わしめた武智師の知られざるエピソードは残念ながらここには書けない(出会い方そのものがスゴイのですが)。ただ安部さんの言葉を借りれば、武智師が一生を貫き通したのは「自由と反権力と世間の常識にとらわれないこと」であって、そこが自分の人生に強い影響を与えたと仰言る安部さんの著作に、私が心惹かれたのは当然の成りゆきともいえるのだった。
 安部さんは拙作もちゃんと読んでくださっていて、とても誉めてくださったのが、私はこの世の誰に誉められるよりも嬉しかった。武智師が安部さんの躰を通じて、私に「自由と反権力と世間の常識にとらわれないこと」を貫きなさいと、改めて叱咤激励なさったような気がしたのである。
 武智師と同様、安部さんの人脈もさすがに幅広く、古くは小林秀雄のやはりここには書けないエピソードや、近くは妹尾河童さんの異常に可愛いエピソードの数々、とにかくすべての話があまりにもユニーク且つエキサイティングで、「人生経験」とはこれくらい面白いエピソードが自らに蓄積されて初めて言えることだと思った次第。お話の仕方も独特で、下目で睨めつけるような怖い表情から一転にこっとした笑顔は実にチャーミング。別れ際に自らコートを着せてくださったやさしさ。ああ、20年前っだら私はまちがいなく略奪愛に走ったにちがいありません(笑)。ともあれこの貴重な機会を設けてくださった角川春樹事務所の原さん、片岡さん、日本文芸社に移られた村松さんには厚く御礼を申し上げたい。

2005/12/07
牡蠣とニラのチヂミ、かけ蕎麦
 QPで見た料理。いつもの生地に豆板醤、塩、砂糖、すりゴマを混ぜ込んでおくのがポイント。牡蠣を入れる前に粉を振っておくとうまく接着する。ごま油を最後にたらして香りを出す。酢醤油で食す。
 今夜もまた健サンの唐獅子シリーズを見ながら食事。これでほぼ全作見た感じですが、いやー、パターンにすっかりハマってしまいました。♪親に貰っただいじな肌を〜墨で汚して刃の下で〜という歌が耳について離れません(かの有名な「義理と人情を秤にかけりゃー」という歌詞はシリーズ第6作目で初めて登場します)。明日はいよいよ待望の安部譲二さんとの会食ですが、お会いしたとたんに「てまえ、関西は京都の生まれです……」なんて仁義を切ってしまいそうでコワイ(- -;
 

2005/12/06
タラの黄金焼き、里芋と高野豆腐の煮物
 近所のスーパーのパンフで見た料理。塩、胡椒、酒で下味した鱈に薄力粉と卵の衣をつけて油で焼くだけ。おろしポン酢を添える。里芋と高野豆腐の煮物はレシピ省略。
 スカパーで『マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』を見ながら食事。この長ったらしいタイトルはドイツの現代劇作家ペーター・ヴァイスの戯曲として演劇人の間ではかつてよく知られていたものですが(今の演劇人はどうか知りません)、それをかの英国演劇界の巨匠ピーター・ブルックが映画化してたなんて私は全然知りませんでした。で、食事時にはどうかと思いつつも見たところ、
これが実に今日性のあるセリフに満ちた刺激的な作品だったのであります。ご存知マラーはフランス革命の理想主義的指導者ですが、劇中では社会主義の実現を空想する彼と、懐疑的で肉体の快楽に身をゆだねる個人主義者サドが、民衆について、あるいは革命について激論を闘わせていく。ラストはマラー殺害の後にナポレオンが出現し、民衆が彼に追従して戦争に駆りたてられていく末路を予感させながら、精神病院の暴動で幕を閉じる。こんなマニアな映画を今どき放送したのは、シネフィルイマジカChによほどの演劇通で且つ今日の世界状況を憂慮する人がいるものと拝察しました。ブレヒトもいいけど、今この戯曲の上演も見たいところだ。蜷川さんがやってくれないだろうか。

2005/12/05
海老とブロッコリーの紹興酒炒め
 QPで見たがこれは久々のオススメ。ブロッコリーはふつうより多いめに塩を入れてゆがく。海老は洗うときに片栗粉を使って臭みをしっかり取る。生姜汁、紹興酒、塩で下味して片栗粉と油をまぶして油通しをする。油通しするまでは冷やしておくこと。生姜の千切りと一緒に炒め合わせて、鶏ガラスープ、紹興酒、胡椒、片栗粉を混ぜ合わせたもので味付け。下ごしらえをしっかり、味付けはシンプルにして、紹興酒の味と香りを活かすのがポイント。
 スカパーで『昭和残侠伝』ご存じ唐獅子牡丹の健サンを見ながら食事。このシリーズや藤純子の緋牡丹博徒シリーズは封切りで何本か見ているが、さすがにシリーズ第一作は見損ねていて今回が初めて。主人公が堪えて、堪えて、堪えて、最後にぶち切れて「死んでもらいます」となるのは上方歌舞伎の侠客物(享保時代の姉川新四郎という役者が嚆矢か)に始まって仲村トオルの「ビーバップ」シリーズまで延々と続く日本人好みの王道パターンだったはずだが、それにしてもすぐにキレちゃう人がこんなに増えちゃった今の日本は、やっぱり食べてる物が悪いとか、何か絶対に外的要因あるはずだと改めて思われた次第。

2005/12/04
揚げブリとゴボウの甘酢あんかけ、レンコンの海老詰め、湯豆腐
 乗馬の帰りに東横のれん街で総菜をゲット。
 こんな寒い日でもクラブハウスは満員だったし、氷雨が降りだした中を馬に乗る姿が大勢見られました。で、一頭の馬が突如向きを変えて厩舎に戻ろうとしたところへ、インストラクターが慌ててバケツを持ってきて、いきなり雑巾で馬の顔を拭き始めたので一体何をするんだろうと思ったら、その馬はどうやら雨がぽつぽつ顔に当たるのが嫌なんだそうで、顔全体を濡らしたらおとなしく言うことをきいて健気に走り出しました。まあ、馬にもいろいろ個性があって、妙に神経質なヤツがいるもんです。
 日ごろ電車に乗ることが少ないので、乗馬クラブに行くときはきまって週刊誌の中吊り広告に目が行きますが、きょう思わず吹きだしそうになったのは、『週刊新潮』の「姉歯の一家は創価学会員」という見出し。おっとまた始まったというべきか、どっちの肩を持つつもりもありませんが、この新潮社と創価学会の喧嘩はいつ果てるともしれません(笑)。
 そもそも宗教というものは、必要な人と不必要な人とにくっきりと分かれていて、日本人の天皇崇拝や家元制度も一種の宗教だと考えれば、とてもわかりやすい気がします。宗教の必要な人が必ずしも知性の劣る人でないということは、オウムの例でも明らかで、宗教は必要な人にとっては絶対に無くてはならないものだし、そうでない人にとっては一種の恐怖を感じさせるものでもあるのだと思います。イスラム教であれ、キリスト教であれ、仏教であれ、いかなる宗教も究極的には人間が自己を捨てて人間以上の存在に身をゆだねることを是とし、そこに崇高さを見いだすことに変わりはないわけで、それができるかどうかが宗教的体質であるかどうかの分かれ目だという気がします。
 ちなみに私は幼いころ、育ててくれたばあやさんの愛人が熱心な日蓮宗の信者だったために、『法華教』の何章かを丸暗記して、この子は天才だ!といわれてました(笑)。で、母親はこれまた熱心な金光教の信者だったので、月に一度はその教会にも行ってました。さらに自分自身は幼稚園から大学時代に入っていた寮に至るまで、都合十七年間カトリック教育にどっぷり浸かってるので、今ちょうど近所のスーパーで流れてるクリスマス曲を耳にしながら、ついラテン語で(笑)歌ったりもするくらいなのですが、それほど宗教的環境に恵まれていても、当人に宗教的体質が欠けていると、いかなる宗教の信者にもなれないのでした。これはいいとか悪いとかではなくただただ気質体質の問題で、宗教が救える人もいれば、宗教によっては救われない人もいる、という事実があるだけのことです。
 で、宗教的でない人間は何にハマるかというと、これはやっぱり哲学でして(笑)、ことにシンプルな古代哲学は人間がすでに何千年も前からありとあらゆることを考え尽くしているのがわかってある種感動的なのですが、ちょっと前までプラトンにえらくハマってた私は最近「朱子学」の本を少し読んで、これが意外に面白い哲学だというのを発見しました。朱子学というと日本では江戸時代の体制的な御用学問としか認識されていませんし、本家の中国でも宋時代のやはり御用学問で、いわば「権力の道具」とされた結果、後世において完全に抹殺されてしまったのは周知の通り。ところが、これがある部分ギリシャ哲学にも似た形而上学なのだという事実を知ってビックリ。『論語』や『孟子』はいわば抽象度の高い処世訓のようなものとしか読めず、哲学的要素は少ないので、東哲はインドにお任せかと思ってたのだけれど、朱子はそれらをちゃんと哲学に変えた人なのだと知って、私は長年の不明を恥じ入るばかりなのでした。

2005/12/03
タラちり
 昨日の油物がこたえて今日はアッサリめに。明日は2週間ぶりで朝から乗馬に出かけまーす(^-^)/

2005/12/02
鶏肉とジャガイモの唐揚げ
 QP通りのタイトルだが、これは竜田揚げというべきなのでは?といった感じのレシピである。ニンニクと生姜のすり下ろし、醤油、酒、ごま油を合わせてそこに鶏肉をしばらく漬け込んで、卵、片栗粉を混ぜて揚げる。ジャガイモは電子レンジで熱して皮付きのまま櫛切りにしてタレの残りをつけて揚げる。彩りがあまりにも淋しいので私は青唐辛子を加えてみました。

2005/12/01
柚豚、アスパラの胡麻和え
 ネットでたまたま見たメニューを適当にアレンジして美味しく仕上がった。これまた爽やかなオススメの一品である。柚の絞り汁、柚の皮をおろしたもの、醤油、味醂、酒を合わせたタレにシャブシャブにした豚肉と茹でたシメジを漬け込んで万能ネギと大根下ろしの薬味で食す。豚肉を茹ですぎないようにするのがポイント。

2005/12/01
ホタテ貝と蕪のバジル炒め
 近所のスーパーのパンフで見たオススメの小洒落た一品。蕪とホタテに塩をしてバジル入りのオリーブ油に漬け込んでマリネにしてから、シメジを加えてさっと強火で炒める。サラダほうれん草を下に敷いて盛りつけ。蕪は塩をしてから水気を絞ること。オリーブ油には10分程度漬け込む。
 先日新国立劇場の「肝っ玉おっ母」で、客席に旧友の岡本蛍らしき人物を見かけたが、わざわざ席まで行って声をかけるのがためらわれるほどに別人のようにも見えた。その後も気になって仕方がないので、昨日から電話していて、今日やっとつかまって尋ねたところ、やはり本人で、7キロも太ったとのこと!わからないはずである。で、話を聞いたら、なんと以前私もやらされてた読売演劇大賞の審査員を今年からやるはめになって、月10本のハイペースで芝居を見てるのだそうで、これまた何かと縁のある人物の話がぞくぞくと出てしまった。久々に電話して、これだけお互いに縁がある人が出そろうというのは、まさに黙阿弥の芝居を見ているようで、ひとりの人間にとっての世界の人口は、まあ、数百人くらいなんだろうなあと思ってしまいます。
で、芝居を月に10本も見るひまよくあるねえ!と感心して、ふだん何やって喰ってんの?放送の仕事?と訊いたら、印税だけで暮らしが成り立つそうである。何せ彼女はスタジオジブリのアニメ「想い出ぽろぽろ」の原作者で、アニメは海外からの印税も入ってくるからボロイらしい。私の作品の中ではなんといっても『大江戸亀奉行日記』が一番好きなんだそうで、あなたもあれをシリーズ化してアニメになったら、乗馬だけして悠々自適で暮らせるわよ、と言われてしまった(笑)。

2005/11/29
鮭と白菜の蒸し煮、ふわふわ豆腐
 近所のスーパーのパンフで見た料理。鍋に白菜の芯、鮭、白菜の葉の順番に入れて、味醂、醤油、酒、塩少々の調味料と生姜の薄切りを入れて白菜がくたくたになるまで煮込むだけ。豆腐は市販のもの。

2005/11/28
おでん他
 新国立劇場で文春の内山さんとブレヒトの『肝っ玉おっ母(母・肝っ玉とその子供たちと改題)』を見た帰りに近所で食事。
 今の時代にこのブレヒト作品を演出家の栗山民也が取りあげるセンスは同世代の人間として非常に理解ができるし、主演の大竹しのぶというなかなか厄介な女優を栗山がどうさばくかという興味も湧いて見たくなった次第だ。同じ思いのの人が多かったせいか、初日とはいえ客席は関係者大会と化していた。
 この芝居の主題はもろに「戦争」であり、一応は十七世紀の欧州各地で起きた三十年戦争を背景にしているが、ブレヒトが第二次大戦勃発直前に亡命先で執筆した事実によって今日的意味があるのはむろんいうまでもない。日本ではなんといっても千田是也の演出で有名になった芝居だから、考えてみれば千田の孫娘婿に当たる栗山が国立で上演するのはそれなりに意味があることなのかもしれなかった(笑)。
 肝っ玉とあだ名される主人公は従軍して金を儲ける女商人であり、父親がそれぞれ違う息子二人と娘一人の母である。戦争があるからこそ商売で喰っていけるこの女は、同じ戦争によって三人の子供の命を奪われる。愚かしくもたくましい庶民の代表として描かれるこの女の役を、戦後の千田演出で主演した岸輝子は恐らく実体験に裏打ちされたリアリズムでやれたはずだし、観客の側にもリアルに受け取れる素地があった。如何せん、現代人の演者にも観客にもそれは求めるべくもないが、ならばそれに代わるどんなトーンでまとめ上げるかの演出プランにおいて、栗山はとても成功したとはいい難い。ことに前半はトーンの定まらなさで見るのが苦痛になるほどで、後半からラストにかけてようやく、まあ、この人にして及第点のまとめ方に落ち着いたといったところか。
  とにかく前半は大竹の勝手なセリフのいい方を全く野放し状態にしているために、こちらにまったく芝居が届いてこないのである。大竹はかつて女優としてこれほどの逸材はないように思えた時期があったし、今でもときどきあるのだが、野田秀樹らの小劇場演劇を摂取したことによる悪癖として、引き出しに用意された何パターンかの言い回しを適当に取りだしてつなげるいい加減なセリフ術を身につけてしまい(蜷川幸雄はそれを「大竹節」と評した)、楽するときはいつもその大竹節で逃げてしまう。なまじ技術のある女優だけに、それを封じられるかどうかは演出家の力量に関わっているものといえて、蜷川演出の『エレクトラ』ではもちろんだが、栗山演出でも『喪服の似合うエレクトラ』ではその悪癖を十分に抑えられていたはずなのに、今回はどうしたわけか大竹節がやけに耳について興ざめもいいところだった。前半は演出プランそのものが十分に練れていない憾みがありそうで、幌車に乗った肝っ玉おっ母と三人の子供が舞台に最初に登場するシーンの迫力のなさを見ると、栗山の力量は蜷川とあまりにも差があり過ぎるような気がしたのは私ばかりではなかった。「でも、あたし的には、栗山さんてもともとそう評価が高くないんですよね。なにせ最初に見た演出が南座でやったSMAP主演の『ドラゴンクエスト』だもんで」と内山さんにいわれて私は絶句。こと演劇批評に関して(だけじゃないかもしれないが)私よりもずっと辛辣な彼女は『夜への長い旅路』を見てようやく栗山民也を演出家として認めたのだそうである。

2005/11/27
桂林の中華総菜セット
 歌舞伎座で「梅津貴昶の会」を見た帰りに銀座三越でゲット。
 歌舞伎座での公演もこんどで十回目を迎えられた梅津さんの会にご招待を戴いたので、ご祝儀をもってかけつけたが、昨夜に引き続きお茶の阪本先生や井上八千代さんにお会いするのはともかくとして、あっ、いけない、向こうに国立劇場のIさんがいる!しまった、こっちには松竹常務のOさんが!などと、このところ歌舞伎の仕事をやたらと断りまくった私にとって、ロビーはまたしてもキケンに満ちたゾーンでした(笑)。
 序幕の「松竹梅」は松が翁、竹が三番叟、梅が千歳の格で「式三番」のような作品をイメージしていたが、歌詞も荻江節の曲調もさほどに祝儀じみたものではなく、もっと叙情的でさらりとした俳諧味のある佳品であった。梅津の松、中村勘太郎の竹と並んで、梅を舞ったのは吾妻徳弥ことエッちゃんだが、このひとは女流舞踊家でも昔から歌舞伎役者とよく共演しているだけあって、男性と伍して舞台姿に遜色がないのは何より。梅津さんの振付もこういう短くてサラリとしたものだと、歌詞に実に細かく対応している点がこちらも一々きちんと追って見られるので面白く感じられた。ところが中幕の「葵の上」は、坂東玉三郎という現代最適とおぼしき演者を得ての上演だけに、こちらも大いに期待して見たのだが、結果、裏切られたかっこうで、そんなに長くもないのに、あまりにも気が変わらない振付だったために途中で眠気を催す始末だった。梅津さんは歌詞の意味をきちんと把握して振付ができる、今や数少ない日本舞踊家のひとりだが、ともすればトリビアリズムに陥いるのが難点で、たとえば近代における藤間政弥の「時雨西行」や尾上菊之丞の「二人椀久」に代表されるポピュラリティーのある振付とは違って、どうしても晦渋な振付になってしまいがちだ。オリジナルを追求するためには先人とは違う行き方をせざるを得ず、そこから難しくなってポピュラリティーを損ねてしまうという問題は、現代のあらゆるジャンルに共通していえることなので、他人事とはいえない。これは実に解決の難しい問題である。
 最後はご本人が「鏡獅子」を素踊りで舞い、こ、こんなことがあるの!と一瞬ひやっとさせられたシーンもあったが、そこから全く乱れることもなかったのはさすがでした。
 一昨日は「アレグリア2」、昨日今日と立て続けに日本舞踊を見て、明日はなんと新国立劇場でブレヒトの「肝っ玉おっ母」を見る予定ですが、わずか四日間でこんなに幅広い(?)見方ができるのは日本でも私くらいではないでしょうか(笑)。こんなふうにしてるととまるで仕事をサボってるみたいですが、全くそんなことはありません。今は毎日2本の小説を平行して書き進めており、一日の執筆枚数は以前よりぐっと増しています。で、疲れたなあと思うと、みのもんたの仕事量を見ろ!と自分を叱咤する毎日なのであります(笑)。

2005/11/26
和風ハンバーグステーキ、シーザーサラダ
 国立小劇場で『舞の会』を見た帰りに近所のホテルで伝統文化放送の前川さんと食事。
  故武智鉄二師の夫人でもあった川口秀子師は今や舞踊会で最後の「名人」というべき舞踊家であるが、今回の演し物は私の好きな地唄舞の「珠取海女」だったので、ご招待を戴き歓んで出かけた次第。
  「珠取海女」は能の「海士」に拠った曲で、拙作『家、家にあらず』の中では荻野沢之丞がこれを長唄曲に直した(歌舞伎役者なので私が勝手に長唄に変えたわけですが)踊りを披露する。地唄舞の中ではかなりストーリー性に富んだ演目ではあるが、川口師が舞われるとやはりそのドラマチックさが際立つ。すでに何度か拝見しているが、年齢に応じて、躰が動けなくなればそれなりに振りを変えて、間然するところなき舞いぶりを見せられるのはさすがである。ラストの振付は子どものために死んだ海女がフラッシュバックで赤子を抱いてあやすシーンを挿入して、この曲の主題を強調し、ほろりとさせた。
  舞踊家としても勿論大変に高度な技術の持ち主だが(全盛期は武原はんや吉村雄輝も目じゃなかった名人だったが、惜しむらくは武智師が国立劇場からパージされた状態で、国立主催の公演には出られず、自主公演のみの出演だったため、きちんと見て評価した人がいなかった)このひとの素晴らしさは作品の解釈をストレートに表現できる能力で、これは日本の舞踊家には少ない、というかほとんどいないといっても過言ではない。武智師の演出もこのひとの力に与るところが大きく、今も歌舞伎でしばしば上演される「蝶の道行」は武智師ではなくむしろこのひとの作品といえる。
 で、終演後楽屋に挨拶に窺った帰りに廊下を歩いていたら「いやー、お久しぶりどすなあ」と声をかけられて、見れば川口師の直前に出演した井上八千代師で、こ、これはまずい……と、別にうろたえる必要もないのだけれど、ちょっと慌ててしまいました。先日のNHKに引き続いて、廊下はキケンがいっぱい(笑)。どういうわけか、私はある時期からやたらと日本舞踊の家元と知り合うようになって、そんなわけで明日は歌舞伎座の「梅津貴昶の会」にも招待されて行かなくてはならないのです。

2005/11/25
フォー、春巻き、水菜サラダほか
 友人とシルク・ドユ・ソレイユの「アレグリア2」を見た帰りに原宿で食事。
 その昔、神南に事務所を構えていた時分は会場も実に近かったので、フジのTVCMを見るたびに一度は覗いてみなくちゃと思いながらも、この手のものは誰かに誘われない限り重い腰が上がらず、今まで見そびれていたシルク・ドュ・ソレイユだった。で、今回自分から友人を誘って行く気になったのは、元マガハの中田さんから観劇(?)後の昂奮冷めやらぬメールを頂戴したからである。結果、一緒に見た友人ともども、中田さん、私たちに見るきっかけを与えて戴いて、どうも有り難う!とまずお礼を申し上げておきたい。
 サーカスの芸というと、綱渡りにしろ、空中ブランコにしろ、ピエロにしろ、いずれもメタファーとして用いられることが多いし(たとえばすべてに「恋の」がくっつけられます)、フェリーニや寺山修司は自作によくサーカスそのものをメタフォリカルに取り込んだりしたが、シルク・ドュ・ソレイユはそうしたメタファーとしてのサーカスが現実に存在してしまう!という不思議なショックをまず見る者に与える。それは音楽、美術、照明、演出すべてあまりにも計算され、完成されていて、まるで映像のワンシーンを見るように現実感がないせいだろうと思う。肉体を駆使しているのに、なぜか生身の肉体がそこにはないような奇妙な感覚に襲われるのもそのためではないか。中田さんは「あまりにも死のイメージが濃厚なのに驚きました」という表現を使われたが、たしかにそれもわかる気がするし、ことに後半はその印象が強かった。トーンが暗いというのとも違うし、冷めているというわけでも、頽廃的でもないのだが、いわゆる西洋的な前向き志向は微塵も感じられなかった。というよりこの集団は意識的に脱西洋を目指しているような気配がある。が、ただ、それだけではない。展開されるすべての芸が「重力」に逆らったものだから、あたかも「イカロスの翼」のように、人間が最大限の力を振り絞って死へ向かうことの虚無感を生むのかもしれない。だからこそいっぽうでまたサーカスは「反世界」の実にわかりやすいメタファーでもあり得るのだという気がした。昔からサーカスはどこかしら怖いものだと思われている理由はそれが紛れもなく「反世界」だからなのだという極めて当たり前のことを改めて考えさせられつつ、存分に楽しませて戴いた2時間である。 

2005/11/24
豚鍋
 今シーズン初の鍋である。具材はしゃぶしゃぶ用豚ロース肉、白菜、水菜、長ネギ、エノキダケ。おろしポン酢と柚胡椒で食す。

2005/11/23
天ぷら近藤
 京都にいるわが妹は絵に描いたようなミーハー主婦で、ちょっと前までは新ちゃん(現海老蔵)に夢中でしたが、今はすっかり韓流にハマっております。で、今日はわざわざ武道館にリュー・シウォンのコンサートを叔母と一緒に見に来て、その帰りに銀座で食事をしたいというので天ぷらの「近藤」を予約しました。ここは美味しいしロケーションも頗るいいわりに、お値段がリーズナブルなので私は気に入っております。  
それにしてもファンでもないのにコンサートに付き合わされて、姉妹に食事までご馳走するはめになった叔母こそいい面の皮とでも申しましょうか。この叔母は私たち姉妹が子どものころ母に代わってよく面倒を見てくれたひとでした。ちなみに実母は商売ひと筋の人生で、ドメスティックな要素が完全に欠落した、70代の人としては極めて珍しい女性であります。私自身も裁縫手芸の類はまるでダメだし、女性らしいとはおよそいえない性格ですが、それでもまだ料理をするだけましだと思えるくらい。実母は家事も子育てもほとんど人任せで、私は所謂ばあやさんに、妹は叔母に育てられたのでした。しかしだからといって姉妹共にそのことは全然苦にならず、むしろ子煩悩な叔母やばあやさんに育てられたことを今でも有り難く感謝していて、女性としては変わり者の実母に育てられずにすんでお互いラッキーだったと言い合うほどです。近ごろわが子を虐待したり、子育てノイローゼで殺してしまう母親のケースが増えていますが、子育てに向く人と向かない人は昔からあったわけで、子どもは必ず産んだ母親が育てるべきだとか、自らの腹を痛めて産んだ子は絶対に可愛いはずだとかいった余計なプレッシャーを母親にかける社会ってのも如何なものかと、私は自らの実感をこめて疑義を呈するのであります。

2005/11/22
ピッツェリア・ミッレ・ノヴェチント
 白金にあるカルミネのピザ専門店で友人と食事。白インゲンとカラスミの煮込み、生ハムの盛り合わせ、カジキマグロの温カルパッチョ、ゴルゴンゾーラのパスタ、魚介野菜パスタ、茄子とモッツァレラチーズとアーチチョークのピザ、ラムチョップのミントソース、鶫のロースト等々、いずれもさっぱりとした味付けで美味しかったが、食べ過ぎてお腹が苦しい。

2005/11/21
トマトとソーセージのパスタ、ルッコラとレッドキドニーのサラダ
 パスタは定番のレシピなので省略。サラダのドレッシングはお手製だが、これもごくふつうのフレンチドレッシングなのでレシピは省略。
 スカパーの洋画Chでゴダールの『モーツアルトフォーエヴァー』を見ながら食す。何も食事時に気取ってこんな映画を見ようとしたわけではありません。この次の時間帯に放送されるダン・エイクロイド監督主演のお笑い映画『コーンヘッズ』を見るつもりだったのが、それまでに食べ終わってしまったというだけのこと。若い頃、こんどのゴダールは絶対にわかりやすくて面白いからと騙されて、私は何本か見せられた憶えがありますが、わかりやすかった例しがありませんでした(笑)。
 そもそもスカパーに入ったきっかけは歌舞伎Chの設備費無料キャンペーンだったにもかかわらず、2週間は全チャンネルがタダで見られるとあって、まだカブキChは一度も見ておりません。前川さん、大沼さん、金田さんゴメンナサーイ。私にとって歌舞伎を見るのはもはや娯楽にはならないし、さりとて今はコレを商売にしてるわけでもなく、食事時に知り合いの顔を画面で見るのもどうかと思われて、ついつい後回しになってしまうのでした。
 

2005/11/20
寿司弁当
 乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
 今日は夕方5時のレッスンに参加して、わが家にたどり着いたのは夜9時過ぎでした。いつもの3時のレッスンは超コミコミで、5日前に申し込んでもキャンセル待ちの6番目というありさま。クラブは拡張されつつありますが人はドンドン増えていて、自分の「賑わし神」運が呪わしくなります。まあ「貧乏神」といわれるよりはずっといいですけど。
 で、今日は昼間TVで東京女子マラソンを何げなく見ていて、さあ、もうそろそろ出支度をしなくちゃと思ったときが35キロ地点。そこから高橋尚子が俄然スパートし始めたので目が離せなくなって、とうとうゴールまで見てしまい、こっちも猛然と駆けだす始末でした(^。^;

2005/11/19
太刀魚の塩焼き、レンコン汁、銀杏ご飯
 レンコン汁の具は椎茸と銀杏と三つ葉。銀杏は大家さんの姪御が家で拾ったというのを頂戴して、皮を剥くのは面倒だったが、剥いて売ってるのを買うよりやっぱり美味しい。銀杏は落ちた実でなくまだ樹上にあるのを採ったものは完璧な翡翠色で柔らかく風味もいい(これはまだわが実家でしか食べたことがない)。で、今宵はスカイパーフェクトTVのアニマルプラネットChでミーアキャットの交尾や海亀の産卵や虎の子育てを見ながら食す。
 お茶の阪本先生が歌舞伎Chのキャンペーンに応じてて機材工事費とも無料でスカパーに加入したという話を聞いて「タダなら私も入りたいくらいですよ」なんて好い加減な相づちを打ったら、それが阪本先生の口を通じて松竹の大沼常務の耳に入り、是非とも加入してくれということになって申込書が送られてきた。スカパーを見てるような暇はほとんどない身の上だが、食事時に見るTVが最近あまりにもつまらないので、この際だから、ま、イッカーという気になって加入したわけです。
 2週間は色んなChがタダで見られるとあって、クラシックChやAVとか色々ザッピングして、食事時は動物の映像を見てるのが一番気が休まるのを発見した次第。



2005/11/18
薫製甘エビ、鴨ロース炒飯ほか
 友人に誘われて下北沢の本多劇場に青年座の『パートタイマー秋子』を見に出かけ、帰りに近所で食事。
 これは永井愛作、高畑淳子主演でヒットした作品の再演で、劇場でバッタリ会った読売新聞の田中さんの話だと初演と全く変わらないそうだが、私は見逃していたので大変に面白く見た。
 永井さんは常に細かな日常の描写から意外に大きな今日性のある問題を浮き彫りにしてゆく作家だが、この作品の舞台というより、主役は弱小のスーパーマーケットであった。
 かつて地元の八百屋を潰したスーパーも、今はさらに大手スーパーの進出に圧されて瀕死の状態だ。そこでは一致結束して自らの働きやすい環境だけを維持しようとするパート従業員と、本社から派遣されて立て直しを図ろうとする店長との対立がある。いっぽうそこでは大手企業をリストラされた男性(山本龍二)や、同じ境遇にある夫を持つ女性(高畑)、引きこもりの青年といった社会の負け組と見られる人びとがなんとか前向きに生きようとしている。
 スーパーの日常を現代ニッポンの縮図として捉えた時点で作者の勝利はあったようなものとはいえ、そこに描かれる人物が、いずれもやや戯画的ながら実にリアルに立ち上がっているので、少しも観念的に陥らずに魅力的な群集劇として成立している。主演の高畑・山本両人以外の役者たちもそろって活き活きと演じているのは、作者の優しい眼差しが隅々にまで行き届いているせいだろう。かつて掃きだめに鶴が舞い降りたような存在だった主人公の秋子が、しだいにスーパーの不正に染まり堕落してしまった自身を嘆きながらも、今まで現実にさらされなかった自分が今ここで初めて人間を試されようとしているのだから、最後までここで自分を見届けたいというあたりは、芝居ならではの甘いセリフではあるが、爽やかなラストだった。芝居はやはり小説とはちがって、こういう甘さがないと見ていられないものである。

2005/11/17
チーズフォンデユー、茸のマリネ、アボガドの刺身
 今日のQPが教えたのは超簡単なチーズフォンデユーの作り方で、カマンベールの真ん中の白カビ部分だけを除いて、そこに味だしのベーコンと白ワインを入れて電子レンジで1分半ほどチンするだけ。茸のマリネは椎茸、エリンギ、シメジ、エノキをフライパンに入れて、オリーブ油と塩、黒胡椒を振りかけてフタをして8分ほど火を通し、食べるときにレモンを絞るという、これまた実に簡単なものでした。今日はNHK『芸能花舞台』の収録で意外と時間がかかって帰宅が遅くなったので、この簡単2品レシピ有り難く頂戴しました。
 なんだかんだいって私もNHKに初めて出演してからもう二十年になります。その後一、二年に一度くらいのわりで声がかかるから、素人にしては出演回数も結構あるほうでしょう。なにせ2度目の出演が34歳のときで、わが愛してやまぬ故・六世中村歌右衛門との対談だったというのは、われながらスゴイ!と思います。以来、世の中に怖いものはなくなりました(笑)。
 それにしてもTVはNHKに限らず(他局にも出たことがありますが)実にラフな作り方でいて、時間だけはキッチリ収めようとするから、素人といえどそれ相応のフレキシブルな対応を求められて、かなり気疲れします。『芸能花舞台』の司会の古谷さん、生稲さんのおふたりとはもう何度か顔を合わせているのでその点は緊張しなくて済むのですが、相手があると、そのつど適当に勝手なことをいうわけにはいかず、一応こちらが最初にいったことが台本となってカメリハ1回、次に本番1回で収録を済ませなくてはなりません。私はもちろんプロじゃないので、同じことを二度繰り返して言うのは実に難しく、その点で非常に緊張します。本番でつかえたり、噛んだりすると、撮り直しで共演のおふたりのみならず、大勢のスタッフに迷惑がかかるのでぞっとします。今回は私のミスで撮り直しということが一度もなかったのでホッとしました。
 というわけでNHKにはもう何度となく足を運んでいるにもかかわらず、中はいまだに迷路で、スタジオからはだれかに案内してもらわないと帰ることもできません。今日はCPの方が案内をしてくださって、ぐるぐる回っているうちに人がふたり並んでは通れないほどの細い通路に入ってしまい、すると向こうからやって来たのはなんと中村鴈治郎!な、何?こ、これってわざとなの……と思いながら、私はにこやかに笑ってすれ違ったのでした。この顛末に至るまでの事情をここには書けませんが、書かなくてもきっとおわかりになる方はあるだろうと存じます(笑)。
 ちなみに放送は来年の1月14日(再放送21,23)です。

2005/11/16
野澤菜とジャガイモの炒め煮
 フジテレビで見た料理。豚挽肉と長ネギを炒めて、そこに薄切りしたジャガイモ、カボチャ、みじん切りにした野沢菜を炒め合わせ、水を入れて煮込んで塩と黒胡椒で調味するだけ。薄切りしたジャガイモをあらかじめ電子レンジで熱しておくのがポイント。

2005/11/15
弁松の白二重弁当、アスパラガスの胡麻和え
 新橋演舞場の帰りに銀座三越でゲット。
 今日ひとつの入稿が早い目に済ませられたので、慌てて新橋演舞場に行って『児雷也豪傑譚話』の序幕だけを見て帰ってきた。尾上松助さんが重病を押して出演なさってると聞いて、もっと早くに駆けつけるべきだと思いながら、今日まで足を運ぶことができなかった。とにかく舞台に立っていられるだけでも頭が下がるが、マイクを通しての声とはいいながら口跡は実に立派なものだった。声のよすぎるのが難点だったようなこのひとが、力が抜けたおかげで、かえってセリフが粒だって聞こえるのだから、なんとも皮肉なものである。幕切れには思わず目頭が熱くなった。

2005/11/14
鮭の揚げ漬け
 QPで先日ちらっと見たのを想いだしながら適当に作った。多少ちがうかもしれないが美味しくできたので私のやり方で書いておく。鮭は塩と酒で下味して片栗粉をまぶせて揚げる。椎茸と青唐辛子は素揚げ。酢、砂糖、醤油を合わせたタレに長ネギとたっぷりの削りガツオを入れて揚げた3品にかければ出来上がり。削りガツオをたっぷり使ってうまみを出すのがポイント。

2005/11/13
レンコン揚げ餅ほか
 乗馬の帰りに東横のれん街でゲット。
 年内に入稿をお約束している原稿をきのう百枚まで書きおえたので、なんとか年が越せそうな感じになり(^。^)/心も空もすっきり秋晴れで乗馬に出かけました。今日乗った馬のお父さんはなんとあのダンス・イン・ザ・ダーク!で、私ごときが乗せて戴くのは勿体ないような毛並みの良さにちょっとタジタジ(笑)。人間の血筋はあまりあてにならないどころか、はた迷惑なヤツが多いために(ブッシュや金正日の例をだすまでもなく)問題にしたくもありませんが、馬の血統にはいささか畏れ心が湧いてしまいます。で、わが倶楽部にはシンボリルドルフの仔もいて、それより何よりサクラエンペラー、ダイキブラスター、キシュウクリスタルといった中央競馬で聞いたような名の馬がいるのはビックリでした。インストラクターの話だと、ひたすら速く走ることだけを求められていた競走馬が素人のヘボ騎手を乗せてゆっくり走るようになるのはとても難しいことらしく、それが出来るのも貴重な才能なのだとか。多くの競走馬はそうはなれずに廃馬処分に、要するに食べられてしまうのですから、サラブレッドの世界は残酷です(涙)。政界のサラブレッドとか呼ばれてる連中は、さっさと廃人にしちゃったほうがいいと思うのばっかりですけど。

2005/11/12
蕪の鶏そぼろ煮
 昨夜、一昨日と油っぽい食事だったので今晩は前に見たQPのやさしい和食メニュー。蕪を先に柔らかく煮ておき、鶏挽肉は味醂、醤油、生姜汁を混ぜてから鍋に入れるのがポイント。こうすると鶏肉がかたくなならずに仕上がる。ほかに別茹でした蕪の葉と市販の生湯葉を細かくして加える。最後に水溶きカタクリでまとめる。

2005/11/11
海老と松の実の炒め物ほか
 世田谷パブリックシアターで『偶然の音楽』を観た帰りに守部さんと近所で食事。
 ポール・オースターの小説を白井晃の台本・演出で舞台化。私が長年ごひいきにしている男優中村トオル主演で、昨日に引き続いて大いに楽しませて戴きました(~。~)/中村トオルはなんたって「ビー・バップ」以来のファンで、決して巧くなる役者ではないけど将来はきっと高倉健みたいな大物感のある男優になるだろうと期待していた。最近の映像ではだんだん巧くもなってきて期待通りのいい役者になった。で、今回は初めて舞台を見て、その声にビックリ!なまじな舞台俳優よりずっとよく通る声で、遠藤憲一にも負けないくらいのいい声である。さすがに主演映画を何本もこなしてるだけに存在感もあって佇まいがよく、舞台馴れしているとは言い難いが、思ったより安心して見ていられる。
 小説は未読なのでなんともいえないが、舞台はリアルな私小説風に始まって途中から若干シュールな戯画的展開になるのはオースター作品として予想通りだった。主人公は思いがけず転がり込んだ遺産を遣い果たす寸前に偶然出会った若い男に残りわずかな金を託してポーカーの賭け事をさせる。その相手はまた偶然のチャンスから大金を得て富豪になった奇妙な二人組で、ちょっとしたことでツキが変わった主人公と若い男は賭けに負けて借金の肩代わりにレンガ運びの仕事をさせられる。ところがここから舞台は一転してまるで『ゴドーを待ちながら』や『ベント』を見せられているような典型的な不条理劇に突入し、どんどんブラックな展開になるのはちょっと意外だった。不条理劇として見る分には台本も巧くまとまっているし、装置、照明、音楽ともに洗練された舞台に仕上がってはいるのだが、主人公が強制収容所のような世界から解放されたとたんに死ぬラストシーンのセリフ(これはたぶん小説のままだろう)と、それまでの展開とは多少の違和感があって、果たして原作が伝えるものはこの舞台で正解だったのかどうかという疑問が残った。またタイトルの「音楽」は一体何を意味するのかが最後までイマイチわからなかったという憾みもある。


2005/11/10
韓国風蛸炒め、チヂミ、ビビンバほか
 シアターコクーンで唐十郎作『調教師』を観た帰りに進藤さんと食事。
 現代の劇作家で誰が好きかといえば迷うことなく唐十郎を一番に挙げるし、今一番好きな男優は誰かといえば椎名桔平なので、唐十郎作・椎名主演という今度の公演は、ここんとこハードな仕事が続く私にとってまさに砂漠のオアシスだった。
 唐十郎の芝居は猥雑な言葉やシチュエーションによって、とてつもなく美しいイメージが紡ぎ出されるという大きな魅力がある。私は若い頃この人の芝居を見て、お前らの住んでるNEATな現実はニセモンで、こっちの住んでる世界が本物なんだよ!と頭をどやされた気がして、しばらく紅テントにハマり込んでいた時期がある。もっともそれは若き根津甚八や小林薫が実にカッコよかったという点も大きく作用してて、ふたりともいなくなってからはすっかりご無沙汰してしまった。二枚目のふたりばかりでなく、麿赤児、李礼仙はもちろんのこと大久保鷹や不破万作、十貫寺梅軒といった異形の役者たちが持っていた怖いようなエネルギーは今の若い役者たちに求めるべくもなく、「第七病棟」もなかなか観られないのでここしばらく唐作品には遠ざかっていたのだが、久々に観ると、ああ、やっぱり唐さんの紡ぎ出す世界は素敵だなあ、と、つくづく思ってしまう。
 泥水の中を泳がせられる犬を助け出して自由な世界に解き放ってやる調教師のイメージに、身を売る女を救いだそうとして無惨な最期を遂げるチンピラや、言葉を話せぬ少女と必死に心を通わせようとする善良な市民を重ね合わせ、そうした大人たちの姿を分裂症の女教師と一緒に目撃させられる少年に自らの少年時代を彷彿とさせたこの戯曲は、唐戯曲に決まって登場する男女の3パターンすべてが出そろった作品ともいえそうで、内藤裕敬の演出はそれをわかりやすく整理していた点は評価できる。チンピラ役の椎名はガラとしてはぴったりで、現代の俳優としてはちょっと古風なこのひとの持ち味が巧く活かされていて、本人も戯曲をある程度は消化している。ただし声量のわりに声に幅がないのはこの男優の欠点であることは認めざるを得ず、ともすれば一本調子に聞こえてしまうのが難点だろう。
 いっぽう善良な市民田口を演じる萩原聖人は前半のテンションとラストのテンションをがらりと変えて芝居をさらってしまうあたり、役者としての達者さを窺わせるものだ。しかし今回だれよりも感心させられたのはあの窪塚洋介の弟俊介で、顔もお兄ちゃんとよく似ているが、実に堂々とした演技でふたりに全くひけをとらない存在感を見せつけて、この少年が若き日の唐十郎だったに違いないと思わせてくれた。黒板消しで現実を消そうとする分裂症の女教師に心惹かれる少年が、チンピラが死んで水の中に沈んでゆく光景に直面して「先生、あんた一体どこ見てんだよ!」と叫んだ瞬間、私はほろりと来てしまった。唐さんはきっと少年のころに色んな現実を見て、だからこそ物書きにならざるを得なかったんだろうなあという気がひしひしとしたのである。
 チンピラが死んで水の中に沈んだ一夜が夢のように過ぎ去り、善良な市民に戻った田口はその後彼の着ていた皮ジャンを水の中から拾いあげる。彼が自らのコートを脱ぎ捨て、ずぶ濡れになったその皮ジャンを着込んだとたんに、水の中から真っ赤なダリアの花と化した女が忽然と浮かびあがる。ふたたび水中に没した女に田口が手をさしのべ、引きずり込まれるようにして水中に消えてしまうラストシーンは、やはり唐十郎でなくては書けない美しい世界の終わり方であった。
 

2005/11/09
インドネシア風ビーフン炒め
 QPで見た料理。具は豚肉、キャベツ、玉ねぎ、炒り卵。味付けはサンパル代わりにコチュジャンを使い、これにケチャップ、酒、ナンプラーを混ぜ合わせる。別にから煎りしておいた桜エビをトッピング。ビーフンをもどすときに柔らかくしすぎないのがポイント。

2005/11/08
牛肉とレンコンの甘味噌炒め
 きのう作り損ねた待望のQPメニューである。下味して片栗粉とサラダ油をまぶした牛肉を先に炒めて取りだしておき、その油に鷹の爪を入れ、レンコン、キクラゲ、長ネギを炒め、鶏ガラスープを加えて蒸し煮にし、肉をもどして赤みそ、砂糖、味醂、醤油で味付け。

2005/11/07
鮭のホイル焼き、むかご御飯
 QPで牛肉とレンコンの味噌炒めを見て作ろうと思ったら、悔しい!近所のスーパー2軒とも売り切れで急きょメニューを変更した。TV恐るべしである。
 で、スーパーのパンフを見て作った鮭のホイル焼きの具は玉ねぎ、エリンギ、アスパラガスで、オリーブ油と醤油を混ぜたタレで味付け。アスパラはあらかじめ塩茹でし、鮭は塩胡椒の下味をしっかりしておくことがポイント。同じスーパーでむかごを売っていたのでお米に昆布だしと酒、塩を加えてふつうに炊いた。むかごは皮を剥かずに洗うだけでOKで、簡単に美味しくできるからむかごが手に入ったらオススメである。
 

2005/11/06
過門香の中華弁当
 乗馬の帰りに渋谷でゲット。東横のれん街の弁当ではイチオシ。
 今日から駈歩の段階に入ってようやく乗馬らしくなってきたが、駈足は速歩よりかなり揺れが激しくて、傍目で見るより結構スリリングである。振り落とされるのではないかという恐怖を初めて味わったけど、まあこれにもおいおい馴れるんでしょう。何せ最初は鐙に足をかけて馬にまたがるとこまでだって大変だったんすから。
 スポーツはどちらかといえば観るのが好きで、体育の授業は苦手だったから、まさか中年になってこんなにスポーツに入れ込むとは思ってもみなかった私である。たぶんそういう人が増えてるのだろうと思うが、近ぢか三軒茶屋の駅前にまた巨大なフィットネスクラブが誕生しそうである。もともと三茶で一番大きな銀行(みずほ)があった場所で、長い間工事をしていて何ができるんだろうと思っていたら、五階建て全面ガラス張りのビルになった。相当大がかりな施設であることはまちがいない。私の通っているジムが最近きれいに改装して雰囲気がえらく変わったのは、このライバルの出現を見越してのことだったのだろうが、競合したら喰われるのは必至である。いやはや、いずこの業界も今や戦国時代で生き残りをかけて喰うか喰われるかの勝負を余儀なくされているようだ。
 でもなんだって、すでにあるところにわざわざ進出するんだろう。三茶に20年以上住んでいると、ここ五年くらいの世の中の異常さはひしひしと肌に感じるところで、とにかく店舗の入れ替わりが激しくなったのもさることながら、同じ業種の店舗がわざと競い合うようにかならず2軒あらわれて、また同時に2軒ともに去っていくという、不思議な現象が目に付くようになった。讃岐うどん屋が2軒向かい合わせで開店し、どちらか1軒残っていたらよさそうなものなのに、今度はそれが2軒とも今風の居酒屋になってしまい、駅前には現在巨大なカラオケボックスが2軒向き合っているが、それが今度は何になるんだろう?ってな感じ。こういうことはここ四、五年の現象で、一体何に起因することなのか、だれかに教えて欲しい気がしている。表面的には消費者にとって選択肢が増えるからいいように見えても、あっという間にどちらも消えてしまうのだから、人を馬鹿にすること甚だしいともいえる。まあたぶん資本主義がゲーム感覚でとらえられだしたことの一端でもあるのだろうけど、何かとてつもなく不毛で病的な現象のように思えてならない。人間は環境を自ら変えてゆく珍しい生物で、それがここまでなんとか保ったとはいえ、加速度的に落ち着かない環境(何も町だけの問題でなく)に生物として今後どこまで堪えられるのだろうか。堪えきれずにくるっちゃう人だって今後どんどん増えることだろうけど、もうだれにも止められないところまで来てしまってる気がする。ともかくもこうした世界はそう遠くない将来に終わりを告げるだろうし、あとは遺伝子操作か何かで人間が生物としてふたたび画期的進化を遂げ、まったく別次元に突入するのを待つしかなさそうだ。そこに関与できない身としては、せいぜいフィットネスで自らの心身を丈夫に保って、残りの寿命を全うするしかないのであります。

2005/11/05
ポテトニョッキのトマトソース、無花果の生ハム添え
 ニョッキは市販のディチェコ製で包装パックに載っているレシピ通りに作った。パスタソースと同じ要領なのでここには省略する。写真で緑に見えるのはバジル。サイドディッシュは冷蔵庫にきのう買った無花果があったのでそれと生ハムを合わせただけ。今晩はちょっと手抜きで気取ってみました(笑)。

2005/11/04
牛肉とシラタキのしぐれ煮、アスパラの練り胡麻和え
 簡単に見えて、QPに教わった通り結構手間をかけて作った逸品である。まず油をからめた牛もも肉を酒、砂糖、生姜、酢少々を入れた鍋で下煮して取りだしておく。この鍋に蜂蜜、醤油、味醂を入れてじっくりと煮詰め、肉をもどしてからめたあと、肉は再び取りだして、ささがきゴボウと下茹でしたシラタキを煮て別に盛りつける。たしかにこうして作ると肉が柔ら羅各仕上がるしタレが本格的な味になります。

2005/11/03
牡蠣の卵とじ
 近所のスーパーのパンフで見た料理。レシピを記す必要もないくらいに簡単な料理。酒1味醂2醤油2の割で調味した出汁で牡蠣と春菊と椎茸を入れて卵でとじるだけ。
 今日は予定枚数の執筆が早めに了えられたので久々にジムに行き、自転車こぎをしながらTVモニターでたまたま日本剣道選手権の中継を目にした。手拭いを頭に巻いて面をつけるまでがアップになり、原田悟という選手がとても美男子(敢えてイケメンとはいいません)なので思わず応援してしまう。するとどんどん勝ち進んでなんと優勝!おかげで私は40分も自転車こぎをするはめになってグッタリした。馬鹿である。

2005/11/02
白菜と春雨の中華風炒め煮
 フジテレビでちらっと見て、前にもやったのを想いだして作りました。ここに載せるレシピは今日私がやった通りです。ニンニクと豆板醤を入れた胡麻油で豚挽肉、細切りにした白菜の芯、葉の順番に炒めて、鶏ガラスープと酒を足し、緑豆春雨を加えて、オイスターソース、醤油、塩、胡椒で調味。最後に水溶きカタクリでまとめる。とにかくじっくり煮込むのがポイント。

2005/11/01
ホッケの開き、レンコン汁
 ホッケの開きは先日三村さんに頂戴したもの。写真はレンコンのすり下ろしと、椎茸、ネギ、芹を入れたお汁。
 今日は久々にTVドラマを見た。アニメで有名になった「火垂るの墓」の実写版だが、私はアニメのほうは見ていない。で、今日たまたまチャンネルをまわして思わず最後まで見てしまったのは主人公の子役ふたりに魅せられたからで、巧いとかなんとかいうより、今どきこんな子いるの!と叫びたくなるような「昔の子ども」風のマスクと佇まいに驚いてしまった。それにしてもヒロイン役の松嶋菜々子は最初から最後までただ意地悪な性格の人にしか見えなかったのだけれど、これってそういう話だったんでしょうか。

2005/10/31
ハタハタ、里芋の煮転がし、トマトとアボガドのサラダ、高野豆腐の煮物
 ハタハタは昨日三村さんに頂戴した品。あとの三品は美容院の帰りに近所の総菜屋でゲット。今日はハローウインだというので美容院でプレゼントをもらったが、いわれてやっと気づくぐらいに朝からめいっぱい原稿に追われてTVを見るひまもあまりないほどだった。なので晩ご飯も超手抜きであります。

2005/10/30
焼き鳥ほか
 今日は予報より好い天気だったので乗馬に出かけたら、同じ思いの人が多かったのか、乗馬クラブ始まって以来の大盛況だったらしく、120頭いる馬のほとんどが厩舎を出されて馬場は大混雑。どうやら会員も急増しているらしく、馬場拡張の工事も始まって、ああ、ここでもまた私の「賑わし神運」が発揮されたようであります(^^; で、ちょうど引き揚げかけたときに三村さんからケータイに連絡が入って、帰りは湘南新宿ラインで白岡から大崎まで行き、品川で三村夫妻、進藤さんと会食。

2005/10/29
カレー
 絶食明けはまずジャガイモ、人参、玉ねぎのたっぷり入ったキャベツスープを食べ、そこからカレーに移行するのは定番。今日は使い残しのクミンとコリアンダーパウダー、ガラムマサラを適当に入れた自家製カレーで、ターメリックが入ってないので黄色くありません。アスパラガスをソテーして付け野菜にした。

2005/10/28
キャベツスープ(昨日の残り)
 今や世の中全体ムチャクチャだから誰が何やってもいいようなもんだが、今日は和泉元彌プロレス参入のプリエベンのようなものがさかんにTV報道されて、さすがに唖然としてしまった。どうやらコミカルにショーアップされたリングに本気で立つらしく、以前おすぎだかピーコだかが「何かよほどお金に困ってらしたんでしょうねえ」と言ってたけど、往年の名画『嘆きの天使』を想いだしてしまうほどのエゲツナサである。彼がここまでマスコミの玩具になるまでに、誰かがそれこそ「おとなの知恵」を出して何とかできなかったんだろうか。狂言界の人びとはこの事態をどう見てるんだろう?たしか野村萬斎は又従兄弟に当たるんじゃなかったっけ?などと色んなことを思ってしまいました(^^;

2005/10/27
キャベツスープ
 今日はお昼まで寝て、午後は完全に復調し、仕事も速やかにこなしました。夜は例によって定番のコレ。なぜか絶食あけはキャベツがどうしても食べたくなります。
ところで日本シリーズはあっという間に終わってしまって週末の楽しみがなくなりましたが、昨夜はまだ悪寒と吐き気があって実に苦しかったにもかかわらず、最終戦の最後のほうだけTVでちらっと見て、今江が猛烈ダッシュで阪神のバントを阻止した素晴らしいプレーに拍手を送ったりしてました。それにしてもボビー監督に人気があるのは何故か。私が思うに、彼はわれわれ日本人がアメリカをこよなく信じ、愛していたころのアメリカ人の顔をしているからではないか。ブッシュのアホ面とは違う、何かしら日本人をほっと懐かしい気持ちにさせるアメリカ人の顔がそこにあるような気がします。人の顔って結構だいじなものなのであります。

2005/10/26
絶食
 疲れが出たのか風邪をひいたのか、微熱があり、朝からお茶を飲んでも吐くという状態。このHPを更新するのがやっとのことで終日寝込んでしまった。秋山行ではいろいろと面白い話があるが、そんなわけで写真だけ載せた手抜きの報告となりました。ゴメンナサイ。

2005/10/25
秋山行(続)
 上段の写真は宿のそばに架かる橋。昔はもっと原始的な吊り橋で、こんな余裕のポーズはとても出来なかったはず。橋の下の河原はどこを掘っても湯が湧き出して自家製温泉風呂が楽しめる。
 中断の写真は郷の中ほど大赤沢地区にある蛇淵の滝。写真だとわかりにくいが、結構大きな滝で、轟音は相当なものだった。
 下段は山頂に雲のかかった苗場山。このあたりは要するに昔私がスキーでよく行った三俣高原とか石打のちょうど裏側に当たる地域なのだった。ちなみにプリンスホテルのある苗場スキー場は苗場山とは別の山で、堤さんが勝手に名づけたのだという話である。

2005/10/24
秋山行
 江戸時代の文人で民俗学の草分けとされる越後のひと鈴木牧之が著作『北越雪譜』で「信濃と越後の国境に秋山といふ処あり」と、秘境中の秘境として紹介した秋山郷。東京から一番近い早い行き方でも越後湯沢からバスを一度乗り換えバスの待ち時間を入れると4時間かかり、しかもそのバスは一日2回しか運行しないというのだから今なお秘境であることはたしかである。
今冬から新聞連載を始める『そろそろ旅に』の主人公は十返舎一九だが、一九は人生最期の時にあたって秋山郷に強い興味を持ち、牧之に『秋山紀行』を書かせて亡くなったという事実を知って、私はここをどうしても自分の目で見たくなった。何人かの国文学者の年譜には一九が鈴木牧之の息子牧山と草津温泉から秋山に入ったように記してあるが、秋山郷と草津は距離的に近いとはいえ、当時は秋田の猟師くらいしか通れぬ難所だと牧之の「秋山紀行」に記してあるので、一九自身がここを訪れたという事実はなかったものと思われる。こうしたところ研究者はとかく一方向からしか史料を見ないので、疑わしき点がいろいろとあるのも勘定に入れておかなくてはいけない。
 牧之が何度も「筆舌に尽くし難し」と書いている絶景をこのHPでは手抜きして写真でお届けする。例年の今頃なら紅葉がピークで、もっと素晴らしい景色になるという地元の人の話だった。その地元の人は今なお山田さんと福原さんがほとんどだという、チャーターしたタクシー運転手さんの話を聞いてビックリ!中津川峡谷に点々と民家が連なるこの郷一体は江戸時代に平家の落人部落として知られ、土地の人びとは外界と遮断した風変わりな生活を送っており、牧之はいわゆる桃源郷と見ていた。非常に不便な土地ではあるが、今日にまで連綿と続く血脈はこの土地がいかに離れがたい魅力を備えていたかの証左でもあろう。私が泊まったのは秋山郷の一番奥まった切明(きりあけ)という地域にある宿で、中段の写真は宿のそばを流れる滝、下段の写真は宿の露天風呂から眺めた景色である。上段は秋山郷に行く途中で立ち寄った清津峡の渓谷。

2005/10/23
キャベツとアンチョビのパスタ、生ハムとルッコラのサラダ
 天高く馬肥ゆる秋。きょうは乗馬クラブでも近所の馬事公苑でも恒例イベントがあったのだけれど、ここは少しも迷うことなくわが家のTVで、ディープインパクトの三冠達成を見届けた私である。シンボリルドルフ以来となると、武豊でもさすがにプレッシャーがかかったのか、ダービーのときのようなブッチギリではなく、非常に慎重なレース運びだったのは少し意外でした。ガチガチ本命のレースだと並木橋の場外でときどき馬券を買ったりもするが、今日は、ハハハ、なにせ1倍なもんで見送りました。それにしても乗馬を始めた目でレースを見ると、改めて騎手の方ってスゴーイ!と尊敬してしまいます。
 夜はもちろん日本シリーズ第2戦で、君は高山樹里か!といいたくなる渡辺俊介投手の奇妙な投球フォームを見ながら食事。明日は取材旅行に出るので超簡単な定番メニュー。

2005/10/23
寄せ鍋
 スラッシュの守部さんが遅ればせながらといって私に誕生日プレゼント(カメのお風呂洗面セット(^!^)をお持ちになり、一緒に日本シリーズ阪神vsロッテ第一戦を見ながら食事。鍋の中身はすけそう鱈、鶏団子、牡蠣ほか。
 以前、千葉マリン球場の試合が霧で中止になったというニュースを聞いたときは一体どんな球場やねん?と思ってたが、今日のゲームではTVの画面がみるみる白くなっていくのにビックリ!ホームランの行方も見えなくなって、ついに7回で前代未聞の霧コールドである。

2005/10/21
秋鯖の塩焼き、里芋と紅葉麩の炊き合わせ
 生麩は実家から送ってきた、もちろん「麩嘉」製である。料理屋で出す炊き合わせだと一椀でこんなに大量に使うことはないが、私は生麩が大好きなので、見てくれを構わずどっと盛ってしまいました(~.^)/
 で、昔は婦人誌などで紹介される京都の生麩の店はまずこの「麩嘉」に限られていたし、私も生麩はこの店の味しか知らなかった。女性誌は美容院くらいでしか見ない私だが、それでも最近別の店の紹介をよく目にするようになり、営業妨害になるので名前は伏せるが何誌かで紹介していた某店の生麩をたまたま買って食べたところ、コレって本当に生麩なの!と叫びたいほどのまずさに呆然としてしまい、昨今の雑誌編集者の大いなる不見識と、いい加減な情報の氾濫に腹を立てたのである。
 ある時期から雑誌はすべてが情報誌化してきており、この情報誌というものは妙にバランスを取りたくなるものであるのはかつて自分も携わっていた経験上よくわかるのだが、この店はよく紹介されてるから、今度は別の店を、てな具合で各誌が次々と載せてるうちに、京都で紹介されてない店なんてもうない!という状態になってしまった。で、この問題は別に京都情報に限ったことではないわけでありまして……。

2005/10/20
もんじゃ焼き、トン焼き、イカバターほか
 今日は早朝から久々に日本晴れとなりそうな感じだったので、午前中にガーッと仕事をして本日分のノルマを果たし、午後は乗馬に出かけました。たまにこういうことをしないと、不安定なフリーランスの物書きでいる価値は全く無いのであります(^。^)/で、帰りは向島にお住まいの熊谷夫妻をお誘いして、曳舟のもんじゃ屋で会食。ジモティーの奥様が作られたもんじゃやあんこ巻きやあんず巻きを美味しく戴いて、つい食べ過ぎてしまい、今お腹がはちきれそうになってこれを書いております。

2005/10/19
鰺のひらき、鶏ササミと小松菜の煮浸し
 鶏と小松菜の煮浸しはQPで見た料理。鶏のささみは塩で下味し、まず電子レンジで酒蒸しにしてから小松菜の煮浸しに加える。とにかく鶏肉に火を通しすぎないのがポイント。仕上げの薬味に柚胡椒を使う。  かつて近所の三茶栄通り商店街に「井上」という、裕福そうな老婦人の姉妹がいかにも老後の趣味でやってる風の小料理屋があって、お値段のわりに美味しいし、器もいいのを使ってたので1週間に2回くらいのわりで通っていた。一時は知る人ぞ知る店だったのか、往年の樋口可南子とか業界人も何人か会ったことがある。私がその店でゆず胡椒なるものを初めて食べたのはもう20年以上前になるのかもしれない。当時は何コレ?とオドロキの味だったこの大分名産の香辛料も、今や近所のスーパーに常備される時代となって、栄通り商店街の飲食店もかつてのあの「井上」のようにのんびりと営業できる状態ではなくなってしまった。仕事にゆとりがなくなって、その分どんどんとマズイものが氾濫しているという状況は何も外食産業に限らない気がするが、誰しもそのことに気づいていながら、誰にも止められないこの状態がいつまで続くのかは、また誰にもわからないのであった。

2005/10/18
レンコンと豚肉のあまから炒め
 QPのレシピ通りに作った。ニンニクと生姜のみじん切りをたっぷり入れた油でまずレンコン表面が透き通るまで炒め、酒、塩、胡椒でしっかり下味した豚肉を加え、砂糖と醤油でシンプルに味付け。好みで私は鷹の爪も入れた。
 今日は年末までに入稿を予定してる執筆量のことをふとリアルに考えて、ぞーっとしました~~;。で、まあ、頂上を眺めずにひたすら足下だけを見つめて坂道を登ることにします。こうなると遊びの予定は絶対優先しなくてはなりません(^.^)/

2005/10/18
チーズリゾット、若鶏のソテーほか
 お茶の帰りに友人と食事。

2005/10/16
さんまの塩焼き、秋茄子と揚げの煮物、豆腐とあおさ海苔の吸い物
 今晩のメニューは飯屋の定食といった感じで、パ・リーグのプレーオフ、ソフトバンクVSロッテ戦を見ながら食す。この間TV各局は株の買収劇にやたらとプロ野球チームの帰属問題をからめてたくせに、何故この大切なプレーオフを放送せんのだ!昨日なんて物凄くエキサイティングな逆転試合をやってるのにNHKBS7でも放送しないなんてひどすぎる!と怒りくるってた私です。で、今晩ようやくテレビ東京が放送に踏み切ってくれて、非常に引き締まったプレーを堪能しました。腐りきった鯛チームの消化試合などではなく、こういった旬のチームの試合を優先的にTV放送することこそが、プロ野球人気の凋落に歯止めをかける最も手っ取り早い手だてではなかろうかという気がします。

2005/10/15
野菜五色炒め、煮豚
 ニンニクの薄切りと鷹の爪を入れた油でジャガイモ、2色のピーマン、アスパラガス、シメジを炒め、酒、鶏ガラスープの素、塩、隠し味ていどの砂糖で味付けした。冷蔵庫に残ってた野菜で適当に作ったわりに彩りよく味もそこそこでした。煮豚は先日の残り。
 今週はどういう魂胆なのか話題の人村上ファンドのオーナーがTV各局に出まくりで、金儲けをする人としては実にまっとうな意見を述べているにもかかわらず、ゲストコメンテーターや司会者までがカッカして噛みつく様子がばかばかしいエンタメとして放送され続けていた。純粋に金儲けだけを追求する人間=悪いヤツという、今どきまるで時代劇みたいな古風な展開に視聴者を引きずり込んで一連の買収劇を片づけようとするTV報道のレベルの低さには唖然としてしまう。で、IT業界はそのTV局を買って今後大いに商品カタログとして利用するつもりのようだが、現時点で完全に広告の媒体と化してる民放TVなんだから、今さら放送の自由とかなんとかいわれても空々しく聞こえるだけだったりして。出版物も同様に今やタイアップやPRページの多い雑誌とカタログ誌との区別はつきにくく、たとえば「ミセス」が「ディノス」に買収されても、あっ、そう、で片づいてしまう。印刷物にしろ放送にしろ何を見ても聞いても、とにかくモノを買え!金を使え!と責め立てられるような感じが露骨にし始めたのはいつ頃からなのか、具体的には何がきっかけだったのか、こうした問題に対する興味はつきませんので、誰方かこれについて書かれたまともな本をご存知なら教えてください。

2005/10/14
静岡の名物
 その昔は東海道五十三次の府中、家康が築きあげた城下町で駿府と呼ばれた静岡市は東京から今や1時間ほどの距離で、近すぎるからかえって旅先にしようという気が起きないのかもしれない。今日は講談社の堀さんと共に取材でこの地を訪ねたが、彼女も私と同様、駅に降りるのは初めてだという。ともかくも駅前からタクシーでまっすぐ安倍川に向かって、橋の手前にある元祖安倍川餅の店「石部屋」で早々とお土産をゲットした。橋を渡って旧東海道を鞠子に向かい、「丁子屋」で鞠子名物のとろろ汁をランチに戴く。
 俗に名物に旨いもんなしなどといわれるが、「丁子屋」はいい意味でこちらの予想を裏切ってくれた。付出しのムカゴの梅和え、ワサビの葉のお浸し、ムカゴの揚げ団子、畳鰯の入ったみそ汁、いずれもこれまでに食べたものの中で似たような味を探しだすのが困難なくらいの珍味であり、且つおいしい。メインの自然薯を使ったとろろ汁は舌触りが非常に滑らかで、浅草のむぎとろとはまったく違った食感に驚かされた。とろろ麦飯共に量もたっぷりで食べ応え十分。この値打ちを知ってか、割合へんぴな場所なのに続々と人が入ってくる様子には唖然とさせられた。広重の版画を彷彿とさせる外観や古風な佇まいを残した内装も見事で、静岡近辺を訪れたらぜひ一度立ち寄ってみられることをお薦めしたい。また「石部屋」の手作り安倍川餅も新幹線の車中で売ってる大量生産の品とは全く別物で、これまた名物にも旨いもんはあった!ことをここにお伝えしておこう。
 「駿河なるうつの山べのうつつにも〜」という「伊勢物語」の和歌や、歌舞伎の「文弥殺し」の舞台として知られる宇津ノ谷峠は鞠子から車で十分くらいの距離にあり、近辺は旧東海道の面影をしっかりと残していた。鬱蒼とした木立の合間を縫う急傾斜の小径は文字通り昼なお薄暗く、東海道で一二を争う難所として知られた雰囲気を今に伝えている。
 安倍川沿いに海に出て海岸沿いに久能山に向かい、そこから旧東海道を再び市中に戻って駿河城址で「駿府十返舎一九研究会」会長の篠原旭氏にお目にかかった。城内の茶室で氏は一九について親切にいろいろとお話を聞かせてくださったあと、その生家跡や菩提寺にもご案内になり、最後に県庁ビルの最上階に昇ってわれわれは静岡市を一望する。穏やかな駿河湾に面し、小高い山々の懐に抱かれ、近くに富士の美峰を望むなんとも素晴らしい景観に見とれ、ここは古代から人が暮らしやすい土地だったにちがいないという実感が湧いた。今でも町なかはずいぶんと賑わっており、近年にありがちな地方都市的な寂れ方は全然していないのがやや意外だったが、これも暮らしやすさの反映なのだろうか。こういう町に生まれ育った人は、きっと人柄が悪くなるはずがないという確信を得たことが、今回の取材旅行で最大の収穫だったかもしれない。
 写真は上から「丁子屋」の前、宇津ノ谷峠の山道、駿河城。

2005/10/13
煮豚
 フジテレビで紹介したレシピで作ってみた。味醂と醤油を同量で煮立ててそこに塩と胡椒で薄く下味したブロック肉(テレビでは肩ロースを使ったがスーパーに無かったのでバラブロックで代用した)を沈め、その上から肉が完全に隠れるくらいどっさりと玉ねぎのスライスをぶち込んで1時間ほどただただ煮込むだけ。煮ぬき卵を加え、青梗菜を添えて、オニオンスープ状になったタレをかける。非常に簡単にできるのでこれはオススメ。
 今日はいよいよ英語が小学校から必修科目になるというニュースが流れたが、これで日本人も英語がペラペラになると素直に思えた人はどれだけいるんでしょうか。私は小中高とフランス系の修道会が経営するミッションスクールで学んだので、小学校1年からフランス語を学び、3年から英語を学びました。小学校の英語の先生は生徒全員に英語名を与えて、ちなみに私はデージーでした(笑)。フランス語なんて結構できたほうで、生まれて初めてもらった賞が仏国領事館賞だったのに、今はIl fait beau temps(好いお天気です)くらいしか言えません。英語のほうも仕事でロンドンに独りで一ト月暮らしたときはなんとか話してたけど、今は単語が全く出てきません。てなわけで語学は所詮手段だから、実際の必要に迫られないと、いくら学んだところでムダになるわけであります。
 「銀座開化事件帳」関係の史料を読むと、維新直後の日本は今よりもっと英語熱が高かったような気がするほどで、英語学校があちこちにできており、京都では丁稚でも英語を話すという新聞記事が見られたりします。にもかかわらず百年たってもこのていたらくは何なの!と思ったものですが、まあよく解釈すれば、その後はさほどの必要に迫られなかった、つまり幸いにも列強の植民地にされず、国内に働き口があって他国に出稼ぎに行かずに済んだということなのでしょう。では今後は一体どうなのか。アメリカの指揮の下で軍事に参加するためにはむろん絶対に英語が必要だし、ひょっとしたら国内産業だけではもう経済がまわらなくて他国にどんどん出稼ぎをしてもらわなくてはならない、というふうに文科省は考えておるのかもしれません。
 で、いっぽう日本人はなぜ英語がうまく喋れないのかというと、主語述語目的語の並びなど文法が著しく違っていることもあるのでしょうが、なんといっても一番大きな理由はメンタル面ではなかろうかと思います。私は芝居を見る目的で初めてロンドンを訪れたとき、現地の知り合いから役者の卵である英国人の若い女性を紹介され、初対面のその女性からいきなりWhat do you think ob〜(あなたそれについてどう思うの?)を連発されて大いにうろたえ、どうしてもI think that……で絶句してしまうのでした。日本では初対面の人からズバズバそういうことを訊かれる想定はしないために、こちらにちゃんとした答えが用意されていなかったわけで、自分がいかに通りすがりの人には当たり障りのない会話しかしてこなかった典型的な「日本人」であるのかを、そのとき私は思い知らされた次第です。ひるがえって現代の日本の若い人や子どもたちは母国語で他人ときちんとコミュニケーションが取れてるのでしょうか。母国語で取れない人間が、他国語でどうしてコミュニケーションが取れましょうか。そんなもんちゃんちゃらおかしうて、アホらし屋の鐘が鳴るわい!と私はいいたいのであります。以上、国内バイリンガルでした、チャン、チャン。

2005/10/12
豚肉と野菜の中華風胡椒炒め
 フジテレビで見た料理。油にまず黒胡椒をたっぷり入れて、ニンニクと生姜のみじん切りを加え、酒と醤油で下味した豚もも肉、玉ねぎ、シメジ、緑と赤のピーマンを炒め、鶏ガラスープ、醤油、オイスターソース、隠し味ていどの砂糖で味付け。シンプルな調理のわりに妙に本格中華っぽい味でイケル。
中華といえば、今日は中国がまたまた有人ロケットの打ち上げに成功したニュースが流れ、打ち上げ自体にはもう驚かなかったが、なんといっても感心させられたのはその宇宙食である。やはりしっかり鮑とかイカ団子とか焼き豚とか八宝飯を食べるらしい。さすが中国人は「食」に対する取り組みが違う!日本人もチキンラーメンとかSMAPカレーとか食べて喜んでる場合ではないのである。

2005/10/11
牡蠣フライ
 付け野菜はベビーアスパラ。タルタルソースを手作りしたらパセリが余って、フライの衣にも混ぜたのに、まだ大量に残っている。亀もどうやら苦手なものらしく、鼻の前にかざしただけでバタバタと逃げていった。失敗だった。

2005/10/10
炒り鶏の煮物
 煮物は下ごしらえが肝腎。というわけでフジTVで紹介していたコツを守って作りました。里芋は酢を垂らした水から煮るとアクやぬめりがとれる。ゴボウも水であく抜きしてから人参と一緒に下茹でする。鶏肉は油で炒めてから煮る。だし汁に酒、味醂、醤油を同量入れて味付けし、砂糖を隠し味ていどに。最後に塩茹でしたインゲンをトッピング。

2005/10/09
海老チャーハン、餃子
 乗馬クラブの帰りに大宮の駅でお腹が空いてたまらず、駅構内のファストフード店で食べてしまう。

2005/10/09
川上のおせち(PR)
 右の写真は川上本店で販売する角型二段重で二百個限定(税込¥20,000)。
 一の段は小鯛の南蛮漬け、平目の求肥巻き、鱒の幽庵焼き、アマゴの南蛮漬け、焼き車海老、青唐の串打ち、イクラの西京漬け、長芋甘煮、ちしや唐の蜜漬け、数の子、栗蜜煮、栗渋皮煮、千代呂木、青味大根の昆布じめ、お多福豆、粕梅、焼き板蒲鉾、羽子板蒲鉾、黒豆、田作り、はじかみ、つくばね以上22品。
 二の段は車海老姿煮、鶏肉巻旨煮、サーモン西京漬け、トコブシ、小鯛笹漬け胡瓜酢、砧巻き、堀川ゴボウ、梅人参、くわい、金柑蜜煮、ブロッコリーの蜜煮、利休麩、紅白梅麩、筍、しめじ、ひろうす旨煮、絹さや以上17品。
 こちらのご注文は川上(電話075-561-2420担当川村まで)にて一応12/20まで承っておりますが、数に限りがございますのでお早めにご予約ください。

2005/10/09
川上のおせち(PR)
 今年も祇園「川上」ではおせちのお重詰めを限定販売致しますのでここにお知らせします。
 右の写真は日本橋高島屋で二十個限定販売(税込¥52,500)の丸型二段重。
 一の段は車海老の姿煮、平目求肥巻き、鮑の旨煮、サーモンの西京漬け、からすみ、数の子、花百合根の蜜漬け、ちちゃ唐の蜜漬け、千代結びの紅白蒲鉾、田作り、黒豆、千代呂木、つくばね以上13品。
 二の段は鴨ロース、鰆の幽庵焼き、アマゴの南蛮漬け、ゴリの甘露煮、イクラの味噌漬け、筍、くわいの旨煮、利休麩、紅白梅麩、笹巻き麩、香茸の甘露煮、栗蜜煮、栗渋皮煮、菊かぶら甘酢漬け、はじかみ以上15品。
 こちらのご注文は高島屋日本橋店にどうぞ。

2005/10/08
鮭のカブラ蒸し
 近所のスーパーのパンフで見た料理。鮭の切り身には塩と酒をふって臭みと水気を抜いておくこと。すり下ろした蕪は網で漉してこれも汁気を抜き卵と混ぜ合わせて塩と味醂で味付けし、ここに椎茸と銀杏(私は枝豆にした)を加えて鮭にのせ、電子レンジで火を通せば簡単にできる。だし汁に酒、醤油、味醂と合わせて水溶き片栗でとろみをつけたあんをかけて食べる。卵を丸ごと一個使ったら写真のようにとてもカブラ蒸しとは見えない色に仕上がってしまったが、蕪のほのかな甘みはうまく活かされて見た目より美味しくできました。

2005/10/07
明太子スパゲティ、春菊のサラダ
 サラダはQPで見た通りに作ってみた。春菊は葉の部分だけをむしって使う。それに白髪ネギを合わせて、シメジをマヨネーズで炒めて酒とレモン汁を加えたソースをかける。香りは豊かだが、口当たりを考えると春菊は新鮮で柔らかいものを選んだほうがよさそうだ。
 今日たまたま夕方TVを見てたら、あのドクター中松がノーベル賞のパロディであるイグ・ノーベル賞を受賞したというニュースが流れ、彼はなんと自分が食べた食事を35年間毎日欠かさず撮影していたという事実を知りました。先日友人に亀をかたどった結構オシャレなジュエリーの写真を見せてもらって、欲しいなあと言ったら、あの井脇ノブ子代議士も大きな亀のブローチを付けてるわよと言われたのと似たようなショックを感じております(笑)。

2005/10/06
レンコンの落とし揚げ、鯛の昆布じめ、茗荷と卵のおつゆ
 人形劇センターの塚田さんがわが家に訪れて一緒に食事。レンコンの落とし揚げは前にQPで見たのを想いだしながら作った。レンコンと大和芋のすり下ろし、卵とツナギの片栗粉を少々を混ぜて塩で味付けし、剥き海老、椎茸、枝豆(TVでは銀杏)を加えて油で揚げる。実にヘルシーでボリューム感もあり、ふわふわした食感がこたえられない。オススメである。鯛の昆布じめは近所の大島さんに教えられて作り始めたが、超簡単(昆布で巻くだけ)にできて、こうするとそれほどいい鯛でなくても食べられます。
 同世代の塚田さんとは、現代の日本社会のマンガチックな感じに対して思うところや、世界全体にある種の絶望感を抱いているところが一致しており、ここには書けない実体験に基づくエピソードを披露し合いつつ、互いにクールに笑って歓談の時を過ごしました。

2005/10/05
大阪寿司、ポテトサラダ
 今日は渋谷のA信託銀行に通帳の書き替えに行って晩ご飯は帰りに渋地下でゲット。 
 数年前にA信託銀行で買ったハイリスク・ハイリターンの投資信託が一時元本割れしてたのに、今日の調べでなんと倍近く戻しているのにはビックリ!ふだんまったく実感はないが、金融面に関するかぎり、日本はどうやら完全に景気回復した様子である。私が買ったのは言うまでもなくお話にならない微々たる額だけど、世間にはこの間スゴク儲けている人が確実にいるということなのだった。小泉が勝って海外マネーがどっと流れ込んできたのが好況につながっていると思えば腹立たしいとはいえ、日本社会はもはや否応なく世界的金融経済に依存しなくてはやっていけない体質に変わりつつあるのだろう。小説を書いたりしてる場合か!という気にもなるわけである。色んな意味で。 
 この銀行で私を担当してるSさんは、見かけまるで時代劇に出てくる薄幸な町娘といった感じの古風でおとなしそうな美人だが、実際はかなり仕事のデキル女性で、世界経済の動向を私に教えながら資産運用(なんていうほど大した額じゃありませんけど)のアドバイスをしてくださる。BRICsなんて言葉(近年経済成長の著しいブラジル、ロシア、インド、中国)も彼女からかなり以前に教わったものだ。 私は個人的には金銭に淡泊なほうだけれど、経済の話(それは一方で地球環境の変化を物語る情報でもある)にはとても興味があるので、年に何度か彼女と会っていろいろと教わるのを楽しみにしている。で、彼女のほうは以前から意外にも時代小説ファンだったそうで、私のも何作か読んでいただいているらしい。今日は「これ買いました」といって最新作の『家、家にあらず』を差しだされて妙に喜んでしまいました。

2005/10/04
鮭の照り焼き茸添え
 フジテレビで見た秋らしい簡単料理。醤油、酒、味醂を合わせてレモンの輪切りを入れたタレに鮭に切り身を1時間以上漬け込んで焼く。そのタレで茸と青唐辛子のソテーも味付けする。鮭は焼いている途中で刷毛でタレを塗ると照りが出る。

2005/10/03
栗と茸のクリームパスタ
 QPの秋にふさわしい提案である。オリーブ油で玉ねぎのみじん切りとベーコンの細切りを炒め、栗と数種の茸をさらに炒めて白ワインで煮てから生クリームを加えて塩、胡椒で味を調える。パスタは幅広のフェットチーネを使う。生クリームを入れてからは火を弱めて煮立たせないように注意すること。栗の皮を剥くのが大変なだけで、あとは簡単にできた。
 このHPはほぼ完全な日記なので、自分の過去がすぐに確かめられる。で、ちょうど一年前の10月3日、私はバリ島のホテルで海外のミステリーを読みながら丸一日のんびり過ごしていたのがわかった。10/1〜6日まで滞在したホテルは今度のテロが起きたクタ地区やジンバラン地区とは反対側の海岸沿いヌサドウア地区にあった。ホテルに入る車はすべて探知機がかけられるなど、警備はそこそこ厳重だったものの、去年はすでに3年前のテロの傷は完全に払拭されて、まさか再びテロが起きるなどとは想像もつかない雰囲気だった。今年は仕事が詰まっていて無理だが、来年か再来年あたりもう一度訪れたいと思っていた土地だけにショックである。なにせ観光収入に頼って暮らしている人が大半の土地だったから、今後当分のあいだ経済的ダメージは計り知れず、現地のガイド兼ドライバーで親切にしてもらったマンガさんやロビンス君のことを想いだすと胸が痛む。もっとも現地では必ずしもいい思いをしたばかりでなく、現在の世界は色んな矛盾と混乱に満ちて大変だなあというようなことを、脳天気な日本人のひとりとして、深刻に考えさせられもしたのだった(詳しくお知りになりたい方はNEXTマークを12回ほどクリックして過去の記録をどうぞ)。
 スマトラ沖地震から立て続けで不幸な出来事に見舞われたインドネシアが早く立ち直ることを祈りたいと同時に、地震やテロに関してはこの日本も決して他人事ではないと思わざるを得ない。愛知博から失踪した人びとのニュースを聞いて、だれもそんな発想はしなかったようだが、私はテロ要因が潜伏したのではないことを真っ先に願ったものだ。

2005/10/02
鉄板焼き
 新潮社の方々から戴いた肉がまだあったので、スラッシュのふたりを招いて食事。写真はすでにあらかた食べて淋しくなった鉄板で、食べる前に必ず撮るってのもなかなか大変なのです(笑)。

2005/10/01
レンコンとソバのすいとん汁
 近所のスーパーで配ってるパンフに「血圧を安定させるレシピ」として載っていた。私は血圧に何の問題もないけれど、レンコンが好きなので作ってみました。ニンジン、ささがきゴボウ、油揚げ、糸コンニャク、シメジを入れた汁にレンコンのすり下ろしとそば粉を混ぜたものを加えるだけ。味醂と醤油で味付け。レンコンのせいだと思うが食べるとかあっと熱くなって汗が噴きだす。寒い時期にオススメしたい。
 昨日今日と立て続けに自分のエッセイが載った雑誌が届いたが、頼まれた時期が一ト月以上違ったのと、枚数にもかなりの開きがあったので、似たような話を書いたところ、刊行時期はバッチリ重なってしまった。全く系統の異なる雑誌だし、切り口も変えてはいるが、同じ史料を使ったので、二誌とも目にされる方が少ないことを祈りたいものであります。
 私は基本的に書評の類はすべてお断りして、エッセイはなるべくお引き受けするようにしているが、出来上がった雑誌を見てつねづね興味深く思うのは執筆者の人選です。専門誌はともかく、一般誌は、これってどういう基準で選んだんだろうと思うことが多い、なんて書くとまるでイチャモンつけてるようですが、決してそうではありません。純粋に不思議な気がするのです。たしかに今ならこの人だろうな、というような類のエッセイとは違い、何人かに同じ文字数で書かせて、さりげなく載せる場合、沢山の人が頼まれて、なぜ私なの?なんて別に誰も思わずに(私もむろんそうです)書いてるのだし、読むほうだって誰もそんなことを気にしないで読むのだけれど、自分が執筆したのと同じコーナーに、思わぬ人の名前を発見して、今日はちょっぴり嬉しくなりました。
 「潮」11月号の「波音」というコーナーには木村尚三郎先生や辺見じゅん氏も書いておられるのだけれど、私が見つけて嬉しかったのは尾車浩一という名前。だれ、その人?とお思いの方が多いと思いますが、これぞ大相撲の尾車親方、現役時代のしこ名は琴風といって、私の大好きな関取でした。ぽっちゃりした童顔だけど、現役のときは豪快な取り口で観客を魅了しました。とにかくケガに泣いて非常に苦労した人だけあって、人柄が実に練れてるし、頭もよくて相撲解説も実に巧い方です(なのに舌たらずのしゃべり方がまたカワイイ)。あの琴風様とコーナーでご一緒できたなんて!と、バカみたいに喜んじゃったのであります(笑)。ちなみに私は昔から人でもモノでも偏愛する向きがあって、その対象となるのは他人がたいがい何故???と絶句するようなケースが多いのですが、いったん偏愛すると、愛は冷めることなく、とことん追求してしまいます。最近たまたま映像を見てそそられているのはハシビロコウという鳥です。

2005/9/30
鶏肉とカボチャの甘味噌炒め
 QPで見た料理。下味して軽く粉をまぶした皮なしの鶏もも肉とカボチャを炒めて、味噌、酒、きび砂糖で味付けし、最後に大きめに切った万能ネギをちらす。カボチャは電子レンジで熱してから切るといい。万能ネギがヌタのようになって美味しいので、欠かせないトッピングである。

2005/09/29
水菜とお揚げの煮物、ちりめん山椒ご飯、コンニャクの味噌田楽
 ここんとこずっとご馳走続きだったので、今日は胃休めの食事を取りながら阪神の胴上げを見る。といっても別に阪神ファンだったことは一度もない。
 わが家は屋号が「川上」というくらいで、昔は大の巨人びいきだった。九連覇のときは川上監督以下選手たちがよく店を訪れ、私は王選手の大ファンだったので、店で握手してもらって大感激!その手を二、三日洗わなかったものだ。思えば私は当時から自分が会いたい人には必ず会えるという強運に恵まれていたようで、今まで会いたいと思ってどうやら会い損ねてしまいそうなのは宮沢喜一氏くらいである。
 で、甲子園の巨人阪神戦はよく見に行って、巨人選手が乗る球場バスにも同乗させてもらったが、当時は阪神ファンがそのバスにガンガン石をぶつけて窓硝子が割れるような騒ぎがあった。観客席でも阪神ファンのガラの悪さは大変なもので、巨人ファンとわかるとビール缶を投げられたため、今でも阪神ファンになる気はしないのであります。
 ともあれ今年のトラの立役者JFKのひとり藤川球児の顔を見ると、中学生のころの私にそっくりなので、他人のような気がしません(笑)。

2005/09/28
オイル焼き、アーサーと鯛の汁椀
 たぶん関西だけの名称で、今はあまり使われていないような気がするが、私は子どものころ上等の牛ヒレ肉と野菜を鉄板焼きにして、おろしポン酢で食べる「オイル焼き」というものが大好物だった。で、きょう冷蔵庫を開けたら、きのう新潮社の方々がご持参になり、うっかり私が出し忘れてしまった(ゴメン!でもわざとじゃありません。許せ姐さん、クスノセ、サノッチ、範央さん)霜降り牛肉がびっくりするほど大量に残っていたので、それを使って久々にオイル焼きを楽しみました。アーサーとは沖縄のあおさ海苔の乾物で、これは妹の沖縄土産。きのう拵えて余っただし汁とこれまた鯛の刺身の残りと併せて美味しい椀物ができました。オイル焼きは掲載した写真の分量をダブルで戴き、いやー、とにかく飽食の二日間であります。今日は気づいたのが遅かったので人を誘えませんでしたが、肉はまだたくさん残ってるので誰方か食べにいらっしゃいませんか?

2005/09/27
鯛の刺身、焼き松茸、土瓶蒸し、松茸と霜降り牛肉のスキヤキ、サンマと茄子の南蛮、松茸ご飯ほか
 例年9月28日の誕生日前後には実家から国産の松茸が送られて来るので、親しい友人の中から二人ずつお招きして拙い手料理を披露していた。
 ところが今年はたまたま新潮社の小林姐さんが新担当を紹介しがてら食事しませんかというお誘いが早くにあって、日取りがななか決まらず10月半ばに持ち越しとなりそうだったのに、私がこの松茸の話をしたらたちまち全員の予定があいたそうで(笑)、姐さん、佐野氏、楠瀬氏、新担当の田中範央氏の4人が打ちそろって、極上の霜降り肉や尾頭付きの鯛などをご持参でお越しになりました。てなわけで、お花を頂戴し、シャンパンの乾杯に始まって蝋燭を立てたバースデーケーキ入刀に至るまで、五十を過ぎた私は恥ずかしながらしっかりと誕生日を祝われてしまいました(笑)。で、日付変わって最後は『銀座開化事件帖』の今後の展開についてのご意見も続出し、さすが新潮社の方々は仕事の押さえもしっかりとなさって(泣)お帰りになりました。

2005/09/26
お好み焼きほか
 お茶の稽古のあと例によって三村さんと「文字平」で食事。三村さんと共通の友人である元ペヨトル工房主宰の今野裕一氏がたまたまこのHPにヒットして「松井さんはなんで食べたことばっか書いてんの?」と言われたそうだが、タイトルをちゃんと見るべし!このコーナーはあくまで私が晩ご飯に何を食べたかを記すのが基本なのであります(笑)。

2005/09/25
寿司弁当、レンコンと茸のサラダ
 京都から昨日戻って来た理由は、何を隠そう、今日に予定していた乗馬です。馬は毛並みや顔や気性はもちろん、体格もさまざまで、今日は一鞍目が小柄な牝馬、二鞍目はビックリするほどデカイ牡馬でした。体格によって当然歩幅が違ってくるから揺れ方のリズムも変わり、馬を見て乗り方を臨機応変に変えられるようでないと外乗はできないわけであります。クラブには120頭ほどいて、私がすでに乗ったのは20頭足らずですが、その中でも相性の良い馬、悪い馬があり、今日は幸い2頭とも利口な馬だったので助かりました。晩ご飯は帰りに東横のれん街でゲット。

2005/09/24
だし巻きほか
 肝腎の打ち合わせは2時からなので、せっかく京都に来たのだから少しは観光もしようということになり、修学院に住む妹の勧めで叡山電車で鞍馬に向かう。大河ドラマの影響もあるのだろう、叡山電車は満員で、紅葉のまだ全く見られない鞍馬山があまりにも大勢の人出で賑わっているのにビックリ。だがそれにもましてスゴイ!のは下界の祇園界隈で、「辻利」にズラーっと並んだ行列や、一力亭の前で舞妓の出待ちをする人びとの群れを見ると、わが実家はまさにテーマパークのど真ん中に置かれた状態で、何ともいえない気分になる。ともかく久々にオン・シーズンの京都にどっと疲れて食事場所を探す気にもなれず、またしても「川上」で賄い飯を食して京都をあとにした次第である。

2005/09/23
鱧焼き、鱧鍋ほか
 急な所用で岡野さんと京都に行かなくてはならなくなり、連休中でホテルさがしはが大変だったものの、晩ご飯は余裕で「川上」のフルコース(笑)。トウモロコシ豆腐の付出、川魚を主とした八寸に始まり、松茸の土瓶蒸し、お造りは鯛や鱧の落としの盛り合わせ、柳川風の鱧鍋、冬瓜の田楽、鱧焼き、鮑の酢の物、無花果のコンポートに至るまで、わが実家ながらやっぱり本当に美味しい!写真の上段は、あの冬瓜がどうしてこんなに美味しく炊けるの!と初めての味わいに驚かされた田楽。中段は、コレを食さずして鱧焼きを語る無かれ、且つ「川上」を語る無かれと言いたいわが家の逸品。下段は舌でとろけそうなほどに柔らかい蒸し鮑の酢の物仕立て。

2005/09/22
〈花の会〉20周年パーティ
 二十年前にPTAで知り合った世田谷在住の主婦、池田孝子さんと杉浦邦子さんは能の世阿弥について学びたいという思いで100名近い同志を募り、狂言の善竹十郎師を講師に招いて二年がかりで「風姿花伝」を読了。以来〈花の会〉と称する勉強会を継続し、途中で杉浦さんが名古屋に引っ越されたあとは、池田さんを中心に赤尾さんや橘和さんといった新たなメンバーが世話役に加わって、なんと同会を二十年間も継続維持!今日は初台にあるオペラシティ最上階の「ロゼリアン」で祝賀パーティが行われ、それにご招待を頂いた。
 私が初めて講師に招ばれたのは善竹師の直後ぐらいで、近松門左衛門についての講義を皮切りに、そこから十年近く専属講師的な扱いで歌舞伎や浄瑠璃に関する講座をもたせて頂き、職替え(笑)をした今でも一年にいっぺんは招かれている。最初はまだ三十五歳の若造(小娘とはいいにくい(笑))で、全員年上の方々に「先生、先生」と呼ばれるのが実に面映ゆかったのを想い出す。
 それ以上に怖かったのは、この会のメンバーがどういうわけか、これはお世辞でもなんでもなく、非常に博識かつ聡明な方々が多かったということである。たとえば近松の作品を声に出して読んでみてくださいといえば、かなり難解な古文をすらすらとお読みになる方がいくらもあるし、「源氏物語」の五十四帖全部を原文で読み通された方はいらっしゃいますか?と尋ねたら、即座に十人くらいの手が挙がったという恐ろしさだ!
 私は結婚をしていないせいもあって専業主婦の友だちはほとんどいない。昔は研究者や演劇関係者、今は編集者が周りに多くて、つまりはずっといわゆる文化的なお仕事のプロに取り巻かれてきた人生である。この会のメンバーのほとんどはそういったプロではないのに、プロの方より文化的教養が幅広く、見識の高い人が多いのは何故なの!との思いを常々抱かざるを得なかった私である。
 世間は決してナメてはいけないということを〈花の会〉は若年の私に教え、日本の文化はこういった人たちの手で持ち上げられているのを確信させたが、この会にも当然ながら高齢化の波が押し寄せている。今後こういった形で日本文化を支えてくれる層が果たしてあるのかどうか、演劇人や出版人は大いに憂慮すべき点だろうと思われた。ともあれ最後は二十五周年パーティの開催を祈りつつ、世話役の人たちと記念撮影をしてお別れした(ピンク色のドレスを着てられるのが発起人の池田さん、左端の女性が同じく発起人の杉浦さん)。

2005/09/21
弁松の白二重弁当、レンコンと海老の挟み揚げ
 今日の昼間は講談社の堀さんと一緒に築地の東陽院にある十返舎一九のお墓にお参りをした。勝どき橋の近所にあるこのお寺は門のすぐ脇に十返舎一九の文字が書かれた大きな石碑があるが、「これはお墓ではないんですよね」と、既にリサーチ済みの堀さんは余裕の発言。ところが境内は車が四、五台置ける駐車場になっていて、その奥正面に本殿があるばかりで、墓場らしきものはまったく見あたらない。仕方なく本殿の硝子戸を開け、そこにおられた年輩の女性に一九の墓を拝見したい旨を告げたところ、廊下を奥のほうにどんどんと案内される。で、目の前にあらわれたのが室内にある墓場だったのにはビックリ!最新流行のマンション型墓地に似ているが、墓石が古いものばかりなのでいささか異様な景観だった。一九の墓石は表面が相当に傷んでおり、戒名も判別が難しいほどだが、とにかく二人でお線香をあげて掌を合わせた。
 私は十返舎一九を主人公にした作品(仮題『そろそろ旅に』)を今秋から新聞に連載し、二年後に講談社から出版する予定で、登場人物のひとり小田切土佐守のお墓にはすでに参っているが、肝腎の主人公には遅ればせで本日ようやくご挨拶を申し上げた次第だ。
 このお寺はもともと浅草にあって、関東大震災で被災して今の築地に移転し、その後も戦火に見舞われたりして過去帳も何も残ってはいないという。ただ新潟には一九が宿泊した旧家が今も続いているらしく、墓に案内してくださったこのお寺の女性にはそこの訪問を勧められた。ともあれ長丁場となりそうなこんどの仕事で、今日がまずは芝居なら「顔寄せ」といったところである。帰りに銀座三越で夕食をゲット。

2005/09/20
ひよこ豆のチリ煮
 ニンニクと玉ねぎのみじん切りと合い挽き肉を炒めて塩胡椒し、フレッシュトマトにひよこ豆を加え、ハーブのオレガノ、白ワインで風味をつけ、チリペッパーを足してぐつぐつ10分程度煮込めば出来上がり。オレガノは是非ともフレッシュなものを、ひよこ豆も乾燥したのを戻してお使いください。おいしさがゼンゼン違います!とQPの先生は力説した。しかしながら今日は連休明けとあって、朝から煩雑な仕事がどっと舞い込んで私にいつもの余裕はなく、ひよこ豆は缶詰を、オレガノも乾燥したのを使い、それでも結構おいしくできましたよ、先生。

2005/09/19
エリンギの肉巻き
 QPで見た料理。縦に割いたエリンギを塩胡椒で下味した薄切り肉で巻いてバタソテーし、醤油で味付けするだけ。肉には薄く粉を振ってノリにし、斜めに巻くのがポイント。付け野菜のほうれん草を私はアスパラに変えた。ワンプレートにして食す。

2005/09/18
月見団子汁
 今宵は中秋の名月があまりにもみごとなので久々にお供えをしました。写真は使用前と使用後(笑)。けんちん汁にお供えのしんこ団子を入れただけです。

2005/09/17
塩鮭、空芯菜のオイスター炒め
 今日はお昼を遅めに食べたのでイマイチ食欲が湧かずにおざなりな晩ご飯となった。
 で、またしても選挙ネタで恐縮だが、京都にいる妹の家の真向かいに昔から前原誠司が住んでいて、真面目な人柄みたいなので(笑)妹はずっと彼を応援し続けて、結党以来民主党に票を入れているのだという。今日は民主党の代表選でその前原氏が党首となり、夕方ごろは自宅の前がごった返していたらしい。で、夜になったらまるで引っ越しちゃったみたいに真っ暗だそうである。

2005/09/16
ちゃんこ鍋ほか
 シアターコクーンで今秋演劇界最大の話題作「天保十二年のシェイクスピア」をぽぷら社の矢内さん、文春の内山さん、そして守部さんの友人の小川さんと一緒に観劇。終演は十時半で、それからゆっくり食事ができる場所として、情報通の小川さんにこれまた話題の(笑)ちゃんこダイニング「若」に案内してもらい、御三方ともほぼ初対面に等しい面子ではありましたが、共に夜中の3時過ぎまで歓談。芝居から話は先日の選挙や出版界の状況に及び、いずれもきわどい本音トークの続出で、たとえば若手ナショナリスト系評論家として売りだすF氏を評して「ここだけの話、あんたみたいなデブに何も言われたくない!という気持ちだ」とのサベツ発言や、性描写に定評のある某有名作家に対して「小説に出てくる女性のファッションがみんなヘン!で、モデルにした女の二流度が知れる」といった悪口には笑えました。
 で、芝居は30年以上前に書かれた井上ひさし氏の戯曲で、氏のパロディ精神と言葉遊びが極限に達したものではあるが、戯曲としてそう優れているとはいえない。しかしながら芝居はやはり戯曲だけが完全な決め手にはならないのである。蜷川幸雄のダイナミックな演出で、贅沢なキャスト陣がパワー全開で演じれば、先日見た「小林一茶」がいかに戯曲として優れていても、舞台の面白さは段違いでこちらに軍配があがるのだった。それにしても蜷川さんが70歳でなお今度の多士済々の役者たちを力業でねじ伏せて、且つ実に楽しそうに演じさせていることはスゴイ!としかいいようがない。もっとも役者たちが楽しそうに演じることの一端は戯曲に与るところもあるのかもしれない。
 「リア王」の幕開きから「ロミオとジュリエット」「マクベス」「ハムレット」「リチャード三世」「オセロ」といったありとあらゆるシェイクスピア作品のモチーフが「天保水滸伝」のヤクザの抗争にからめてミュージカル仕立てで(宇崎竜童の音楽もイイ!)綴られるこの異常な作品の中で、たとえパロディであってもシェイクスピア戯曲の主人公を演じられるのは、ひょっとすると役者という人種にとっては実に気持ちの良い体験なのではあるまいか。そんな風に思わせたのは「リチャード三世」と「オセロ」のイヤーゴを匂わせる成り上がりの猥雑なヤクザに扮した唐沢寿明で、多彩なキャスト陣の中でも、また彼のこれまでの舞台の中でも出色の出来映えではないかという気がする。「リチャード三世」はパロディだけでなくぜひ本役でも見たい!と蜷川さんにお願いしたくなりました(市村さんには悪いけど)。すでに本役でロミオとハムレット演じている藤原竜也もまたパロディとホンキを行きつ戻りつして、若年ながら演技力のしたたかさを見せつけてくれたし、「マクベス」と「オセロ」の二役ががおいしく演じられた勝村政信も今回はかなりの力演。男優陣ではほかに吉田鋼太郎(リア王)や壌晴彦、木場勝己、女優陣では夏木マリ、高橋恵子、白石加代子といった蜷川チームのベテランが脇をしっかりと固め、いずれもホンキのハイテンションでやってるからこそパロディの面白さが際立つのだった。で、役者たちからそのホンキを引き出したのはいうまでもなく蜷川さんの力であり、幕が開いて何日かしてからダメ出しで抜き稽古までしたという秘話を制作の大宮さんから聞いて、心から脱帽した。
 ただこの四時間の上演時間をものともせず立ち見する観客が大勢いて、カーテンコールにスタンディングオベーションが出る客席を前にしたら、役者もますますテンションはあがって、芝居は完全に勝ち組スパイラルに突入する。で、近年はこうした圧倒的な勝ち方をする芝居もあれば、大敗を喫するのもあって「ここんとこの蜷川さんはまるで小泉みたいな勝ちっぷりですよね」なんてもし本人に言ったら、さぞかしイヤーな顔をされるにちがいありません(笑)。

2005/09/15
牛肉と里芋のピリカラ煮
 久々のQPです(笑)。里芋を豆板醤で炒め、砂糖、酒、醤油、ニンニクのすり下ろし、ごま油で下味した牛肉を入れてさらに炒め、長ネギのぶつ切り、インゲンを加えて出汁、醤油、味醂で調味して煮込む。里芋は塩もみしてぬめりをとってから炒めるのがポイント。里芋のねっとり感がおいしい。
 今日は新装オープンしてきれいになったジムにも久々に行って、新たなマシンを試したあとに、マッサージ器を利用。最近のマッサージ器は異常な進化を遂げているのは知ってたが、今度ジムに入ったのはたぶん最新型なのだろう、あまりにも意表を突かれる連続技で、からだが休まるどころか逆に緊張してしまいました(笑)。寝る前にミステリーを読み出したら神経が立って寝られなくなったようなものです。ものには限度というものがあって、マッサージ器のようなものは、やはりどこかにワンパターン的要素を残すべきだろうと思った次第。これは別に小説のメタファーとして言ってるわけではありません。誤解のないように願います。

2005/09/14
麻婆茄子
 レシピは不要だと思うが、私は茄子を縞目に剥くのが好きです。紹興酒と花椒をきかせるとかなり本格的な味になって満足。
 今日はさすがにもう衆院選のことは書かないでおこうと思ったが(苦笑)、TVで棚ぼた当選の人がいろいろと紹介されて爆笑してしまった。家族にもご近所にも知らさず、自民の武部幹事長に名義貸しみたいな感じで立候補して、議員バッヂをつけるはめになったスーパーのご主人とか、もうホント怒る気にもなれない、三谷幸喜も真っ青のスラプスティックコメディーであります。

2005/09/13
サンマの塩焼き、焼き茄子、冷や奴オクラがけ
 この期に及んでの厳しい残暑は応えます。で、こんなフツーの食事になりました。
 きょうは案の定、郵政民営化に反対した参議院議員が雪崩を打って賛成にまわるというTVの報道で、しゃあしゃあと「民意を尊重します」と言ってのける某二世議員の顔を見ながら、ああ、私がこの男の妻だったら、九寸五分の短刀を載せた三方を黙って目の前に置く。もし嫌がるようだったら自らの手を持ち添えて腹にブスッと突き立てるだろう、なんて(笑)。こんな時代小説作家的ギャグを飛ばしたくなるほど(小泉を信長になぞらえるマスコミも相当にひどいギャクだけど)、一体こんどの選挙って何が原因でやることになったんでしたっけ!といいたくなります。今さらながらに上から下まで議会制民主主義を維持するだけのロジックを欠いた国民性に絶望的な気分になるいっぽうで、大政翼賛的傾向(なんて大げさな表現よりも「長い物には巻かれろ」的気分とでもいったほうがふさわしいのかも)が今後どんどん強まりそうで実に嫌な感じです。ことに若い世代に与える影響を考えると一段とその気持ちが強まります。
 私は若い頃にお目にかかった方々の中で大正初期に生まれた方がみなさん驚くほどリベラルな思想の持ち主で、私とでもお互いちゃんとした会話が成り立つのに、そのあとに生まれた方のほうがよほど遅れてて話の通じない感じの人が多かったのが不思議だったものです。これは何も職業によって違いがあるようには感じられませんでした。で、あるとき、その大正初期生まれのおふたり木下順二先生と武智鉄二先生の会話をそばで聞いていると「僕らの下の世代はダメですねえ。論理的にものを考えることのできない連中が多くてねえ」というような発言があったのに驚いて、ああ、上の世代から見てもそうなんだ!ということに気づかされたのです。思えば大正リベラリズムの直後に昭和の暗黒時代が始まるわけで、木下武智先生の世代はちょうどその境目でリベラリズムの生き残り世代だったのでしょう。その人たちをして「論理的にものを考えることのできない連中」と嘆かせた下の世代が青春を謳歌しはじめたころから、日本は一気に軍国主義へとなだれ込んだのですから、下の世代を若いうちからあまり情緒的に流れさせないで、論理的に物事を考えることの重要性を説くのもやはり上の世代の義務であろうかというふうに私は近ごろ思っております。

2005/09/12
獅子唐とソーセージのジョン、ジャガイモの千切りサラダ
 二品ともQPで見た料理。ジョンは卵に小麦粉を多めに混ぜた衣をつけてごま油で焼くだけ。酢醤油をつけて食べる。千切りしたジャガイモはさっと湯通しして、油でカリッと炒めたシラス干しと万能ネギを和える。TVでは当然ながらQP製のドレッシングを指定していたが、フフフ、そうは問屋がおろしません。私はごま油と酢醤油と胡椒を混ぜた自家製のドレシングを使いました。
 昨日の選挙結果を受けて、いつもこのHPを読んで戴いている方々から今日は朝から暗い内容のメールが
相次ぎました。ことにお子様がいらっしゃる方は切実に心配しておられて、それは実にもっともだという気がしております。
 民主政治が陥りやすい危険性については、早くにプラトンが「国家論」の中で述べていますが、昔読んでこれは実に面白かったのでオススメします。人間はギリシャの昔から今に至るまであまり変わってはいないようで、ポピュリズムの恐怖は為政者自身をも脅かすのでしょうか、自民党員でさえいささか怯んだ表情の窺える今日のTVでした。
 とにかく、そうそうお馬鹿な連中に負けてはいられないので、まず私はガンガン食べて体力をつけることにします(笑)。

2005/09/11
中華弁当
 東横のれん街の「過門香」でゲット。ここの弁当はわりあい淡泊な味付けでおいしい。のれん街ではイチオシです。
 今日は乗馬クラブに行く前に投票所に寄ったが、出足が鈍い感じだったので、事前調査のわりには伸びないだろうと見ていた。TVで50%くらいと知って今回は逆に救いを感じるほどで、これが7,80%の投票率で自民300議席突破なんて結果だったら余りにも恐ろしくて、私はこの国を脱出したくなったにちがいない。(と、この時点では書いたが、最終的には67%にもなっていたと知ってショック!)

 民主惨敗は当然とはいえ、地元の支持が期待された郵政反対派の意外なまでの苦戦は、マスコミが伝えるように果たして日本人のメンタリティーが大きく変わった証拠なのかどうか。
 明治維新直後に京都から天皇が鳳輦に乗って江戸の町にあらわれたとき、江戸の民衆が狂喜乱舞して出迎えたという記録が残っていて、この史料は私が江戸っ子なるものを、要するにおめでたい連中なんじゃないの(笑)と、大いにバカにする根拠となっている。今回も実はその当時とちっとも変わっとらんのじゃないのか(怒)と思えるふしが多々ある。郵政民営化は「錦の御旗」であり、選挙カーに乗った小泉は全国で熱狂的に迎えられた。法案の内容も深く吟味もせずに、とにかくそれが根本的な「改革」なのだと素直に信じ込んでしまえる民族のおめでたいDNAは今も脈々と受け継がれているというだけなのではあるまいか。
 で、これからの問題はその明治維新なみのドラスティックな改革に日本がもう一度チャレンジして成功するのかどうかなわけだけれど、見るからに馬鹿面した二世議員が増える一方だし、前にもHPに書いた通り年齢別人口比率が維新当時とは段違いに高齢化してるし等々の状況を鑑みれば、トロイアのカサンドラならずとも不吉な予言を口にしたくなるのは私ばかりではあるまいと思う。
 ともあれ、今後これにはきっとまた揺り戻しが来ないとウソで、そのときは政権選択の対立軸がもう少し鮮明になってほしいと願って今回は投票行動を見送ったという人もいたのかもしれません。

2005/09/10
浅蜊のキムチ炒め
 先日QPで見た料理。生姜のみじん切り、豚肉、浅蜊、キムチの順で炒め、酒、醤油で味を調えて最後に万能ネギをさっと炒め合わせるだけ。浅蜊はフライパンにフタをして蒸し炒めにするのがポイント。
 今日の昼間スラッシュの進藤さんに、世田パブで例の野村萬斎の芝居を見るけど、終演が4時なので終わってからお茶しないという電話をもらい、「世田パブの前で3時から小泉の演説があるみたいよ。来るついでに見てれば」と言われてノコノコ出かけた私です(笑)。別に小泉を見たいわけではないけど、観衆の様子に興味がありました。で、行って見れば物凄い人出にびっくり!やばい時代だよなあーと思いながら、演説カーが駐まってる真ん前のドトールがガラ空きなので、そこに入って前座とおぼしき候補者の応援演説に耳を傾けておりました。候補者は見るからにバカっぽい2世議員なのですが、笑えたのはその応援演説で「〇〇君は〇〇先生の子息ですが、すぐに国政に携わろうとしたわけではありません。大学を卒業後、銀行に勤められてしっかり経済についても勉強を……」って、オイオイ、結婚式で新郎を紹介してんじゃないんだから。自民党の政治家って地方じゃいつもこんなレベルの演説してるわけ(怒)と、私は本当に愕然と致しました。
 小泉はTVでやってるのと同じ演説を繰り返してるだけでしたが、集まった人数のわりに意外と反応は冷ややかで拍手もまばら。世田谷区民が熱狂して拍手するようだったら、日本はもうおしまいだという心配で出かけた私も少しはホッとした次第です。
 とはいえ与党過半数は堅いような情勢で、選挙のたびに一票の無力さをひしひしと思いますが、こんどの選挙ほどそれを強く感じることはないような気がします。で、また与党以外のどの党に入れたらよいのかを迷うのもいつもと同じパターンなのは困ったもの。二大政党時代の幕開けといわれながらも、民主党の失墜は覆うべくもなく、今回は策士の小沢が負ける肚でやってるとしか思えない戦いぶり。消滅の危機がささやかれていた左派政党のほうがしぶとく生き残るどころか、意外に躍進するのではないかと思えるほどです。 ともあれ自民単独過半数の圧勝だけはなんとか避けられないものか、と、この期に及んで私は強く念じずにはいられません。今回投票率が高ければ公明党の後退は確実ですから、自民の極右派閥中心の単独政権を許すことになり、勝てば官軍的な勢いに乗っかる連中によって大政翼賛的な動きがどんどん強まって、軍事色が一気に表面化する恐れは多分にあります。
 いくらなんでも戦前みたいな軍事体制になるわけはないと思う人も多いでしょうが、確かに私もそんなふうになるとは思いません。戦争は昔よりはるかにソフィストケートされた局地戦であり、いわば資本主義をミッションする活動なのですから、それに巻き込まれるのは資本主義社会を拒絶するか、脱落した若者たちであります。アメリカで職に就けない貧困層の若者がイラク戦争に駆り出されている現実を見ればそのことがよくわかります。
 さすれば私たちは高度資本主義社会に積極的に与し、自分たちは快適に暮らしながら、それを拒絶乃至脱落した若者たちを戦場に追いやっているわけですから、その罪の深さを思うとき、テロに巻き込まれるのは嫌だなどとは決していえないはずなのであります。
 自分の国に金がまわるようになるんだったら、よそんちで戦争が起きるのはバンバンザイという意識のもと朝鮮戦争特需によって日本は戦後の復興を成し遂げました。その時期に青春期を送った人びとが元気なお年寄りとなって明日の投票日を迎えられます。自分勝手な国ニッポンがどこに向かうのか、大陸の方々が気が気でないのも当然のように私には思われるのです。

2005/09/10
海老とアボガドのカクテルソース、まこガレイのソテーほか
 世田パブで野村萬斎構成・演出の「敦」を見た帰りに「クロワッサン」の副編集長船山さん、スラッシュの守部さんと一緒に近所の「プロヴァンス」で食事。船山さんとは色んな人を介してお互いによく知っているような気がしていながら、実際にはこれまであまりお目にかかるチャンスがなく、今夜はたまたま客席で隣になり、ほとんど初めてにひとしい会食と相成った次第。
 中島敦は戦前に無名に近いかたちで死んだ作家であり、且つまたその文体も相当に古めかしいはずなのに、ふつう本を読む人なら私の世代でも「山月記」と「名人伝」くらいは誰でも知ってるはずだと思えるくらいにポピュラーな作家なのは何故だろう。今日の舞台を見ながら強く考えさせられたのはそこである。若いころに「山月記」を読んで私が妙に感動したのは何故だったのだろう。舞台を見て、その感動が少しも蘇ってこないのはまた何故なんだろう、というようなことばかりが気になるのだった。それは皮肉にもこの舞台が、小説のカタルシスと舞台のカタルシスは根本的に違うことを立証してみせたからなのかもしれない。
 舞台はプロローグで中島敦の履歴を紹介した上で、敦に扮した萬斎はじめ何人かの敦クローンと「山月記」の主人公李徴を演じる野村万作とが群読するかたちで李徴の思いを語るかっこうになる。つまり李徴の自尊心や鬱屈や失意を敦自身のそれと重ね合わせる極めてオーソドックスな仕掛であり、萬斎にとってはたぶんこうする以外の舞台化は考えにくかったのだろうが、これって余計なことなんじゃないのか!と、私は見ながら率直に思ってしまったのであった。
 小説はあくまで個のカタルシスが個に伝わるものである。私が「山月記」を読んで感動したのは、敦が自身の鬱屈や失意を李徴を通して伝えたからではない。敦は李徴を書くことによって自らを昇華できたことがこちらに伝わったからこそ、感動できたのである。人は虎になって吠えたい気持ちになることがあるという真実だけがこちらの心に響いたからこそ、こちらもまたひっそりと自らの心の中から虎になって吠えたい気持ちを取り出してみることができたのだった。
 小説はすべてそうとも言えるが、なかんずくこの小説は説明されてはいけない最たるものだろうと思う。かりに舞台化するにしても、こんな説明的なものではなく、もっと内省的な演出と演技で見せる方法もあったはずで、「冥の会」で演じた故観世寿夫の李徴などはちょっと見たかった気もするが、なまじな舞台化でしないで戴きたいと今回は切に念じたくなった次第だ。
 もう一本の「名人伝」のほうはスクリーンを活用した軽妙な仕掛がきいて、狂言師の持ち味が(もっぱら万之介と石田幸雄によって)もうまく発揮されており、なかなか楽しめる舞台に仕上がっていたのは救いである。

2005/09/08
フレンチトースト、くきわかめスープ、煎餅、いちじく
 紀伊国屋サザンシアターで井上ひさし作『小林一茶』を観る前後に自宅で食事ともいえないようなつまみ食い。
 とにかく客席は関係者以外の人って来てるの?ってな感じで、私は演劇評論家の並ぶ席に座っていたのですが、幕間に客席で「松井さーん」と声をかけられたのは、なんと明日原稿をお渡しする約束をしてた講談社新担当の堀さんだったからギクッ。で、一緒にロビーに行ったら文春「オール」の内山さんがいて、同じく文春の懐かしい元「オール」編集長勝尾さんにもバッタリ。勝尾さんは堀さんともやけに親しそうに話すので、なぜなぜ?と思ってたら、堀さんのご父君と大学ボート部の仲間だったんだそうで、ああ、世間てなんて狭いんだろう!
 で、肝腎の芝居の話。この作品を私は初演時に見て大いに感動し、幕切れには泣いたほどで、世評はこれより前の「薮原検校」や直後の「イーハトーボの劇列車」を推すようだが、私の中では断然これが井上戯曲の最高峰となっていた。今回久々の再演で見て、やはりこの作品には私自身が物を書いていく上で大いなる影響を受けたことを改めて感じた。
 史実のピンポイント(この作品でいうと一茶の「七番日記」に書かれている俳諧のパトロン夏目成美の家でお金が紛失した事件)を突いて、その謎解きをしながら大きく日本の文明批評を行うという手の作品は、井上戯曲でたぶんこれが最初だった気がする。昔の「表裏源内蛙合戦」などは史実を使っても拡散した使い方だし、時代が下がるとこんどはどんどん史料の垂れ流しっぽくなり、メッセージ性が浮き上がってしまう作品が多いなかで、この作品はまだ作者にそれらを抑えつけるだけのパワーがあるのを見せつけた作品のように初演時には感じていた。しかし正直いって今回は演出家木村光一の衰えや、役者陣の力量不足が目立ち、残念ながらそれほど満足できる上演ではなかったせいか、どうもこの作品に流れる二つのテーマはそれほど噛み合っていないような気がするほどだった。
 この作品に流れるテーマの一つは文芸を職にしようとする人間の業というものだが、初演時はまさか自分自身が物書きでメシを喰っていくなんて思ってもいなかったので、まったく興味をひかれなかったらしく、この点は記憶の中からスッポリと抜け落ちており、今回改めてへーこんな場面があったっけと思ったくらいなので私の観劇体験もいい加減なものである(笑)。
 初演時に私を非常に感動させたテーマは、俳諧という文芸を通じて日本社会のありようを鋭く突いた点にほかならない。連歌から出発した俳諧は本来、発句に付句を重ねていくなかで、いかに相手に合わせて全体の調和をうまく保つかということに腐心する文芸である。作者はそれこそが日本社会のありようで、表面的には美しく整って見えるが、中身は腐りやすいと説き、ラストでは一茶にそうした腐りやすい調和の世界から離脱して、発句のみで立つ人生を選ばせるのである。
「発句で立て」という名ゼリフに私は打たれ、江戸を離れる一茶の後ろ姿をシルエットで見た瞬間に涙したのだが、今回は役者陣の滑舌が悪い上に、舞台転換のキレも鈍くて、芝居はやはり戯曲だけでは成り立たないことを強く感じる結果となった。
 だがそれだけでもない。この日本社会のありようを批評したテーマそのものの受け取り方が、初演時の時代と、今日の時代とでは微妙にズレていることも感じた。今の日本社会の怖さはもうこれじゃないよな、別の怖さだよな、と思ってしまったのもたしかである。

2005/09/07
キャベツの酒蒸し、オレンジパン
 今朝は絶不調で頭がガンガンしてまた吐いてしまう。からだを縦に保つのもしんどくて、ちょっと原稿を書いては横になり、また起きあがりといったことの繰り返しで、この期に及んで夏風邪か…と憂鬱になりつつも、夕方にはなんとか少し復調して「ダ・ヴィンチ」誌で杉江松恋氏のインタビューをお受けした。杉江氏は今は無き「鳩よ!」で同時期に連載していてお名前は存じていたが、担当も同じ中田さんだったのはご本人から聞いて初めて知りました。
 怖いことに食欲はがぜん復調してQPで見たカルボナーラを作りたくなるが、さすがに自粛して病明けの定番メニューにする。今日はレッドキドニーを加えてみました。

2005/09/06
メイプルシロップパン
 低気圧が長引くせいか体調は最悪。肩こりがひどくて昨日マッサージしたら今朝は吐いてしまい、とはいえお腹がすいて甘い物が食べたくなったので近所のパン屋で買って食べた。ずっと過食気味だったので、まあ、そろそろこんな日があってもいいと思ってました。私は年齢のわりに日常の食事量が多いほうだと思うけれど、こうやって適当に調節しております。物書き商売はどうしても運動不足になりがちなので、積極的にスポーツもしてるし、まだボテボテにはなっておりません(笑)。
 一昨日こんどの衆議院選のことについて書いたら元マガハの中田さんからさっそくお便りを頂戴した。「なんで当時のドイツ人はヒトラーなんかについていったんだろうと思いましたが、今ではよくわかる気がします」と書いてこられたが、これと全く同じセリフを人形劇プロデューサーの塚田さんの電話でも聞きました。解散直後の小泉演説をTVで見てぞーっとしたそうですが、逆にあれでステキだと思った人もまたこの国には沢山おいでになったわけであります。
 この小泉という人に関しては「変人伝説」が非常に功を奏していて、ごく冷静になれば、要するに彼は強烈なナルシストで、骨抜き法案に命を張って「殺されてもいい」と時代錯誤的な英雄気取りで自己陶酔してる、ただのアホではないかという見方もできるのですが、アホだからこそステキに見えるのはナガシマさんも同様で、「ものぐさ太郎」や「三年寝太郎」を生んだこの国には古来アホに聖性を認める伝統があるのでしょう。
 もっとも、どうやら海の向こうのMr.ブッシュもアホだから人気があるんだとアメリカの友人は言っておりまして、となるとこれは地域限定ではなく、意外にコンテンポラリーなことなのかもしれません。その根っこには消費社会という問題が大きく横たわっているような気がします。
 消費社会がもたらした一つにわかりやすさの追求というものがあります。とにかく物はどんな人にでも買って戴かなくてはならないわけで、あたし面倒くさいのイヤよ!という人にでも買ってもらうわけですから、わかりやすければわかりやすいほうがいい。買う人にあたしバカなんじゃないか、なんてゼッタイ思わせちゃいけない。アメリカも日本も今の人はそういう社会に生きているわけです。これは小説なんぞ書いている人間にとってはかなり辛い社会でもあります。
 まるでバックに一貫してどこか外資系の大手広告代理店がついているのではないかと思うくらい(ホントそうかも)、小泉自民党はこれまでわかりやすいすい選挙に徹することで完璧を期しております。もしそれで自民党が圧勝するならば、この国はもはや完全にアメリカと同病で同程度の重傷に陥っているわけで、アメリカと同じ暗黒が訪れても決して文句はいえないわけです。

2005/09/05
蛸ミンチとキノコのパスタ
 近所のスーパーのパンフで見た料理。とにかく簡単。粗みじんにした(これがポイント!)タコとシメジをニンニクと炒めるだけ。市販の茹で蛸は塩気があるので、味付けはほとんど要らず、胡椒をきかせる程度。大葉はベビーリーフをトッピングするといい。

2005/09/04
オムライス
 衆議院選まであと一週間に迫った現在なお新聞各紙が自民圧倒的優勢を伝えることについて、今日はさすがに民放各局のコメンテーターが全員困ったなあという顔つきで話をしてました。
 現政権が勝利するのは過半数の人びとがそれによって恩恵をこうむり満足していると解釈するのが民主政治の原点なわけでして、これまで利益誘導していた地方の地主とか土建屋とかその配下にある人びとが、今後は金融・保険・外資系企業関係者が支持するのはごく当然で何も非難するには当たりませんが、別にそうでもない人びとが支持するのは、政党の立場が曖昧だということもむろんあるけれど、この国の多くの人びとがある時期から自らの立ち位置をリアルに認識できなくなった証拠といえるのではないでしょうか。
 こんどのハリケーン災害で貧民層が見捨てられた状態に置かれていることについて、アメリカにいる友人は「さすが共和党!」と書いたメールをよこしましたが、現在の自民党は結党以来きわめて共和党よりの極右保守派閥(岸派→福田派→安倍派→森派)が牛耳っておるわけでして、家庭の年収が少なくとも五千万円くらいはあって、ちゃんとした結婚をして子どもがいて、専業主婦でただ地域のボランティア活動は熱心にしているというような人間とはほど遠い私は、もちろん支持を致してはおりません。
 大きな歴史的視点から申しますと、日本がいま明治維新以来のドラスティックな転換を求められているのはたしかで、現政権を支持するということは、明治維新と同様にアングロサクソン民族中心の国にくっついて生き延びるのが得策と考えることにほかなりません。で、近代の日本は産業革命による工業化社会をアジアのどこよりもうまく成し遂げて戦後の復興も果たしたわけで、つまり均質な物の大量生産には実に長けていた民族でした。が、今後はその生産をロボットか低開発諸国の人びとにゆだね、自分たちは居ながらに金を動かしてその金をどんどん増やす能力が求められるのです。それって日本人は中国人やユダヤ人やインド人ほど得意なんだろうか?と私は思うわけであります。もちろんホリエモン君のようにそうした能力が高い日本人もいるし、だから彼が現政権を支持するのはもっともなわけですが、果たして皆が努力すればそうなれるのでしょうか?かりにそうなれたとして楽しいのかどうか、この点については意見がいろいろと分かれるでしょう。
 私の場合はどうかというと、最近ちょっとした小金で株を買ったら、何もしないでちょっとした配当金が入ったのですが、そのとき偏屈だと言われそうだけど、少なからず腹が立ったのは、お金がもっとある人は何もせずにもっと大もうけができるんだ!と思えたのと、私だって原稿を書く時間を惜しんでずっとチャートをにらんでいたら、もっともうかったのに!という現実に愕然としたからなのです。
 生産そのものに価値が置かれなくなった社会では、作家であれ、料理人であれ、学校の先生であれ、政治家であれ、とにかく芸能人のようにどんどん露出をして営業活動に励まないと、生産そのものが成り立たなくなったという現実があります。そんな社会に生きていて楽しいのか?と言われたら、私はまだそうではなかった社会を知っている人間なので、あまり楽しくはないと答えるしかありません。それにまた若いうちに株を動かして大もうけして、四十代で引退して悠々自適している人生って極楽のようだけれど「生きることは死ぬまでの暇つぶしだ」というのがメチャリアルに感じられるだけのような気がしないでもないのです。できない人間のひがみと取られても仕方ありませんが、私は根がマゾヒストなので、そういう幸福を追求することには不向きであります。生産を向上させることだけにひたむきだった社会を取りもどすのはもはや不可能だとしても、ならばひっそりと自己の生産性だけを自閉的に追求して参りたいと思うわけであります。
 最後に小泉政権が唱える「改革」について、これも実感を伴った話をしておきます。以前、三流官庁といわれる文科省のそのまた窓際族が天下った某独立行政法人の審査委員を委嘱されて会議に出たところ、山のような資料を手渡されて、そこには何ら具体的な金銭出納が示されない上に、とにかくちゃんとやってる風のご意見を頂戴したいとあからさまに言われたのにはビックリで、この話は前にも激怒してHPに書いた覚えがあります。小泉政権下では、これも文科省下の某有名行政法人でそうした意味ナシ委員会が500もできたそうで、資料を作る費用だって馬鹿にならないと思ったものです。世の中には肩書きほしさにそういう委員を引き受けて役人にアリバイを与えることに嬉々とする人もいるわけで、とにかくこの間、役人にごまかす機会を増やし続けているのが小泉政権だという野党の主張は当たっている気がしております。それこそ包装紙万能の時代にふさわしい政権といえるのでしょう。
 で、役人が本当に賢い人たちなら、それはそれで全面的にお任せしておいてもいい気はするのですが、人口動態予測でさえ当たらないようでは、何をさせても安心できません。戦後の受験勉強がもたらした役人の著しい劣化は、この国の将来に大きな影を投げかけているのは周知の事実です。 
 今これを書いていたら外は急になんだか天変地異的な豪雨が始まっていて、今や本当に地球全体が狂っちゃってるよなあという感じがひしひしとします。天変地異は為政者に対する天の怒りだと昔の人びとは思ったのですから、アメリカのハリケーンもアラブの方々にはそう思われているかもしれません。日本には大きな災いがないのを祈りたいものです。
ちなみに誤解のないよう言っておきますが、今日のメニューがオムライスなのは別に私が社民党支持を表明することのメタファーではなく(笑)、きのうの「チューボーですよ」を見て食べたくなっただけなのであります。

2005/09/03
お焼き
 進藤さんと大島さんがあらわれたのべ久々にわが家定番のお焼きを作ってみた。前にも紹介しているが、これは簡単に作れて美味しいので皆様もやってみて下さい。とろろ芋に卵とご飯を混ぜてベースにし、そこに小口切りした青唐辛子、ちりめんじゃこなどを加え、好きなものをトッピングして鉄板焼きにする。刷毛で醤油を塗れば出来上がり。今日のトッピングはイカ、海老、サーモン、キムチ。醤油は実家から美味しいといって送ってきた広島呉市の「きぢ醤油」製「誂え」を使ったが、確かにマイルドでほのかな甘みのある美味しい醤油でした。

2005/09/02
鶏肉と長芋のマリネ
 QPで見た料理。下味して粉をつけた鶏肉と輪切りにした長芋を少なめの油で揚げて漬け込むだけだが、マリネ液が美味しいのでレシピの材料だけ紹介しておく。レモン汁、蜂蜜、酢、塩、醤油、胡椒、鷹の爪、オリーブ油で、蜂蜜が決め手かと思う。
 ところでアメリカにいる友人にメールでハリケーン被害のことを訊いたら、なんと百十万人!も亡くなったという返事が来てびっくりしたが、これは本当なんだろうか。竜巻が起きて被害が拡大したらしいというのだが、日本では被災地と避難した人びとの現状しか報道されていないし、数千人の死者が出た模様(それでも大変な惨事だけど)と言ってるだけだけど、何か向こうではひどいデマが飛んでたりするのだろうか。それとも百十万人が何らかのかたちで被災したというニュースを友人が勘違いしてるのだと思いたいけれど。ともあれ北部では曇りがちだっただけだそうで、それでも子どもの学校には避難してきた子がいるという話でした。
なお再度問い合わせたところ9/3に友人から慌ててメールがあり、百十万人は英語の一万二千人を読み違えたものとのことです。

2005/09/02
タイ風春雨サラダ
 前にQPで見たのを想いだしながら作る。レモン汁とナンプラー、砂糖、唐辛子粉を合わせてタレを作る。鶏肉と海老は湯がいておく。キュウリと玉ねぎの薄切りを加え、香菜の代わりに三つ葉をのせた。美味しく作れたので調子に乗って春雨を丸ひと袋分を全部残さずに食べてしまったが、今になってお腹が張って非常に苦しい(笑)。

2005/08/31
茹で豚とスープ、ツルムラサキのキンピラ
 QPで見た料理。豚ロースのブロックは生姜の皮とネギの葉を入れた水で50分ほど煮る。きれいなピンク色になる程度に煮ればOK。味噌、ネギのみじん切り、すりゴマ、砂糖、味醂、酢を合わせたタレで食す。このタレは結構イケル。豚を茹で汁にはネギの薄切りとトマトを入れて塩胡椒で調味すれば簡単にスープができる。

2005/08/30
牛肉とレタスの炒め物
QPで見た料理。牛肉は酒醤油で下味して片栗粉と油を混ぜておく。レタスは先にさっと炒めて酒をふり、いったん取りだして余熱で火を通すのがポイント。味付けはオイスターソース、ケチャップ、醤油を混ぜたもの。最後にネギのみじん切りをトッピング。

2005/08/29
五目キムチ焼きうどん
 これって別にTVで紹介するほどのことかなあと思うような、QPがときどきやる手抜き料理だ。ネギ、豚肉、キムチ、椎茸、茹でた海老、うどんの順番で炒めて酒、醤油少々で味を調えるだけ。キムチは汁気をきってから、うどんは電子レンジで温めてから炒めるというのがポイント。キムチの絞り汁は炒めたあとに味付けとして加える。

2005/08/28
弁松の幕の内、大根とジャコのサラダ
 今日は涼しいので久々に乗馬クラブに行って帰りに渋谷東横のれん街でゲット。病院でレントゲン撮影までした左肩と腕の痛みは心配するほどのこともなく、野口式整体でほぼ治ってしまった。
 馬に乗るのはひと月ぶりだが、頭で覚えたことよりもカラダで覚えたことのほうが忘れないもので、意外に難なく乗れてホッ。
 ところでTVの2時間ドラマなんかだと乗馬をする人って結構わがままお嬢のイメージがあったりするが、乗馬クラブに来てる人にまずそんな人はいない。老若を問わず、皆さん実に礼儀正しく、控えめでおとなしい方ばかりである。そういうわがままお嬢系乗馬族ってのは慶応の幼稚舎から馬術部に入ってるような連中なのかと思うと、実際そういう人が私の親友にいるが、これまた所謂わがままお嬢とは程遠い人である。で、別に乗馬族に限らず、私は過去に相当な金持ちで且つ美人で優秀な女性というのを何人か知ってるが、天は二物も三物も与えて、どなたも性格が本当にいい人ばかりだった。大体そういう方々は人生の初期に屈折する要因が少ないから、性格も悪くなりようがないのである。
 というわけで、今話題になってる「女刺客」と呼ばれてる方々も性格はそう悪くはないのだろうと思うのだけれど、揃いもそろってファッションセンスがああも戴けないのは何故なんだろう。ホントはパンツスーツか何かでびしっと決めたいところなのに、地方で立候補するんだから絶対スカートをはいてくれとか言われて変に見えてるのか、それとも根っから自民党のオヤジに好かれそうなセンスの持ち主なのか。いっそ緋牡丹博徒風に着流しで決めるとか、黒田杏子風に作務衣ルックで決めるとかしてくれたほうがまだましでしょう。どんなに優秀な方々でも、私より若い人たちの中でまだあんなにイケテナイ感じの人がいること自体ちょっと許せない気がしております。なにせ野田聖子がステキに見えてくるのだから恐ろしいが、これってかつて女流作家の中で曾野綾子がスゴイ美人に見えたのと同様の原理だと思います(笑)。
 で、お断りしておきますが、これはあくまでファッションセンスのことを問題にしてるのであって、決して政治的なセンスについて発言してるわけではありません。政治的な問題に関しては選挙がもっと近づいてから改めてちゃんと書きます。

2005/08/27
鮨「あら輝」
 父が東上して久々の「あら輝」である。ここを初めて訪れたのは2年ほど前だが、その後大ブレークして、たまたまTVの「情熱大陸」を見てたらご主人が出てきたのでビックリしたものである。てなわけで、ご主人も前より貫禄がついてこられたが、熱っぽいところは相変わらずだし、美味しいのも変わらない。というか、さらにうんとグレードアップしている。そのわりにお手ごろなお値段で抑えられているのがウレシイ。なんちゃって自分で払ったわけではありませんが、ここなら自分でも払えそうなので、今度どなたかご一緒しませんか?もちろんワリカンで(笑)。
 ネタはもちろん全国からの仕入れだが、今宵は初っぱなから島原の星鰈と茂魚(「あこ」と読む。料理人である父に言わせると夏場は鯛より優れた魚だそうである)という白身のダブルパンチが素晴らしかった。恵山の鮪も赤身、中とろ、大トロ、づけ、と四者四様の味わいが堪能できたし、スミイカの子どもというのが「数寄屋橋次郎」で大いに感動した大人のスミイカの美味とはまた別種の甘い味わいでGOO!新物のイクラもこれだけのものは汐留に進出した札幌の名店「すし善」でも食べられませんでした。うち(川上)と一緒の担ぎ屋さんから仕入れた播州の穴子でシメルまで、とにかく間然するところなき直球勝負であった。
 以前はご主人と奥さんのお二人だけだったが、今は若い見習いさんが二人。一人はご主人と同じくりくり坊主にしているこぎれいな青年で、もう一人はなんとフィジー諸島の人!で、二人との出会いをご主人は熱っぽく語られました。

2005/08/26
岩塩と野菜のスープとカレーのセット
 広尾の中央図書館で調べ物をした帰りに近所で食事。近年流行りだしたスープ屋に入ってみたが、まずいのでビックリ。それにしても近ごろ外食産業が異常に増えてるけど、数に反比例してどんどんまずくなってるように感じてるのは私だけだろうか。
 開架式の書庫で調べ物をして、学術書の類を見ても同じようなことを感じてしまった。小説は言うもさらなり、なんて言われないようにしたいもんである。
 で、今日の収穫は図書館のある有栖川公園で布袋寅泰が子連れで散歩してる姿を見たこと。こういう日々のちょっとした発見がウレシイ(笑)。
 

2005/08/25
豚肉とレンコンと青唐辛子の中華風塩炒め
 今日スーパーで良さそうな食材を見つけて作ったオリジナルメニューです。レンコンは新鮮なものを見つけると買わずにはいられません。黒豚のバラ肉をじっくりと炒めて脂をだし、それから生姜とネギとニンニクのみじん切りを入れてレンコンの乱切りと青唐辛子を炒め、塩胡椒と酒で調味。隠し味に砂糖と酢を少々足してごま油をかければなんとか中華風の塩炒めに仕上がりました。

2005/08/25
夏野菜のペペロンチーノ
 品川プリンスのそばにできたアミューズメントパークで3D映画「オーシャンワンダーランド」を見てから友人と食事。そのあと水族館を見て、さらに映画「皇帝ペンギン」を見る。なんて書くと一日中遊んでいたみたいだけど、決してそうではありません。仕事をちゃんとして、出かけたのはアフターファイブです、と、留守電に「銀座開化」の感想をしっかり吹き込んでくれてた集英社の栗ちゃんに言い訳をしときます(笑)。
 「オーシャンワンダーランド」は海亀の目線で珊瑚礁の生き物をとらえたドキュメント映像、「皇帝ペンギン」もこれまたご存知今夏大ヒットの動物ドキュメントである。本当に流行りものに乗っかりやすいと言われそうだが、今年の私は水族館もペンギンも見るのはこれでもう何度目?と言いたいくらい妙に縁がありまして、今宵はそれをダブルどころかトリプルで満喫した半日でした。夜でも見られるというのがウリのここの水族館は狭いとはいえ、まだ出来たてで水槽もきれいだし、魚やペンギンたちも活き活きしてるので人気があるのか結構人が多いのにびっくりした。
 映画「皇帝ペンギン」はもっと込んでるかと思いきや、もうみんな見ちゃったせいなのか意外にガラガラでした。で、これはさすがアムールの国フランスが制作したドキュメントだけあって、ペンギンの求愛が実に濃密でエロチック(?)な映像に仕上がっているのがなんと言ってもおかしい。日本の情報番組なんかだとペンギンの涙ぐましい子育てを描いてる風に紹介してるけど、本当は子育てよりもカップルのあり方に重点を置き、それもひと冬だけの愛であって、私たち次の冬もまた会えたらいいわねといって夏には別れてゆくカップルたちを描いたドキュメント映像なのでした。それにしても夥しい数のペンギンがぞろぞろ歩いている姿だけでも一見の価値はあり、ブリザードをしのぐために卵を抱いた雄ペンギンたちがうなだれてかたまってる様子は満員電車で通勤するお父さんたちの姿を彷彿とさせる。とにかく人間がペンギンを好きなのは自分たちと同じように「立ちあがって」るからなのだろう。人間は自分たちが動物の中で「立ちあがって」しまったことに孤独を感じるからこそ、レッサーパンダが立ちあがっただけで、あれだけコーフンして大騒ぎしてしまったのだろうと思われるのだった。
 でもペンギンは強烈な撫で肩なので、あれで立つのは相当無理があるだろうなあと思ってしまったのは、左腕の神経を痛めて昨日形成外科に行ってレントゲンを撮り、「まあ、こんな撫で肩で長年立ってることそのものが原因ですね」と医者に言われた私だからだろうか。

2005/08/23
フレンチトースト、イタリア風サラダ
 今日はちょっとヘンな献立である。サラダの中身はルッコラ、オリーブ油で炒めた茄子、プチトマト、生ハム、玉ねぎ、レタス、ドレッシングはオリーブ油にバルサミコ酢、塩、黒胡椒を合わせたもの。

2005/08/22
刺身、コロッケほか
 青山円形劇場でマメット作・長塚圭史演出の「エドモンド」を見てから近所で食事。
 長塚圭史は長塚京三Jrで最近は常盤貴子との熱愛発覚で一躍「時の人」になったが、以前からその演出には定評があるにもかかわらず、私は今日まで見るチャンスを逸していた。作品は実にアメリカンなリアルタッチの不条理劇だが、円形舞台に切り穴を沢山あけてそこからモノを出し入れしてスピーディに場面転換をする点はなかなかのもの。音の使い方、照明もスタイリッシュに決めてるのだが、全体に今ひとつ物足りなさを感じたのは戯曲がストレート過ぎる点と、何よりもキャスティングのせいだったかもしれない。
 ストーリーは夫婦間がしっくりいかないところから自分の満たされない現状に苛立ちを募らせたサラリーマンが、町を彷徨う内に抑圧された自己を解放する形で殺人者となり、刑務所で黒人にレイプされるというどん底まで一気に転落するというものだが、彼の抑圧はアメリカのWASP(白人でアングロサクソン系でプロテスタント)が抱える問題として語られる分、その恐怖が日本人には今ひとつリアルには伝わらない憾みもありそうだ。もっともそれは表面的なことで、戯曲の本質はキリスト教をベースにして人間の実存が問われるという古風なくらいに典型的な不条理劇である。作者が若書きなためかセリフもストレートに過ぎる気がした。ただ知的職業に従事する現代の男性が性的に自信がもてず、自己を解放して女性と接触するのがとても難しくなっている現状は日本もさほど変わらず、その点で今日にこの作品の上演を企図した長塚の気持ちはわからないでもない。ただあくまで男の子の視点で貫かれた作品ではあった。
 主人公エドモンドに扮した八嶋智人はガラはぴったりだし、また彼なりに戯曲を理解して等身大に手繰り寄せては見せてくれるが、演技そのものはナマっぽい点が否めない。問題なのは彼の妻役と、もしかしたら彼が人生を共にもう一度やり直せるかもしれないという期待を抱かせて殺されてしまう女の二役を演じた小泉今日子で、この人の演技の物足りなさが、ことに殺される女の役では致命的だった気がする。彼の関心をひいた女の魅力というものをキョンキョンがわざとかと思うくらいに出さなかったのは、ひょっとするとこの戯曲では敢えてドラマチックな盛り上げをしないほうが望ましいとする長塚圭史の解釈なのかもしれないと後から思えるくらいだが、戯曲の後半でもなぜ彼女を殺したのか何度も問われるからには、殺される場面をやはりハイライトにしたいところだ。なんだかごくふつうの人としてのオーラすらさっぱりなかったキョンキョンて一体どうしちゃったんだろう?演出家とうまくいかなくて、おまけに稽古中に常磐ショックがあったりして女としての自信をなくしちゃったんだろうかとか、つい色々考えちゃいました。

2005/08/21
すきやき丼
 この残暑はさすがにこたえますが、今日は風があるのでかなりまし。うちは小さなビルのワンフロア丸ごと借りてるカタチで、とにかく窓が沢山あって風通し抜群なので、冷房をつけないとまるで海の家状態です。仕事休みの今日はその海の家状態で過ごし、ちゃんとした料理を作る気にもなれなくてコレ。牛肉以外の具は長ネギ、しらたき、舞茸、三つ葉、そして卵。

2005/08/21
焼肉 チヂミほか
友人と渋谷で食事。

2005/08/19
茄子と茹で筍と豚バラ肉の甘味噌炒め
 原稿を書いているうちにうっかりQPを見損ねてしまい、昔の定番メニューになった。別に今日だけ特別に集中して原稿を書いていたというわけではありません。集中はいつもしてます(笑)。レシピは記すまでもなかろうが、味付けはテンメンジャンと酒、醤油、味醂。テンメンジャンが無い場合はふつうの味噌に砂糖を加えてもOKである。豆板醤を加えてもいい。炒める際にはお好みでニンニクも。

2005/08/18
棒々鶏涼麺
 フジテレビで見た料理を参考に作る。棒々鶏のタレは味噌と練り胡麻、酢、砂糖、出汁を合わせれば簡単にできる。鶏ののササミはパサパサにならないよう、塩と酒でしめてから表面をさっと焼いて半生くらいで火を止めて余熱で仕上げるといい。火を通してから生姜の千切りと併せておく。麺は茹でて氷水でしめてからごま油と醤油で軽く下味しておくのがポイント。トッピングはお好みで私はキュウリと大葉の千切り、白髪ネギにした。

2005/08/17
バジルボールとズッキーニのスープ煮、ガーリックトースト
 この暑いのにスープ煮?と思いながらもQPに従った。牛挽肉とベーコン、バジルのみじん切り、牛乳に浸したパン粉を混ぜ合わせて塩、黒胡椒、チリパウダーで味付けしてボールにしたものを市販のスープでズッキーニと一緒にじっくり煮込み、さらにトマトの薄切りも入れて塩、黒胡椒で味を調える。煮込む際にはベイリーフも忘れずに。バジルがよくきいて清涼感のある夏向きのスープに仕上がるので夏場の弱った胃腸にオススメしたい、といいながら別に私は胃腸が弱ってはおりません(笑)。

2005/08/16
薫製の盛り合わせほか
 九品仏の「お面かぶり」で知られる二十五菩薩来迎会を二宮さんらと見た後、自由が丘で食事。
 三年に一度行われるこの来迎会は都の無形文化財にも指定されてTVでもときどき報道される。江戸の文政年間に始まった行事だといい、元は奈良の当麻寺の練供養から伝わったらしい。私は早稲田の演劇科で日本芸能の原点の一つである「伎楽」の名残だと教わった憶えがあり、一度見たかったのだが今日まで機会がなかった。今回は二宮さんの友人で寺旅研究家の吉田さらさサンがこの行事に参加されるというのでいいチャンスだと思って拝見した次第である。
 まず驚いたのは舞台となる九品仏浄真寺が相当に大きなお寺だったことで、本堂と向かい合わせにある上品堂の間に長さ約65メートルある橋を渡し、彼岸と此岸に見立て、文字通り二十五菩薩と阿弥陀如来が迎えに来て、人びとが往生するというシーンを見せる。菩薩には檀家の人びとがそれなりの寄進をして扮するらしく、どの菩薩になるのかはくじ引きだという。
 二十五もあれば観音、文殊、普賢、地蔵といった誰でも知ってる面々から聞いたことのないような菩薩までいて、お面は地蔵を除いてどれもほとんど変わらないが、持ち物や手のポーズが違っている。目の部分に小さな穴があいてはいるものの、それだけでは全く前が見えないので、横に手を引く人が連れ添って、この人が菩薩を団扇で煽いだりもする。その様子がなんとも現世っぽくておかしい。もっとも橋で菩薩を先導する僧侶が笙、篳篥など雅楽楽器を生演奏するのは迫力満点で、宗教芸能としてはなかなか面白いものに仕上がっている。この笙篳篥の楽団に先導された菩薩たちによって、輿に担がれた開基の座像と、紙で作った蓮華の花びらを見物人に撒く僧侶の集団と、お稚児さんの行列が本堂から上品堂に渡って開始から終了までわずか30分。この妙に粘らない短時間のイベントだという点がステキだ。
 出演者のひとりに孫かひ孫かに手を引かれた91歳のお婆さんがおいでになって、今にも倒れそうな足取りだったのでひやひやした。が、無事に往復されて、最後はみんなに手を振って応えられていたのがご立派でした。
 橋の上に白くて細長い布が張ってあるのは恐らく「縁の綱」であろう。端は本堂の阿弥陀如来の手に結ばれていた。本堂の阿弥陀様は金ぴかでお顔はかなりワイルド。ほかに文殊菩薩の巨大な絵などがたくさん飾られていて、全体的に私がイメージする浄土宗の寺とは雰囲気が違い、妙に密教系みたいにゴテゴテした感じなのは江戸の寺だからなのかもしれない。近所の世田谷観音も京都で見るようなお寺のイメージとはまったく違って、宗派が何だかパッと見ただけではわかりにくいのが東京のお寺だという気がする。九品仏の本堂では江戸時代の来迎会の様子を描いた絵も飾ってあったが、それを見ると当時から庶民的芸能化された行事だったようで、宮芝居の興行などもあったようだ。
 ところで吉田さらさサンは集英社「ノンノ」の編集者やベネッセの「たまごクラブ」の編集長として鳴らした方で、最近はお寺の宿坊めぐりをして本も出されているが、今回は取材を兼ねて菩薩に扮したそうである。お面はけっこう重いらしく、金色の靴下に手袋まではめなくてはならない扮装は、今日はまだ最高気温28度で涼しいほうだったからよかったものの、35度を超せば拷問となるにちがいない。とにかく本当にお疲れ様でしたと申し上げたい。

2005/08/15
エスニック冷や麦
 フジテレビで見た料理。鶏ガラスープに細切りした鶏もも肉とナンプラーを入れてつけだれを作る。麺と一緒に少し時間差をつけてニラ、モヤシ、三つ葉を茹でれば出来上がり。実に簡単でオススメの一品。
 60年前の8月15日、私の母親は特攻隊の兄の出撃を見送るために敦賀に行って敗戦を告げる玉音放送を聞いた。放送直後に飛び立って、覚悟の自害だったのだろう、そのまま海に突っ込んだ飛行機を目撃したという。飛び立たなかった伯父も一度死を覚悟したからだろう、その後どうしても堅気な暮らしができずに最期まで浮き沈みの多い人生を送った。母の友人は軍需工場で放送を聞いたが、とにかく実に聞こえにくて、「日本が勝ったんや」と誰かが叫んだために全員で万歳三唱をしたというから笑える。 
 父は京都の生家にいて、ちょうどお盆なのでお坊さんをお迎えしていたが、お経をあげてからうちで放送を聞いたその坊さんが「こら、えらいこっちゃ。こんなことしておれんわ」と慌ただしく帰ってしまい、「和尚さん(おさっさん)、お布施持って帰んの忘れはったがな」と母親がぶつぶつ呟いていたそうである。
 以上が私の最も身近な人の中にある「戦争の記憶」である。

2005/08/14

 友人と渋谷で食事

2005/08/13
トムヤムクンほか
 お台場に友人と花火を見に行って食事。
 ああ、日本にもまだ若い人はいるんだ!と久々に少しほっとさせられた空間であり、とにもかくにも男女を問わずこんなにユカタを着る人が増えちゃたんだ(着方むちゃくちゃだけど)という驚きもありました。

2005/08/12
エスニック鍋
 昨日からだがガチガチでマーサージにかかったら、芯から温まるものを食べてくださいと言われたので今日のメニューと相成った。このHPで何回も紹介してるのでレシピは省略。
 このところTVのニュースはずっとバカバカしくて政治劇ともいえないような劇画じみた衆院選報道を続けているが、私はNHKBS2で全48作連続放送の「男はつらいよ」シリーズにハマっている。当時としてはナンセンスな喜劇映画だったはずだが、これを今見るとなんてちゃんとしたドラマなんだろうとびっくりするくらい、世の中のほうがナンセンスでちゃちで薄っぺらになってしまったのがよくわかるのだった。
 シリーズ初期は日本の社会構造が第2次産業中心から徐々に第3次産業に移り変わる70年代初頭の風景の中で展開し、額に汗して堅気に働くことがまだギリギリ善とされていた時代を想いださせて、そうはなれない寅さんのアナーキーぶりを際立たせてくれる。考えてみるとこれは股旅物とホームドラマという全く相反する要素を一つに収めた異常なシリーズであり、だからこそまた異常なウケ方をしたのだろうと思う。もちろん渥美清という逸材なくしては成立しない映画でもあった。妹のさくらから「お兄ちゃんあまり飛躍してものを考えないでね」と注意される寅さんの妄想癖は、たしかこのシリーズの前だったかと思う、私が大好きだった「喜劇急行列車」シリーズでも彼がさかんに発揮して、爆笑させてくれた想い出がある。
 というわけで、むろん私はおじちゃん役が森川信だった初期のころから公開時に見ているが、松竹に入社したときはすでに作品に翳りが出ていたにもかかわらず、会社はコレだけが頼りで、ほかの映画は全部コケて、演劇部も赤字で、社員全員がコレの興収14,5億から制作費を引いた分で食べていたのであった。入社後3ヶ月間経理部にいた私は、定年を1年後に控えた経理部員がどうぞ自分が辞めるまで会社が潰れないでほしいと祈っていたのを知っているが、いまだに潰れていないのだから、どうぞ各出版社の皆様もご安心くださいと申し上げたい(笑)。それにしても興行会社がしぶといのは土地を持っていることと、日銭が入るということの強みだろう。松竹は戦後の一時期、日本で一番現金を持っている会社といわれた時期もあったので、当時は社員がみな妙におっとりとしていて、この会社に3年以上勤めたら社会復帰ができなくなると噂されており、私は3年目に慌てて辞めたのであった。

2005/08/11
中華サラダ麺
 前にQPで見た料理、中華麺にキュウリ、セロリ、ニンジンの千切り、玉ねぎのスライス、ハム、クレソンをトッピング。練り白胡麻、砂糖、酢、レモン汁、生姜汁、醤油、マスタードを併せたタレをかけて食す。

2005/08/11
夏野菜の揚げ浸し
 QPで見た料理。付け汁に梅干しを加えるのがポイント。野菜と鶏肉のササミはそれぞれほぼ同じ大きさに切りそろえ、赤ピーマンとアスパラガスは200度の高温の油でさっと揚げ、茄子とズッキーニは色づくまでじっくり揚げ、肉は下味をして粉をまぶして軽く揚げるという風に、それぞれ揚げ方を変えるのがうまく仕上げるコツです。

2005/08/09
サンマの塩焼き、茄子のみそ汁、青獅子唐とシラスのあまから煮
 さすがにこのところ夏バテぎみというか、軽い冷房病で、仕事の能率は下がっているし、食事に対する取り組みもおざなりになってきたわりに、食欲はありすぎるほどあるし、よく眠れて太り気味。困った躰であります。

2005/08/08
和風パスタ
定番の生姜じょうゆ風味。今晩の具は牛肉、イカ、玉ねぎ、茄子、ミョウガ、しめじ、大葉。
 それにしても今日ついに衆議院の自爆解散が決定したが、日本は今後一体どうなるんだろう。
 森喜朗が小泉に解散の回避を求めて、君は自民党の仲間を路頭に迷わせるつもりかと迫ったそうだが、それを聞いて、政治家なんかみんな路頭に迷っちまえ!と思った人もいるだろう。自分が路頭に迷わないためだけに政治家をやってられたら、国民はたまったものではない。一国の元首を務めた人がこういうセリフしか吐けない国のレベルなんだから本当に困ってしまう。
 私が新潮社で『銀座開化事件帖』のシリーズを立ち上げたのは、いわば外圧で開国を余儀なくされた日本が維新を迎えたときの混乱ぶりと、現代の状況とにどこか相通ずるところがあるように思えたからなのだけれど、数々の史料を読むに、当時は庶民レベルまでドラスティックな改革をみごとに乗り切っていたが、現代は果たしてどうなんだろう?と不安に思えなくもないのであった。
 これは最近「銀座百店」に頼まれたエッセイにも書いたのだが、明治8年12月6日付の「東京日日新聞」に載った人口統計表を計算したところ、当時約3千3百万人の日本人のうち、60歳以上の男性はなんとわずか4パーセントに過ぎなかったという事実に私は愕然とした。以前ババア不要論を唱えて物議をかもした石原某には、60歳以上の男性も十分に世の中の場所ふさぎになっているという事実をきっちり認識して頂きたいものである。
 さて、こんな高齢化社会でドラスティックな改革を肚をくくってホンキで望んでいる人ってどのくらいるの?とか思ってしまうが、とにかくこの際、もう封建時代じゃないんだから、世襲議員をこれ以上はびこらせることだけは何とか食い止めるべきではないか。若手の改革派だと称しても、世襲でなってる政治家なんて自己撞着も甚だしいことに自身で気づかないくらい鈍感な人間だと考えて間違いないのである。小泉にしても安倍晋にしても、三代目の政治家になると発言が高飛車で妙に確信ありげに聞こえるから、こういう確信なき時代の人びとには妙に耳ざわりが良かったりするのも、歴史的視点に立てば、非常に危険な兆候だと思う。ブッシュ政権が続くアメリカの異常な状況をCNNやABCで見ていたら、一国の元首なんて所詮お飾りだから誰でもいいじゃないかとはとても言えないように、私は思っています。

2005/08/07
トルコ風冷製茄子とポテトサラダ
 QPのおかげでわが家の食卓はどんどんグローバル化してゆく。てなわけで、ついにトルコである。名前が難しすぎて覚えられなかったが、冷製茄子は「坊さんが食べたらひっくり返った」とかいうような意味のネーミングだそうで、確かに美味しい。縞目に剥いた茄子をしばらく塩水に漬けておき、水気をぎゅっと絞ってフライパンに並べ、ニンニクと玉ねぎのスライス、皮を剥いたトマト、塩、砂糖、オリーブ油、水を入れて4、50分蒸し煮にする。トッピングにはイタリアンパセリを。作り方は簡単だが、火を通す時間が結構かかるので、今日みたいな日曜のまだ暑くならないうちにたっぷり作って冷蔵庫で冷やしておくといいです。これはホントおすすめします。
 で、トルコの一般的なポテトサラダはイタリアンパセリと万能ネギ(てな名前の野菜がトルコにあるわけないのでたぶんチャイブのことだろう)を混ぜて塩、レモン、オリーブ油で味付けするらしい。

2005/08/06
鶏ソテーのプチトマトソース
 これは久々のオススメQPである。鶏は塩胡椒でしっかり下味して粉を薄くつけてソテー。ニンニク、玉ねぎのみじん切りをじっくり炒めてからプチトマトをたっぷり入れてはじけるまで火を通し、白ワインと隠し味に蜂蜜、醤油で味付けしスイートバジルを加える。このソースが美味しい。付け野菜はズッキーニ。

2005/08/05
カレー
 森下スタジオでインドの古典舞踊「クーリヤッタム」を見た帰りに食べたのがカレー。物凄くわかりやすい精神構造であろうかと思う。
 クーリヤッタムはサンスクリット・オペラともいわれている南インド・ケララ州の伝統舞踊劇で、同州のカタカリが歌舞伎だとすれば、こちらはお能だと聞いて、塚田さんから招待状を頂戴しながらもさすがに見に行くのを躊躇していた。ところがこの暑さである。こりゃもう行くっきゃないという気になったのは、こう暑いと、いっそトランス系の芸能に浸ってぼーっとなるに越したことはないと思われたからであります。
 おっ、やっぱりお能か、という気がしたのは開演前にミラーヴという銅製の壺に皮を張った太鼓を奏者が打ち始めたときで、これが大鼓(おおかわ)の音に似ていたのである。しかしミラーヴは小鼓の音にもなるし、金属的な音にもなって、これだけで旋律も奏でられそうなくらい多彩な音色で、実に耳を楽しませてくれる演奏だった。
 舞踊のほうは前に見たカタカリの原型といわれているだけに基本は似ている。カタカリのほうが衣裳やなんかがもっとキッチュで、身振りが些末的に肥大化しているという点でもたしかに歌舞伎であろう。クーリヤッタムのほうがシンプル且つ端正な芸である。もっとも能のように晦渋な芸かというと全くそうではなくて、こちらは演者がパントマイムばかりでなく朗唱するせいもあってか、内容が非常にわかりやすいし、表現自体がカタカリよりむしろリアルである。ただしこの点は、向こうの国立養成所の若手メンバーが新作を上演したということが大きいのかもしれない。演者すべて芸能特有の猥雑な感じが全くしない極めてクリーンなメンバーだが、主役をやった女優男優ともに相当な美形だったので、こちらでは目を楽しませて戴きました。

2005/08/04
トムヤムクンヌードル
 近所のエスニック食材店でキューブをゲットしてこれを作る。ヌードルは前に買ったベトナム麺フォーを代用。海老のほかの具材は実に適当で、カリフラワー、赤ピーマン、マッシュルーム、もやし。
 今日はさすがに暑かったせいか、ベランダで放し飼っているリクガメに夕方の餌を与えようとしてガラス戸を開けたら、とたんにバタバタバタバタと2匹が足並みをそろえて走り寄ってきた。直に水を飲まないカメなので、この時期はプチトマトや西瓜といったなるべく水分多め餌をやっている。

2005/08/03
和風冷製パスタ
 要するに冷やしうどんのスパ版である。トッピングは何でもいいとQPがいうので(最近の私はもうQPのいいなりです)、オクラ納豆メカブのねばねばトリオと冷蔵庫にあったミョウガ、辛味大根、温泉卵、大葉と盛りだくさんにのせました。

2005/08/02
イカとアスパラと新生姜の炒め物
 またまたQPである。味付けは鶏ガラスープ、酒、塩、胡椒と至ってシンプル。イカは皮をむいて炒める前にさっと湯通しする。新生姜は皮をむかずに使うのがポイントで、かなり太めの細切りにして使う。

2005/08/01
茄子とインゲンの煮物、豆腐ステーキ
 2品ともTVで見た通りの献立にした私は「QP3分クッキング」のまわし者です。煮物は干しエビで出汁をとるのがポイントで、あとはレシピを書くまでもあるまい。豆腐のトッピングはオクラ、ミョウガ、おかか、と、これもQP通り。

2005/07/31
鮭ちらし、かき玉汁
 すし酢にシラスとミョウガの薄切りをを漬けて昆布だしを入れて炊いたご飯に振りかけ、塩鮭の焼いたのをほぐして混ぜ併せ大葉をちらす。
 かき玉汁は友人にもらった枕崎産の鰹節で出汁を取ったが、シャープと表現したくらい実にキレのいい味わいで美味しく味わえた。

2005/07/31
スープ野菜カレー
 近ごろ流行りだしたスープカレーをスーパーのパンフを参考に、先日買ったコリアンダー、ターメリック、ガラムマサラの粉末を併せてオリジナルに作ってみたら、これは行列ができる!という味に仕上がって大満足。具は茄子、トマト、玉ねぎ、ニンジンのみ。ニンニクと生姜のみじん切りをたっぷり加えて炒めた。キューブスープを使って砂糖を隠し味にしたのがポイント。

2005/07/29
魚貝のパスタほか
 青山スパイラルホールで「フキコシ・ソロ・アクトライブ」を二宮さんと見たあと近くを適当に探してイタ飯「トラットリアモンステラ」に飛び込んだが、ここが意想外にGOOな店で、特にコッフェなんたらいう煎餅状のパスタが非常に美味しかったので近くに行かれた方にはオススメする。
 今回のフキコシライブは「MR.モーション・ピクチャー」というタイトル通り、バックに映像を流して連鎖劇風に見せたり、映画のタイトルをモチーフにパロディ化したコントを見せたり、と、こう書けばある程度のことを想像されると思うが、そうしてふつうに想像できるものとはおよそ違った意表をつくコントの連続で、意味不明の自閉的シュールギャクがやはり吹越満の身上だろう。なかでも青年の一室におけるさりげない日常をホラー映画のノリで誇張した映像と音響を時折はさみながら描くコント(たとえば水道の蛇口をただひねり忘れたというだけのシチュエーションに、鈴木光司作品の映画みたいなシーンと音楽がバックに流れる)などは二宮さんも大受けだった。吹越のパワーと才人ぶりは健在といったところだが、「エレファント・バニッシュ」による2年間のブランクが響いたのか、客入りは前回より格段に落ちている。こういったことは何にでも言えそうで、現代の薄情な消費者は怖いと思わなくてはならない。この人の場合、ほかにあまり見あたらないパフォーマンスなので、マニアは追っかけるだろうが、ギャクの内容が自閉的な点でも、また本人の完全主義的な凝り方においても、あらゆる意味で自己完結的に過ぎるためにメジャーにはなりそうもない。「ぴあ」初期の副編集長として野田秀樹を世に送り出した二宮さんは「インテリっぽいてのともまた違うんだよねえ。やっぱりワハハ本舗だから下ネタ多いし」とはいうものの、吹越の才能とパワーには大いに感じ入ったそうで、私としてもお誘いした甲斐があったというものである。

2005/07/28
鰻とモヤシ炒めの卵かけ
 QP3分クッキングで見た丑の日の料理。ニンニクの薄切りと鰻、モヤシ、きゅうりの細切りを炒め合わせて塩胡椒でシンプルに味付けし、別に炒めた卵をのっける。溶き卵には塩と一緒に酒を加えてふんわり仕上げるのがポイント。調理が簡単で、野菜に鰻のタレがからむから味付けはほとんどしなくてもそこそこ食べられる。邪道だけど鰻丼に飽きた方にはオススメだ。

2005/07/27
ヂンギスカン
 アメリカから帰国したモリこと古沢さんと地下の「寅々」で食事。
 私は小さなビルの3階ワンフロアを借りて住んでいるが、2Fは大家さん、1Fは薬局で、地下は今をときめく焼肉チェーン「牛角」発祥の地であった。
 「牛角」が自社ビルを建てて引っ越したあとに、このヂンギスカンの店が入った当初はお客さんも少なくて、「ここは『牛角』発祥の地ですから繁盛にあやかれるといいですね」なんて経営者のママを慰めたものの、何せヂンギスカンじゃマニアックだし「牛角」みたいになるのはとても無理だろうと見ていた。ところがどっこいブーム到来で、またもや行列ができる店となり、この前幻冬舎のヒメと一緒に入ろうとしたら、なんと満員で断られてしまう始末。こんど来られるときは電話で予約をどうぞなんて言われたので、昨日からしっかり予約しておいた。ま、これはもう家相が良いとしかいいようのないビルであります。 
 古沢さんはダンナが外交官なのでロス、NY、サンフランシスコ、そして今のワシントンDCとアメリカの東西を渡り歩いて、どの都市もそれぞれに大きく違い、ことに西海岸と東海岸では全く別の国のようだという話を面白く聞かせてくれた。今最もしたい仕事はアメリカに多い超肥満体の研究だそうで、何を食べて、どういう暮らし方をしてそうなったのか、一人一人にマジに訊いて歩きたいそうである。原因ははっきりいって食生活の崩壊、つまりは家庭崩壊で、だからこそ米国で家庭回帰を叫ぶ保守派が勢いづいているのだとも教えてくれた。なんたって建国200年そこそこの稚い国なので、もちろん優秀な人も沢山いるけど、困った人も多くて、物事が極端にあっちに振れたりこっちに振れたりすることの怖さは、なんとなく想像がつく。でも今や日本にとって色んな点でアメリカの問題はもはや他国の問題ではないような気もするので、これまでは敢えてを避けてきたが、死ぬまでに一度くらいは訪れておきたいように思う。

2005/07/26
蒸し茄子と豚シャブのピリカラ胡麻ダレ
 ピーラーで縞目にむいて電子レンジで蒸した茄子と湯通ししたシャブシャブ用の豚肉に練り胡麻、豆板醤油、だし汁、醤油、ごま油、ラー油を併せたタレ(私は好みで味醂を加えた)をかけて食す。
 QP3分クッキングのレシピを参考に作ったが、実を言うと、今日はプリンターの故障で執筆の始動が遅れたためにTVをうっかり見逃してしまい、ホームページでレシピが見られないかなあと思ってMSNでウェブ検索したのであった。すぐにヒットしたものの、「3分クッキングお料理レシピ満載!」のすぐ下になんと「今朝子の晩ごはん」が表示されているのにはビックリ仰天!たぶん私が「QPのまわし者か」と友人にいわれるくらい、このHPでやたらに取り上げているので、検索システムにひっかかってしまったのだろうが、これでまさかお料理のセンセイだと思ってる人はいないだろうなあ。もし間違ってこのHPを開かれた方がいらしたら申し上げておきますが、私は一応「小説」を書いて生活している人間であって、決してお料理のセンセイではありません(笑)本当のお料理のセンセイが怒って文句を言ってきたらどうしようとも思うが、別に盗作してるわけじゃなくて、モニターとして作っているということはタイトルでお断り申し上げております。
 

2005/07/25
鶏手羽元とインゲンのサワー炒め煮
 ニンニク、ショウガ、鷹の爪を入れて熱した油でインゲン、玉ねぎ、手羽元を炒めて酢、砂糖、醤油、水でじっくり煮込む。圧力鍋があれば簡単にできて、夏向きさっぱり味の煮込みなのオススメしたい。野菜が美味しい。手羽元は一度よく洗って臭みを抜くのがポイント。
 ニュースで江戸漫画と考証で知られた杉浦日向子さんが46歳の若さで亡くなったと知って驚いた。この方とは結局面識が一度もなかったのが不思議な気がするほどだが、友人であった劇作家岡本蛍と親しかったので話はよく聞いていた。そもそも岡本蛍にこの人の存在を教えたのは私であり、私自身はたまたま近所のセブンイレブンの書棚にこの人の「ゑひもせす」を発見したのである。まだコンビニが近所にはセブンイレブンくらいしかなかった当時のことで、まったく無名だったこの人の、江戸期の黄表紙がそっくり現代に蘇ったかのような漫画を発見したときの驚きは相当なものだった。その後「マンガ歌舞伎入門」を作るに当たり、蛍を通じて一度はこの人を口説いたが、歌舞伎には手を出したくないというご返事だったので、ご縁は生じなかったのである。
 踊るビジュアルこと安達紫帆さんと一緒にロンドンにひと月滞在して仕事をしていたときに、彼女のご主人の翻訳家高見浩氏からの手紙によって、日本で杉浦さんと荒俣宏さんの結婚が話題になっていることを知ったときの驚きも凄かったし、スピード離婚でもまた驚かされた。そして今度……。杉浦さんには最初から最後まで驚かされっぱなしだった。陰ながらご冥福をお祈り申し上げたい。

2005/07/24
てん茶
 きょうは午前中比較的涼しかったので、久々に乗馬クラブに行って、帰りに渋地下でいつも込んでて気になっていた出汁茶漬けの店で食事。何種かのお茶漬けに小鉢が2品ついて七百円前後という値段設定が人気を呼ぶ秘密と見た。小腹が空いたときにちょっと立ち寄るという人が多いのだろう。かなり塩気の強い出汁で食べさせるのがいいのかもしれない。小鉢がついてるのもお得感があるのだろうが、これは無いほうがいいくらいの代物でした。

2005/07/23
茸の和風スパゲティー、鮪とアボガドのワサビ醤油和え
 きょうはベランダで何だかやたらに亀が鳴いてるなあと思っていたら、いきなりグラグラッと来て、一瞬これでもうダメかと思ったくらいの強い地震があった。地震と関係があったのかどうかは不明だが、オスの亀はギュッギュッとほおずきの実を鳴らすような音で鳴く。鳴くのは地震と関係はなくとも、生殖活動とはたぶん大いに関係していて、大きな声で鳴いているときにベランダを覗くと、たいてい雄がヤラシイ行為をしているが、まだ成功に至ってはいないようだ(笑)。

2005/07/22
豚肉とパイナップルのブレゼ
 QP3分クッキングで前に見た料理。フライパンにキャベツを敷いて、塩胡椒で下味した豚肉とパイナップルを載せ、白ワイン、バター、ベイリーフを加えて蒸し焼きにする。パイナップルには肉を柔らかくする成分があるそうで、とくに豚肉とはとても相性がいいし、簡単にできるメニューなのだけれど、主菜にこういう甘い味はゼッタイ許せないと思う人がいるかもしれません。

2005/07/21
海老とジャガイモのエスニックサラダ
 前にQPで見たレシピを参考にして作ってみた。千切りにしたジャガイモと塩茹でした海老を砂糖、ニンニクのすり下ろし、レモン汁、酢、ニョクマム、鷹の爪を併せたタレで和える。タレに市販のさきいかを加えて旨味を出すのがポイント。千切りしたジャガイモは何度も水にさらして、サッと湯通しすること。仕上げに香菜と松の実を加えた。

2005/07/20
銀座 いまむら
 ニナガワ歌舞伎を見に来た両親と銀座の「いまむら」で食事。ここは故・池波正太郎氏がごひいきになさっていた割烹として池波ファンの方に知られた店なので、味にうるさい両親を誘ってみたが、入るのは私も今回が初めてである。
 実にオーソドックスな割烹料理で「最近はこうしたまっとうな料理を出す店がだんだん少なくなってきた」というのが父の弁。アイナメのお椀、里芋とずいきの炊き合わせはシンプルながら味は大変いいとお互いに見解は一致した。ただし昆布で締めた鯛を使うあたり、ウチ(川上)とはお造りの考え方が違うと父はバッサリ斬り捨てたが、締めた魚を使うのは東京の割烹にわりあいよくあるカタチだと私は思う。鮎の塩焼きは焼きが甘くて塩が強すぎると父はこれもバッサリ。私は子持ち鮎の天ぷらが結構いけると思いました。酢の物の代わりに鱧の落としが出てきて、これはウチのほうがずっと美味しいと母がバッサリ。ああ、もう勝手にせい!こういう両親だから私はどこにも連れて行けないのであります(泣)。
 ともあれ銀座の一等地にありながら、ご主人と息子さん奥さんの三人だけでなさってるからでもあろうが、料金はかなり低めに抑えられていて、非常に良心的な仕事をなさっているし、御三方とも意外なほど気負ったところのない職人肌で、嫌みな感じは少しもないのが今回よくわかったので、次はだれか友だちを誘って気楽に食べようと思う。

2005/07/19
ナシゴレン、シーフードサラダほか
 ホテル・オークラで島崎夫人と久々にお目にかかってご馳走になる。島崎夫人は「生きる」や「七人の侍」で知られた名優志村喬の未亡人で、早や御年92歳になられたが、今なお矍鑠という言葉がぴったりくる。同席したわが両親のほうがよっぽど老いぼれに見えたもので、たぶん第2次大戦下の影響があるのではないか、明治末から大正初期までの日本人と昭和ヒトケタ世代を比べると前者のほうが断然元気であり、しかも日本の美意識に適う人が多いような気がするのは私ばかりでしょうか。
 ともあれ年上の女性で素敵な人とか、やさしい人とかは結構いらっしゃるが、カッコイイという表現がふさわしいと思えるのはこの島崎夫人をおいて他にない。女性には珍しいダンディズムを感じさせる方でもあることは前にも書いた気がする。毎日死支度をしながら、それでも近ごろは朝起きると必ず、ああ、淋しいなあ、切ないなあ、やるせないなあとかって一度は思うようにしてるのよ、と、陽気に笑って仰言れるところがニクイ。股関節の軟骨が壊死して骨盤と大腿骨がゴリゴリいう激痛に堪え、杖を突きながらでも背筋をぴんと伸ばして毅然と歩かれる姿のかっこよさにはシビれてしまう。こうしたやせ我慢を張ることの中にこそ存在し得た日本人の美意識と、昨今の和物ブームを支える精神構造とは全く別種の観があって、日本人の日本回帰といわれている現象が私はどうにもウソ臭い気がしてならないのである。古き良きニッポンを本当に知る老人は90代以上でしかなく、少年期に軍事教育を刷り込まれた劣化せる80代70代の老人が唱える日本回帰には要注意であることを、近ごろの教科書問題などでも強く感じるのであった。

2005/07/18
トマトとコッテージチーズのパスタ
 QPで見た料理。すり下ろした玉ねぎとニンニクをアンチョビと一緒にじっくり炒めてトマト、スイートバジルを入れてさらに煮込む。仕上げにツナ缶とコッテージチーズを入れればソースの出来上がり。パスタはアルデンテよりもっと芯を残した感じで引き揚げてソースにしっかりからめるのがポイント。簡単にできるのし調味もほとんど要らないのでオススメ。

2005/07/17
五目キンピラ
 ジャガイモ、にんじん、ゴボウ、コンニャク、インゲン、豚肉をそれぞれ細切りにしてキンピラ風に味付け。
 今日はさすがに朝から蒸し暑くて乗馬は断念しました。

2005/07/16
小アジの南蛮漬け、辛味大根おろし蕎麦
 QPで見た料理。小アジは内臓を取ってから塩をしてしばらく置いて水気と臭みを取るのがポイント。6、7分時間をかけてじっくり揚げる。南蛮酢をかけて獅子唐と白髪ネギであえる。

2005/07/15
イチジクと水菜のサラダ、子羊のソテーほか
 ミュージカル通の内山さんと誘い合って「プロデューサーズ」来日公演を見た帰りに近所で食事。
 この作品はかのメル・ブルックス監督の作品とあって、映画「ヤング・フランケンシュタイン」以来彼のファンである私はけっこう満足して見たのだが、意外にふつうのミュージカルを想像していたらしい内山さんは、これがなぜトニー賞最多なの???といった感じだったらしい。たしかにミュージカルというより音楽劇仕立てのコメディーといったほうが当たりかも。とにかく下ネタ満載、偏見とサベツに充ち満ちたギャグで大いに笑わせるあたりはやっぱりメルの作品である。
 なにせブロードウエイのミュージカル制作そのものをパロディにしているので、ホモの裏方集団(演出家も、振付師も作曲家も装置家も照明家も全員がゲイ!ってホントにありそうなのがこわい)が出てきて、そのとてつもない美意識を発揮して作りあげる劇中劇が、「これ見てドイツ人怒りませんかねえ」と内山さんのいうナチスドイツを徹底的に茶化したミュージカル。これがユダヤ人観客に大受けするというエピソードそのものが多大な毒をふくんでいる。ドイツ人もさることながら、ゲイの人びとも相当に茶化されていて怒りそうなもんなのに、内山さんは客席でめざとく何組かその手のカップルを発見して私に教えてくれました(笑)。
 で、私のほうは喫煙所で安部譲二氏を発見!頭は金髪、青の派手なアロハシャツ姿で奥様とおぼしき美人とご同伴。先日角川事務所の原さんたちと話題にのぼって、私が昔からファンだったことをこのHP上にも書いたが、なんとバッチリ目が合ってしまい、目が離せずにいたら向こうが不審そうにじろっとにらんだので慌てて軽く会釈し、向こうも同様にして立ち去られた。よほどご挨拶申し上げようかと思ったけど、スジを通さないといけない方のような気がして、やはり角川事務所の村松さんがセティングしてくださることをお待ちしようと思った次第。
 

2005/07/14
冷や奴、オカヒジキの辛子醤油和え、シラス大根、ミョウガと卵のお吸い物
 ああ、われながらなんと質素な食事だろう。たまにはこういう日も必要だとは思うが、きょうはなんとパリ祭で、S氏のご存命中は例年「マキシム・ド・パリ」でご馳走になった日である。嗚呼……。
 それにしても、最近はパリ祭というコトバを滅多に耳にしなくなったけれど、思えば私が若いころはフランス文化が世界中を席捲して、日本でも思想哲学、文学、絵画、演劇、映画あらゆるジャンルにおいて、フランス語をしょっちゅう耳にしていた気がする。「レゾン・デートル」なんてコトバを聞いても今の若い人は何のことだかさっぱりわからないだろうが、当時の知識人は皆こぞってこのコトバを使いたがったものだ。
 石亀(失礼、石原でした)慎太郎が「フランス語は数をかぞえられない言語だ」というまたまた笑える暴言で、フランス語の教師に訴えられた事件に関連して、最近フランス語を習う人が激減しているという話を知って、むべなるかなと思った次第。今やビデオ屋でもアメリカ映画がほとんで、かつてフランス映画が隆盛を誇ったことすら想い出せな状況である。
 ちなみに私は通っていた学校の関係で小学一年生のときからフランス語を習っていて、小学校の卒業式で生まれて初めてもらった賞が「仏国領事館賞」というものでした。運動会には日の丸と共に三色旗を掲げ、君が代と共にラ・マルセイエーズが流されるというふしぎな学校でした。
 今にして、小学校から高校まで12年間通ったこの学校は私の人格上に意外に大きな影響を与えたのではないかという気がします。Ce n′est pas claire n′est pas francaise(明晰ならざるものはフランスにあらず)という国と、曖昧の国ニッポンとは相当な懸隔があるせいか、私は時々この国についていけない気がするのでした。

2005/07/13
夏野菜とツナの炒めカレー
 QPで見た料理。ラタトイユ風のカレーで、まずニンニクのみじん切りと茄子をじくりと炒めるのがポイント。あとは玉ねぎ、赤・緑ピーマン、トマトとツナ缶の汁を足して炒め煮に。そこへコリアンダーとクミンの粉末を加える(こんなもの簡単に手に入るのだろうかと思っていたら、近所のスーパーにあった。比較的食材に恵まれた土地柄のせいで、うちの台所は実に多国籍である!)。最後にツナ缶の中身を加えて塩胡椒で味を調える。カレーといっても全然辛くないので、物足りない方はガラムマサラを加えればよい。で、私は加えたのだが、これなら最初からふつうのカレー粉を使っとけばよかったじゃん、という結果になりました。

2005/07/12
ホタテ貝とクレソンの炒め物、豆腐サラダ
 QPで見た料理。ホタテ貝は塩胡椒で下味して、あらかじめ片栗粉とサラダ油をからめて炒めるのがポイント。生姜の千切りとクレソンをたっぷり加えて酒、塩、胡椒で味付け。クレソンは軸と葉の炒め方に時間差をつけること。実に爽やかな味わいで夏向きの炒め物である。豆腐はマユネーズ、豆板醤、レモン汁、醤油を混ぜたタレにからめる。TVではこれにトウモロコシの粒を加えていた。

2005/07/11
カマスの干物、スタミナ豆腐
干物は大家さんから頂戴した小田原産。スタミナ豆腐のタレは近所の大島さんから教わった通り、オクラと納豆を刻んで卵の黄身と和えて醤油で味付けしたもの。

2005/07/10
フォー(ベトナムうどん)
 急に暑くなったので近所のエスニック食材屋でゲットした麺とスープでコレを作る。具は適当に海老、シメジ、ネギ、三つ葉を入れた。ニョクマムと鷹の爪、レモン汁も加える。
 昼間は吉祥寺シアターで内山さんご推奨の若手劇団「桃唄309」長谷基弘作演出の「ブラジャー」を見た。タイトル通りブラジャーの歴史(なんて考えたこともなかったけど、この芝居を見て知りました)を通じて現代の社会状況を綴った作品で、私もいろいろと芝居を見てるけど、こういう作風は初めてで、だれに影響を受けたのかちょっとわからないユニークな作家である。
 ストーリーの大枠は商店街で暮らす脱サラのニートっぽい若者や仕事に倦んだキャリア女性がモノツクリに向かうというきわめてリアルな現代劇だが、その中でフリマで廃品として売られた手動型ミシン(役者が演じている)が過去の歴史を物語ることで、コルセットに代わって台頭したブラジャーが象徴する女性解放の流れと、戦後日本の下着メーカー(ワコールがモデル)の販売方法を通じて物流経済の変容が綴られてゆく。いささか盛り込みすぎの観は否めないが、閉塞的な状況に置かれた現代の若者たちを被害者意識を持たせずに、軽妙に明るく描いているという点において頗る好感がもてた。一口でいうと、現代人にとって過去の「歴史」がどんな意味を持つのかを極めて前向き捉えた作風で、時代小説を書く私にとっても考えさせられる点が多々あったといえる。

2005/07/09
鶏肉と山芋のピリカラ炒め
 スーパーで配ってるパンフで見た料理。鶏胸肉は塩胡椒してサラダ油と薄力粉を混ぜておき、ごま油で焦げ目がつくまで火を通して取りだしておく。山芋は薄い乱切りにして炒める。鶏肉を戻してさらにネギの薄切りと生姜、ニンニクのみじん切りを加えて炒め、豆醤油、オイスターソース、醤油で味付け。ネギ生姜ニンニクを後から加えるのがポイントで、このレシピの順序通りにこしらえるとかなり美味しく仕上がるので、オススメします。

2005/07/09
鉄板焼きほか
 ニナガワ歌舞伎「十二夜」を萩尾望都さんとMGの城さん、ポプラ社の矢内さん、講談社の国兼ブチョーと堀さん、文春の内山さん、現代人形劇センターの塚田さん、スラッシュの守部さん、進藤さんとで観劇したあと近所で食事。劇場に入るなり蜷川さんとお会いして、計10人で見に参りましたといったらえらく怯えられてしまった(笑)。
 で、結論からいえば、これは役者も演出家も大奮闘の力作であり、色んなことを考えさせられた舞台であった。いい意味で予想を覆されたのは、衣裳や大道具から、下座や竹本に至るまで(チェンバロなどの西洋古楽のBGと交互に聞こえるのがちょっと不思議な感じ)、歌舞伎の演出をふんだんに摂り込んで、しかもセリフまで歌舞伎調に翻案しながらも、これはやはり完璧なまでにシェイクスピア劇であり、歌舞伎ではなくニナガワ演出の芝居に見えたという点である。そのことの成否が今後どう問われるかは難しいところかもしれない。ただ私としては、歌舞伎とシェイクスピア劇がストーリーの組み立てやなんかでは座付き作者が書いた芝居特有の共通点を多く持ちながら、実は似て非なるものというべきか、全然性質を異にする演劇であることが判明したという点で、頗る面白い観劇体験だった。
 とにかくシェイクスピア劇はセリフが洪水のように溢れ出すコトバの演劇であることが、ふだん量においても質の上でもコトバにそこまで全面的に頼ることのない歌舞伎役者に演じられたことで、より鮮明になったといえる。それにしても短い稽古期間でここまでコトバの演劇を克服した役者たちには拍手喝采を送りたい。今回の企画を率先した主役の菊之助が健闘したのはある意味で当然とはいえ、ふだんはよく手抜きをする父菊五郎が二役早変わりの大奮闘で、しかもシェイクスピアのセリフをそれらしく聞かせてくれたのは意外な収穫だった。役をふくらませることにおいて抜群の冴えを見せた市川亀治郎、果敢に道化方の役作りに徹した尾上松緑なども特筆に値する。
 最近の蜷川さんが得意とする全面鏡張りの装置やサスを多用した照明などは、歌舞伎の衣裳や化粧の妨げになりはしないかと案じられたが、その点の心配はまったく要らなかった。見終わった今、ひとつ案じられるのは、こんなにちゃんとしたシェイクスピア劇に仕上げた結果、いわゆる歌舞伎の観客はどの程度満足できるのだろうという点である。たとえば野田秀樹の戯曲を上演するよりもはるかに難しいことを、高い水準でやりとげながら、野田戯曲は歌舞伎として見えたのに、今回は歌舞伎ではなくあくまでもシェイクスピア劇に見えたということで納得できる観客がどの程度いるのか。興行的な成否はそこにかかっているといえる。歌舞伎を見慣れた観客にはシェイクスピア劇の人間関係やシチュエーションが呑み込みにくいだろうと思うし、蜷川さんの観客にとっては歌舞伎調のセリフがやや難しくて、途中で長い休憩が二度も入る上演に唖然とするかもしれない。
 ともあれこうした実験的な公演をやれば、歌舞伎役者がだれでも生き生きしてくることはきちんと認めて、絶やさない方向で進むことを望みたい。

2005/07/07
ラムしゃぶほか
 角川事務所の原重役、モノホンイケメン編集者の村松氏、文芸評論家の細谷正充氏、スラッシュの進藤さんと神田の龍水楼で会食。ここの名物ラム肉のしゃぶしゃぶと三不粘のことはすでにさんざん書いたので今日は写真だけを載せる。
 細谷さんとお会いするのは初めてだが、蔵書5万冊なかでコミックス1万冊以上という驚異的な数字もさることながら、時代劇のビデオの収集はむろんのことゲームにも詳しいし、明日私が会う予定の萩尾望都さんのLPまで持ってるというのにはもうびっくり!とにかくオタクの王道をまっしぐらに突っ走ってる方のお話を大変に面白く伺わせて戴いた。
 村松さんは作家安部譲二氏の担当をなさっていて、安部氏が武智鉄二師と浅からぬ縁があったという話を聞かせてもらって、これにもびっくり仰天。何を隠そう私は「塀の中の懲りない面々」が出た直後に読んで、以来ずっと安部譲二氏の大ファンなのである。
 もともとこの業界に入る前も後も、作家という人種には全くといっていいほど興味が持てなくて、誰にも会いたいと思わなかったのだけれど、唯一の例外が安部譲二氏で、これは別に作家としてというわけではなく人間として、オトコとして魅力的に思えるからです。ちなみにこの人は三島由紀夫の「複雑な彼」のモデルでもある。
 作家という人種にほとんど魅力を感じないのは、なんだか芸能界よりもっと女々しい男が多そうだなあとか、性格が素直な人って絶対いそうもないなあとか、イケメンとか美人とか言われてても所詮は「鳥無き里のコウモリ」に過ぎんのだろうなあ、などという単に一方的な思い込みによるものなのだが、安部譲二氏だけは、私の頭の中でこれも勝手に「作家で例外的に男らしくてステキな人」に分類されていて、やっぱりオトコは一度くらい警察やムショのご厄介になってるようじゃなきゃ面白くない、というのが武智鉄二を師と仰いだ私の持論であります。折角同じ業界にいるのだから何かの折に一度でもお会いできないものかしらと思っていた安部譲二氏に、村松さんがそのうち会わせてくださるというので、今宵は大喜びで帰宅しました。

2005/07/06
海老とジャガイモの中華風塩炒め
 フジテレビで見た料理。ジャガイモとピーマンの千切り、縦半分に切って塩茹でした海老を炒めて塩と酢で味付け。隠し味に砂糖少々。炒める油にかなり多い目の鷹の爪とネギの輪切りを入れて香り付けするのがポイント。
 ここんとこずいぶん食欲があるなあと思ってたら、ジムの体重計で2キロ近くもオーバー。しかしきょうはまた先日の人間ドックの最終通知が来て、ペプシノゲン検査で今のところ胃ガンの恐れが全くないと判明しましたので、これからもドンドン食べます。

2005/07/06
和牛ハンバーグステーキ
 お茶の稽古の前に麹町で食事。

2005/07/04
ミョウガの豚ロール
 QPで見た料理。縦半分に割ったミョウガをしゃぶしゃぶ用の豚肉で巻いて油で炒め、蜂蜜、酒、醤油、水を合わせたタレで味付けする。たっぷり目の油で炒めて、タレを入れる前にその油をしっかり拭き取るのがポイント。夏向きの爽やかな味わいで、作り方も簡単だし、これはかなりオススメである。

2005/07/03
おろし蕎麦、アスパラと豚肉のサラダ
 スーパーで辛味大根を見て急に蕎麦が食べたくなった。サラダの写真は昨日に似ているが、それもそのはず、アスパラガスが加わっただけであとは同じ。
 今日はこんなに涼しくなるとは思わなかったので、乗馬クラブは午前中に終えて帰宅。といっても場所が遠いから帰ってきたのは2時過ぎで、近所のマッサージに直行しました。
 早朝に出かけたせいで夕食はいつもより早い目になり、見るともなしにプロ野球巨人VS広島戦を見てしまう。今日はあのナガシマさんが脳梗塞で倒れて以来の観戦で、初めて大勢の人前に姿をあらわす試合とあって、広島リードで進むなか、いつ「メイクドラマ」が始まるのかしらと思っていたら、結局一度も逆転せずに負けてしまったのには唖然。これって誰かの責任問題になったりしないのだろうか。
 試合前にナガシマさんが入場したときの映像が何度か流され、その天覧試合並の物々しさと、観衆の異様な昂奮を伝えることでしか、もはや巨人戦の視聴率は稼げないのを自ら証明ししているみたいで、なんだか選手たちが気の毒になってしまった。こういう「伝統」あるチームに属するのって、ちょっと前まではともかく、今の若い選手にとって果たしてどんなメリットがあるのだろうか。
 ともあれナガシマさんを見ると、私はいつも江戸時代の市川団十郎人気ってこんなもんだったんだろうなあと思ってしまう(出身が千葉ってのも同じだし)。なんだかこの人が好きかどうかは、日本の庶民であるかどうかの踏み絵のようにも思えるのだけれど、はっきり言って私は別に好きではありません。ただこの人が「肉離れ」を「ミート・グッドバイ」と珍訳した話には大爆笑で、やはりただ者ではないという気はしております。

2005/07/02
豚冷しゃぶ
 タレは生姜のみじん切り、酢、砂糖、醤油、ごま油、すりごまを合わせたもの。付け野菜はさっと塩茹でしたオクラ、トマト、レタス。

2005/07/01

 世田谷パブリックシアターで「MANSAI解体新書VOL7」を見た帰りに近所で食事。今回は文楽の竹本咲甫大夫と実弟の三味線弾き鶴澤清輝、最近「人形浄瑠璃に没頭中」のいとうせいこうをゲストに招いて日本演劇を「語り物」の視点で斬る企画であった。咲甫大夫は天然ボケキャラで、最初はどうにも話が噛み合わずにハラハラさせられたが、いとうせいこうが割って入って、自らの好奇心をストレートにぶつける形で斬り込み始めてから話はがぜん面白くなった。
 文楽の大夫、三味線弾き、人形遣いの三業はそれぞれが互いに合わせようとしないどころか、むしろある意味で反発するようなところもありながら(たとえば大夫の語りは決して三味線の旋律通りであってはならないとされることなど)、舞台上で瞬間的にピタリと合致する快感をフリージャスにたとえながら、いとうせいこうは義太夫の語りを音楽用語的になんとか解明しようとする。義太夫節ににおける「息(いき)」や「音(おん)」や「風(ふう)」はかつて杉山其日庵の「浄瑠璃素人講釈」等をもとに武智鉄二が初めてタームとして取り上げ、以来、それを一般にわかりやすく言語化する作業は多くの研究者もパフォーマーもこれまで成し遂げられなかったことである。いとうせいこうは自らが得意とする音楽的な切り込みで咲甫の言葉から果敢に抽出しようと試みるも、むろん容易に出来るはずもなく、観客の多くはチンプンカンプンだったにちがいない。とはいえ、せいこうの義太夫に対する興味のホンキ度が伝わってきた点と、それが義太夫節の核心をついた興味の持ちようだという点において、今回はなかなかに意義深い好企画だと思われた。
 とにかく日本の伝統芸能における最大の問題点は、それぞれのジャンルにおいて、タームの定義づけがほとんどない状態にあることだといえる。それは日本の伝統芸能に携わってきたこれまでの人びとの知的水準のありようや、和モノ文化に魅せられる研究者、評論家の多くがきわめて情緒的で論理性に乏しいという現状を反映したものでもあって、そもそも日本文化と論理性は馴染まないという考え方も一方にはあるかもしれない。ただイギリス留学経験を経た野村萬斎は、それが日本演劇のグローバル化を阻むものと見ており、この解体新書シリーズにおいて、まずはそこを顕在化しようとしていることが、今回はあらためて強く感じられた。

2005/07/01
串揚げ、豚角煮、サラダほか
 42歳で初産を成し遂げた政田さんから内祝いにお取り寄せフードが贈られてきたので、近所の大島邸でいつものメンバーと会食。

2005/06/29
出汁お好み焼きほか
 幻冬舎のヒメこと木原さんが来訪。『星星峡』で連載中の「吉原手引草」の打ち合わせを兼ねて、同社で創刊された『パピルス』をご持参になる。20代30代の作家を中心にして、表紙写真に中山美穂を起用した、若い読者層を広範囲に狙う新感覚の文芸誌(?)だが、カラーページが多いのに驚かされた。
 きのうの講談社の神保さんの話とも考え併せて、文芸がどうやらひと昔前に比べると若い人たちの間でけっこう需要が高まっているらしい。この業界に疎い私はヒメにここぞとばかり若い作家群についての質問を浴びせた。ひところ話題になってた[J文学]ってどうなったの?とか、[ライトノベルズ]って一体どんなものをいうの?とか、セカチューとか一連の小学館系の本て何て呼ばれてるの?とか。他社の編集者諸氏は私が全く興味を持っていないとでも思っているのか、意外にだれも教えてくれなかったことをヒメは非常にわかりやすく答えてくれた。しかし当該作家の名前をいわれても誰も知らないので、とどのつまりはわかったようで何もわからないのだが(笑)、それでも五里霧中よりはほんの少し見晴らしがよくなった気がする。
 どうやらこの業界も、世の成り行きからして当然だが、今後は世代別の棲み分けがどんどん進んでいきそうな塩梅で、いわゆる文芸誌は判形や表紙からして若い人が手にするところを想像しにくいから、『パピルス』のようにスタイルを変えた文芸誌の登場は(ほかにもいろいろあるのだろうが)十分理解できる。
 日本文化は何事によらず、古いものに手を加えてアップツーデートするよりも、伊勢の遷宮ではないが、古いものは放っておいて、別の場所で新たに一から築く傾向にある。そのほうがウザッタイことがなくていいのであろう。演劇界でいえば旧いほうでは能や狂言がいまだに残っていて、以後は歌舞伎、新派、新劇、アングラ、小劇場等々と、新旧の様式がアウフヘーベンすることなく、あちこちに小さな山が出来てしまった状況で、時折その中でたとえば歌舞伎にアングラや小劇場を取り込んでいく近ごろの動きのようなものが見られるわけだが、これまではそうした動きは一過性のもに終わって定着はしなかった。ただ今後の行方は全くわからない。なぜならば時代環境の激変が人間そのもを変えてゆくなかで、同じ国家とか民族とかいうタテ系列のグルーピングがかつてほど有効ではないと思われるからである。
 文芸の場合はコラボレがそう簡単に出来るわけでもないから、ただその時代、時代に新たな作家があらわれて、どんどん消えていくという単純な仕組み(たとえば私が名前を知ってる作家と、担当の若い編集者が知ってる作家とでは全然ちがう!のを見ても、いかに儚い職業であるのかがわかる)で済んだのだろうが、時代の流れに加速度がかかる一方で高齢化が異常に進むという、なんとも皮肉な状況が、同時代にいながら世代別に分離してゆく方向に進まざるを得ないのだろうと思う。そのうち「ブログ文壇」てなものも成立しそうだが、「淀みに浮かぶうたかた(泡)は、かつ消え、かつ結びて、久しく止まりたる例なし」というような時代の中で、取り敢えずまあなんとか仕事ができて食べていられるのは有り難いことである。

2005/06/28
菊乃井の弁当
 講談社文庫編集部の神保さんが今夏に刊行を予定している『似せ者』のゲラを取りに来がてらお弁当をご持参になって会食。
 神保さんは中学生の息子さんが「山下」と名付けたミドリガメを飼ってられるので、わが家の俊寛と千鳥を紹介したら写真を撮って帰られた。18年間女性誌ひと筋の編集者だった方なので、急に「文芸編集者」になって何かと戸惑いが多いというお話を(ご本人はそれなりに深刻だったりもするのだろうが)大変おもしろおかしく聞かせて頂いた。聞いてびっくりしたのは、近ごろの出版社の新入社員は文芸編集者を希望する人が非常に多いという話で、神保さんが新人の頃はもちろん雑誌編集希望が圧倒的だったという。どのギョーカイにも人気の流行廃りがあるというのは、当事者に聞いてみないとなかなかわからないことであります。

2005/06/27
水茄子でお茶漬け
 水茄子は実家から送られてきた本場泉州の品。
 きょうは渋谷の某クリニックで人間ドックにかかり、同ビル内にあるレストランでランチを取ったら驚くようなボリュームだったため(ビーフカレーと海老クリームコロッケがワンプレートでなく別々の大皿にサラダも添えて盛られてきた!)、夜は軽めに済ませました。
それにしても毎度大変な思いをするのはバリュウム検査で、激しく動く台の上で色んなポーズを取らされてると、段々おかしくてたまらなくなり、笑い上戸の私は苦労します。で、結果は即日判明して概ね異常ナシとのことで一安心。ただしこれは「やっぱり!」というべきか、胆石がありました。胆石は小さなものが胆管に詰まると痛むらしく、わが父親が大変に痛がって手術したときは、細かな胆石がびっしり詰まっていたといいますが、私の場合はデカイ石が胆嚢にデンと収まっているので幸いまず動くことはなく「溶かす薬もありますが、放っておいても大丈夫でしょう」とのことでした。よく「爆弾抱えてる」なんて表現をしますが、これって核爆弾はまず使わないという感じに似てるのかも。

2005/06/26
いさきのアクアパッツァ
 前にやったのでレシピは省略する。とにかく水煮だから簡単。きょう一緒に煮込んだ野菜はアスパラ、プチトマト、パブリカ。
 昼間は世田谷パブリックシアターでドイツ年に当たっての招聘公演『火の顔』を観た。招待の段階ではパスしたのだが、先日観たスラッシュの進藤さんが「本年度の舞台ベストワンはやっぱりコレで決まりでしょう」とまで言ったから、わざわざチケットを買い求めて観たというわけ。ベストワンと言い切ってしまうかどうかは別として、近年では珍しいともいえる、久々に観る値打ちのある作品だったことはたしかである。
 内容は実にコンテンポラリーな家族崩壊劇で、もろに「親殺し」を扱っているが、戯曲、演出共にリアルに見せながら、極めて抽象度が高いという点は恐らくドイツ演劇の特質であろう。日本の舞台を観るような甘いカタルシスは得られないが、その分人間存在の危うさを深いところに及んで考えさせてくれたといえる。
ところでここ数日ニッポンのTVでは少子化の問題をやたらに取り上げていたが、コメンテーターのほとんどが(これは驚くべきことに男女を問わず)とにかく子どもが生まれないと社会が成り立たない、つまりあからさまにいえば将来の税金や年金の担い手として、労働者や消費者として、子どもは絶対に必要なのだと説くのだが、ではそうした身勝手なオトナの理屈で生まれて来た子は、将来にわたる膨大な国の借金を返すためにこの世に生まれて来たことを果たして喜べるのかどうかという点は、当たり前だが、誰も考えていないのがスゴイ!と私には思えるのだった。
 『火の顔』は、子どもはこの世に生まれて来たくなかったかもしれないという視点が明解に貫かれて、そこがまさにコンテンポラリーな挑発としてこちらの心に強く響いたのである。
 共に思春期を迎えた姉と弟はセックスを通してこの世から逃れる術を得ようとする。姉は「家族という泥沼」から抜け出したいためにセックスはしても、子どもを作るのは自分と同じ「嫌悪感の繰り返し」を生むことに他ならないと考えている。一方この世に生まれたことの意味を求められない弟は、セックスの喜びで気を紛らす方法を姉から直に教わって近親相姦にのめり込み、自らを燃やしてもう一度誕生からやり直そうとする。ふたりの両親は子どもたちが何に躓いているのか理解できない善良な市民で、もし彼らが子どもたちに殺されるような罪があるとすれば、それは彼らが人間として余りにも凡庸でつまらないということでしかない。だが子どもたちははそうした凡庸な二人から生まれて来たことそのものを深く恨み、憎んでいる。そこには社会の存続のために子どもが必要だというオトナの理屈の対極にある子ども側の論理が透けて見えるのだった。
 現代における「親殺し」のメカニズムをこんな風に抽象的に見据えた演劇を生み出す能力は、残念ながら「笑い」や「癒し」に逃避している今の日本にはとてもありそうには思えません。

2005/06/25
鰻丼
 近所の大島さんちに行って話し込んでしまい、夕食を作るのが面倒になってコレ。
 大島さんは永井荷風の従弟の孫で、叔父さんは永井荷風の養子になられた方である。この永井永光氏が最近白水社から出版された「父荷風」という本を頂戴して、すぐに読み始めたが、荷風の皮肉な人生の所産と言えなくもない養子縁組の経緯とそれによる死後の混乱ぶりが割合赤裸々に書かれていてなかなか面白い。

2005/06/24
キムチのオムレツ
 QPで見た料理。刻んだキムチとツナ缶、粉ふきイモを炒めて具にしたオムレツで味付けは不要。具にはすり白胡麻を加え、溶き卵には水溶きカタクリを加えてまとまりやすくするのがポイント。

2005/06/23
ゴーヤと豚肉の混ぜご飯、茎ワカメのスープ
 QPで見た料理。豚肉の細切れを炒めて酒、味醂、醤油で濃いめに味付けし、ゴーヤ、赤ピーマン、椎茸を入れて出汁を足し、驚くほどたっぷりの針生姜と塩を加えて煮詰めたものをご飯に混ぜて出来上がり。清涼感のようなものがある混ぜご飯で夏向きの味。これは久々にオススメである。スープは贈り物で尾道特産のインスタント食品だが、お取り寄せしたいくらいに美味しい。

2005/06/22
アルトウロ・ウイの興隆
 お昼に講談社の国兼ブチョーと新担当の堀彩子さん、スラッシュの進藤さんと渋谷セルリアンタワーの「金田中“草”」で会食。「金田中」の経営なので多少侮っていたが、ここは意外といける。碗物の味付けが悪くない。食後のデザートを洋風形式で選ばせるのもいいアイデアだと思う。
 新担当の堀さんは30そこそこの方で真面目そうな、またしても美人!この文芸業界は、周りを見る限り、女性編集者がいずれも優秀で、しかも美人ぞろいである。前に新潮社の小林姐さんが冷めた口調で言ってたように「やっぱ入社の面接で選んでるのがオトコなわけですから」ということなのかも。男性編集者は一体どういう基準で選んでいるのか謎である(笑)。
 昼食をたっぷり取ったあと、なおかつ進藤さんと渋谷で暇をつぶしてボリュームのあるバナナフレンチトーストを食べたために、晩ご飯はヌキで新国立劇場の招聘公演「アルトウロ・ウイ」を見た。
 今年は日本におけるドイツ年に当たって数々の招聘公演があるなかで、これだけはどうしても見ておきたかった。ヒットラーの台頭とそれを生んだ社会の歪みをシカゴのギャングに仮託して戯画的に描いたブレヒトの傑作で、ハイナー・ミュラー演出と共に名舞台の誉れ高い作品である。
 ちょっと腹立たしかったのは、字幕がないために、とにかく嫌でもイヤホンガイドを借りるしかなかった点。しかもそのイヤホンガイドも無いよりましという程度で、セリフの内容をごく大ざっぱにしか伝えない。こんなんならケチらずに字幕作れよ!と栗山民也にいいたい。
 ともあれ作品そのものはやはり見る価値大いにありで、まず主役のアルトウロ・ウイ=アドルフ・ヒットラーを演じるマルティン・ヴトケのパワフルな演技に圧倒されて、この俳優を見られただけでもよしとしたい。
 ブレヒト戯曲のセリフが完全にはわからないし、ハイナー・ミュラーの刺激的演出にも時折???となったとはいえ(プログラムを読むと、かの岩淵達治先生でさえ謎のシーンがいくつかあるらしい)、ヒットラーが貧困と無知が支配する社会に「信念」を掲げて、旧権力のまずは「犬」となり、時代の「道化師」として登場したという描き方を見ていると、まんざら現代ニッポンにも無縁な話とは思えない不気味さが感じられた。不健全なナショナリズムは常に貧困と知的劣化から生まれる。最近の若い人たちを見ていると、別にそう貧しくもなく、ある程度の知的環境に育った人でさえ自らの「確信」に乏しい人が増えているのは実に困ったもんで、こんな時代にファナチックな「信念」を掲げた人間が演劇的な身振りで登場して、非理知的な人びとがそれに引きずられたら、歯止めをかけるだけの力があるのかどうか疑わしいように思う。80年代以降、消費社会の全面肯定と共に「思想」が問われなくなってしまったことは、現代ニッポンの大いなる闇であり、小泉や石原のような「道化師」をかつぎあげて、引きずりおろすにおろせない現状がいかなる方向へと導くのか。今後少子高齢化に応じて貧しくなっていくことだけは確実な日本であるだけに不安は大きいといえる。
ただ日本の過去の歴史においてヒットラーは出なかった。にもかかわらず自然と大政翼賛的な動きが強まって、マズイと気がついたときは、もはや知識人がどうにもできなくなっていたことの怖さを肝に銘じておくべきだろう。近ごろの靖国合祀問題でも、A級戦犯に関して、戦争に負けたために勝った側の一方的裁判で裁かれた気の毒な人びとという捉え方をTVでわざと口にするコメンテーターがあらわれたのはビックリだった(桝添要一さん!あなたのことです。これだからホント全共闘世代は信用できない)。ヒットラーと東条英機はもちろん違うのだけれど、その違いがどこにあるかも明確にされないまま、結局戦争に負けたから責任をとらされた人ということで片づけたのでは歴史に学ぶ意味がない。今マスコミで自然と醸成されていきつつあるナショナリズムとそれに乗っかる連中には要注意である。
 歌舞伎に関わったり、時代小説を書きながらこんなことをいうのもなんだけれど、一連の和物ブームと洋物文化の退潮も私はなんだかちょっと心配で、これぞ若年層の知的劣化の象徴のような気がしてならない。というような話をお昼に国兼ブチョーとしていたのだが、それでも私は七月のニナガワ歌舞伎を誘ってチケットを取ってあげたのである。新国立劇場の客席ではなんとその蜷川さんご本人とバッタリ。「七月楽しみにしてます」と言ったら「いやだなあ。まだ稽古が何にもできてないんですよ」とやや自信のなさそうな口ぶりでした。

2005/06/21
ラタトイユ
 材料はナス、ズッキーニ、生トマト、生バジル、豚挽肉。ニンニクのみじん切りと鷹の爪を炒めて塩胡椒した豚挽肉を入れ、あとはナズ以下の野菜を加えて炒め煮にしただけ。味付けは塩、胡椒と白ワインと至ってシンプル。

2005/06/21
焼き鳥、釜飯ほか
 世田パブにドイツ年の招聘公演シャウビューネの「ノラ」を見に来た進藤、守部さんに呼ばれて近所で食事。私はパスしてしまった公演だが、美術音楽ともに洗練されていて結構だったという二人の評を聞いて残念に思う。イプセンの「人形の家」をスタイリッシュにした上演で、ノラがシロガネーゼ風の奥様みたいに描かれていたという話がおかしい。

2005/06/19
新じゃがと鶏肉の炒め煮、アスパラとイカの中華風炒め、タイ風春雨サラダほか
 乗馬クラブの帰りに近所の総菜屋でゲット。
 馬に乗ることをようやく楽しめるようになってきたが、ここまで来るのはけっこう大変で、乗馬はただカッコイイからやってみようなんて気持ちでは続けられない意外とハードなスポーツである。ことに今の季節は全身汗だくで、ただ馬上で涼しい風に吹かれていると、ああ、私って幸せだなあ……と、しみじみ思ってしまいました。
 乗馬は子どもの頃からやりたいと思っていて、亀もまた子どもの頃から飼いたかった生き物である。亀は子どもの頃にも飼っていたが、大きくなると近所の寺の池に放すよう親にいわれて、最後まで飼わせてもらえなかった憾みがある。
馬も亀も手に入れて、人生でもうこれ以上に望むことは何もないように思えるのだから、本当に私の人生は安上がりにできております(笑)。
 思えばふつう女性によくあるらしい、着飾りたいという欲求が私には昔から欠如していた。幼い頃は子供服専門店なんて銀座の「ヤングエイジ」くらいしかなかったもので、男のくせして着飾りたい欲望のカタマリであるわが家のピーコック親父は、わざわざその銀座で洒落た子供服を買い求めたが、着せられる私はそれが嫌で嫌でたまらなかった。今でも人前に出るときは一応ちゃんとした格好をしなくてはならないのが苦痛であるからして、パーティの類はなるべく避けるようにしているし、ナントカ委員とかいった名誉職の類もすべてご辞退させて頂いた大きな理由のひとつは、正直なところ、人前で着るモノに金をかけるくらいなら、もっと自分の好きなことに費やしたいという気持ちである。これについては金銭面ばかりではなく、むしろ時間のほうがもっと大切で、社会的な時間はなるべくどんどん減らしていきたいという欲望が強まってきたからにほかならない。事ほど左様に、人間の欲望というものは、各人が自らに問いつめれば、実に千差万別なはずであります。
 消費社会の申し子である近ごろの若い人を見ていてちょっと気の毒に思うのは、本当に自らがそれを欲しているのかどうかもわからないままに、他人が欲しがるものだからきっと自分も欲しいはずだと思い込んでしまうところで、これを私は「飼い慣らされた欲望」と呼んでいる。かくしてブランド品がやたら売れて、手に入りにくいチケットの芝居だけを見たがる観客が増えるといった浅薄な社会ができあがった一方で、自分はいつも何か満たされていないと感じる人が多くなったのは当然だろう。しかし自らの純粋な欲望が何であるのか気づくのは意外に難しく、人生が終わりに近づくにつれて次第に明らかになっていくことなのかもしれない、とも思う今日この頃であります。

2005/06/18
イカとスナップエンドウの中華風塩炒め
 ニンニクと生姜のみじん切り、鷹の爪を入れた油でするめイカ、青ネギ、スナップエンドウ、シメジを炒めて塩胡椒で味付け。隠し味に砂糖少々。最後にごま油をまわしかける。これはまったくのオリジナルレシピです。中華って大体こんな感じ?てな風に作ってみました。

2005/06/17
ツナとベーコンとオクラのおろしスパゲティー
 お茶の稽古の前に麹町のTEA SHOPで食事。
 今日から濃茶の稽古が始まって、薄茶よりずっとややこしい段取りに戸惑っていたら、稽古場の前に街宣車が停まって大音声でがなりはじめたので余計にわからなくなった。稽古場はイスラエル大使館の敷地内にあって、というよりも、本当は稽古場のオーナーがイスラエル大使館に土地を貸しているのだが、考えてみればかなりヤバイ場所である。どうやらパレスチナ支援派の街宣車だったようで、なぜ今になってという気がしないでもない。来るなら過去にもっといくらでも来たほうがいい時があったように思うのだが……。それとも最近イスラエルVSパレスチナ情勢で何か決定的な事件が起きて、それを私が知らないだけなのだろうか。ニュース番組だけは毎日わりと熱心に見ているつもりなのだけれど。

2005/06/16
深川どんぶり、梅キュウのタタキ
 フジテレビの番組を参考に作ってみた。鰹昆布出汁に味噌、味醂、砂糖、酒、醤油を合わせたやや甘めのだしベースで白ネギと青ネギ、浅蜊のむき身をさっと煮て最後に卵をまわしかける。非常に美味しくできて満足しました。キュウリと梅肉をビニール袋に入れて麺棒でガンガン叩くだけでもう一品が仕上がった。

2005/06/15
梅干しジャコ入り納豆どうふ
 きのう車麩を一袋全部あけて作った料理を昼夜に分けて二日間で食べたが、麩は見かけによらずお腹が張る。そんなわけで、連日の暴食を癒すために今宵はコレにしました。スーパーのパンフに載っていたレシピ通り、ワサビを混ぜた納豆と叩いた梅干しとジャコを豆腐にのっけただけ。美味しい豆腐を買ったのでお味はGOOです。

2005/06/14
揚げ麩とアスパラガスとレタスの煮物
 前にQPで見てまたもフシギに感じて作ったメニューである。もどした車麩を油で揚げて、それを鰹出汁と酒、味醂、薄口醤油で煮込み、アスパラガスを加えてさらに煮込み、最後にレタスをさっと煮てできあがり。アスパラもレタスも香味が出るのでビミョーに優しい味わいが楽しめる。ただ車麩をもどしてから揚げるのか、そのまま揚げて出汁でもどすのか、途中から番組を見たので不明のまま今回はもどして使ったが、もどした車麩を色づくまでしっかりと揚げるのは思ったより時間がかかる。ひょっとしたらもどさずにそのまま揚げるのかもしれない。車麩は見た目より食べるとボリューム感がある。

2005/06/13
北京ダックほか
 「家、家にあらず」単行本化と「非道行ずべからず」文庫化の打ち上げで集英社の八代さん、栗原さん、伊藤さん、スラッシュの進藤さんと共に赤坂の「白碗竹筷楼」で会食。ここは中国にワープしたような空間(向こうの建築物を解体してそっくり移築したかと思しき一軒家)で、メニューにもあまり他ではみたことのない珍品が並ぶのでワクワクする。写真は上からレンコンの海胆挟み揚げ蟹あんかけ、鮑とアスパラの青梗菜巻き、ご存じ北京ダックで、穴子と蛸の炒め物、黒酢の酢豚も非常に美味しかった。ほかにも中華風鰹のタタキ、海老と姫筍と猫耳(ニョッキ)の炒め物、ニラ饅頭、揚げ渡り蟹入りチャーハンなどなど、調子に乗って食べ過ぎたので日にちが変わった今もまだ苦しい私です。

2005/06/12
すし
 友人と渋谷で食事。

2005/06/11
ウニのスパゲティ、サラダ
 ウニソースは生ウニを味醂と醤油で味付けしてオリーブ油を垂らしたもの。レタス、アスパラガス、トマト、ベビーリーフにオリーブ油、塩、黒胡椒を合わせたドレッシングをかけて食す。

2005/06/10
鶏つくねのトマトあんかけ
QPで見て、なんだか妙な料理だなあと思って作ってみたが、やっぱりちょっとふしぎな妙わいだった。鶏つくねは挽肉、卵のほかに味噌と胡麻を入れること。あんかけは鰹出汁を酒、味醂、醤油、塩で味付けして水溶きカタクリでまとめてそこに湯むきして細かくしたトマトを入れる。最後に青ジソをたっぷりトッピング。つくねは多めの油で炒めるのがポイント。トマトを入れる前のあんかけは堅めに作っておくこと。

2005/06/09
もんじゃ焼きほか
 世田谷パブリックシアターで伊藤キムの「禁色」を見た帰りに近所で食事。
 立ち見に長蛇の列ができているのにはビックリだが、「アエラ」の表紙にもなったダンサーだから、この人気は当然なのかも。今回は特に三島由紀夫の豊饒な言語の世界を舞踊で一体どう表現するのだろうという興味で見に来た人も多いだろう。冒頭エレキなミュージックに乗って共にスッポンポン(陰部だけは薄いパンスト状のもので覆っているがほとんど全裸に等しい)で登場した伊藤キムともう一人のダンサーが激しい自慰行為にふける振付を見せたときは思わず笑ってしまい、ほんま相変わらずオモロイやっちゃでーといいたくなる。私は小学校6生のときにたしか「禁色」(「仮面の告白」だったかもしれない)を読んで、そこに自慰だの手淫だのといった言葉がやたらに出てきて、それをやると何やら非常に神に対して罪悪感を覚えるというような内容だったのがミッションスクールにいて妙にひっかかり、気になって、気になって仕方なくて辞書をひいても当時はわからなかった想い出があります(笑)。以来読んでないので今やどんなストーリーだったかもさっぱり想い出せずに見たのだが、それはそれなりに面白かった。まるで宇宙遊泳をするようなポーズになっても絶対にバランスが崩れない天性のダンサーキムは、自らバランスを崩していって、なんとかまたバランスを取り戻そうとするフリを執拗に繰り返す。それが「禁色」の根本に横たわる禁欲のテーマとうまく重なるような気がした。後半になって同性愛のモチーフを舞踊化した場面は妙にコミカルで、妖しい感じが少しもしないのがキムというダンサーの身上だろう。同行した友人は「愛のない現代の『禁色』」だと評したが、三島本人も本当のところは「愛」なぞなかった人ではないか。だからこそ私は彼の小説が面白く読めるのだろうと思う。キムは舞踊家としては批評性が強すぎるのではないかとも、友人は指摘したのだが、だからこそ彼の乾いたダンスは私にとって面白いともいえるのだった。

2005/06/08
鶏手羽元とゴーヤの味噌炒め煮込み
 QPで見た料理。手羽元は先に炒めて皮目をカリッとさせる。ゴーヤは白い部分をしっかり取り除くのがポイント。ネギと味噌を加えて炒め、酒、水、砂糖、生姜の薄切りを入れて煮込む。味噌は先に入れて焦がす分と最後に入れて香りを出す分とに分けて入れるのがポイント。ゴーヤに爽やかな風味が感じられて意外とおいしいのでオススメする。
 今宵はもちワールドカップ予選日本VS北朝鮮を見ながらの食事。無観客試合はやっぱり芝居の舞台稽古を見せられているようなヘンな感じで、特にゴールの時が物足りなかったけど、まあ、とにかく勝ててよかった、よかった。

2005/06/07
茸のカレーほか
 帝国劇場で「ラ・マンチャの男」を見た帰りに近所で食事。
 幸四郎の「ラ・マンチャ」が35周年を迎えたというので久々に見てみようという気になった。思えば私もこれを見たのは30年以上前で、当時染五郎を名乗っていた彼が幸四郎を襲名してからは見ていないような気がする。むろん今回のキャストは幸四郎と上條恒彦を除いて、見るのが全員初めてだった。
 改めて見ると、このミュージカルはきわめてコンパクトに作られた、どちらかといえば小品に属するだろう。が、展開は間然とするところなく、音楽も今聞いてそう古くさく感じられないし、まずもって劇中でフィクションというもの効用を語るというメタシアター的なテーマが設定されているから、決して腐らない作品だというのがわかる。二十代でこの作品と出会ったことは幸四郎という役者の人生にとって実に決定的なものだったにちがいないと、今回これも改めて強く感じた。
 「事実は真実の敵だ」「人生が狂気じみてるとしたら、一体本当の狂気とは何だ……一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生に折り合いをつけて、あるべき姿のために戦わないことだ」などの青臭いセリフを今聞くとさすがにちょっと気恥ずかしいけれど、若いころの私はこれに少なからず影響を受けたのだった。思えば「見果てぬ夢」は当時英語で歌えたし、何かここぞというときには「ラ・マンチャの男」のテーマ・ソングが頭の中で鳴り響いた。あげく風車に挑んだドン・キホーテとなり、時にはサンチョパンザやアルドンサともなって、とんだ負け戦の人生にまっすぐ突き進んでしまったのだから、幸四郎さん、あんた責任取ってくれ!といいたい。
 それにしても、二十代でこれを見て素直に感動したときと、五十代の今見るのとでは、自分の気持ちがあまりにも違っているのにショックを受けた。同時に、この作品をやり続けていられる役者という職業に嫉妬のようなものを覚えた。役者という存在に嫉妬を感じた、というよりも、他人にこういう気持ちを抱いたこと自体、私にとっては初めての経験ともいえる。二十代でこの作品と出会った幸四郎はこれを演じるかぎり永遠に「見果てぬ夢」見つづける老いた青年でいられるのだった。同じフィクションの世界に生きるといっても、作家はこんなふうにはいかない気がする。
 三十年も前に見た幸四郎と、今見る幸四郎とでは、外見がそう違っているように見えない点も驚きだったが、カーテンコールでぐったり疲れて現れた彼は、当然だが、もはやかつての染五郎ではなかった。それまで青年のからだつきで老人役を演じていたひとが、すっかり本物の初老の人のからだに変貌していた。いやはや役者の芸とは恐ろしいものである。幸四郎はこの作品を演じている限りにおいては日本で一二を争う名優だとすら思えてしまう。歌舞伎さえやらないでいてくれたら、私は彼のファンになったかもしれないのに。
 松たか子のアルドンサを見るのは今回初めてだったが、草笛光子(ああ、なんて古い)と比べてやはり少し子どもっぽい感じはするものの、今風のアバズレには見える。ただなにせ実の親子だから、ドンキホーテ老人との交情が微妙にちがってしまうのは致し方ないだろう。老人にピュアな愛を捧げられて自らの誇りに目覚め、老人に惹かれるという気分は草笛のほうがもっと強く出ていたように思う。歌はしっかり歌っている。ほかのキャストは名前の知らない人が多かったが、全員手慣れたもので安心して見ていられた。
 私は見ていてやっぱり泣いた。それはこんどの上演に感動したからではない。三十年前に見ていた自分の気持ちを想い出して、泣いたのである。

2005/06/06
鰹の芥子醤油漬け、茄子とオクラの炒め煮
二品とも近所のスーパーのパンフで見た料理だが、簡単すぎてレシピを載せるまでもあるまい。鰹には玉ねぎスライスをさらして添える。茄子とオクラはごま油で炒める。パンフでは麺つゆを使っているが、私は鰹だしと味醂と醤油で味付けした。火が十分通ってからシラス干しを加えて一煮立ちさせる。

2005/06/05
焼き鯖弁当、水菜とゴボウのサラダ
 乗馬クラブに行った帰りに渋地下でゲット。
 きょうぐらいの暑さでも乗馬はかなりハードで汗ぐっしょり。人も馬もバテバテである。最初に当たった馬はすぐ手抜きして馬場をちゃんと回らずに横切って近道するので参ったが、人間でいうと80歳くらいの老齢だとあとで聞いて大変気の毒に思われました。

2005/06/04
和風パスタ
生姜汁と醤油味醂で味付けするだけのパスタで、三村さんに習って以来、あまりにも簡単なので忙しいときに作るようにしている。具材はいつも適当にしているが、今日はホタテ貝、剥き海老、茄子、アスパラガス、ミョウガ、しめじと実に具だくさんである。

2005/06/04
豚肉の蜂蜜醤油炒め
 塩胡椒で軽く下味して片栗粉を薄くつけた豚肉を炒め、蜂蜜と醤油で味付けした。付け野菜はもやしとニラの炒め物。

2005/06/03
キャベツの梅酒蒸し、鰺の干物
鰺の干物は大家さんから頂戴した。キャベツの梅酒蒸しは以前のレシピを参照。伊勢京都旅行で食い過ぎたせいか、何か手の込んだものを作って食べたいという気持ちがいまいち起こりません。もう一日二日すれば完全復活でまたガシガシ食べることになるでしょう。

2005/06/01
牛肉の佃煮、鰺の干物、ズッキーニの醤油炒め
 肉の佃煮は「和田金」でゲットしたもの。鰺の干物は大家さんから頂戴したもの。

2005/05/31
京都から
 きのう伊勢から京都に帰って今日は昼間京都オークラでフレンチのフルコースを食べたので晩ご飯はなし。写真は伊勢の続きで御祓い町の風景、アワビのバター焼き、てこね寿司の有名店

2005/05/30
伊勢旅行続き
写真は上から伊勢河崎の町並み、古市の油屋跡、宿泊した麻吉旅館

2005/05/29
伊勢旅行続き
写真は上から伊勢神宮 外宮の入り口、御師福島みさき太夫の屋敷の門、内宮の橋から見た五十鈴川

2005/05/28
伊勢旅行
 本日から伊勢に取材旅行に出かけました。申し訳ありませんが、原稿の締め切りに追われておりますので、ここには写真とその説明だけを記します。詳しい旅行記は「オール読物」の来月号をご笑覧戴ければ幸いです。写真は上から松阪の町並み、「和田金」の霜降り牛肉、二見浦の夕景

2005/05/27
新じゃがの煮物、アスパラガスのサラダ、筍の土佐煮、おにぎり、
明日から取材旅行なので今日は近所の総菜屋でゲット。

2005/05/26
海鮮ビーフン
 フジテレビで見た料理。アサリと海老を酒蒸しにして、いったん身と汁を分けて取り出しておく。キャベツと玉ねぎを炒め、先の汁に水を足してビーフンに浸み通らせ、ナンプラーで味付けしてよく混ぜてからアサリと海老を戻す。仕上げに胡椒をきかせる。

2005/05/25
麻婆蒸しナス
 QPで見た料理。ナスを電子レンジで蒸す前にごま油をまぶしておくのがポイントで色つやよく仕上がる。火が通ったらすぐにラップをはずすこと。ニンニクと豚挽肉、赤ピーマンを炒めて、豆板醤、テンメンジャン、鶏ガラスープ、紹興酒、砂糖、醤油で味付け、花椒をふりかけて水溶きカタクリでまとめる。この肉餡は簡単に作れるわりにけっこうイケます。

2005/05/24
塩もみキャベツと豚バラ肉の炒め物、カリフラワーとトマトのサラダ
 炒め物は前にQPで見た通りに作った。塩で揉んでしんなりしたキャベツときゅうり、同じく塩をした豚バラ肉に針生姜を加えて炒め、胡椒で味を調えるだけ。簡単にできるし、使う油が少なくて済むからヘルシーである。サラダは冷蔵庫に眠っていた野菜に塩胡椒オリーブ油を混ぜた自家製ドレッシングをかけただけ。

2005/05/23
鱸のソテーサフラン風味ほか
 新潮社の小林姐さんと渋谷の南伊料理「ピノサリーチェ」で会食。女性だけでやってる店らしく、アンティパスタを少量ずつ組み合わせるかわいいメニューがあるかと思えば、セコンドは意外とボリュームたっぷりで満腹しました。
 姐さんが文庫編集部に移動してから会うのは初めてで、文庫はなにせ会議がやたらに多い部署だと聞かされてナルホドと納得する。文庫は広告も一括なので、商業演劇のポスターやチラシを作るときと同じような配慮が要るであろうと想像し、つい自分の立場を忘れて「並びとか、活字の大きさとか、けっこう大変でしょう」なんて言っちゃいました。興行界と文芸出版界は若干似たところのあるギョーカイだが、作家を扱うのと役者を扱うはどっちがどう厄介なんだろうと考えてる自分って一体ナニモノなわけ?

2005/05/22
鰻丼、お揚げと小松菜の煮浸し、レンコンの練り胡麻マヨ和え
 乗馬クラブの帰りに渋谷東横のれん街で蒲焼きをゲット。
 乗馬もクラスが上がって馬場が広くなり、少しはカッコよく乗れるようになったかと思ったとたん、落馬してしまいました(笑)。むかし何かの映画で落馬して死ぬシーンを見たせいか、乗馬を始めてからずっと恐れていたのが落馬だが、クラブの馬場は砂地にしてあるので落ちてもそう痛くなかったし、ああ、こんなもんかって感じで却って怖さが消えた。人生なんでも早いうちに転んだほうがいいのである。

2005/05/21
冷麺、めざし、レンコンの練り胡麻マヨ和え
 今日は急に暑くなったので何だか支離滅裂な献立になってしまいました。

2005/05/20
お好み焼き
 新国立劇場で井上ひさしの新作「箱根強羅ホテル」を見た帰りに近所で食事。
 初日4日前にようやく脱稿したという井上戯曲、もう慣れっこであろうが、毎度役者泣かせではあった。想い出せば私が「ぴあ」の嘱託で演劇ライターだったころ、井上氏に取材を申し込んだときに原稿がまだ仕上がらないので代わって演出家に取材してくれと言われて、演出家の小林裕氏に会ったものの、やはり台本がなくては詳しい話が聞けず、とにかくこちらの想像で補ってなんとか記事を書き上げたが、結局その台本は出来上がらずに公演中止!印刷の差し替えは間に合わず、幻の公演情報を「ぴあ」に載せてしまった張本人は何を隠そう私である。
 当時としては前代未聞、演劇界では決して犯してはならない過ちであったため、井上氏はもはや劇壇追放になるかと思われたほどだったが、その私が取材した幻の紀伊国屋公演「パズル」こそが「落ちた」嚆矢となって、以後「落とし」まくりながら今日に至る井上さんて本当にスゴイ方だとしか申し上げようがない(笑)。
 で、近年ますます狂躁状態に突入している仕事ぶりのなか、膨大な史料収集に基づきながら近代史にメスの入れる着眼点だけはいつも素晴らしいと思う。今回は日ソ間の和平交渉をめぐる終戦秘話を軸に、日本が敢えて本土決戦を避けた理由は敗戦後の「国体維持」あったというナゾが解き明かされていき、こうした壮大なテーマをこんなにもチャチな設定で展開するのかと驚かされるのもまた井上戯曲の本質であろう。たとえば近代を代表する劇作家木下順二先生ならば、こんな無茶苦茶なテーマ性と設定の乖離を引き起こすはずもなく、そういう意味で井上氏はまぎれもなく脱近代の作家であり、唐十郎や野田秀樹がいわば現代カブキ系の劇作家だとすれば、こちらは現代人形ジョウルリ系の劇作家という見方ができるのかもしれない。人形浄瑠璃がメディア的(つまり人形はあくまで浄瑠璃の内容を伝えるための手段でしかないという意味)であるように、井上戯曲もまた実にメディア的であるにもかかわらず、近年は芸達者な役者たちに支えられて見るに堪えるものとなっているのはなんとも皮肉。今回もまた辻萬長、梅沢昌代、段田安則、大鷹明良、藤木孝といった芸達者の面々に加えて花のある麻美れい、内野聖陽らがいずれも顔に貼り付けたイヤホンでプロンプターの声を聞きながらの大奮闘で、観客をひやひやさせながらも最後まで面白く見せてくれた。ともかくも役者たちには熱い拍手を送らずにはいられない舞台でした。

2005/05/19
春キャベツの梅蒸し、明太子パスタ
 QPで見た超カンタン料理。キャベツと玉ねぎの薄切りと梅干しを鍋に入れ、酒と水で蒸し煮にして最後にツナ缶を加えるだけ。要するに私がいつもやってるキャベツの酒蒸しに梅干しを加えただけだが、味わいが変わって思ったより美味しくいただけた。胃腸が弱ったときなどにオススメである。

2005/05/18
豚挽肉と野菜のピリカラ炒め
 フジテレビで見た料理。ニンニク、生姜のみじん切りと花椒、豆板醤を入れた油で豚挽肉を炒め、さらにアスパラ、茹で筍、コンニャク、鶏ガラスープを加えて炒め煮にして醤油、テンメンジャン、砂糖少々で味を調える。花椒をうまく効かせるのと、コンニャクだけ先にしっかり炒めてから使うのがポイント。
 京都の妹からの電話で、三日前に載せた料理が「どう見てもカリフラワーのパスタなのにブロッコリーと書いてある」との指摘があり、今日あわてて書き直す始末。「お姉ちゃんボケたんとちゃうか」と言われてショックは隠せません。

2005/05/17
あぜくら弁当
 国立劇場で前進座公演の幕間に食事。
 近代の劇作家で捕物帖の元祖「半七捕物帖」の作家でもある岡本綺堂の「権三と助十」を中村梅雀が主演するというのに惹かれて見たのだけれど、芝居全体があまりにもサラサラと流れすぎて、ドラマチックな感じが全くしない仕上がりに頗る不満を感じた。旧作といえど、やはりこうした近代以降の作品には明快な演出が不可欠で、しかもたわいのないストーリーだけに、ドラマの核を絞り込んだ演出で見せてくれないと、いくら梅雀や梅之助が芸達者でもそれだけでは楽しめないのである。
 昼間は松濤の吾妻花舟師が主宰する香席を見学して、組香の体験をさせて頂いた。花舟師は日ごろエッちゃんと呼んでる吾妻徳弥さんのご母堂だが、香道御家流の達人で、名木名器を多数所持なさって門弟も大勢おいでになるなか、私はまったくの門外漢ながら、今回ご厚意甘えて香席に連なるという好運を得た。これもこんどの新聞連載に関わる取材の一環で、いずれ小説のかたちで詳しく書くことになるとは思うが、二時間あまりで香道の面白さにすっかりはまってしまい、今や時間が許せば本格的に習ってみたい気がしております。

2005/05/17
鉄板焼きほか
 元マガジンハウス社の編集長大島さんと担当編集者だった中田さんがわが家を訪問。「非道、行ずべからず」の文庫化と「家、家にあらず」の刊行を祝って会食。「非道」はもともと大島さんが「鳩よ!」の編集長時代に連載を開始してマガハ社で刊行されたが、マガハ社には文庫がないのと大島さん中田さん共に退社なさったので姉妹編の「家、家に」ともどもこのたび集英社で出して頂くことになったという経緯がある。で、お二人には久々にお目にかかって深夜に至るまで愉快な歓談の時を過ごしたわけであります。大島さんにはまたしても衝撃!の文芸業界裏話を聞かせてもらって大いに笑い、中田さんには荒俣宏氏の裏話を聞かせて頂いてビックリしました。

2005/05/15
カリフラワーとベーコンのパスタ
 適当に作ってみたが、そこそこイケル味なのでここにレシピを公開。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油でベーコンをカリカリになるまで炒め、それを一度取り出してから、さらに玉ねぎのみじん切りを炒めて、アンチョビと胡椒で味付け。若干の時差をつけて塩ゆでしたスパゲティ、カリフラワーと併せ、仕上げに胡椒を振る。玉ねぎを甘みが出るまでじっくりと炒めるのがポイント。ベーコン、アンチョビとゆで汁で調味できるので仕上げに塩は不要。

2005/05/14

 高円寺の光武さんを訪ねて近所で食事。光武さんはかつて神南で編集事務所を開いていたときの仲間で、現在は園芸ライターとして活躍されている。で、今年の春、私は向島で見た桜に限らず、どの花もなんだか異様にきれいに見えるので、ひょっとして自分の寿命が尽きる前触れではあるまいかと不安に思っていたのだが、某園芸家の先生の話によると、今年は例年にましてどの植物も異様に花芽が多いのだそうで、その先生も何らかの異変の前触れではないかと仰言った由。今年たくさんの花を咲かせたってことは、まあ、今年いっぱいは無事だと思っておきたいのですが……。

2005/05/13
鉄板焼きほか
 お茶の稽古の帰りに近所で食事。

2005/05/12
大根あんかけチャーハン
 卵チャーハンに大根とホタテ貝を併せた餡をかけて食す。餡ははじめに長ネギを炒めて甘みを出すのがポイント。ホタテ貝は缶詰のほぐし身を使う。味付けは缶詰の汁と塩、胡椒、酒、隠し味に砂糖少々で。病人食としても使えそうな優しい味のチャーハンである。大根の葉があれば塩ゆでしてチャーハンに入れるとさらに彩りがよくなる。

2005/05/11
春キャベツと鶏ササミのサラダ、トースト
 スーパーのパンフで見た料理。塩茹でしたキャベツとささみ、薄切りで塩もみしたタマネギ、青ジソをあわせてレモン汁、醤油、砂糖少々、ごま油をあわせたドレッシングで食す。今日は昼にしっかり食べたので夜は軽め。
 昼は広尾の都立中央図書館に行く前に恵比寿の松泉寺にある小田切土佐守のお墓にお詣りをした。時代小説を書くようになってから、作中に実在の人物を登場させるときはその墓所を捜しだして、できるだけお詣りするようにしている。これは別に誰にそうしろと言われたわけでもないが、歌舞伎役者がよくモデルになった人物のお墓詣りをしているのを見ていたので、影響されたのかもしれない。
 小田切土佐守は大坂と江戸の町奉行を務めた人物で、今秋から連載を開始する作品に登場して頂く予定である。言うまでもなく中央図書館での調べものもその仕事に関連している。ここはかつて日比谷図書館にあった「加賀文庫」がそっくり移されて近世古文書の宝庫となっている。国会図書館等に比べて貸し出しが実にスムースにいくので、多少不便な場所ではあるが、最近はもっぱらここを利用するようになった。

2005/05/10
ポークジンジャー
 QPで前に見た料理。ただの生姜焼きではない。タマネギとリンゴと生姜のすり下ろしに豚肉を漬け込んで焼く。味付けは味醂と醤油だけだが肉が柔らかくなって非常においしい。オススメである。生姜汁を再度仕上げにかけるのがポイント。
 今日もまた昨日に引き続いてパソコンとの格闘に丸一日つぶしてしまった。自分のドジを棚に上げて思いっきり大げさに言うと、日本の悪しき文化的風土についてつくづく考えさせられた二日間でありました。そもそもの原因は私の買った某社のパソコンが不必要な付属ソフトをたくさん載っけて販売する戦略を取っているために、バージョンアップの段階でそれらのソフトが新OSに対応できなくてダウン。結局元の状態に戻してひとつひとつしらみ潰しに要らないソフトを削除してからでなくては正常にインストールできないことが判明。削除の度に再起動するのも大変で、気がついたらまたもや日暮れを迎えていたというわけ。この某社の戦略って大手の旅行代理店がやってるパックツアーで、見たくもないものを見せられたり、寄りたくもない免税店に連れて行かれるのと根っこは同じだと思う。こういう国で生きていくには何も考えないで言われたままに行動すると問題は起こらないけど、独自に何かをするのは別にたいしたことじゃなくても非常に大変になってしまうのでした。
 で、今日からだか昨日からだか、ラッシュ時の都内の電車に女性専用車両ってのができたようですが、別にわざわざ先頭まで行ってこれに乗りたくないという女性もたくさんいるはずだけど、普通車両に乗ってるとヘンな目で見られたりする風土がこの国にはあるような気がしてなりません。女性専用車両に乗って痴漢する女性だって決していないとはいえないと思うのですが。

2005/05/10
お茶漬け
 以前からパソコンのOSを変えたいと思っていたが(ウインドウズMEをXPに)、OSを変えるとなると付属ソフトのバージョン変更も余儀なくされて、下手をすると半日がかりとなる恐れもあるのでおいそれとは実行できずにいた。夏からの新連載を控え、近々の締め切りがない今このときしかないと覚悟を決めて朝10時から取りかかって、案の定というべきか、いや、もっとヒドイ!日付が変わって今ようやく何とか一段落というところ。それでもまだ怪しいところがいくらかある。
 まずXPのCD-ROMがどういうわけかうまく立ち上がってくれず、最初のインストールではやけに鈍い動きだったので再インストールを何度も試みるも今度は立ち上がりもしない。仕方なく円盤の表面を眼鏡拭きの布できれいに拭いて挿入したら、なんと今度はスンナリ立ち上がるではないか!パソコンというものは時々こうしたとんでもなく原始的なことでご機嫌が左右されるから不思議である。
 で、次に悩まされたのがウイルス対策ソフトの競合。既に入っているソフトを削除して新たなソフトを入れたいと思っても、先行ソフトがどうしても削除できない。で、結果ウイルス対策ソフトを二種類も買わされるはめになった。このウイルス問題に関してはウイルスを作るヤツもいかんが、対策ソフトを作ってる各社もそれぞれ実にアコギな商法をやってて、ユーザーは皆しつこくてたちの悪い男女の美人局(つつもたせ)にひっかかって金を巻き上げられてあげられているようなものである(怒)。
 そんなわけで料理をしてる暇もなく、お菓子類のつまみ食いとお茶漬けでしのいだ一日でした。

2005/05/08
弁松の白二重弁当
 乗馬の帰りに渋谷東横のれん街でゲット。セパ交流戦で球界一のイケメン岩隈の華麗な投球フォームに見とれながら食す。
 写真は乗馬クラブの風景。オプチパース君という優秀な馬のおかけで私も今日でなんとかビギナーコースを修了。九十九里浜での遠乗りを目指してさらにガンバリます。
 

2005/05/07
すいとん
 昆布鰹出汁ベースに鶏肉、大根、にんじん、ごぼう、長ネギ、コンニャク、舞茸、セリを入れて味付けは酒、味醂、薄口醤油。すいとんは薄力粉と水を混ぜるときに塩少々と煎りゴマを加えた。これだけ具だくさんにすれば美味しくて当然かも。
 食事しながらNHKの「世界に駆ける日本料理」という番組を見ていたら、フランスで日本料理のワークショップをする「瓢亭」のご主人高橋氏が跡継ぎの息子さんと画面にあらわれて、ああ、この方も年を取られたなあ……と感慨ひとしお。「瓢亭」はわが実家の遠縁に当たって、高橋氏に初めてお目にかかった時はまだご自身が後を継がれたばかりのういういしい頃だったと思う。

2005/05/06
厚揚げと筍とインゲンの煮物
 このところ油ものが続いたので今日はあっさりした煮物。レシピは不要かと思うが、厚揚げと筍はしっかり湯通しをしてから煮るべし。
プロ野球初のセパ交流戦を見ながらの食事で、ええっ!あの関川も山崎も今は楽天にいるんだ……と感無量の面もちに。

2005/05/05
山菜の天ぷらほか
 次作の準備に広尾の中央図書館で古文書を閲覧して、帰りに近くのスラッシュに立ち寄り、進藤さん、守部さんと会食。進藤さんの郷里秋田から送られてきた山菜はタラの芽にしろウドにしろコゴミにしろ、東京のスーパーで手に入るものに比べて味わいが深い。シドケというこちらでは手に入らない山菜はクレソンとフキノトウを併せたような刺激的な味で実においしかった。

2005/05/04
レタス餃子
 QPで紹介したキャベツ餃子のレシピを参考に、冷蔵庫で寝ていたレタスで作る。レタスは茹でてからしっかり水切りするのがポイントで、みじん切りにして白菜の代わりに使う。餡の味付けは塩、酒、醤油のほかに味噌を隠し味に少々。ニラ、長ネギ、椎茸のみじん切り、胡麻油に水を少し加えるとふっくらと仕上がる。レタスの香りがきいて、あっさりした味わいの餃子ができた。

2005/05/03
ラザニア、キッシュ、サラダほか
 スラッシュの守部さんの友人小川さんのそのまた友人に「自宅で巨大なリクガメを飼っている人がいる」という話を聞き、今日は小川さんのお誘いを受けてその方のお宅を訪問。一面識もない方のお宅をいきなりお訪ねするのはちょっと図々しいかなとは思いつつも、「巨大なリクガメ」に会えるという誘惑には勝てません。で、大きいと言ってもたぶんアフリカケヅメリクガメか何かだろうくらいに思っていたら、なんとリクガメ最大級のアルダブラゾウガメ!が2匹もいたのでした。
 相模原市にお住まいのこの桐生ご夫妻のお宅にはほかにアメリカンミニチュアホースが4頭、アヒルが1羽、ゴールデンレトリバー1匹、ダックスフンド3匹、驚くべきは水槽にアロワナが14匹もいて、まるでムツゴロウさんち状態。これだけたくさんの動物がいても家は頗るきれいに保たれていて、なおかつ動物も実に幸福そうで、見ているこちらも幸福になれた嬉しい一日でありました。

2005/05/02
鰹の酢じめ、筍とアスパラの味噌マヨネーズ和え
 鰹の酢じめは前にQPで見た料理。鰹に塩をして10分以上おいて酢で洗い、さらに酢に漬け込んで15分くらいおいて新玉葱の薄切り、生姜の千切りを薬味にして食す。塩が十分効いていたら胡麻油につけるだけでいいが、薄味だったら醤油をたらして食べるといい。味噌マヨ和えは前にレシピを載せたので省略。

2005/05/01
鰹のタタキほか
 下北沢のOFF OFFシアターで中村まり子作・演出の『ボラボラ』を見た帰りに友人と食事。
 中村まり子さんは古い友人で、かつて三島由紀夫作の「近代能楽集」を彼女と中村京蔵の共演、私の演出で上演したこともある。思えば当時はまだ私も元気でしたというしかないが、彼女は私と同い年で、私よりずっと華奢な体格なのに、いやーいまだに元気というか、ここ十年以上ずうっとパニック・シアターと銘打った自主公演を年に2、3回の割で続けていて、本業の女優のほかに制作からいつしか作演出まで手がけるようになっている。今回はこれも私が以前に演出でお付き合いして現在「リリパット・アーミー」で活躍中の及川直紀クンが出演するとあって久々に見に出かけたのだけれど、昔は閑散として見えた客席が今日は千秋楽とはいえ超満員で、この間確実に観客が定着していたのがわかって喜ばしい限り。
 もともと役者さんはコトバを扱う職業だけに文才の豊かな方が少なからずいて、彼女の父君である故中村伸郎氏もそうだったが、彼女もまた筆が立つほうだということは公演案内の手紙などにも感じられる。エッセイ風に書かれた手紙を読むたびに、ああ、やっぱり同年代の人間が近ごろの世の中を見て感じることは一緒なんだなあと思うことがしばしばあった。で、彼女が去年唐突に独りでタヒチに行ってしばらく暮らしたという話を聞いて、その気持ちもなんとなくわかるような気がしたのである。
 タヒチでの経験をもとに書かれた『ボラボラ』は「家族」とは何かをさりげなく問いかけながら、タイトルにふさわしい長閑でハートウォーミングなタッチで現代人の魂を癒やす佳品であった。リストラに遭って妻子と共に実家に舞い戻って弟との同居を余儀なくされた冴えない中年男の元に、なんと彼の胤を宿したタヒチ出身のショーパブダンサーが訪れて、そこから始まる珍妙なせりふのやりとりは、ダンサー役の山口智恵と妻役の真田薫の抜群の好演も手伝って、近ごろこんなに素直に笑った芝居はないというくらいに笑わせてもらった。山口智恵という女優はどこの所属なのかまったく知らないのだが、今回は役にぴたりはまったのか本当に恐れ入るといいたいくらいに巧くて、今後他の芝居でも見てみたい気がする。

2005/04/30
鰺の開き、コンニャクの味噌田楽、納豆
 ジムの体重計でまたもやショックを受けてこのメニュー。

2005/04/29
浅蜊と納豆のパスタ、生ハムとルッコラのサラダ
 パスタはスーパーのパンフで見た料理。味付けは白ワインと醤油と塩。納豆は水洗いして使う。ニンニクと鷹の爪を忘れずに。自家製サラダドレッシングはオリーブ油とレモン汁、塩、黒胡椒を合わせたもの。

2005/04/28
牛肉と春雨の炒め物
 フジテレビで見た料理。牛肉、斜め薄切りにした茄子、薄切りの生椎茸、万能ネギ、ニンニクと生姜のすり下ろし、豆板醤、砂糖、酒、塩、醤油をすべて一つのボールに入れて混ぜ合わせたものをフライパンで炒め、春雨を加えてさらに炒めて最後に切りゴマをふりかける。非常にザツな料理で、こんなんでおいしく出来たらめっけもんだと思って作ってみたが、味はまあまあ。

2005/04/27
鰺のひらき、筍とアスパラガスの味噌マヨ和え
 茹で筍と茹でアスパラの味噌マヨネーズ和えはこの時期の定番。ニンニクのすり下ろしを少し加える。

2005/04/26
海老と筍の揚げ出し
 QPで見た料理。海老は低温の油でふっくらと揚がるようにして、筍は一度茹で直してから醤油で下味して高温の油でカラッと揚げるのがポイント。テレビは2種の具材だったがスーパーでフキノトウが安かったのでこれも加えてみました。かけつゆは味醂をたっぷりきかせると美味しい。

2005/04/25
鶏手羽中と切り干し大根の炒め煮
 QPで見た料理。醤油で下味した手羽中と生姜の薄切り、切り干し大根、干し椎茸を炒め合わせて、それぞれの戻し汁で煮て、オイスターソース、砂糖、酒、醤油で調味。チンゲンサイを加えて煮汁がなくなるまで炒め、仕上げに胡麻油をまわしかける。切り干し大根の中華風でご飯によく合う。切り干し大根をあまり戻しすぎないことがポイントかも。

2005/04/25
幕の内弁当
 乗馬クラブに行った帰りに渋谷東横のれん街でゲット。
 家に帰ってきてすぐに電話があって近所の大島さんちに行って食事。関西出張から戻ったばかりの人からさまざまな情報を聞く。とにかくしょっちゅう仕事で関西に出かけている人なのに、近年の京都や大阪の様変わりの激しさには驚くそうで、ミナミの宗右衛門町は今や一時の歌舞伎町なみにふつうの人は歩けないようなヤバイ雰囲気になってるとか。京都の観光化はますますひどくなって、町の変貌もさることながら、なんと祇園に舞妓のニセモノが出現!あきらかに素人とわかる若い女性が何人も舞妓のかっこうをして祇園をぞろぞろ歩いており、それを見抜けぬ観光客がカメラにパシャパシャ収めている様子にあきれたのだとか。地元に古くからある有名なN珈琲店に入ってその話を訊いたところ、すでに町でも問題になっていて、「都踊り」の総踊りの衣裳を着た子まであらわれて祇園町中がビックリしたのだという。「その衣裳が一体どっから流れたんかが謎ですわなあ」と珈琲店主Nはいい、それよりも別に写真を撮らせて金を取ってるわけじゃないから「やってる動機が謎じゃないの」だと大島さんは応酬して、まるで山村美紗のドラマみたいなやりとりだったそうな。まあイマドキの京都ならその手のコスプレ娘が出没しても不思議はないかもしれない。
  いやー、今やこの国にはこうしたひと昔前の日本人には考えられないよう珍事件が至る所で起こっているのだろうと思う。同時に、なんだかどんどん胡散臭いテーマパーク化していくわが故郷に気色の悪さを感じてしまう。そりゃ全国の人がどっと押し寄せて故郷の風景を完全に奪われた東京人もいれば、経済がたちゆかずに過疎化する地元を見捨てなくてはならなくなった地方人もいて、それを思えばまだましなほうなのだろうけれど、近年のブームは確実に京都人の魂をむしばみ、長い目で見れば町を崩壊に導く気がしてならない。
 京都は本来、手工業を基盤として成り立ち、いわゆる職人気質の気むずかしさを備えた土地で、嫌みなところも多々あるのだけれど、プライドと見識の高さを誇る町としての存在意義は大いにあった。モノツクリの文化が衰え、観光という他人に媚びる産業に従事する感覚が支配的となり、気むずかしさとプライドを捨てた京都はもはやかつての京都ではない。京都がかつての京都でなくなったのは、日本が日本でなくなってきたことの端的な証左に
他ならないのである。

2005/04/23
そら豆と筍のスープ煮、冷や奴のニラダレ
 前にQP(フジかも?)で見た料理。賽の目切りの筍とハムとそら豆を炒めて鶏がらスープで煮ただけ。ハムがいい味だしになるので、塩、隠し味の砂糖少々と胡椒で簡単に調味。そら豆の皮を剥くのが面倒なだけであとは超カンタンな料理だが、色も味わいも実に春らしく優しい感じなのでオススメしたい。ニラダレは先日作ったもの。

2005/04/22
ツブ貝と茸のソテー、日向鶏のパスタほか
 木場公園で「ジンガロ」を見た帰りに守部さんとそのお友だちとで銀座に行って食事。
 騎馬オペラというキャッチフレーズの「ジンガロ」公演は確かにサーカスの曲馬とも少しテイストを異にしたまさに人馬一体のパフォーマンスで、バックにテーマ音楽を生で流すことで騎馬オペラというネイミングも生まれたのであろう。こんどの日本公演はなんとそのテーマがチベット密教の声明ということで、本物の僧侶によるそれは素晴らしいものではあったが、疾走する馬2頭の上で6人が人間ピラミッドを作るという離れワザにも、たくさんの鵞鳥がガアガアいって一頭の白馬を追い回すというギャグみたいなシーンでも、拍手してはいけないし、笑いもできないという異様にものものしい雰囲気で、ちょっとビックリさせられた。まあ民族舞踊も含めてチベットの芸能は堪能できたものの、サルティンバンコやアレグリア風に発散できないもどかしさがあって、ゲージツ性の高さは認めてもウーンこれを他人にはうかつにオススメできないなあという感じでした。

2005/04/21
鯖のソテーニラ醤油ダレ、大根と梅のサラダ、浅蜊の唐辛子味噌
 フジテレビで見た料理。鯖は5分ほど塩水につけてから粉を振って胡麻油でソテー。ニラ、醤油、生姜汁、胡麻油でニラダレを作る。ニラを一束使うとビックリするほど大量のタレができるが、日持ちするのでほかの料理にも利用できるとのこと。大根の千切りと梅干しを丸ごとビニール袋に入れて揉むだけで漬け物風味のサラダが超簡単に出来るのでオススメ。浅蜊味噌は千葉でゲットしたもの。

2005/04/20
鶏団子のネギダレ
 フジテレビで見た料理。ネギと生姜のみじん切りを混ぜたものに塩と隠し味の砂糖少々を加え、熱した油をまわしかけてネギダレを作り、鶏肉団子、豆腐、茹でたチンゲンサイにかけて食す。油がぬるいとネギの辛みが残り、あまり熱いと焦げるので熱し加減がポイント。

2005/04/20
新刊の宣伝
 きょうは集英社の八代さん、栗原さん、伊藤さんのお三方がそろって「家、家にあらず」の単行本、「非道、行ずべからず」文庫本の見本をご持参になった。
 「非道」3年前にマガジンハウス社から刊行して、このたびは集英社で文庫化。「小説すばる」で連載してこのたび単行本となった「家、家にあらず」は「非道」の姉妹編で、共にタイトルは世阿弥の花伝書に拠り、登場人物も何人か共通しているものの、一冊だけ読んでも、またどちらを先に読んでもわかるように書いています。
 「非道、行ずべからず」の文庫本はあさって21日に、「家、家にあらず」の新刊は来週25日から店頭に並びますのでどうぞよろしく。表紙写真とあらすじは近々HPに掲載する予定です。

2005/04/18
 千葉旅行の続き
 ああ、カメラが壊れたのは実に残念無念!と犬吠埼灯台に昇って叫びたくなり、さらには屏風ヶ浦をドライブしながらますますその感は強まりました。肝腎のヒゲタ醤油の取材(なぜココを取材したかは今後書く予定の小説であきらかにいたします)を順調に済ませてこんどは佐原に直行。佐原はご存知伊能忠敬の出身地であり、江戸の風景を今にそっくり残した町として知られ、ああ!ここでなぜカメラが……と、またしても思わずにはいられない私でした。しかし町の人は出会う人みな実に親切で、伊能家本家の人からも直にいろいろな話が聞けて収穫は大。これらもいずれ小説に活かしていくつもりです。
 佐原は水がいいから名酒があると熊谷氏に聞いていたので酒屋に立ち寄り、たしかに驚くほどほどフルーティーで美味しい大吟醸を試飲して、原さんはこれをゲット。さらに昔ながらの醸造法で製した味醂はまさしく和製リキュールの味わいで、もったいなくてふつうの料理には使えない感じですが、私はこれをお土産にして佐原をあとにしました。
 今回の旅行でいささか意外だったのは、銚子にしろ、佐原にしろ、地元の方がいずれも非常に丁寧で、親切で、上品な方ばかりだったという事実で、失礼ながら千葉のイメージが完全に覆されました。千葉というとなんとなく荒々しい気風のように勝手に思い込んでいたのは不明のそしりを免れないところ。やはりどんな土地にも実際に足を運んで現地の人と話してみることは必要だとつくづく感じた2日間であります。
原さんから後日頂戴した写真で佐原の町並みを紹介します。中段の写真は橋が樋になっていて定期的に水抜きが行われてビックリさせられます。

2005/04/17
舟盛りの刺身ほか
 角川春樹事務所の原さんのお誘いを受け、「並木拍子郎シリーズ第3弾」の取材をかねてスラッシュの進藤さん共ども3人で千葉に一泊旅行することになりました。まず品川からアクアラインを通って木更津に到着。上総博物館及び旧安西家住宅を見学し、ランチは美味しいお鮨でランチして木更津海岸をゆっくり散策したのち特急で銚子に。銚子では本州最東端の犬吠埼にある老舗ホテルに宿泊し、部屋の窓から望む絶景に驚嘆しました。
 夕食はご当地ならではの魚づくし。ちょっと意外に思われるかもしれませんが、私は今まで舟盛りというものを食べたことが一度もない(!)ので、初物にコーフンしつつ、流石に活きのいい刺身を堪能させて戴きました。
 遅咲きの桜が花びらを降り注ぐ情趣満点の露天風呂を満喫。そういえば先月は北海道で雪中の露天風呂を体験したので、今年はあと何がなんでも十五夜の満月に入らなくてはと思った次第。

2005/04/16
タコとアスパラのパスタ
 スーパーでなんとなく選んだ食材を使ったのだが色合いも味も悪くない。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油で炒めて白ワイン少々と塩、黒胡椒で味付け。

2005/04/15
韓国チヂミ風お好み焼き
 薄力粉に片栗粉を混ぜて水と卵で溶いてベースを作り塩で味付け、具はニラ、長ネギ、豚もも肉、紋甲イカの切り身。ニンニクのすり下ろし、コチュジャン、酢、砂糖、醤油、すりゴマを混ぜたタレで食す。

2005/04/14
レンコンと牛肉の炒め味噌煮
 QPで見た料理。牛肉は酒醤油で下味して粉をまぶし、先に炒めていったん取り出しておく。レンコンは繊維にそって棒状に切り、じっくり炒めてもっちり感を出すのがポイント。炒めたところに水と味噌少々加えてしばらく煮込み、最後に味噌、酒、醤油、味醂を混ぜたタレで肉と一緒に炒め合わせる。ご飯によく合うおかずとしてオススメ。

2005/04/13
ナスの挟み揚げ中華風
 フジテレビで見た中華風天ぷら衣の作り方は薄力粉に片栗粉とベイキングパウダーを混ぜて油を少々加えるのがポイント。餡は豚挽肉に長ネギと生姜のみじん切りを加えて塩と黒胡椒で味付け。酢醤油にニンニクのすり下ろしと砂糖、ラー油を加えた付けダレで食す。衣はしっかりと混ぜてパリッと仕上げる。和風の天ぷらを作るより簡単かも。

2005/04/12
豚肉と春キャベツのパスタ、アボガドの刺身
 フジテレビで見た安上がりメニューだが、作り方がシンプルなわりに期待以上の旨さが味わえたのでオススメしたい。まずニンニクのみじん切りと鷹の爪を入れたオリーブ油で豚バラ肉をしっかり炒めて白ワインを少々垂らす。豚肉は炒める前に塩をもみ込んでおくと臭みが抜ける。パスタをひきあげる直前にキャベツを入れてさっと湯がいておくこと。仕上げにパルメザンチーズを振りかける。

2005/04/11
豚と新玉ネギとワカメの煮浸し
 QPが紹介した超お手軽メニュー。酒、味醂、塩、醤油で味付けした出汁で材料を煮るだけ。豚はしゃぶしゃぶ用の肉を使って最初に煮て取り出しておく。新玉ネギを煮すぎずにシャッキリ感を残すのがポイント。
 TVニュースで中国の反日デモを見ながら、ああ、これが彼女の言ってた困った子どもたちかと思う。3年前に中国に旅行したとき、ガイドさんはとても親切な人ばかりで、私は独り旅だったせいもあって個人的にいろいろと国情を尋ねたところ、思いのほか自由に率直に話されるのでビックリしたものである。そのうちの一人が若い女性で、「一年遅かったら私は生まれてきませんでした」と仰言ったのが印象的だった。要するに彼女にはお兄さんがいて、一年遅かったら「一人っ子政策」が始まっていたというお話だったのである。
 私は以前から他国のことではあるが「一人っ子政策」には疑問を感じていたので、そのことを率直に言ってみたところ、「そうなんです。大切に育て過ぎてみんなわがままなんで、今では本当に政府も困っていて、一人っ子同士が結婚したら二人生んでも構わないというふうに法律が改正されました」とのこと。「小皇帝」とも呼ばれるそうした一人っ子が大きくなったらヤバイいことになるだろうなあと、そのとき話を聞いて思ったのだが、考えてみれば彼女の一つ下からということは、とっくに大きくなっていたわけである。こんどの暴動をまるで中国政府が焚きつけているように報じるTVもあって、国内の不満をガス抜きさせようとする意図も多少は感じるけれど、実のところは政府もけっこう手を焼いてんじゃないかなあと思った次第。
 しかし一方、日本も日本で、アジアで感じ悪く思われているのは戦後処理のまずさだけが原因でもなかろうという気がする。とにかくTVに出てくる外務官僚あがりのコメンテーターはそろいもそろって感じ悪い人ばかりなのだけれど、そのうちの一人が今問題になってる教科書の記述にからんで、日本はインドネシアにとっては解放軍として大変に歓迎された云々と発言していたが、向こうでは本当にそう思われてるのかどうかはすこぶる怪しい。
 これも去年バリ島に旅行したとき、現地の人と色んな話をしているうちに、インドネシア解放の話になって「そういえばオランダと戦争をしたんですよね」と私が言ったら「日本とも戦争をしましたよ」と言い返されて絶句した想い出がある。事実がどうであれ、現代の若い人たちに日本がどう思われているのか、外務省の役人あたりも実状をしっかり把握していないのではないかという不安がある。

2005/04/10
ゴイクンほか
 乗馬クラブの帰りに渋地下でベトナム料理をゲット。 
 「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」なんて言うけれど、馬の性格は実にさまざま。私のような初心者は馬しだいで上手に乗れる日もあれば、全然ダメな日もあって、今日は久々の稽古にもかかわらず、割合上手に乗れた気がしてご機嫌だった。馬に上手に乗れると、執筆が快調に進んだのと同じような自己満足が得られる。
 で、乗馬クラブに集まる人は、こちらと同じいわば自己充足タイプが多いような気がしないでもない。趣味の集団には、何かをやるよりそれを通じて仲間と知り合いになることのほうに魅力を感じる人が必ずあるもので、ことに女性の趣味集団にはそうした傾向が強いように思われるが、乗馬クラブにその手の連中がいないのは実にありがたかった。
 むろんカップルや家族ぐるみ友達同士で来ているのが大半とはいえ、独りで来ている女性が意外と多いのはまず驚きで、中には見るからに上品な中高年の主婦といった感じの人もいるのに、皆そろいもそろって女性に比較的珍しい独立独歩不干渉型とでもいうべきか、休み時間にもあまりおしゃべりをせずにベランダに座ってただぼうっと馬を見ているひとが多い。要するに人付き合いで日ごろウンザリしてるから、ここに来たときくらいは人間以外の動物と交流したいという気持ちなのだろう。間違ってもバーゲン会場に群がったり、ヨン様のおっかけとかはしなさそうな女性たちであります。

2005/04/09
もんじゃ焼き
 元PHPの編集者熊谷弘之氏とは今やまったく仕事を離れて只のお友だちです。氏はもともと向島生まれなので、前から一度地元を案内してよとお願いしてたのですが、近年同じジモティーの女性と再々婚されて向島に新居を構えられており、今日はご夫婦と一緒に墨堤の花見を堪能させていただきました。
 同じ隅田川縁でも向島までくると人出が意外に少ないのにビックリ、お花見の穴場といってもよいくらいでしょう。歌舞伎の舞台によく登場する三囲神社から旧水戸藩邸跡地、牛島神社を辿って墨堤に進み、言問橋から桜橋に至るまでの絶景は、今日が絶好のお花見日和だったことも手伝って、なんだか現実のものではないような不思議な気持ちにさせられました。空の色がまずどう見ても歌舞伎の舞台で使う浅葱幕の色にそっくりで、その空をバックにして川風にあおられた花びらが舞い散るさまは、まるで昭和三〇年代の時代劇映画のタイトルバック、つまりはクサイほどに出来過ぎなのでした。
 江戸時代から有名な「百花園」は人も少なくて、全体にたるーい感じの庭園でほっとした気分にさせられます。そこから寺島の「鳩の町」(吉行淳之介が小説の舞台にして有名になった赤線地帯)を散策したあと、曳舟の「美好」でもんじゃ焼きをご馳走に。熊谷氏の奥様はデザイナーで、同じ東京っ子のデザイナーみるきぃイソベさんと感じが似たとても素敵な方ですが、さすがジモティーだけあってもんじゃの味付けも抜群でした。 
 お土産に「じまん草餅」までゲットして最高の休日でしたが、水戸街道の大通り横断中にけつまずいてバッタリ前にコケてしまい、危うく顔面をぶつけるところを両手で支えて無事に済んだものの、掌は擦り傷だらけ、脚は青あざだらけで、なんとも情けないやら恥ずかしいやら。子どもの頃はしょっちゅうコケていたけれど、まさかこの年で道路横断中にコケるなんて!熊谷氏もさぞかしビックリされたことでしょう。 

2005/04/08
田舎そば定食
 新国立劇場で「コミュニケーションズ」を見る前に近所で食事。
 日本には今プロ野球界にしろ、放送業界にしろ、今後ここは一体どうなることやらと思わせる先行き不安ギョーカイが山盛りあって、現在わたしの属する出版界なんてむろんその最たるものだけれど、きょうの劇場では他人事ながら演劇界の先行きを深刻に考えさせられてしまいました。
 まず近ごろ非常に気になるのは観客の高齢化で、これは高齢化社会の反映であって、出版でも似たようなものなのだろうけど、劇場の場合は白髪頭が目につくので激しく実感されてしまいます。わたしは結構な年齢のわりに白髪が全然ないので、劇場に行くたびに、ええっ、もしかしてココでは若いほうなの?なんて喜んでしまったりするのですが、歌舞伎や商業演劇の観客ならともかく、かつて小劇場を支えていた観客がいつの間にかこんな年寄りになっちゃったの!というのが、近ごろの劇場でよく思うことです。近年はむしろ歌舞伎や狂言や落語の観客のほうがずっと若い気がします。別に年寄りの観客が悪いといってるわけではないけれど、パワーダウンと先細り感は否めません。それとまあ、古典芸能はすでに一度死んでるというか、どん底をかいくぐった強みがあるために、日本全体の文化的劣化が目立つ中ではまだ勢いがあるよう見えます。これとても昔を知る人間には目や耳を覆いたくなる点がいっぱいあるとはいえ、昔を知らない観客から若さのパワーをもらって活性化しているところに救いがあるといえそうです。また古典の場合は演題でなく演者に左右されるところが大きいために、芸は未熟でも若くて魅力的な人材があらわれたら当然そこに観客が集まることにもなります。
 片や現代劇は演者よりもやはり演題に興味がひかれるものです。「現代劇作家たちによるコント集」と銘打たれて、大御所の別役実以下、ケラ、綾田俊樹、いとうせいこう、土田英生、さらには劇作家協会セミナー出身の超若手まで含めた11人の劇作家が不条理コントで「笑い」を綴るというこの公演の企画自体にひかれて、わたしは劇場に足を運んだのですが、結果、深刻な劇作家不足の問題を目の当たりにしたというわけでした。不条理というなら今時のお笑い芸人のネタのほうがよっぽど不条理に思えるくらい、全体的に理に落ちたコントにはがっかりというかビックリに近いものがありました。小説でもつまらない短編集は決してあってはならないのと同じ理屈で、面白くないコント集はナシです。

2005/04/07
鉄板焼きほか
 例年近所の大島さん家でやる花見の宴に今年は集英社の栗ちゃんが参加。大島さんは現在上方落語の桂米朝事務所のマネージャーだが、それ以前は歌舞伎役者中村鴈治郎のマネージャーであり、さらに昔を遡ればなんとタカラジェンヌ!現参議院議長扇千景を親代わりに入団したところから、ヅカ時代の芸名は扇千花だったというからおかしい。で、一時某カルチャーセンターで宝塚の実演セミナーの講師を務めていたこともあって、タカダヅカメイク扮装で遊ばせてくれる。毎年集まるメンバー5人はすでに全員それをやって楽しんでいて、今年は初参加の栗ちゃんが挑戦。許可を得てお写真を掲載させて戴く。写真は上段が大島家の窓から見た桜。中段下段は栗ちゃんの娘役と男役であります。
 鉄板焼きに、お寿司に、各種オードブルにデザート等々盛りだくさんに食べ過ぎて今宵はなかなか眠れそうにありません。

2005/04/06
お好み焼きほか
 お茶の稽古の帰りに三村さんと近所の「文字平」で食事。
 稽古場に近い日テレ通りの坂道をぶらぶら歩く道すがら、絶好のお花見ポイントを発見!番町の武家屋敷をそっくり今に残したかと思える間口十間近くありそうな広壮なお屋敷で、門脇に植えられた桜の大樹が素晴らしいの一語に尽きる。この近くを通りかかったら、ぜひ足を止めてご覧になることをオススメしたい。
 門外から見るに桜はずっと奥のほうまで続いていそうで、毎春こんな絶景を独り占めしてるのはどんな方なのかと気になって表札を見たら「小林」さんであった。「小林」さんと知り合いになって中で一緒にお花見をしたいもんだなんて思っていたら、お茶の稽古場で話を聞くと、その昔はなんと吉屋信子女史のお住まいだったとかで、ひええーと驚いてしまった。戦前からの女流作家で少女小説家として超売れっ子だった方だから、まあ、あり得ない話ではないけど……。麹町の一等地でこれほどの大邸宅が構えられた時代なら、流行作家にも成り甲斐があったわけよねえ……と、帰り道で高い桜の枝を見上げながら思わず呟いてしまった私です。

2005/04/05
海老とスナップエンドウと卵のマヨネーズ炒め
 QPで見たレシピは絹さやだったが好きなスナップエンドウに替えた。卵は先に塩と黒胡椒を振ってマヨネーズで炒めておいて、あとで加える。スナップエンドウは軽く塩ゆでしておく。海老はニンニクの薄切りを入れてやはりマヨネーズで炒める。すべてを合わせてさらにマヨネーズと塩胡椒で味付け。全国のマヨラーにオススメしたい料理だが、私は別にマヨラーではありません。

2005/04/04
笹鰈とハタハタの干物、菜の花の芥子和え、ワカメのみそ汁
 なんの変哲もない晩御飯だが、このところずっと写真がなかったので敢えて載せることにしました。干物は実家から送られたもの。みそ汁は矢内さんから頂戴した本場の八丁味噌を使用。昨夜の会食はそこそこ豪華なメニューだったのに、食べるのに夢中で撮りそこなったのが残念。

2005/04/03
春野菜の天ぷら
 友人と会食。

2005/04/02
干物いろいろ、ほうれん草のお浸し
 実家から笹ガレイとハタハタの干物が送られてきて、大家さんから鰺の干物をもらって今宵の食卓は日本海と太平洋のてんこ盛りであった。

2005/04/01
カレー
 ああ、あまりにもワンパターンな一昨々日からの流れ……。

2005/03/31
ポトフ
 例によって絶食明けのポトフ。まだ完全に風邪が抜けきった感じはしないものの、食欲は早くも復調の兆し。ボールに3杯も食べてしまいました。

2005/03/30
鯛茶漬け
 風邪で頭痛が激しくて午後4時まで蒲団にもぐり込んでいたが、ここは浮き世の義理もあって国立劇場に「徳弥の会」を見に行って帰りに近所のホテルで絶食明けの軽い食事。思い切って出かけたのがよかったのか少し気分は楽になった。今晩は胃がこのまま食べたものを消化してくれることを祈るのみ。
 で、今夜の吾妻徳弥は落ち着いて芸がひとまわり大きくなって見えたのが何より。もともと花があるから、自信をもって落ち着いてやれば文句なく今後の日本舞踊界を担うひとのはず。「長恨歌抄」は梅津貴昶の振付がようやく板についてきた感じ。「娘道成寺」も「山の段」以降やや流れた感じがしたが、前半はたっぷり踊って見応え十分。「道行旅路の嫁入」の壱太郎は化粧もうまくなったし素直な芸ぶりが今は何より。そのうち場数をこなせば見せ場をたっぷり作る工夫もつくであろう。
 ロビーで大騒ぎしてるので何だろうと思ったら、話題のひと紀宮が来ていた。なぜ吾妻流の会に藤間流の紀宮が見に来たのかは謎。黒田さんは一緒じゃなかった。
 結局バーレーン戦は見られなかったが、とにかく勝ったようなのでヨカッタ、ヨカッタ。
 

2005/03/29
絶食
 今朝も嘔吐してとても食事ができる体調ではない。鼻喉とも大丈夫だが、悪寒がするのでどうも風邪ではないかと思う。昼間ずっと寝んでいて、夜にTVを見たらまたもやスマトラ沖で地震のニュース。
 シムシィーという都市を作り上げるシミュレーションゲームでは、都市づくりに飽きるとわざと地震や火災を引き起こしてメチャメチャにするオプションが用意されているが、今の地球もなんだか神様がその手のオプションに手をかけたと思えなくもない感じです。

2005/03/28
味噌串カツほか
 歌舞伎座で桂枝雀七回忌追善落語会を見た帰りにお誘いをした国立劇場の矢内氏、岡野夫妻と近くの「舌呑」で食事。
 追善興行というのは歌舞伎でもよくやるが、何せ25日間にも及ぶ興行だから、単に興行のキャッチフレーズに過ぎないが、一日だけの落語会だとホンキで追善をしているという雰囲気がひしひしと伝わってまずはそれにびっくりさせられた。枝雀の弟弟子ざこばは枝雀の想い出話をマクラに振ってさんざん笑わせながら自身は泣いて肝腎のネタをやらずに引っ込んでしまう始末。ゲストの柳屋小三治は枝雀を最初に見たときの衝撃から語り起こして、その後何度か楽屋ですれ違いながらほとんど話もせずになおかつ自他共に認める肝胆相照らす仲だったというエピソードをさりげなく訥々と情を込めて、しかも自身でいうように「陰気」に聞かせて笑いを誘った。こんな陰気な芸で笑わせるのだから小三治はやっぱり名人だと改めて思った次第。桂米朝御大は体調の不良を感じさせてひやひやしながら聞かせてもらい、ゲストトークでは早坂暁氏の枝雀談に納得させられた。ハイライトは故人のビデオを舞台上の巨大スクリーンに映して一席を語らせるという趣向で、これに観客は大喜び。今後はもしかすると歌舞伎でもこうした追善のやり方が成功するかもしれないと感じさせた。最後は桂南光以下枝雀一門が超満員の客席に向かって(前売り1時間半で完売したとのこと!)涙ながらにお礼を述べて私もついホロリとなり、落語会にいって泣くとは思わなかったが、それなりに満足をした一夜であった。
 で、矢内氏、岡野夫妻と深夜まで食事をしながら急に気分が悪くなって、矢内氏とタクシーでの帰り道、途中でタクシーから降りて嘔吐をするというぶざまさ。帰宅後も激しく嘔吐して不安ながら眠りに就く。たぶんこのところの疲れか風邪だろう。

2005/03/28
すき焼き
 わが家で友人と食事。

2005/03/26
菜の花寿司
 スーパーのちらしで見た料理。塩ゆでした菜の花と、炒り卵、味醂と醤油に漬け込んだ鯛の刺身を酢飯にのっけただけの簡単メニューだが、色鮮やかな春らしい一品としてパーティーなどにオススメしたい、などと独りで食べながら書いてる私でした。

2005/03/25
シジミと筍とグリンピースのリゾット、アボガドの醤油サラダ
 QP料理。グリンピースと長ネギと茹で筍の粗みじんをオリーブ油で炒めて、シジミの煮汁を加えて炊いたご飯を入れて煮込めば出来上がり。シジミは昆布と煮てアクをひき、酒と塩で調味。仕上げにコッテージチーズを削ってトッピング。春らしいリゾットで、しじみを大量に使って出汁をとるとうまみが出て薄い
味つけでも美味しい。

2005/03/24
豚肉と白滝と三つ葉の炒め物
 前にQPで見た料理。豚肉は生姜汁と酒、醤油で下味してじっくり焼いておく。白滝の湯通しを忘れずに。全体の味付けは塩と酒で。最後に香り付けで胡麻油をたらす。三つ葉がいい香りを放って春らしいダイエットメニューにはなるが、それほど美味しいものではない。

2005/03/23
鶏手羽中とザーサイのスープ煮、酢辣菜
 共にQPで見た料理。ザーサイはしばらく水に浸けて塩気をうまく抜くのがポイント。鶏手羽と煮て酒と醤油で適当に味付けするだけ。トッピングにアサツキをちらす。酢辣菜はキャベツ、セロリ、キュウリ、アスパラガス(TVは人参)をあらかじめ塩ゆでしておく。花椒、鷹の爪を入れて熱した油に砂糖を溶かし入れ酢を加えたものを塩ゆでした野菜にまわしかけて出来上がり。油を長く熱していると砂糖が焦げるので要注意。熱した油に酢を入れると爆発するので要注意。私は最初失敗して作り直しました。

2005/03/22
ほうぼうのアクアパッツァ、桜海老と菜の花のパスタほか
 三軒茶屋のスタジオシアターで桂吉弥の落語を聞いたあと、岡野夫妻と近所の「クッチーナ」で食事。
 歌舞伎役者のマネージャーから落語家のマネージャーに転身した友人大島さんのおかげで、近ごろ落語を聞く機会がどっと増えたが、入場料の点を考えると落語のエンタメお得感は非常に高いと思われ、昨今の落語復活ムードもうなずける気がする。全体に高水準を保つ桂米朝一門のなかでも巧者な点では一二を争う吉朝の弟子、桂吉弥の会はこれで二回目だが、前回にまして吉弥が溌剌とした芸を披露してくれた。「ふぐ鍋」はネタそのものが今後難しくなるような気もして吉弥自身もノリがイマイチだったが、「崇徳院」は話自体もマクラも古風だったわりに大いに楽しませてくれた。現代人的な頭のよさを感じさせる芸人はとかく嫌みな芸になりがちだが、吉弥は現代的なセンスのよさもありながらどこかに古風な味わいを残して、本来的な人柄のよさを窺わせる芸人として魅力的である。今後とも応援していきたいと思う。

2005/03/21
ホッケの開き、レンコンのキンピラ、アスパラのゴマ和え
 ホッケは北海道土産。今晩は写真もレシピも不要だろう。

2005/03/20
幕の内弁当
 乗馬クラブの帰りに渋谷の東横のれん街で調達。帰りのバスで福岡沖地震のニュースを聞いてびっくり。帰ってすぐにテレビを見たら、震度6のわりには人的被害が少なそうでほっとした。なんだかトラヒゲの入った樽から剣を一本ずつ引き抜いていくような感じで日本各地で地震が起きている気がするが、この東京が剣を引き抜いてしまう日を思うと恐ろしい。

2005/03/20
黒ゴマ担々麺、白雲豚ほか
 俳優座劇場でE・オールビー作「海辺のお話」を見た帰りに近所で食事。
 オールビーといえばちょっと前の米国劇壇を代表する劇作家とはいえ、私は「ヴァージニアウルフなんか怖くない」を映画版で見たくらいである。自転キンの演出家鈴木裕美が今時なんでまたオールビーを取りあげるの?といった興味と木内みどり、花王おさむというキャスティングに少し惹かれて見に行ったのだが、今時そんなひねった観客は少ないようで、いやはや劇場の半分は空席という惨状でした。
 芝居の前半は人生でなすべきことはすべて成功裡に終えた中高年夫婦が浜辺にピクニックに来て、やがて迎える「死」の恐怖に向き合いながら互いの人生観についてシリアスにかつニヒルに語り合うという「ヴァージニア」的展開だと思っていたら、急にそこへ緑色したトカゲの夫婦(ナントかぶりもので演じる)が海からあがってきてドッヒャー!!!。ナニこれ???って感じで、どうやらオールビーが不条理劇に最大限傾斜した作品らしい。人間の夫婦は山の手インテリ風で、対するトカゲの夫婦は下町人情風。双方の夫のディスコミュニケーションと妻の親和性をギャグ風にからめながら、結局のところ「死」を知覚するまでに進化したということこそが人類の悲劇だというような話になり、なんだかテーマがあまりにも壮大すぎて、作者が誇大妄想にでもなったかと思うような妙ちきりんなお芝居でした。それにしてもこの作品が米国で初演されたときはどんな風に上演されてどんな反響を呼んだのか、とても知りたい。今回は花王おさむにトカゲ夫婦の小松和重、歌川雅子を起用してかなりコミカルな演出で上演したが、前半のシリアスな展開からして、こんなにコミカルにせずにむしろ不気味な感じを漂わせる上演方法もあったのではないかと思わせた。ともあれ、私のけっこう長い観劇人生においても、こんな変なお芝居を見たのは初めてで、そういう意味では貴重な体験でした。

2005/03/18
天ぷらそば定食
 世田谷パブリックシアターで野村万作、萬斎親子の狂言を見る前に近所で食事。
 まず黒幕で覆ったホリゾントの闇に向かって3本の橋懸かりを放射状に伸ばし、宙に大きな注連縄を浮かべた能舞台が魅力的に映じた。この空間はことに萬斎がシテを演じた「節分」にうまく活かされていたように思う。人間の女に切ない懸想をしてだまされる愚かな鬼の役を萬斎が意外に色気を感じさせる好演で楽しませてくれた。面をつけてもシャープに聞こえ、それでいて艶っぽい声はこの人の大いなる武器だろう。面をつけたほうがむしろ過剰な鋭さを減じてふくらみのある声に聞こえた。ただし動きのほうはもっと修行が必要かもしれない。ピタリと腰が決まった父万作の安定感にはまだまだ及ばないものの、その万作も若かりしころの理に勝ちすぎて面白みのなかった芸に比べて、今はずいぶんとまろやかになられたものだと思う。亡父先代万蔵が演じた「木六駄」を想い出しながら見ていたが、印象はかなり違って、やはり万作のほうがはるかにふつうの演劇に近く見える。枯れた味わいを目指すよりも劇的内容をしっかり伝える点に重きを置くこの人の姿勢は変わっていないことを改めて認識させられた次第。

2005/03/17
黒ゴマ担々麺
 世田谷パブリックシアターで狂言の会があって、それを見に来た守部さんと近所の中華Rで食事。

2005/03/16
ジャンボねた鮨
 層雲峡の温泉宿を早朝に出立して美瑛に向かい、人っ子独りいない雪の草原に車を走らせてゴージャスに絶景を満喫したあと、旭川の「鮨よし」で早めの夕食を摂る。イクラやウニが溢れかえった軍艦巻きやサーモントロ、巨大な真ツブ貝、ホッキ貝、プリプリと歯ごたえの実にしっかりしたボタン海老などなど、北海道ならではのネタが並ぶなか、なぜ蟹が出ないのかふしぎに思って訊いてみたところ、「鮨よし」のご主人の話だと今年獲れた蟹はサイテーで、とても店で出せるような代物ではないとのこと。さらに近ごろよく現地直送の通販で売られているカニの三点セットの類は、地元のひとなら絶対に食べないような粗悪品であるらしい。やはりこういったことはジモティーに聞くのが何よりである。いやはや今度の旅行は天候にも恵まれて、短期間に盛りだくさんな楽しみを追究することができて大満足でした。

2005/03/15
旭山動物園
 上野動物園を上回る入場者を獲得したことで、近ごろTVでも何かと評判の、北海道旭川市にある旭山動物園に、動物好きの友人と意気投合して出かけることにしました。早朝8時羽田発のJAL便に乗って動物園の開園十分前に到着したらすでに長蛇の列に唖然ボーゼン。しかも子どもの姿はほとんど見られず大人ばっか。きょうは平日のはずなのにコレって一体ナニ!いやーTVの効果って凄いというか、世の中けっこう私たちのようなミーハー物好きが多いというか……。で、200mにも及ぶ長蛇の人垣の中をやってきましたペンギン隊の大行進!意外にしっかりした足取りで体を左右に揺らしながらエッチラオッチラお散歩する姿に老若男女を問わずみんな幸せな顔つきで見入ることしばし。ああ、人間の幸せって案外こういったシンプルなことにあるもかもしれないと思わせてくれたひとときでした。次いでサカリのついた雌雄の白熊が水中にダイビングして繰り広げる迫力満点の痴態に大笑いして、ゴマフアザラシやペンギンの優雅な水中遊泳に見とれ、オランウータンの子育てを間近で見物。ほかにもアムール虎だの手長猿だの、この動物園にいる動物はことごとく、友人をして「薬でも打たれてんじゃないの(笑)」といわしめるくらい、ふつうの動物園では考えられない超活発な動きを見せて面白すぎるのです。かくして今や氷点下の大地に大勢の観光客がどっと押し寄せている様子を見れば、モノが本当に面白ければ、人は多少の苦労を厭わずに享受してくれるかもしれないと思わせて、今やあらゆるエンタメ業界人を勇気づける場所であるような気がします。動物園からふたたび旭川に戻って梅光軒のラーメンを食べ、層雲峡の温泉宿に一泊。札幌の雪祭りを小規模にしたような氷瀑祭りを見物の後、雪中の露天風呂を満喫して旅館料理を食す。

2005/03/14
スパゲティーナポリタン、アスパラとレタスのサラダ
 ラシピは不要だろうが、QPがいう通り、ナポリタンはケチャップだけを焦がし気味に炒めると確かにお馴染みの味になりました。

2005/03/13
肉詰め椎茸の揚げ物
 スーパーで山形産の肉厚椎茸が非常に美味しそうに見えたので今晩のメニューとなった。レシピは不要だろう。

2005/03/12
大根と牛肉のザーサイ炒め
 前にQPで見たのを想い出しながら適当に作ってみた。
大根は硬めに茹でてから炒めると味がしみやすい。ザーサイはしばらく水につけて塩抜きする。炒めるのはまず長ネギのみじん切り、ザーサイ、大根、肉の順番で味付けは酒、砂糖、醤油、鳥ガラスープ。仕上げに黒胡椒。

2005/03/11
弁松の白二重弁当
 都立中央図書館の帰りに渋谷の東横のれん街でゲット。
中央図書館は国会図書館などと比べると空いていて資料はすぐに出てくるし、館内のひとも感じがいいので助かるのだが、如何せん、うちから距離的に近いわりにとても行くのが不便である。

2005/03/10
カジキと絹さやのソテー胡麻マヨソース
 QPで見た料理。下味をしたカジキと絹さやをバターでソテーして、すり黒胡麻とマヨネーズ、レモン汁、塩胡椒を合わせたソースでまとめる。淡泊で物足りないカジキがこくのある味わいになりますが、相当なカロリーなので年輩の方にはオススメしません。そういうお前は一体いくつなんだ!と言われそうだけど、この程度ならまだまだいけます。

2005/03/09
白菜と春雨のスープ煮
 QPで見た料理。生姜のみじん切りをたっぷり入れたゴマ油で豚バラ肉を炒め、白菜の軸だけを先に入れてじっくり煮込み、葉と春雨を加えて酒、塩、醤油少々で味付け。最後に塩と黒胡椒で味を調える。

2005/03/08
春野菜とソーセージのパスタ
 いつものトマトスパにアスパラガス、スナップエンドウ、チョリソーを入れただけ。チョッパーを手に入れたので玉葱のみじん切りが楽になった。

2005/03/08
蟹クリームコロッケ
 お茶の稽古の帰りに近所で食事。

2005/03/06
西洋総菜
 寒空の中をまたまた東武動物公園まで馬に乗りにいって帰りに渋地下でゲット。なにげに始めてしまった乗馬だが、毎回新たなハードルが設けられてそれをクリアしていかなくてはならない仕組みだから結構大変である。が、もうこうなったらライセンスを取るまでやるっきゃない!

2005/03/05
豚バラとキャベツの豆乳鍋
 豆乳を酒と水で割ったベースに豚バラとキャベツを煮込んで、味噌と豆板醤とマヨネーズを合わせたタレで食す。スポクラで自転車漕ぎをしながら見ていたテレビ番組で平野レミが紹介。前にこのひとが紹介したエスニック鍋は美味しくて我が家で定着したが、今回はハズレでした。
 きょうはパソコンがまたもや不調でメンテナンスに半日費やしてしまった。原因はどうやら某社のウイルスバスターをダウンロードしたことのようで、マイパソコンと相性が悪かったらしい。で、結局初期化したほうが早い気がして、一からすべてやり直したらずいぶん時間を喰ってしまったというわけ。それにしてもウイルスとその防御のイタチごっこはどうにかならんもんかと思う。ひょっとしてウイルス撒いてる奴はウイルスバスターのソフトを作ってる会社の手先じゃないかという気がするくらいだ。絶え間のないUp to DateでOSもソフトもバージョンがどんどん変わっていくから、その相性をよくするにはとにかくこっちがすべてのUp to Dateにとことんつきあわなくちゃならないというのは本当に疲れる。こんなことまでして時代小説を書いてる人間の身にもなってみろといいたい!と思うが、この誰にも止められない進化のカリカチュアとでもいうべき状況下にあって人類がどうなってしまうのか、考えるととても恐ろしいけれど、こうした状況を「モダンタイムズ」のように笑いのめす映画はまだ現れないのだろうか。
 

2005/03/04
春野菜の揚げサラダ、花巻
 スーパーのパンフを参考に作ってみた。たらの芽、アスパラガス、スナップエンドウ、エリンギをそれぞれ素揚げして、胡麻油とポン酢を混ぜたドレッシングで食す。花巻は近所の飲茶店でゲット。
 テレビ局から歌舞伎のあれこれについてコメントを求められることが過去に何度かあって、近藤サトと三津五郎の離婚問題やら、新之助(現海老蔵)の隠し子騒動なんかについては、何で私がそんな他人様のプライバシーについてコメントしなきゃなんないのよ!(怒)って感じで即刻お断りしたのだが、昨日テレ朝から「襲名」という言葉の由来について話してくださいとのことだったので、まあ、それくらいならいいかと思ってお引き受けした。で、堤義明の問題やら大雪のニュースやら盛りだくさんだし、これは飛ぶ可能性のほうが大きいですとプロデューサーもいってたから最初のほうは全然見なかった。が、たまたま食事をするのでTVをつけたら、なんとちょうどそれが始まるところで、アナウンサーがフリップの貼り紙をはがしたら、いきなり私の顔写真がでっかく拡大してボケボケで画面に現れて、「歌舞伎研究家 松井今朝子」ってデカく書かれてたので青ざめました。テレビはやっぱり何されるかわかんないから怖い。お昼の「テレビスクランブル」を見てる人は知り合いにまずいないと思うし、まあほんの短いコメントだったので見た人もみんな気に留めてないだろうからいいんだけど、「襲名」という言葉が戦後に生まれたコトバだと私が断言したことになってるのはいくらなんでもヤバイ気がしました。
 そもそも「襲名」という言葉はいつ成立したのか全く不明で、江戸時代の文献にはまず出てきません。江戸時代はごくふつうに「改名」といっていて、明治から大正にかけての名優の本を読んでもやはり「改名」と書いてあります。で、恐らくこの言葉は大正期以降の造語で、たぶん世襲と改名を合体させたコトバであろうと私はにらんでいます。ただし戦後に生まれたというのはちと言い過ぎで、戦前のチラシにも見たような記憶があります。
 江戸時代には「一世一代」と呼ばれた引退興行は盛んだったけれど「改名」が興行の売り物になった例はまずなくて、襲名興行は松竹という興行会社が作り上げた一種の商品といっても過言ではありません。ことに戦後のサラリーマン社会になって、家業を継ぐ人間が特化されていくなかで、襲名が商品として有効になったのだろうと思われます。
 昔はほとんどの人が親の商売を継いでいたので、むしろ芸能人に関しては、子どもが親の後を継いだからといって決して良いものではないということは、かの世阿弥も「花伝書」の中ではっきり述べていることです。
 「一子たりと云ふとも、無器量の者には伝ふべからず」というのが芸能人のみならず、人間社会の正しいありようであって、世界の二大迷惑U世ジョージ・ブッシュとキム・ジョンイルや日本の愚劣な世襲議員の例を見るまでもなく、いかに血筋を崇めることが社会全体をおかしくするか、若い人たちに閉塞感を与えるか、もっとちゃんと考えるべきだと思います。近年の遺伝子を重視するという考え方も一見科学的に思われるようですが、人類は過去に同じように遺伝子をこの上なく重んじたヒットラーという怪物を生んだ歴史を忘れてはなりません。
 こんどの十八代目中村勘三郎は同世代的に見て優れた俳優であることは事実だし、お父さんの十七代目も素晴らしい名優ではありましたが、十七代目以前の勘三郎とは血縁も姻戚関係も全くない人であることは関係者なら誰でも知ってる事実なのに、それをことさらに隠蔽して十八代連綿と血筋で続いているように喧伝することは、経済効果を期待する興行会社にとっては当然のことですが、それに乗せられてるマスコミの不見識は問うべきであろうと思われます。

2005/03/03
菜の花ちらし
 雛祭りにはやっぱちらし寿司でしょう。今日はフジテレビで見たのを参考に作ってみました。
 具はちりめんじゃこ、ミョウガ、椎茸とゴボウを甘からく煮たもの、蛤の酒蒸しと残り汁で煮た菜の花、市販の煮穴子と錦糸卵。具は甘めだが菜の花の苦みがアクセントになって美味しい。
 天気予報だと今夜の東京はどうやら大雪になるらしい。雛祭りの雪といえばすぐに桜田門外の変を想い出すけれど、当時は陰暦だから今だと4月中旬の異常気象だったわけです。

2005/03/02
カラスミとドライトマトのピッツァほか
 文春の内山さんと青山のスパイラルホールで「蛇よ!」を見た帰りに近所で食事。
 松尾スズキと大竹しのぶの顔合わせに興味を惹かれて見た「蛇よ!」はタイトルからして得体が知れない、見ても全く得体が知れない、それでいて非常に面白い舞台であった。一口でいって松尾スズキのヘンタイ性が炸裂し、大竹がこれにみごとにハマった感じである。同劇場で野田秀樹のひとり芝居をやったときは、なんだか巧さをひけらかしているようで嫌みにすら見えた大竹だが、今回は松尾スズキのペースに乗せられて、むしろ女優として魅力が素直に引き出されていた気がする。ド田舎のラブホでSMをやる男女、精神科医と女優の患者、ホモの高校生とその友達、行きずりの男を殺した女と10年間の引きこもりからやっと外に出たとたんに殺された男、卵子を目指して泳ぐことを拒否する精子などなど、毒の効いたオムニバスが映像を交えた連鎖劇のスタイルで展開される。ナンセンスな会話の連続でいて、飽きが来ないという点では、松尾作品の中でも結構いい出来のほうだと思うが、これを現代演劇の中でどう位置づけるのかは難しい。まあそれだからこそ面白い作品だともいえるのである。松尾スズキのヘンタイ性には共感を覚えるところが随所にあって、ヘンタイのくせにけっこう根は明るいんだろうなあと思えるところが、このひとのミソなのだろうと今回あらためて思った次第。

2005/03/01
湯豆腐、菜の花の芥子和え、ちりめんじゃこと大根おろし
 昨夜の飽食とバランスを取るかたちで今晩は思いきって粗食にしてみました。

2005/02/28
フカヒレご飯ほか
 『銀座開化事件帖』の打ち上げで新潮社の小林姐さん、小説新潮の江木編集長、旧担当の佐野氏、新担当の楠瀬氏と広尾の「筑紫楼」で会食。焼き物中心の前菜からデザートの杏仁豆腐に至るまですべて美味しくお腹いっぱい戴いたけれど、継続連載のタイトな〆切を告げられて真っ青に!このショーバイもさすがにだんだんとシビアになって参りました(泣)。

2005/02/27
サワラと里芋の揚げ出し
 だいぶ前にQPで見て作ってみたくなったが、今週は外食続きでようやくきょうの晩御飯と相成った。
 サワラは酒と醤油の下味で片栗粉をつけて揚げる。里芋は電子レンジで柔らかくしてから醤油で下味して片栗粉をつけるのがポイント。あとはふつうの揚げ出しと一緒。里芋が香ばしくて美味しい。久々のお薦めメニューである。

2005/02/26
おこわ弁当
 乗馬に行った帰りに渋地下でゲット。馬にも色んな性格があるらしく、今日は実に律儀なお利口さんの馬に乗せてもらってラッキーでした。 
 帰ってすぐTVをつけたらNHKBS2で越路吹雪の特集をやっており、思わず見入ってしまう。熱狂的なファンだった母に連れられて、私はこのひとのミュージカルやコンサート併せて10ステージ以上見ているが、今にしてナマの舞台を見たと自慢できるおひとりである。日生劇場で毎年やってたドラマチックコンサートは意外と男性客も多くて、あるとき私の斜め後ろに座っていた勤勉なサラリーマン風の男性がアンコールで立ち上がると「こーちゃん!」と絶叫して泣きだしたのにはもうビックリというか、子供心にとてもショッキングな出来事でした。で、今に残された映像をまとめて見ると、たしかに歌右衛門なんかと一緒で、熱狂的なファンがつくひとにありがちの摩訶不思議な魅力が魅力が感じられました。

2005/02/25
豚ヒレカツほか
 恵比寿の東京都写真美術館で岡野夫妻と「錦影絵」を見た帰りに近所で食事。
 「錦影絵」は彩色画をほどこした小さなガラス板を光源の前で微妙に動かして見せる幻灯で、もとはドイツのキリスト教団から発祥し、日本では19世紀初頭の享和年間から上映された記録があるという。これが上方落語の桂米朝一門によって今日に伝承され、文化庁主催のイベントとして上演された。種板や幻灯機はかなりの年代物とおぼしいが、和紙スクリーンに写る絵は実に色鮮やかで、かなり滑らかな動きを見せるし、短編ながらストーリー性のある作品もあったりするので、「アニメの元祖」という謳い文句に嘘はない!せっかくこうした面白いイベントを企画するなら、文化庁はもっと宣伝して客寄せをするべきだったし、私自身もっといろいろ人に声をかけるべきだったと反省。

2005/02/24
シマエビとカラスミのカッペリーニほか
 講談社の内藤氏、中島氏、国兼氏、神保さんと代官山の「カノヴィアーノ」で会食。
 きょうは「ピンポン」の曽利文彦監督と松竹の野地プロデューサーが映画の企画の件で講談社を通じて私に面会を求められ、小説と映画のメディアミックス的展開ができないかというご相談を受けた流れでの会食であった。曽利監督は「アマデウス」のような映画の日本版が撮りたいという志のもと、「仲蔵狂乱」で私に興味をもたれたらしい。話を聞いて、とても興味深い仕事だし、曽利監督も野地氏も感じのいい方なので、なるべくご協力したいとは思いつつ、歌舞伎ネタの映画を実現にこぎ着けるまでのハードルの高さはだいたい想像がつくので、こちらはお二人がなんとかそれらをクリアなされるようただただエールを送るしかない。が、まあ、あと2、3年もすれば世の中一般の状況と等しく歌舞伎界もがらっと変わらざるを得ないだろうし、そうなったときは何であれ今より事がもっとスムースに運ぶようになるだろうと思う。プロ野球再編騒動に象徴される、日本の各界で進行しつつある世代交替の波が興行界でもなんとか良い方向に向かうことを祈りたい。
 なあんてことを思っていたら、講談社で若返り人事があって、たまたま去年の暮れにお会いした御三方がそろいもそろって異動になり、内藤氏が文芸局長に、中島氏は第一出版部長、国兼氏は第二出版部長に昇進という、なんともめでたいかぎりのお話をうかがいながらの会食と相成った。ふたりの担当が同時に部長になるなんて面白すぎるが、私には昔からいわゆる「賑わし神」の運があって、入った店が急に込んできたり、住んでる場所が賑わったり、関わった人が出世したりするので、こんどもそれに違いないとにらんでいる(笑)。神保さんは女性誌のベテランで去年「文庫」に異動になられたばかりの、とても活きのいい面白い方だが、息子さんが非常に亀好きだそうなので、一度お目にかかってじっくりお話をしたいものである。

2005/02/24
とろろ蕎麦ほか
 青山劇場で「デモクラシー」を見る前に近所で食事。
 市村正親との共演で三谷幸喜の戯曲を上演する予定が突然の降板、以来さっぱり音沙汰がなくて心配された鹿賀丈史がふたたび市村との共演で久々の舞台復帰とあって見に行ったのだが、ウーン、残念!なんかもっと他に適当な芝居がなかったのかなあ。冷戦時代における西ドイツの左派系宰相ブラントの秘書官が東ドイツのスパイだったという実話に基づく英国人の戯曲だが、如何せん、あまりにも日本人に馴染みのない話であり、さほどの捻りもなく淡々と当時のドイツの政治事情が描かれる第一幕は睡魔を堪えるのに苦労した。両隣のひとも寝ていたので、私が疲れていたせいばかりではないと思う。たとえば金大中大統領の秘書官が北朝鮮のスパイだったという事件があったとして、日本人がそれをもとに韓国の政治事情をドラマ化するなんてことはあんまりなさそうだが、さすがに「ジュリアスシーザー」以来、政治劇の伝統を誇る英国だからこそ通用する戯曲というべきか。鹿賀、市村のほかにも近藤芳正や今井朋彦、小林正寛などなど達者で個性的な男優をそろえながら、実に単調な舞台だったのは演出のせいもあるだろう。この手の海外戯曲上演ってほんと当たり外れがあるけど、今回は市村も鹿賀もけっこう役にハマってはいただけに、もうちょっと演出でなんとかならなかったのかなあという気もする。

2005/02/22
小籠包ほか
 世田谷パブリックシアターで「MANSAI解体新書その六」を見た帰りに近所で食事。
 このシリーズも主宰の野村萬斎が超多忙のせいか、とてもいい企画だったのに、回を追うにつれテンションが下がり気味で、準備不足が目立ってきたのは残念。で、今回はせっかく日本の古典芸能の基礎訓練も経ている白石加代子を迎えただけに、余計にそのことが惜しまれた。もっともさすがに白石さんはスゴイ!と思わせたのは「百物語」シリーズの「箪笥」の冒頭シーンをほんのサワリ程度に見せたときで、これは誇張でもなくメタファーでもなく、空間が奇妙にゆがんで見える瞬間があって、周囲に強力な磁場とでもいうべきものを生成してしまう、このひとの類いまれな身体能力に改めて脱帽した。しかも当人が自らそれを計算され尽くしたからだの動きとして解き明かしてくれたのも今回の収穫だった。ひところ世界的に「身体論」がもてはやされて、日本では中途半端な学者や評論家のあいだで大流行りしていたけれど(なんてエラソウにいっちゃのは、岩波書店のシリーズ本でこの私に歌舞伎の「身体論」を書いてくれという依頼が舞い込んで、あまりのいい加減さに呆れてお断りした経緯があるからです)、表現の身体に関する考察においては、やはりこの手の優れた実演者の説得力にまさるものはないように思われる。













































2005/02/21
肉味噌うどん
 QPで見た料理。豚ヒレ肉を細切りにして生姜汁と酒で下味をして片栗粉をつけてしっかりと炒め、味噌、砂糖、酒、醤油、味醂を混ぜたタレで煮込む。これを温かいうどんにかけて茹でたチンゲンサイを添える。

2005/02/20
ゴイクン、ネムほか
 東武動物公園にある乗馬倶楽部の帰りに食事。
 幼いころ、近所の公園にあった馬場で引き馬に乗せてもらうのが大好きだったので、大学のクラブを選ぶ際にも東伏見の厩舎まで覗きにいったほどだが、さすがに大学の体育会系は無理と悟ってあきらめていた。その後旅先で何度か馬に乗る機会はあったものの、正式にレッスンを受けたのは今日が初めて。途中に休憩をはさんで都合1時間ほど乗ったらけっこうな筋肉痛に見舞われた。ただ紹介者のおかげで料金が半額になり、指導員の教え方がうまくて初日でなんとか軽速歩ができるようになったのは嬉しい。昔はスキーをするとパアッと頭が白くなるような気がしたものだけれど、乗馬もアウトドアでかなりスリリングなスポーツなので、これを機にライセンスが取れるくらいやってみようと思う。
で、おかしかったのは二度目に騎乗したラティナ君という牡馬で、最初のレッスンで私は別の馬に騎乗しているときだったが、近くの馬房にいたカレがとんだハプニングを起こして周囲がビックリしていた。牝馬に言い寄って、嫌がった牝馬が騒いで暴れたというごく自然に起きそうな事件なのに、なぜ周囲がビックリしたかというと、百数十頭いる馬群の中でラティナ君が唯一頭のタマタマ付きの牡馬で、あとは全部去勢されているからだという話で、それならなおさら不思議でもなんでもなさそうである。ところがカレが去勢されなかったのは、別に種馬にされてるわけではなくて、もう結構な年齢なのにこれまでどんなメスを見ても全く無反応だったので去勢する必要がなかったということらしい。「へえー、馬にもやっぱりそんなのがいるんですか……」と思わずつぶやいて指導員に変な顔をされた私です。で、二度目の騎乗でご対面したラティナ君はとても上品でオスとは思えぬやさしいお顔立ちをした美しい馬。これはきっと自身大変な馬好きで競走馬も所有していた亡き名優、六代目中村歌右衛門の生まれ変わりに違いないと私はにらんだ!

2005/02/19
カルボナーラ、鰯とブロッコリーのサラダ
 近所のスーパーで生クリームをサービス品にしてたので、久々に本格カルボナーラに挑戦した。卵2個分の黄身は使いすぎ出で、チーズもちょっと多かったのかもしれない。仕上がりはもう少しシットリとした感じをイメージしてたが、味はまあまあ。鰯とブロッコリーのサラダは定番でレシピは前に紹介済み。

2005/02/18
豆乳鍋
 QPで見た通りに作ってみました。昆布だしベースで豆乳を合わせて酒と塩で薄く味付けしただけのシンプルな鍋で、コクと風味づけのために練り胡麻を加えるのがポイント。具は白菜、ネギ、水菜、鶏肉。薄味なので鶏肉は張り込んで比内鶏に、水菜は京都産にした。服飾ブランドには全く誘惑されない私だが、食のブランドにはけっこう弱くて我ながら恥じ入る次第。豆乳は近所のお豆腐屋さんで無調整のものをゲット。煮てるうちに汲み湯葉状態になり、さらに煮詰めると豆腐になってしまった。

2005/02/17
蕪と牛肉の昆布炒め
 QPで見た料理。牛肉は酒醤油で下味して片栗粉をつけて、蕪の葉は茹でて炒める。蕪の根は直炒め。細切りの塩昆布で味をつけるだけ。カンタンにできそうだが、蕪の根に火の通すのがけっこう難しい。中までしっかり火を通すと表面が柔らかくなりすぎる。

2005/02/16
エスニック風牡蠣のピカタ、ベビリーフサラダ添え
 テレ朝で見た料理だがこれはオイシイ。要するに卵、小麦粉、粉チーズを混ぜたピカタの生地に椎茸の薄切りと香菜を混ぜ込んで牡蠣につけてバターで焼くだけなのだが、香菜が実にいいアクセントになる。牡蠣に火を通しすぎずに余熱をうまく利用して、仕上げに粉チーズをさらに足して表面をパリっとさせるのがポイント。スイートチリソースに白ワイン、塩胡椒を足したソースで食す。ベビーリーフのサラダはオリーブ油と塩胡椒でシンプルに。

2005/02/15
帆立とブロッコリーの豆鼓醤炒め
 テレ朝で見たレシピ通りに作った。ホタテ貝柱は塩胡椒で下味をして片栗粉をつけて湯通し。ブロッコリーを茹でる湯にはサラダ油を少し垂らすと色好く仕上がる。芯も硬い外皮を剥いて茹でると美味しく食べられる。ニンニクのみじん切り、鷹の爪、豆鼓醤と湯通しした食材を炒めて、あらかじめ合わせておいたオイスターソース、砂糖、酒、醤油、水溶きカタクリをまわし入れて最後に胡麻油でつやを出す。
 昼間に新潮社の小林姐さんが『銀座開化事件帖』の見本をご持参で来訪。大変ステキな装丁で大満足でした。来週には書店に並びますので(早いところでは今週の金曜日にも)皆様どうぞよろしく!

2005/02/14
豚肉の味噌ダレかけ
 フジテレビで見た料理を参考にアレンジ。味噌に砂糖と煮切った酒と卵黄を加えるのがポイント。それに炒めた大根とニラと韓国の粉唐辛子を加えた。
 NHKの番組で百万匹のヒメウミガメが一斉に産卵する風景を見ながら食べる。珍しいウミガメの交尾シーンも見られて大満足でした。撮影現場は南米コスタリカのとある海岸で、ガラパゴスと並んで死ぬまでに一度行ったみたい場所である。

2005/02/13
肉じゃが、ほうれん草のお浸し
ああ、なんと平凡な……。

2005/02/13
あんこう鍋
 友人と食す。

2005/02/11
ブロッコリーのコロッケ
 QPで見た料理だが、これはまじにオススメしたい。ジャガイモとブロッコリーを一緒に茹でてマッシャーで潰し、別に炒めたタマネギのみじん切りと挽肉に合わせて塩胡椒で味付けする。あとはふつうのコロッケ同様に揚げるだけ。ジャガイモが箸の通るくらいに茹であがってからブロッコリーを投入。茹でたあとは乾煎りしてしっかり水気を飛ばすのがポイント。ふつうのコロッケより軽い食感で食べやすい。オリーブ油とレモン醤油を合わせたソースで戴く。

2005/02/10
蟹と三つ葉の酢の物、風呂ふき大根とこんにゃくの味噌田楽
 ジムの体重計を見てショックを受けた結果のメニュー。このところちょっと油断して食後のスイートが祟りました。

2005/02/09
アスパラガスとスナックエンドウのパスタ、コーンスープ
 レシピは書くほどのこともない。好きな野菜二種をニンニクとベーコンで炒めてうまみを出し塩、胡椒で調味しただけ。
 今夜は当然ワールドカップ最終予選日本VS北朝鮮の試合を見ながらの食事。最初、北鮮チームはアレ?金将軍様が対日関係に配慮して手を抜くように言ったのかしらと思うくらいにキレの悪い立ち上がりだったが、後半戦はがぜん勢いづいて、とにかく日本チームは圧されっぱなしに見えました。同点でずっと来てロスタイムでの辛勝。こんなんでホント大丈夫なの?ジーコ・ジャパン!

2005/02/09
蕪とソーセージのスープ、ガーリックトースト
 前にQPか何かで見たレシピのうろ憶えで作ったが結構おいしい。タマネギとニンニクのみじん切りを炒めて水とスープの素を加え、蕪を煮込んで柔らかくしてからマッシャーで潰す。ここにレッドビーンズとソーセージを入れて塩胡椒で味付けし、トッピングに蕪の葉をちらす。蕪の葉でなかなか刺激的な味わいになるのでこれは欠かさないこと。

2005/02/07
カレー
 紀伊国屋ホールで井上ひさしの新作「円生と志ん生」を見る前に近くで食事。
 井上さんにはテアトル・エコーの時代から「コトバ」の問題をテーマにした作品群があるが、今回は落語界における昭和の二大名人が終戦の直前に満州の大連に渡って彼地で足止めを喰うという実に素晴らしいシチュエーションの発見を得て、落語の活き活きとした語り口で満州帝国崩壊直後の埋もれた歴史を発掘してゆく。一方で戦争とそれに巻き込まれる庶民という作者お定まりの構図はあるものの、今回はそれよりもむしろ落語の文体や、ふたりの名人の対照的な芸に対する作者の興味が前面に出た結果、いつもの露骨なメッセージ性が影をひそめて好感がもてた。ラスト近くの修道院の場で志ん生の繰り出す小咄がなぜが次々と妙に聖書の一節に符合してしまうという展開は、さすがに井上さんならではで、大いに笑わせてもらった。天衣無縫の芸人志ん生を演じた角野卓造は天晴れで、もともと巧い役者ではあったが、こうした芸人の雰囲気をすんなり出せる役者が新劇界出身というのは不思議な気がするほどで、案外橋田壽賀子センセイのドラマなんかに出てるのがよかったのかしらと思ったくらいである。几帳面でかつ色気のある芸風だった円生役は辻萬長で、これはホンモノを知ってると少し違う気はするものの、角野に劣らず好演だった。この男優ふたりもさることながら、女郎役から修道女まで何役もこなす久世星佳以下の女優陣がまた実にいい。戯曲としては少し求心力を欠く点も否めなかったが、今回は役者たちの好演がすべてを救って気持ちのいい舞台であった。


2005/02/06
エスカルゴ、舌平目のソテーほか
 谷中のイベントスペースで三村さんと「義躰標本室 三浦悦子人形展」を見た帰りに千駄木のフレンチRで食事。
 かつてペヨトル工房の社長兼「夜想」の編集長であり、デザイナーみるきぃいそべさんのご亭主でもあった今野さんは常に時代の流行りモノをマイナーなシーンで追究し続ける名人といってもいい方だが、最近はいわゆる「ゴスロリ」を手がけておられて本日初日の人形展もそうしたイベントの一環であった。青白く病んだ肉体に血でかすかに染まった包帯をぐるぐると巻き、メスやピンや鋏などが突き刺さった青い目の人形たち。切り取られた脚や裂かれた子宮などなど、超グロテスクなはずなのにどれもふしぎと不快な感じは与えず、むしろ作者の優しげな人柄が伝わってくるオブジェ。そういう意味ではかなりメジャー感のある作品だったように思う。

2005/02/05

 渋谷で友人と食事。

2005/02/04
ダンプリング・スープ
 スーパーのパンフで見た。要するに英国風すいとんである。ベーコン、キャベツ、タマネギを炒め水とスープの素を入れてじっくりと煮込み、そこにソーセージ、ブロッコリー、ダンプリング(薄力粉をミルクで練って塩胡椒で味付けしたもの)を加え塩胡椒で味を調えれば出来上がり。

2005/02/03
白菜鍋、煎り大豆ご飯
 鍋はフジテレビで見た超カンタン安上がりの料理。鍋に胡麻油をひいてまずニンニクを炒め、白菜、豚バラ肉、もどした干し椎茸を入れて水でじっくり煮込み、最後に春雨を加える。塩だけのシンプルな味付けで十分おいしい。節分にちなんだご飯は昆布と薄口醤油と市販の豆まき用の豆を加えてごくふつうの水加減で炊きあげたもの。豆も柔らかくなって食べやすいので、余った豆のご利用にオススメしたい。なんたって女は今やイソフラボンである。

2005/02/02
胡麻ソース入りドライカレー
 NHK教育をたまたま見たら松本忠子さんがこの料理をしていた。この方は実家と親しく、またご子息が松竹に勤めておられるので個人的に面識がある。そういえばQP3分クッキングのプロデューサーである渡辺満子さんはたまたまお茶の稽古でよく一緒になるのだが、私は別に渡辺さんと知り合う以前からこのHPでよく紹介していたし、渡辺さんの前では私がQPを見てることなんてオクビにも出していないから、向こうは全くご存知ないはずである。で、今日も別に松本クンのお母さんには知らせずに勝手にここで紹介させて戴くのである。
 まず挽肉をしっかり炒めてから玉ねぎ、セロリ、人参の粗みじん、カレー粉、塩少々を加えてさらに炒め、胡麻ソース(ウスターに胡麻、ケチャップ、砂糖を加えたもの)、野菜ジュース、固形スープの素を加え、水分がとぶまでじっくりと煮込む。調味料の分量を適当にしたら、甘めのドライカレーというよりドライハヤシといった感じの味に仕上がってしまったけれど、そこそこ美味しく食べられた。
大寒波襲来のニュースで雪景色の金閣寺が実に美しい映像として流れたが、京都はなんとマイナス4度近い厳寒に見舞われたらしく、もともと家屋が夏向きに造られている街だけに、その寒さを思うとぞっとする。先ごろ世界でダントツにリスキーな都市として東京と横浜の名が挙がっていたが、気候的にはこれほど恵まれた都市圏も世界に類をみないであろうと様々な映像を見て思う。

2005/02/01
鱈チゲ
 スーパーのパンフで見たレシピ通り。鶏ガラスープに塩、醤油、ニンニクのすり下ろし、韓国産粉唐辛子、胡麻油を加えた出汁で鱈、白菜、小松菜、豆腐を煮て最後にすり胡麻をトッピングして食す。大寒波襲来の日にもってこいのほかほかメニューであった。
 今宵のTVを見ていてショック!だったのはワープロソフト「一太郎2004」に販売中止命令が出たというニュース。特許権侵害の裁判で松下に敗訴した結果だそうだが、ただでさえ退潮著しいジャストシステム社がこれでダメージを受けるのは、一太郎シリーズのユーザーとしてとても困ります。潰れたらどうなるの?と不安がいっぱい。私のように時代小説を書いてるような人間にとってはやはり「ワード」より「一太郎」のほうが使い勝手がいい、というより今さらソフトを変えるのは大変なので、なんとかジャストシステム社に持ちこたえてほしいのである。以前新しいパソコンを買おうとして「一太郎」の使えるものを捜していたときに、コジマ電気のお兄さんも「使い勝手はホントは一太郎のほうが僕もいいと思うんですが、どうもマイクロソフトに意地悪されてるようなんですよね」と言ってました。「2004」でようやくXPに対応できるようになったと思ったら、こんどは松下電機を敵に回してしまったようだ。ああ、どこまでも不運な一太郎クンである。


2005/01/31
マーボー大根
 QPで見た料理。大根と豚肉の粗みじんを炒めて、長ネギ、キクラゲ、ニンニクを足してさらに炒め、豆板醤、オイスターソース、砂糖、酒、中華スープで味付けする。豚肉をとにかくしっかり炒めて臭みを出さないようにすることと、豆板醤を鍋肌で炒めて香りを出すのがポイント。ご飯のおかずにピッタリの一品。

2005/01/30
初釜
 麹町稽古場の初釜で茶懐石を食す。
 お点前は阪本先生のご母堂で、毎年ながらその素晴らしさに感動する。この方のお点前を拝見すると、「茶かぶき」という言葉があるように、茶の湯も昔は芸能の一種だったことが改めて想い出されるのだった。
 阪本先生はとても気さくな方で、ちょっと信じがたいほど気楽な雰囲気のわりに、用いるお道具が立派というふしぎな稽古場だが,初釜になると、このお道具がふだんに輪をかけて凄いものになる。
 先代家元即中斎のお軸や先代永楽善五郎の水差は写真でご覧戴けると思うが(クリックすれば大きくなります)、濃茶茶碗は先々代楽吉左衛門の島台茶碗(椀の内側が金箔銀箔塗り)、薄茶茶碗は先代と当代の永楽善五郎。茶器先代中村宗哲、仕服は土田友湖、建水は中川浄益などなど要するに千家十職の、保守的な婦人誌がヨダレを垂らしそうな名器がずらりと並ぶなか、御正客は回り持ちで今年は私が指名された。
 正客は一応率先して亭主にいろいろとたずねたりしなくてはならないので、本来ならけっこう緊張するものなのだろうが、ここの稽古場は私でも務まるくらい気楽なのである。で、皆で回し飲む濃茶があまりにも美味しくてついゴクゴク飲んでしまい、最後のひとの分が足りなくなるという椿事を出来させてしまった。
 濃茶は茶杓で人数分の3倍の分量のお茶を入れて点てるドロドロの液体だが、今年のお茶は、ええっ、こ、これは何!と驚くほど甘くて美味しいお茶だったので、茶銘を訊くと柳桜園の「錦上の昔」というやはり当代最高峰のお茶なのだそうだ。機会があれば是非もう一度飲んでみたい。もともと食い意地が張ってるほうだが、ここまで執着する飲み物は珍しい。初釜ということもあって、食事は茶懐石というよりおせち料理に近いもので、お椀はお雑煮。銀座「あさみ」の主人が出張で調理という贅沢さであった。

2005/01/29
ヨモギ麩の揚げだし、タラの芽の天ぷら、じゃこ御飯
 この前の「クロワッサン」誌の取材で送られてきた「麩嘉」のヨモギ麩を使った。生麩の食べ方としてオススメ。ことにヨモギ麩は香りがあるのでこうして食べると非常に美味しい。スーパーで早くもタラの芽が出てたので併せて揚げ物にする。
 

2005/01/29
鶏団子鍋
 QPで見たのはほかの出汁を使わずに沸騰した水へ鶏団子を入れてうまみを出すやり方。団子には生姜汁とネギのみじん切り加える。練るときに水を少々足すとふんわり仕上がる。また団子に火が通ったらいったん取りだして、ほかの野菜を煮たあとに再び加えたほうが堅くならない。この2点がポイント。ニンニク、ネギ、砂糖、一味などを加えた酢醤油で食す。
 今日は集英社の八代さんに「家、家にあらず」のフロッピー原稿をお渡しして、バンザーイ!ようやく入稿完了。「小説すばる」で一年半の連載だったが、少しずつ手直しをしているうちにほぼ全面書き替えに近いニューバージョンとなった。新潮社、集英社共にあとは優秀な編集者の方々のお力で無事になんとか新刊が出せそうで、今はちょっとホッとしております。だが、これからまた長期マラソンの開始だと思うと、嗚呼……。

2005/01/27
筍と湯葉と生麩の炊合せ、木の芽味噌の田楽
 3/10発売の「クロワッサン」誌で郷土の家庭料理を紹介する特集があって、なんとそれにご指名を受けて作ったのがコレです。こういう物書き商売もときどき不思議なお仕事を頂戴することがありますが、今回ばかりは最初にお電話を頂戴したとき、ええっ!なんで???って感じで、私に京都の「家庭料理」を作れというのはちょっと……とお断り申し上げました。ホントのところ私は京都の家庭料理なんてほとんど知りません。だって料理屋の娘なんだから、料理屋で出す料理か賄い飯しか知らなくて当然なのです。あきらかな人選ミスだと言い張ったのですが、何故か企画段階で名前が出た(?)そうで、どうしてもといわれて、料理を作ってるとこの写真まで撮られてしまいました。ああ、恥ずかしい……。
 で、コレのどこが家庭料理やねん!と言われてしまいそうですが、簡単にできるものが思いつかなくてこの二品。炊合せに使った生麩は「麩嘉」から、湯葉は「千丸屋」から実家を通じて取り寄せたという食材だけは本格的なものです。昆布と鰹でしっかり出汁を取って、砂糖、薄口醤油、酒の量をそれぞれ微妙に違えて別々に炊くという手間をかけた作り方で、結構おいしく出来ました。
 木の芽味噌は実家で教わったレシピをここに公開します。木の芽だけではこんなに鮮やかな緑色にはならないので、まず茹でたほうれん草に砂糖を少しと塩を隠し味でごくかるくひとつまみ入れてすり鉢ですりつぶし、そこに木の芽を加えてさらに擂り、白味噌と混ぜてできあがり。豆腐に塗って天火で焦げ目を少しつけます。

2005/01/26
小松菜と豚肉の炊き込みご飯
 下味した豚もも肉と小松菜、筍、干し椎茸を炒めて醤油酒、砂糖で味付けしたものを米と一緒に炊き込むだけ。簡単にできるし、思ったほど油っぽくはならず、小松菜の味が非常に利いた中華風の炊き込みご飯として美味しく食べられました。オススメです。

2005/01/25
ブリ大根
 レシピは不要だろう。今日は非常に美味しく仕上がった。入念な霜降りのあと軽く水洗いまでして生臭さを完璧に取り除き、酒を多めに使ったせいだと思う。

2005/01/24
板麩とセリの炒め物
 QPで見た珍しい料理。もどして柔らかくした板麩に味噌、生姜汁、醤油で味付けして片栗粉をつけて揚げたものと、セリ、ネギを胡麻油で炒め合わせて豆板醤、酒、醤油で味付け。板麩の食感が肉に似ていて、安上がりにできる普茶料理といった感じだ。

2005/01/23
鯛と青菜のうどんすき
 近所のスーパーのパンフを参考に作ったが、うーんイマイチ。味醂と薄口醤油で味付けした出汁に鯛と貝(パンフは蛤だが私は牡蠣にした)と青菜(チンゲンサイ、ブロッコリー、ほうれん草など)とうどんを入れた鍋で、何だか無理くり青菜を入れてるような気がしたが、鯛を入れると美味しい出汁にはなる。

2005/01/22
鶏鍋、焼き鳥ほか
 日本橋の画廊で古美術商の浦上氏に大量の春画を見せてもらい、帰りに同行のメンバーと近所で食事。
 浦上氏は日本有数の春画コレクターで、数百点ご所持の由だが、きょうは3時間かけてざっと200点以上の春画を拝見する。初期の鈴木春信や勝川春章にはじまって歌麿、北斎、豊国、国定、国芳と順々に見ていって、とにかく共通するのは陰部が極端に大きくデフォルメされている点で、これが西洋人を驚かしたわけだけれど、巨大すぎてどれもあんがい隠微な感じはしないものである。よくそっくりの石や木の根っこをご神体にしてる神社があるが、それと同じような宗教的祝祭的な感じがむしろ強く匂う。もっとも微細に見ていけば画家それぞれタッチや構図の違いでかなりリアルなHを感じさせる絵も当然あるが、それは陰部の描写よりもむしろ顔や手足の表情にあるのだった。春信なんかは異様なほどおすましの表情で下半身だけしっかりやってるところが実におかしい。北斎は足の指の吊り方が妙になまなましいし、国芳の絵で女のちょうど終えたときの表情がハンパな映画以上にリアルでびっくりさせられる一点があった。近代以前の日本人は乳房にほとんど興味を示さず、弄るのはもっぱらあそこのみだったということもよくわかったし、年増女が前髪の若衆を襲うという構図が春画全体の中でけっこう主流を占めていた点も興味深い。それって男性用ではなく未亡人用に画かれたものだったのではなかろうか。
 たいていの絵にはちょっとした詞書きがついていて、要は昔の短編ポルノ仕立てになっているのだが、私はこの際古文書が読めるという自らの能力を遺憾なく発揮して、同行の皆様にも喜んで戴けたようである。で、なんといっても笑えたのが北斎画に登場するオノマトペつまりは擬音語の種類の多さ、リアルさ、しつこさで、私としてはここにも書いて差し上げたいのだが、公開HPがあまりにも下品になるのを恐れて遠慮させて戴く。いやー、いま頭の中は毛むくじゃらの○○だらけで、今夜はどんな夢を見るかと思うと恐ろしいものがあります。 

2005/01/21
雪鍋、とろろ汁
 雪鍋はQP料理の先生がネーミングしたそうで、こんなもの…と思ったが案外いけるのでビックリ。日ごろカロリーを気にしてる方は、まあ、だまされたと思って一度やってみてください。濃厚な(ここポイント)昆布だしを塩で味付けして、そこに大根の薄切りと長ネギ、大根の絞り汁を入れ、片栗粉でとろみをつけてから豆腐を浮かべ、最後に大根下ろしをトッピング。ポン酢で食べてもいいが、何もつけなくても十分おいしい。で、これだけだと栄養価が低すぎる気がしたのでとろろ汁を追加。今宵は真っ白な晩御飯であります。
 昼間は昼間で頭が真っ白になりそうなハプニングに見舞われた。集英社刊行予定の「家、家にあらず」を書き直している最終段階で、なんと全原稿の二分の一を削除してしまい、あわてて岡野さんに来てもらうはめに。以前「奴の小万と呼ばれた女」でも同じようなことが起きて、そのときは「ノートン」というソフトで復旧できたが、今回はそれを使ってもダメ。そこで神に祈るような気持ちで「ノートン」の最新バージョンを買いに走ったところ、めでたく復旧した。とんだ出費だなんていってられないくらい、またしても神様、岡野様、ノートンさまさまであった。

2005/01/20
白菜と鮭の蒸し煮
 フジテレビで見た料理。白菜の隙間に塩鮭を詰め込んでコンソメの顆粒と塩、胡椒で調味し、ソーセージを加えてあとは少量の水で蒸し煮にするだけ。ソーセージは蛇足のようだけど、いい出汁がでるので欠かせない。テレビでは最後にホイップクリームとマヨネーズを混ぜたソースを載せていたが、カローリーオーバーになるのでカットした。ソース無しでも十分いける。

2005/01/19
寒ブリとネギの中華風炒め
 下味をして片栗粉をつけて炒めたブリと焼き色をつけたネギを炒め合わせて豆板醤、オイスターソース、酒、醤油で味付け。ニンニクと生姜の薄切りも加えること。ブリはたっぷりの油で炒めるのが臭みを出さないコツ。ブリを炒めた油はしっかり拭き取ってからネギを炒めること。
 昨夜から鼻水がまったく出なくなって風邪がほぼ完治したのは、たぶん晩御飯で胃に重たく感じるほどの濃い大和芋を食べたせいではないかと思う。昔から山芋は精がつくなどというが、今回はそのヤマイモパワーに脱帽!みのもんたにでも教えてやりたいくらいである。

2005/01/18
牡蠣鍋とろろダレ
 フジテレビで見た料理。牡蠣鍋をなんとトロロのタレで食べるという贅沢な一品。美味しいけれど腹にぐっとこたえる。鍋は味噌味で甘めに仕上げるのがポイント。白菜、大根、人参、ネギ、春菊と野菜も盛りだくさんに。トロロは粘りけの強い大和芋をすり下ろして出汁でのばして醤油で薄く味付けしておく。鼻風邪はまだ治らずいい加減うっとうしいが、食欲は万全です。

2005/01/17
野菜カレー、ツナとビーンズとレタスのサラダ
 鼻風邪となって体調はかえってよくなり食欲もほぼ復調。というわけで早々とポトフ明けメニューの定番野菜カレー。ポトフの残りに市販のカレー粉を加えただけ。

2005/01/16
ポトフ
 絶食あけの定番メニュー。キャベツ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー、ウインナーと盛りだくさん。相変わらず朝は嘔吐感や悪寒があって軽い頭痛がしたのでウイルス残存の気配はあるが、きのうより体調はかなりましになった。寝ていても頭の中で文章がぐるぐる回ってかえって疲れるので明日からは仕事にかかろうと思う。

2005/01/15
絶食
 朝、寒気がひどくて起きられず、昼まで寝ていたら嘔吐に襲われて、そのままずっと寝ていた。風邪が悪化したというより、正月来ずっと根をつめた書き直しの作業をしていたので、昼まで寝ていっきに気がゆるんで身体がガタガタになったのだろう。私はこういうことが年に二、三度あって適度のダイエットになっている。
 きょうは松竹時代に三年間お世話になった上司のM氏のお葬式が千葉の教会であったのだが、昨日の前夜式に続いて体調が悪く結局は欠席させて戴いた。この歳になると次々人をお見送りしなくてはならないのが辛い。M氏は大変に字のうまい方で、私の字があまりにもへたくそなのを見かねて、よく私の書いた企画書をきれいに清書してくださっていた。「どうぞ出かけてらっしゃい。僕が電話番をしてますから」と親切にいわれて、しょっちゅう他の部署や社外をほっつき歩いていた悪い部下と不思議な上司の関係だった。当時まだ二十代半ばの生意気盛りだった私を抱えて苦労なさったことと思う。ご冥福を祈る。

2005/01/14
レンコン汁
 寒気がして、くしゃみが出て、恐れていた風邪の兆候があらわれたのでコレにする。季節はずれの鱸の刺身が天然物で異様に安く売られていたので具にそれを使う。ほかに舞茸と三つ葉。レンコンのすり下ろしを使った汁は一杯飲んだだけで汗がどっと噴きだすスグレモノである。で、テレビを見てたら最近ごぶさたしてるフォアグラのポアレが実に美味しそうな画面であらわれたので無性に食べたくなる、ってことはまだ大した風邪ではないのであります。

2005/01/13
鶏肉のくわ焼き、めかぶ
 QPで見た料理。大量のゴボウの薄切りをまず鷹の爪を入れた胡麻油でサッと炒めておく。鶏肉は生姜の絞り汁と酒、醤油で下味をしっかりして片栗粉をまぶして炒める。両者を併せて酒、味醂、醤油で味付け。ご飯によく合うおかずだ。

2005/01/12
レンコンと牛肉の炒め物
 われながらレンコンフリークだと思うが、この時期は安くて美味しいのでつい使いたくなる。で、今晩は牛肉と一緒に炒めて酒、砂糖、醤油で甘からく味付けし万能ネギをトッピングした。炒める際に薬味として生姜の薄切りを入れた。

2005/01/11
鱈の紹興酒蒸し、セリとハムのサラダ
 2品ともQPで見た料理。鱈は要するに中華風の酒蒸しで、日本酒を紹興酒に変えてネギと生姜の薄切りと胡麻油を加え、梅干しをのっけただけ。鱈の下味は薄くしておいて梅干しと合わせて食べると美味しい。セリとハムのサラダも中華風で、万能ネギを加え、胡麻油を混ぜて塩だけで味付けしたシンプルなものだが、実に簡単なわりに意外と美味しいのでオススメしたい。塩をかける前に胡麻油を混ぜて水分を出さないようにするのがポイント。

2005/01/11
鶏肉と蕪の煮物
 近所のスーパーのパンフで見たレシピ通りに作った。蕪は煮崩れしないようあとから加える。先に出汁と酒と味醂だけで煮て、あとから薄口醤油と塩で味を調えるのがポイント。水溶きカタクリでとろみをつけて仕上げに三つ葉をちらす。

2005/01/09
レンコンのつくね
 挽肉(できれば鶏肉がいい)レンコンのすり下ろし、片栗粉を混ぜ合わせた餡をレンコンの薄切りに挟んで炒めてから酒、砂糖、醤油で甘からく味付けする。仕上げに軽く粉山椒を振る。この時期はレンコンが安くて美味しいのでオススメ。

2005/01/08
常夜鍋
 出汁と酒の量をちょうど半分ずつにするのが私の作り方で、きょうは冷蔵庫にあった大吟醸を使ってしまう。酒呑みが聞いたら泣くだろう。で、いつもは豚とほうれん草だけにするが、きょうは水菜、セリ、春菊。写真の大根おろしに添えた赤いものは、幻冬舎のヒメから頂戴した「寒作里(かんずり)」という新潟の特産品。寡聞にして初物の味わいである。和製コチュジャンのようなもので柚胡椒のような風味があります。

2005/01/07
チリコンカーン
 新年初の料理でしかも七草の日になぜチリコンカーンなんだと思われる向きもあるだろうが、兎に角きのうのQPで見た通りに作ってみました。粗みじんにした玉ねぎとマッシュルーム、ピーマン、挽肉を炒めてトマトの水煮缶とレッドキドニーの水煮缶を加えて煮込むだけ。必須の香辛料はクミンシードとチリペッパーで、クミンは炒め始めるときに使い、チリは炒め終わったときに加えて辛みを調節する。最後に塩と黒胡椒で味を調える。

2005/01/06
ヂンギスカン
 新潮社の小林姐さんに『銀座開化事件帖』のゲラを戻してサッパリした気分で地下の「寅々」で食事。2月25日の出版予定なので皆様よろしくお願いします!
 

2005/01/05
納豆汁
 けさ起きて鏡を見たら顔がブタだった。ヤバイなあと怯みながらジムの体重計にのったら、この正月休みの間になんと2キロもオーバー(泣)。お菓子や食材をいっぱい置いていった友人を恨みます。というわけで今日からちゃんとした料理をしようと思っていたのに残念!大根、ゴボウ、シメジ、豆腐、長ネギも加えた具だくさんの納豆汁でガマンする。

2005/01/04
グリーンカレー、ビーンズとツナのサラダほか
 例年この時期は冷蔵庫に新年会用の食べ物が残っていて、まだきちんとした料理を作る気になれない。というわけでグリーンカレーは缶詰である。
 それにしても今年の正月は編集者諸氏から頂戴した読みたい本が山のようにあったのに、三が日のうちに早くも仕事始めでまずは自分のゲラを読んでおります。二月には出版の予定ですのでその節は皆様よろしく、と、新年早々の自己PRでした。

2005/01/03
蟹しゃぶ、お雑煮
 蟹は某社のお歳暮。

2005/01/02
おせちの残り、お雑煮
 夜に近所の友人が来て食事。

2005/01/01
おせち、お雑煮
 おせちは言わずとしれた「祇園川上」製。

2004/12/31
蟹しゃぶほか
 ここ20年東京で大晦日に雪が積もったという記憶が私にはない。近所ではだれも雪かきをする様子がないから、新年早々ころんでケガする人があらわれないように願いたい。てなわけで暗いニュースが多かった本年は終わりを告げようとしているが、何とぞ2005年は良い年になりますように。

2004/12/30
おせち、ハタハタ、だまこ鍋ほか
 早くも年越しモードに突入し、恒例のフルメンバーで宴会。で、肝腎の大晦日、私はどう過ごしたらいいのでしょう……。

2004/12/29
ビーフカレー、ツナとビーンズのサラダ
 カレーはHオークラ製の缶詰。大掃除モードの手抜き晩御飯である。
 NHKBSをずっと流しながら掃除をしていて、往年のプロ野球だの「紅白」だのを見るともなしに見てしまった。王貞治が一本足打法に開眼する映像を見たり、植木等のスーダラ節を聞いたりすると、幼心に見た社会の様子が想いだされて、私の子どものころは本当に日本が前向きのいい時代だったんだなあと改めて思いました。母親が子どもを殺したとか、姉が妹を殺したとかいうニュースが立て続けに飛び込む世の中になるなんて、当時だれが想像したでしょうか。今年は世の中的にもそうだが、個人的にも哀しい出来事が相次いで妙に暗い気持ちで過ごしてしまった。もともと私は何かにつけて斜に構えるシラケ世代人間なのだけれど、世の中がここまで暗澹たる雰囲気になってくると、良き時代に生まれ育った人間の責任として、来年はもう少し物事を健全に前向きに考えるよう努めるべきかもしれないとさえ思ってしまう。

2004/12/28
鯖の一夜干し、白菜と油揚げの煮物
 年越しにわが家に集まるメンバーのひとりが今年はなんと大晦日に仕事が入っちゃったというので30日に繰り上げ。早くも大掃除モードでぴかぴかに磨きあげた台所を汚したくない(てのも末転倒な話だが)ために、こうしたおざなりのメニューに。
 それにしても窓の掃除をしながら今年はまだ一度も結露した様子がないのに気づいて、暖冬異変を如実に感じた。もっとも暖冬異変は地球温暖化のせいばかりとはいえず、明治元年直前の冬も異常な暖かさだったのは史料が伝えるところ。歴史的に見て、社会の枠組みの大きな変わり目はたいてい自然異変と結びつくようで、今や地球規模で大きな変わり目を迎えつつあるのはだれしも肌で感じながら、次なるパラダイムが提示されるどころか、逆に各所で退行現象があらわれているように見えるのは、果たして私が無知なせいでしょうか。

2004/12/27
レンコン餅、アスパラガスとコーンのサラダ
 レンコンのすり下ろしに生海老を細かく刻んで加えて、酒と塩胡椒で味付けしてフライパンで焼くだけ。仄かな甘みとモチモチ感があって、タレも何もつけずに美味しく食べられる。オススメの逸品。
 厄災続きの2004年はスマトラ沖地震の大津波でトドメをさされたといった感じだが、ここまで来るとさすがに来年は何とぞ良い年になって欲しいと願いたくなります。

2004/12/26
牡蠣と白菜の中華風炒め
 近所のスーパーのパンフで見た料理。生姜、ニンニク、ネギのみじん切り、豆板醤を入れた油で白菜と牡蠣を炒め、甜面醤、砂糖、酒、醤油で味付け。要するに牡蠣の土手鍋を中華風の炒め物にした感じでイケル。

2004/12/25
ゴボウのすき焼き
 バリ島でテレビを見てたらグッチ裕三が登場して紹介した料理だという記憶はあるが(日本の番組)、レシピはほとんどうろ憶えでなんとか作ってみた。笹掻きゴボウをまず胡麻油でよく炒めてから牛肉を加え、砂糖、酒、醤油で味付け。憶えていたのはそこまでなので、あとは糸コンニャクを加えてみました。

2004/12/24
レンコン汁
 例年マキシム・ド・パリにご招待してくださっていたS氏がお亡くなりになって、今年はなんとも淋しいイブであります(涙)。気持ちが落ち込んで風邪をひきそうになり、あわててレンコン汁を作って温まった次第。

2004/12/23
餅の鉄板焼き
 この時期になるといつもお正月が待ちきれなくてお餅が食べたくなる。ベーコンとネギと一緒にフライパンで焼いて醤油をかけて食べた。

2004/12/22
鴨鍋
 親しい友人T・N・H氏を招んで鴨鍋を食す。

2004/12/21
あん肝のパテ、仔羊のロースト&クスクス、鶏肉とインゲンのカスケ、タルタルステーキほか
 角川春樹事務所の原さん、村松氏、スラッシュの進藤さんと恵比寿の「Pot Bouille」で「大江戸亀奉行日記」の打ち上げをかねて会食。カジュアルな空間で南仏料理を堪能した。どれもこっくりした味わいの逸品だが、とくにカスケとブイヤベース風のスープが気に入ってしまった。
 「大江戸亀奉行日記」で亀の写真をお借りした上野動物園の学芸員の方がお読みになり、学術的にも間違いがなくて面白いと絶賛(!)してくださったという話にビックリ。こうして是非カメ関係者の間でも評判になってほしいものである。

2004/12/20
牡蠣の豆鼓醤炒め
 生姜とにんにくのみじん切りをたっぷり入れた油で片栗粉をまぶした牡蠣を炒め、豆鼓醤、コチ醤、酒、醤油で味付け。茹でたチンゲンサイを添えた。

2004/12/19
明太子スパゲティ、ブロッコリーと鰯の炒め和え
 パスタは定番。ブロッコリーと鰯の炒め和えは過去に何度も作ってるのでレシピは不要だろう。photoを見ると単に色合いだけで考えたメニューだったのがバレバレ。

2004/12/18
イカのゲソと空豆の豆板醤炒め
 春によくやる定番料理だが、この季節にもう空豆を売ってたので思わずやってみた。ニンニク生姜のみじん切りと豆板醤を加えた油で炒めて酒と醤油で調味するだけ。空豆は面倒でも皮を剥いたほうがいい。

2004/12/17
上海蟹ほか
 世田谷パブリックシアターで守部さんと木下順二作の「子午線の祀り」を見たあと近所で食事。
 「子午線の祀り」を私は三十年近く前の初演で見ているが、当時は能、狂言、歌舞伎、新劇といった異ジャンルの舞台人が一堂に会して、それぞれ別個に成立したセリフ術を披露する目的で、実験的な群読劇として注目を集めたという記憶がある。当時はすでにジャンルの垣根が取っ払われつつあったような気がするが、今日にこの芝居を見て、それでも当時はまだ演技術の違いが確固たる認識の元にあったことを改めて想い出してしまった。ある意味で今日の役者のほうがジャンルの壁をスムースに乗り越えられるほどに器用にはなったともいえるし、またジャンル間の相互乗り入れも活発化したともいえる。だが皮肉な目で見れば、演劇界全体にセリフ術の水準がなべて低廉化したといえなくもないのであった。初演の山本安英の語りを聞いているだけに、そのことが強く思われた。山本安英のセリフは当時でも独特な訛があるように感じられるほどに前時代的な響きがあったが、それでもこの芝居においては、日本語をきちんと伝えることが主眼とされた旧新劇の底力を見せつけたのを想い出す。平家物語を題材にギリシャ劇のような運命劇として書かれたこの芝居において、冒頭とラストを飾る宇宙の子午線についての語りがいかに美しく聞こえ、いかにそのことが重要だったのかは、初演を見た者としてちゃんといっておきたい気がする。
 で、なべてセリフ術にジャンル差もなくなった今日ではもう、その役者のしゃべる言葉がいかにこちらの胸にストンと入ってくるかだけで善し悪しを判断して差し支えないと思うのだが、それは単に滑舌のよさとか声の使い分けとかの単純な技術面だけでは済まないものがあり、むしろそういった技術に長けたひとに限って時に少しも心を打たない演技に陥ってしまったりもするのである。たとえば大竹しのぶや中村勘九郎のような天才といってもしかるべき役者でさえも、時に当人の独特の節回しで空疎なセリフを聞かせ、一般には巧いといわれながらも本当の意味では感動させてくれない舞台をときどき見せるのは、ある意味で器用なひとにありがちな落とし穴であるのかもしれない。で、残念ながら、今回の舞台を見て、同様の危険性を強く感じたのが平知盛役を演じた野村萬斎であった。守部さんの話では萬斎も初演時はもっとみずみずしい演技だったといい、たぶんそうだったのだろうと私も思う。ただ今回は義経役の嵐広也のほうがはるかに人物が活き活きと立ち上がって見え、運命悲劇の中核を担う知盛に感じる魅力が乏しかったのはたしかである。

2004/12/16
芽キャベツとコーンビーフのクリームグラタン
 QPで見た料理。玉ねぎとコーンビーフをよく炒めて、そこに薄力粉とミルクを加え塩胡椒で調味し、別に茹でた芽キャベツを入れて粉チーズを振ってオーブントースターで焦げ目をつけるだけ。実に簡単にできるグラタンで、旬の芽キャベツがしっかり使えると思って作ってみたが、別に期待したほどの味ではなかった。芽キャベツは見かけがかわいいのでいつも食べたくなるのだが、一度として本当にオイシイと感じたことがないのは、私が芽キャベツ不感症なのかもしれないけれど、なんだか野菜界のアイドルタレントという気がしなくもありません。

2004/12/15
肉豆腐
 すき焼きの豆腐をちょっと多くしただけの料理。レシピは不要だろう。

2004/12/14
スパニッシュオムレツほか
 シアターコクーンで野田秀樹作・演出の「走れメルス」を見た返りに近くの「サン・イシドロ」で食事。
 初期作品久々の上演とあって、野田秀樹を世に送り出した人といってもいい、元ぴあ副編集長の二宮さんを誘って観劇。で、ふたりとも、ウーン、いまいちかも……というのが正直な感想である。なにせ言葉遊び満載の初期戯曲なので時代のズレで通用しないギャグも多いのと、出演者のほとんどが戯曲を理解できていない感じがあって、演出にもメリハリがなく求心力のなさばかりが目立つ舞台であった。主演スルメ役の勘太郎は奮闘してるし、役者としてのキラメキを感じさせる瞬間は何度も来ながら、それが戯曲全体を支えるまでには至らない。大体このスルメ役は段田初演のときはラストにもう少し長ゼリフがあったように思われるのだが、もしかすると台本の改訂でもあったのだろうか。で、ヒロイン役の深津絵里も今回は一体どうしたのかと思うほどに単調な演技に終始してるし、メルス役は花が無いこと夥しくて、これなら松澤クンて結構イケテタじゃんてことにもなって、こんな風に書くとほんとにちっとも良くなかったようだが、残念ながらほぼそれに近いものがある。ただ一点、ああ、これって今的だなあと思われたのはやはりスルメ役の描かれ方で、少年の恋愛心理と犯罪のからむリアリティは当時よりはるかに今のほうが通じやすいような気もした。勘太郎が一瞬イイののも少年のキレた感じをかなり生々しく表現できている点にあったように思う。 

2004/12/13
ホッケの開き、水菜と油揚げの煮浸し
 手抜きの晩御飯でレシピは不要だろう。

2004/12/12
ニョッキのトマトソース
 またまた商店街の福引きで金券が当たり、近所の輸入食材店でディチェコのニョッキとケッパー&オリーブのトマトソースをゲットして作ったので、一応写真は載せましたが全然手はかかっていません。ソースにペッパーハムを加えてほうれん草のソテーを添えただけ。何だかしょっちゅう買い物してるみたいだけど左にあらず、大掃除の道具とか日用品を買ってるだけなのに今年は福引きの当たり年で金券がすでに千五百円分も当たってしまった。やはり年末ジャンボを買うべきだろうか……。

2004/12/11
風呂ふき大根、まぐろ納豆
 きょうのメニューはレシピも写真も不要であろうと思い、代わりに実家の広告を載せてしまいます。
 川上別館で「鍋」をはじめるとのことで、治部鍋と沖すきの2種類あって他に一品料理もつけて料金は5250円とか。詳しくは下のメニューの写真をクリックで拡大してご覧ください。ちなみに治部鍋は馴染みのない方もおいででしょうが、鴨を使った非常に美味しい鍋です。

2004/12/10
白菜と鶏肉団子の煮込みうどん
 QPで見た料理。白菜の芯をニンニクと鷹の爪を入れた油で炒めて使うのがポイント。鶏の挽肉は酒、塩、醤油で味付けして油と片栗粉を入れてまとめるが、これに山椒をきかせるのがポイントで実に効果的。全体の味付けも酒、塩、醤油でシンプルにして胡椒を加える。

2004/12/09
海老包子、海草包子、ビーンズとベビーリーフのサラダ、コーンスープ
 近所の商店街の福引で商品券が千円分当たったので「大地」で包子をゲット。ラッキーでした。この調子で年末ジャンボでも当たらないかなあ。

2004/12/08
鶏手羽と蕪とブロッコリーのポトフ
 QPで紹介した作り方がGOOなのでここでも紹介する。
鶏手羽を塩漬けにして30分以上寝かせて使うのがポイント。蕪と一緒に水に入れてキューブ状のスープの素、黒胡椒の粒、ローリエの葉を入れてかなり火が通ったところでブロッコリーを加える。ほとんど味付けは不要だから調理が実に簡単で、こうすると鶏手羽も臭みが完全に消えて美味しく食べられます。粒マスタードとサワークリームかマヨネーズを混ぜたものを薬味にするといい。きょうの晩御飯はコレとオリーブ油をつけたパン。 

2004/12/08
辛ネギラーメン
 日生劇場で蜷川演出の「ロミオとジュリエット」を見た帰りに近所で食事。
 時を越え土地を越えて人間に付き物の「愛」と「憎しみ」という二大テーマをこれほどストレートに凝縮されたかたちで表現する芝居も実は珍しいのではないか、ということを改めて感じさせた舞台であった。あらゆる人種の青年男女の顔写真を巨大なウォールに仕立てた装置が特にそのことを印象づけたのかもしれない。むろん蜷川演出の意図も今なお至る所で戦火が絶えぬ世界状況を踏まえているのは明白で、パレスチナの現状も無益な争いと流血を生み出すという点においてはモンタギューとキャピュレットの対立と少しも変わらないであろう。愛の成就によって対立と憎しみが解消できるかに思われた次の瞬間に流血の惨事がすべてを崩壊させるというまさしくドラマチックな展開は、藤原竜也のスタイリッシュな好演によって現代人になまなましく伝わってくる。ジュリエット役の鈴木杏は若干テンションが張りつめすぎているきらいはあるものの、この時代ならでは清新な若さあふれる演技であった。ケレン味は少ないながらも、客席から舞台の天井付近まで若い役者たちを縦横無尽に走らせる蜷川演出の力感は相変わらず衰えていないことが実証されていた。マーキューシオ役の高橋洋が一瞬これって誰?と思うくらいのふっきれた演技で出色の出来ばえだった。 

2004/12/06
湯豆腐、鰯の丸干し、小松菜とブナピーの炒め物
 こういうオーソドックスな(?)和食日もございます。

2004/12/05
海老カレー、生ハムとルッコラのサラダ
 年内最後となるお茶の稽古の帰りにカレーが食べたくなって市販キットで作る。海老は白ワインでフランベしてあとで加えた。サラダドレッシングは自家製。オリーブ油と柚の絞り汁を混ぜて塩と黒胡椒を加えた。

2004/12/04
豚肉とあわび茸とスナップエンドウの中華風炒め
 近所のスーパーで見かけた兵庫産のあわび茸と鹿児島産のスナップエンドウを使って適当に調理した。豚肉は酒醤油で下味をして片栗粉をつけておいた。生姜ニンニクネギを入れた油で炒めて、鶏ガラスープ酒、塩、胡椒、隠し味に砂糖少々を入れるとちゃんと中華の味になりました。

2004/12/03
お好み焼きほか
 幻冬舎のヒメこと木原さんと来春スタートの連載の打ち合わせをして近所で食事。ヒメは爬虫類マニアで、以前オマキトカゲを14年間飼ってマタマタも飼っていたことが判明。ヒョウモントカゲモドキやベルツノガエルにも興味があるそうな。人は見かけによらないというべきか……。オマキトカゲを退社後動物病院に連れていくつもりで会社に持ち込んだらみんなにビックリされたというが、そりゃそうだろう!

2004/12/02
鶏レバー砂肝と小松菜の炒め物
 QPで見たポイントは小松菜を先にさっと炒めてあとから加える点、レバーは生姜汁、酒、醤油で下味して片栗粉をつけてニンニクを入れた油で炒める点。味付けは酒、塩、胡椒で隠し味に砂糖。

2004/12/01
海老と蕪のクリーム煮
 QPで見た料理。海老は下味をして片栗粉をつけて湯通しをしておくこと。蕪としめじを炒めて鶏ガラスープで煮込み、酒、塩、砂糖少々、胡椒で味付けし、片栗粉を溶かし込んだミルクと海老を最後に入れてまとめる。ミルクを入れたあとは分離しないよう素早く仕上げること。

2004/11/30
カリフラワーのパスタ
 QPで見た料理。ニンニクのみじん切りと鷹の爪を入れたオリーブ油にアンチョビを溶かし込んでソースにする。カリフラワーはパスタと一緒に茹でてOK。カリフラワーはつぶして混ぜ込むといい。シンプルなパスタだが美味しいのでオススメ。

2004/11/29
天ぷらほか
 講談社の国兼氏、中島氏、出版部長の内藤氏と神楽坂の「天孝」で会食。来年度からスタートする新聞連載の打ち合わせを含めて色んな話をした。内藤部長が「群像」編集部時代に村上春樹の「羊をめぐる冒険」一気掲載のナマ原稿をアタッシュケースで受け取ったときにちょっと青ざめたという話(何故かはふせる)が実に面白かった。

2004/11/28
レンコン汁
 豚肉とジャガイモ、玉ねぎを炒めて水とキューブ状のスープの素で煮込み、ニンニクのすり下ろしとレンコンのすり下ろし、ブロッコリーを加え、酒、醤油、胡椒、塩少々で味付け。スーパーのチラシはレンコンのすり下ろしに薄力粉を混ぜて団子汁にしていて、私もその通りにしたのだが、粉が少なかったらしく、写真のようなどろどろの状態になりました。レンコン汁は温まるので寒い日にオススメ。

2004/11/27
帆立と舞茸のリングイネ、茄子とチーズのピッツァほか
 国立小劇場で「京阪座敷舞」を見たあと伝統文化放送の前川さんと近くのホテルで食事。
 二年ぶりに復帰を果たした川口秀子師が久々に地唄舞の「雪」を舞われるというので、これが舞納めかと思って観にいったが、存外元気な舞台でしかもまだ非常にお美しいのでびっくりした。年齢はとっくに八十を越えておられるはずで、やはり化け物の部類である。以前に比べて体力は格段に衰えたりとはいえ、今でも十分にいわゆる「息の詰んだ」集中力が発揮されて、こうした「花のある」舞台を見せられると、このひとの絶頂期を世間の多くが知らなかったのが悔やまれてならない。故武智鉄二師はこのひとと結ばれたことで世評を落とした面がいなめないが、このひともまた武智師と結ばれたことによって、天才舞踊家としての正当な評価を世間から得られなかったという点でおあいこだろうと思う。互いを認め合い過ぎた芸術家同士の結びつきはいい目に出る場合もあるが、逆に世間を閉ざして平気になる分、損な場合もあるということを、私はこのご夫婦から教わった気がするくらいだ。川口師が全盛期に新橋演舞場の自主公演で披露した素踊りに近い「京鹿子娘道成寺」を、私は数観た「道成寺」の舞台(むろん歌舞伎役者も含めて)で最高峰と位置づけているし、鎌倉の小さな舞台で見せた「雪」はあの武原はんも目じゃなかったと思えるくらい凄い舞台だったが、やはり舞台だけはその場に居合わせたひとの人数がかなり大きく後世の評価を左右するので、残念ながら幻の名舞台と呼ぶしかないのであろう。
 前川さんは伝統文化放送で勘三郎襲名を控えた勘九郎の特集を組んでプロデューサー兼ディレクターで奮闘中とのことだが、それにからんでなんとあの唐十郎にインタビューしたという話がなかなか面白くて笑えた。

2004/11/26
豆腐の柚味噌グラタン
 QPで見た料理。柚の皮と絞り汁に西京味噌とマヨネーズを混ぜあわせてソースにし、これを炒めた豆腐とネギと舞茸にかけてオーブンに入れれば出来上がり。豆腐は水分を切って塩をして炒める。舞茸とネギは油をほとんど使わずに煎るのがポイント。意外にも牡蠣のグラタンに似た食感で(舞茸が牡蠣のひだひだそっくり)、洋風の精進モドキ料理といえそうだ。

2004/11/26
緑鮑のオイスターソースがけ、上海蟹とフカヒレの煮込みほか
 集英社の八代さん、栗原さん、文庫の伊藤さんとで「家、家にあらず」の連載打ち上げと単行本化及び「非道、行ずべからず」の文庫化の打ち合わせをかねて西麻布の「A-jun」で会食。フレンチレストランのスタイルでヌーベルチャイニーズを楽しむといった感じのお店で、山伏茸のスープやフカヒレの煮込みの上品な味付けにすっかり満足。で、仕事のほうはこれからが修羅場です。

2004/11/24
海老と白菜の炒め煮
 QPで見た料理。白菜を芯から先にネギと一緒に10分以上丹念に炒めて水分をしっかりとばすのがポイント。酒、鶏ガラスープでじっくりとろとろになるまで煮込み、塩胡椒で味付けし、別に下味して片栗粉をつけて炒めておいた海老と合わせて出来上がり。オニオングラタンの白菜バージョンといった感じでほんのりした甘みが美味しい。

2004/11/23
黒胡麻担々麺ほか
 三茶のライブハウスで岡野夫妻らと桂吉弥の落語を聞いたあと近所で食事。
 NHK大河の「新撰組」で山崎烝役を演じた桂吉弥が正調の上方落語「親子酒」と「七段目」を披露。これが近年聞いた上方落語家の中ではダントツの巧さで、芸に花があって大満足。早くも次回の東上公演を待ちかねている私です。 

2004/11/22
煎り鶏
 QPで見た筑前煮風の煮物。ゴボウ、水煮筍、ニンジンレンコン、干し椎茸の順番にしっかり炒めてから出汁、椎茸の戻し汁、酒、砂糖、塩少々を加えて煮る。酒醤油で下味した鶏肉を炒めてから入れて、醤油を加えてしっかり味付け。最後に香り付けの醤油と照り付けの味醂で味を調えて水分が飛ぶまで煮詰めて出来上がり。筑前煮より簡単にできるのでオススメしたい。

2004/11/21
アボガドとトマトのサンド
 丸ビルホールで「カタカリ」公演を見て食事。
 カタカリはいわばインドの歌舞伎で、サンバのような打楽器の激しいリズム、日本の演歌の旋律にも似た歌にのせて、手指の表象(ムドラー)と際だった眼の動き、パントマイムで物語を展開する。象徴的な動きと意外にリアルな表現とが混在しているために、芸の善し悪しをどこで判別するのかは一度や二度見たくらいではとてもわかりかねるという気がしたが、公演プロデューサーの塚田さんが「インドの歌右衛門」と絶賛する女形マールギ・ヴィジャヤクマールがレクチャーデモンストレーションの締めくくりに見せた舞踊は素人目にも凄い!の一語に尽きた。レクチャーは段取りの悪さが目についたものの、私はこのひとの踊りがナマで見られて大いに満足した。
 

2004/11/20
鉄板焼き
 元PHPの熊谷氏来る。成島柳北からロシアンパブまで、幅広いブレスト(?)をしながらの食事。

2004/11/19
きんきの煮付け、アスパラのゴマ和え
 レシピは不要だろう。
 我ながらいい年してバッカじゃなかろうかと思いつつNHKBSで「ゴジラVSデストロイヤー」を見ながら食事。わが家でリクガメを飼うようになったのも、元をただせばゴジラファンだったからです。何か事に臨んだときは必ず頭の中で伊福部昭のテーマミュージックが鳴りっぱなしになる私です。


2004/11/18
茄子とパンチェッタのトマトスパゲティほか
 松竹時代の友人塩谷さんと近所で食事。バリ島で買ってくるように頼まれたお土産ワヤンクリットの人形を今日やっと渡すことに。向こうは近ぢか中国に旅行する予定があるので、必ずカメの置物か玩具を買ってくるからそれと交換しようと約束したにもかかわらず、その旅行は取りやめになって、12月のラスベガス行きに変更とか。オイオイそりゃナイヨー、というわけで夕食をごちそうさせた。

2004/11/17
豚肉の粉山椒ソテー、豆腐とモズクのスープ
 QPで見たチョー簡単料理。豚肉に塩と粉山椒で下味してソテーするだけ。先に強火で表面を焦がしてから弱火にしてじっくり火を通すと美味しく仕上がる。付け野菜は本日スーパーで安かった平茸とアスパラガスのソテー。スープは鰹出汁ベースに酒、塩、醤油少々で味付け、最後に白ゴマを散らす。

2004/11/16
オムライスほか
 新国立劇場で「喪服の似合うエレクトラ」を見てからの食事。開演6:15終演9:55という長時間、全編異様なほどのハイテンションで貫かれた演技に圧倒されて、いささかグッタリしながらも、久々に見応えのある舞台でもあった。なにせ日本の舞台女優で一二を争う芸達者といってもよい大竹しのぶと三田和代の競演だからこうなることは当然予想されたが、全く予想外によかったのは堺雅人である。それまではどうなることかと思われた舞台が彼の登場によってがぜん面白くなったのだから、役そのものの良さもあるとはいえ、鬼気迫る演技の二大女優に伍して、ひけを取らなかった彼の健闘をまずは素直に讃えたい。
 オニール作中最高峰とされる(演劇百科大事典)この作品はギリシャ悲劇「オレステス三部作」のプロットを南北戦争直後のアメリカに舞台を移し替えて、いわゆるエレクトラコンプレックスの姉(大竹)とエジプスコンプレックスの弟(堺)が父を殺した母親(三田)を自殺に追いやり、姉弟相姦に陥りそうになって今度は弟が自殺をはかり、姉は自らの前途を塞いで呪われた屋敷にひきこもるといったストーリー。卒論のテーマがオニール研究だったという同行した内山さんの言葉を借りてまさに「近親バトルロワイヤル」と呼びたいような内容である。夫を愛せなくなった妻が夫に似た娘をもまったく愛せない状況。母に疎まれて父への愛情が高じ、弟を母殺しに駆り立ててゆく娘。母と強い愛情に結ばれて父を疎み、母の死後は母の面影をうつした姉に近親相姦を迫る弟。ギリシャ劇だと抽象的に感じられるストーリーも、人物の内面や心的動機を生々しく吐露したセリフの応酬によるリアルな家庭劇として展開されると、こうも救いがたい内容になるのかと愕然としてしまう舞台であった。栗山演出はギリシャ劇を意識した抽象的な装置で上演したが、本来はもっとリアルな舞台づくりにすべき戯曲であろうと思う。
 それにしてもアメリカって国は、映画やミュージカルだと脳天気なほどに前向きなエンターテインメントに仕上げるくせに、ストレートプレイだとこのオニールにやテネシーウイリアムズやその他現代の諸作家を見ても、どうしてこうも陰気で救いがたい作品が好まれるのか、私はつねづね不思議に思っております。

2004/11/15
豚の酸橘鍋
 QPで見た鍋料理。鰹出汁にナンプラー、酒、生姜、スダチの絞り汁を加えたものがベース。具は酒と塩で下味をして片栗粉をまぶした豚肉、生椎茸、水菜のみ。さっぱりしたエスニック風の味わいで美味しい。仕上げはフォーで決めたい。
 NHKBS2で懐かしの「ゴジラ」を見ながらの食事。子どものころ怪獣映画に夢中で、怪獣のプラモなんかも作っていた私ですが(どんな女の子やねん!)、昭和29年製作のこのゴジラ第1作はさすがに封切りで見てはおりません。今の時代に改めてこれを見ると、ビキニ事件直後とあって露骨に反核反戦を謳う一方で、戦後の反米気分をもメタフォリカルに匂わせた敗戦国日本ならではの映画だったということがよくわかります。そういえば以前、某雑誌の編集デスクをしていたときにゴジラ映画の復活に引っかけて特集を組み、ゴジラの生みの親である田中友幸プロデューサーと本多猪四郎監督に自らインタビューをした覚えがありますが、白状するとあれはあきらかな趣味優先の企画でした。

2004/11/14
サンマとナスのスパゲティ
 以前テレビで見たメニューだがレシピは忘れたので適当に調理した。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油(テレビではたしかローズマリーで香り付けしたが、今日は無かったので省略)でまずナスを炒め、パセリみじん切り、サンマ、プチトマトの順に加える。味付けは白ワイン、塩、胡椒でシンプルに。仕上げにレモンを絞ってもよろしいかも。

2004/11/13

 渋谷で友人と食事。

2004/11/12
鶏肉と椎茸とコンニャクのオイスター炒め、水菜と揚げの煮物
 これぞダイエットな炒め物は前にたしかQPで見た料理だと思う。鶏肉は酒醤油で下味してカタクリ粉とサラダ油をまぶしておくこと。コンニャクは塩揉みしたあとしっかり湯がいておくのがポイント。ニンニクと鷹の爪を入れて炒め、干し椎茸の戻し汁、砂糖、オイスターソースで味付け。仕上げに青ネギをトッピング。煮物は出汁に味醂と薄口醤油でシンプルに味付け。

2004/11/11
パスタ&ドリアセット
 北千住のテアトル1010で「エリザベス・レックス」を見る前に食事。ルテアトル銀座の公演とばかり思っていたら、初日の招待日はなんと北千住の劇場!ええっなんでーといいたくなったが、実際は三軒茶屋からだと乗り換えなしで、劇場自体も駅に隣接しているのでむしろ便利なくらいであった。
 人間には男と女がいるのではなく、人はこの世で男を演じ、女を演じる存在であるにすぎない。演劇好きの人ならばきっと歓迎しそうなこうしたテーゼを全面に押し出して、しかもシェイクスピアのセリフを随所にちりばめた「エリザベス・レックス」はマニアックな演劇好きにはたまらないお芝居といえそうだ。ただし1601年のイングランドにおけるエセックス卿の叛乱と処刑を背景にしたストーリーは日本ではあまりにもマニアック過ぎて、第一幕はさっぱり話についてゆけず、私は斜め前方に座っている翻訳兼演出の青井陽治氏を突っついて、ねえ、青井さん、この芝居ってホント最後まで見てれば面白いんですか?と訊きたくなるほどでした。が、二幕目になってようやく主役のふたりが本格的にからみだすと、超マニアックなこの芝居の仕掛けが次第に呑み込めてくる。
 エセックス卿と契りを交わした男と女。ひとりは男でありながらシェイクスピア一座の女形役者であり、ひとりは女でありながら国家を統治する男として生きるエリザベス女王。処刑前夜に出会ったふたりが互いに相手から「女」の心を引きずり出して、卿に対する思いを直接的に、また「芝居」のせりふを借りて間接的に語ってゆくという仕掛けの末に、すべてはエリザベス女王が生涯唯ひとり愛した男の死の直前に、たった一晩、役者たちに混じって「女」を演じてみたたかったのだということが明らかとなる。エセックス卿の処刑を知って、慟哭した果てに、けろっとして退場するエリザベス女王という傑出した人物像を、麻美れいは生涯の当たり役とでもいえそうな好演で拍手喝采を浴びた。女形役者を演じたバレエダンサーの小林十市も意外な好演でほっとさせたが、奥田瑛二のシェイクスピアは狂言回しの役にすぎないとはいえ、動作付きでせりふを憶えているのが見え見えの演技はちょっといただけない。
 

2004/11/10
生姜豚丼、青唐辛子としらすの甘辛炒め煮
 これはオススメQPメニュー。まず豚ロース肉に生姜汁、酒、醤油で下味し、卵をまぶしてしっかり炒めておく。だし汁、砂糖、味醂、醤油をあわせたタレに玉ねぎと上記の豚肉を入れて最後にもう一度生姜汁を絞って水溶きカタクリでまとめ、三つ葉を散らして出来上がり。見た目よりさっぱりした味でおいしい。
 青唐辛子は先日作ったジャガお焼きの材料で残った分。しらすと一緒にゴマ油で炒めて味醂と醤油で甘辛く煮詰めた。

2004/11/09
お好み焼き、焼きそば
 お茶の稽古の前に三村さんと麹町の文字平で食事。

2004/11/08
鯖の梅味噌煮
 フジテレビで見た料理。通常の味噌煮に梅干し、大根(テレビでは人参)、しめじ、豆腐を加えてワケギをトッピングしただけ。鯖はしっかり湯通ししたあと冷水にとって霜降りにすれば生臭みはほぼ消える。煮るときに生姜の薄切りを忘れずに。酒、砂糖、味噌のほかに醤油を少々加えると味がひきしまる。仕上げに水溶きカタクリで軽くとろみづけ。盛りつけに失敗して写真はいただけないが、こうすると梅干しも美味しく食べられて、ご飯のおかずにもってこいの逸品である。

2004/11/07
ジャギモのお焼き&ワカモーレディップ
 冷蔵庫を見たらジャガイモと卵、玉ねぎ、トマト、レモン、ハラペーニョがあったので、このいい加減なメニューである。2品とも結構気に入っていてオススメしたい料理だが、レシピは前に書いたので省略する。
 別に勤め人でもないのに日曜は一応仕事を休むことにしていて、近ごろは客人用の可動式ベッドを陽当たりのいい部屋に移動させて、そこに寝ころんで好きなCDを聴きながら本を読むのが一番の楽しみというのだから、ああ、私も年を取ったものだと思う。で、今日はブライアン・アサワの「THe dark is my delight」を聴きながら読んでいた本の中に彼の歌が出てくるというちょっとしたシンクロに見舞われた。ちなみに本のタイトルは「アフターダーク」である。

2004/11/06
ブロッコリーと豆腐のマヨ醤油炒め、ツナと大根おろしのポン酢パスタ
 二品ともまるでイマドキの居酒屋によくある和風もどきメニューのようだが、一応近所のスーパーのパンフを見て作った。ブロッコリーは軽く炒めて塩水で蒸し煮に、豆腐は油で炒めて両面に焦げ目をつけてから、生姜の薄切りを加えて炒め合わせ、マヨネーズと醤油で味付け。これが案外いける。パスタはレシピ不要だろう。

2004/11/05
茄子とインゲンの田舎煮
 前にもやったのでレシピは不要だろう。前回と同様、煮干しが美味しくたべられた。

2004/11/04
中華風あんかけ焼きそば
 具は豚肉、海老、イカ、キャベツ、玉ねぎ、干し椎茸、もやし。豚肉と海老、イカは紹興酒と醤油で軽く下味して、ニンニク、生姜を入れた油で炒め、野菜を入れてさらに炒めたあと鶏ガラスープ、醤油、紹興酒、オイスターソース、胡椒で味付けし水溶きカタクリでまとめる。そばは胡麻油で両面を軽く焼いた。

2004/11/03
オムライス、アスパラガスのサラダ
 自国の総裁選より余所んちの大統領選のほうが報道が盛んだったのは、これぞ属国の証拠というべきなのかどうか。兎に角なんとか(今日中にというのは無理だとしても)
ブッシュ再選が決まりそうで、ホッと胸を撫でおろしている経済人がこの国には多いのではないかと思う。それにしても、この間の報道でアメリカの保守化にはビックリ!というよりも何処の国でも保守的な人ってホント始末に悪いよなあというのが私の印象でした。
  保守的な人というと昔は若年層より高齢層に、都市部より農村部に、利口な人よりおバカに多いという風に勝手に思い込んでいたものだが、何処の国でも一概にそうはいえないのが現実だった。敢えてそれらの人びとを一括りに出来そうなキーワードを捜すとしたら「臆病」と「自己充足」というのがあてはまるのではないか。少なくともアメリカの選挙関連報道を見る限りにおいて、9.11以降のアメリカを象徴するのはこの二つの言葉であるような気がする。
  もっとも日本も余所事ではない。アメリカでさえあんな風になってしまうのだから、近年の保守化傾向にはよくよくの注意が肝要で、うっかりしてるとあっという間に戦前に逆戻りなんてことが起こらないとも限らないのである。私はここんとこ明治初年の文献をいろいろと読みあさった結果、当時は意外に人びとが自由な発言をしていた時代であると認識を新たにして、時代はしばしば逆流ということもあり得る怖さを感じたので、保守的な人びとに対しては油断してはならないと自らを再度戒めたのである。といって目の前にあらわれたら一人一人ひねりつぶしにかかるというわけにもいかないのが困ったところ。そもそも保守的な人というのはイシハラやコイズミのような目立ちたがり屋さんは少数派で、大方は「臆病」だからひっそりと保守的に考えて「自己充足」なさってるので、ちゃんとした喧嘩はまずできない。けれど本当はこういう人がその社会における腐敗の温床となったり、とんでもない目立ちたがり屋さんを担ぎ上げて結果自らの身を危うくしてしまったりもするのはどこかの国の政治家を例に挙げるまでもないだろう。私はかつて長い間こうしたおとなしい保守的な人びとと虚しい格闘をした果てに、彼らに勝つ唯一の論法は「どんなに身を守っても人間は誰でも死ぬことが確実で、地球はいずれ滅びる」という究極のニヒリズムしかないのを発見。以来わたし自身本当にニヒリストになってしまって、これも困ったもんであります。

2004/11/02
天ざる
 世田谷パブリックシアター・トラムで永井愛作「見よ、飛行機の高く飛べるを」を見る前に近所で食事。
 評判の高かったこの作品は初演で見損ねてるので今回ぜひにと思って見たのだが、ウエルメイドな永井作品をこうもシュールに見せちゃうかなあ!とビックリさせられる仏人演出家アントワーヌ・コーベの今どき珍しい「前衛的」演出によって若干苦しい観劇に相成った。戯曲の力と若手女優陣の活き活きした演技によって救われたものの、もう少し普通の演出で見たかった気もする。
 永井愛の作品は写実で軽やかな会話で進行しつつその背景に横たわる「時代」というものを強く意識させる、いわば「時代世話」とでも言うべき作風で、この作品は師範学校の寄宿舎における女子群像を通して大逆事件以降しだいに軍国主義に傾く日本社会が浮かび上がってくるという仕掛けだ。作者自身の祖母がモデルだという優等生と市川房枝女史をモデルにしたその友人、ふたりのまわりに集う女子達の人物造形はすべてある種ステレオタイプだが、ステレオタイプだからこそ国や時代を超えて共感を得るところも多分にあるのかと思わせた。たぶんこういった作品は逆に古びないのだろうと思う。それにしても主人公が最後に結婚相手として意識する男性の役のキャスティングはもっと何とかならんかったのか!といいたい(怒)。最後まで見ていて芝居全体がどうにも腑に落ちないのは、ええっ!な、なんでこの男なの???という点が大きいような気がする。悪いけど。 

2004/11/01
筑前煮
 定番メニューでレシピは不要だろう。

2004/10/31
ミートスパゲティ茄子添え、アスパラガスとビーンズのサラダ
 パスタのレシピはオーソドックスで不要かと思うが、ソースにはブラックマッシュルームのみじん切りも加えている。サラダはミックスビーンズの缶詰を使用。
 今朝未明、まるで梅雨明けを思わせるような雷鳴が轟いて飛び起きたあと、恐怖にかられてしばし寝直しができなかったのは、関東大震災の直前だか前夜だかに物凄い雷があったという話をむかし体験者から直に聞いた憶えがあったからだ。予約していた美容院でも朝の雷の話が出たので、私だけが寝ぼけて大きな音に感じたのではないとわかり、急に不安になって防災用グッズを買ったり持ち出し用リュックの中身を再度チェックしたりして一日が終わってしまった。まあ、いくら用意してても地震なんて何時どこで遭うのかなんて誰にもわからないわけで、要するに気休めに過ぎないのだけれど。で、幕末の江戸の町を襲った安政大地震を体験した人の日記が残されていて、それを改めて読むと命からがら外に飛びだしてホッとひと息ついたその人が真っ先にしたのは煙草を一服することで、昔の煙草はキセルに葉を詰めるのもけっこう面倒そうなのに、それでもやっぱり吸いたくなるのかと思って、さっそく持ち出し用リュックに煙草とライターを加えました。

2004/10/30
鮭の柚庵焼き、レンコン汁
 柚庵焼きは酒、味醂、醤油、柚の皮のすり下ろしを混ぜた汁に鮭を漬けて焼いただけ。レンコンのすり下ろしを出汁に入れるとからだが温まるので寒いときにオススメ。きょうの浮きみは油揚げと舞茸。
 ヤッター!「銀座開化事件帖」の単行本用原稿が今日ようやく完成。明日は天気がよければ亀族館にでも出かけたいところだが、考えてみればこの季節のカメはもう寝てる。

2004/10/29
鯖の回鍋肉(ホイコーロウ)
 フジテレビで見た妙な料理。鯖に薄力粉をつけて火を通したものとキャベツ、ネギ、ピーマンを炒め併せて味噌、生姜とニンニクのすり下ろし、ハチミツ、味醂で調味する。鯖は粉をつける前に5分ほど塩水につけて臭みを取るのがポイント。油は胡麻油を使う。キャベツは炒めだしてすぐ塩をふると少ない油でしんなりする。

2004/10/28
牡蠣のトウチジャン炒め
 定番メニュー。ニンニク、生姜、ネギのみじん切りとトウチジャンで牡蠣を炒めて酒、醤油、鶏ガラスープで味を調える。水溶きカタクリでとろみをつけ茹でたチンゲンサイにからめて出来上がり。

2004/10/27
芋煮
 QPが山形の郷土料理だといって紹介したメニュー。里芋と白コンニャクを水で煮て、牛肉を加え砂糖、酒、醤油でシンプルに味付け。最後にネギをフタするようにどっと加える。要するに肉じゃがの里芋バージョンといったところだが、シンプルな味付けのわりにはイケル。むちゃくちゃアクが出るのでこまめに取り除くのを覗けば肉じゃがよりも早くできていいかもしれない。水煮のときに塩をひとつまみ入れるのがポイント。

2004/10/26
鯖の一夜干し、コンニャクの味噌田楽、納豆
 食欲が戻ってからちょっと過食気味だとは思っていたが、今日ジムの体重計を見てかなりショックを受け、今晩はこうしたメニューに相成りました。

2004/10/25
豚肉と白菜とエリンギのオイスター炒め
 QPで見たのは小松菜だったが、私はきのうの残りの白菜を使った。なにせ小松菜は異常な高値だし、葉野菜は一枚たりと無駄にできない昨今である。豚もも肉は生姜汁と酒で下味して片栗粉をつけて炒めるのがポイント。オイスターソース、酒、醤油のシンプルな味付け。白菜でも十分いける。
日本シリーズはなんと西武が優勝!ペナントでセパ両リーグ共に1位のチームが優勝できなかったという意外な幕切れは、今年何かとごたついたプロ野球界にふさわしいものといえそうだ。それにしてもこれで優勝チームのオーナーが逮捕なんてことになったらどうするんだろうと思うような堤のワルモンぶりであった。
 

2004/10/24
寄せ鍋
 スラッシュの守部さんが例年三茶で行われる大道芸フェスを見にあらわれて、夜は日本シリーズが見たいのでわが家で鍋にする。今宵は調子イマイチながら松坂がよく踏ん張っての西武辛勝。やっと男になれた大チャンであった。

2004/10/23
豚肉と根菜の香味煮
 前に何かで見た料理を想いだしながら適当に作る。生姜とニンニクのみじん切りで豚肩ロース肉のブロックを炒め、そこに大根、人参、レンコン、ジャガイモを加えてさらに少し炒めて出汁、酒、砂糖、醤油、味醂、塩少々で味付けして圧力鍋で煮る。野菜はもう当分根菜しか食べられないのかしらと思うくらい台風の影響で葉野菜が高い!と思ったら今日の地震である。小泉よ、もう自衛隊を海外に出してる場合じゃないゾといいたい。

2004/10/23
ワタリ蟹のスパゲティ、クネルほか
 ミュージカル通である内山さんのお薦めを受けて青山劇場で「ビッグ・リバー」を見た帰りに近所で食事。聴覚に障害のある人たちの劇団デフ・シアターがミュージカルを上演すると聞けばとても意外な気がするけれど、これが恐らく健常者ばかりで上演するよりもはるかに感動的な舞台に仕上がっているのではないかと思わせた。デフの役者による手話と健常者の歌が入り交じったかたちで進行する流れは実にスムースで、これは見ていないひとに説明するのが難しいが、稽古というよりよほどの訓練を重ねないとあそこまでスムースにはいかないだろう。サウンドは全編ディキシーとゴスペルのいずれも実に懐かしい感じのするオールドファンションな曲調であった。題材はマークトウエインの「ハックルベリーフィンの冒険」で、私は子どものころ世界少年少女文学全集か何かで読んだこのお話がとても好きだったという憶えがあって、それが見てみたいと思ったきっかけでもある。内山さんに言わせると「ハックルベリー」は米国文学史上において非常に重要な意味がある作品なのだそうだが、舞台はあくまでもエンタテインメントに徹した作りでFREEDOMを希求する人間を肯定的に描いてゆく。主人公ハックは自らがFREEDOMを希求するからこそ黒人奴隷ジムに共感を覚えるいっぽう、自身がどこにも留まることが許されないという孤独をも余儀なくされる。それを受け容れてFREEDOMに徹するのがハックの身上でもある。アメリカ人はその文学や映画を見るに、FREEDOMと孤独が表裏一体であることを皮膚感覚的に知っているような気がするし、片や日本人は逆に一見どんなに西洋的知識を身につけているひとでもそのことが皮膚感覚的にわからないのではなかろうかと疑うことが多いのだが(私は日本人のそこが大変苦手なので社会生活が営み難いのですが)この「ビック・リバー」の主人公ハックの孤独は手話を使って表現されることでよりいっそう純化される趣きがあるような気がした。もっともこれは演じた男優の素晴らしい表現力によるところも大きいのだろう。劇中ミュージカルで歌っているはずなのに、一瞬すべての音が消えて手話だけが歌を奏でるシーンは実に感動的で、人間の表現力とは何かということを改めて考えさせる好舞台であった。

2004/10/21
イベリコ豚の生ハム、イカ墨のリゾットほか
 幻冬舎の姫こと木原さんと渋谷のスペイン料理店「サン・イシドロ」で会食。シンプルな味付けだが素材がいいのか何を食べても美味しい店だ。駅にも近くていいが、小さな店なので常に予約満杯のようである。押尾コウタロウにハマッタ姫はコンサートの追っかけに散財してついに自らもギター演奏にチャレンジ!何であれハマルというのは楽しいもので、そのむかし歌右衛門や文楽の吉田玉男の追っかけをしていた私は今や人モノにはさほどの興味が持てなくて、ひたすら亀の追っかけでハワイ、バリと海外に出かけている。なんとか体力のあるうちにガラパゴスにも行ってみたいものである。

2004/10/20
おせちの見本
 台風のニュースを見ながらお正月のおせちを食べるというのも変なもんだが、例年この時期になると実家の「祇園川上」から無事に着くかどうかの実験で送られてくる。かくして今晩は早めの夕食となった。
 ハッキリ言って美味しい。料理屋の娘に生まれたことをこんなときだけは有り難く思う。
 というわけで、少しこの場を借りて宣伝をさせて戴く。今年は日本橋の高島屋でも限定販売することになり、川上直送分の数を少し減らすので、ご注文はお早いめにとのことである。写真(クリックすると大きくなります)は川上直送分で例年通りお値段は2万円。ちなみに高島屋で売り出す分は5万円とのこと。
 ご注文はTEL075−561−8578 担当加藤まで。
 

2004/10/19
ジャガイモのお焼き
 QPで見た料理。すり下ろしたジャガイモに卵と塩を加えたもの(ジャガ2個に卵1個の割合)を生地にして、具は青唐辛子の小口切り、ちりめんじゃこ、煎り胡麻と実にシンプル。表面はかりっと焼けて中はもっちりした食感。酢醤油にラー油を足したタレで食す。

2004/10/18
網焼き、鮭チップ、落ち鮎の薫製ほか
 光文社のおふたり「ジャーロ」編集長の秋吉氏、「小説宝石」の深草千尋さんと「隠や」で会食。秋吉氏とお目にかかるのは2度目で、深草さんとは初対面だが、流行りの「ダ・ヴィンチ・コード」について等々色んな話をして結構楽しませて戴いた。

2004/10/17
イカと山芋の豆板醤炒め
 スーパーのパンフで見た料理。豆板醤、酒、砂糖、醤油で味付け。インゲンと山芋は別に火をを通すこと。山芋には焦げ目がつくらいじっくり炒めるのがポイント。素材に味があるのでシンプルな味付けでもおいしい。
 今日は久々の素敵な日曜日で(天気の話だが)朝から掃除洗濯をめいっぱいして、夜は日本シリーズ第2戦で、あーあ、あまりにも予想通りに大輔の自滅を見てしまいました。

2004/10/16
椎茸のペペロンチーノ
VISAカード配布の雑誌で見たレシピ通りに作ったが、思ったより手間のかかる料理である。ニンニクと椎茸のみじん切りと鷹の爪をオリーブ油で炒め白ワインで煮詰めてソースにする。パスタはカッペリーニ。これとは別に小松菜と椎茸の薄切りを炒めて混ぜ合わせ、カリカリに炒めたちりめんジャコと大根下ろしをトッピングしてレモン醤油をかける。
 食べながら日本シリーズ西武VS中日戦を見ていたら、途中で審判のとんでもない不手際で試合が中断し、食べ終わってあと片づけが済んでもまだ揉めている。そもそもは審判のミスで中日の落合監督が抗議し、判定がひっくり返ったから今度は西武の伊藤監督が怒りだし、おまけに途中で審判が場内説明を行った際にまるで西武の伊藤監督が文句をつけてて試合が中断してるようないい方をしたのでは伊藤が激昂するのも無理はなく、こじれにこじれて、結果、審判が自分たちのミスを場内でお詫びをして再開した。こんな事態を見たのは初めてで、審判に公式謝罪をさせた伊藤の粘り腰はちょっとした見ものであった。

2004/10/15
揚げレンコンとピーマンと豚肉の甘味噌炒め
 QPで見た料理。素揚げしたレンコンとピーマンを豚肉と炒め合わせて赤味噌、砂糖、酒、味醂、醤油で味付けするだけだが、レンコンを少なめの油でしかも低い温度でじっくりと表面がしわしわになるよう揚げるのがポイント。炒め合わせるときはニンニクと鷹の爪を加える。レンコンのもちもち感が美味しい。

2004/10/14
ナシゴレン、豆苗と長芋の和え物
 バリのスーパーマーケットでゲットしたナシゴレンの素で作る。和え物はフジテレビで見た料理。薄切りにした長芋と湯がいた豆苗を胡麻油とラー油で和えて塩で味付けするだけ。

2004/10/13
豚肉と大根と大豆の焼酎煮
 QPで見た料理。写真が一昨日の料理と同じようになってしまってゴメンナサイ。テレビではスペアリブを使ったが、たまたまスーパーになかったので豚バラのブロックにした。肉に醤油をつけて香ばしく表面を焼いてから煮るのがポイント。焼酎はたっぷりワンカップ入れる。黒砂糖(ないので私は赤砂糖にしたがそれでも十分)と味醂、醤油、塩少々で味付け。大豆は水煮缶でOK。

2004/10/12
ハッシュドビーフ、アボガドのサラダ
 お茶の稽古で帰りが遅くなったので志村夫人から戴いたHオークラの缶詰ですませる。

2004/10/11
鶏手羽元と大根の煮物、アボガドの刺身
ニンニクと生姜を入れた胡麻油で鶏肉と大根を炒めてから煮るというのがスーパーのパンフで見たポイント。酒砂糖醤油で味付け。鷹の爪も忘れずに。パ・リーグのプレイオフ西武VSダイエー戦を見ながら食事。いやー、こんな面白い試合をしながらパが観客を集められないのって何故って感じ。

2004/10/10
タラと茸のホイル蒸し、煮豆
 味付けは塩胡椒酒のみ。茸はエノキ、シメジ、舞茸。柚を絞って食す。煮豆は市販のもの。

2004/10/9
えぼ鯛の干物、白菜と揚げの煮物、もずく
 久々の純和食でわが家でご飯を炊くのも十日ぶり。炊飯器がぐつぐつするにつれてなんだかイイ匂いが漂ってくる。なんと十日前の松茸の残り香にびっくり。国産恐るべしである。

2004/10/08
ポトフ
 胃腸はほぼ復調したが、あまりの寒さに今晩のメニューはコレになった。具材は定番のジャガイモ、人参、キャベツ、ソーセージのほかゴボウと格安のホワイトアスパラ。それにしても日本列島はどうやら天災モードに突入したようだ。留守をしてるあいだに結構大きな地震があったらしいし、明日は台風が関東に上陸するとかいってるのを聞くと、幸いちょうどイイ間に帰って来たことになる。

2004/10/07
チーズ、クラッカー、ベジタブルスープ
 早朝に帰国して、まずは亀の世話をお願いしていた近所の大島さんに連絡をとって一緒に昼食。夜になっても相変わらず食欲は戻らないが、留守中に島崎夫人から頂戴していたHオークラ製のスープとチーズ、クラッカーを食べると美味しさは感じる。要するに胃腸の動きが不活発になっているのだろうから徐々に復活を待つしかない。

2004/10/06
プリン
最終日の今日は4時間半に及ぶマッサージ&エステを満喫するも、やはり一向に食欲は戻らずなんと夕食はホテルでプリンだけを食べて飛行機に乗り込む。一応朝食や昼食は軽く取っており、軽く取ったチャプチャイとかソトアヤムとかのインドネシア料理がどれも実に上品で美味しい味付けなので悔しくてたまらないが、無理はしないでおいた。こんど来るときは絶対にたらふく喰ってやる!という誓いも新たに帰国の途へ。写真はホテルの部屋から見た景色。バリ寺院。そして最後はホテルでお気に入りだった亀の噴水が並んだプールサイドです。

2004/10/05
バナナ、オレンジほか
 きょうは丸一日タクシーをチャーターしてウブド周辺を観光する予定で、朝の10時から夜の10時まで日本円にして6千円弱という破格の値段でトム・ロビンス似の運転手と交渉成立。旅行社を頼むとこの3倍は優にとられるところだ。ところが朝になって彼がもう一人別の男性を伴ってホテルにやって来たのでさすがにギョッとする。が、これが丸顔で目のパッチリした昔のマンガに出てくるような南洋のひとで、そう悪い人物とも見えない。今の日本だと恐怖心を抱いてお断りしたところだろうが、先にも書いたように、バリの男性はいざとなれば蹴散らしてしまえそうなほど気弱な感じなので、ままよと同行を承知したところ、結果的に大正解となった。
 マンガさんは観光大学で日本語を学んだというだけあって、日本語で冗談を交わせる程度に堪能で、要するにガイド役として同行してくれたかたちである。ふだんはちゃんとした観光会社に勤めている妻子持ちの男性で、オフシーズンの今は暇なので友人のロビンス君に付き合ったらしい。日本語をさらに習得したいという彼なりの魂胆もあったようで、料金は最初の設定通りでいいといったが、男性ひとりをまるまる12時間も拘束してしまって何もしないのは申し訳ないので、お支払いの際にこちらからほんの少しばかり、日本円にして千円ほどの上乗せをさせて戴いた。こんなふうにうまくいけば、なまじ旅行社を通すより直に
タクシーと交渉したほうが断然お得である。
 それにしても日本はこれから観光立国を目指すなんて脳天気にいってるが、実状がいかに大変なものかはこのマンガさんの行動やオフシーズンで閑散としたショッピング街を見てもわかるというものである。とにかく観光というアナタまかせの仕事がすべてになってしまった結果、バリで見た男たちはだれもがやさしくて愛想がよくて気弱である。クタ海岸にジゴロが出没するのは無理もないといった感じだ。片や女性たちはいずれも気がきついしっかり者といった感じに見受けられた。おかしいのは旅行者までもが、これは洋の東西を問わず、女きつめで男気弱といったカップルばかりが目につくことで、エステ目当てとおぼしき女性だけのグループも大勢いて、ホントこの島はまさに女のパラダイスなのだ。
 ウブド周辺はまず棚田で有名な地域を見てまわり、次にさまざまな美術館や工房を覗いてまわった。曼陀羅美術から派生したとおぼしきバトウアン様式というこの島独自の絵画は一見の価値ありで、個人的にも優れた画家が過去に何人かいる。ただし現在工房で大量に生産(という言い方が当たっている)されつつある絵画の大方は土産物品の域を出ていない。これも芸能と同様にやはり観光化のなかで堕落していったものと思われる。
 美術館や金銀装飾品、木彫り工房をめぐるあいだ、またカフェで簡単な昼食を取ったりしているあいだ、ロビンス君とマンガさんはまったくこちらの邪魔をせず外で待機して、こっちは数千円の出費でバトラーとお抱え運転手付きのマダム状態だった。
 この島では工芸や絵画も破格に安いとはいうものの、モノが作れるひとはまだいいのかもしれない。モノを作れなくても芸能をしてるひとはいいし、またマンガさんのように語学堪能なひとも仕事が得られるからいいのである。バイクに乗って走り回ってる男たちや、自動車が猛スピードで往き交う路上に立って新聞を売る少年、猿に帽子やメガネを盗らせて金を稼ごうとする人びと、いずれも世渡りはなかなか大変そうである。たまたま日本なんて国に生まれたおかげで、私のような人間でも結構いい目が見られたりすることについて、なんだか深刻に考えさせられてしまった。メガネを猿に盗られて5万ルピアよこせとふっかけられたときは実に法外だと怒ったが、日本円にすれば600円そこそこに過ぎない。私がつまらない小説を書いて戴いている原稿料だって彼らから見れば法外だろうし、私の原稿を受け取ってる編集者の給料なんて超法外もいいとこで、またその編集者諸氏にいわせればウチの会社には生きてること自体が法外なひとが沢山いますというかもしれない。ああ、世界はもはやだれにも救えないのである。
 クトウ村の寺院では毎週1回火曜日の夜にバリスダンスの第一人者が率いる舞踊団が公演しており、ここが現在トップクラスだという評判を「地球の歩き方」で読んで見たくなったので、最後にマンガさんたちにここへ案内してもらう。たしかにガムランの迫力からして相当なもので、旅行者でさえも襟を正してというか、ぴんと張りつめた空気のなかで上演される。私はバリダンスを実際に目にするのは今回が全くの初めてなので何もコメントできないが、故武智鉄二師なら「やはり海洋民族の腰の動きですねえ」と仰言るかもしれない。どことなく沖縄舞踊に似て、それでいて妙に歌舞伎の荒事の動きによく似ていて、京劇にも共通するところはあるけれど、目や手の動かし方はインドのカタカリに一番近い気がするし、タイの舞踊なんかも近いのだろう、要するにアジアの舞踊である。団員はすべて芸大出身者というだけあって、技術的裏打ちのしっかりした実に端正な舞踊や演奏を披露してくれる集団ながら、芸能が本来もつ猥雑さは微塵も感じさせない。つまりは東音会の長唄といったところだが、ゴメンナサイ、このたとえが通じるひとは少ないかもしれない。
 バリ芸術を腹一杯満喫したこの日だが、やはり本当の食欲のほうは一向に回復せず、ホテルでウエルカムフルーツを食べて寝る。

2004/10/04
ソトアヤム
 体調はいまだ芳しからざるなか、ここに来て念願のウミガメは見たし、あと一体何を見ずに死んだら心残りだろう?体裁にとらわれず、この際自分自身に正直になって考えてみようとしたら、それは結局ヒンズーの寺院でもなければ、バリの古典舞踊でもなく、バードパークで飼育されているコモドドラゴンだった。というわけで、わざわざタクシーをチャーターして見に行ったコモドドラゴンは思ったよりも穏やかな顔立ちでなかなかのハンサムなので、お好きな方はどうぞ写真をクリックで大きくしてご覧ください。
 あとどうしても体験したかったのは、島の最西端に建てられたウルワツ寺院において日没を望むことだったので、運転手さんには半日お付き合い願うかっこうとなった。
以前、拙著「奴の小万と呼ばれた女」のなかでも触れたが、日本古代の四天王寺は西海に臨む絶壁に建てられ(土地がどんどん埋められた結果、現在は大阪市のかなり山手寄りの位置になる)、そこで夕陽を眺めて西方の極楽浄土を想い浮かべる「日想観」という仏道の修行が貴族のあいだで大流行した。思った通り、それが流行した理由に私はここウルワツ寺院で大いに納得がゆく。何もない水平線に沈みゆく日輪が海上に走らせる黄金の道は荘厳の一語に尽きて、ひとはその向こうに神や仏や彼岸、極楽を見ずして何を見るのだろうという気持ちにさせられる。バリの夕景ではタナロットのほうがきれいな寺院のシルエットで有名なようだが、ここの絶景も必見に値する。
 ただしイタズラする猿には要注意。私はメガネと帽子を別々に盗られて往生した。猿が盗るとそれを取り返してくれるのはいいが、法外な金を要求する男たちがいる。どうやらその男たちが猿に盗らせて金を得る仕組みのようだ。最初はめんくらうが、断固NO MONEYを宣言すれば意外と簡単に撃退できる。バリのこうしたタカリは小ずるいが気が弱いので全然怖さを感じない。ウミガメを触らせたり、猿を使ったりして金を巻き上げるのはあまり上等な暮らしぶりとはいえないが、人間なんなりとして金を稼がないと生きてはいけない世の中にしてしまったのだから、日本人があれこれ申すのもどうかと思う。世界は今やだれにも救えない。ただ自分なりに用心して世の中を渡るしかないのである。
 トム・ロビンス似の運転手はわりあい信頼の置ける人物に見えたので、明日も丸一日チャーターを予約してホテルに帰着。スパでマッサージをしたのち、ルームサービスでヌードル入りのチキンスープを注文。食欲はやはりまだない。

2004/10/03
絶食
 朝から猛烈な吐瀉に見舞われて全ての予定をキャンセル。何か食べたものがあたったというよりも、昨日少々風邪気味のところにもってきて、海に浸かってお腹が冷え、さらに夜フルコースをめいっぱい食べたのが祟ったのだろうと思う。かくして終日ホテルでほとんど寝て過ごすはめに(トホホ)。が、ホテルの敷地は広大でラグーン状のプールと周辺には無数の四阿(あずまや)が建てられており、そこで涼しい風に吹かれて海外ミステリーを読みながらうつらうつらするのも悪くはなかった、というよりサイコー!でした。夜はスパで過ごす。

2004/10/02
アヤムブンブメンタ、サテエンポル、アヤムゴレンほか
 バリには「男」か「神」を求めに行くもので、アナタのように「亀」を求めに行くというひとは聞いたことがない!と友人に呆れられたが、私が今度のリフレッシュ旅行先にバリを選んだのは、何を隠そうインターネットで「亀の島」を検索してバリとプーケット近辺がヒットしたからにほかならない。というわけで、ホテルのプライベートビーチを散歩してたらボート屋が声を掛けてきたので早速その島に行ってみることにする。
 PBは地続きでボートをシェアして借りることになったのは隣りのホテルに泊まっている女性3人だった。見るからにインド人なのに、こんなに日に焼けたといって自慢してるのがヘンだと思っていたら、ロンドンから18時間かけてやってきたインド系英国人であることが判明。3人とも結構フレンドリーな連中で、やたらと話しかけてくるので語学力の衰えが激しい私はあたふたした。日本人は若く見えるせいもあるのだろうが、こちらがNO HUSBANDだと言ったらどうも自分たちと同じくらいの年齢だと思ったらしく(本当は私の娘であってもおかしくないくらいの若い女性だと思うが)、次の日は一緒にパラセーリングやジェットスキーをしないかと誘ってくれる。パラセーリングくらいはしてもいいと思ったのでOKする。
 念願の「亀の島」は亀のほかにも大コウモリやらニシキヘビやらを触らせたあげくに寄付してくれといって金を取る余り質のよくない観光島だが、私はアカウミガメの子どもが抱けたので大満足であった。
 夜はJTBのオプショナルツアーでケチャックダンスを鑑賞。団体旅行客に見せるためのケチャなぞどうせたいしたものではなかろうと思っていたが、案の定ダレダレの雰囲気で芸能の堕落した姿にうそ寒い思いをさせられる。そもそも技術とかでなくトランス状態そのものをストレートに感じさせる原初的な芸能だったであろうから、観光化されることで何よりもその真髄が喪われたであろうと想像される。鑑賞後は近所のハイアットHでインドネシアフルコースを食するが、これは悪くなかった。全体にあっさりめの上品な味付けにしてサンバル(薬味)で自分の好みの味に調節する食べ方は日本人に合う気がする。

2004/10/01
機内食
 午後4時のジャンボ機で一路バリ島へ。深夜にデンパサールの空港に着き、そのままヌサドアのホテルに入って就寝。機内が寒くて少し風邪がぶり返した感アリ。

2004/09/30
焼き鳥、釜飯ほか
 新潮社の小林さん、佐野氏、楠瀬氏、スラッシュの進藤さんと近所の「かまどか」で会食。
 お世話になった佐野氏が「小説新潮」編集部から文庫に移動になられ、代わって担当してくださることになった楠瀬氏と初の顔合わせ、並びに「銀座開化事件帖」の単行本化の件で小林さんと打ち合わせ。
 バンザーイ!これでやっと明日から一週間のバカンスでバリ島に参ります。

2004/09/29
里芋の揚げ煮、茄子の味噌炒めほか
 世田谷パブリックシアターで佐藤信演出石橋蓮司主演の「リア王の悲劇」を見た帰りに近所の総菜屋でゲット。
 美術的にも、音楽的にも、何よりも演技面でどういうレベルで揃えようとした演出なのかが皆目つかめず、けっこう苦痛に満ちた3時間半だった。ご覧になる予定がおありの方は覚悟をしておかれたほうがよい。それにしても午後3時の公演だったからなのか、高齢者の観客があまりにも多いのにビックリした。日本人はマゾっぽいから、年を取ると自虐的にこういう芝居を見たくなるのだろうかと思った次第。

2004/09/28
焼き松茸、土瓶蒸し、松茸のすき焼き、松茸ご飯
 きょうは私の誕生日で恒例の松茸パーティである。毎年お二人くらいをお招きするが、今年のゲストはスラッシュの進藤さんと守部さん。マネージメントをお願いしてる進藤さんは意外にも今回が初参加であった。

2004/09/27
タラコ豆腐、れんこんのキンピラ
 タラコ豆腐は色んな作り方があるけれど、今日はスーパーのパンフで見た超簡単レシピを紹介。酒を多少利かせた湯で煮た豆腐を味醂を加えたタラコで混ぜて醤油を垂らすだけ。

2004/09/26
黒酢豚ほか
 銀座数寄屋橋の画廊で河竹登志夫先生と松竹の大沼さんの二人画展を見たあと、松屋の食料品売場でおかずをゲット。
 歌舞伎の世界では著名なお二人だが、画業のほうも素人はだしで河竹先生は風景画を得意としてペンスケッチに味わいがあり、大沼さんは色鉛筆だけで描いたとは思えぬ立体感のある静物画を得意となさっている。絵はがきを買おうと思っていたら、最終日のきょうはすでに売り切れで残念だった。河竹先生ご本人、大沼さんの奥様とお嬢様にお目にかかった。知ってる人を親子で見るといつもDNAってやっぱスゴイなあという気持ちにさせられる。
 最終日のきょうは関係者が多く、大沼さんが学生時代に家庭教師をしていたという中村勘九郎もしっかり姿を見せていた。もちろん中にはフラリと入って来るひともいるわけで、受付に河竹先生の最新著作が並べてあるのを見て、「ここになんで歌舞伎の本が置いてあるのですか?」と尋ねたご婦人がいた。受付の女性が得々として「この河竹先生という方は河竹黙阿弥の子孫なんですよ」と説明したのにはちょっとビックリ。そういう紹介の仕方って、歌舞伎をあるていど知ってるひとにしか通じないのではなかろうか。

2004/09/25
いかジャガ
 先日フジテレビで見た料理。ジャガイモ、人参、コンニャクを出汁、砂糖、酒、醤油でしっかり煮ふくめる。イカは最後に入れてさっと火を通すていどで柔らかく仕上げる。別にTVで紹介するほどのこともない平凡な料理だ。

2004/09/24
サンマご飯、茄子とミョウガの味噌スープ
 QPで紹介した料理というよりも食べ方。塩焼きしたサンマのほぐし身とネギのみじん切りを混ぜ合わせて酒、醤油で味付けしてご飯にのせて食べる。カボスも忘れずに。茄子とミョウガは薄切りにして胡麻油で炒めてから味噌汁にする。

2004/09/23
レンコンのパングラタン、アスパラとコーンのサラダ
 QPで見た料理。ニンニクのすり下ろしを入れたオリーブ油でベーコンとレンコンとバゲットをしっかり炒め、そこに生クリームとチーズを溶かし入れたあと、またチーズをトッピングしてオーブンで表面を焼けば出来上がり。実に簡単にできたが、食べてみてあまりの高カロリーっぽい味わいにシマッタ!と思う。このところ少し食事を控えめにしていたので、まあ、よしとしよう。

2004/09/22
秋鮭の南部焼き、ミョウガの玉子の吸い物
 久々のQP料理。塩・胡椒・酒・醤油でしっかり下味をした鮭に溶き卵をつけ胡麻をまぶして焼く。たっぷりめの油を使って低い温度でじっくり火を通すのがポイント。付け野菜は万願寺の青唐がらし。

2004/09/21
野菜カレー
 おなじみのポトフ明けメニュー。
 それにしても今さら一体どういうつもりだ!と怒髪天を衝く今日の蒸し暑さであった。10月1日から一週間の休暇を取って南の島に旅行するつもりなのだけれど、この分だと別に日本にいても同じなのでは……と言われてしまいそうである。

2004/09/20
ポトフ
 もう食欲は完全に回復してるのに、大量に作りすぎてしまったから仕方なく昨日の残りを食べる。それにしても今日はもう彼岸の入りだというのに、この蒸し暑さはどうだろう。今夏の気象異常がこれまでに起きたものよりも凄い天災の前触れでないことを祈るのみ。

2004/09/19
ポトフ
 朝はまだ微熱があるようだったが、午後2時ごろから猛烈にお腹が空きはじめて、風邪が通過したのがわかった。極めて単純なカラダである。で、4時にはもうガマンできなくて夕食をとる。

2004/09/18
パンプキンスープ
 これはただの肩こりではあるまいと気づいたのは朝だった。頭痛が昨日よりひどくなって吐き気もおさまらず、連載小説の大詰めを書こうとしても集中力が持続しない。ふたたび寝て起きたらこんどは黄水を吐く始末。猛烈に寒気もする。とにかくこんどは起きてられない状態で、喉や鼻はなんともないが、風邪にちがいない。
 一昨日お茶の稽古に出かけるので地下鉄に乗ったら、この季節に珍しくゲホゲホ咳をしてる見るからに身体の弱そうな青年がそばにいて、ああ、嫌だなあと思ったけど、露骨に席を立つのもどうかと思ってガマンした。冬場は風邪ひき人間を徹底的にサベツする私なのに、うっかり仏心(?)を出したのが失敗でした。昔とちがって、今はふだんほとんど家の中で仕事をしてるせいで、免疫力が低下してるのだと思う(もちろん年齢のせいもあるだろうけど)。
  で、また暖かくして寝て夕方4時ごろに目覚めたら、ようやくからだが起こせて、原稿もひと通り書けるようになっていた。バンザイ!これで今週のノルマはなんとか果たせたかっこうで、明日の日曜日は亀有の「カメ展」を見に行くつもりだったが、ゆっくり休もうと思っています。

2004/09/17
キャベツとツナの酒蒸し
 朝から偏頭痛と肩こりがひどく吐き気を催して、マッサージとサウナを試みたがまだ治らない。で、どうもキャベツが食べたくなってコレになる。レシピは前に記したのでカット。

2004/09/16
お好み焼きほか
 お茶の稽古の帰りに友人と食事

2004/09/16
刺身ほか
 お茶の稽古の帰りに友人と食事。

2004/09/14
鶏肉のイタリア風煮込み
 フジテレビで見た料理。鶏もも肉に塩胡椒でしっかり下味をつけてオリーブ油で炒め、玉ねぎも加えて炒めたあとに白ワインを入れて煮詰める。トマトホール缶と電子レンジで過熱したジャガイモ、マッシュルーム(テレビではオクラも)を加えて煮込み、塩胡椒で味を調えて仕上げにバジルの葉をちらす。シンプルだが飽きない味だ。これだけシンプルだとバジルの味が活きるので欠かさないようにしたい。

2004/09/13
海鮮ちぢみ、豆モヤシのスープ
 ちぢみは市販のキットで作る。豆モヤシは少量の水と塩でひとまず蒸して甘みを出したのちに、炒り子だしでさっと煮て、塩胡椒胡麻油で味を調えるのがQPの教えるポイントでした。

2004/09/12
栗ご飯、鰺のたたき、昨晩の肉じゃが
 大家さんから「孫が栗拾いをして参りまして」といわれて頂戴したびっくりするほど立派な栗をさっそくご飯に炊き込んだ。私は仕事場住居兼用で小さなビルのワンフロア(といっても70平米ほどだが)を借りているが、地下と一階はテナントが入っていて、住んでいるのは独り暮らしの大家さんと私だけなので、何かと頂戴することが多い。
で、このHPをずっとご覧戴いている方にはちょっと意外かもしれないが、栗ご飯を炊いたのは今日が生まれて初めてで、皮がもっと簡単にむけると思っていたら、えらく難渋して、渋皮と一緒に自分の指の肉を削り取ってしまい、ドバッと出血して、とんだ血染めご飯!になるとこでした。日ごろから私が如何に不器用な人間かをよくご存知の方は、やっぱしねえ、とお笑いください。結局おかずは作れなくなって、鰺のたたきは近所の魚屋で買いました。

2004/09/11
イタリア風の肉じゃが
 オリーブ油を使って炒め、仕上げにルッコラを入れるだけで、あとはふつうの肉じゃがと同じ。別に私が冗談でこしらえたわけではない。ちゃんとフジテレビで紹介したレシピである。

2004/09/10
いさきのアクアパッツァ、ペペロンチーノ
 QPで見た。アクアパッツァとは「狂った水」という意味で、要するにスープもワインも使わずに真水だけで魚をぐつぐつと煮込む料理だそうである。で、実際にやってみると、ええっ、こんなに簡単にできるの!ってな感じでけっこう深い味が楽しめる。まずニンニクを入れたオリーブ油で塩胡椒したいさきを炒め、ケッパー、アスパラガス、プチトマトを加え、水(できればミネラルウォーター)をどぼどぼ入れて強火でしっかり煮込む。塩胡椒とオリーブで味を調え、隠し味で醤油をたらし、仕上げにオリーブ油を垂らす。

2004/09/9
イカとチンゲンサイの香味ダレ
 先日のQPで見た料理。イカとチンゲンサイとエリンギを茹でて、胡麻油、生姜のみじん切り、鷹の爪、砂糖、酢、醤油を合わせて熱したタレをかけて食べる。
 この三日間、食事時にこんな気色の悪いものを放送する神経ってどうなの?と思いながら、NHKBSが放映する「エイリアン」3部作を見ながら食事。3本とも劇場で見てるし過去のTV放送を見てるにもかかわらず、また見てしまったのだから、やはりこのシリーズが好きなのかもしれない。3本の監督がそれぞれ違ってるからテイストにもかなり違いがあって、好きずきだと思うけれど、今夜放送された、世間的にはイマイチ評判の悪かったエイリアン3を私は個人的に結構気に入っている。同じフェミニズムぽい作りでも、エイリアン2がJ・キャメロンらしい母性神話に則ったストーリー展開であるのに対して、3はそれを全く裏返しにして見せるあたりが憎い。エイリアンを妊娠しちゃったヒロインが生まれてきたその胎児を強引に抑えて溶鉱炉に身を投げるラストなんてのは実にメタフォリカルでかっこいい感じがした。それにしてもシガニィウイーバーって女優は髪の毛を伸ばしてるときより頭を丸刈りにしたほうがずっと色っぽくなるのだからおかしい。なまじロングよりショートカットにしたほうが色気の出る女性っているもんだけれど、だからといって私がそうだといってるわけではないので、そこんとこ誤解がないように、よろしく。

2004/09/08
中華風ナポリタン
 フジテレビで見た料理。具材をトウバンジャンで炒め、鶏がらスープを加えるというのがミソ。別にまずくはないけど、だからなんだっていう感じで、トウバンジャンがタバスコの代わりになるというだけのことです。具は玉ねぎ、アスパラ、冷凍のシーフードミックスと実に簡単。

2004/09/07
茄子とインゲンの田舎煮
 QPで見た年配者向きの料理。要するに茄子とインゲンを炒めて煮干しと一緒に甘辛く煮るだけ。煮干しは面倒でも頭と内蔵を取ること。茄子は茶筅状に切り込みを入れておく。炒めるときに鷹の爪を忘れずに。出汁を取るための煮干しだが、こうすると食べても美味しい。
青山円形劇場のシス・カンパニー公演「ママがわたしに言ったこと」は個性派揃いの女優陣、脚本の選定ともども女性プロデューサーらしい佳品であった。淡い恋で男性と結ばれて幸せな一生が送れたかに見える祖母(木内みどり)の世代、戦後に生きて恋愛も仕事も積極的につかみ取りながら夫との破局迎えた母(渡辺えり子)の世代、未婚の母となって仕事に生きる娘(大竹しのぶ)の世代、母を喪って育つ孫(富田靖子)の世代。四代に渡る母子を通して母性とは何かを問いつつ、そこに時代の移り変わりを極めて濃厚に意識させるドラマ作りはキャリル・チャーチルを彷彿とさせて、いかにもイギリスらしいお芝居である。ただしキャリル・チャーチルほどの毒気はなく、錯綜した場面構成を除けば平凡なストーリーに終始する気がしなくもない。だが、まあ、ここらあたりが意外と高い年齢層の観客との折り合いの付け方でもあろう。

2004/09/06
韓国風麻婆豆腐
 QPで見た料理。コチュジャン、砂糖、酒、醤油、スリゴマを混ぜ合わせたタレで味付けする。豆腐は賽の目切りにしたあと電子レンジで3分温めて水気をきるのがポイント。ニンニクと生姜のみじん切りを入れた油で先に肉を炒め、火を止める直前にネギのみじん切りとニラの小口切りを入れる。ほの甘さのある味加減がなかなか美味しい。

2004/09/05
イカとイクラのスパゲティ、アスパラガスのマヨマスタード添え
 レシピは不要だろう。彩りだけを考えたメニュー。

2004/09/05
イカとイクラのスパゲティ、アスパラガスのマヨマスタード添え
 レシピは不要だろう。彩りだけを考えたメニュー。

2004/09/04
幕の内弁当
 佐野氏からご連絡があって、きょう中に着くはずだと思ってずっと待っていたゲラがいつまでたっても届かないので、夕方には国立演芸場に出かけてしまい、夜に帰ってきてもまだ届いていない(怒)というのだから、郵政民営化は急がれるべきである!
 で、演芸場には桂文我と「伝の会」のジョイントということで出かけたのだが、文我はいうまでもなく桂米朝事務所の大島さんがマネージメントしていて、杵屋邦寿・鉄九郎の「伝の会」はこれも古くからの友人小野木氏のマネージメントによるもの。しかし、まさかこんなとこでは誰にも会うまいと思っていたら、ナ、ナント集英社の八代さんとバッタリ。八代さんは文我と面識があったそうで、世間て怖いほど狭い!と思う昨今である。
 さほど江戸落語に詳しいわけでもないが、こんな飛躍が多い落語って江戸にあるの?とビックリさせられたのが歌舞伎のパロディもかなり混じる「龍宮界龍の都」という上方落語。かなりのお勉強ぶりが窺える文我の芸だったが、個人的にはジョイントの芸づくしでみせた義太夫版「犬のお巡りさん」のほうが勉強がこなれて感じられた。この芸は義太夫を知っている人には相当おかしい。
 杵屋邦寿と鉄九郎の本業はもちろん長唄の三味線弾きなのだけれど、、あんたらいっそ漫才師になったらと言いたいくらいの絶妙のボケとツッコミで、三味線の腕前よりもむしろそちらを評価したいといったら、本人は怒るだろうか、いや、怒らなさそうである。ともあれ笑いの点でへたすると文我が圧されぎみにも感じられるくらいオカシナふたりであった。

2004/09/03
骨付き仔羊のソテー、焼き茄子とトマトとモッツェラチーズのサラダ
 松竹に勤務していた頃、大変お世話になった澤田さんのご自宅をお訪ねして、御妹さんと姪御さんとご親友の三人ばかりで営まれたお通夜に顔を出させて戴き、帰りにプロヴァンスに立ち寄って独りで食事をした。
 澤田さんは私に初めて骨付き仔羊の美味しさを教えた方であった。ほかにも教わったことが山のようにあるが、ここには書けない。心よりご冥福を申し上げるばかりである。

2004/09/02
牛肉とオクラのネギ塩焼き
 QPで見た料理。酒醤油胡椒で下味をつけた牛肉とオクラをネギのみじん切りと炒め合わせて塩でシンプルに味付け。オクラは酒蒸しで火を完全に通す。ネギを入れたらすぐに火を止めるのがポイント。焼き肉屋でよくネギタン塩を注文する方には是非ともオススメしたい。

2004/09/01
ホタテとキュウリと玉ねぎの中華風和え物、鶏手羽の甘酢煮、豚肉と茸の焼きそば
 和え物は胡麻油、塩、トウバンジャンだけの味付け。鶏手羽は水と同量の酢で煮込んで砂糖、ケチャップ、醤油で味付けし、玉ねぎ、椎茸、オクラを足して塩と酒少々で仕上げる。フジテレビで紹介した暑い日にもってこいの料理。オリジナルの焼きそばは以前レシピを記したので省略。この秋(11/20,21)丸ビルで招聘公演するインド「カタカリ」のVTRをプロデューサーの塚田さんが持参しての会食。カタカリはインド・ケララ州に15,6世紀から伝わるいわば日本の歌舞伎のような芸能で、今回は塚田さんが「インドの歌右衛門」と絶賛の女形を招聘して、中村時蔵とのレクデモなども用意されている。Vを見る限り、顔は歌右衛門というより原節子といった感じで、様式の中にリアルな人間味を感じさせる女形。公演が楽しみである。
 もう30年からの付き合いとなる塚田さんは先月の誕生日で大台に乗り、どっと胸に来るものがあって、気力が萎えがちだという話を、一年先輩の私はわかるわかるとうなずきつつ、お互い仕事の愚痴などを言ったり聞いたりしているうちに完全に夜が明けてしまった。この年で完徹できるのだから、なんだかんだいってもお互いまだ元気なのでしょう。

2004/08/31
五十六カレー、ツナとアスパラとレッドビーンズのサラダ
 前に仕上げていた原稿をきょう入稿するつもりで読み直してガク然とし、朝から手直しを始めて、夜になっても一向にらちが明かず、さすがに呑気に料理を作っているどころではなかった。猛暑のさなかに書いていたのでどうやらボケていたらしい。いつもは余裕をもって〆切を迎えるのだが、今日ばかりは大慌ての一日でした。

2004/08/30
茹で茄子と豚肉とインゲンの梅オカカ和え
 QPで見た料理。これは簡単にできてヘルシーなオススメメニューだ。シャブシャブ用の豚肉、茄子、インゲンを茹でて、いずれも食べやすい大きさに切っておく。茄子は茹であがったらすぐに冷水にとってぎゅっと水気を絞ってから切る。豚肉は酒入りの湯でゆがくと風味づけになる。
練り梅、ハチミツ、味噌、醤油を合わせたタレに混ぜ込んで最後にオカカを加えて出来上がり。

2004/08/29
混ぜ寿司、小松菜と桜エビの炒め物、ナメコ汁
 お寿司の具は輪島産のふりかけ(ちりめんじゃこ、鮭、モズク、胡麻のミックス)、小海老、甘酢生姜、しめじの甘煮、卵、大葉。

2004/08/28
牛肉とエリンギと卵のすき焼き風炒め煮、小松菜と桜エビの炒め物
 2品ともレシピを書くまでもない簡単な調理で、写真を載せたのはただ青、赤、黄色がそろったからです。
 エリンギを酒に浸して卵と合わせて食べるとボケや鬱病の防止になるという話であるが(ああ、またしても、みのもんた……)、別にそんなこととは関係なく茸類はすき焼き風にして食べると美味しい。桜エビは実家から輪島産のものが大量に送られてどうしようかと思っていたら、スーパーのパンフで疲れ目にいい料理として小松菜と一緒に胡麻油で炒める調理法が紹介されていた。味付けは塩のみ。

2004/08/27
ラーメン&餃子
 歯医者に行った帰りに、珍しくラーメンが食べたくなって、安いラーメンの割にいい味だと友人に聞いていた店で食事。帰ってきてすぐに野菜ジュースでビタミンを補充。こんなカンタン安上がりの夕食は久々だといえるくらい、私は毎晩どん欲に喰っとるのである。仕事の〆切を控えていると言ったら、結局歯医者は治療をせずにクリーニングだけして帰してくれた。歯のクリーニングはしてもらうとスッキリはするが、やられている間は別に痛んでもいなかった歯がチリチリして、何だか寝た子を起こされるような気分になります。

2004/08/26
カツオとインゲンの胡麻味噌煮
 QPで見た料理。超カンタンの煮物。出汁、酒、砂糖、味噌、醤油をあわせたものでまずインゲンを煮て、生姜の薄切りをたっぷり加え、刺身用のサクを適当に切って煮込むだけ。最後にスリゴマをたっぷり入れる。今は戻りガツオが旬で安くで手に入るからオススメ。

2004/08/25
イカと黄ニラの炒め物、とろろかけご飯
 私にしては珍しく昨日使い残した食材を利用した料理である。イカは赤イカを使ったのが失敗だったが、ネギと生姜の千切りで油に香りづけして塩胡椒でシンプルにした味付けは悪くなかった。大和芋のすり下ろしには出汁をかなり加えてのばさないと重くなる。

2004/08/24
お好み焼き
 自家製で、具はキャベツと黄ニラとイカ。大和芋のすり下ろしをたっぷり加えてふわっと仕上げた。黄ニラは安かったので入れてみた。
 で、長島ジャパンVSオーストラリアの試合を見ながら食事。金メダルどころか、準決勝での敗戦にボーゼンとしている関係者が多いのではなかろうか。ソフトボールの試合でも思ったが、ピッチャー頑張ってんだから、バッター打ってやれよ(怒)って感じで、なんだかよほどのプレッシャーがあるのか、9回裏であのオレサマ城島が弱気になってバントをする姿にはビックリしてしまった。ストライクゾーンが違うとか、トーナメント方式に馴れないとか色々あるんだろうけど、セパ両リーグ併せて現時点でベストの布陣での敗退は、プロ野球界にショックが大きいだろうと思う。こんなことならお祭り男の清原とか、あの目立つところでしか打てない新庄をチームに入れときゃよかったんじゃないのかしら。それにしても、星野仙も言ってたけど、今度のオリンピックは個人種目が健闘しているわりに、団体競技が軒並み振るわず、日本人のメンタリティも相当変わってきたような気がしました。

2004/08/24
黒胡麻担々麺ほか
 世田谷パブリックシアターで進藤さん守部さんと野村萬斎のトーク&パフォーマンスを見た帰りに近所で食事。
 相変わらず立ち見も出ての超満員で第5回目を迎えた「MANSAI解体新書」のゲストは   TBSのディレクターとして名高い鴨下信一氏と浪曲界の旗手国本武春で、主に日本語の発声について考えるというコンセプトで展開された。 
 鴨下氏はイントネーションの乱れなどはどうでもいいが、最近のアナウンサーで一番気になるのは子音の発音が不明瞭な点で、たとえば「梅雨時」が「冬時」に聞こえてしまったりするのを挙げて、とにかく早くたくさんしゃべろうとするために抑揚や間合いが乏しくなった結果、日本語のイメージ喚起力が乏しくなってきたことを指摘された。さらに「紅い薔薇」「白い薔薇」としゃべるときに「紅い」「白い」語を強調するのは品のない幼稚な芸で、いい役者の上品な芸は「薔薇」のほうのいいまわしを微妙に変えてその違いを表現するものだとの指摘もまた実にごもっともであり、情報的、説明的ではない言葉の使い方が「芸」に望まれるのは何も舞台ばかりでなく活字の世界にもまた十分いえることではある。その指摘を受けた萬斎は父であり師匠である野村万作からも「お前のセリフはどうも説明的に聞こえる」と注意を受けるが、それはやはり観客に対する信頼感とも多分に関係する問題だと応えていたのが印象的だった。これまた活字にも言えることだからである。   
 で、メインパフォーマンスは宮沢賢治の「雨にも負けず」を狂言と浪曲で演じ比べてみるものだったが、意外に両者の強調する点や流れの作り方は非常に似ていて、両人共に詩自体に内包された日本語の韻律をきちんと汲み取っているのが明瞭にわかって面白かった。
 きょうの萬斎はひどくお疲れ気味で全体にテンションが低かったのだが、この人はそのほうが自意識過剰の感じが薄まって好感がもてる。いっぽうの国本武春は、どの業界にもこうしたスポークスマン(歌舞伎ならさしずめ勘九郎か)っているんだなと感じさせる才人で、別に芸をたっぷりと披露してくれたわけではないが、濃厚な存在感を発揮して楽しませてくれた。この企画は毎回ゲストの人選がいいのに感心させられるが、次回の白石加代子VSにも大いに期待したいところであります。

2004/08/22
牛肉とズッキーニの韓国風炒め物
 だいぶ前に何かで(たぶんQP)ちらっと見た料理。ズッキーニは薄切りにして先に炒めて取りだしておく。牛肉をタレに浸け込んで炒めるのがポイントだったと思うが、味付けは忘れたのでコチュジャン、ニンニクのすり下ろし、砂糖、醤油、酒、胡麻油、スリゴマを適当に混ぜた。タレに浸け込んだ肉を炒め、春雨を入れ、ズッキーニを戻して出来上がり。
 今月は〆切を3本抱えて、昨日で2本済ませたのでちと気がゆるんで、イケナイイケナイと思いつつTVを見狂ってしまう。オリンピックもさることながら、大昔の故田宮二郎が主演した「白い巨塔」の再放送にすっかりハマってしまった。つい最近ヒットした唐沢寿明主演に比べると俳優陣がみな渋いオトナだが、さすがフジのドラマだけあって思ったよりマンガっぽくエンターテイメントしているのにはビックリした。佐藤慶の主演で最初にTV化されたときはTBS系か日テレ系か忘れてしまったが、こんな甘ったるい、マンガぽい作りではなく、もっと原作に近くて怖い雰囲気が漂う社会派のドラマだったと記憶する。佐藤慶主演のTVが大好評を博した後に映画で田宮二郎が主演すると決まったときに、当時はええっ、全然似合わない!と非難囂々だった記憶もある。田宮二郎は当時なんといっても「悪名」で勝新太郎の子分を演じたのが一番よかったような本来チンピラ役の男優で、医者を演じるようなイメージは全くなかったのである。映画からすぐにではなく、しばらく経ってTVで主演した直後に自殺したはずで、そう思って見るとラストシーンはたしかに鬼気迫る表情だった。で、昼間にこれを見て、今また宇津木ジャパンが辛勝して準決勝に進んだのを見て、今晩遅くに始まる女子マラソンもきっと見ちゃうんだろうなあ。

2004/08/21
麻婆茄子、煮豆
 前にもレシピを載せたので省略。煮豆は市販のもの。
 京都の実家の近所にある「八百伊」の漬け物が近所のスーパーで売ってたのでビックリして思わず買ってしまう。このスーパーは聖護院蕪やら鹿ケ谷カボチャやら実にマニアックな京野菜も売ってたりするので、京の食材に何かよほどのこだわりがあるのだろう。それにしても京都産は値段が高くて、水菜などは埼玉産の二倍以上の値段をつけて売っている。「八百伊」の漬け物もほかと比べて相当に割高で、私のほかに買う人なんているのかしらと思ってしまうが、このスーパーがここまでこだわって売ってるところを見ると、京の食品はブランド化して買っちゃう人が結構いるのかもしれない。で、今年は実家の「川上」も日本橋の高島屋に頼まれて限定20食でおせちを売り出すそうだが、値段はどんと高くして売ってもいいのかも。
 

2004/08/20
五十六カレー、アスパラとコーンのサラダ
 五十六カレーは幻冬舎のヒメこと木原さんがお盆休みで新潟に里帰りした折に見つけた珍品のおみやげとして送って頂いたもの。かの真珠湾攻撃で指揮を執った連合艦隊司令長官の山本五十六元帥にちなんで、五十六種類の素材を使った長岡ニューオータニのオリジナル食品で、舞茸とかが入っていてなかなかの美味だった。
 ちなみにわが実家には山本五十六の書が大きな額に入れて飾ってあり、写真もある。父が彼の大ファンで、別にウヨクとかじゃなくて、当時ではごくふつうのヒーローとして彼に憧れ、海軍兵学校の受験までした人である。おかげで私も阿川弘之の「山本五十六」という伝記小説も読んだし、三船敏郎主演の映画も見てるし、彼の癖が逆立ちすることだったり、日米開戦が御前会議で決定した夜に彼が薔薇の花束を抱えて愛人のもとに行ったという話なんかも知っているのだった。日米の開戦には最後まで反対していて、愛人に会うと必ず「この戦は勝てない」といったそうである。当時からダンディーな人として知られていたようだが、愛人にあてた手紙も残っていて、それを読むとなかなかキュートな男性だったということがわかる。今は第2次大戦のあたりまで時代小説の範疇に入っているらしいと聞くので、だれかがこのひとと愛人の話を書けばいいのにと思って、このHP上で編集者諸氏にお知らせする次第だ。

2004/08/19
鶏肉の甘辛炒め
 フジテレビで見たオーソドックスな料理だが、濃い味付けが暑い日にはもってこい。具はほかに長ネギ、ピーマン、椎茸。鶏肉は下味して片栗粉をつけて先に炒めいったん取りだす。ニンニクと生姜のみじん切りと豆板醤を入れた油であとの具材を炒める。味付け用のテンメンジャン、砂糖、酒、醤油、水溶きカタクリは予め併せておくといい。

2004/08/18
ズッキーニの醤油炒め、冷や奴、鮭缶
 この期に及んでの猛烈な残暑できょうはさすがに料理をする気になれなかった。ズッキーニはニンニクと鷹の爪を入れた油で炒め、醤油でシンプルに味付けし花ガツオをトピングして食べるのが実に簡単で美味しいのでオススメする。
 で、野球の予選リーグをテレビで見ながら食べたのだが、昨日のキューバ戦に勝利してほっとしたのも束の間オーストラリア相手に苦戦してるようでどうする長島JAPAN!!!本来アマスポーツの祭典にちと大人げないのではと思うようなプロのスター級をズラリと揃えた陣容で挑んで、これで「金」が取れなきゃ野球離れが加速する一方だろう。長島が倒れ、ナベツネも辞めちゃったし、来年は1リーグだか2リーグだかもわからないし、今年はついにプロ野球終焉の年となりそうで、40年来のファンとしては心配である。

2004/08/17
ベジタブルチキンの辛みソースかけ、ペペロンチーノ
 フジテレビで見た料理。さっぱりした味わいのチキンソテーでオススメしたい。塩胡椒で下味した鶏胸肉は表面を十分に炒めてからワイン蒸しにしてジューシーに仕上げるのがポイント。さっと湯通ししたモヤシ、パブリカとキュウリとミョウガの薄切りを併せてトッピングの野菜とする。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油にじっくり火を通し、塩で味付けしてソースにする。要するにペペロンチーノと同じソースである。

2004/08/16
大トロの刺身、ミョウガと玉子のお吸い物、アスパラガスの胡麻和え
 今日は本マグロが安いよ!という売り声につられてつい買ってしまった。お盆休みで休店の多いこの時期の東京では、高価な魚介もきっと手に入りやすくなる仕組みだろうと勝手に納得した。
 で、ソフトボールの日米予選に熱中しながらの食事。中学生のころにソフトボール部に所属してたこともあって、公式種目になる以前から宇津木ジャパンを応援している。ぶすっとした感じで淡々と投げる高山樹里の味がたまらない。今日は7回まで無失点に抑えながら延長戦でアンラッキーが重なって敗戦を喫したが、決勝リーグでは是非とも勝ってほしいものである。
 

2004/08/15
タコの落とし揚げ、ビビン麺
 QPで見た料理。たこ焼きの揚げ物バージョンと思えばいい。大和芋をすって卵、出汁、薄力粉と合わせて塩で味付けし、そこに蒸し蛸、万能ネギ、紅生姜を細かく刻んで混ぜたものを揚げる。最初は油を高温に保って表面をカリッとさせてから少し火を弱めてじっくり揚げるのがポイント。レモンを絞って食べる。ふわふわした食感が美味しく、見た目よりもイケル。酒のおつまみにもオススメ。ビビン麺は先日やった通りでレシピはカット。

2004/08/14
鱸のソテー
 刺身用のサクを買って塩胡椒の簡単な味付けでオリーブ油でソテー。レモンを絞って柚胡椒を薬味にして食す。付け野菜はツルムラサキとトマト。いよいよオリンピック開幕で女子バレーを見ながらの食事。ブラジルって女子バレーのユニフォームもカナリアなんだ……などと下らないことを考えてしまった。

2004/08/13
茄子と豚肉とピーマンの味噌炒め
 QPで見たのだけれど、こんなのいつでもやってるというような料理なのでレシピはカット。味噌は甘く調味すること。豚と茄子をじっくり炒めてから調味した味噌を入れて最後にピーマンという順番。

2004/08/12
茄子と高野豆腐の煮物ほか
 アメリカ在住のモリこと古沢加代子が久々に帰国して踊るビジュアルこと高野富士子と一緒に三宿の「正(ごかく)」で会食。
 モリのダンナは外務省勤務、踊るビジュアルは翻訳家で共に海外に強いおふたりである。私は今の雑誌連載が一段落したら久々に海外旅行をするつもりで、VISA推奨のラスベガス六日間\77000というバカ安のツアーに心惹かれているという話をしたら、やっぱアメリカに行くならN.Y.にすればーといわれ、でもまだだったら一度はベニスとフィレンツェを見とくのもいいわよー、頭を休めに行くんだったら南の島でニューカレドニアかタヒチよねーてなわけで、どんどん話が広がって結局どこに行くか決められないままに別れてしまいました。

2004/08/11
トホホ
 人間生きて、食べて、毎日料理をしてると、人生最悪と思えるような不幸にも見舞われてしまうのである。今日はまたまたQPで見た、具だくさんの蟹玉を作ろうとして準備万端整い、いざフライパンを火にかけ、ボウルを取ろうとした瞬間に手がすべって、中身をすべて流し台にぶちまけてしまった(泣)。で、仕方なく具の入っていないただの卵焼きに中華風のあんかけをかけて食べました。

2004/08/10
ビビン麺
 QPでは素麺を代用したが私はちゃんと韓国冷麺で作りました。紹介されたツケダレは簡単に作れてオイシイのでオススメしたい。まずコチュジャンをたっぷり、そこに砂糖、酒、醤油、おろしニンニク、ネギのみじん切り、レモン汁、すり胡麻、胡麻油を合わせて練り上げる。具の蒸し鶏は下味をつけて電子レンジで酒蒸しにするといい。

2004/08/09
牛肉と夏野菜の炒め煮、ペペロンチーノ
 昨夜の食べ過ぎで胃拡張になってしまったのか、きょうは昼からやたらにお腹が空いてQPで見た料理をさっそく作って見ました。
にんにくを入れた油で牛肉と茄子、玉ねぎ、カボチャ、トマトの順番で炒めてケチャップ、砂糖、醤油、塩胡椒で薄く味付けして20分以上弱火で煮込み、最後にピーマンを入れて少し煮れば出来上がりという簡単な料理で、ラタトイユの東洋版ともいえる。野菜から水分がかなり出るので煮込むときに加える水は最小限に抑えるのがポイントだ。

2004/08/09
代官山タブローズ
 エッちゃんこと吾妻徳弥の祝芸術院賞受賞パーティに参加。幹事は勘定奉行こと中村京蔵と舞踊家の吉村古ゆう両氏で、ふたりとも前に一緒に食事したときに身内だけで簡単なパーティをやりましょうと盛り上がってたので、そうだとばかり思っていたら、歌舞伎役者のB.Mやら日本舞踊F流の宗家やら元宝塚トップスターのM.Sなんかも来ちゃうという(別にイニシャル匿名にするほどのことではありませんが)けっこう業界ノリの立食パーティだったが、こっちはいつものメンバーで参加していたから気楽なもので、PM8:00から12:00までただひたすらフレンチを喰いまくった。さすがに食べ過ぎて苦しく、今夜はなかなか眠れそうにありません。

2004/08/07
焼き茄子、焼き油揚げ、胡麻豆腐、しらす干し、メカブ
 ああ、なんてストイックな食事だろうとわれながら感心してしまうが、たくさん食べたから結局なんにもならない。妙に大根下ろしが食べたくなって、油揚げをさっと火に炙ったのとしらす干しにつけて食べる。

2004/08/06
担々麺ほか
 蜷川演出の「お気に召すまま」を文春の内山さんと埼玉芸術劇場まで見に行って帰りに三茶で食事。
 シェークスピアの喜劇はどれもこれも頭の中でごっちゃになってて「お気に召すまま」もたしかロザリンドという女性が男装してまわりが混乱する話だったよなあ、だけどその手の喜劇はほかにもあったしなあ……という記憶くらいで見たのだが、今回の蜷川演出では目から鱗が落ちたように新鮮なドラマとして堪能できた。ちょうど私たちの後ろでご覧になっていた翻訳者の松岡和子さんですら「今回蜷川さんのおかげで、私はやっとこの芝居がどんな芝居かわかったのよ」と涙ぐんでおっしゃるくらい、本当に戯曲の深みを改めて感じさせる、好い舞台に仕上がっていたと思う。ただし舞台装置はあまり感心せず、ラストで巨大な福助の道具幕があらわれたのには仰天。こ、こりゃ何じゃと見るばかりで、客席の笑いを狙ったとしたら完全にスベッタ感じである。
 今回この戯曲は蜷川によって一口でいうと「恋愛をめぐるディクール」として上演されたのだった。つまり道化的な人物を含め登場人物のほとんどが恋愛についてなにがしかのスピーチをしている芝居なのだという点が非常に強調され、しかも全員男優で演じられるために、セリフが抽象化されて歯が浮くようには聞こえないという絶大な効果もあった。とくにダサイ羊飼いのシルヴィアスが自らの切ない恋情を訴えるくだりは大石継太の好演もあって胸を打たれ、この役がかつてこんなにも大きく扱われる演出なんて恐らくなかっただろうと思われた。肝腎のロザリンドとオーランドの成宮寛貴、小栗旬ともに不器用でお世辞にも巧い役者とはいえないのだけれど、だんだんと魅力的に見えて、せりふが切実な響きをもって聞かせられたのは演者、演出家ともにお手柄といえるだろう。ほかにシーリア役の月川勇気も妖しげな雰囲気の好演。役者作者の分身とされるジェイクイズの役をフィーチャーしたのも今回の特色で、この役を演じた高橋洋はオイシイ好演であり、ファンの内山さんは頗るご満悦の様子であった。

2004/08/05
ブリの照り焼き、茄子の味噌汁、アスパラガスの練り胡麻和え
 スーパーで京都産の天然ブリと銘打ったものが売られていて、ホンマカイナと思いつつ買ってしまう。今晩はごくふつうの和食でした。

2004/08/04
トマトあんかけ焼きそば
 QPで見た珍品だが結構オススメしたい。
 まずセロリを、次にトマトを炒めてフライパンの脇に片寄せておき、あいたところに蜂蜜を入れて煮詰めてから一緒に混ぜてコクを出すのがポイント。鶏ガラスープと下茹でしておいたイカを入れ、塩、胡椒、醤油で味を調えて水溶きカタクリでまとめる。フライパンで表面を焼きつけておいた中華麺にかけて出来上がり。トマトの酸味がきいた夏向きの爽やかな焼きソバが味わえる。

2004/08/03
焼き鳥ほか
 テアトル・エコーで岡本蛍・作「星逢井戸命洗濯」を見た帰りに恵比寿で食事。
 宮崎アニメ「おもひでぽろぽろ」の原作者でもある岡本蛍は旧い友人で、そのむかし私が松竹に勤めていたころ、彼女がまだ駆けだしの劇作家で松山千春(!)の事務所でバイトしていたころに知り合った。もともとエコーで江戸物の戯曲を手がけていたが、今回は久々に古巣に戻っての書き下ろしである。このひとは日本橋生まれの江戸っ娘で、戯曲もそれらしいシャイなところがあって、それがある種のわかりづらさとなっていたが、さすがに劫を経た今日ではそうした難点も消えたようだ。深川の裏長屋を舞台に幽霊をめぐる奇妙な三角関係を軸にした長屋の人間模様がほぼ正調の江戸ゼリフで綴られて、これはこのまま歌舞伎役者が演じてもよさそうな佳品に仕上がっているが、江戸の言葉が正調に過ぎて、エコーの役者だとイッパイイッパイに演じてしまうのが惜しまれる。老いた若旦那役の納谷悟朗、ダメな大家役の熊倉一雄、船頭あがりの桶職人沖恂一郎の三人はいずれも実に芸達者で、蛍がこの三人にハメ書きしてその魅力を存分に引きだしているものの、対する女優陣のいただけなさは舞台上演に当たってけっこう致命的ともいえる。このひとの作品はもう少しメジャーな舞台で達者な役者を配して上演すればもっと評価があがるにちがいないと思われたこんどの舞台であった。

2004/08/02
海鮮サラダうどん
 フジテレビを参考に。具はレタス、玉ねぎ、海鮮を適当に(テレビでは鮪、イカ、ホタテ貝だったが、私は鮪、コチ、小柱にした)。タレは醤油、砂糖、味醂、胡麻油にニンニクと生姜のすり下ろしを加えて混ぜる。カイワレと胡麻をトッピング。冷麺のうどん版で簡単にできる。

2004/08/01
野菜カレー
 こないだ見損なったレアルマドリードの試合を見ながら食事。一口味見して、さあ腰を落ち着けてじっくり見ようとした矢先にジダンがあれよあれよという間にマジカルなゴールを決めて、その後もジダン様のプレイに感心しきりであった。裏番組で巨人阪神戦をやってるが、私がこっちを見てるくらいだから視聴率の差は歴然だろうと思う。巨人も兎に角あのオーナーを始末しない限り、人気の下落傾向に歯止めがかからないのではなかろうか。
 今晩のカレーの具はニンニク生姜のすり下ろし、玉ねぎ、ジャガイモ、人参、茄子、カリフラワー、トマト、オクラ、マッシュルーム、ソーセージと実に盛りだくさん。

2004/07/31
ワカモーレディップとパン
 近所の大島さんと遅めのフレンチ・ランチを摂ったので夜は軽く。先日作ったワカモーレにはまっている。

2004/07/30
パン1個
 昼間母親と一緒に食べた中華料理が響いた。
 きょう母が東上したのは整体協会の創立者(整体という造語をした人でもある)故野口晴哉師の妻昭子夫人の密葬に参列のためで、私も付き添って狛江の自宅に伺い、献花をさせて戴いた。今でこそ整体というと誰でも知っているけれど、故野口師はすでに関東大震災のころからその腕を振るい、夫人は終戦後に自殺した近衛秀麿の令嬢で、夫を助けて整体の普及活動に一生を捧げた人であった。
 うちの一家が整体協会の会員になったのは今から四〇年ほど前で、当時まだ整体という言葉は耳慣れなかったと記憶し、野口師の考え方の新しさやその予言は驚くべきものだったが、現代にことごとく当たっているのにもまた驚かされる。近年、野口語録がたしか「ちくま文庫」になったはずなので、もしご興味があればご一読をオススメしたい。

2004/07/29
刺身、網焼きほか
 勘定奉行こと中村京蔵と三茶の「隠や」で食事。
 大阪の海老蔵襲名公演から昨日やっと東京に戻ってきて、久々のご対面である。例によって幕内話やら芸談やら単なる悪口をアレコレ言い合いましたが、ここにはとても書けません。来月の13日からは真冬のオーストラリア・ニュージーランド公演に出発し、帰国の翌日にはまたすぐ名古屋の御園座公演に参加との由、歌舞伎役者もホントに大変な稼業だと改めて思う。

2004/07/28
アジア風温麺
 ベースはそうめん。具は豚肉、芝海老、キャベツ、モヤシ、プチトマト、出汁は鶏ガラスープと昆布だしに鷹の爪を加えて、レモン汁を絞りナンプラーで味付け。

2004/07/27
キャベツとツナの酒蒸し
 きのうは悪寒がして夏風邪かと思ったが、今朝は治まっていて5時から仕事をした。まだ相当手直しは必要だがなんとか1巻の完結編をランディングさせ、ほっとしてきょうまた別のマッサージにかかったところ、近年手がけたなかでは最高の肩こりだと言われてしまった。胃から食道にかけての裏側が異常なこり方で、これなら嘔吐するのは当然とのこと。ストレスとなる原因はたぶんここ2日で完結に持ち込もうとした小説のせいだろうと思う。別にたいしたモノを書いてるわけでもないのに、ヘボな操縦士は毎度着陸が大変でぐったりしてしまうが、こんどばかりは、ああ、小説を書くのって、なんてカラダに悪いんだろうと思ってしまった。てなわけで「面白くてアッという間に読んじゃった」なんて言われてもけっして褒め言葉にはならないのです。
 胃腸がやられたときは妙にキャベツが食べたくなるもので、ポトフだと長く煮込まなくてはならないので今日はコレにした。作り方は簡単で結構おいしいのでオススメ。キャベツとツナ缶と酒をたっぷり目に入れて塩を少々振って煮込むだけ。キャベツから水分が出るので水はあまり入れなくても大丈夫。

2004/07/26
絶食
 朝から頭が重くて妙な寒気が。食欲もなく仕事も早めに切り上げて近所のマッサージに行くと異常な肩のこりだといわれ、帰って横になったら猛烈な吐き気に襲われてお茶さえ吐く始末。やばっ、夏風邪か、と思いつつ、とにかく水だけ飲んで早めに寝る。

2004/07/25
鯛飯ほか
 友人を招んで食事。

2004/07/24
茄子と豚肉と筍の甘味噌炒め
 ネタに困ったらやる料理。テンメンジャンと砂糖、醤油で適当に味付け。きょうはミョウガも加えたので薄味に仕上げた。

2004/07/23
蒸し鶏のワカモーレソース
 今晩は久々に手がかかった料理。といっても作り方ではなく材料を手に入れるのに時間を費やしたのである。QP3分クッキングで紹介するくらいだから、ハラペーニョ(青唐辛子のピクルスみたいなもの)なんてどこでも手に入りそうに思ったが、結局それを求めて三軒茶屋中を歩き回るはめに(ああ!飽くなき食の探求……)。しかし手に入れた甲斐あって、ついにメキシコ料理が完成。暑い夏にもってこいの味なのでこのソース(ディップ)はオススメしたい。作り方は簡単。アボガドを潰してそこにハラペーニョ、玉ねぎとトマトのみじん切りを混ぜ込んで塩とレモン汁で味を調えるだけ。蒸し鶏以外になんでも合いそうで、トーストにのっけて食べても実に美味しい。蒸し鶏は下味をしてスープと白ワインで煮込んで冷ましてから食べるといい。

2004/07/23
鰺の干物、茄子と揚げの煮物、めかぶ
 32度で、ああ、なんて涼しくなったんだろう、と思えるのだから今年の夏は異常である。で、今日は逆に前日来の疲れが出たせいか、料理に取り組む意欲が湧かず、大家さんに頂戴した小田原産の鰺の干物で簡単にすませる。

2004/07/21
鰻丼、焼き茄子、ジュンサイ、
 今日は土用丑の日。ジュンサイはワサビ醤油で食す。

2004/07/20
中華弁当
 皆さーん大丈夫ですかー、具合悪くなってる人いませんかー、と呼びかけたくなる今日の暑さであった。昨年の冷夏が嘘のよう。そういえば昨年ヨーローッパを襲った熱波が今年はこっちへ来ちゃったのかも。
 そんなわけで本日は仕事もそこそこに、幻冬舎のヒメこと木原さんのお誘いを受けてNHKに出かけて参りました。ヒメが例のハマっている押尾コータローのBS公開録画にハガキ応募してバッチリに当たったということで、お相伴に与ったわけですが、本日のセッションの相手はわれわれ世代にとっては懐かしの伊勢正三で、「22歳の別れ」や「なごり雪」がナマで聞けるというオイシサがありました。それにしても伊勢正三って私より若干年上のはずだけど、声はいまだに若々しい!
 で、肝腎のコータロー君の見かけは伸びやかでキュートな好青年。トークも軽い。ところが軽い見かけに似合わず、非常に深みのある音を聞かせるギタリストといった印象です。今日は伊勢正三を立てて控えめに振る舞っていたので凄いテクニックを披露するというところまでにはいかなかったようですが、アコースティックギターの持ち味は存分に発揮した感じ。世代的にいうとギターオタクとネーミングできそうですが、伊勢正三が、こんな風に好きなことに純粋にのめって極めちゃう若い人っていいよねえ……と好意的に見ている感じが、伊勢と同世代の私には伝わって、ほのぼのした気持ちにさせられるセッションでした。

2004/07/19
ビーフカレー、オニオンスープ、アスパラガスとコーンのサラダ
 近所のスポクラでマシンに続けてプール、サウナと立て続けに汗を流したら急激におなかがすいて、とても料理どころではなくなり、お中元でもらった帝国ホテル製の缶詰で間に合わせる。

2004/07/18
めばるの煮付け、焼き茄子、胡麻豆腐
 時にはこういうごくふつうの和食もやる(当たり前だけど)という証拠に写真も載せておきます。
 煮付けの汁は昆布に酒、味醂、醤油、水を同量加えて
十分煮立たせてから魚を入れるのが生臭みを出さないポイント。煮汁には生姜の薄切りと下ゆでしたゴボウを加えるといい。茄子は焼く前に包丁で切れ目を入れておくと簡単にむける。胡麻豆腐は市販のもの。

2004/07/17
鶏肉とエリンギのバルサミコ煮
 前に何かのテレビで見た料理を想いだして作る。鶏肉は塩胡椒して皮目にきれいな焦げ目がつくまで炒めて取りだしておく。鶏から出た脂はふき取って新たにオリーブ油で玉ねぎとニンニクのみじん切りを色づくまで炒めエリンギを加えてさらに炒める。鶏肉を戻してバルサミコ酢をたっぷり、オレンジジュースと砂糖で味を調えて煮込む。本格風の濃厚な味が楽しめる。

2004/07/16
豚肉とキムチと納豆とオクラの炒め物
 フジテレビで前に見た料理。からだに良さそうなネバネバフードのオンパレード。納豆をからっとするまで炒めるのがポイント。オクラは塩で板ズリするだけで湯通しはしなくていい。酒と醤油少々で味を調える。

2004/07/15
鴨のコンフィ、焼き茄子とトマトのサラダほか
 幻冬舎のヒメこと木原さんと近所の「プロヴァンス」で会食。
 ヒメは最近アコースティックギタリストの押尾コータローに夢中で大阪までオッカケしたという。そんな話から音楽、演劇を問わず相当なライヴ好きと判明した。政治経済の堅い話だけが好きなのかと思ったが、別にそうでもないらしい。けれどもビックリしたのは小学校のときに親から薦められて読まされたのがなんと大江健三郎の「洪水はわが魂に及び」だとかで、それから「芽むしり仔撃ち」なんかも読んじゃったのだという。前にも進学や下宿の話を聞いてご両親の厳しい考え方に驚いた憶えがあるが、やっぱりココンチは凄いというかヘン!と改めて思った次第。

2004/07/14
焼きホタテの梅胡麻和え、青とうがらしとちりめんジャコの当座煮
 QPで見た料理。ホタテは火を通しすぎないように用心してサッと両面を焼き冷水にとってから切り分ける。ミョウガは薄い輪切りにして、これもサッと水にさらすのがポイント。青ジソは千切りに。練り梅、すり胡麻、ワサビ、酒、醤油、味醂をよく溶いたもので3種を混ぜ合わせる。夏向きのさっぱりした和え物としてオススメ。青とうがらしとちりめんジャコはさっと甘辛く煮ればいい。

2004/07/13
お好み焼き、焼きそば
 お茶の稽古の帰りに麹町の文字平で三村さんと食事。

2004/07/12
焼き鳥、串揚げ、釜飯ほか
 HP上で少し連載をしていた「大江戸亀奉行日記」を全面的に書き替えて絵本仕立てで出版してもらうことになり、角川事務所の原さん、村松氏、イラストレーターの中澤さん、スラッシュの進藤さんと近所の「かまどか」で会食。中澤さんは墨絵タッチの見本を何枚かご持参になって、この絵が結構オカシカワイイので、本になったら是非お買い求めください。モノがめでたい亀だけに、年末年始を目指した出版になりそうで、事前にHPでデモンストレーションをする予定。最初はHPでリニューアル連載をする予定でしたが、出版を控えてデモだけでご勘弁を願います。
 編集を担当してくださる角川事務所の村松氏は私が知るかぎり文芸出版ギョーカイきってのモノホンの二枚目(おまけに気だてもいい)である。だいたい私はこのギョーカイの男性編集者で、あいつはモテてるとかいう噂を聞くたびに、ええっあのひとが!こ、このひとが???と、ガク然とさせられるケースが多々あって、女性編集者ならびに女流作家の美的基準の低さに呆れ返るというか、気の毒に思っていたのだが、原重役ご推薦の村松氏は他のギョーカイでも十分に通用する二枚目と太鼓判を捺します。まわりの美女ぞろいの女性編集者にオススメしたいのだけれど、残念ながら妻子アリのお方でした。

2004/07/11
お茶漬け
 私は子どものころ自分がマッサージ師になって絶対にマッサージ師と結婚してやると親に宣言していたくらいの、異常な肩こり人間で、今でも肩を揉んでくれそうなひとならどんな相手でも「ねえ、一緒に暮らさない」なんて魔が差したように言っちゃいそうでコワイ。言われるほうがもっとコワイだろうけど。
 で、きょうは朝から猛烈な肩こりに悩まされて、近所のマッサージ屋に行ったりサウナに行ったりしたがなかなか治ってくれないし、気分が悪くてものも食べられない(それでも選挙にはちゃんと行った!)。
 原因はいつも眼の使いすぎだったりするが、きょうは昨夜アタマを使いすぎたせいだと思う。小説を書くのは飛行機と同じで離陸と着陸時が難しいが、2本の連載が着陸に近づきつつあるなか、ひとから薦められた本を読んでたら、急に全然関係のない次の作品の構想がむらむらと湧き始めて、となるともう一本予定しているほうも気になってきて、計4本のストーリーがアタマの中をぐるぐるまわってヒートしてしまったというわけである。
 夜になってようやくなんとか食欲が出てきて、今年もう最後になるかもしれないプロ野球のオールスター戦を見ながら食事。見始めてすぐ古田捕手が登場。ああ、こんな優秀な選手なのに……こういう人だから過酷な運命が見舞うのかしら、でも気の毒だなあと思って見てたら、こんどは新庄が登場。何も考えないでツーベースをかっ飛ばすご機嫌な彼を見て、ああ、この人って見てるとホント幸せそうでいいなあ、と思った次第。

2004/07/10
ツナとトマトと茄子のスパゲティ、アスパラガスの胡麻和え、パンプキンスープ
 レシピは不要だと思うが、茄子はオリーブ油で別に炒めて熱いうちに塩を振ったものをトッピングするのがオススメ。スープは某出版社からお中元で頂戴した帝国ホテル製。
 それにしても、こんどの参院戦は都市部はステだったのか?と疑うほど、街宣車に悩まされずに済んだのは有り難かった。本当にこの国の未来はどうなるんだろうと誰でも心配してそうなくらい政治家はドイツモコイツモひどいんだけれど、仕事がら過去の史料をいろいろと読んでいる身としては、歴史的視点からやはり現行の選挙における権利は行使しなくてはならないのだろうと思う。もっともシニカルな見方をすれば、議会制民主主義は近代に勃興したアングロサクソン人種が自分たちの趣味(?)を他民族に押しつけまくった結果であって、世界でこれが本当にうまく機能してる地域は案外少ないのかも…という気もするし、IT社会がこのまま進化すれば直接民主主義に向かうのがまた歴史的必然って気もするが、まあ一応、明日の選挙は行くつもりです。

2004/07/9
ホタテ貝とキュウリのピリカラ和え、高野豆腐入り炊き込みご飯、茄子の味噌汁
 ピリカラ和えはスーパーのパンフで見た料理。コチュジャン、赤味噌、砂糖、醤油、酢、ネギのみじん切りを混ぜたタレであえる。キュウリは塩で揉んでおくこと。高野豆腐の炊き込みご飯は、ああ、まてしても「みのもんた」である。味付けはごくふつうにして、生姜の千切りを混ぜて炊くのがポイント。削り鰹をトッピングに。暑さでバテ気味の脳にいいらしい。
 

2004/07/08
豚肉とミョウガの味噌マヨ炒め、キュウリとシソのサラダ
 もう結構な年齢のはずなのに、炒め物が多すぎるのではないかとこのHPの読者からクレームがついたが、ひとが何を食べようがホットイテクレといいたい。
 で、今晩もQPで見た炒め物だがコレはおすすめ。酒と醤油で下味して片栗粉をつけて豚のヒレ肉を炒め、ミョウガを加えてさっと炒めて味噌、マヨネーズ、味醂を混ぜたソースで味付け。ミョウガをたっぷり入れるのがポイントで、ぴりっと辛い感じが実に夏向きでいい。キュウリは切らずに叩いて青ジソと混ぜ、胡麻油、塩、胡椒でシンプルに味付けしていただく。

2004/07/07
鶏肉とアボガドのオイスターマヨ炒めほか
 新潮社の小林さん、スラッシュの進藤さんと一緒にさいたま芸術劇場でピナ・バウシュの新作「天地」を見た帰りに渋谷の居酒屋で食事。
 世界各国をモチーフにした新作を発表し続けるピナは今回は「日本」を舞台に興味深い作品を披露した。やはり日本というと真っ先に海が浮かぶらしく、鯨の尻尾をかたどった巨大なオブジェが舞台に置かれ、海中に潜って泳ぐイメージの振付が冒頭を飾る。写真好きやお辞儀好きといった実に使い古されてわかりやすいイメージも出てくるいっぽうで、最近の若い男女を意外によく観察しているふしも見受けられ、もったいぶる感じや衣服を着たときと脱いだときの違い、不眠や孤独といった日本のさまざまなイメージが「秩序と混沌」の大枠に沿って描かれてゆく。途中からは黒のホリゾントを背景に雪が降り続けてあたかも宇宙空間を想わせ、ひとりの男性ダンサーが天を見上げて穏やかに且つ力強く踊る姿は実に美しく印象深いものがあった。ラストで全員が次々とスピーディに登退場して激しくもリリカルな踊りを披露してゆくところはやはり圧巻。前から3列目で見たせいもあって、どれほど過酷な動きの中でもけっして重心がぶれることのないここのダンサーたちの技量の凄さに、私はまた改めて感じ入った次第である。

2004/07/06
イタリア風豚丼
 フジテレビで見た料理。玉ねぎスライスと笹掻きゴボウ、豚バラ肉を炒め、バルサミコ酢を入れて煮詰める。塩と黒胡椒で味付けし、胡麻油と煎り胡麻をかけて仕上げ、ルッコラを添える。バルサミコ酢を思いきって大量に入れて、酸味がとぶまでじっくり煮詰めるのがポイント。

2004/07/05
茄子と牛肉の梅干し炒め
 フジテレビで見た料理。昔は梅干しと牛肉は食い合わせが悪いとして堅く禁じられたのに、世の中も変わったもんだと思いながら作って見ました。茄子はオリーブ油とサラダ油を混ぜ出来るだけ少量の油で炒めてカロリー減をはかろう。牛肉は下味をして片栗粉をつけて炒める。梅干しを入れて炒め、紹興酒、オイスターソース、醤油で味付けし、仕上げに万能ネギをトッピング。すっきりした味わいで夏向きの炒め物である。

2004/07/04
チキン・サグワラほか
 両国の江戸博物館大ホールで上方落語の桂ざこば・雀々・南光の3人会を見たあと、岡野夫婦と日暮里でやってるペヨトル工房のイベントに行き、帰りに千駄木のインド料理店「ダージリン」に飛び込んだところ、この店がなかなか美味しい店だったのでオススメする。
 桂米朝一門の3人会は、いやーホンマひさびさに大笑いさせてもらいました。私はやはり根が関西人のせいか、昔からいわゆるセンチな芸よりも、自他ともに笑うてナンボ笑わせてナンボの芸を好む癖があります。なので友人の大島さんが歌舞伎俳優のマネージャーから上方落語家のマネージャーに転身したのは大歓迎。東京でコテコテの関西弁を生で聞けるチャンスは今でもありそうで余り無いだけに、チャンスは逃さないようにしている。ざこばお得意の奥さんネタのマクラで朝からのちょっとした偏頭痛はいっぺんに吹っ飛んでしまい、笑う門には福来るとは実によくいったものだと思いました。

2004/07/03
タコのトマト煮&スパイシーライス、鶏の照り焼き、アスパラとコーンのサラダ
 友人が遊びに来て一緒に食事。オススメはQPで見たタコのトマト煮&スパイシーライスで、米はバターと塩、砕いた黒胡椒を加えて炊いておく。タマネギのスライスと蛸を炒めて塩胡椒し、トマト缶とスープで煮込んで、仕上げに枝豆とバターを加えたものをライスに合わせて出来上がり。簡単にできる夏向きの地中海風ドンブリといった感じ。写真を撮り忘れたが彩りもいい料理だ。

2004/07/02
鰺の干物、茄子と揚げの煮物
 きのうカロリーオーバーに食べ過ぎたので今日は質素に。

2004/07/01
フォアグラのソテー杏ソース、生ハムとルッコラのサラダほか
 NHKの収録(放送日は7/17再放送24&26)で渋谷に出たついでにシアターコクーンで「プレイ・ウイズアウト・ワーズ」を観る。奇才マシュー・ボーン率いるダンサーたちの刺激的な舞台は文字通りのPLAY WITHOUT WORDS(言葉なき芝居)であって、部分的にわからない点も少しはあったけれど、概ね舞踊だけでストーリーはほぼ理解できる。そもそもバレエというものが音楽と踊りだけで単純なストーリーが展開できるのだから、その延長線上にあるものと考えてまちがいない。たとえば歌詞があるにもかかわらずストーリーが不明といった日本舞踊などを対極に置いて考えてみれば、これは完全に現代のバレエ以外の何ものでもないのである。ただしストーリー、というよりも設定はけっこう複雑で、イギリスの社会構造そのもの題材にして皮肉った内容であるからして、日本だとわかりづらい点がないでもない。
 イギリスはいまだに歴然とした階級社会であり、上流、中流、労働者階級が話す言葉や入るパブまで違うのは向こうに少しでも滞在するとすぐにわかる(なんちゃって以前わたしは英国に通算で3ヶ月くらい滞在して昭文社刊行のガイドブックを何冊か作ったことがあるのでした)のだが、この歴然たる階級差こそがこの舞台の最もドラマチックな要素といえる。上流階級の主人とメイドや上流婦人と労働者の性的関係が濃厚につづられるのみならず、主人と召使いの主従関係にそこはかとないエロチシズムを諧謔味たっぷりに匂わせるあたり、まさにマシュー・ボーンらしい子どもっぽい悪意に満ちた振付で大いに満足させられた。エロチシズムって一体なんだろうってふと考えたとき、両者の差異こそがエロの原点のように思えるし(だからごく単純な時代や人だと男女差だけでOKだったりするのでしょうが)、いっぽうで愛というのは両者の差異をできるだけ縮める方向へと進ませるものだったりするので、愛とエロの両立って本当のとこは難しいんだよなあコレが、なあんて舞台を観ながら思ってしまった私です。

2004/06/30
鰺の干物、生ラッキョウ、トマトと青ジソの和風サラダ、ミョウガと卵のお吸い物
 小田原のご実家に戻ってらした大家さんから本場の干物と併せて生ラッキョウをたくさん頂戴した。小さめの生ラッキョウは皮をむいて金山寺味噌につけて食べると美味しい。トマトと青ジソはQPで見た通り生姜をきかせた醤油ドレッシングで食す。

2004/06/29
担々麺ほか
 世田谷パブリックシアターで「エレファント・バニッシュ」の再演を見たあと近所で食事。
 サイモン・マクバーニーの演出は上演中にもどんどんと変えていくといわれるほどなので、今回の再演には期待していたのだが、その期待を大きく上回る本当に素晴らしい出来映えであった。初演を見た方にも再見をオススメしたい。台本の構成にもかなり手が加えられて、コンセプトが非常に明解となり、活字の「文学」以上に「文学」がきちんと伝わってくるという出色の舞台である。
 現代の日常に巣くう退屈という魔物と日常の延長にある死の恐怖という本来演劇では実に表現しにくいコンセプト、かりに描いたとしても見るに耐えないほど退屈なものになりかねない内容をかくもスリリングに舞台化できるマクバーニーの才能は、同時代に居合わせたことを幸せに感じさせてくれる。日常の延長線上にある「死」というものを描く点において、初演よりも格段にわかりやすくテンポもよくなっているのは歯医者の妻の話だが、「もう二度とここへは戻ってこない」人生の最期の瞬間を強烈な照明で観客に疑似体験させる幕切れは、通常の観劇で得られる感動以上の生理的昂奮と共に、原作者村上春樹をうわまわる演出家の強いメッセージを印象づけるものでもあった。とにかくこれは見ないとわからないので、お時間があれば是非ご覧になって戴きたい。

2004/06/28
タイ風春雨炒め
 フジテレビで見た料理。ニンニクと鷹の爪のみじん切りを入れた油で豚挽肉、下味してカタクリ粉をまぶした海老をしっかり炒めてから春雨を入れて、ナンプラー、砂糖、醤油、酢、胡麻油を合わせたタレで味付けし、最後にタマネギスライスを加えて、レモン汁をまわしかけ青ジソを散らして出来上がり。タマネギに火を通しすぎないようにしてサラダ感覚に仕上げるのがポイント。

2004/06/27
鮭のみそ漬けほか
 お昼にいつものメンバーで佐野美加(旧姓政田)ちゃんの出産祝いに伺う。美加ちゃんは結婚式場で「私は女40にして惑わずという気持ちでこのたび結婚を決意いたしました」と宣言して列席者を唖然とさせた元新潮社「フォーカス」の編集者である。母上は「ルパン3世」の峰富士子役で知られる有名な声優さんで、式場では新郎の友人が新婦をそっちのけで母上に群がっていた。出生率1.29人が話題になるなか、このたび42歳の高齢初産、しかもお定まりの帝王かと思いきや、自力で産んだというから驚きである。
 で、ご夫婦のパーツの組み合わせがよかったのだろう、本当にカワイイ!女の子のご誕生はめでたい限り。色白で目がパッチリ、赤ちゃんなのに手足が長くて将来はスタイル抜群の美人になりそうだ。それにしても人間って生まれつき不公平なんだよなと、私は他人様の赤ちゃんを見るたびに思ってしまうのです。ちなみに私は赤ん坊のときは平家蟹にそっくりだったと親にいわれております。

2004/06/26
鰯の揚げサラダほか
 歌舞伎座の昼の部を見た帰りに銀座の松屋に寄ってお総菜をゲット。
 お茶の阪本先生たってのおすすめで新海老蔵の「鏡獅子」を見る。つい先日いわれて、急に千秋楽のチケットまで用意して戴き、巷ではなかなか取れないチケットだと聞いているので恐縮した。今月の「鏡獅子」はほかからもいいという評判を耳にしていたが、噂に違わぬ上々の出来映えであった。近年になく、そっけないくらい媚びない舞いぶりは、この曲本来の福地桜痴・九代目団十郎コンビの狙いと合致したものとして高く評価できる。九代目のあとは六代目菊五郎が受け継いでいるので、たぶんこの名優によってかなりの愛嬌が加わったかたちで今日に伝わり、最良の後継者として現勘九郎の舞台があるように思うが、新海老蔵はそれとは別のかたちで本筋の芸と認めさせた。
 そもそも大奥のお小姓は御殿女中の幹部候補生であり、皆の前で踊りを披露することなんかありえないといって歴史考証家の三田村鳶魚翁なぞはこの「鏡獅子」という舞踊の存在そのものをカンカンに怒ってらっしゃる。が、こんどの新海老蔵を見れば少しはお怒りも和らぐのではないかと思うような、お小姓らしい気品が感じられ、とにかくごまかしをしない率直な潔い踊りであった。そういう点で、ふと京舞を彷彿とさせたが、九代目はそもそも京舞から二枚扇のくだりを学んだという話であるからして、もしかすると初演本来の姿に近いのかもしれない。とにかく戦後は人気演目となり、前半をごまかしだらけで踊って、後半は毛振りたくさんやればいいと思っている某優もあったりするので、久々に気持ちのいい「鏡獅子」に満足させられた。
 二幕目の「寺子屋」で泣けたのも久々のことで、仁左衛門の松王、玉三郎の千代、勘九郎の源蔵、福助の戸浪という今回の配役は近年のベストかもしれない。こうした丸本の型物では各自バラバラで独りよがりに演じるのが近年の悪弊である。ストーリーも今やさすがについていけないアナクロを感じさせるのが常なのだが、今回は松王夫婦なり、源蔵夫婦なりの人生がそれぞれしっかりと立ち上がってこちらに見えてくる。ギリシャ劇であれ、歌舞伎劇であれ、ストーリーがいくら荒唐無稽でも、演技者がきちんとテキストを踏まえて演じさえすれば、そこに普遍的な人間のドラマが展開することに変わりはないという当然のことを、改めてこちらに納得させた好舞台であった。
 子どもがいない源蔵夫婦と、その源蔵夫婦にたった一人のわが子を殺させた松王夫婦の皮肉な関係。非情と知って子どもを殺す決意をする源蔵夫婦の共犯関係。忠義のために子ども殺させる決意をした松王と、承知させられた千代の実に微妙な夫婦関係。ことに千代がわが子の死を大いに嘆き、松王が源蔵夫婦の手前を慮って叱りつけた瞬間の玉三郎は、この優らしく意表をついたしぐさを見せ、的確なる批評性を打ち出した実に印象深い名演技であった。玉三郎の水準に半ば引きずられるかっこうで各優それぞれに前近代の夫婦はかくやと思えるリアルな演技を披露し、かくしてこの芝居は、日本社会のある種の病ともいえる、自己の存在を他者との関係の中においてのみ捉えようとする人びとがもたらした悲劇として、今日にもまだ十分に説得力をもつことが明白となった。
 私は玉三郎が二十そこそこで演じた千代を見て、六世歌右衛門の後継者はこのひとだと直観してよく楽屋にも遊びに行ったが(こっちは十代の生意気盛りでした)、同じころによく見ていた仁左衛門(このひとの実姉がわが高校の先生だったので、若手勉強会公演のチケットを買わされていました)のほうは当時こんないい役者になるとはとても思えなかった。わが不明を恥じ入るばかりだが、ガラがよくても肚が薄くてどうしようもなかったこのひとは、近年丸本物は誰よりもいい気がする。たぶんそれはこのひとが前近代人の感情にきわめて近い精神状態で演じられるからだと思われ、たとえば吉右衛門だと巧くても時にその巧さが鼻につくようなところがあるが、このひとの場合それはほとんどない。前近代の人間が素直な気持ちでひたむきに生きているという感じが表現できるのは不器用でも東の団十郎、西の仁左衛門で、古典演劇の場合はなまじ達者なひとよりも不器用なひとのほうが感動させてくれるケースも多々あるのだった。

2004/06/25
オイスターソースの焼きそば
 スーパーのパンフを参考に作ってみた。きょうの具はハム、イカ、キャベツ、赤ピーマンで、これらは何でも構わないけれど、ネギと生姜の千切りは必ず最初に炒めて油に香りづけするようにしたい。オイスターソース、酒、醤油を適当に混ぜて味付けし、カイワレをトッピングにした。

2004/06/24
鶏肉とキャベツの和え物
 鶏肉は塩、胡椒、酒で下味をし片栗粉を薄くつけて茹でる。これに茹でたキャベツ、ミョウガ、青ジソを加えて、すり胡麻、辛子、酢、砂糖、醤油を併せたタレであえる。QPでやった鶏レバーの和え物のバリエとして作ってみたが、簡単にできるし、さっぱりした夏向きの味なのでオススメしたい。

2004/06/23
豚肉と茄子の梅干し炒め
 QPで見た料理。茄子は切って一時間ほど風干してしんなりさせ、なるべく少量の油で炒めてヘルシーに仕上げるのがポイント。豚肉は下味してこれも茄子を炒めたあとのフライパンで油を使わずにじっくりと火を通す。梅干し、酒、砂糖、醤油、水を混ぜ合わせたタレをからめ、香りづけに青ジソも加える。オカカをトッッピングして出来上がり。さっぱりした夏向きの炒め物だ。

2004/06/22

 渋谷で友人と食事。

2004/06/21
麻婆スパゲティ、ブロッコリーと鰯の炒め物
 要するに麻婆豆腐のスパゲティ版という、QPがときどきやってくれるおかしな料理の一つだが、今回は意外とイケルのでおすすめしたい。
 ニンニクのみじん切りを加えた油で挽肉をよく炒め、そこに椎茸や茄子のみじん切りを入れて豆板醤、テンメン醤でさらにじっくりと焦がす直前まで炒めるのがポイント。紹興酒、砂糖、醤油で味を調え、鶏ガラスープで煮込んで最後にネギのみじん切りをトッピングして水溶きカタクリでまとめるという完全な中華の麻婆ソースだが、紹興酒を思いきってたっぷり使ったところ、赤ワインが利いたような感じで、夏向きのミートソーススパが味わえました。

2004/06/20
タイ式カレー、フルーツトマトとアスパラガスのサラダ
 きょうの蒸し暑さはコレしかないって感じ。サラダはバルサミコベースのドレッシング。

2004/06/19
胡麻豆腐、鰺の酢の物、茄子と揚げの煮物
 久々にあっさりとした夕食。胡麻豆腐は市販のもの。鰺の酢の物にはミョウガを入れた。

2004/06/18
鶏肉の甘辛炒め
 QPで見た料理。ネギのぶつ切りを色づくまで炒め、その油で赤ピーマンを炒めて取りだしておく。鶏肉をじっくり炒め、杏ジャムを醤油と水でのばしたソースで煮込み、最後に全部を入れてからめる。かなりの量を入れても杏っぽさは残らず、かすかにフルーティな照り焼きといった感じ。ネギが意外といい風味を出してくれる。

2004/06/17
タイ式オムレツ
 QPで見た料理。具も卵の生地もナンプラーで味付けし、スイートチリソースをかけて食べるというだけ。具はニンニクのみじん切り、豚の挽肉、玉ねぎのスライス、インゲン、プチトマトで、味付けには砂糖少々と胡椒も加え、じっくり炒めるのがポイント。

2004/06/16
牛肉とゴボウとコンニャクのキンピラ風炒め
 QPで見たレシピ通りに作ってみた。コンニャクはむろん湯通しする。ゴボウも水にさらすが、香りが飛ばないようさらしすぎないのがポイント。油には鷹の爪の輪切りを加えて炒め、砂糖、酒、醤油で味付け。

2004/06/15
お好み焼き、焼きそばほか
 お茶の稽古の帰りに三村さんと麹町の「文字平」で食事。

2004/06/14
プチトマトのカッペリーニ、アボガドと炒り卵のサラダ
 カッペリーニの味付けは塩、砂糖、バルサミコ酢に生のペパーミントを加えた。アボガドのサラダがワサビ醤油で味付け。2種とも彩りだけを考えて味付けは適当にした割にけっこう満足できる味に仕上がった。

2004/06/13
鶏レバーのワイン煮、黒豚シューマイ、豆サラダほか
 梅雨の晴れ間に友人の誘いで西武球場に出かけて西武VSロッテの試合を観戦し、帰りに東急地下の食料品売場でゲット。
 わが実家の料理店「川上」の屋号は巨人の川上(元監督、大昔はスター選手)から取ったという説もあるくらいで、子どものころからよく球場にも出かけているが、ロッテ戦は今回が初めて。Jリーグばりのロッテ応援団は噂に違わずなかなかの見ものであった。人工芝のグリーンに疲れ目も癒やされて実に結構な一日だと満足し、帰ってTVを見たら近鉄とオリックスが合併!というニュースが流れてビックリしました。


2004/06/12
太刀魚の南蛮漬け
 近所のスーパーで太刀魚の干物という珍しいものを見かけたので南蛮漬けにした。かなりじっくり揚げたつもりだが、背骨までは食べられなかったのが残念。南蛮酢は砂糖を思いきって多めにして美味しくできた。あとは塩と出汁、醤油、鷹の爪を加えただけ。砂糖を溶かすときに火を入れすぎないのがポイントだろう。玉ねぎと油通しした赤ピーマンを加えた。

2004/06/11
ハタハタの干物、小松菜と生麩の煮物、水茄子
 昨夜たっぷり食べたので今夜は少し控えめに済ませた。水茄子は本場泉州の藤原商店から直送されたもので、この時期は本当に美味しい。近所のスーパーでも水茄子が売られるようになったが、これほど皮が柔らかくて甘みのあるものではない。

2004/06/10
鱸のカルパチョ、焼き鮪のカッペリーニほか
 集英社の八代さん、栗原さんと単行本の打ち合わせをかねて「クッチーナ」で会食。
 きょう一番の話題はなんといっても栗ちゃんのゴールイン(おめでとう!)であった。折しも日本人の出生率1.29人という暗いニュースが流れるなか、以前から旦那は要らなくても子どもは欲しいと宣うていた栗ちゃんの朗報にオバサンは狂喜乱舞(ちと大げさか)してしまいました。

2004/06/09
メカジキのクリームマスタード
 QPで見た料理。しっかり塩胡椒して粉をつけたカジキをソテーし、白ワインでフランベしてスープと生クリームで煮込む。テレビではそら豆とサヤエンドウを加えたが、私の好みでスナップエンドウとアスパラガスにかえた。そら豆のほうが味わいが深くなるはず。仕上げにマスタードを入れる。付け合わせのペンネにはパルメザンチーズを振りかけて味付け。

2004/06/08
キャベツと厚揚げの煮込み、キュウリとミョウガトワカメの梅酢和え
 QPで見た超カンタン安上がりメニュー。キャベツと厚揚げを水と酒、砂糖、味醂、醤油だけで煮込んで仕上げに花ガツオとすりゴマをたっぷり入れるだけ。厚揚げは油ぬきの下ごしらえを忘れずに。出汁をまったく使わずに野菜の旨味を引きだすのがポイント。酢の物も同じQPでミョウガは美しく発色する。

2004/06/07
アスパラガスの牛肉巻き
 QPで見た料理。牛薄切り肉をニンニクのすり下ろし、酒、醤油で味付けしてアスパラガスに巻いて揚げただけ。レモンを絞って食す。

2004/06/06
豚肉と野菜の黒酢炒め
 ニンニクのすり下ろし、酒、醤油、胡椒で下味した豚肉をしっかり炒め、そこに茄子、赤ピーマン、アスパラガスといった彩りのいい野菜を加えてさらに炒め砂糖と黒酢で味付けした。前にテレビでちらっと見た画面から想像して作ってみたのでレシピはまったくのオリジナル。鬱陶しい季節には酢炒めがさっぱりしていい。

2004/06/05
おでんほか
 世田谷パブリックシアターで永井愛の旧作「時の物置」を文春の内山さんと見て近所の「だいこん屋」で食事。
 1960年代初頭のある一家で、師範学校出の祖母、小説家志望の教員で同人誌を主宰する息子、闇屋上がりの金持ちで鉄工所を経営する婿、学生運動に巻き込まれそうになる孫、無尽講に参加する近所の主婦、赤線廃止後に行き場を喪って居候になった女といった様々な人びとを配しつつ、家庭にテレビや炊飯器や掃除機といった新器具が侵入してそれまでの諸道具が「物置」に放り込まれていった「時代」そのものを描いた作品といえるだろう。しゃぼん玉ホリデーやララミー牧場、ミツワ石鹸のCMソング等々懐かしのメロディ満載で、「時代」はたしかに彷彿とするものの、各登場人物の描き方はあまりにも淡々しくて、残念ながら同作者の「こんにちは母さん」ほどにはこちらの胸に迫るものがなかった。唯一キャリアウーマンの走りのごとき進歩的な側面と士族の出を誇る古風さを併せ持つ祖母(有馬稲子)が息子や孫たちを見ては、これからはなんでも出来る時代なのに「あんたたちは勿体ないねえ」と口癖のようにつぶやくのが、作者と同世代である私の耳には共感をもって響いたくらいだ。たぶんドラマの中心は、かつてプロレタリアート文学を志して挫折した過去をいまだに引きずっている小説家志望の父(辰巳琢郎)と、その父に拒絶反応を示す息子との葛藤にありそうなのだけれど、辰巳琢郎の演技では全くそれがこちらに伝わってこないのが致命的である。かくしてどこを中心に見ていればカタルシスを得られるのかがわからぬままにドラマは終幕と相成った。ただ脇を固める人物とそれぞれの場面は永井さんらしく面白く描き分けられてはいるのでさほどに退屈はしなかった。

2004/06/04
鴨のコンフィほか
 並木拍子郎シリーズ第1弾「一の富」の文庫が完成して(6月15日発売予定)、角川春樹事務所の原さんが見本をご持参になり、近所の「プロヴァンス」で会食。
 つい先ごろ<復活の日>を迎えられたオーナー春樹氏が実にお元気だという話で盛り上がる。所内でお読みになったシリーズ第2弾の「二枚目」はかなり気に入ってもらえたようで、名にしおう氏に誉められた私としては作家冥利に尽きるというものです。

2004/06/03
油揚げとスナックエンドウの卵とじ
 QPで見た料理。甘辛く煮含めた油揚げにスナックエンドウを加えて卵でとじただけ。油揚げは湯通しをしておく。エンドウに火を通しすぎないのがポイント。それにしてもこの野菜は一体スナップなのかスナックなのかどっちだ!同番組でも二通りのいい方をしてるように思ったのは記憶違いだろうか。とにかく今日の番組名はスナックだったし、近所のスーパーの表示はスナップでした。

2004/06/02
マイケル・ナイマンの夕べ
 すみだトリフォニーホ−ルのM.マイケル・コンサートを守部さんにお誘い戴き、帰りに近くのベトナム料理店でゴイクンやフォーなどを食す。
  日本では映画「ピアノ・レッスン」の音楽で一躍有名になったナイマンだが、私はP.グリナウェー監督の「英国式庭園殺人事件」でとても好きになり、以前に自身で三島由紀夫の「近代能楽集」を演出したときも彼の音楽を使わせて戴いたほどである。そんなわけで守部さんにお誘い戴いて(しかもご招待!)感謝感激の一夜であった。
 バロック音楽をスタイリッシュにした感じのナイマンを私が非常に好きなのは、その昔ヴァイオリンのお稽古でやたらバッハだのヴィヴァルディだのを弾かせられていたせいもあるのだろう。バロックよろしく単調なキザミと反復が多用されて、聴く人によっては退屈にも感じられるのだろうが、私の耳には古風にして斬新、極めて批評性が強く挑発的に聞こえて、文章でこういう真似ができれば理想的だと思うところもあるのだった。単調なリズムは各曲共通ながらメロディラインはそれぞれ違っていて、冷笑的且つ厭世的に聞こえる曲も多いなか、今宵は至って快活で前向きな選曲だったように思う。1部はこれまでに発表された有名曲のメドレーで、2部は1929年に製作されたモノクロの無声映画に新たに作曲したものを映写と共に披露。このドキュメンタリーフィルムがまた実に傑作で、革命後間もない当時のソ連の様子が活き活きと映しだされて、近代国家とそこに暮らす人びとの力強さ、健全さといったものがこちらに熱く伝わってくる。世界中で何かとうんざりする出来事の多い昨今にあって、前にピナ・バウシュにも感じられたが、今宵のナイマンもまた、いうなれば人類にもう一度希望の光りを取り戻させたいとする気組みを感じさせる選曲であったように思う。

2004/06/02
腎臓の検査
 今朝早く腎臓結石の検査を受けにS病院に行くと、例のご老齢の先生が満面の笑みで待ちかまえておられた。で、古びた細長い段ボール箱を抱えて、「さあ、一緒に参りましょう」といそいそした感じでレントゲン室に連れて行かれる。男性のレントゲン技師の指示通りズボンをおろして台に横たわると、先生は箱から分厚い皮ベルトをを取りだして私の股間に装着し、ギュウギュウ締めつけるのが何やら完全にSMという雰囲気なのでした。横からレントゲン技師が口をはさんで「こういう圧迫検査というのはもうどこの病院もやってないでしょうねえ」とのこと。ふつうは大量の造影剤を投与して診るんだそうだが、老先生は昔通りのやりかたで、少量の造影剤で腹部を圧迫してご覧になるらしく、こちらとしては、まあ、大量の造影剤を入れるよりは身体に悪影響を及ぼさないであろうと思うしかない。「大量の造影剤を使うってのは結局経費の無駄使いなんですよね」という技師の発言にも同感する。ただ、怖かったのは、カルテを書く手が震えている先生に造影剤を注射される瞬間だったが、意外に注射はうまくて少しも痛くなかった。こういう患者は久々だったのか、先生は終始ご機嫌で、技師とのやりとりをそばで聞いていると、この病院でアイドル扱いされている人らしいと判明。また肝腎の結果は、新たに出来上がった写真によって腎臓、尿管ともに全く異常がなく実にきれいなことも判明した。では先日のくっきりした白い影は何だったかというと、盲腸か大腸に石灰沈着したものらしく、「これって何なんでしょう?放っておいて大丈夫なんでしょうか?」と訊くと「さあ、それは中を開けてみなくちゃわからないけど、ほら、今日の写真と先日の写真を比べると、今日のは半分溶けだしてやや薄くなってるでしょう。これはきっと昨日呑んだ下剤で流れたんでしょうねえ」というのが先生の言い分でした。ふつうなら同病院内にちゃんとある外科なり内科なりでもう一度精密検査をしてもらいなさいというところだろうけど、そうは仰言らないのが老先生のいいとこで、「まあ、気になるなら前に診てもらった病院に相談してご覧なさい。必要ならこのレントゲン写真をお貸しします」とのこと。今時こういう金儲けを全く考えていない病院とお医者様というのも悪くはないと思われたのでした。

2004/06/01
サバのソテートマト風味
 フジテレビで見た料理。サバは塩胡椒して粉をまぶし、皮目をカリッと焼くのがコツ。ソースはプチトマトに塩、砂糖、オリーブ油、バルサミコ酢を加えて生のペパーミントと和える。このペパーミントは実に効果的だ。安上がり且つ簡単に出来るイタリアンで結構おいしい。

2004/05/31
鶏肉と野菜のマリネ
 先日の人間ドッグで腎臓結石の疑いアリとして再検査を勧められ、今朝早く近所のS病院に行ったところ、あらわれた先生が90歳は超えていそうなおじい様だったのでビックリした。腰が完全に曲がってるし、質問に答えても何度も訊き返されて、カルテを書く手も震えている(誇張ではない!)。こりゃ参ったなあと、汗タラもんだったが、今さら帰るわけにもいかず、でもきっと臨床経験は豊富なんだろうし、大昔に医師を志された方なのだからアコギなお人柄ではあるまい、などと自らに言い聞かせて診てもらった。
 念のためにレントゲン撮影(これは若い女性の技師が担当)をして、出来上がった写真をふたりで見ながら(正直言ってご老齢の先生が見落とされたら困るので私もしっかり見ました)「あなたこれで本当に今まで何の痛みも感じなかったの?」と訊かれて即座に「はい。ゼンゼン……」と答えつつも、私の目は写真に釘付け。そこには素人目にもはっきりと確認できるかなり大きめの白い影が見えるではないか!ふつうこんなのがあったら何度も飛び上がるほどの激痛に見舞われて、高熱を発し、血尿が出るはずだというのだけれど、私は今まで何の自覚症状もないのであった。
  おかしいので明後日もう一度再検査しましょうといわれ、こちらももう一度じいっと写真を見つめたところ、どうも素人目にも腫瘍の類ではなさそうで、長細くて角のある無機質っぽい感じの、まるで銃弾の破片かと思うような影が2個くっきりと写り込んでいる(もちろん私は他人様に撃たれた覚えなどありません)。見えている場所は腎臓から膀胱に到る尿管の途中で、そこは盲腸の部分にもあたるため、ひょっとすると盲腸に結石状のものがあるとも考えられるらしく、とにかくもう一度こんどは下剤を呑んだ上で診てもらうことに(嗚呼!)。まあ、結石だといずれにしても大量に水を飲んで外に排出するわけで、まずは暴れださないことを祈るしかない。
 で、今のところ体調は別に悪くはなくて、食欲もしっかりとある。きょうはQPで見た料理。鶏肉の手羽元は塩胡椒したあとしばらく置いて揚げる直前に粉を振るのがポイント。低めの温度でじっくり揚げる。インゲンと赤ピーマンも素揚げしておく。スープに鷹の爪、砂糖、塩、酢、醤油、黒胡椒を適当に混ぜたマリネ液に先に玉ねぎを入れて馴染ませておくといい。

2004/05/30
エスニック鍋
 きょうはダービー日和というには暑すぎる真夏日だったのでメニューはコレ。何度もやってるのでレシピは省略。
 で、予想通りの圧勝だったが、それにしてもキングカメハメハというのはアナウンサー泣かせの馬名だと思われたのでした。

2004/05/29
鶏肉とキクラゲの炒め物、小松菜と揚げの煮物
 炒め物はQPで見た料理。ニンニク、生姜、ネギのみじん切りで香りを付けた油に鷹の爪と細切りにして下味をした鶏肉、戻したキクラゲを炒め合わせて、酒、砂糖、黒酢、醤油、胡椒で味付けする。鷹の爪は種を除いて湯に浸したものをかなり数たくさん使うのがポイント。こうすると彩りになる。

2004/05/28

渋谷で友人と食事。

2004/05/27
鱸納豆丼
前に作ったマグロ納豆丼と作り方は同じなのでレシピ及びフォトは省略。きょうは前日の緊張が祟って肩こりがひどいせいで、ジムに行って久々にプールとサウナに入ったため、グッタリして凝った料理をするどころではなかった。

2004/05/26
道成寺の夕べ
 歌舞伎座でITI(国際演劇協会)主宰の「能と歌舞伎−道成寺の夕べ−」を見た帰りに近所のカジュアルチャイナで海鮮チャーハンを食す。
  歌舞伎関係の原稿を引き受け出すとキリが無いので最近はほとんどお断りしているのだが、今度の公演は例の「マキシム・ド・パリ」で何度もご馳走になっているS様たってのご依頼でプログラム原稿をお引き受けして、ご招待戴いた次第。売り出し2日間で即完売というプレミアチケットであるらしかったが、2階最前列のど真ん中という天覧席(?)をご用意戴いて恐縮した。まわりはどうやらITI幹部席のようで松竹や東宝の古参重役やら国立の理事やらに挟まれての観劇は正直言って非常に疲れました。今でもときどき油断すると、この手の「私って何者」状態に陥ってしまうのは、演劇関係者の方々がみな非常に身内意識が強くて、一度でも網にかかった魚はなかなか逃がしてくれないことによる。こっちもこっちで、こと舞台に関しては、なるべくイイモノをイイ場所で見たいという欲求に勝てないので、まあ、お互い様です。
  「この客層をどう見ます?」と松竹の方に訊かれて、あなた方がわからないものを私に訊いてどうする!と言いたいところだったが、圧倒的な女性客はたしかにいつもの歌舞伎とも、また能の常連客とも少し違った感じで、案外上演前の「講話」をなさった瀬戸内寂聴先生の講演を聞きにくる層とダブルのかもしれないと思われた。
  観世栄夫氏がシテをつとめた能の「道成寺」はふつうの能舞台で見ればともかく、劇場があまりにも広すぎて求心力に欠けるのはやむを得ないところだろう。眼目の乱拍子も上体がやや傾いでスムーズにゆかないせいもあったが、見続けるだけの集中力が持続せず、何度も睡魔に襲われて、ここで寝てはマズイと必死であった。ただお能は、たしか故・郡司正勝先生も同じようなことを言っておられたと思うが、99%の退屈と1%の至福の時で成り立つ芸能だということ私は以前に実感した覚えがある。科学的にいうと脳からベーター波が完全に消えて、アルファ波とかシーター波とかが出始めたときに突然すべてが「わかった!」といえる瞬間があって、それこそが能で味わうべき醍醐味ではなかろうか。「道成寺」でいうと、乱拍子で耐えに耐えた直後に展開する「急之舞」は今回もたしかに頗る面白い。おまけに二階の最前列で見たから、ワキの宝生閑のみごとな歩様に感心させられたし、また「舞い」の語源が「回る」であるということもよく理解できた。
  とはいえ今公演で得をしたのはやはりフランチャイズの歌舞伎であろう。中村勘九郎の「娘道成寺」は、近年余人を含めても、出色の出来映えといえる。このひとは本気でやればここまで出来るのだということを改めて見せつけられた感じで、コレを見ただけでもチケット代2万円は安い!と思われた方もあるだろう。フリの一つ一つを実に丁寧に、長唄の文句がこちらの胸に沁み通るように踊って、しかも嫌みなところが少しもない素晴らしい舞台であり、残念ながら25日間の公演では滅多に見られないものだろうと思われた。私はコレを見せてもらってまたまたS様に大感謝であります。

2004/05/25
豚肉とインゲン豆のトマト煮
 フジテレビで見た実に簡単な料理。豚ロース肉は塩胡椒して粉を付けてソテーしワインで煮る。インゲン豆、トマト共に缶詰でOK。炒める際にニンニクを加えるだけで味付けは塩胡椒を軽くするだけでいい。

2004/05/24
おにぎり弁当
 昼間オークラで島崎夫人にご馳走になった帰りに渋谷東急でゲットした。
 お目にかかるのは久しぶりだが、大正2年生まれ御年92歳の夫人が相変わらずお元気なので嬉しくなった。
「生きる」の名優、ご父君志村喬氏を喪われたあとさすがに数年間は鬱状態に陥られたが、79歳で大腸癌を克服し、つい最近の脳内出血からも順調に回復され、「こうなったら生きられるだけ生きてみよう」という明快な意志をもち、今や軟骨が完全にすり減った膝の激痛と闘いつつ、常にピンと背筋を伸ばして立っておられるお姿は女ながらもダンディズムに溢れていて、つくづくと頭が下がる。まさしく人が「生きる」とはどういうことなのかを考えさせられてしまうのである。
 で、今はすっかり「冬ソナ」にはまりヨン様に夢中だとおっしゃって、十分にお茶目なところもある島崎夫人であった。
 

2004/05/23
オムライス&ビーフスロトガノフ、グリーンサラダ
 歌舞伎座「夜の部」を両親と見た帰りに帝国ホテルで食事。
 遅ればせながらの海老蔵襲名興行であるが、日曜の夜というふだんなら割合すいている劇場がさすがに満杯。久々に若い女性が多くて、小雨にもかかわらず和服姿が目立ったのも、たぶん和モノ趣味系の「負け犬」さんたちがどっと押し寄せたからではなかろうか。幕間のロビーはグッズを求める女性たちで鮨詰め状態。白塗りが似合う掛け値なしの二枚目が半世紀ぶりに出現したのだから、松竹にすればこれくらいの騒ぎにはなってくれないと困るわけで、まあ、よかったんじゃないでしょうか。しかしながらご父君の団十郎が白血病で休演した結果、坂東三津五郎が本役の魚屋宗五郎のほかに代役で「勧進帳」の弁慶までやってしまう奮闘ぶりで(自分の襲名のときよりたくさんいい役ついてる!)、むしろ三津五郎ファンにオススメしたい今月の夜の部であった。
 新海老蔵は「勧進帳」の富樫で颯爽とした姿であらわれて、役もそこそこ無難にこなしてはいるが、このひとはセリフのいい方を何パターンかに分けて、それをとっかえひっかえしてる域からなかなか脱しきれないようだ。ことに声が強い調子だとまるでヤンキーの喧嘩みたいになって、「助六」だとまだ許せるが「山伏問答」のクダリがそうなるのは如何にしてもまずい気がする。富樫はあくまで弁慶を挑発する側なのであって、挑発されてどうする!といった感じなのだ。例の「判官殿にもなき人を……」と憂い調子で言うあたりも少々泣き過ぎの気がするが、今の若い人だとこれくらいわかりやすく演じないと、芝居をした気にも、また見た気にもならないのかもしれない。
 とにかく歌舞伎はここ20年くらいで著しく変わった。で、それはたぶん世の中が移り変わり、日本人自体が大いに変わってしまったことに関係するのだろうと私は見ている。
 片や三津五郎の弁慶も、チビだという大いなるハンディを差し引いて見て、それなりに無難にこなしてはいるし、どこといって悪いところはないともいえるのだが、致命的なことに、極めて肚の薄い弁慶なのである。だが今の日本に果たしてそんなに昔のようないわゆる「肚のある」立派な男っているんだろうか?政治家にしろ何にしろ、みんな目先のことしか考えずに、パフォーマンスでいいかっこをしたがる浅はかな男ばかりじゃないの?という気もするので、この点は三津五郎ばかりを責められないのである。なぜならそんな三津五郎も魚屋宗五郎は悪くないからだ。相手がえらい人だと酔っぱらった勢いでなくては突っかかれないし、その相手に頭を下げられると存外あっさり許してしまうという、実に気のいい典型的な日本庶民の役柄を三津五郎はのびのびと演じている。今の庶民は現実にはここまでバカ甘ではないと思うけれど、それでも舞台でかつての日本人的英雄を見せられるよりは、こういう人物のほうがまだしも共感できるので、歌舞伎の世話物はともかく時代物の上演は今後ますます難しくなるような気がする。
 「魚屋宗五郎」では女房のおはまを演じた芝雀もよかったし、魚売り三吉役の松緑も悪くはなかった。おなぎ役の菊之助と殿様役の海老蔵もこれに花を添え、近年では極上の仕上がりで、私は去年あたりから歌舞伎界では今後この「菊五郎劇団」が「勝ち組」となるという予測を立てたが、今回はそれを確信させる出来映えであった。
 

2004/05/22
卵とアスパラガスの炒め物、コンニャクの田楽
 炒め物はQPで見た例のウーさんの料理だが、ええっ、これが中華?というような予想を裏切る代物である。塩、胡椒、酒少々を加えた卵をよくかき混ぜて、かなり多めの油で低い温度でじっくり炒めるのがふんわり仕上げるコツ。アスパラガスは包丁の背でつぶして味がしみやすくしてこれも低温でじっくり炒める。味付けは醤油少々で実にシンプル。田楽は市販のクルミ味噌で食す。

2004/05/21
メカジキとトマトのパスタ、シーザーサラダ
 前にフジテレビか何かで見たのを想い出しながら作ってみた。ポイントは松の実をたっぷり使って香りづけした油でメカジキとトマトを炒めるというところだけで、あとは適当に塩と黒白胡椒だけでシンプルに味付けした。最後にバターでとろみをつけ、ルッコラも加えてトッピング風にする。松の実を焦がさないていど炒めることができればあとは実に簡単だ。
 私は別に姓が松井だからというわけではなく、昔から松の実が大好物なのでテレビを見てどうしても作りたくなって、結果大いに満足した。松の実の風味は実に独特で、油っこいくせに妙に涼しげな香気が感じられる。
 シーザーサラダは輸入物のキットを買ってお手軽に作ってみました。
 

2004/05/20
簡単ビビンバ
 QPで見た料理。牛挽肉にニンニクのすり下ろし、酒、砂糖、醤油、すりゴマ、ゴマ油、ネギのみじん切りを加え、十分に炒めた上で千切りした人参や輪切りにしたズッキーニ、髭をとって下茹でした豆もやしを入れてさっと炒める。トッピングに目玉焼きをのせて出来上がり。

2004/05/19
人間ドッグの夜
 人間ドッグから帰って昨夜の残りで食事。
 先月の後半はいろいろストレスが重なって鬱っぽくなり、体調も芳しくなかったので、思わず人間ドックを申し込んでしまった。なのに最近はめきめきと食欲が盛り返し、ドッグの事前調査用紙に記入してる段階ですでに「私って何故こんなことしてるの?」って感じだったのだけれど、きょうは取りあえず早朝からNTT関東病院に出かけた。そんな病院どこにあるの?とお思いになる方もおられるだろうが、要するに五反田の池田山にある昔の逓信病院であります。
  なぜここを選んだかといえば、ほかに何軒か当たったドッグが皆7月ころまで予約満杯だったことと、友人の岡野氏の話でとても病院とは思えないくらいサービスが行き届いているという話だったからだ。むろんその分かなりお高くて、ふつうの2、3倍、安めのハワイ旅行ができそうな値段だが、サービスはたしかにリゾート施設並。何せナースがいっぱいいるほかにもNTT職員の制服を着た女性が勤務してして、皆で施設の中を丁寧に手取り足取りで案内してくれる。
 病院とドッグ施設は別棟で、一部病院で受診するのでそちらにも行ってみたが、これまたホテル並に快適な空間だった。50歳を超えて私は自分でも恐ろしいくらい急速にいろんな欲望を失いつつあるけれど、もし入院するならこんなとこにしたいなあという欲望がふと芽生えたほどのステキな病院である。そのためにはもうちょっと稼ぎをよくしなければ、なあんて思うのも、病院のためってところが我ながら哀しい。何かもう少しマシな欲の対象ってありそうなもんだが……。
  で、初ドッグはけっこう気に入って、今後もはまりそうな予感がする。考えてみれば、私は大昔に幼児性結核を患って、おまけにわが実家は医者の知り合いが多かったせいで、幼いころは何かというと京大病院で精密検査を受けていたのである。その後は野口式整体に傾倒して西洋医学や製薬にできるだけ頼ろうとしなくなってはいるものの、いまだに検査は妙に楽しめるのだ。バリウム呑んで身体をタテヨコナナメにされる胃透視台とか子宮の検診台とかって以前と比べると今や物凄いハイテクが駆使されてて、まるで新手の拷問器具に乗せられるみたいでけっこう昂奮しました。 
 


2004/05/18
厚揚げの味噌炒め、アスパラガスの梅マヨ和え
 厚揚げの味噌炒めはQPで見た料理。長ネギ、生姜のスライスと鷹の爪を炒めて香りを出し、そこに豚肉、温めて短冊切りにした厚揚げ、筍、干し椎茸、ピーマンの順に炒め、味噌、酒、砂糖、醤油で味付け。調味料はあらかじめ合わせておいて一気にサッとかけるのがコツ。アスパラガスの梅マヨ和えは、昨日のみのもんたの番組(ああ、またしても)で見た。つぶした梅とマヨネーズとレモン汁を混ぜたタレにつけて食べる。

2004/05/17
ベーコンとほうれん草のパスタ、アボガドと豆腐のサラダ
 アボガドと豆腐のサラダは塩でしんなりさせた玉ねぎのみじん切りを加えてドレンシングをかけるだけで簡単にできるが木綿豆腐と熟れたアボガドは食感が似ていてよく合うのでオススメ。QPスポンサーの番組で見たのに、ゴメンナサイ、ドレッシングはオススメのQP製品を使いませんでした。オリーブ油と、レモン汁、醤油、黒胡椒を混ぜ合わせたお手製です。

2004/05/16
あぜくら弁当
 国立劇場で前進座公演を観て幕間に食事。
 例の歌舞伎委員なるものはご辞退したにもかかわらず、前進座が「奴の小万」をモデルにした鶴屋南北作品「裙模様沖津白浪(つまもようおきつしらなみ)」を上演するというのでプログラム原稿を依頼されて、ご招待を受けた次第。拙著「奴の小万と呼ばれた女」の内容とはほとんど無関係なのだけれど、一応劇団関係者の皆様が目を通してくださったようで、宣伝部と共に演出家の方まで客席にご挨拶にあらわれて恐縮してしまった。
 この南北版「奴の小万」はいわゆる正本製の草双紙、つまりは実際には上演されずに役者の似顔絵入りで舞台面を想像させる変種のノベライゼーションで、主人公の小万はかの名女形五代目岩井半四郎を想定した女盗賊という役柄である。自らが産んだ愛人との間の子供を抱いて、大勢のむくつけき手下どもを従えながらドロボーに出かけるシーンは今観るとキャリアウーマンの子連れ出勤を想わせて結構おかしい。先代の河原崎國太郎が初演して今回は孫の六代目國太郎が演じたが、顔があまりにもそっくりなので驚いてしまった。
 この劇団はそもそも歌舞伎の門閥世襲に反旗を翻した人びとによって創設され、ひところはたしか一座全員が共産党に入党して三鷹でコルホーズ的集団生活を送っていたように思う。それがどういうわけか、昭和の名人中村翫右衛門→「遠山の金さん」でおなじみの梅之助→徳川吉宗の息子のアホ将軍を演じて全国区になった梅雀という三代続いた名優一家を筆頭に、今や二世三世の天下になっているのだから皮肉なものである。
 で、國太郎は相変わらず柄はいいけどねえ……といった不器用な演技で、今回いつもの女形から立役にまわって小万の恋人役を演じた七代目瀬川菊之丞のほうがやはり達者である。梅之助、梅雀親子が端敵役を軽妙に演じて花を添えているが、その分芝居の中心人物がだれなのかわかりにくい(それもこの劇団の主義に基づいているのかも)。それと原作をよく整理した脚本のわりに、肝腎の大詰めがえらく走って演じられるために、観客のほとんどは筋がつかめないのではないかと心配される。
 前進座による復活狂言はいつもわかりやすくていいのだけれど、今回の上演に限ってはあまり民主的(?)にならないで、主役は主役らしくたっぷり演じてくれたほうがむしろわかりやすかったのではないかということを強く感じた。

2004/05/15
チンジャオロースー
 QPで見た通りのやり方で作ってみました。甘みが出るので筍の代わりに玉ねぎを加えるのがウーさんのオススメ。肉にはニンニクのすり下ろしと酒、醤油、胡椒で下味をつけ片栗粉と油にまぶしてしばらく寝かしておく。肉を炒めてからいったん取りだし、玉ねぎのあとにピーマンをサッと炒めて肉を戻してからはすぐに味付け。オイスターソースと酒、醤油、水溶きカタクリを予め混ぜ合わせておくこと。
 とにかくピーマンは炒めすぎないこと!と、テレビで強調したウーさんである。なんて書くと知ってる人みたいだけど、事実、お茶の稽古で一緒になって知ってるのである。で、きょうの料理のやり方を見てびっくりしたのは、味付けにオイスターソースを使ったこと。いつぞやウーさんは日本人は中華料理というとオイスターソースを使うものだと思ってるが、それは絶対にマチガイです!と、まるでオイスターソースが親の仇みたいにいって、めちゃめちゃ怒っていたのを想いだしたのでした。

2004/05/14
和風パスタほか
 松竹時代の友人である塩谷さんから突然電話があって、亀の置物をくれるというので三茶駅近くで会食。
 彼女は松竹退社後テレビマンを伴侶にしてシナリオライターやら雑誌編集の仕事やらいろいろやってる人だが、私の友人のなかで3本の指に入ろうかという大変人(おかしなエピソードが尽きない!)で、かつ多病のひとでもある。2年前に死亡率60パーセントという菌膜炎を患ったあとも仕事のしすぎで非合法ドラッグにはまり、去年の11月には脳動脈瘤になって、余命20年に限定された大手術から奇跡的に生還を遂げた。本人もいう通りまさにNine Lives(猫は九回生きる=シブトイという意味)のひとである。
 ここ4年くらいチャットにはまって自らOFF会を主催したりするともいい、ネット世界のあれこれを面白く聞かせてもらう。最近では例の雅子様にからんだ発言をめぐって盛り上がり、宮内庁前でピケを張ろうという過激な提案をしている最中に突如オチたひとがいて、これはきっとプロバイダのAOLがオトシタにちがいないという、ホントかウソかわけのわからんことを妙に熱心に説く相変わらずの彼女であった。

2004/05/13
長芋の豚ロール
 QPで見た料理。拍子木切りにした長芋をシャブシャブ用の豚薄切り肉で二重に巻いて下味をつけて炒め、これを蜂蜜入りの酢醤油で食す。下味は酒にニンニクのすり下ろしを加えて塩と黒胡椒したものにしばらく漬け込むこと。付け野菜はアスパラガスのソテー。物凄く美味しいというわけではないが、簡単に出来て栄養価が高そうなのでオススメ。

2004/05/12
海鮮納豆ダブル丼
 前にフジテレビでちらっと見た料理を久々にわが家を訪れた現代人形劇センターの塚田さんに振る舞ったら、かなり好評だったのでオススメしたい。
 納豆には万能ネギと味噌を加えて練るのがポイント。マグロとイカはわさび醤油に漬け込んでおく。海苔や青ジソを敷くといい。実に簡単にできて2種類の味わいが楽しめるので飽きなくていい。

2004/05/11
肉団子ほか
 世田谷パブリックシアターのトラムで「ダム・ウエイター」を見た帰りに近所の総菜屋でゲット。
 「ダム・ウエイター」は以前「料理昇降機」のタイトルで上演されたハロルド・ピンターの戯曲で、当時はそれなりに斬新な作品だったかに思われるが、今日ではベケットの「ゴドーを待ちながら」の英国バージョンともいえそうな亜流っぽい作品にしか見えなかった。地下室に閉じこめられた殺し屋の男ふたりのもとへ、羊飼いの少年ならぬダム・ウエイター(料理用エレベーター)が次々と料理の注文用紙を運んでくるという不条理は、リアルな演出と美術によってのみその不条理感が増すであろうにもかかわらず、鈴木勝秀の演出は極めてキッチュに抽象化した美術を用いたために、芝居が始まってすぐに結末が読めるという実に退屈な仕上がりである。鈴勝も「ベント」や「欲望という名の電車」といった割合リアルな芝居は抽象化した美術で巧く処理していたが、こういう不条理劇だとかえって古くさく感じられて、残念な結果に終わった。

2004/05/9
担々麺ほか
 光文社「ジャーロ」の編集長代理秋吉さんと初のご対面ご訪問を受けて進藤さんが立ち会い、そのあと一緒に三茶駅近くの「万豚記」(ここはオススメ)で食事。
 「ジャーロ」はミステリー専門誌なのに「非道、行ずべからず」が面白かったと仰有って執筆を依頼され、変に喜んでしまう。同じ京都出身だから、いっそ故山村美紗センセイの後継者を目指すなんて如何なものかと思った次第だ。

2004/05/09
浅蜊とズッキーニのパスタ、生ハムとルッコラとアスパラガスのサラダ
 浅蜊は国産物で1パックなんと¥98で安売りしてたので買ってしまった。ズッキーニは昨日の残り。サラダはほかにベビーリーフを加えて自家製レモンドレッシングで食す。
 昼間はお茶の稽古で北村あぐりさんと一緒になる。彼女の母上は野田マップのプロデューサー(現シス・カンパニー社長)として以前から知っていたが、実は京都出身で、あぐりさんの親友は現在ロンドンに住んでいる私の従妹と判明。世間は狭い!

2004/05/08
鱸のムニエル、豆ご飯、エンドウマメの甘煮
 刺身用のサクを買ってきて作った鱸のムニエルは焦がしバターにレモン汁を加えたソースで食した。付け野菜のズッキーニは炒めて醤油で味付けし花ガツオをまぶしたが、ズッキーニの食べ方としてはこれが簡単で美味しい。
 京都の杉浦さんから大量のエンドウマメを送って戴いたので、さっそく豆ご飯と甘煮にする。濃い砂糖水で煮たエンドウマメの甘煮は子供の頃の大好物である。かなり思いきって大量に砂糖を入れないと昔通りの味にはならない。

2004/05/07
ポークジンジャートマト風味
 QPで見た料理。要するに豚の生姜焼きにプチトマトを加えるだけだが、意外に相性がよくて、彩りがいいし、栄養価もアップするのでオススメ。私は好物のアスパラガスもプラスしてさらなる栄養価アップを狙った。

2004/05/06
チヂミ
 市販のキットで作る。具は豚肉、芝海老、キムチ、玉ねぎ、万能ネギ。昨日の深夜番組でユンソナがこれを作っていてので食べたくなった。なんて単純な胃袋だろう。

2004/05/05
麻婆茄子
 ニンニク、ネギ、生姜のみじん切りを炒めて豚挽肉を加え、豆板醤、甜面醤、オイスターソース、紹興酒、鶏ガラスープで味付け、枝豆を加えて、ゴマ油と粉山椒で仕上げ。

2004/05/04
野菜のホットマリネ
 アスパラガス、パブリカ、エリンギ、青とうがらし、ピーナッツスプラウトをオリーブ油で炒めて塩胡椒、白ワインと酢で味付けした。最近やたら増えているスプラウト物の中でもピーナッツは珍しかったので思わず買ってしまったが、豆モヤシの巨大なモノといった感じで、別にピーナッツの味はしない。

2004/05/03
天ぷら、鰻茶漬けほか
 いつものメンバーが集っての会食。天ぷらは海老、ワカサギ、タラの芽、コゴミ、椎茸、青とうがらし。ほかに汲み豆腐とメカブ、モズク、ギョウザと盛りだくさんのメニュー。

2004/05/02
鰻茶漬け、伏見とうがらし、モズク
 鰻は京都土産の「かね庄」製だが、とうがらしのほうは京都ではなく近所のスーパーで買った京都産の物。祇園縄手通りの八百屋で見かけた物は値段が倍くらいして、こりゃ観光客をボッてるなと感じた。「かね庄」のお茶漬け鰻も美味しいことは美味しいが、以前よりも量が減って割高に感じるのは気のせいだろうか。

2004/05/01
焼きそば、トマトとアボガドのサラダほか
 昼間が京都祇園「川上」の点心だったので、夜は三茶の総菜屋でガマンする。
 連休中になんて慌ただしい帰京だろう!ああ、それもこれもS社の〆切である……。
 興行会社に勤めていた関係で、私もかなりたくさんの著名人のご葬儀に出ているが、きょう正午から祇園の歌舞練場で執り行われた井上八千代師のご葬儀はこれまで見たなかで最大規模といえるかもしれない。何せ花見小路の突き当たりから四条通りにかけて、黒いお姐さんやおカアさんたちが長ァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい行列を組んだありさまは壮観の一語に尽きて、献花だけでゆうに3時間はかかった。日本髪を結った舞子さんたちから花を手渡されるのもちょっと不思議な感じで、たぶん今後こうした風景は二度と見られることがあるまいと思う。
 

2004/04/30
鴨ロースほか
京都祇園縄手通りの「すへら」で板前ののカトちゃんを交えて家族会議をしながらの会食。父母ともに老化が激しいので私が司会進行役を買ってでた次第。わが姉妹共に見捨てた「川上」の経営を今後どのようにカトちゃんに譲っていくかの話し合いをするのが今帰郷の目的の一つでもあった。

昼間は久々に歌舞練場で日本最古のレビュー「都をどり」を見て、その百年一日の如く変わらぬスタイルに驚嘆を禁じ得なかった。照明のエフェクトの古さなんて、もう絶対ここでしか見られないお宝ものである!
で、どの舞子がキレイなのかという興味で見るのがコレの見方の王道で、昔はよく妹と一緒に見て品定めをしたものだが、今回は豆涼という妓が抜群でした。
ちなみに、驚かれるかもしれないが、私も妹も一応は祇園育ちなので、人材不足の折から、幼いころは舞子さんになりませんかというお誘いを戴いたものである。もしなってれば、今頃はお金持ちのパトロンに恵まれて幸せな人生が送れていたかもしれないのに、バカな両親はそれを恐れて私たち姉妹を私立のミッションスクールに通わせ、私にはヴァイオリンを、妹にはバレエを習わせるというトンチンカンなことをしでかして、「川上」の跡継ぎまでなくすという大失態を演じたのでした。

2004/04/29
酢豚、ピリカラコンヤク、サラダほか
 あすから一泊の予定で京都に行くのできょうは近所の総菜屋でゲット。
 何もわざわざこんな連休中に行かなくてもよさそうなものだけれど、五月朔日の四世井上八千代師のご葬儀に参列しなくてはならない。それにしても先日NHKの追悼番組で放送された過去のビデオはすばらしかった。画質が頗る悪いにもかかわらず、その気迫に粛然させられ、「芸」とは本来こういうものを指すのであって、今日に古典芸能をうんぬんするなんてチャンチャラおかしいと思った次第。ビデオであってもそれがきちんと伝わってくるのだから怖いといえばいえる。 

2004/04/28
有機野菜梅ドレッシング和えほか
 文春の内山さんと三宿の「正(これでゴカクと読ませる)」で会食。
 「正」は新潮社の小林さん佐野氏、講談社の中島さん、そしてこんどの内山さんで3度目なので、何か一種の文芸バー(?)みたいな店なんだろうかと思ってしまうが、御三方ともここをお選びになったのはどうやらまったくの偶然であるらしい。で、前2回でオーガニック系の店だというのは知っていたが、今回は完全なベジタリアンの店になっていた。私も昔はそうでもなかったが、最近は肉より野菜のほうが食べたいと思うようになっているのでこれぞトレンド的転換といえるのかもしれない。

2004/04/27
ドライトマトとツナのパスタ、生ハムとルッコラとフルーツトマトのサラダ
 実にゲンキンな胃袋で、どうやら昨日の飽食でほぼ完全に復調したらしく、きょうは久々にQPを見て作る。両方ともレシピは不要だと思うが、パスタの味付けはアンチョビで。ニンニクのみじん切りと鷹の爪を入れるのもお忘れなく。ドライトマトの戻し汁を入れて味を豊かにするのがポイント。彩りにイタリアンパセリをトッピングした。
 サラダはオリーブ油と塩黒胡椒のシンプルなドレッシングで、彩りに使ったフルーツトマトは亀の食料を少しこちらにまわした次第。

2004/04/26
銀座マキシム・ド・パリ
 2日間の絶食と2日間ポトフのみという過酷な節制はすべて今宵のためであった。S氏の誕生会でマキシムにご招待される。
 前菜は伊勢エビとアワビ。ポアソンはハタのソテーほうれん草のピューレ添えバルサミコソース。メインディッシュはフォアグラとキャビアをラム肉でロールしてトリュフソースをかけた仔羊のマリア・カラス風。いずれもお味は絶品で、これにチェリーコンポートのアイスクリーム添えまで結局すべて平らげてしまい、胃がびっくり!!!したにちがいない。
 デザートの段階からS社の○氏が乱入し、例によってヘェーボタンを何十回も押したいような話を耳元で機関銃のようにまくしたてられた。○氏の話は日本社会のエスタブリッシュメントを裏側から覗くおもしろさがある。それにしても、思えば私のまわりにはこの○氏のようにエスタブ派の裏側に存在する人種が昔から結構いて、その人たちの話を聞くと、この社会でごくふつうに野心を持ってアクセクしても結局エスタブ派には勝てないどころか利用されるのがオチで、バッカみたいじゃんという気になってしまう。それで私がこんな怠け者になっちゃったってのは、むろんただのいいわけです。

2004/04/25
ポトフ&ブレッド
 昨日の続き。

2004/04/24
ポトフ
 絶食明けは必ずコレです。ベーコンと固形スープの素で出汁を作り、具材はキャベツ、新ジャガ、人参、ブロッコリー、セロリ、玉ねぎ、粗挽きウインナー。玉ねぎのみじん切りとマヨを混ぜた簡単タルタルで食す。

2004/04/23
吾妻徳弥芸術院受賞パーティ
 エッちゃんこと吾妻徳弥さんが芸術院賞と文部科学大臣賞をダブル受賞したお祝いでホテル・オークラのパーティに出かける。エッちゃんらしく舞踊業界の人を完全にシャットアウトして、門弟以外は昔から親しくしている友人や恩師だけを招待するという思いきった手作りパーティで、本人自らマイクを持って招待客ひとりひとりの挨拶をもらうという大奮闘であった。この受賞に関しては本人も精神的に相当参っていたようで、こうした身内だけの心温まるパーティになったのだと思うが、イマドキはこれくらいさりげなくやったほうがオシャレでいい。もっとも私は昨日に引き続いて胃腸の絶不調でオークラの美味しい料理を前にしてほとんど何も食べられず無念であった。とにかく来週の月曜日にはマキシムが待っているので早く胃を治さねばならぬ。

2004/04/22
ミルク
 このところの食べ過ぎが祟って絶食期間に入る。

2004/04/21
鉄板焼き
 PHPの熊谷氏が転職の挨拶でご来訪というので、やはりこの方にふさわしい鉄板焼きでお迎えした。次に予定している新聞連載の話から、博学のこのひとらしく言霊信仰にまで及んで盛り上がった末にご帰宅は深夜に。

2004/04/20
中華風天ぷら
 QPで見た料理。衣は卵と片栗粉とゴマ油をよく練って作る。豚肉をオイスターソース、おろしニンニク、砂糖、酒、塩、醤油に漬けておき、漬け汁ともども衣をまぶして揚げる。付け野菜にテレビはそら豆を使ったが、わたしは最近凝ってるスナップエンドウとブロッコリーにした。衣はふつうの天ぷらほど気を使わないで出来るのでオススメしたい。

2004/04/19
オムライス、野菜のスープ
 きのう炊いたご飯とスープが残っていたのでこのメニュー。オムライスの具はハム、玉ねぎ、缶詰のマッシュルーム、パセリ少々。ケチャップを控えウスターソースを少々加えて味をひきしめるのがコツと、前に何かの番組で見たのでその通りにした。

2004/04/18
鶏肉だんごと春野菜のスープ
前にQPか何かで見た料理。
だしが出る野菜(きょうは人参、セロリ、ゴボウ)を先に煮てそこにたっぷりの酒と鶏ガラスープを加え、鶏肉だんご(下味した鶏挽肉に卵と薄力粉を少々)、ほかの野菜(春キャベツ、スナップエンドウ、セリ)を入れてさらに煮る。野菜の旨味が出るので塩と胡椒のシンプルな味付けでもびっくりするほどおいしいスープになる。栄養価も高そうなのでオススメしたい。 

2004/04/17
鯛の木の芽焼き
前にテレビで見た料理。下味した鯛に木の芽を貼りつけて粉を軽くつけて焼く。皮目から焼いて木の芽が取れないようしばらくひっくり返さない。バターを溶かしてレモン汁を加えたソースで食す。付け野菜はホワイトアスパラガスのエスカルゴバターソテー。

2004/04/16
通夜のあと
 元ぴあ社員森(石井)伊都子さんのお通夜にお伺いしたあと進藤さん守部さんと食事。
 石井伊都子さんは「ぴあ歌舞伎ワンダーランド」の編集者で最近は「ヴォーグ」の編集に創刊から携わっていた。享年46歳で私より4つも若い。大腸癌による病死である。おとといご主人からお電話を頂いたときあまりのショックで呆然としてしまって、しばらくは涙も出なかった。去年の春から体調がすぐれず仕事を休んでいるのは知っていたけれど、まさか……という思いである。
 先月わたしは歌舞伎関係の仕事をすべて降りて、今後はもう出版関係の仕事に専念しようと決めた矢先であった。で、歌舞伎に関して色々とやったけれど、これは私にしかできなかったと自負できる仕事の白眉って何だろう?と、ふと考えてしまい、自分でも意外なことに「歌舞伎ワンダーランド」ではなかろうかと思ってしまったのがちょうど石井さんの亡くなる前夜だった。フィクションを書く人間だから信用されないかもしれないけれど、これは決して作り話ではない。よくいう虫の知らせだったのだと思う。
 1991年2月に刊行された「ぴあ歌舞伎ワンダーランド」の内表紙に私は監修者としてわが名を明記している。よくあるお飾りの監修者などではない。本当に隅から隅まできっちり監修した上に、原稿も半分以上書いて、他のライターの大半は私の友人で占められていた。
 もともと私は早稲田の大学院で研究者となるべく育てられた。にもかかわらず、学校の先生になるのが嫌さに、当時の日経連副会長のコネを頼んで松竹株式会社に入社して、企画芸文室という新たな部署まで設けてもらったところが、またまたにもかかわらず、当時伸び盛りだった「ぴあ」の編集者進藤さんたちに出会い、松竹の年寄り臭い雰囲気に嫌気がさして「ぴあ」の嘱託ブレーン兼ライターに転身したのである。
 我ながらなんて身勝手で恩知らずのひどいヤツだと思うけれど、「ぴあ歌舞伎ワンダーランド」はそんな身勝手な転身を繰り返した私でなければ、絶対に作れなかった本だ、と広言したい。あれ以降、亜流も含めて山のように歌舞伎に関するカジュアルは本が現れたけれど、当時は実に画期的な本だった。それまでの歌舞伎の本は俳優協会調べだと発行部数五千部が上限で、20万部という数字は空前絶後。すなわち歌舞伎を一度も見たことがない人がコレを読んで見るという、逆転現象を起こさせた初めての本だったのである。
 というようなことを著者兼監修者がここで自ら言わなくてはならないのは哀しい。
 あのころまだ小さかったお子さんを抱えて編集者を務めていたイツコちゃんが、松竹との交渉やら何やらで大変に辛い思いをしてたのを私は一番よく知っている。当時は編集者として未熟で私やほかのメンバーにしょっちゅう怒られていたイツコちゃんだが、あなたの情熱と努力が無ければとてもできなかった本です。
 けれどもまた、当時あれだけ歌舞伎を一般にわかりやすく、なおかつうるさ型の多い関係者や自己中の役者たちを黙らせる内容をこしらえるのがどれだけ大変だったか、私という人間がいなければできなかった本だってことを、証明してくれるのはイツコちゃん、あなだったはずです!
 若いのになんだって先に死んじゃうだよ。若い編集者が著者より先に死んでどうすんだよ。私は悔しさと腹立たしさで涙にくれてご冥福をお祈りしています。

2004/04/15
馬刺、鯛の兜煮、有機野菜の炭火焼きほか
 新潮社の佐野氏小林さんと三茶の「隠や」で会食。
 「小説新潮」で連載している「銀座開化事件帖」も早や4作目に入ったので、単行本の形をどうつけるかという点についてご相談をした次第。仕事の打ち合わせもそこそこに四方山話にうつつを抜かして帰ってTVを見たら、イラク人質解放のニュースが流れている。近年こんなにホッとしたニュースはなかったように思う。

2004/04/14
鶏ささみと野菜のネギ油かけ
 フジテレビで見た中華料理。ごはんのおかずというより会食の前菜に向いている。鶏ささみは湯に生姜片とネギの青い部分を入れて沸騰させずにじっくりと茹でるのがポイント。こうすると臭みが抜けてパサつかない。鶏を取りだした湯を沸騰させてスナップエンドウ、セロリ、パプリカをさっと茹でる。
 ネギと生姜のみじん切りに塩を加えて煮立たせた油をジュッとかけてこしらえた中華特有のタレをかけて食べる。

2004/04/13
ホタテ貝とアスパラガスのバターソテー
 フジテレビでエスカルゴバターの作り方を見ての献立だ。無塩バターを常温で溶かしてよく練って空気を出すのがポイント。玉ねぎとニンニクとパセリのみじん切り、アーモンドスライスを細かくしたものをバターに混ぜ込んで出来上がり。思ったほど手間ではなく色々とほかの料理にも使えて便利そうなバターソースである。

2004/04/12
新ジャガと豚肉の味噌煮込み
 QPで見た料理。豚ロースの塊をフライパンで先に炒めて脂を出し、その脂で新ジャガを焼き色がつくまで炒め、そこに湯と酒を入れて柔らかくなるまで煮る。出汁は使わず酒をかなり多めに入れて風味を出すのがポイント。きび砂糖と味噌で味付けし、仕上げに味醂と醤油を少々入れる。独自に彩りでインゲンを加えた。とにかく簡単にできてご飯によくあうオカズ。冷めても美味しい。

2004/04/11
海老とスナップエンドウと筍の炒め物
 国産のスナップエンドウをようやく見つけたので初めて食べることにした。甘くて実に美味しい。海老は下味をして卵白と片栗粉をまぶしてから炒める。エンドウは軽く茹でてから。生姜とネギのみじん切りで油に香りづけして、塩と酒でシンプルに味付け。隠し味に砂糖少々。

2004/04/10
鰻丼、ほうれん草の辛々和え、浅蜊のみそ汁
 鰻は市販のもの。ほうれん草の辛々和えはQPで見た中華メニュー。豆板醤と練りがらしを合わせてゴマ油で溶いたものを茹でたほうれん草にかけて食べる。

2004/04/09
鰆サラダ、魚ぞうめん
 QPで見た料理。春キャベツとキュウリの千切りは塩もみして青ジソと合わせる。鰆は軽く粉をつけてオリーブ油で揚げ焼きする。ドレッシングは酢、砂糖、塩、醤油、ゴマ油を混ぜ合わせる。魚ぞうめんは京都祇園新橋の「いず萬」製。

2004/04/09
海老のテリーヌ、鴨肉のソテーほか
 筑摩書房の磯部さんが遊びに来て近所の「プロヴァンス」で食事。「金持ち父さん」の大ヒットで筑摩はビルまで買っちゃったんだから、産みの親の磯部さんなんてもう一生仕事しなくてもよさそうなものなのに、ますます仕事が増えているご様子。それでも次にまた全く別の出版物で当てたいというので、その仕事はぜひこちらに回してネとお願いした(中身はないしょである)。
 近ごろのこの国が相当に右傾化し、若い世代に臆病で想像力の乏しい体制順応型人間が増えていて、だんだんヤバクなっているという状況認識が互いに一致して、戻ってきてTVを見たら、イラクでついに邦人が人質になったというニュースが流れているではないか。さあ、政府はどうするのか。それに対して国民はどのような反応を示すのだろうか。自分には直接関係ないから、まあいいや、と思って何も考えないという若い人は、ちょっと前までは意外と少なかったものなのだけれど……。

2004/04/07
牛肉とセロリのマスタード炒め
 先日QPか何かで見た料理を想い出しながら作る。牛肉を先に炒めてからセロリをたっぷり入れる。醤油で軽く味付けして粒マスタードとレモン汁で仕上げる。簡単にできてけっこう複雑な味わいだ。

2004/04/06

 渋谷で友人と食事。

2004/04/05
中華ちまき、肉包子、蓮実包子
 三夜連続の中華は近くの飲茶店「大地」でゲット。
 夕食後に、先日無事に治療を済ませた歯医者で点検するというので出かけたところ、例の八嶋智人似の先生がにっこり笑って「歯石も取りましょうねえ」とやられた。やはり凄まじい拷問音と共に口内が血だらけになる。しかしながら、あなたのヌードはなんて美しいの!と叫びたいような歯に生まれ変わって、持ち主はそれなりに満足しました。

2004/04/04
ラーメン、一口ギョーザ
 ギョーザは近所の専門店で、ラーメンはスーパーでゲット。きのうの続きというより打って変わってのチープ中華である。

2004/04/03
中華前菜3種、春餅(しゅんぴん)、中華粥ほか
 ひさびさに福光邸で晩餐会。福光阿津子さんは古くからの友人で、文化出版局の編集者であるところから一流の食器食材を山ほど抱えていて、時に豪華な晩餐会を催す。今回は中華料理でまとめて餅(ぴん)なども手作り。参加者の百田さんと私は夕5時から深夜11時過ぎまで食べ通しに食べ続けてそのあと3人で近所の後楽園ラクーアに行って一泊した。
 百田まどかさんは絵を見れば大概の人がすぐにアアとわかるイラストレーターで、会うのは何年ぶりかだが、自分の常識と食い違う体験を淡々とおもしろおかしく語るところはちっとも変わらない。で、今回はけっこう不気味な体験をしていた。
 ひとつはS県T市のあるプレゼンの選考委員を引き受けて、談合っぽいことに遭遇し、断固それを拒否して揉めた顛末。日本の地方都市ってヤバイことが起こっていそうに思うが、本当にそんなことってあるんだと実感した話である。
 もうひとつの話はもっと不気味で、彼女が地方の某市に工場をもつAという化粧品系の企業に招待されて、その工場がちょっと宗教っぽい雰囲気だったという素直な感想を自分のホームページで述べたところ(地方都市名は実名ながら企業名を仮名で書いたにもかかわらず)、それがナ、ナント広告代理店の電通にしっかりチェックされてしまい、電通を通してホームページの記述を削除するよう求められたという話である。
 はっきり言って、これは例の文春の出版差し止めの件なんかよりもっと怖い気がする。戦前と違って、今後は世界的に見て国家とか政治家ってものは所詮幻想や傀儡にしか過ぎないのでちっとも怖くないけれど、それに代わって企業と宗教が実にヤバイ存在となるのではないかという危惧をつねづね抱いていたが、百田さんのこの話ってモロにそうなのでちょっとビックリした次第だ。
 で、このHPでも勝手なこと書き散らしているので、読者のある方から、そんなこと書いて大丈夫?刺されない?と心配されたが、こっちもこっちでけっこう霊的に強いもんを持って生まれついているという自負が昔からあるので、刺せるもんなら刺してみろ、七生まで祟り抜いてやる!とがぜん強気にお応えしたのであった。

2004/04/02
サンドウィッチ
 紀伊国屋サザンシアターで井上ひさし作「太鼓たたいて笛ふいて」を見た帰りに渋谷駅の近くでゲット。
 劇場の受付でハテどこかで見た人だなあと思って招待名を横目でちらっと見たら、随分と前に一度だけ会った「小説現代」の元編集長だとわかり、ヤバって感じでそそくさと逃げだしたところ、文芸春秋社の勝尾氏にバッタリ。この方は「オール読物」の編集長をおやめになったばかりと知ってたので安心してご挨拶してたら、今度はなんと新潮社現担当の佐野氏にまで会ってしまい、ロビーで仕事の打ち合わせをするはめになる。さすが井上サンの芝居の初日ともなれば文芸三社が揃い踏みといった感じでびっくりさせられたが、私が招待されたのは文芸ではなく演劇関係者としてなのである(前に読売演劇大賞の選考委員をして以来、招待が来続けている)。
 で、この作品は初演のときに見損なっていて、当時評判がよかったのでこんどの再演を見たのだが、正直いってその評価には???。人気女流作家として戦前戦中を生きた林芙美子が己れの無知と打算ゆえに「戦争は儲かる」という国家の「物語」を紡がせられていくというストーリーの大枠は実に今日的にも意味があって面白いし、林芙美子を名前でしか知らない者にとっては、ヘエー従軍までしたの……と良い勉強にはなるのだけれど、コンセプト立てが強すぎるあまり、人物が自然に転がって筋が運ぶというところにまでこぎ着けない。いくら近年の井上サンでももうちょっと良い作品はたくさんあるし、これがそんなに評価されたのはさっぱり解せない。ただ太宰を主人公にした「人間合格」と同様に、この手の作品では井上サンが物書きという職業にこだわっている気持ちがよく伝わってくるので文芸関係者にはウケルかもしれない。戯曲としてはともかく、大竹しのぶ、梅沢昌代、木場勝巳といった芸達者をこれでもかというほど揃えているので、それなりに面白く見られる舞台ではあった。

2004/04/01
野菜入りミートスパゲティ
 前にテレビで見た料理を適当にアレンジした。挽肉以外の具はニンニク、玉ねぎ、ジャガイモ、椎茸を適当に細かくして、トマトとグリンピースと粒コーンの缶詰を加え、塩、胡椒、ケチャップ、ウスターソースで適当に味付けする。簡単で万人向きの味。

2004/03/31
大島邸で追善晩餐会
 故・杵屋花叟師、故・中村歌右衛門丈のダブル命日に当たる今宵は例年花叟師の忘れ形見大島やすこさん宅で手料理をご馳走になる日である。
 今年は中華の献立で、前菜は鶏肉の自家薫製にクラゲとキュウリの酢漬け、ホタテ貝の酢豚風、肉ソボロの葉包み、白菜のクリーム煮と、いずれも抜群のおいしさで、これに吾妻徳弥さんご持参のお手製ちらし寿司が加わって、これまた非常においしく頂いた。持つべきものは何といっても料理が上手な友人だとつくづく思う一夜であった。
 デザートは角川春樹事務所の原重役ご持参の柏水堂の三色シュークリームと守部さんご持参の代官山のチョコレートケーキ、これに三村さんご持参の一保堂のお茶とくればもう文句はない!
 この晩餐会のハイライトは例年タカラヅカ扮装ごっこなのだが、今年は初参加のエッちゃんこと徳弥さんが男装女装ともに披露した。最近、文部科学大臣賞と芸術院賞をダブル受賞したこのひとが、ここでこんなバカしてるのを、受賞で大騒ぎする業界関係者はだれも知らなくて、本人さぞかしザマアカンカンといいたいところだろう。
 長唄界の異端的名人だった杵屋花叟さんの娘である大島やすこさんは、かつて父の親友中村鴈治郎の妻扇千景に勧められて、それまで自分が一度も見たことがないタカラヅカの音楽学校を卒業して入団し、なんと扇千花(笑える)という芸名まで持っていた元タカラジェンヌである。私が知り合ったときは鴈治郎のマネージャーで、現在は桂米朝事務所のマネージャーだが、昔とった杵柄で前に某カルチャーセンターで宝塚講座を開いていたことがあり、今でもメイク道具一式とさまざまな衣裳を使って、素人をたちどころにモノホンのタカラヅカの男役や娘役に仕立てるスゴ腕の持ち主だ。花叟師一周忌に集ったメンバー全員がこれにハマってしまった。私も前に両役に挑戦し、娘役で縦ロールの鬘と真っ赤なドレスを身につけると、ミステリーの女王亡き山村美紗センセイそっくりになって自分でびっくりした覚えがある。角川事務所の原さんも前に一度男役に挑戦し、その扮装写真を会社中に見せまわるほどみごとにハマってしまわれた。扮装という行為は人間の心を開放させるので、お仕事や人間関係にお疲れの出られた皆様には、ぜひ一度こういったコスプレ遊びをオススメしたい。

2004/03/30
サバの一夜干し、水菜と揚げの煮物
 忙中閑ありでは全くないけれど、飽食のなかには質素が必要とみて今宵の晩御飯となる。連日の疲れがどっと出て、昼間は寝込んでしまい、夜は世田パブでやってる野村萬斎のトーク&パフォーマンスを見る予定をパスしたくらい。

2004/03/29
ゴルゴンゾーラのムース、牡蠣と九条ネギのピッツァほか
 滑稽な顔でアホっぽい(よく言えばファニーフェースで剽軽な)甥っ子が春休みで母親のわが妹と一緒に東上したので、折もおりとて上野へ花見に行き、次に都庁を見せ、最後に銀座でご馳走して帰した。本人は鉄道マニアでどこに行きたいわけでもなく、ただ各駅で時刻表をゲットするだけのためにやたらと地下鉄に乗りたがる。安くつく趣味でよかったとはいうものの、付き合わされたオバ様は大変だった!

2004/03/28
海老蔵襲名パーティ
 帝国ホテルの孔雀の間で催されたパーティに集ったのはな、なんと二千七百人!入口でバッタリお茶の阪本先生に出くわしたあとも続々と知り合いに出会えたのは実にラッキーだったが、会場は満員電車さながらの混雑ぶりで、息苦しくて倒れる人がいなかったのが不思議なくらいだった。見かけたなかで度肝を抜かれたのは浅香光代のへんてこりんな衣裳。思ったより芸能人ぽかったのは中井貴一。
 司会進行はフジテレビ「トクダネ!」のキャスター小倉サンと賢そうな女子アナのコンビ、当事者の新之助改め海老蔵は相変わらずややたどたどしい挨拶ながら涙目で妙に真実味がこもってまずまずだったが、祝辞で次々登壇したのが小泉純一郎、森喜朗、ウシオ電機の牛尾次朗といった面々で、これって襲名に便乗した自民党の(ことに旧森派の)参院選対策の一環だってのが見え見えなのだけれど、松竹も自民党も持ちつ持たれつでいいのねって感じで、会場のほとんどはほぼ好感をもって迎えていた。たとえばアメリカでチャールトン・ヘストンやシュワちゃんらの共和党寄りの俳優が主催するパーティの雰囲気ってこんな感じなのかもしれないけれど、日本の場合は結局のところ民主政治というものに無自覚のまま保守に荷担してしまう人が多そうなのでコワイ。自覚的に保守の人はそれなりにアッパレながら、私はゼッタイに同類だとは思われたくない。古典芸能に関わってしまうと、時にこうした超コンサバ人種の群に巻き込まれて、一緒にカウントされてたりするのがまずい。昔から私の悩みのタネである。
 で、お茶の先生から会場で小泉さんというご婦人に紹介されたら、「新橋演舞場でお会いしたという話を兄から伺っております」といわれてこっちは???。あとで聞けば、そのご婦人は小泉の義妹すなわち弟のヨメさんなのだという。たしかに総理になる以前の小泉と私は演舞場で会っている。といっても、たまたま近くの席に座っていて、幕間に斜め向かいの喫茶店に行ったら、向こうがあとをつけてきた(自分が若くて美人だったらきっとストーカーされてるにちがいないと思ったほど、にやにやしながらついてきたのでやっぱりこの人はモノホンの変人だと思う!)そのときは父と一緒で、「川上」にも来たことがあるというので話しかけたことがあって、「仲蔵狂乱」の話もしたが、まさか向こうがそれを憶えてたなんてことがあるのだろうか、といまだに???な私である。歌舞伎に次いで時代小説というアイテムもまたコンサバ族を引き寄せがちなのがツライ。こっちは決してコンサバ擁護で書いてるつもりはないのだけれど……。

2004/03/27
筍の土佐煮ほか
 京都の地物を追いカツオ付きで送ってくれた「川上」のホープかとちゃんに感謝!かとちゃんのレシピ通りに作って成功したのがコレ。最初から出汁に追いカツオを入れて酒と薄口醤油だけでコトコト2時間ほど煮ました。2時間も煮ると本当に味がしみるので、もう少し薄味にしたほうが筍のうまみがよく出たかなあというのが反省点です。

2004/03/26
サバのみそ漬け、鶏肉のカシューナッツ炒めほか
 祝儀袋の問い合わせで大島さん宅を訪ね、うっかり長居してしまい、近所の総菜屋でゲット。

2004/03/25
ソース焼きそば
 きょうの具はソーセージ、イカ、キャベツ、玉ねぎ、もやし。これにアスパラガスを別に塩炒めして食す。

2004/03/24
チリご飯、そばサラダ
 きょうは実に盛りだくさんに動き回る。まず渋谷で銀行口座の支店変更をして、そのあと国立劇場の歌舞伎委員会に出席。めでたく来年度の委員をご辞退申し上げ、同委員の松竹の方とチト込み入ったお話を済ませたのち、国立劇場の近所にある文春ビルから内山さんを呼び出して晩御飯にお付き合い願った。きょうの話し合いで歌舞伎に関してはこれで当分ご縁がなくなるはずで、いささかほっとした一日であった。

2004/03/24
スパニッシュオムレツ
 QPで見た料理。中身の具は玉ねぎ、ジャガイモ、パプリカ、ソーセージ。玉ねぎは甘みが出るよう色づくまでじっくり炒め、ジャガイモ以下の具もある程度しっかり炒めること。卵は塩胡椒した上で粉チーズとニンニクのすり下ろしを加えると風味が出る。炒めた具を卵に入れて、バターを焦がしたフライパンで加熱して出来上がり。
 夜に突然ワシントンDCに住んでいるはずの友人の古沢加代子がうちに遊びに来て、アメリカの現況についていろいろと話を聞く。一応外交官夫人なので、この間メールや電話のやりとりではお互いなかなか話ができなかったのだけれど、やっぱり大変だったのだなあと改めて思った次第だ。
 世界情勢も今後どうなることやらと思われる事件が相次いでいるのに、長島の容態やらQちゃん落選やらハルウララのニュースを流しているニッポンって、ほんと平和な国でようござんした、というしかあるまい。

2004/03/22
豚しゃぶ
 凄まじい寒の戻りで、つい鍋に走ってしまった。具は豚のほかに白菜、長ネギ、セリ、エノキダケ、豆腐。大根おろしとポン酢で食す。

2004/03/21
生ハムのサラダ、ボタン海老のカルパッチョ、ポルチーニのリゾットほか
 日本橋劇場で中村京蔵の自主公演を大島さんと見て、会場で会った安達さん、吾妻徳弥さんらと近くで食事。
 公演は共に小野小町をモチーフにした芝居と舞踊の二本立てで、小町と深草少将が桜餅屋の夫婦に早変わりするという文化文政期風の変化物を狙った創作舞踊「通小町」はかなり面白かった。同じく通小町を趣向とした新作「白夜小町」のほうはキャスティングも脚本演出もすべて新派と歌舞伎のフュージョンであるために、どっちに寄って見たらいいのか大いに迷い、盛りだくさんすぎて焦点が絞りきれない。意欲的な公演であるのはわかるが、今後はスタッフ、キャスト双方の見直しが望まれる。自主公演は主宰者が相当にストイックな姿勢で臨まないと単なる自己満足で終わりかねない。古くからの友人としていささか危惧を抱かざるを得ない公演だった。

2004/03/20
天ぷら近藤
 お昼に三菱信託銀行勤務の中岡さんに会って銀座の「近藤」で食事。連夜の揚げ物でカローリーオーバーなので晩御飯はヌキ。「近藤」はビルに入ってから訪れるのは初めてだが、入り口に行列ができてごった返しているのにもうビックリである。奥に別室が用意されて、中の厨房は行き来ができるようになったステキな造りに感心した。味はもちろんGOOで、春野菜はやっぱり天ぷらに限ると思う。
 久々に会った中岡壽子さんは私のプライベートなファイナンシャル・プランナーで(なんちゃって運用するほどの資産も無いくせにいうところがコワイ)会うと銀行業界の話がいろいろ聞けてありがたい。やはり銀行の女性たちも今は大変そうで、休日にゼミや研修に自費参加して種々の資格を取得していかなくてはならないようだ。今回はトレーディングゲームというものに参加した話を実に面白く聞かせてもらった。色んな国、たとえばアメリカだとか、日本だとかの立場になりきって物を生産し、それを流通させて利益を得るというゲームで、それぞれの国力によって持つアイテムの種類や数が異なるらしいのだが、たまたま彼女が受け持たされた国はなんとラオスだという。「ウーン、ラオスって地図の形は知ってるけど、どんな国かってあんまりイメージ湧かないよね」「でしょ、でしょ。だから私もこりゃ最初から勝負にならんわと思ったのよ」とのことでした。

2004/03/19
みそかつ定食
 新国立劇場で野田秀樹作「透明人間の蒸気」を見て近所で食事。
 目が見えないけれど透明人間になった男だけが見える女がいて、黄泉の湯で洗い流せば女は目が見えるようになり、男は他人から見えるようになるが、その湯は残念ながらたった一人分しかない。つまり女はその湯を使って他のものが見えるようになったとたんにその男が見えなくなる。逆に男がその湯を使うと、他人からは見られるようになるが、とたんにその女には見えなくなる。本作品のメインモチーフともなるこうしたパラドックスの設定は、恋愛というものの陳腐なまでに常套的なメタファーともいえる。が、最終的にその湯を使って女のもとを去る男を見て、ひょっとしてこれを書いたときの野田クンって前妻の竹下明子ちゃんと別れる直前だったのかも、なんてつい下世話なオバサンの私は思ったのでした。宮沢りえ扮するその目が見えない女は、大竹しのぶとの出会いがある以前の野田秀樹が描くピュアで稚い少女のイメージに終始して、そういう点では今見ると物足りない気がする。
 またこの作品は一方で八百万の神々に君臨する「天皇」という透明な存在と、風化する日本の二十世紀という大きなテーマを見据えてはいるのだが、こっちの巨大なテーマも恋愛のモチーフもなんだかコンセプトが先立って、自然に転がって書かれたという感じがしない。その点は主役の宮沢りえと阿部サダヲ以外の人物がまったく立っていないことによく現れていて、手塚とおるの役はともかくも、六平直政は彼の持ち味を発揮するところまでいかず、高橋由美子や大沢健らは気の毒なくらいだった。ちなみに六平が結構なお歳でバク転を披露したのは驚きでした。

2004/03/18
鰆の酒蒸し春野菜のあんかけ
 このところ彩りがきれいなので立て続けにフジテレビの料理をチョイスしている。ウドとアスパラとパプリカを昆布だし薄口醤油、味醂で煮立てたあんかけは彩りもさることながら香りがとてもいいのでオススメ。あまり煮すぎないほうがいい。酒蒸しはトレイに昆布を敷いて酒を振りかけて電子レンジで簡単にできます。

2004/03/17
海老と春野菜の中華風和え物
 久々に見てすぐに作りたくなったフジテレビの料理。極細に千切りした新ジャガと、そら豆、アスパラガス、海老、キクラゲをそれぞれに茹でて和え、塩胡椒とゴマ油でシンプルに味付けし、最後に自家製辣油(唐辛子を油に入れて黒くなるまで熱して作る)をまわしかけて出来上がり。ジャガイモの千切りは水によくさらして、さっと茹でたあとに氷水でしめるといい。茹でるお湯には塩とサラダ油を入れて色鮮やかに仕上げるのがポイント。和える前に各具材をよく水切りしておかないとみずっぽくなるので要注意。塩だけのシンプルな味付けもいいが、少し物足りないと思う向きはナンムプラーとかレモン汁をかけて食べる手もあるように思う。

2004/03/16
イカと春野菜のパスタ
 フジテレビで見た料理。イカは皮をむかないでもOK。塩でしっかり下味してからニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油で少し焦げ目をつけるくらいに強火で炒め、白ワインとパセリのみじん切りを加えてさらに炒める。春キャベツと菜の花はパスタと一緒に茹でて加える。味付けが非常にシンプルなわりには見た目もきれいで美味しくできる。

2004/03/16
豚肉のキウイ炒め
 こんなものを見るようになったらオシマイだといっておきながら、またつい見てしまったみのもんた番組の料理である。豚肉を生姜焼き風に炒めて最後にキウイのみじん切りを加えるだけ。肉はたしかに柔らかくなった気はするが、きょう作った段階では味に多少の違和感を覚えるので微調整が必要だと思われた。付け野菜はアスパラを塩炒めした。

2004/03/14
金目鯛のソテー、クレソンのパスタ
 前にQPで見た献立を想いだして作った。金目鯛はニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油にドライトマトで味付けし、長ネギを加えてソテーした。クレソンのパスタはただニンニクオイルでさっと炒めただけのシンプルなものだが、簡単にできて爽やかな食感で、サイドテーブルにもってこいの一品だと思う。

2004/03/13
ホッケの開き、モズク、ルッコラと生ハムのサラダ
 さぞかし一貫性のない献立だとお思いでしょうが、その原因は、材料を買ってる途中で産地直送のホッケの開きが安売りされてて、急にメニューを変更したことにあります。サラダのドレッシングは自家製(レモン汁、オリーブ油、塩、黒白胡椒で美味しく仕上がった)で、ほかにトマトとサラダ菜を加えている。

2004/03/12
蛸とセロリのマリネ、イカとアスパラの中華風炒め、サバの味噌焼きほか
 お茶の稽古の帰りに近所の総菜屋でゲット。
 きょうはめずらしく稽古場が空いていて堀越智恵子ちゃんと二人だけだったので、お道具拝見までを習う。どういうわけか弟子の中で一度も会わない人もいるくらいなのに、こちらが時間帯を替えても智恵子ちゃんとは必ずといっていいほど一緒になるのが不思議だ。よほどご縁があるのだろうか。勢いお兄ちゃんの海老蔵襲名でいろいろと準備が大変な話を伺うことになる。私としては本当に襲名づいたとしかいいようがない一週間であった。

2004/03/11
食べない
 きょうはお昼にホテル・オークラの「オーキッド・ルーム」で中村鴈治郎さんにフルコースをご馳走になって、午後11時を過ぎた今もお腹がすかないので晩御飯はヌキである。
 鴈治郎さんは来年の12月に坂田藤十郎を襲名する予定で、そのことでご相談に与ったのだが、今週の私はなんだか「襲名」に祟られているというか、歌舞伎役者が結託しておちょくっとるのか!と被害妄想になるほどである。
 時代小説のなかで襲名興行ってものをしばしば題材にしてるけど、それはあくまでフィクションであって、本当のことをいうと、江戸時代には今日のように大々的イベント化された襲名興行なんてものは無かったのです。襲名という言葉自体あまり古くには遡れず、襲名興行は明治以降にできた興行会社S社という一私企業が発明したいわば「商品」にほかなりません。にもかかわらず、一般の方々にそれがあたかも公的なイベントのように認識されて有り難がられる感じって、小説のA賞N賞をB社という一出版社がやってるだけなのを、これも一般の方々があまりご存知ないのと非常に似ている気がします。関係者のくせにそんなこと暴露しなくてもよさそうなものだけれど、巻き込まれた身の災難で、皆さん、そんなに安易にダマサレルナ!と私は声を大にして訴えたい。
 で、きょうはオークラのあと銀座の「ぜん屋」で草履を「くのや」で和装用バッグを買い求め、麹町にお茶の稽古に行きました。なんて書くと、無茶苦茶スノッブな生活をしてるみたいだけど、この歳になりゃ腹の底でケラケラ嗤いながらスノッブもこなしてなんぼだと思って、きょうは固め打ちに徹したのでした。 

2004/03/10
けんちんソバ定食
 世田谷パブリックシアターで音楽劇「ファウスト」を観る前に近所で食事。
 うーん。ある時期から日本各地に猛烈な勢いで劇場が建ちはじめて(その数ざっと二千ともいわれる)、次々とこけら落としをしているのだから、色んな制作があってしかるべきなのだろう。こと舞台物に関しては東京や関西の古くから興行が盛んだった土地のプロレベルと、地方レベルとの違いが抜きがたくあって、それはその土地で観ればどっちが上とか下とかの問題ではないことを、私はかつて地方の芝居づくりも手伝った経験で知ってるから敢えていうのだけれど、東京で地方制作を見せられるのはちょっとツライものがあるなあ、と、つくづく感じたきょうの舞台であった。むろん芝居で悪擦れしていない観客にはストレートでわかりやすくて、ああ、ゲーテの「ファウスト」ってこんな話なんだと歓ばれるだろう。主演のファウスト博士を演じた筒井道隆の学芸会みたいな単調なせりふまわしがこの舞台の素人臭い感じをより印象づけたようでもある。みんな真面目にはやってるので、別に腹立たしくはない。

2004/03/09
豚シャブとホワイトアスパラの梅ドレシングサラダ
 前に見たQPではたしかアスパラでなくウドを使っていたが、近所のスーパーではウドが品切れしてWアスパラが安かったので替えた。ほかに和えた野菜はキュウリ、セロリ、三つ葉。豚しゃぶしゃぶ肉とアスパラはもちろん茹でて使い、三つ葉もさっと湯を通す。ドレッシングは梅肉に砂糖、酢、醤油、ゴマ油を混ぜて作るがこれは何にでも合いそうでオススメだ。
 茹でて食べるホワイトアスパラは甘くて美味しい。缶詰しかなかった子供の時分からの大好物である。当時は珍しいように思っていたけれど、明治初期の新聞を読んでいたら、アスパラが園芸植物として輸入されていたのがわかってビックリした。

2004/03/08
ハヤシライス
 ポトフの翌日はいつも残りを利用したカレーだが、きょうはそのバリエ(?)で新宿中村屋のフレークを使ったコレ。きょうはもう胃腸ほぼ万全で、がぜん食欲が出てきた。われながらコワイ。

2004/03/07
ポトフ
 絶食明けの定番メニュー。中身は牛すね肉、大根、人参、キャベツ、ジャガイモ、玉ねぎ、ブロッコリーと盛りだくさんである。
 きょうの昼間ピンポンが鳴ったとき、うっかりインターホンを聞かずに玄関に出てしまい、ドアの覗き穴から見たところ怪しげな二人連れの男性で、おとなしそうな声で何かゴニョゴニョ言ってる。てっきり押し売りだろうと思ってドアを開けて追い払おうとしたところ、いきなり「市川家から海老蔵襲名のご挨拶に参りました」と言われてドッヒャーであった。こっちはむろんスッピンで、朝起きてから梳かしていないグシャグシャの髪、寝間着に毛が生えたていどの服しか着ていない。相手はさすがに黒紋付袴のご本人ではないが、ちゃんと背広を着たお弟子さんである。黒塗りの角盆に載せて袱紗をかけた襲名ご挨拶3点セット(これは誰でも必ず扇と手ぬぐいと何かに決まってる)を恭しく差しだされて一瞬ど、どうしよう……と、うろたえてしまいました。
 ほかの役者さんからも襲名3点セットを郵送で頂いたことは何度かあるが、我が家に直接訪ねて来られるとは思ってもおらず、さすが市川宗家は丁寧だなあ、などと感心している場合ではない。袱紗かけの頂戴物をした場合は、たしかいったん奥に引っ込んで、懐紙を包んでお返しするんだっけ……と、ぼんやり頭の中に浮かんでいても、ジーンズはいて白シャツに汚いセーター着てる私には、そんなキザな真似はとてもできなかった。仕方なく玄関先で失礼しますといって下駄箱の上に3点セットを取りだして早々にお帰り頂いた。まったく不意打ちにやられちまったゼイって感じだ。
 前に住んでいたマンションでトイレの天井に水漏れがして、二階の部屋に苦情を言いに行ったら、その部屋の男性が「すいません、どんな状態か見せてください」とおっしゃる。仕方なく汚い部屋に通してトイレまで見せてしまったそのあとで、「ぼく国立劇場に勤めていて、松井さんのこと前から知ってました」といわれたとき以来の衝撃であった。 
 まあ、私もいい年なんだから、そろそろこうしたことにも日ごろからちゃんと対処できるような人間になってなきゃダメなんだろうなあとは思うけど、ふだんはメチャメチャ気を抜いて暮らしてるので時々ひどい目に遭う。洗濯でくたくたになったTシャツをノーブラで着て短パンはいた姿で三茶駅周辺をふらふら歩いていたら、パブリックシアターの名プロデューサー高萩氏に背中をポンと叩かれて、ほんとに酷いヤツだといまだに相手を恨んでいる私です。

2004/03/06
食べない(かもしれない)
 きょうは体調が頗る悪いところにもってきて歯医者でまたしても拷問を受けたのち、例の国立劇場の仕事で「鏡山旧錦絵」を見なくてはならなくて、私にしては珍しく夜の九時を過ぎても食欲がさっぱりわかない。こんな風になると昔はよく胃ガン?とか思ったけど、この年ではそれも冗談にならない。まあ、たいていは食べ過ぎが積み重なった胃腸疲れだから、一晩抜けばケロリとしてまた猛烈に食べ出すのである。
 で、国立最後のお勤めが、わが又いとこの翫雀、扇雀兄弟が主演のお芝居とは皮肉な話である。チラシを見るなりゲーっといって、こんなんで客入る?とか元彼らのマネージャーであった大島さんと一緒に言ってたのだけれど、実際に見ると意外に悪くない出来だったのである(これって身びいきが0に近い私の感想です)。
 で、それはなぜかというに、全体に上方風の演出というよりも文楽そっくりに演じたために、本行の太夫のテープがかなり参考になったせいだろうと見る。いつもセリフのド酷い翫雀の岩藤が、ああ、これでもう少しタッパ(背丈)があったら立派に見えるのになあ、という気持ちを起こさせるほどに、そこそこの出来でおさまっていたので、ここは身内気分で少しほっとした。尾上役の扇雀も駅張りのポスターなんか見るとこれって尾上?岩藤の間違いじゃないのといいたくなるほどに拵えや目つきが悪いのであるが、舞台ではしっとりとして、お初とのからみでは一瞬ほろっとくるほど情のある、なかなかいい尾上であった。
 ただしふたりをそこまで良くしたのは鴈治郎パパではなくて、共演の亀治郎に刺激されたのかもしれないと思うほど、亀治郎が本行そっくりのイキでもの凄くいい。彼が出ていない前半で、体調の悪い私は実はほとんど寝てしまったのである。子役のころから天才だと思われたこのひとの達者さは伯父猿之助を越えている。ああ、これでもうちょっと背丈があって、顔がぶさいくじゃなかったら、未来の歌舞伎界はこのひとが背負って立つといてもおかしくはない。いわゆるニンにぴったりのこのひとのお初を見るために、今月は皆さんもし暇があったら国立に足をお運びになってもいいんじゃないかとオススメしたいくらいである。
 今ちょうど小説すばるで連載してる「家、家にあらず」が御殿女中物なのでいろいろと文献を調べた結果、そうした目で眺めると、江戸時代の舞台作りって案外リアルなものなんだなあと改めて納得される。女ばかりの集団で実際に起こりそうな愛憎劇をコンパクトに描くとこうなるという見本のようなお芝居が、文楽では真西風と呼ばれる極端にストイックで硬派の語り口で演じられるところにこの芝居の本道があるのだが、こんどの上演はその本道である真西風のイキを伝えたものとして、従来の歌舞伎の演出とは全く違ったおもしろさを感じさせる。むろんそのことによる弊害も随所に見られるが、そこまでは書かない。
 

2004/03/05
ぶりの照り焼き、水菜と揚げの煮物
 きょうはあっさりめの夕食にした。レシピは記すまでもないと思う。

2004/03/04
ゴルゴンゾーラムース、平貝とツブ貝のサラダ、牛タンスモークのピザほか
 東京国際フォーラムでマシュー・ボーンの「くるみ割人形」を見たあと内山さんと彼女の親友である渡辺さんと近くのイタメシで会食。内山さんは一応文春の担当編集者とはいいながらまだ一度も小説でお世話になったこともなく、一級建築士として都内のビルをいっぱい建てておられる渡辺さんとは全くの初対面で、考えてみればちょっと不思議な取り合わせなのだけれど、冴えないオバサンの私にとっては若い優秀な女性の社会進出を実感できるきわめて貴重な体験だった。日本の女性は美的にも能力的にも一部は確実に物凄くバージョンアップしている!けれどその反面どんどん子供を産んでは殺してる女性もいるっていう二極化した現実をどう捉えたらよいのか……。
  ともあれマシュー・ボーンの「クルミ割り」は少女の性的夢想という観点で彼なりの毒をきかせた演出がうまく活かされた舞台であった。前半はドイツ表現主義のような装置で孤児院を舞台にしており、その装置が割れると一転してルネ・マグリッドの絵を彷彿とさせる舞台となる。(割れた瞬間はまさに少女が女になる瞬間のメタファーだとは思うのだけれど、ベッドがナプキンに見えたり円形の窓がおかしなモノに見えるのはオバサンの妄想なのだろうか)  
 前半はそれこそ「カリガリ博士」に代表される表現派映画にも似たホラー仕立てで演出されており、こうなるとNUTCRACKERというタイトル自体すでにホラーくさい感じがしてしまうのがおかしい。後半はピンク色満載のかわいらしさで、一見きれいなシーンなのにやっぱり猥雑さも満載で、少女の夢を徹底的におちょくってくれる。これって冒涜だって怒ったりする人がいないのかと思うけれど、客席はせめて笑えよ!といいたいくらい案外おとなしいものであった。どう反応すればいいのか迷ったりする人もいたのかもしれない。


2004/03/03
ちらし寿司、蛤のお吸い物
雛祭りの定番。

2004/03/02
鶏肉とエリンギとチンゲンサイの炒め物
 この時期に鶏肉の料理を放送したQPは見上げたもんである!てなわけで私も鶏を応援したい気持ちで作ってみました。味付けは砂糖、醤油、酒、味醂の焼き鳥風で、粉山椒か七味をふって食べるといい。具はほかに長ネギの芯を取って白い部分だけを使う。チンゲンサイは茎と葉の火の通し方を変え、その前にエリンギをじっくり炒めるのがポイント。

2004/03/01
菜の花とベーコンのパスタ
 きょうは入稿〆切とゲラの戻しが重なって適当に作ってすませた。
 で、きのう買ったPCを立ち上げたところ、案の定ウインドウズXPでは現在のマイワープロ一太郎7が使えないと判明!ホント毎度ながらこういうことって頭に来ます。まあ、ソフト屋さんという商売も一度それが流布したらやることが無くなって組織を解散するしかないので、次から次へどんどん意味の薄まっていくバージョンアップを重ねることで利益をあげるしかないのだろうけれど、利益至上主義(でなければ前のバージョンを使えなくするはずがない!)による周辺環境の変化は如何なもんかと思ってしまう。パソコンに限らずこれってどの産業にもいえることで、今や企業の存続のために人間は次々と要らないものを身のまわりに増やして環境を変えていかなくてはならない。しかし人間もまた一種の生物であり、生物にとって本来過剰な環境の変化はあまり望ましいものではないのだから、結局のところビル・ゲーツのあんチャンが独り勝ちするなかで60億の民のほとんどが肉体や精神を病むことのないよう祈りたいもんである。

2004/02/29
豚肉とウドとサヤエンドウの炒め物
 スーパーのパンフで見た料理。豚もも肉は塩胡椒で味して片栗粉をまぶして炒める。トウバンジャン、酒、醤油でピリカラ風に味付けした。
 今後のPC事故を恐れて環七沿いの「コジマ」にノート型パソコンを買いに出かけてたらキャンペーン中で福引きをやっていて、3等賞のワインとワイングラスセットが当たったのはいいけれど、両方手に提げて帰るのにえらく難渋した。B5サイズのノート型だから独りで持って帰れそうに思ったが、マニュアルとかいろんなグッズがセットだからとだんだんと持ち重りがして、ふつうに歩いても30分はかかる距離を緑道を通ったために途中でタクシーを拾うこともできず、ああ、やっぱりわが家に車夫のひとりも召し抱えておくべきだと思ってしまったのは今ちょうど明治物の連載を書いている最中だからです。

2004/02/28
鶏肉と山菜のサラダ
 ああ、なんて春なんだ!と我ながら感心してしまう今日の料理はスーパーのパンフを参考に作りました。パーティメニューにもオススメである。鶏肉は下味して表面をカリッとさせてから蒸し焼きにして一口サイズに切る。コゴミ、タラの芽はさっと茹でて、フキノトウは油で揚げて醤油ドレッシング(オリーブ油、酢、醤油、黒白胡椒)であえる。パンフではこれに菜の花とウルイが入っていたが無くても十分だと思う。
 いま鶏肉が安いのでほかの具材も贅沢に使えるのがうれしい。それにしても、こないだ一年前の卵を売ったかと思うと、今度は二万八千羽の鶏が死んでも放っておくなんて、京都の養鶏業者の感覚ってどうなってんのかと思うけれど、鳥インフルエンザがどこまで広がるか非常に不安だ。かわいそうにアジアではいろんな鳥がバタバタ死んでるようだし……。で、鳥インフルエンザがあるってことは、亀インフルエンザも当然ありそうなので心配しております。

2004/02/27
老人力のご飯
 三軒茶屋下馬界隈に住んでいる独り暮らしの老人が年に一度集まって共同で料理をする会があるらしい。で、別に私がそこに呼ばれたわけではなくて(信じてください!)うちの大家さんが参加して作ったちらし寿司や筍の炒め物、豆腐の和え物などをお裾分けしてくださった。今年の参加者は80名とかで、毎年100名前後の参加があるという。この近所だけでもそんなに独り暮らしの老人が多いのだといって、大家さん自身びっくりしておられた。ご自身はちゃんと立派な息子さんが何人かおいでのようなのだが、とてもやさしい善い方なので、敢えて賢明な別居を選択なさっているのだろうと思う。きょうは歯医者に行く予定だったので頂戴して本当にありがたかった。
 八嶋智人によく似た歯医者さんはとてもやさしい感じで「大丈夫ですよー」といいながら物凄い音を立てて私の口の中を血だらけしてくれた。おまけに仮歯をかぶせる際にこれってアロンアルファ?という感じの臭いがするのはたまらない。歯科にはできるだけお世話にならないようにしたいものだが、これだけは老人力で如何ともしがたいものがある。

2004/02/26
ラムソテーほか
 近所の「プロヴァンス」で友人と食事してたら、世間は狭い!講談社で国兼氏とタメを張るという新書編集部の岡本氏にバッタリ会ってしまった。岡本氏が月例会を催しているくらいだから、やはりお食べ得な店なのだろうと改めて思う。

2004/02/25

 友人と渋谷で食事。

2004/02/24
豆腐サラダ
 スーパーのパンフで見た通りの作り方で油はまったく使っていない。豆腐、塩胡椒酒で下味した卵、シラスいずれも電子レンジで処理する。豆腐の味付けはこぶ茶で。細かく切ったニラとプチトマトは生のまま使う。薄味なので食べるときに醤油を垂らしてもいい。

2004/02/23
鯛とタラの芽のパスタ
バンザーイ、PCの完全修復成る!レスキューに駆けつけてくれた近所の大島さんと食事。スーパーのパンフに載っていた料理で、ニンニクと赤とうがらしを入れたオリーブオイルで下味して薄力粉をまぶした鯛の切り身、春キャベツ、タラの芽を炒めただけのシンプルなパスタ。
 それにしても一時はどうなることかと思われた今度のPC騒動であった。最初は通信ソフトの不調に始まって、ワープロのフォントがゴチックを除いてすべて消えてしまうところから、ついにはセーフモードでも立ち上がらなくなるという修羅場になり、初期化したあともなお通信ソフトが完全には使えない状態が今日まで続いた。ワープロ一太郎のユーザー辞書とメールアドレスは無くなってしまったままとはいえ、それでもPC本体が完全に使えるようになったことの有り難さは筆舌に尽くしがたい。大島さんに感謝!並びに宮川さん、岡野さん、本当にお騒がせして申し訳ありませんでした。

2004/02/22
痛哭!通告!
 パソコンが壊れて初期化した際に原稿はなんとか無事でしたが、メールのアドレスブックや一太郎のユーザー辞書が消失!これをお読みになった編集者の皆様、そんなわけでメールを頂戴しない限りこちらから連絡ができなくなっております。
 てなわけで一昨日と昨日の「今朝子の晩御飯」は書き込みができなかったのですが、それでもしっかり食べていた証拠に写真は撮っております。これって若い人には全然わからないギャグでしょうけど、死んでもラッパは放さなかった木口小平てなかんじでしょうか。
 20日はフジテレビで見たクレソンとエリンギ入りの牛丼。21日は鱈の南蛮とタラの芽の天ぷら(タラつながり)。きょう22日は中村屋のカレー(缶詰)とブロッコリーサラダですませる。

2004/02/19
揚げ鶏のスタミナあんかけ
 きのうフジテレビで見た料理。ここんとこ手抜きだったのできょうは凝った一品をと思ったけれど、作ってみると意外に簡単に出来て美味しいのでオススメしたい。今は鳥インフルエンザのおかげで良質の鶏肉が安価に求められるはずだ。
 まずフライパンで松の実を炒めて油に香り付けするのが大切なポイント。非常にいい香油になるのでこのひと手間は欠かしてはいけない。この香油にさらにニンニクとネギを一緒に加えて下味をして片栗粉と溶き卵を付けた鶏もも肉の表面をかりっと炒める。ここへ醤油と砂糖を先に入れ、あとから鶏ガラスープを足してしばらく煮込む。鶏肉を一度取りだして、煮汁にニンニクの芽の小口切りと山芋の賽の目切り、松の実を入れ水溶きカタクリでまとめてあんかけにする。

2004/02/18
サバのみそ漬け、ピリカラこんにゃく、お餅ほか
 歯医者に行くために近所で買って簡単にすませる。

2004/02/17
春野菜の天ぷら、おでん、出汁巻き玉子ほか
 世田パブに野村万作・萬斎親子の狂言を見に来た守部さんに呼びだされて「だいこんや」で食事。

2004/02/16
中華風肉団子鍋
 QPで見た料理を適当にアレンジした。出汁は鶏ガラスープに酒、オイスターソース、醤油で味付け。肉団子と野菜(今回はチンゲンサイと長ネギにした)はフライパンで炒めてから煮込むのがポイント。これに白菜、春雨を入れてもいいし、八丁味噌で味付けしてもOK。もちろん炒めずに鍋で油通しをしてもいい。肉団子はみじん切りしたネギを入れて(生姜、ニンニクを加えても良い)醤油、胡椒で薄く味付けし、よく練ってから焦げ目がつくまで火を通したほうが美味しく仕上がる。写真はピンボケではなく湯気で曇った。

2004/02/15
明太子スパ、鰯とブロッコリーの炒めサラダ
 いつにまして豪華メンバーが揃い踏みだったお茶の稽古場に、先月インフルエンザで38度の熱を押して出席していたS氏が今日またゼイゼイ言ってあらわれて「まだ風邪が抜けないんですが、きょうはウチから自転車に乗って来ました」との発言にビックリ仰天する。紀尾井町の自宅から麹町の稽古場までは坂が多くて大変でしたとのことで(オイオイ、もう結構なお年でしょうが)、ホントいつもお茶目で憎めないS氏であった。
 が、S氏を面白がってるどころではなく、きょう私はナ、ナントM夫人の靴を間違えて家まで履いて帰るというアラワザを演じてしまった。M夫妻ご一緒にわざわざ三茶の駅にまで履き替えにお越し頂いて、こちらはひたすら平身低頭である。見かけが実にもっともらしい感じなのに、こういう普通あまりしそうにない失敗をタマにどころかしょっちゅうしでかして、みんなから唖然とされている私です。
 で、この騒ぎのために夕食は安直にできる定番メニューとなってしまいました。

2004/02/14
サーモン・ムニエル
 サーモンは塩胡椒して薄力粉を薄くまぶしオリーブ油で焼いて仕上げにバターとアーモンドスライスとレモン汁を加えてソースにする。前に何かの番組で見たやり方のうろ覚えである。付け野菜はチンしたジャガイモとソテーしたアスパラガス。

2004/02/13
鴨鍋
 きょうは国立劇場の舞踊公演で吾妻徳弥さんの「紅葉狩」を見たあと表参道に新しくオープンしたコム・サ・デ・カフェで進藤さんに文庫の新刊を渡し、そこで別れてから久々に紀伊国屋に寄ってみた。
 冬場はかならず鴨鍋をするのに、今年は例の鳥インフルエンザのおかげで海外産の鴨を買う気になれずにいたところ、岩手産の合鴨を売ってたので飛びついてしまった。食べたくなれば独りでも鍋にするところが私の怖さである。
 ウチの鴨鍋は有名詩人T.Mから歌舞伎役者N.Kを通じて伝授されたゆえに「オカマが作るナベ料理」とネーミングした作り方で、日本酒を本当なら一升分鍋で煮立たせてアルコールを飛ばしたものに塩と醤油少々を入れて味付け、柚の皮で香り付けしてそこに鴨とネギ、水菜、油揚げなどを入れる。最初は味にカドがあるが、だんだんと酒の甘みと鴨の脂が混ざって、これぞ本当にまったりとしかいいようのない絶妙の味わいになる。きょうはさすがに酒は鍋半分にして水を足したが、それでも純米酒だけに頼った甘みはやはり絶品だった。
 徳弥さんの「紅葉狩」は滑り出しが堅くて心配したが、だんだんと舞いぶりが大きくなって、後ジテは隈取りも思ったより似合い、実に活き活きしたもので見応えがあった。
 青学の横に出来たコム・サ・デ・カフェはフルーツタルトの宝庫である。あの辺は意外にお茶を飲むところが少ないのでオススメしたいスポットである。

2004/02/12
豚肉と小松菜の塩炒め、豆乳のスープ
 フジテレビで見た健康第一安上がりメニュー。豚バラと小松菜には炒める前に塩胡椒をしておくのがまず一番のポイント。豚バラはベーコンをカリカリに焼くときのように弱火でじっくり火を通したあとで、小松菜を鮮やかな色が出るくらいにさっと炒めるのが第2のポイント。炒めるときにはニンニクとネギも加える。豆乳スープは鶏ガラスープの素を加えて塩胡椒で薄く味付けし、ザーサイとネギを加え、最後に生姜汁とラー油でぴりっと引き締める。

2004/02/11
お鮨
 父が急に東上して汐留カレッタの「すし善」で食事。
最初に行ったときはアプローチが困難だったが、今は大江戸線の駅が出来て実に便利になった。北海道の名店ならではの鮨ネタ鱒の大助(おおすけ)や粗塩で食べさせるウニ、軽く焼いた北奇貝などを美味しく頂いた。新鮮な鮨ネタを苦しいくらいたくさん食べてもここは結構お安いのでオススメだ。

2004/02/10
ハンブルグ・ステーキ
 シアター・コクーンでケラリーノ・サンドロヴィッチ作演出の「カメレオンズ・リップ」を見る前に渋谷の「つばめグリル」で食事。
 ケラの芝居を見るのはコレが初めてで、最初はノリがいまいちよくつかめなかったが、見ているうちに段々とそれなりに笑わせてもらえるようになった。今回はケラ初のメジャー進出ともいえそうな舞台で、堤真一、深津絵里、生瀬勝久と人気の芸達者な連中が顔を揃えたが、不思議なもので、こちらを芝居に引き込んでくれたのは彼らではなく、ケラの常連として台本をしっかり消化している犬山イヌコであり、山崎一である。両人はぬいぐるみと会話をし続ける女、熱帯魚に話しかける男というおかしな設定の人物を演じながらも、セリフに一番リアリティを持たせていたように思う。生瀬も役者としての巧さをそこそこ発揮したが、肝腎の堤と深津はヘタではないけれど、役を自身で完全に把握するところまでには至らなかったようだ。
 ケラの文化的ベースメントは明らかに洋画であって、その点で従来の芝居好きにはどの程度のカタルシスを与えられるかは疑問である。とはいえ、どっちの方角から飛んでくるかわからないギャクが私なんかは妙におかしくて、先オチが見えるドンクサイ芝居なんかよりもずっと笑わせてもらった。今回の芝居は最終的にたぶんノリとして「死霊のはらわた」みたいな笑えるB級ホラーの線に近いと感じたものである。
 きょうは青色申告の件で霞ヶ関の税理士事務所を訪ねたあと渋谷にまわり、劇場にちょっと早い目についたおかげで、文化村ギャラリーの金子國義展が見られてラッキーだった。ここのギャラリーはいつもあんまり大したものをやってない気がするのだけれど、今回はけっこう見応えがあったように思うのは、ただ私の趣味でいってるだけかもしれない。金子さんの絵とかヘルムート・ニュートンの写真とかって、はっきりいってヘンタイ臭くて好きです。で、今回出品されていた金子作品の中に、どういうわけか色んな陸亀の写真を切り抜いて昆虫採集のようにピンでとめた箱があって、えっ、金子さんてカメ好きなの……と思って親しみを感じたけれど、会場にいらしたご本人にはまさか尋ねるわけにもいかず残念でした。カメって見るからに体型が不自由そうで、たしかにある種の趣味の人をそそる要素があるように思われたのでした。

2004/02/09
海老包子、肉包子、筑前煮
 きょうは歯医者に行くのでその前に食事を簡単に済ませた。包子類は三茶駅近くの飲茶店「大地」でゲット。筑前煮はもちろん昨日の残り。

2004/02/08
筑前煮
 圧力鍋があるとこういうメニューがホント楽にできて嬉しい。具は鶏手羽、レンコン、ゴボウ、人参、コンニャク、茹で筍、干し椎茸。別に塩ゆでしたさやエンドウを仕上げに散らした。作り過ぎたので明日もコレを食べなくてはなるまい。

2004/02/07
壺焼きスープ、ラタトイユ、パテほか
 エッちゃんこと吾妻徳彌さんが久々にわが家に訪れて、お昼は近所の大島さんと一緒に「クッチーナ」で食事。夕食は写真にあるご持参の紀伊国屋フードを頂く。
 エッちゃんはこんど国立劇場の舞踊公演で大曲「紅葉狩」を上演するので、参考のために私が所有している最大級のお宝、六世中村歌右衛門の隈取りを見せてほしいとのことだった。片やこの間こちらは「銀座開化事件帖」執筆のためにさまざまな文献を読み漁って、彼女のご先祖の記事をいくつか発見したので、それをコピーして差し上げた。
 ちなみに彼女の祖母は吾妻徳穂、曾祖母は角川選書の「銀座百話」に出てくる藤間政弥、曾祖父は十五代目市村羽左衛門、曾曾祖母は山田風太郎の「エドの舞踏会」に登場するル・ジャンドル夫人である。かすかにでもフランス人の血が入っているせいか、小顔で背がすらりとしているし、ふだんの格好はとても日本舞踊の家元には見えない。古風な日本人でもあるいっぽう、大変に合理的な考え方ができるアクティブな女性だから、こっちも腹を割って話ができる。古典芸能の世界には稀にこういう人がいるので、一概に捨てたもんでもないと思うのである。

2004/02/06
ハム・ペースト、ブロッコリーと鰯の炒め物、ベーグル
 某主婦向けの雑誌で童話を募集したら、「ここはどこ?私はダレ?」といった出だしが大半を占めていたとの話を文化出版の編集者から聞いた憶えがあるが、きょうの私はまさにその陳腐なフレーズを思いっきり叫びたい心境だった。小泉行革のとんだトバッチリで国立劇場の歌舞伎委員会なるものに出席させられたおかげである。他の4人の委員全員旧知の間柄とはいえ、この間に流れた歳月の長さを想うとき、一体だれが、どういうつもりで、私を推薦したんだろうと?マークが飛びまくってしまった次第だ。それとも業界を転々とした人間と、そうでないひとにとっての時の流れ方ってゼンゼン違ったりするのかもしれない。
 ともかく他の委員は皆さん何らかの組織に属していて、カタチだけの会議というものに慣れてらっしゃるようなのだが、フリーランス歴が長い私にとっては一体コレのどこまでがホンキで、どこまでがヤラセなのかさっぱり読めない。要するに一応なんだか国のほうでこういうことにうるさくなったから、仕方なく皆さんの意見を聞くんだけど、その点を承知の上で適当に協力してね、といったような無意味な会議が今この国には蔓延しているのではなかろうかという気がして、そら恐ろしくなってしまった。
人間たしかに何をしたって自己満足に過ぎないといえばいえるし、会議に参加して発言するだけで何か仕事をしたような気になれて、本人が幸せなら、まあそれはそれでいいのだけれど、こんなことが蔓延してたらこの国は潰れる、国は潰れなくても、確実に私の心は潰れると思って、謹んで委員をご辞退させて頂くつもりだ。
 いやはや何事にも形骸化が進んで、もはや嗤うこともできないひどさで、この日本という国全体からご辞退させて頂きたくなる昨今ではあるが、食べ物はまだ少しましなものもあって、国立劇場に近いFR「トライアングル」でハム・ペーストをゲットして帰る。

2004/02/06
あんかけきつね蕎麦
 フジテレビで見た料理だが、別にレシピを書く必要もないと思う。ただ、お昼に大家さんからお手製のイカ飯を頂戴してお腹いっぱい食べたので、夕御飯は軽くすまそうと思ってこのメニューを選んだ。具は油揚げとネギ、三つ葉。水溶きカタクリはゆるめに、生姜のすり下ろしはたっぷりきかせた。

2004/02/04
鱈のピリカラ煮
 近所のスーパーのパンフで見た料理。要するに南蛮煮で、淡泊な生ダラを簡単に調理するにはもってこいだと思う。昆布と赤唐辛子を鍋に入れ、水、砂糖、サラダ油、醤油、味醂を加えてひと煮立ちさせた出汁で生鱈をじっくりと煮込む。これに青菜(小松菜)を添えて出来上がり。

2004/02/03
海の幸クリームスープパスタ
 フジテレビで見た料理。オリーブ油でニンニクのみじん切りと浅蜊、イカ、海老を軽く炒めてからワイン蒸しにして出汁を取る。そこに生クリームと牛乳を足して塩、黒胡椒で味を調えれば出来上がりだ。海鮮の食材に火を通しすぎないのが一番のポイント。また酸味が出ないように白ワインのアルコール分はしっかり飛ばすこと。黒胡椒をふんだんに使ったほうが味が引き締まって美味しい。パスタを取りだす直前にブロッコリーを茹でて加える。

2004/02/02
浅蜊とネギと油揚げの卵綴じ
 QPで見た料理。味醂と醤油で味付けした出汁で油揚げと青ネギを先に煮て、そこへ浅蜊と生姜を加えて卵でとじるだけの超スピード簡単メニューだが、けっこうイケルし丼にしてもいい。卵を入れる直前に水溶きカタクリを加えるのと、早めに火を止めて余熱をうまく活かすのが卵を堅くしないコツだ。きょうは先日買って冷蔵庫に残っていた三つ葉もたっぷり加えた。
 きのう歯の詰め物がとれたので夕食後に近所の歯医者に行ったところ、詰め物の周囲が虫歯になっていたといっていきなり2本の歯の大半をガリガリ削られてしまった。最近の歯科治療は非常に進歩していて、この歯医者はインフォームド・コンセントもしっかりしてくれたし、痛みもほとんど感じさせなかったのに、こっちは例の音を聞くとやっぱりからだがこわばってしまった。谷崎潤一郎の「白日夢」やダスティン・ホフマン主演の映画「マラソンマン」を想いだすまでもなく、歯の治療は今も昔もやはり拷問であるにちがいない。優しそうな顔でさんざんいたぶったあげくに、セラミックの差し歯の値段を聞かされて恐怖した。実はわが義弟すなわち妹の婿殿も歯医者なのだが、きっと相当に儲けているにちがいないとにらんだ今宵である。
 

2004/02/01
ブロッコリーと豚しゃぶのくるみ和え
 近所のスーパーのパンフで見た料理。ニンニク、生姜のみじん切りと粗くすりつぶしたクルミと味醂、醤油、オリーブ油を混ぜて作ったタレで湯がいたブロッコリーとシャブシャブ用豚肉を和えるだけ。バーミックスがあったりするとクルミをつぶすのも簡単だからこのタレは他にも利用できそう。砂糖を加えてもう少し甘めに仕上げてもいいかもしれない。味わいはまずまずといったところだが、クルミが入るので栄養価は非常に高い一品だと思う。

2004/01/31
レンコン団子汁、鰺の干物
 みのもんたの番組で(ああ、いくらオバサンになったからって、こんなん見てるようじゃもうオシマイという気がしないでもないが、つい昼食の最中に)レンコンのすり下ろしが花粉症に効くといって紹介した料理。すり下ろしたレンコンに片栗粉をかなり多めに入れて沸騰した汁に落とす。出汁の味付けや具は適当でいいと思うが、私は長ネギ、舞茸、油揚げ、コンニャクに三つ葉を加えた。鰺の干物は大家さんに頂戴した。

2004/01/30
バラ寿司
 お昼に筑摩書房から出している『辰巳屋疑獄』の重版が決定した報せが入って、ヤッター!という感じでこのメニューになりました(「金持ち父さん」の編集者磯部さん、あなたのおかげです!)。おととい、きのう、と恐怖の二日間をなんとか無事に乗り切って、今年の冬はもう風邪をひかずにすみそうなことも実にめでたいのであった。
 バラ寿司の具は作るたびに変えているが、今宵はチリメンジャコ、市販のコハダと同じく生姜の甘酢漬け、シメジの甘煮、茹でキヌサヤ、錦糸卵で彩りよく仕上げたつもり。

2004/01/29
エスニック鍋
 春間近の陽気ながら、風邪ノイローゼの私は今宵のメニューをコレにした。レシピは前に載せたので詳しく書かないが、ニンニクを房で丸ごと一つ入れて取った出汁に、ツケダレがニンニクと生姜のすり下ろしに豆板醤を混ぜ合わせたものなので、食べている最中に体がカアーっと熱くなってくる。主な具が豚肉と小松菜というのも栄養的に満点の鍋である。

2004/01/28
豚の角煮、浅蜊ご飯ほか
 お茶の稽古の帰りに近所の惣菜屋でゲット。
 稽古場で常連のS夫妻と一緒になったのだが、二人ともたちの悪いインフルエンザにかかって点滴までして、「今日まだ熱が38度もあるんですよ」と夫の弁。(オイオイ、そんなんで来るなよ〜)風邪恐怖症の私が順番でなんとそのS氏の点てたお茶を飲むはめになった!コレ日本史の好きな人ならわかるだろうけど、まさに濃茶の回し飲みで大谷吉継の後に飲んだ石田三成の心境でした。

2004/01/27
韓国風サバの味噌煮
 QPで見た料理。まず大根の薄切りをニンニクと胡麻油で炒め、そこにサバを入れ味噌、酒、砂糖、コチュジャン、醤油の合わせダレで味付けしてじっくり火を通す。最後にニラを入れて出来上がり。サバは湯通ししなくても生臭みがさほど出ないのでお手軽にできる。サバよりも味のしみた大根が非常に美味しい。
 今宵はこれに京都の実家から送ってきた上加茂「池庄」(075-781-0664)のすぐきの漬け物(すぐきはココ!)をいただく。

2004/01/26
おでん他
 『幕末あどれさん』の文庫が完成してPHPの小林氏と熊谷氏が来訪。近所の「だいこんや」で食事をする。小林さんとお目にかかるのは久々で、鉄道敷設の請負業だったというご実家の話などを面白く伺う。こちらはこのお二人でなければ決して面白がっては貰えない、先日古道具屋でも求めたとっておきの逸品、日露戦争時の全将官の写真を貼り込んだ掛け軸を披露して受けた。その昔、なぜか妙に軍事物に凝っていたことのある私だが、近ごろその手の話ができるのは身の回りでこのお二人くらいしか見あたらない。

2004/01/25
ビーフシチュー
 念願の(なあんて、ただ買いそびれてただけなんだけど)圧力鍋を安く手に入れて、やっぱり最初に作ったのはコレでした。材料は飛騨牛すね肉、玉ねぎとセロリのみじん切り、トマト缶、人参、マッシュルーム、芽キャベツ、赤ワイン、デミグラスソース、ブーケガルニ、塩胡椒少々。圧力鍋についていたレシピ通りに作ってそこそこ美味しくできた。味付けは今後どこかの段階で微調整が必要とみた。

2004/01/24
菜の花とサーモンのクリームパスタ
 このHPの読者(?)から、ここ数日の食卓が地味だという声があがったので(なんで他人の食事にまでケチつけんだよォ!)、今宵は春を先取りした彩り豊かな料理にすべく近所のスーパーのパンフを参考に作ってみた。ニンニクと玉ねぎをオリーブ油でじっくりと炒めてからスモークサーモンをさっと炒め、白ワイン、生クリーム、牛乳を入れ、塩、黒胡椒で味付けした。菜の花はパスタを引き揚げる直前にさっと湯がいただけ。

2004/01/23
餅の鉄板焼き、ブロッコリーとルッコラのサラダ
 急にお餅が食べたくなって、お好み焼き屋によくある食べ方にしてみた。豚バラ肉、長ネギ、椎茸と一緒にフライパンで火を通し、酒少々と醤油で簡単に味付けして黒七味を振っただけだが意外とイケル。サラダはオリーブ油、酢、塩、黒胡椒で作ったドレッシングをかけたもの。

2004/01/22
鰺の干物、湯豆腐、ほうれん草のお浸し
 ああ、私だってこんなフツーの夕食になるときもありますと自慢したいくらいだ。干物は大家さんから頂戴したもの。近所のスーパーで茨木産の「寒じめ縮みほうれん草」という、バイオの失敗作のような見かけの野菜をゲットしたが、甘みがあって結構おいしかった。

2004/01/21
カマスの干物、大根と乾し蝦の炒め物
 カマスの干物は大家さんから頂戴した小田原産。
 大根と乾し蝦の干物は簡単にできる中華風の炒め物でオススメだ。拍子木切りにした大根を胡麻油で炒め、湯で戻した乾し蝦を加えてさらに炒め、紹興酒、オイスターソース、醤油、塩胡椒で味付けする。花椒を入れるとなお美味しい。彩りに大根の葉も加えたい。

2004/01/20
レンズ豆のカレー
 ポトフは大量に作って何日かに分けて食べ、最後はかならずカレーにするのが私のパターンである。今回はQPを参考にして新たにレンズ豆を加えた。小さくて平べったいの豆なので、乾燥豆のわりには火の通りが早くて使いやすい。

2004/01/19
タン塩麦トロ定食
 パルコ劇場の「ベント」を見た帰りに渋谷で食事。2度目の「ベント」は文春の内山さんにチケットをゲットしてもらって見る。謝々!
 やっぱり椎名の裸体、ことに背中の肩胛骨の目立つあたりが鳥を思わせてステキ、顔も口尖りのとこがカメみたいで可愛いし、マゾヒスティックな役やらせるといいし……なんて変態的オバサンチックな感想はともかくとして、やはり最初に見たときとは多少の変化があった。椎名、遠藤両主役とも映像系の役者のために演技が流れがちだったのを、随所でかっちり止めて見せるようにしたのは演出の手直しがあったことを窺わせる。そのことで良くなっている部分と、ちょっとくど過ぎてマイナスの部分とがある。役者としては遠藤憲一が一枚うわてで、映像のひとの割に動きには今ひとつ緻密なリアルさが不足している気がしたが、誠実味溢れる声でホルスト役を見事に立ち上げている。いっぽうの椎名は欲をいうならばもうちょっとふっきれた演技を望みたい。たぶん舞台人としての声がまだ完全に出来上がっていないせいもあるのだろうけれど、さらりと流すセリフはともかく感情的に声を張る部分がやや幼稚に聞こえてしまう。その点は篠井英介が舞台人としての上置きの役目をしっかり果たしている。
 全体の演出についていえば、前半がわりあい抽象的な舞台でスタイリッシュに見せていたのに、後半がリアルな道具で妙に平板な舞台作りになってしまったのが、意図的だとしても惜しまれる。後半は単調な動きに終始するだけにもっと抽象度を高めたほうが舞台の求心力が増したにちがいない。

2004/01/18
ポトフ
 昨日と打って変わっての小春日和で、風邪かと思ったのは単なる気のせいだったと判明(マスク男さんゴメンなさい)。で、寒い時期によくやる我流のポトフ。ベーコンとチキンスープの出汁でジャガイモ、人参、玉ねぎ、ニンニク、キャベツ、ブロッコリー、ソーセージを煮込んで塩胡椒で味付けし、粒マスタードをつけて食べるごくシンプルなメニューだ。

2004/01/17
パンとココア
 朝からまったく食欲がないのは、別に恋患いてなわけではもちろんなくて、もしかすると昨日の芝居で後ろの座席にいたマスク男のせいではないかと疑っている。まだ顕著な風邪の症状はあらわれていないから、とにかく暖かくして早めに寝るしかない。

2004/01/16
キムチチゲほか
 埼玉芸術劇場で蜷川演出の「タイタス・アンドロニカス」を見たあとに近所で食事。
 パックス・ロマーナならぬパックス・アメリカーナの今日、映画「グラディエーター」を見てもローマ帝国=アメリカの図式が如実に感じ取れたせいか、古代ローマを背景に血を血で洗う復讐の連鎖を描いたこの芝居を見せらると、ついそこにイラク戦争を重ねてしまったりもする。で、純白の空間に同じく純白のローマを象徴する巨大な彫像(例の狼の乳を呑む双子の像)が飾られた舞台装置は実にこの芝居にふさわしいものといえた。真っ白の舞台に真っ赤な血汐が飛びまくる。といっても血汐はすべて赤い糸で出来ている。とにかくギリシャ劇に近いと思わせるほどの荒々しいストーリーで仰天連続の展開、しかも凄惨なシーンが盛りだくさんであるにもかかわらず、そこそこ笑いを取る場面が入っているのもシェイクスピアならではだ。たとえばハムレットでもオフィーリアの埋葬直前に道化役の墓掘り人夫が出てきて笑えるようになっているとはいえ、これは悲劇のまっただ中にいる主役タイタス自らが笑いを取ってくれるので、演じる役者はさぞかしそのテンション調節が難しかろうと思われる。吉田鋼太郎は思ったよりその役をよく維持して健闘していた。「オセロ」のイヤーゴー役にも似た敵役に扮した岡本健一の好演も目立ったし、皇帝役の鶴見辰吾が意外に舞台役者としていいのでビックリする。麻美れいは本当にこの種の大時代な芝居をやらせたらピッタリである。蜷川は笑わせるところは笑いに徹し、途中で本人が舞台に出てきて芝居をストップさせるなどのかなり異化を狙った演出に仕立て、復讐そのものの愚かな側面を浮かび上がらせて効果があったように思う。
 でも寒空のなか埼玉まで出かけていって22:15終演というのはお連れがいなかったらかなり厳しいところかもしれない。

2004/01/15
生鮭とジャガイモとブロッコリーの温サラダ
 きのうのQPで見てぜひ作ってみたかった料理だ。ジャガイモとブロッコリーはやや堅めに茹であげるのがポイント。サーモンは塩胡椒してソテーする。粒マスタード、オリーブ油、酢(私はレモン汁も使った)、白ワイン、塩胡椒少々で香り豊かなサッパリ系のドレッシングを作って混ぜ合わせる。簡単に出来てボリューム感がある上に彩りもきれいなのでオススメしたい。きょうのわが家のメニューはこれと近所で買ったプチ肉饅である。

2004/01/14
生春巻、タイ式ビーフンほか
 パルコ劇場で「ベント」を見たあとに食事。
 圧倒的な女性客のなか一目でわかるゲイの方々、そして初日でもお社日でもないのに劇場・芸能関係者が満載といった客席(斜め横に高島礼子と一緒にいた高知東がTVとは別人のカッコよさなのに驚く。真後ろでえらい咳をする男がいたのでにらみつけたら長塚京三だったというようなあんばい)のなかで漫画家の萩尾望都さんと元「ぴあ」社員で世界をかけめぐるオッカケNO1の座に輝いた稲川さんを発見。かくして同行の進藤さん、望都さんのお連れで♪燃焼系、燃焼系〜という面白いCMを製作している男性を含めた総勢5人がパルコ内の「オリエンタルスプーン」で会食とあいなった。
 「ベント」は改めて見るとやはり本当によく出来たドラマだと実感された。何も同性愛のすばらしさ訴えている作品ではなくて、いうなれば「快楽」は求めても「愛」を理解しようとしないタイプの人間が極限状況におかれて初めて「愛」に目覚めるといった話がドイツナチ時代の同性愛者弾圧を背景に描かれていると見るのが正しい。で、これって極端な例でいうとトルストイの「復活」なんてのもそうじゃないかといいたいくらいの古典的なテーマでもあった。「恋愛」こそが「権力」や「体制」に抗し得る人間の最後に残された「反世界」の力であるというこの作品のもう一つの大きなテーマはまた、近松の心中物だってそうだろうといいたいくらい、これまた普遍性があるものだ。両テーマ共に昔なら男女で描かれていたものなのに、男女の恋愛が「反世界」からほど遠いものとなった今日では同性愛で描いたほうが説得力があるのだろう。またここには聖書にある「ペドロの否認」を下敷きにしたモチーフが主要なシーンとして使われていて、これもまた向こうのドラマでは王道中の王道だったりするので、同性愛っ気のあるなしに関わらず、この芝居を見て全然泣けないという人がいたら、そいつはどうかしている、と私は断然いいたい。
 「快楽派」マックス役の椎名桔平、「愛の人」ホルスト役の遠藤憲一ともに想った通りピッタリのはまり役で、ことに声質の違いが実にうまく活かされたキャスティングだ。おまけにふたりは裸体がきれいな点でもオバサン客には応えられない(というわけで、椎名ファンの私はもう一度見る予定です)。
裸体という点ではブラッククイーンを演じた篠井英介の背中も相変わらずきれいで、昔はきれいだけれどけっこう不器用だったこのひとが、最近は何をやっても巧くなったので感心させられる。
 クイーンを取り巻くダンサーたちの群舞を含め鈴木勝秀の演出はゲイの匂いをぷんぷんとまき散らしているようでいて、ひと昔前のゲイにありがちな悪趣味さはまるでない。前に「欲望という名の電車」を見たときにも思ったが、嫌味なところが少ない分、スタイリッシュでとてもいいのだけれど、やや何か迫力に欠けるというか、人間が実際に血を流すところのリアリティってきっと全然ないんだろうなという物足りない気分が残る演出である。これはたぶん世代が若いせいもあるのだろう。ご本人はソフト・ゲイでやさしい人柄なんじゃないかなあと、全く知らないのに勝手に想像しているいい加減な私であった。

2004/01/13
豚肉とザーサイの蒸し物
 QPで見た料理。適当に味付けしたわりに「ここは『麗郷』か!」と叫びたくなるほど中華のテイストに仕上がって嬉しかった。簡単にできるのでオススメだ。豚ロースに酒、醤油、オイスターソース、胡椒、胡麻油、片栗粉を混ぜ込んでザーサイ、筍、生椎茸、ネギの薄切りを加え、耐熱皿に盛って蒸しあげる。TVでは蒸し器を使っていたが電子レンジでも十分OK。

2004/01/12
鶏肉と根菜の粕汁
 QPで見た具だくさん、というより具がデカイ粕汁。これだと大根が美味しく食べられる。昆布だしに骨付きの鶏肉を入れてたっぷり出汁を取る。酒粕は別に溶かして味噌に合わせるといい。最後は味醂で少し甘みをつけるのを忘れずに。TVでやってた大根、人参、ネギに加えて私はゴボウを入れたが、里芋でもいいかも。

2004/01/11
海老とアスパラガスの天ぷら
 きょう久しぶりに電話した友人と春になったら銀座の「近藤」に行こうねと話していて、スーパーに行ったら小さい車エビがエッ!と思うような値段で売られていたので、つい晩御飯は天ぷらにしてしまった。「近藤」にはしゃっとこ立ちしたってかなわないと知りつつやってしまうのが私の恐ろしさである。

2004/01/10
寒ブリの茸味噌ダレ
 近所のスーパーのパンフを参考にして作ってみた。ネギ、生姜、椎茸のみじん切り(パンフではこれに人参も入っていた)を胡麻油で炒めて味噌、砂糖、味醂でやや甘めのタレに仕上げる。ブリは酒を振って火を通したほうがいい。付け野菜は青とうがらし。

2004/01/09
桂弁当
 国立劇場正月公演を見て劇場内で食事。いつも食べてる2階食堂がまずいので3階の食堂に変えてみたが、同じである。この国立の食事のまずさについてはいずれ政治的問題にしたいような腹立たしさを覚える、と、偶然お会いした漫画家の榎そのさんに話していた。
 で、肝腎の芝居だが、客席にけっこう空席が目立つのも無理はないように思われたのは、そもそも初春興行に「浮世柄比翼稲妻」を上演すること自体にあるのではないか。名古屋山三と不破伴左衛門の「鞘当」の場はそこそこ華やかだが、メインになる世話場はいかにも鶴屋南北の作らしい佳品ではあるけれど、正月早々なんだってこんな暗い話を見せられなくちゃならないんだ!て気になります。
 昔の男はよく一盗二婢といって、人妻や使用人の女性(今なら部下の女性?)を好んだというけれど、「比翼稲妻」の世話場は典型的な二婢幻想の芝居といってもよい。顔が醜くて美男の主人に惚れたけなげなメイド役を演った福助(美しい主人の愛人役と一人二役で演じる)は悲惨な落入り(断末魔)がけっこうイケテて、前に見た「源氏物語」の明石の前にしろ、こういったなんだか男に都合がよくて損する気の毒な女を演じさせると妙にうまいのは、あんたやっぱりこれまで伊達に女を泣かしちゃいませんね、と私はいいたい。

2004/01/08
お寿司
 渋谷で友人と食事。

2004/01/07
豚肉とセリと春雨の炒め物
 今宵もまたQPである。下味して片栗粉をまぶした豚肉を生姜と共に胡麻油で炒め、もやし、セリ、春雨を加えて鶏ガラスープ、塩、胡椒、醤油でシンプルに味付けする。簡単にできて、近所の大島さんにも振る舞ったが、何かもう一つ味にパンチが足りない気がした。

2004/01/06
ブロッコリーとソーセージの炒め物
 初ジムで体重計に乗って、予想されたことではあるがショックを受けた。しかし年末から拡張された胃は如何ともしがたくて、やはり食べる。
 で、ようやくQP3分クッキングらしくなったきょうの料理である。玉ねぎを甘みが出るまでじっくり炒めてから薄切りにしたブロッコリーを入れて炒め蒸し風に火を通す。焦げ目がつくくらいでOK。最後にソーセージを入れて軽く炒めるだけで出来上がり。味付けは塩胡椒でシンプルにして粒マスタードを添えて食べる。

2004/01/05
キムチ・クッパ
 新年の初QPである。が、別に番組を見なくても作れそうなメニューで(レシピも記すまでもないと思うが)、鶏ガラスープに牛肉のほか色んな野菜(私は大根、ワケギ、シメジ)とキムチを入れて塩胡椒で簡単に味を調え、仕上げに溶き卵を加えるだけだ。で、こっちはきのうが仕事始動だっちゅうに、スーパーはまだ正月気分で野菜が高いのにビックリしました。

2004/01/04
鰈の干物。アスパラとエリンギの塩炒め
 年末に入稿するつもりの「小説新潮」の原稿が間に合わなかったものの、明日の月曜日に入れればOKと踏んでいたところ、なんと佐野氏から電話で今日から出社とのこと。日曜日なのに……恐るべし佐野ッチである。で、大慌ててで原稿の手直しをして、料理を作るどころの騒ぎではなかった。2004年は早くも不安の幕開けである。

2004/01/03
ほうれん草のカレー、ブロッコリーとアンチョビのサラダ
 三が日の最後に必ずカレーを食べるようになったのは昔よくやってたCMのせいであろう。近所でやってる小さな手作りカレーの店でテイクアウトするのも恒例となりつつある。青いものが欲しくなって作ったサラダは茹でたブロッコリーと刻んだアンチョビを混ぜ合わせただけのシンプルなものだ。
 紺屋の白袴よろしく他人様の小説を目にする機会が滅多にないので、正月休みにはこれも恒例で前年の話題作を必ず読むようにしている。今年は桐野夏生氏の「グロテスク」を一気に読んだ。周囲の男性には読み終わって吐きそうになったいうひともいたし、お正月に読むのはあまりオススメしないという女性もいたが、いやー、ひさびさに面白い小説を読ませて戴いたと大満足でした。エゲツナサに魅了されたという点では西鶴の「好色一代女」を読んだときの爽快感にちょっと似ているかもしれない。近松と西鶴の違いを指摘するまでもなく、芝居はやや理想主義的な結末が心地よく、散文学はやはり文字通り人間のグロテスクさが徹底的に描かれてこそ痛快であるように、読者としての私は思う。書き手としての私は到底そこまで筆が至らないのだけれど。

2004/01/02
おせち、お雑煮
 昨日の続きでだらだらと食べ続ける。

2004/01/01
「川上」のおせち、お雑煮
 元旦は恒例のメンバーがわが家に集って祇園「川上」のおせちと白味噌の京風雑煮でお祝いする。2段重ねで量もたっぷり、なおかつ全部おいしく食べられる営業用のおせちを味わうたびに、他人事感覚ではあるが、やはり店の存続や親の長寿が強く望まれるのであった。白味噌は京都油小路の石野製が抜群の味わいだ。

2003/12/31
おせち、キリタンポ鍋
 あーあ。なんとか大晦日にこぎ着けました!
恒例でいつものメンバーがわが家に集まって、秋田のおせち(進藤さんのご母堂、進藤郁さん00歳製作)、キリタンポ鍋、子持ちのハタハタ(これが異常にうまい!)などを戴く。

2003/12/30
鶏肉とカシューナッツ炒め、ブロッコリーサラダ
 げげっ、まだ原稿が終わらないので惣菜屋でゲット。本年はかくして最後の最後まで修羅場と化したのであった……。

2003/12/30
オムライス、ブロッコリーサラダ
 近所の惣菜屋でゲット。ああ、原稿が……掃除が……終わらない。

2003/12/28
中華風ちまき他
 ああ、年越しの色々がが全然間に合わない。で、例の近所の飲茶店「大地」でゲット。ここは本当に安くて美味しい。開店早々若い子でけっこう賑わっていたから年明けのブレイクは必至か。

2003/12/27
味噌煮込うどん
 ひええー。年明け即入稿の原稿を本年中に済ませるつもりが、ちょっと遊びすぎて青ざめている。で、夕食はおざなり。

2003/12/26
キャベツとアンチョビのパスタ
 一昨夜と昨夜あんなに食べたのに、ジムで計ったら体重がそう変わってなかったので安心して食べる。ただしちゃんとした料理を作る気になんてとてもなれず、適当にあるもので済ませる。ベビー椎茸はけっこう重宝な食材である。

2003/12/25
牛ステーキコース
 講談社の国兼氏(なんと現在は労組委員長!)と元オブラ編集長で現在は学芸図書の加藤氏と日本橋の「宇田川」で会食。コースは写真に載せたもの(牛刺身、蟹の天ぷら、ステーキ)の倍以上の品数で、なんとか寝られるまでの消化に朝の5時までかかり、昨夜に引き続くこの飽食の連夜であとは大晦日まで食べなくても大丈夫な気がするくらいである。
 国兼氏は相変わらずのほほんとしていて、加藤氏は芸風を変えたといながら、これまた相変わらずアグレッシブな大阪人でおかしい。連載2誌の立ち上げで私にとっては大変に辛かった今年(!)最後の忘年会を進藤さんと共に大いに愉しませて戴いた。

2003/12/24
マキシム・ド・パリ(続き)
 マキシムはやはりデザートを食べなくてはお話にならない。というわけでかなりお腹が苦しくなってからがサア大変。一見アイスクリームに見えるのはシャンパンのムース。プチフールも今宵はチョコ製のブッシュ・ド・ノエル入りである。
で、きょうは実に盛りだくさんな一日で、この前に新しくなった大谷図書館に行って久々に須貝さんたちと会い、
そのあと進藤、三村、守部さんたちと一緒に新橋演舞場で藤山直美の「ふるあめりかに袖はぬらさじ」を招待券で観たのであった。杉村春子の名演を知る者にはええっ!!これがあの???というくらい全く別の芝居である。直美は直美流に勝手に演じていて(なんと関西弁で!)興行としては成立しているが、冥土におわす有吉佐和子先生が化けて出そうなほど原作をぶちこわした快演(怪演?)だった。直美は役者としても巧いひとだが、こうした座長公演になると役者というより芸人として演じてしまうのでかえって勿体ない気がする。それはそれで歓ぶオバチャン客がいるのでいいのだろうが……。
 演舞場を見終わったあと進藤さんたちとはバイバイして私はお食事の愛へまっしぐらに走ったのであった。

2003/12/24
マキシム・ド・パリ(続き)
 コンソメスープの中身は雉肉のクネル。
 魚皿は伊勢エビのアメリカンソース。
 これにマール酒のグラニテが続いて、メインディシュは七面鳥に色々と詰め物をしてトリュフソースに茸と栗を添えたもの。本来あまり美味しくない七面鳥をこれだけうまく喰わせるのはここくらいだろう。

2003/12/24
マキシム・ド・パリ
 例年通りイブは銀座のマキシム・ド・パリで。Sさまに感謝!
 イブのマキシムは今もなお狂騒の一夜と化す。全店あげて大のおとなたちが三角帽にレイ、付け髭やヅラをつけ、クラッカーやブーブー風船を鳴らして、なんと雪合戦に興じるのであった(雪玉はアクリル繊維で作ったとおぼしきスグレモノで、当たっても痛くないのは当たり前だが、グラスも倒れないのが不思議)
 なんと晩餐は夜9時からはじまって夜中の12時まで食べ続け。てなわけで全く寝られません。おまけにナポレオンパイを丸ごと一つ貰ってしまったので誰かウチに食べに来ませんかと呼びかけたいくらいである。
 クリスマスバージョンの特別メニューをここに全公開致します。
 前菜はアワビのゼリー寄せにアスパラガスの飾りつけ、2番目の皿はフォアグラのトリュフ巻きで写真はピンボケだけどこれが実に美味しい。これほど美味しいフレッシュフォアグラは久々だ。

2003/12/23
サヨク餅、鰯とブロッコリーの炒め物
 この季節には必ず近所の商店街に杵つき餅の実演販売がやってくる。場所は2カ所あって、ひとつは買ったあとで読んで下さいといって渡されたリーフレットに、日本人の心を大切にしようとかなんとか書いてあって、発行元は神道の若手連盟のようなものだったので、私はそれをウヨク餅と呼んだ。きょう食べたのはうちのすぐそばにある共産党の事務所で販売していたもので、要するにサヨク餅なのだ。黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのは良い猫だとのたもうた誰かさんに倣い、ウヨク餅でもサヨク餅でも美味しければいいじゃんと思って買ってる。なぜ共産党員が天皇誕生日に餅をついてたのかは不明だが、非常に安かった上に味も実によくて感動する。これに先日やった鰯とブロッコリーの簡単な炒め物(レシピは前のを見てください。オススメの一品です)できょうの晩御飯は済ませる。
 なんたって明日待たるる宝船ってヤツで、ついおざなりな夕食になりがちの昨今である。

2003/12/22
イカと明太子のスパゲティ、アスパラガスの胡麻和え
 きょうは比較的おざなりな定番メニューなのでレシピは不要かと思う。パスタには大根下ろしをトッピングした。

2003/12/21
鱈ちり、中華ちまき
 近所に中国人のやってる「大地」という飲茶の店が新しくできた。たまたま前を通りかかって、コレは本格派だという匂いがしたので、中華粽と包子等をテイクアウトしたところ、やはり大当たりだった。三茶にお越しの節はぜひご利用アレ。
 で、今宵はそれと水菜のサラダで済ませようと思っていたら、脚をケガして食事が作れないという近所の大島さんがやってきたので、急きょ鱈ちりをメニューに追加。その結果ふしぎな取り合わせの晩餐となってしまった。

2003/12/20
エスニック鍋
 この急な大寒波襲来には、コレっきゃねえぜ、という感じである。レシピは以前に載せたが再度ここに紹介。
 鶏ガラスープにニンニクを丸ごと一個皮を剥いて入れ、ナンムプラーで味付けした出汁で里芋、豚肉、小松菜(きょうはベビー椎茸を追加)を煮て食す。ニンニクと生姜のすり下ろしに豆板醤を加えたタレにつけて食べる。食べているあいだに、どんなに冷え切ったカラダもポカポカすること受け合いの鍋です。

2003/12/20
チキンソテーエスニック風&クレソン・ライス
 きのうのフジテレビでちらっと見た料理を想い出しながら適当なレシピで作ったが、結構おいしく出来たので紹介する。鶏もも肉を塩胡椒してフライパンで焼き、ニンニクのすり下ろし、カレー粉、ヨーグルト、蜂蜜、ナンムプラーで調味した。スーパーでベビー椎茸なるものが売られていたのでそれも加えた。
 クレソンライスはご飯とクレソンにオリーブ油をからめて混ぜ込み塩と黒胡椒で味付けしただけ。

2003/12/18
納豆と挽肉の中華風炒め
 QPで見た料理。ニンニク、鷹の爪、生姜のみじん切りと一緒に納豆をじくりと炒め、それにネギのみじん切りと挽肉を加えてさらに炒めてから、酒、砂糖、醤油、塩と黒胡椒少々で味を調える。とにかく納豆を粘りけが無くなるまで炒めるのがポイントだ。レタス包みにして食べるといい。きょうはスーパーでレタスが安かったこともあって、なんと¥361という私にしては驚異的な安上がりメニューだった。

2003/12/17
刺身、天ぷらほか
 人形劇センター主宰の例年のイベントで今年はCPの塚田さんが文楽人形と歌舞伎役者のジョイントによるシンポジウムを企画した。それに勘定奉行こと中村京蔵と早稲田の恩師内山美樹子教授が出演したので、文春編集者の内山さんを誘って出かける(同姓だけど別に二人はなんの関係もありません)。
 文春の内山さんはそのあとW先生とH先生が向島で芸者を揚げて遊ぶ催しに参加するといい、出版屋さんの考えることって江戸の昔からあまりにも変わらないので面白く感じた(場所も向島だし)。
 私は近ごろ文芸の世界もまた何やら連綿と続く伝統芸能の一種であるような気がする。というようなことを、三茶の「隠や」で一緒に食事をしながら京蔵に話したら、「松井さんにようやく僕らの苦労がわかってもらえるようになってウレシイ!」と喜んでくれた。「でも、あなた、まだ
それを肚のどこかで面白がって見てるでしょ」といわれてギックリである。
 「隠や」のコースはかなり食べでがあってリーズナブルだし、最近になって板前が変わったのか味もそこそこイケル。ブリと蛸の刺身、ふろふき大根、河豚の天ぷら、タン塩と有機野菜の炭火焼き等々で苦しいほどお腹一杯になってからまた飲みに出かける。
 で、肝腎のシンポジウムも結構おもしろかった。ことに文楽の主に女遣いの人形がクライマックスで必ず背中を見せる後ろブリについて、文楽の人形遣いがどう解釈してるのかが桐竹勘十郎の口から聞けたのが収穫である。前に野村萬斎と伊藤キムがやったシンポでも感じたことだが、実演を伴った話は何よりも説得力がある。勘十郎と京蔵の人選も非常によかったように思う。私も陰ながらご協力した甲斐があったというもんである。

2003/12/16
鱈の柚味噌焼き、水菜とお揚げの焚き合わせ
 鱈は塩を軽くしてから柚味噌をつけて焼くこと。柚味噌は白味噌にマヨネーズと辛子少々を加えて柚の皮をすり下ろして混ぜ込んだ簡単なものだがそこそこイケル。下ろし器にくっついた皮の粉を取るにはやはり茶筅が便利。いつもは小松菜を使うが京都産の水菜が安かったので使った。京都産の水菜は一時500円近い高値だったのでビックリしたことがある。

2003/12/16
焼肉
 角川事務所の原さんと後楽園のスパ「ラクーア」で打ち合わせを兼ねての忘年会。前に大島さんたちと行った大江戸温泉村で、原さんだったらここで裸でも打ち合わせができるよね、なんて進藤さんに冗談を言ってたらホントにスパで打ち合わせをすることに!PHに原重役のNICE BODDYを公開できないのがまことに残念である。
「ラクーア」はヒーリングルームが充実している。キッチュな面白さでは大江戸に軍配が揚がるけれど、肝腎の癒やし方面ではではこちらがGOO.着替えずにちゃんとした食事が出来る場所もあるので便利。


2003/12/14
牡蠣の味噌鍋
 ほかに笹掻きゴボウ、ネギ、セリ、コンニャクを具に加えた。八丁味噌に砂糖、酒、卵黄を加えている。卵黄を加えると味が多少マイルドになるのでオススメだ。

2003/12/13
ホタテと水菜の卵丼
 深川図書館の講演を無事に終えて疲れたので、よほど惣菜屋に駆け込もうと思ったが、おざなりな外食の三連チャンはいくらなんでも避けたいので(てなこというと忘年会ラッシュでお疲れの編集者諸氏に怒られそうだが)スーパーのチラシで見た超簡単メニューをわが家で作る。親子丼より早くできるのでオススメだが、味付けはチラシと関係なく、鶏ガラスープと酒と味醂と薄口醤油であっさりめに仕上げた。水菜とホタテはあらかじめさっと油で炒めておくといい。
 苦手な講演もさすがにこの年になると慣れるもので、どんな客層でもたじろがなくなってきたが、この種の仕事を引き受けるといつも、へえー、見ず知らずの人が私の本を買って読んでくれてたりするんだ……と、不思議な気持ちになるというか、妙に感動(?)したりするのである。そりゃ公に出版してるんだから読んでる人がいて当たり前なのだけれど、芝居とちがってふだんお客さんの顔がまったく見えない商売なので、本当のところ、プロの作家として立っているという自覚がいまだに持てず、自身困ったもんだと思う。清澄公園に隣接した深川図書館は都内で日比谷図書館に次いで古い図書館らしく、中を案内してもらい、江戸東京の古文献が開架式で閲覧できるのがわかって有り難かった。

2003/12/12
チンゲンサイと海老の炒め物ほか
 深川図書館に頼まれた明日の講演が準備不足のため、きょうは近所の惣菜屋でゲット。連日のいい加減な食事(?)はツライ。

2003/12/11
おにぎり3個
 日生劇場で蜷川演出「リチャード3世」を見てロビーで食べる。幕間のわずかの時間で、飲み物をまったく飲まずに!おにぎり3個をたいらげた。人間は年を取るとからだ全体に潤いが乏しくなって唾液も減るというが、なかなかどうして、私だってまだ捨てたもんじゃない、と、妙な自信を持ってしまった。私は昔からこういうくだらないこと(ほかにたとえば六本木から三軒茶屋まで歩いて帰れたりするとか)が最も人間としての自信につながるというヘンなところがある。
 で、「リチャード3世」という芝居だが、主人公リチャードは人間としての強いコンプレックスを持ついっぽうで強い自信を持っているという非常に魅力的な役柄であるにもかかわらず、これまで私は日本の役者でコレぞという当たりは見ていない。だが、大昔に見た亡き尾上辰之助主演のものって別に悪くなかったんじゃないのと思ったくらい、今回の上演はハッキリいって不出来である。埼玉で演った初演はたぶんもっとよかったのだろうけれど、今回は全体におざなりな商業演劇という感じでがっかりした。何よりも女優陣がよくない。よくぞこんなもともと下手くそな女優ばかり集めたって感じなので、敢えて名前は出しません。辰之助主演のときにアン役を演った亡き氾文雀とか、呪いをまき散らす老妃マーガレットを演った美輪明宏さんとかって考えてみればモノスゴーク巧かったんだよね、と懐かしく想いだしてしまった。ただ夏木マリさんだけは本来ストイックにやってもっと巧いひとのはずなのに、今回はたぶん主演の市村正親に引きずられてのことだろうとは思うけど、安っぽい演技になっていたのは残念である。
 主演の市村正親という役者を私は「エクウス」の初演から見ていて実にナイーブでいい役者だっただけに、いつの間にこんなに志の低い演技をするような役者になったのか、人間って変わるから恐ろしいと思う。もともとは西村晃の付き人をやってたくらいだから根は商業畑のひとではあるのだろうけれど、「エレファントマン」とか「コ−ラスライン」とかであんなにいい芝居をしてたのにと思うと悲しい。なんていうのも、まあ余計なお世話で、今のほうがお客もついてるから本人はそれでいいのだろうけれど……。
 蜷川演出は再演だからあきらかに手抜きだけれど、ほぼ同じ演出を全く別の配役でかつ商業演劇的手加減なしで上演すれば結構おもしろいかもしれないと思うところが随所にあった。蜷川さんだって本当なら屠られた馬やら犬やらが落下してくるところを生々しい感じで処理し、もっと血みどろの舞台にしたはずである。所詮は日常を安穏に暮らしている人びとの神経を逆なでしないような上演を心がける商業演劇の罠というものの怖さを改めて感じた舞台であった。これって別に演劇に限らないことではあるのだが。

2003/12/10
和風ミネストローネ、豚トロドッグ
 例のQPで具材と調理の仕方を見て、ええっ、これのどこがミネストローネなわけ?と思いながら作ったが、出来上がったものを食べてみるとやはりミネストローネとしか呼びようのない味でけっこう美味しい。ゴボウ、大根、ニンジン、長ネギを細かくして丁寧に炒め、酒を振り、鶏ガラスープとトマトジュースを加えて煮込み、塩、胡椒、隠し味ていどに醤油を垂らして味を調える。TVではこれにソバの実と卵を加えていた。これと何を合わせて食べるのがいいかなあと迷っていたら、近所のスーパーで豚トロドッグというものを売ってたのでゲットする。

2003/12/09
鮨弁当
 忙中閑もないのに例の仕事で国立劇場の「二蓋笠柳生実記」を観ての食事。
 私が現代の若者だったら「高齢者テロ」とかを考えて、第一番目にここを狙いそうな気がする客席だった。
 この芝居はもともと近代の関西で流行った小芝居風の作品で、たわいもない筋立てだから感動も何もない代わり別に腹も立たずにすむ。それをNTで上演する意味があるのかどうかといえば疑問だろう。とにかくここんとこ観てる限り国立は装置が立派な小芝居路線まっしぐらって感じである。
 柳生宗矩の息子の宗冬が父の愛妾とデキちゃって勘当され、数々の武者修行を重ねた上でやがて父と対決するなんて筋だけをいっても笑っちゃうようなお話だけど、こういうばかばかしさも歌舞伎のひとつの財産であることは間違いない。阿呆ボン風の色男を菊五郎がけっこう好演していた。大久保彦左衛門に扮した田之助は先代の井上八千代さんにソックリなので笑ってしまった。

2003/12/08
筑前煮ほか
 締め切り間近だが、忙中閑ありでお茶の稽古にいって、戻りがけに近所の惣菜屋でゲットする。

2003/12/07
毛蟹、エスニック鍋、鮭のチャンチャン焼き
 世田谷パブリックシアターで伊藤キムのダンスパフォーマンスを見たあと、守部さん、進藤さんがわが家に来て食事。蟹と鮭は進藤さんの実家から送られてきたもの。小松菜と豚と里芋のエスニック鍋は以前にレシピを書いたので省略。
 劇場のロビーで始めて観客席をメインの舞台にしたキムの新作(つまり客が舞台側で観ることになる)はそれなりに楽しめた。何せその昔は「パオーン」だの「メンヨー」だの数々の一発芸をモノにして、今も親しい友人の前では絶えず奇矯なパフォーマンス芸を繰り返して顰蹙を買ってる私のこと。ロビーでごくふつうの格好をした男女が唐突に顔を覆って歩きだしたり、柱にガバッと抱きついたり、転げ回ったりしたとたん、真似をし始めるのではないかと同行の二人がハラハラしていたものである。
 伊藤キムは勅使河原三郎なんかにも決して負けない、本当はちゃんと踊れるコンテンポラリーダンサーの一人なのに、なぜかどうしても笑いを取らなくては気が済まないようなところがあるようで、ナルシス系が多い舞踊家にあって異色の人材だと思う。観客席を舞台空間に使った手法そのもの、音楽や照明等実にスタイリッシュでセンスがいいにもかかわらず、こちらに美しいとか怖いとかいった言葉であらわせるような生理を刺激せず、妙なところで笑わせてくれるのでちっとも陶酔できない。これは本人の資質の問題だろうけれど、ジャンルがジャンルだけに、今はともかく最初のうちはなかなか理解されなかったひとであろうと改めて思った次第だ。もっともキム以外のカンパニーはあまりちゃんと踊れるひとはいなさそうで、その点はついこのあいだ観たピナ。バウシュのヴッパタール舞踊団とはえらい違いである。
 それにしても、今回のパフォーマンスの一部を観ていてふと想いだしたのは、大昔に観た有吉佐和子演出の「やまびこ物語」である。当時非常に面白くて話題になったわりに、演劇史的にどう位置づけたらいいのかわからない作品としてすっかり忘れ去られているが、あれってひょっとすると今でいうパフォーマンスだったのではないか。「恍惚のひと」にしろ「複合汚染」にしろ何でも早い有吉さんだったから、日本初のパフォーマンスを生んでたっておかしくはないのかも、とヘンに思ってしまいました。

2003/12/06
鯛茶漬け、レンコンと三つ葉のお浸し
 彩りがイマイチなので写真を2枚も載せたが両方とも大した料理ではない。
 醤油、味醂、スリゴマで鯛の刺身を漬け込んで海苔、山葵と一緒にご飯にのっけてお茶漬けにしただけである。レンコンはさっとゆがいて辛子酢醤油で合わせた。

2003/12/05
鰯とブロッコリーの炒め物
 例によってQPを見ていたらPHPの小林さんから来年2月に出る文庫の件で電話があって、いつの間にか番組が替わっていた。で、これは、みのもんたの番組で紹介されていた料理である。途中から見たのでよくわからないものの、みのもんただからきっと健康系だろうと思って作る。
 下茹でしたブロッコリーと鰯の醤油漬けの缶詰を合わせて炒めるというだけの、料理とは言えないほど超簡単安上がりのメニューであるが、味もそこそこイケルので独り者の貴方に是非オススメしたい。味付けは塩で微調整すること。何よりも山椒をたっぷり利かせるのがポイントだ。手がかかっても平気な方は白髪ネギのトッピングもしてください。

2003/12/04
キャベツとソーセージの煮込み
 近所のスーパーでジャーマンソーセージの瓶詰めを売っていたので、同じく近所のジャーマンベーカリーでパンを買ってコレと一緒に食べる。気分はもうすっかりドイツ人である(なんのこっちゃ)。レシピ不要とは思うが、玉ねぎを飴色になるまで炒めて入れると甘みが出て美味しいと言っておく。粉末でもいいからオレガノを香り付けに使うといい。

2003/12/03
明太子豆腐、ブリ大根
 昨夜の残りのブリ大根は今宵さらに旨さを増していた。
 明太子豆腐はスーパーのパンフで見たやり方で作った。まず生姜とネギのみじん切りを炒め、そこに酒で溶いた明太子を加え、鶏ガラスープで煮立てた汁のなかに豆腐を入れて最後に水溶きカタクリでとろみをつける。塩はほとんど足さないでOKだ。三つ葉がいい飾りになる。


2003/12/02
ブリ大根
 きのう買った葉付き大根がまだたくさん残っていたところ、例のQPで蕪とブリの煮物をやったのでコツを盗んで応用した。ブリは湯通ししないで胡麻油でさっと炒めて臭みを取る大根の湯通しは必要。味付けは酒をたっぷりめにきかせて醤油と味醂で濃いめに味付けした。むろん生姜の千切りも忘れずに入れた。冷蔵庫に前に封を切った純米酒が残っていたのでそれを入れたところ実に美味しく仕上がった(当たり前か)。今の時期の大根は実に甘くてみずみずしい。

2003/12/01
大根と豚肉の花椒炒め
 またまたQPの安上がりメニュー。最初に花椒を香りが出るまでゆっくり炒めるのがポイント。豚肉は多少の下味が必要。大根は厚めの拍子木切りにして炒めすぎないのが第2のポイント。生姜の千切りと大根の葉を茹でてみじん切りしたものを加える。基本は塩味で隠し味に砂糖とオイスターソース少量、最後に酒を鍋肌にまわし入れて出来上がり。

2003/11/30
牡蠣とニラのかき揚げ
 前にテレビで見た料理を想いだして作った。タイトル通りでほとんどレシピ不要だが、牡蠣を荒く刻んで衣に入れるのがポイント。衣は薄力粉のほかに片栗粉とベーキングパウダーを入れてフリッター風にまとまりやすくする。テレビで見たとき他にもう一つなんか入れたような気がしてネギのみじん切りを加えたが、生姜だったかもしれない。火が通りやすいものばかりなので高めの温度で揚げるのがコツ。これをテレビ通りカレー塩で食べてみたが、天つゆで食べたほうが美味しいかも。

2003/11/29
根菜と豆のカレー
 QP3分クッキングで見た料理だが、実に簡単、安上がりに出来て、けっこう本格的な味が楽しめるのでコレはオススメ!
 まずニンニク、生姜、玉ねぎのみじん切りをオリーブ油でじっくり炒めるのがコツ。そこにゴボウの拍子木切りと細かく乱切りしたレンコン、缶詰のサラダビーンズを入れ砂糖を隠し味に使ってさらにつやが出るまで炒める。カレー粉に加えてチリパウダーを多めに入れると本格的な辛さになる。ワインと水を加えて煮込み、最後にナンプラーで味を調えるのがポイント。肉を全く使っていないのに食べるとボリューム感がある。ヘルシー志向の方は是非やってみてください。

2003/11/28
有機野菜の地鶏スープ煮ほか
 講談社の中島氏と三宿の「正(ゴカク)」で会食。
 オーガニック系の和食で、そば種と焼きネギの椀物が実に美味しかった。
 中島さんとは夏の芝居以来で、今年いちねんの仕事の愚痴(?)をたっぷりとお聞かせした上に、富岡多恵子氏の話で盛りあがる。

2003/11/27
カキフライ定食
 新国立劇場で「世阿弥」を見る前に近所で食事。
 演出家栗山民也の卒論が世阿弥だったことを知っている私は、山崎正和の戯曲がつまらないのを承知の上で出かけた。お社日とはいえ、観客席にあまりにも関係者が多い、というより関係者以外っているの?てな感じだったのでまずビックリ。なぜか?今さら山崎センセにゴマすってもサントリー財団からお金を引きだせるわけでもあるまいに、などとつい下世話なことを考えてしまったくらいだ。
 モノが世阿弥だからなのか、客席に宮本亞門や加納幸和、昔けっこうホモで有名だった演劇評論家N氏らの姿が目についた。にもかかわらず、主演の三津五郎は大体そういったホモの人にありがちの芸術的狂気なんてものを微塵も感じさせないひとだし、必要以上に分別くさい演技に終始するもんだから、見ていてこれほど退屈な芝居もめずらしかった。
 そもそも「権力と芸術OR芸能」を「光と影」に見立てて展開する山崎戯曲は四〇年前の初演時ならともかく、今見るとあまりにもわかりやすい観念的セリフが飛び交ってちょっと気恥ずかしいくらいである。栗山演出はなまじそれを抽象的な舞台でスタイリッシュに見せようとうるもんだから、戯曲の素人臭さが余計に目立つのだ。
 それにしても主演者三津五郎の責任は大きいと思う。いったいこの人は戯曲がわかってやっとんのか!といいたい。光りあっての影、すなわち権力者義満に評価を与えられたことによって芸術家として成り立った世阿弥が、義満自身にその事実のむごさを突きつけられて絶望したのち、初めて他者の目に身を委ねて生きる芸能者の道を自ら進んで歩み始める第一幕のラストがこの芝居の根幹であろう。そこから世阿弥の修羅、女や家族への愛を断ち切った芸術的狂気がはじまるという、メチャクチャわかりやすい芝居のはずなのに……。見ていないから何とも言えないが、たぶん幸四郎が演ったときはそれくらいは伝えられたと思う。
 しかし三津五郎ばかりでなく、今回ほかの役者もだれひとりとして良くなかったのは、戯曲に書かれている登場人物が結局は観念の産物で、本当の意味で肉化されて立ち上がってはいないからだともいえる。そういう意味で、山崎正和氏は芸術家の狂気に対する憧れはあっても、自身にまるで狂気のない所詮は学者センセだということを栗山氏が改めて証明してくれた上演だったのかもしれない。

2003/11/26
豚のハリハリ鍋
 昨夜の飽食から一転してきょうはあっさりめに。
TVのCMで唐沢クンがやってる食べ方にそそられてやってみた。大根をピーラーで削って鍋に入れ、豚ロースの薄切りと水菜を合わせて食べる。広告主のミツカンさんには悪いけど、ポン酢は阿波徳島産の本場物を使わせていただきました。   

2003/11/25
明石蛸のカルパッチョ、河豚のフリットほか
 新シリーズ「銀座開化事件帖」の打ち合わせをかねて新潮社の小林さん、佐野氏と麻布十番のイタリアンR「エノテカ・キオラ」で会食。蝦夷鹿のパスタが相当に美味しかった。パルメジャーノンをきかせた白アスパラのリゾットや、メダイの雲丹焼きもGOO.全体にハーブを使っあっさりした味付けのヘルシーな料理でポーションが大きいのもお得感があっていい。
  

2003/11/24
豚肉と茸の焼きそば
 以前何かで見た色んなものをアレンジして作ったらけっこう美味しくできたのでここにレシピを公開しておく。
 まず細切りにした豚もも肉に下味をしっかりしてサラダ油と片栗粉でまとめておき、お馴染みのネギ生姜ニンニクのみじん切り、鷹の爪といっしょに炒め、椎茸を加える。味付けは砂糖少々、紹興酒、黒酢、醤油で適当にして最後に水溶きカタクリであんかけ風にまとめた。別に胡麻油で両面焼きつけたソバに肉と茸のあんかけをのっけて出来上がり。

2003/11/23
大根と鶏肉団子の煮物、干物
 鶏肉団子にはネギのみじん切りと生姜の絞り汁を加えた。QPの番組で言ってたポイントは先に濃いめの煮汁で鶏肉団子に火を通し、肉団子を取りだしたあとを薄めて全体の煮汁にすることだが、こうするとたしかに肉団子にしっかり味付けができる。大根は下茹でして熱いうちに煮汁に加えるのが第2のポイントだ。見場は地味だが思ったより美味しく出来て満足した。

2003/11/22
干物、豆腐サラダ
 干物は大家さんから頂戴した小田原産。豆腐サラダはQP3分クッキングで教えてくれたコツを書いておく。まず木綿豆腐はキチンペーパーにくるんで3分ほど電子レンジにかけて水切りするといい。生野菜(きょう私ははレタス、キュウリと大根とセロリの千切りにした)もキチンペーパーにくるんで冷蔵庫に入れておくとシャッキリ感が残る。シラス干しをから煎りしてふりかけると美味しい。ドレッシングはお好みでいいが、きょうはヘルシーに徹してノンオイルのポン酢を紹介してたのはときどき強引に自社製品を使うQPの番組にして画期的である!
 BSでコッポラ監督の「地獄の黙示録 完全版」を見ながら食事。公開時はよく意味がわからない映画だったが、今回イラク戦争のさなかで見て改めて感じさせられた点が多かった。それにしてもアメリカって懲りない国だよなあ。

2003/11/20
刺身ほか
 渋谷で友人と食事。

2003/11/20
ぴりからコンニャク、山芋と鶏肉の炒め物ほか
 講座を済ませた帰りに時間がないので近所の惣菜屋でゲットしたが、やっぱり自分で作ったほうが断然おいしいと思う私であった。

2003/11/19
人形町 喜寿司
 今宵は舞台のお誘いがいろいろとあったが、明日に講演を控えて全部キャンセルしたにもかかわらず、急に父が東上してつい人形町の「喜寿司」に誘惑されてしまった。
 戦前から焼け残った一画に建つ店は古き良き佇まいを見せているし、ネタもほとんどが江戸前である。とにかく何を食べても美味しかったが、ことに貝類が他店に増して充実していた。塩で食べさせる穴子は甘口の酒をうまく利かせて絶品。江戸前のすみイカは生も美味しいが柚を利かせて煮イカもいい。
 

2003/11/18
茸のスープパスタ
 フジテレビで見た料理。パスタはカッペリーニを使う。ニンニクと鷹の爪を入れたオリーブ油で玉ねぎを甘みが出るまでじっくり炒め、そこにパセリのみじん切りと多種の茸(私はブラウンマッシュルームと舞茸とエリンギを使った)を入れてさらに炒め、チキンスープをたっぷり加えて煮込む。塩と黒胡椒で味付けし醤油を少し垂らして香り付けするのがポイント。最後に万能ネギの小口切りをトッピング。きわめて和風の味わいなので、わざわざカッペリーニを買ってこなくても、うちに山ほどある素麺で十分だったと反省する。

2003/11/17
お好み焼き、モンジャ、チヂミ
 シアター・コクーンで蜷川演出の「ハムレット」を進藤さんと見た帰りに渋谷で食事。
 蜷川さんは自身が若いころにきっと年寄りにスゴク反発を感じた人であり、だからこそ自身が年を取ったいまスゴク若い人の味方になろうとしている人なのだろうと思う。今度の「ハムレット」は蜷川さんのそうした想いを全面的に反映し、主演の藤原竜也もよくそれに応えていた。少なくとも何ヶ月か前に見た野村萬斎などに比べてはるかにセリフをうまく伝えていたし、他の役者もそれなりによくやっていた。にもかかわらず、ああ、「ハムレット」で感動させるのって本当に難しいんだなあ、ともまた思わせる舞台だった。
 とにかく近ごろの「ハムレット」に感じる冗漫さって一体なんだろうと考えさせられてしまう。思うに、なまじセリフが現代に活きたコトバとして十分通用したりするために、その面白さに引きずられて、物語の本筋とはおよそ関係のないセリフ(のほうがむしろ現代性があったりする)まで役者がきちんと立てて言うように演出されるせいではないか。とにかく今度の「ハムレット」でいえば、現代の少年犯罪者の内面や家庭崩壊を彷彿とさせるべく演出されていて、四〇〇年以上前のセリフが翻訳によってはそれなりに生々しい現実にピッタリくるように聞こえたりするから魅力的でもむろんあるのだけれど、セリフを全部が全部しっかり立てて言われると見ているほうは非常に疲れるし、どこがポイントなのかもわかりづらい。いっそ現代に活かせるセリフだけで綴って、ストーリー部分をなくせばどうかと思うが、実際はそういうわけにもいかず、見ていてシンドイ芝居になっている気がする。その点、現代に活かせる個の孤独という面だけに絞りきって大胆なテキストレジーで演出したP・ブルックの「ハムレットの悲劇」は稀な成功例といえるのかもしれない。
 藤原竜也(蜷川演出のというべきか)のハムレットの一番の難点はまず初っぱなからハイテンションに過ぎることだろう。現代の若者性を強調する舞台だというのであれば、これほどのハイテンションだと即座にクローディアスとガートルードを殺してしまいそうである。ほかに今回の演出でちょっと気になるのは舞台の使い方で、「グリークス」の時のように中央が舞台で両サイドを観客席にしたのはよいとしても、舞台全体にこれは「ウエストサイドストーリー」を想起させる巨大なケージで覆ったのは役者の大変さも考慮して、如何なものかと思われた。

2003/11/16
和風ポトフ
 スーパーのパンフを参考にして作ってみた。豚ロースブロックを水から煮て、ネギの青い部分、生姜の皮で香り付けして塩、酒、昆布茶をきかし、そこに大根、ニンジン、レンコンを大きめに切ってじっくり煮込んだ。これにつけて食べる味噌ダレが実に美味しく出来たのでレシピを公開。味噌にほぼ同量の練り胡麻を混ぜ、生姜の絞り汁、出汁、砂糖、煎り胡麻、醤油、一味唐辛子を適当に合わせるだけ。冬場の気軽なホームパーティなどでおでんに代わってオススメしたい一品だ。

2003/11/15
ゴボウとドライトマトのパスタ、市販のコーンスープ
 QP3分クッキングで見た料理。ニンニクのみじん切りとゴボウの短冊切り、ドライトマトの粗みじんをオリーブ油で炒め、白ワインを少々加えてスパゲティにからめるだけ。塩分はドライトマトとパスタの茹で汁で十分。クレソンをトッピングに。完璧なヘルシーメニューである。

2003/11/14
キーマカレー、シシカバブほか
 新宿文化センターでピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踊団の公演を見た帰りに近所で食事。
 「春の祭典」「カーネーション」以来ひさびさのピナである。映画「トークトウハー」の影響もあってか以前とは比べものにならない盛況ぶりで、初日もあって関係者がどっと詰めかけての熱気あふれる客席にまずビックリした。
 で、今回は「過去と現在と未来の子供たちのために」というタイトル通り童心満載のプロダクションで、ユーモアもたっぷりきいていて大いに楽しませてくれた。恐らくは丹念なワークショップを重ねて舞踊家各人からさまざまな童心を抽き出した上で構成されたとおぼしき内容だが、意表をつかれっぱなしの舞台で瞬時も飽きさせない。むろん舞踊家としても非常に高水準な団員たちの内面を生理的に開かせて、かつそれを再構成してゆくピナの腕力には毎度ながら脱帽させられる。
 私はそもそも舞踊にさほど詳しくはないのでえらそうなことはいえないが、コンテンポラリーの常として、彼女の振付も基本的には重力に戦って負けるというコンセプトに基づき、無為の反復が語られてゆく振付であろうと思う。にもかかわらず、これほど人間が前向きに描かれた舞台は演劇を含めて近年ないような気がした。終演後アンコールの鳴り止まぬ会場に姿を見せたピナはいつも通り細身のからだを黒い服に包み、メランコリックな表情を浮かべて見せながら、裡に大変な力強さを秘めたひとであることをあらためて感じさせてくれる。ああ、なんてカッコイイ女性なんだ!
 今回チケットを取ってくれた進藤さんには大感謝だが、こんどの月曜日には私も蜷川ハムレットのチケットを取ってあげたのでおあいこです。 

2003/11/13
具だくさんのイタリア風野菜スープ
 フジテレビで見た料理。玉ねぎ、ジャガイモ、ゴボウ、レンコン、カリフラワーをさっとオリーブ油で炒めてチキンスープでじっくりと煮込み、あらかじめ塩胡椒しておいた鶏肉をあとから加えてさらに少し煮込む。煮込むときには粒胡椒とローリエを忘れずに。最後に塩で薄く味つけしておいて、食べるときにバジルペーストを入れる。テレビではバジルペーストの作り方もやっていたが、市販のものが冷蔵庫に眠っていたので手抜きしてそれを使った。ゴボウでいいだしが出るし、具だくさんだが思ったより簡単に出来るし、何よりとてもからだに好さそうなスープなのでオススメしたい。絵面は悪いので写真はカット。

2003/11/12
ポークソテー茸味噌ソース
 QP3分クッキングで見た料理。
 またもや見場が悪いけど、茸味噌が簡単にできて美味しいのでオススメだ。長ネギの小口切りを炒めてから各種キノコのみじん切りを入れてさらにしっとりするまで炒め、味噌、酒、味醂で味付けする。キノコは石突きを取らずにくっつけたまま先端のほうから切っていけばアッという間にできる。今回はブナシメジとエノキダケとマイタケの3種を合わせてみました。

2003/11/11
鶏手羽と里芋のエスニック風スープ
 QP3分クッキングで見た料理。焼き色をつけた鶏手羽とネギに里芋を合わせて煮る。鶏から出汁がたっぷり出るので水と酒だけで十分。鷹の爪を1,2本加えてピリッとさせ、最後にナンプラーで味付けする。里芋は塩揉みしてぬめりをしっかり取っておくこと。鶏だけで15分、里芋を加えてからまた15分ほど里芋が煮崩れない程度に煮る。私はTVで見たレシピにさらに舞茸を加えた。
 料理の写真を入れるようにという要望があがって岡野さんにプログラミングしてもらったので、今日から開始しますが、それにしても一発目から花のない絵面になってしまいました。今後PHOTOはもっときれいな料理が出来たときだけ載せることにします。
こんなことしてられる暇があるんだったら、もっともっと仕事をさせようぜだなんて、編集者諸氏よ、ゆめゆめ思わないで戴きたい。

2003/11/10
鮨弁当
 国立大劇場で『天衣紛上野初花』を観劇。
 松本幸四郎が「河内山」と「直侍」の二役で、しかも早変わりも演じるという珍品公演だ。そもそもこの作品は明治の二大名優、九代目市川団十郎と五代目尾上菊五郎の初演で、対照的な芸風をもつふたりにハメ書きされたものだからそれを一人二役で演じるという発想にまずビックリ。河内山はともかく直侍はまったく幸四郎のニンにない役で、例の仕事を引き受けてやむなく見るハメになったがそうでなければ一生見なかったところである。
 で、何に感心したって、「そば屋」の場面で花道から尻からげで出てくるところ、年齢のわりに非常にきれいな足をしているのでまたビックリした。幸四郎はなんだか妙に若くてきもちの悪いひとである。大柄なくせに演技そのものが全体に妙に小芝居っぽい器用さに終始するのもこのひとの不思議なところである。巧いんだか下手なんだかちょっと見にはわからないだろうし、どうケチをつけていいかもわからないけど、このひとが歌舞伎するとなんかヘンだよねえ、と歌舞伎ファンの多くは感じているのだろうと思う。実は初代の吉右衛門の血に遡る小芝居臭が一族のなかでこのひとに一番強く出ているのではないかということが発見できた公演であった。

2003/11/9
ポルチーニーとゴルゴンゾーラのパスタ、ほうれん草のニョッキほか
 キィさんこと中澤寿美子さんの個展に集ったいつもの仲間(岡野夫妻、守部、大島)で大島宅において着物の着付け講習会。そのあと近所のイタ飯屋で食事して、わが家で選挙速報を見るという盛りだくさんな一日でした。
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